ROSEリポジトリいばらき (茨城大学学術情報リポ...

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お問合せ先 茨城大学学術企画部学術情報課(図書館) 情報支援係 http://www.lib.ibaraki.ac.jp/toiawase/toiawase.html ROSEリポジトリいばらき (茨城大学学術情報リポジトリ) Title DemocracyとLabor Relations Author(s) 高木, 皖 Citation 茨城大学文理学部紀要. 社会科学(3): 65-81 Issue Date 1953-03-20 URL http://hdl.handle.net/10109/10336 Rights このリポジトリに収録されているコンテンツの著作権は、それぞれの著作権者に帰属 します。引用、転載、複製等される場合は、著作権法を遵守してください。

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お問合せ先

茨城大学学術企画部学術情報課(図書館)  情報支援係

http://www.lib.ibaraki.ac.jp/toiawase/toiawase.html

ROSEリポジトリいばらき (茨城大学学術情報リポジトリ)

Title DemocracyとLabor Relations

Author(s) 高木, 皖

Citation 茨城大学文理学部紀要. 社会科学(3): 65-81

Issue Date 1953-03-20

URL http://hdl.handle.net/10109/10336

Rights

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1

DemocracyとLabor Relations

高   木      院

                                          )

(1).目的の為に限定せられた自由としからざる自由,

〔D.Soviet理念に於るDemocra(ΨとLabor Relations・

〔璽〕.Democracyと英米に於るLabor Relations・

〔IV〕.結語ノ民主主義理念の許容せらるる限界

〔1〕.目的の為に限定せられたる自由としからざる自由・

The Russian㏄onomy is relatively simple. If Russian is realIy to b㏄ome an industriaI

皿ation, then it will follow, as it, has in Great Britain and the United States, that the vast

maj・・ity・f t与・p・・pl・will b・d・a㎜int・a・・mp1・x v・・t・x・f indu・t・ial a硫ivities・lt wil11

                                                                     ’窒?曹浮奄窒?@that higher 6ducation be given to Iarge number of its people. It wiil also require

that miliions of them acquire the freedom of making an infinite variety of decisions de.

manded by an expanding industry. This means immediate decisions that cannot wait・for

political consent and that in the nature of the case must be wrorLg d㏄isions, perhaps half

of the time. Without such freedom po modern industrial society can be bui工t, and if the

童eedom exists, then state control and police sanctions cannot survive. The Russian sシstem

thus has the seeds of its own destruction embedded in it. It aspires to a higher materia1

well-beiロg for the mass of its people. It connot provide it without b㏄oming a great indu一

strial society and cannot become a great industrial society・withou季freedom of private jud,

2ment in infinitely variable instances. If such freedom comes intq being, as並must if indu一

  、唐狽窒凵@is to develop, then the freedorn will destroy the present police state. The polic6 state

¢an su・vivg・nly in a・・mpa・ativ・ly simpl・. ag・i・ultu・al s・ci・ty・lt will meet its d・・t・ucti・

on at the hands of a growjng industrialism. The.dilemma is clear. Soviet Russia cannot

,give up the ideal of an exp3nding stan母ard of Iiving, and it cannot achieve it without co・,

㎜itting suicide.((Frank Tannenbaurn, Philosophy of labor))と云う引用文がHarvard BuSi一

ness ReviewのVolume XXX. Number 2に書かれている。米1これ,をEconomi6 Freedomに’っい・

「〔の商題として,Sov iet Russiaの生産活動に關蓮し,ツ蓮邦に於る民主主義理念及びそのLabor

Relationsを老察し,それに相樹するものとしての資本主義國家殊に英團米國に於る民主主義理念

と螢使關係とを考慮して,その差異を明確にしておきたv・と思う。

前述の引用文に“個々人の判断が自由になしうるものでなV・限り,亘大な産業杜會の成長を期待.

する事は不可能である”趣旨を読むが,ソ蓮邦に関しては先す,その憲i法の第1条に “Soviet肚會

主義蓮邦は榮働者と農民の肚會主義國家である”とあつて,第3条の権力の所属第4条の祉會主義

※1。Harvard Business Review. VolumeXXX. Number 2・80頁・

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一66一          茨城大學文理墨部紀婁(肚會科墨)Nα3          1953.3

経済搬をとる経済的基礎の主張がみられ・街・130条“飾vi・t蓮邦略人民は鋤viρ糎邦憲法

を運守し,法律を籏行し,勢働規律を守り,肚會的義務を誠實に實行し,枇會主義的共同生活の原鮒

を奪重しなければならなv・”として,第131条にては各人民がSoviet体制を神聖不可侵なものとし

て肚會主義的所有を奪重し彊化すべく求められている・で,かかる範疇内におV・て第126条が組織

上の自主性や嫡大衆の政治簡罎達せしむべき目的で,鞭組合そ礎の團体の組織権を認め  噸

てV’る事を・想起せねばならなV・・ソ蓮邦の産業経濟枇會では,以上の諸条文によつて明らかにさ

れている如く,共産主義肚會の育成を意圖してその申に,その目的内に於て許さるる限りに於ての

み・自由な生産経済意欲による活動が認φらるるのであつて,目的内に在る限りでは,自由な個々人の

活動が許容され,前述引用文の“獲展しつつある産業が要求する種女の決定をぱなし得る自由”が

認められているのである。

それ故に・Soviet蓮邦に於ても,自由は一定限度即ち肚會主義枇會建設の限度内に於ては存在す

る。が,この自由が果して,亘大な将來の産業肚會を購成する事の不可能な自由,なのであろうか。

これを断定する事は〃哲學〃であるとしても,確實な資料による推定ではあり得ない。只ことで注

意されるのは・lf w・・k・お・taught f・・m・h翌dh・・d t・b・lieve in pditi・al d・mcc,a、yαe

to believe in seif-dete】㎜ination of conditions through exercise of sueh civil liberties as free

”q㏄tions, free assembly, free speech, and free press), were given no voice in the deter一

mlnati・n・f wag・血t鈴, w・・k pe・i・d・, and w・・klng・・nditi・n・, th・y w・u王d b。1油g in an

indu・t・ial aut・cra町・and indust・ial aut・αa・y, n・ma枕er h・w b・n・v・lent, i・fundamentaily

Iep「essive to the instinctive needs of human beings.。2として,米英に於るDem㏄racyの理

念が,徹底的に個々人の猫立とその自由を求めて居り,自然獲生的な,封建経済肚會から資本主義

経濟の市民枇會への成長と育成の努力の中に,その自由を主張していて,Sov iet蓮邦に於るが如き

「許された範弼の中に限定されている」自由を許容しない点である。

 ここに・D㎝ocracy・についてのSoviet理念と英米理念との本質的な差異が見られるし,叉,勢                                蘭働組合Trade Unbnの理念・勢働關係螢使關係五abor Relationsの現實に於る相違が見られる。

(1){沁viet理念に於る恥mocracyとLabor Relations

一Democrac yは政治上の形態であつて, Monarchy, Aristocracyと垣別さるる,自由で平等な多

数の人女による政治を指称するのであり,本質的な平等,天然の消極的な自由を主張する。が,かか

る娑索として含む自由につV・てみるに,資本主義経済砒會にあつては,自然襲生的な立場からの自

由の伸張乃至は生産關係榮働關係等脛濟関係に於ての拘束の有無からの自由の存否が論じられ,

Sovi3t枇會にあつては,階級的拘束の有無の如何乃至はSoviet砒會の建設過程の必要から,自由の

拘束が問題とされている。いつれにせよDemocracyは政治上の観念であつて, Political Demo一

c「acyとしての要求であるべきものではあるが, Industrial Democracyとして経濟関係,生産關係

の場に於ても亦・Economic Freedomの房翻蓮に於て取りあげらるべき問題を持つものであると思う。

Democracyを産業部面,殊にLabor Relati)nsに於てみる場合には,(ユ)螢働組合の内部の組織及

び運営の問題の取り夢げ方としてのIntra-Unbn Democracy と,(2)必要に迫らる瓦場合,國や州

が規正するものとして・“経濟的な貨物の稀少な事や,かかる稀少な財貨に封しての欲求を充足ぜし

めようとする人間の競争になやまさるる甦會にあつては,民主的な政府(Democratic Govem.

1ηent)は,斯の様な緯済的な軋櫟を,財貨が最大多籔者に最大に行き亘る様にして解決する様に

※2・DaughertヱGR;Labor Problems in Am,rican Industry・EM295 Chap gA 1・27$頁、

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高木饒:De颯㏄racyと1」abor Reiations          -67一

期待もされる。換言すれば,政府は,多敏の意志を強行する事によつて(by enforcing the wiU.of

the majority),混乱した無政府肚會を取り除き,平和と秩序とをもたらすべきである”米1とする

如き観点から,国家や州が法規を制定し又はi適當な機關を設置する事によつて,Worker-employer

Dealingsに於ける調節を試みて,市民一般の輻祉を保護すべきであるとする,第三者の声,その表

・  現としての法規の定制や行政機関の活動が試みられて來る虚の,国家や州の意志の発現と~二の規正

の中に於る勢使関係の動きに關する部面と,及び③組合の主張と経営者の主張とが各々自由に接燭

され,而もそこに善意による協力の得らるべきUnion-Managem旦nt Co-operationカ§團体交渉や団

休協約を通じて實現され,又経営問題につv・て鞭者代表が参加したり(Employee Representati一

on with management)叉は利益の分配(profit sharing)やWork councilsとかsh6p committees

を通じての舅働者と経営者との交渉等にみらるる,Copartnership Idea1としての, Democra(汐

との①(2)③の三箇の部面に関するものが,Labor Rdationsに於てのIndustrial Dernocracyの表

現形態であると考えられる。

今,Sbviet理念に現はるるものとしてのDemocracy及び螢働組合運動を, Leninの言葉によつ

て検討してみよう。国家は,一つの階級が他の階級に封する支配を維持する為の機関であり,一階

級が他の階級を抑圧するの機関であり・且つ・一階級が他の隷属階級を服從せしむるの機関であ

る。封建就会に於ては・農民の土地に樹する緊縛が幸配的であり・農奴は一定日撒を自身の為に働

くが,爾飴の時間を地主の為に働く,階級國家としての本質は依然として存在するσ農民が一部自分

    Pフ時間を持つ事が出來,物々交換と商業関係の獲展が可能になり,資本主義経済紅会へと導かれて來     .

る。商業の発達,商品交換の発展につれて資本家階級というi新らしい一階級が分離して來,資本の

 、ヘが伸長して来,一切の市民はある程度蓮の午等の地位が与えられる様になる。凡ての人間は法律の

前に平等である,法律は凡ての人間を同列に保護し,且つ或る人が財産を持つなれば,この財産をも      ,

保護する。財産を持たす労働力以外に何物も持たぬ階級からの侵害に封しても,この財産を保護す

る。これが資本主義枇會である。資本主義枇会は自由を標榜する。即ちこれ越財産麟有者の為の自由 ’

なのである。かくて国家は私有財産制の上に立ち,無産榮働者を抑圧する。自由の如くに見ゆるも

のの真実は,資本家の手に握られた,資本家を助けて勢働者階級を隷屡せしむる一つの機関なので

ある。普通選翠や議會は軍なる形式に過ぎす,何等事物の本質にふれるものではない。しかし,普

通選墨法は一つの大きな進歩ではある,これによつて労働運動のより大きな発嚢を可能ならしめ

π,しかも螢働階級は益女強く資本家に相樹する。搾取が存在する限り平等は存在しないのであつ

て,かかる為の権力の機關は破壊に委ねらる飛きである,と云う。縄この結果が現在のSoviet肚會

主義共和國蓮邦憲法の第1条となつた。従つて,かかる理念,かかる蓮邦溝造の中に於てのみ,勢働

組合問題が処理せられて行く事になる。即ち英米の理念に於る自由は,Soviet理念に於ては,財産

所有者の滋のみの自由であるとされて了う。たとい自由なる選挙,自由なる集會,自由なる言論等の市民的自由(civil Iiberties)を行使する事によつて,自分の周囲についての決定を自身にてなす交11                                        一

き事が英米理念のPolitical Democracyであり,従つて, Industriai Democracyとしても,賃銀率,

螢働時間.勢働条件の決定についても,勢働蕎達が襲言したいと主張し,且つこれが考慮さるべき如

き組合運動が英米に於ては普遍化されていてもSoviet耐會に於ての組合蓮動としてはそれに必然

に限界がおかれているのである。革命過程の進行中にあつて勢働組合は,党と提携しての共産主義

推進の機關である。且つ,螢働者農民の肚会主i義國家の成立後は,資本主義経濟杜會にみる如き勢

※1.Labor Problems in American Industry.第22章. A.a 863頁

※2・工enin;国家について.川内忠彦氏訳及び渡辺文太郎氏訳

’                         ’

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一・ U8-’ @        茨城大學文理學部紀要(肚會科學)N(沼          1953.3

資の樹立は存在せす,‘‘Sovietの耐会主義枇会に於る労働は,労働者にとつて,資本主義社会に於

る苦難に満ちた,人間による人聞の搾取ではなく,自分自身の溢の,何人によつても搾取される事の

なV・肚会主義的螢働である”米3として,かかる肚会主義的螢働の維持をこそ目的とする。1922年

Russia共和國人民委昌會議の“団体協約に関する決定”以降, NEPの時代にはその協約の趣旨は

勢働の保護におかれたが5ヶ年計画時代に入つては,螢働組合の任務も団体協約の趣旨も,国螢企業

の補助機関として,企業の生産の保護を目的とする様になり,籾憲法第126条が“勤勢大衆の利釜

にもとすき組織上の自主性と大衆の政治活動を襲達せしむる目的にて”しかも“青年団体スポーツ

団体・国防団体”等と共に,労働組合を存在せしめてV・る。即ち,肚會主義社会建設の目的の中に,

乃至はその存続の溢の推進の中に於てのみ,勢働組合は存続し得,自主性を得ているのであり,同様

な關係に於て工abor Relationsも問題とされているにすぎない。所詮は肚會主義肚會の生産制度

の中にあつての問題で,これに樹しての批判は許されないのである。自由の限度がここに明定され

ている。  再びLeninの思想についてみる。革命家と共産主義者とは,螢働者大衆の居る処であ

れば必すどとにでもいなければならない。Russiaの共産主義者は,反動的な螢働者の団体の内部に

あつても,荷共産主義の爲に闘うべきである事を知るべきで,自由主義者が弊働者に樹して“諸君

が肚會の同情を獲得する時,諸君は彊くなる”と云うのに相対して,マルキ・ストは“諸君が強いか

ら,君達は杜会の同情を得るのである”とする。唯圖争あるのみとして,共産のイズムの差にのみ

強調する6“堅実な学者(そして堅実な日和見主i義者でもある)Webb夫妻の著述を一瞥つれば.

・    英吉利の螢働組合は,とくの昔に〈経済圖争自体に政治的性格を附與する〉課題を自覚して,それ・

を実現しつつあり,とくから罷業の自由の為に,協同組合的及び弊働組合的運動に劉する一切合切の

法制的障碍物の排除の為に,中略,圖争している事を知るであろう。かくしてく恐ろしく〉深遠な,そ

して革命的な響きをもつている虞のく脛済闘争自体に政治的性格を附与する〉と云う如何にもi華や

かな文句の蔭に,実は枇會民主主義的政治をTrade U且ion主義的政治に引き下げようとする傅

統的な志向が匿されているのである。”これに反して,“革命的仕會民主党は,常にその活動の中に

革命闘孚を含まぜて來ている。経済的アヂを窯が利用するのは,政府に対して色々な施策の要求だ

けでなく,又〈何よりも先に〉專制政府たる事を止める事の要求をもi提出する滋である”州と

する考え方から,党は勢働運動に関連し,勢働組合に強力な働きかけを持つと共に,英米のDemo一

αacyの理念, Labor Relations, Sidney WebbのIndustrial DemocracyやTrade Unionismを否

」定する。かくて,党はその活動に当つては直接に勢働組合に頼つているものの,しかし実際上は,全

職業的全露中央本部或は局(螢働組合全露中央協議會)を筆頭とする圧倒的多敷の組合の凡ての指

導機關が,共産党員をもつて購成されて居り,蕉の凡ての指令を實行しているのである。全体として,

又完全には,形式上に於て共産主義者ではないが,而も弾力性をもち,鷹汎強力なプロレタリア的機

關として獲得されているのである。で,組合の機關,組合を仲介として,党は,階級とも,大衆とも,緊密

に結びつくのであり,これを仲介として,黛の指導のもとに,猫裁が實現されてv・るので.、6あつて,

労働組合及び組合員の自由は窯の許す限りの内に於てのものでなければならなV・。EconomL Free一

domについての処定の限界の一つがここにも存在する5党と組合との関係に於ても,Sovie七蓮邦に

※3・現代砒會思想講座.資本主義と肚会主義:李館利雄氏;Sovietの杜会と勢働.工155頁

※4・胡麻本蔦一氏;Soviet民法及び弊働法. Soviet螢働法.1. a 92~93頁

※5.Lenin選集.佐藤勇厳訳;何を為すべきか.第三章.①.87~89頁

※6.Lenin;共産主義のく左翼〉小見病.第六章.

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高木白完:Democrao況とLabor Relations          -69一

あつては,窯が,かくの如しくて,組合を規正する。しかし,後述する如く,英國にあつては螢働

組合が勢働党を援助する。ここに共産主義杜會と資本主義杜會との相違が鰐働組合の存在組合の重

二動の様相を通じてのDemocracyの獲現形態に対蹴的な相違を見せている。理念に於ても・両肚會の

鰐働組合の運営に於ても,相共に窪り得なV・事が断定出來る。  “例えば,英吉利等の勢働組合の

書記は常に,螢働者を助けて脛済闘争を行わせたり,中略,する。要するに螢働組合のどの書記も・

〈雇傭主及び政府との経済圖争〉を行い,且つ,それを援助してV・るのである。併し・これは間未だ

.砒会民主主義ではなく,肚会民主主義者の理想は労働組合の書記たることではなく・中略・萬人にブ・

レタリアートの解放岡争の世界史的意義を解明する事の出來る民権擁護者でなければならない”と

云う如き趣旨羽によつて,両階級が存在し,階級闘争は政治闘孚であり,組合運動も亦,この範匪の

・中にのみ存在しているのである。この範囲内にあつては民主々義が停在する,この範囲の中にある限

りは自由である。所詮は,この範疇が若しも正しいものであるなれば,modern industrial society

.can be buildであり,否なればcan not be buildであろう。

次いで,Sovietにおける五abor Relationsを極討してみたい。賃銀の基~隼となるノルマについてみ

一るに,最も普通の努力によつて容易に遽行し得るものが100%であつて,自身のノルマを15」%も途行

するスタハーノフ螢働者があり,このノルマの100%とは最も普通の努力によつて達成せられる虞の

一生産高の基準,作業高の基準であつて,この基準は,螢働組合中央委員會と各工業省との協議の結果作

製ぜらるるものである。結果に従つて有利な高賃銀を饗働者は得,Sovietの耐會主蓑経済全体として

も,螢働生産性の飛躍が見られ,順調な経濟建設の進行が得らるるし,寮8このイルマの決定も組合との    1L

協議故,一方的な強制ではなV・。自由は街存在する。労働契約の締結も,労働法団体協約内部管理規則

等の規定による条件を最低の限度として,當事者間の合意によつて締結される・1(労{動法第28条)・が

,螢働組合受ぴ団体協約には,前述した如く,國菅企業の補助として生産性の昂揚が要講されているの

てある。螢働関係工abor Relationsにつv・ては,団体交渉が企業の管理部と螢働組合との聞にてな

され,螢働協約がその管理部と労働組合工場(地区)委員會との間にサ全て締結せられる。實際には,こ

,れに先だつて,一般団体協約が中央の機関と當該螢働組合の中央委員会との間に締結せられ,賃銀基

金螢働の生産性についての問題勢働の保護の施設に封する支出額等が規定せられ,これに準慷して,

個タの地方の団体協約が,既述の両者間に締結せられる。協約に違反する場合は管理部側は刑法の

訴追をうけ,螢働組合の工場(地区)委員会が,全体的な監督をなし,特に直接的な監督の機関として

評価争議委員會が設置されている。即ち団体協約の締結追加葎更や,生産高榜準畏銀支彿の方法内

一部管理規則の変更,乃至は,個々の螢働者や榮働者の群から労働法団体協約個八の勢働契約の違反等

。に関して問題が提起され,企業との間に螢働争議が起きた場合には評価争議委員會等がその解決に

.努力する。この争議解決の方法はSoveit蓮邦にあつてもAutocraticなものではなくてDemocratic

一なものである。即ち,孚議の調停機關としての評価争議委員會は,それぞれ同轍の管理部側及び組合

側代表によつて構成せられて,孚議を審議し,會議に於ては爾者は饗等であつて・爾側から交互に議

長及び書記を選出する。争議の解決は双方の合意によるものであり,合意不成立の時は・訴証的事件

の場合は問題を人民裁判所に移す。解決不能の場合には,非常設の機關として事件の発生や必要に

癒じて管理部と組合との間に調停委員会や仲裁裁判が組織せられるし,この委員會に於ても宰議は

當事者間の合意によつてのみ解決せられるのである。Labor Relationsが以上の関係に於て見らる

※7.Lenin;何を為すべきか.同書.第三章・(5)・117~118頁

※&李館利雄氏;Sovietの砒會と螢働173~177頁

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一70一           茨城大學文理學部紀要(批會科學,Fo.3          1953.3

る借に,Soveit蓮邦にあつて樹組合は生産同僚裁判に関係する。即ち杜会主義的労働規律を維持・

すべく,勢働者の規律違反の事件や非良心的な職務の逡行について,警告や鑓責,罰金損害賠償解雇等

についての管理部への提案,組合よりの除名の提案をなすべく,各100名以上の勢務者をもつ企業

におV・て委員によつて~二の機關が溝成され,(この委員達は馨務者大會に於て成績の優秀な労務者の・

中から選畢される),且つ,勢働組合の機關としての地匿(J揚)委昌會がこの生産同僚裁判につい⊂

の指導に當つている。(但し,人民裁側所が,判定について街監督する)。 g

勢簸関係の諸機男が以上の如き組織と運螢とを婆つつ,存在するが,生産性の昂揚の滋の刺戟1且c一

entivesの関係につハてみるなれば,一つにはSoviet理念に由來する生産意欲の伸張がある。即ち一

Soveit就会にあつては生産手段と労働力とが共に同一の勤勢者の全体に薦していて,生産に當つて

も榮働力の費買は存在せす,その勢働はことごとく勢働者自身の幅祉の増大を結果する故に勢働意

欲の充分な襲揮がみられるとする。次には,“質と量に応じて”の出来高佛の報酬が与えられ,賃一

銀等級が定められていて,Soveit耐會主義的な労働賃銀の支給政策があり,これに附加して例え

ば“勢働の英雄”と云うが如き名誉称号が與えられる。かくて姓會主義を肯定する限りに於ては螢

働者は・Soviet杜會に於て自由であり・その民主々義体制にイ満を感じる事掛無く,又既にして階

級も潰減し去つており,生奮力と生産關係とに矛盾もなくて,その生産は資本主義杜会に於ると異か

無限に獲展し得るものであるとして,Incentivesの影響の下に,生産性を高めて行く事になる。

要するに,Democracyは“Sovietの理念に於てηと云う条件の下にある限りに於てはその存

在が認めらるるであろうし,Labor Relationsも“Soeit肚會のi建設と運営にそう限り”に於てDe一

mocraticでありうると云えよう。且つはその故に亦,封立する理念と経済組織とをもつ資本主義杜∫

会では,これを,DemocraticなものでなV・と断定し,非難するであろう。

〔のDemocracyと英米に於るLabor Relation$

1789年フランス革命の當初に封建的な諸制度が廃止され“勢働の自由”が宣言される,そこで“

“労働の自由は,封建的制度から資本制経済への過渡的時期に必要とされたのであつて,政治的自、

由とともに宣言されたものである。労働の自由は,そこでは産業の自由職業の自由であり,したがつ

て他人を使用して企業経営する自由と,他人に雇用される為に職場を求める自由とがともに含まれ

ていたのである。それはむしろ,私所有権の自由がブ・しジヨアジーの経済的基本権であつたように..

勢働者の自由もブルジヨアジーの経済的基本権と認め”らるる事となつた。料市民的自由が封建’

制の圧迫を排除して誕生し,Political Democracyの実現がIndustrial Democracyの主張を同時

に出現せしめて來る。尤も,政治的には古く,王権の圧制に甥抗してのマグナカルタやシモンドモン

フオールの國会等以降の人権の伸張運動もあり,ルネツサンス以後の‘‘個”の自畳の精紳面に於

ての成長も俘うであろうが・街政治的意藏が経済上の自由Economic Freedomに強い影響と関蓮

を及ぼし〔來たのは,米國の諸州に於て英国の植民政策に封抗し猫立への意志の基礎として人権を

主張した事や・封建帝王制を批判するフランス革命の造行であり,これらが,産業革命以降の企業家

の自由,雇傭される立場にある労働者の自由の主張を相俘はしめながら,途上幾多の障碍に会V・遂行

とその訂正をみ乍らも,Democracyの確立の主張を績け通して來ているものと云えよう。叉相俘つ

て・Labor Relalbnsに於ても,“螢働の通常の賃銀額は,勢資爾側との聞に於て締結される契約の・

※9胡麻本氏;Soviet民法及び螢働法.

※1・菊地勇夫氏;螢働基本権序論.法哲學四季報第4号4頁

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高木白完:DemocracyとLabor Rela重jo聡           一71一

一如何によつてきまるものであり,爾者の利害は決して同一ではない。勢働者は多額に得ようと欲し,

使用者は能う限り小額に与えんと欲する。で,螢働者達は賃銀を上げんとして団結し(disposed to

・・ モ盾高b奄獅?j,経営者達は下げんとして団結ゴる”迎かくして勢働者側に団結や団体交渉の自由の要

求があつた。叉,Ia Ioi Le Chapelier, Combination Act, Injunction乃至はCompany Unionsや

.Black Iist, White list等汝,経醤者側に於ても,國家政府と結合したり国法を利したり猫自の方策

を用いたりしての,経営者側の主張する自由の強調も,相譲るものではなかつた。

(A).In the A㎎lo-Saxon world of to-day we find that Trade Unions are democracies/that

一is to say, their internal constitutions are all based on the principle of‘‘Government of the

people by the people for the people”潤に読む如く,Trade Union自身の構造につv、ても・

他からの干渉をう∂す,組合のDemocra(y,組合のSelf-Governmentが主張されDemocracy wi一

一一 狽?奄氏@workers’organizations(U1立ons)が實現され,又,米国のNationa五Labor Relations Act 1935

は不公正勢働の一つとして,被傭者が自身で組織を作り(Self-organization),団体交渉権を行使し

て来る場合に,この勢働者達に経営者側が干渉しとれを脅迫し抑制する事をあげ,同じく螢働組織の

成形や管理に力を与えたり,反封に,力をそV・だりする事も叉不公正勢働の一つであるとしし料

外部に於る法や第三者としての國家によつても,“組合内部に於るDemocracy”に封する他の者か

らの干渉や擁乱が禁じられている。  かくて,経営者も自由であり,と共に叉組含側も組織する事

運営する事団休交渉を持つ事の自由を持つている。

(B).同様に叉,國民一般の生活潰費者としての生渚も自由なもので,いつれの榮使一方からも叉・

爾者の共同の圧力からも,爾,爾者の不調によりその為に損害を及ぼさるる事からも,自由でなけれ

。ばならない。即ち國民一般消費者一般も亦自己の立場を主張するの自由を持つのである。  英国

にあつては“公衆は,消費者として,勢使が不和の為に順調を歓き必要とつる財貨やサービスが得ら

一れなV・楊合には,大衆の利釜を守る事を國家に求め”緬米國にあつても“個々人と産業界と肚會と

は相五に広い関蓮を持ついてるのであつて,一地方一産業に於る結合関蓮は・混乱の中心から非常に

遽瀟な場所に於ての経済的条件にも影響を持っものである。消費者は,産業の紛孚による不利を・生

産停止による為のみならす,商品価格の面からもうけて了う。そこで大衆は,産業の混乱が平和に解

決される様に勢力し,この努力によてつより増した利釜を得る様になる”輔から,勢働紛孚が當該榮

使聞に於て解決を見得なv・場合にはANational、Labor Relations BoardやThe Conciliation Ser一

一viceによる公的機関の努力をも求むる事となり, Democracyの経済面に現はるる意欲の一つとし

て,大衆の声が,螢使爾側の他に樹その紛糾の解決を求むるものとして,要求を提出して来る事とな

.る。かくて政府の公的機関の活動をみるのであつて,こごに,勢使交渉に於る政府の関係にみる,第

一三者の側の介入意欲による処のDemocracy(Democracy in Government relations to worker一

齢 ※2.Adam Smith;Wealth of Nations. Book1. Chap.8. George Routヱedge&Sons班M・51頁

※3.Sidney&Beatrice Webb;Industrial Democracy.序文. Longmans, Green&co・1920年

19~20頁

※4.Lester, R.A.;Economics of工abor. Ma㎝ユi11an 1949・720頁

※5.Robson,工A.;The Evolution of Modern Capitalism. Supplementary Chapte臨

Part I.§4. Geαrge AIIen&Unwin工TD・1930.484頁

※6.Patterson, L,ittle, Burch;;American Economic Problems. Unit D. X1▽。32.

EM.221.420頁           ハ

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一72一           茨城大學文理學部紀要(肚會科學)Nα3           1953.3

bmployer dealings)カ「存在する。

(C)・急進革命的な組合主義Revolu亡ionary Unionismからみれば『保守的な組合Conservative

Unionsは,経営者側よりは當然に猫立してはV・るものの,叉,その企業と協力しあう事によつて産  ・

業上の輻祉を増進しより多額の分け前を組合員たる勢働者に獲得せしめはするものの,しかし,所詮

一勢働齢圭の望む処は彼等勢鰍者の階級が凡ての牽業を統御し全額を牧得する事であつて,この点に

関しては,かかる保守的な組合は.本質的な問題として直面すべき努力賃銀勢働者の経済的從屡性を

除去しようとする努力には些も関心を佛つて居らす,根本的な誤謬を犯している慈のである』とさ

れる・Trade Union Educational LeagueやTrade Union Unity工eagueの共産主義が米躍にも

存在し,叉,Sユmuel Go拠persも曾つてはマルキストであつた。が,しかし, GompersもA. F. L.を

創設するに及んではその考え方が保守的なJob-℃onscious businegs uniollismに変つて來ている。

叉,んF・Lの著名な會長WiHiam Greenも次の如くに語る。即ち,目下のIR合運動が當面する事’㌃

は,勢使間に於る産業上の協力と理解との問題である,吾々はこの問題が解決不能のものとも,打ち

勝ち難iいものとも思はない。正義をまげす,不當な利読を結果せす,圧制を排除する精神や目的毒識

が・賃銀決定の交渉等に当つて行きロつている限り,斯の隊な臨係を通じて,産業上の通常の問題は

解決され,能率も上るのである。しかし,この事は,既に努使の間には嫌悪や悪意が存在しないと云う事を前提とするものである。かくて勢使間の“友好関係や責務観念が,旧観念の産業肚會に鼠著                              ㌔

な特徴として存在した封抗し敵意をもつ態度に,とつて代られねばならない。これこそが,現代の

Trade-Unionismの新概念なのである’㌔,7と云つて, Union-Management Co-operationの立場

を述べている。   経営者の側にあつても,勢働組合に封して最初より反封し敵意を抱く者,こ

れ程の強度はなくとも消極的に接燭を保つ者,乃至は,組台の独立と存在を肯定し協同を求めて企業

の護達に資せしめようとする者があり,組合の経営者に封する態度,経営者側の組合に封する態度が

友好的である場合,産業平和はより望ましく実現するであろう。自由な肚会(free society)にあつで

は強制された平和は決して永続つるものではなv・。Worker-employer dealingに於ても,たとひ一

方的な圧力で事がその時には処せられても,それは,結局に於て破綻をみる。構咬者が各々の立場に

在つて,各々の主張を述べて演討し震協し協司して,杜会の成長を求めて行く処に真にPoliticaI

Democracyが存在するごとく亦, Industrial D6mocracyも存在するのである。米国の初期の

Demo(芝a(yの表現の一つとしての1776年のVirginia憲法は第1条こ⊂凡ての人は本質上準等で

あり自由であり猫立であると云うが,第t5条に於て,“自由な政府も,自由の恩恵を,その人民が正

義と中庸と節制と質素と徳義とを確固として身につけ,しばしば根本的な原理にさかのぼつて老え

るのでなければ,維持されるものではない”と云う,警告自省を読むのであつて,放縦專恣を拒否して。

申庸と節制とをDemocra(写の実現の中に期待している。この場合Wi11iam Greenの前述の言葉

と共に,経営者達力脇會を結成して鍔働組合に相封して来る時にSamuel Gompersの語つた言葉

“We weicome their organization,but we ask them to follow the path of moderation and一

reason, the same that th6y dernand of us as working men”*8が想起される。Democra6yは多

籔党が少数党の意見にも傾聴し,反省と寛容との中に安協されて正義の實現合埋性の敷術をみて行

くものであつて,政治に於てのかかるDemocracyは,経済上に現れても,当然に維濟肚會に在つて

※ZDaugherty;Labor Problems in American Industry・Chap.14. A.474頁

※8.GGmpers・;Labor and the Emp1σyer. Daugherty;Labor Problems in American、

Indusay. Chap.19. C.692頁

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高木白完:DemocracアとLabor Belat三〇n9          -73一

申庸(moderation)と理性(reason)の径路(path)を進み,経営者は維螢権を主張し乍らも螢働者

の理解ある協力を求めて生産性の昂揚を期待し,組合側も螢働者の立場としての勢働条件の向上好

条件の獲得を意図しつつ生産性の易揚に協力し,爾者が猫立者として封等の立場にあつて協議する,

即ち,Union-management co℃perationにおけるIndus{-ia1 Democracyの進行~二そ望ましい

ものであるとされる。

以上,英米におけるDemocracy即ちPolitical Democracyの理念のうちに,且つ,それと共に,

生成し實現しつつあるIndustrial Democracyの一部面としてのLabo}Rdationsについての場

合を考慮する時に,ここに,(A)Intra-Union Democracyの確立意図と,(B)Worker-employer

de&1i㎎sについての第三者大衆の意図の介入,その表現たる勢働関係法i規の制定,政府公共機關の

活動及び(C)Union-Management Co一つperation にみる,労使爾者の立場を固持しつつ・f苛・爾

者が協力し合う,企業の運営に当つてのDemocracyの成長とをみる事が出來るのである。これら,叙上の三者(A),(B),(C),につV・て,具体例を引き乍ら老慮してみたv・。                                            1

(A).In亡ra-U通on DemocracyにつV・て。

Democracyは自治を要素とする。個人の自由,自由なる個々の構威者の意志の協力によつて・集

団の機溝が組織され運営されて行かねばならなV・.螢働組合にあつても同様で・構成員の自由意志

によつて組織され運営さるべきもので,國家企業者側組合内部の特定少敏者等の力によつて干渉さ

れ運営されてはならない。この理念は組合の獲生当初から現實のものとなつて居り・英國にあつて

は,職人のTradeの総會におV・て,一時的にのみpresideLtが選ばれて會合の秩序と制度が維持さ

れ,古く1785年に創設されたThe London Scciety of Woolstap五ersの時々の會合毎にも匿様な

方法がとられ,以降,諸Tradeに~二の方式がみられ,初期のTrade Clubの運営からして永績的な役

員委員會の存続は許されて居らす,特殊権力の獲生を拒否してV・た・かくて“このTrade Union

Democracyの初期の形(Type)におV・て,私達は,凡ての人々は平等である(all men are equa1)と

云う事のみならす,叉,凡ての人々に關係する事は皆凡ての人女によつて決せらるべきである(W一

hat concerns a11 should be decided by al1)と云う最も子供らしい信仰(Childlike faith)を,見出

すのである”米9として,Democraticなものであつた。しかし,やがては,その必要上から・雇傭者

との闘争歌態に入つた時には,特定の責任の負える委員會を作る事とはなる。例えば1720年から

1834年の間The London Tailorsは闘事時にDeputiesを持ち~二れから街a committeeが・それ

から術avery small committeeが形成され,ここから命令が磯せられた。しかし,4ミ時には総會

主義の運営が行はれているのである。剰o又,経営者等の他よわの干渉を拒否する自由な自主的な

労働組合の組織と運営は.Wa2ner法第8条,Taft一且artley法第8条にも明記されてv・て,米國にお

いても主張され,労働組合内部の運螢につv・ての組合自主性の強化が,組合内部からも,又,Democra一

ticな外部の一般肚會からも求めつづけられているのである。

(B).WorkeエーEmployer Dealingにつv・ての政府機關の活動,勢働關係法の制定等。

米國の1947年全國勢働關係法の第1条・咀つ,一一般顧利に反するもめを明示して・こ.れを禁止ゾ

勢働紛孚を調節して産業牛和を維持する事は,経営者勢働音に好結果をもたらすのみならす,第三

者としての消費者その滋に苦痛をうける公衆を守る為に必要である。大衆の利益を擁護づべき声が

法律の制定となり,政府や斡旋調停等についての政府諸機關の努力の襲現と竜なる。組合や経営者

※9.Sidney and Beatrice Webb,Industrial Democracy. Part 1. Chap・1・8頁

※10.Webb;同書9頁

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・- V4一            茨城大學文理墨部紀要(祉會科學)ぎq3          1953.3

の運動が叢會て反響して勢働關係法規の改訂をみたりする勢使当局音のみならす,第三著乃至第三

者の意欲が介入しこれによつて構成砒會の健全な襲展を期待すべく,大衆の利益を代表する盧の第

三者の蓼加を表明し主張しての,Democracyが存在する。

“英國の政治制度は,ある意味で民衆の力に従順なものであると感じられた。1824年~21年の團結

禁止法の康止,自由貿易暉樹,工場法,選挙権の漸次的拡大,これらの事は政治的磯購の利用に導いて

行つた,”“議会は螢働階級の要求に完全に道を塞いでいるものとは感じられなかつた。膀働陛級の

不平を通風寸るのに利用しうる声が議會には少数乍ら若干は常にあつた,”“その結果英国勢働罐合

運動は自己のみ力嘆働階級運動の唯一の中心であるとは考えなくなつた,中略,自らを政治と民主々

義との競孚者であるとは考えす,杜会上の民主々義獲得の協同者であると老えて來た.”粕産業革

命以降の労働者の団結団体交渉の要求に対して,英国Democra(yの傅統は契約の臼由を主張し17

99年の団詰禁正ヒ法ともなり,1024年の団結i禁1卜法の撤廃法に封してはCOnsp{ra御の適用となる。

しかし叉,勢働階層に成長する政治的勢力はChartismの蓮動となり,Wi11量包m New onの導働候

補をみるに至る。・12以降政治運動との關蓮を去つて,勢働組合の動きは專ら経済主義の行動にの

み淡入して行くとしても,労働党を通じての労働者勢働組合員の政治への關心が尚多分にみられる。

畿會主義のDemocracyは,議會に反映する多数の意志によつて個々の案件に対する処置が決定せ

られ,かくて命令される処には,再び多敏の力を以てその命含を覆し得る町期の至る迄は,不満なり

とも服従せねばならぬとする如きものである。英國人の行動は傳統的に之を肯定する。弊働卸,,

この傳統による穏かな態度媚をもつて,その時の経済政策労働政策の政府議会における方針に從

順であり,同時に又,議会を通じての改正努力に關心する。かくて,1871年の勢働組含法以降1906年

の勢働孚議法その他の諸法規の實現となり,1920年の緊急時権η法や1927年の勢働箒議及労衝組含

法がみられ,叉,1945年勢働党の政権澹当と共にこの法律の廃止がみらるる事になる等,議會の動き

があり,これに從つての耐會の経濟状態に及ぼす勢使の關係についての瀞整がみられる。

米国の自由主義は建國の精神に流れをくむものであり,経営者は強’企業の自由商業の自由を主

張し,労働者も亦,個人主義の精神が強く且つ豊饒な新大睦における自己のξ來の獲費濁立企裳者た

りうる飛躍への素地も大きV・環境にある故に,行動も契約もそのまLに自由旨ちる事を款した。で,

Demo(raticな観念からして,労使個々人の間におV・て労働条件が取りきめらるる事が常態であつ

た。しかし,螢働者としての自由,条件の向上は,却つて団体行動団体喫約の中によりよく實現する

ものである事を知り,且つは,欧洲の勢働組合運動の刺戟もあつて,組合運動が成長し初める。と他方

経営者側はYeilow Dog Contra(沈やlnjunctionに頼る事となる。その賄果はやがて1932皆のNo一

rris↓a Guardia A(尤となり,1933年のThe National Industrial R㏄ov el yAしτ,1935年のWag一

ner Act,1938革The Fair Labor Standard Act,1947年Taft-Hart王ey Actとなつたし,且つはFe一

deraヱLabor Relation Board, U蹴ed Sta亡e Conciliation ServiceやFederal Mediation and

Conciliation Serviceの活動をみる事となる。

(ナ)工abor Relationsの一方の当事者としての芳働組合は,米国にあつては,英国の警働組合が勢働

党と結ぶごとくには強V・關蓮を特定の政党と結んではいない,只政党と別個にあつて圧力団禮とし

※11.Roper;Trade Unionism and the New S 3cia10rdeL関嘉彦氏課;勢働盟合蓮動と新砒

會秩序.第一章.14頁

※12.山中篤太郎氏ノ勢働組合法の生成と攣韓・第:二章第三節.二.193頁

※13.山中氏洞書.第四章第四節.四.595頁

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高木毎完:Demo3racアとLabor ReMolls         -75一

て存在する。そこで“州においても聯邦においても,政権の獲得に關蓮のない限りは,いかなる政黛

も弊働組合に興味を持ちはしなV・。共和窯の事實上の同昼{渚は会重i二企業であり,民主党は南部や大都

市におけそ種々の機關及びカトリツク教會に依つて立つているのである。中略,そこで私は考える

のであるが,勢働稲合は,その願望を,彼等自身による猫立の政蕪を通じて表現すべきである。”“彼等

の目的を直接の政治的な方法で表す能力を持たない限り,アメリカの勢働組合は充分な政治力を動

員する事は不可能であろう”・14と云う評を生む事にもなるが,米國におけるD㎝ocracyはむしろ只、

Pressure Groupのみの立場にあつて,勢働者としては,彼等の待遇螢働粂件市民的立場の順調な向

上への努力及びその実現をば主張してv・るのである。即ち,“初期の米国人は自由を主として個人主

義の繧点から老えていた。政府の機能はごく少く且つ大部分溝極的であつた。中略,が,都市の獲建

大規模産業の癸装があり,賃銀勢働者やその認合も,市民権の維持や1申長につv・て,叉特に・変化しつ

つある産髪の歌態に傳統的な自由を瞳慮させる点において,釜々増大する重要な役割を果してい

る,”“19鯉紀初葉の勢働組合は,例えば.投票に拾ける財産資格の制限の廃止を要求した,で,この制限

の廃棄がみられ.後刻解放されたのであるがその当時は奴隷は6.方なV・として除かれたが・実に凡て

の勢働者に,投票権が与えられたのである。”“勢働組合組織は,組合の決定と特別な歌態に關係した

行動におV・て,市民権や市払的自由の全範囲に亘つて,活巌な支援を,與えてV・る。即ち,典型的には,

秘密投票婦人の参敏権ストラ4キの行使権初期の共謀罪に封する組合の解放等・後年に至つて採用

された種々の変更につV、て,先鞭をつけて來たのである.” 15勢働者としての市艮は,市民として

の勢働者であつて,組含内部の運営において自由を主張するごとく,政治についても個々人として自

由な政窯に投票する。それの結果によつて自由市民としての自身,労働車としての自身の生活象件

の向上がもたらされる様に努力し期待する。ここにAmerican Democごacy の主張の一端がみら

れるのである。   (β).経営幸は,弾働者側の組合ξ綜総合潅動によるHi迫を嫌悪する。しか

し,勢使の關係が順調に進行する時には,経濟的にみても,労働者には能率の増加高賃銀雇蒲継続の

安心感よりよい作業へのなれ生活杁態の向上が期待されると共に,経螢著にとつては・若し入事管理

の立揚から間頃調な進行が螢使間にみらるるならば,そのより緊密な協均(Cc-operation)や産業

不安の減少から生産の好調を結果して,軍位当りの賃銀率を娃め,より有能な資本の使角を可能にし・

企業の競争力を檜大して来る事になつて賭胎である。 ・;若し経済肚会が反封に不安宰議の頻発

をみるならば,終には,勢働箭側の資本主義経濟祉會への反抗の増大,勢働者の救貧についての杜會

保障費等の負憺の増大,購買力の減少により消費過少の脅威の増人等を結果する事になる。その故

に企業家にとつても,Union-Management Coropαationが望まい(ものであり・叉・國家や州の規

正による勢使關係の立法化,国家や州の機關による争議の斡旋調停仲裁等が衛更排除すべきもので

はなくなつて来るのである。   (ケ),叉,第三音,大衆も,順調な生産活動消費生活の績行につ

いて計画の変向に煩はさるる事もなく,故意の生産停止による価格の昂騰による藷価な商品の使用

からも解放されて來る故に,法や公共機關による労使關係の調整を希望し,立法化や,機關の活動を

求めてもV・るのである。

かくて,(}),(β),(わ三者鯛ボの裡が,亙にD・m・c・a・yの琳として・政治面に紳てそ

一L1@※i4. Laski;Trade Unions iユthe New Society.亜. The Viking press.1949.102頁

※nUnited States Department of LaborづThe Gift of Freedom・AStudy of the

Econo:nic and Social Status of Wage Earners in the United StatesjiL U8~120頁

※1G. Yoder;Personal Management and I ndustrial Relatio職s・Chap・1・IntroductiorL Pub三ic

interest in industrlal relations. E. M.783.21頁

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一76一           茨城大學文理學部紀要(肚會科學)Nα3           1953.3

の具休化が求められて來るのである。

街・U,S, A,のWagner法の後に,各州においても,1939年から1941年にかけてMassachusetts,.

M三chigan, Minnesota, New York,Pennsylvania, Rhode Island, Utah, Wisconsin等にお》・て法の

制定がみられて來る。而も,各自の州の猫自性からの法内容の考慮がみられ,或v・は不當勢働行為の

項目を増加し,叉は,螢働者側にもこれの適用を述べ,乃至は一定のCooling-off期間を規定し,殊

に,Wagner法によるNational Labor Relation Boardに許されて居らぬ斡旋調停仲裁の機構iをもState正abor Relation BoardやDesignated officialsカ「持つている場合もみられる.ノ英米の現実はかくのごとくであつて,議会の法を得,政府の機關の努力により,或V・は叉,當該勢使

爾者の間に持たるる紛事処珂機關苦惰盧理機關紛争解決の為の委員會協議機關等の活動をまつて.                                              ’

弊使間における紛争の解決が囲られる。かくて経濟肚会の順調な進歩を希望する処に,Labor Rela-JtionsにおけるIndustrial Democracyの一つの存在があると云える.

fc.Union-Management Co-operati侃

維営者は,近代企業の遂行に当つて,生産能率の向上利潤の増大を目的としているものであるし,ゴ

その為に’葺働者を雇傭使用し,人事管理の方法を研究する。経営者としては,土地螢働資本を巧みに

用い,水力蒸気力電氣力而して人力を利用する。~二の場合,電氣を利用するのには電氣の性質を知ら

ねばならぬごとく,人力をよく利用する為には螢働者の性質を知らねばならない。最も能率的な労

〆 働力の利用は,その勢働者のPersonal developmentによつてv・るものであり,それ故に労働者の個

性の褒揮を充分ならしむるを要する。これは単なるフユーマニズムでもなければ,みじめな不幸な人

に封するもろV・感情の流露でもなく,勢働者をして最遭の仕事に最能率的に当らしめ,彼等をして最

大曜の最長期の生産性を発揮せしめんとする,健全な政策なのである,糾とする立場からすると

しても,“経営の問題につV・ては大部分何も知らされる事のなV・勢働者にも,当該企業の経営政策の

正當である事を知らしめるのが先づ須要である。禽,産業關係の管理に成功するのには,適当な個々

人に適つた實施をなすと共に,長期間の着實有効な読明を必要とする。経営者は,特に,健全な勢働

政策を考慮し実施しなければならない。しかして,彼は叉その政策の健全なものである事を,よく

勢働者に納得せしめねばならない”細経営管理の當事者は,一面経営技術的な簿造關蓮の進行の中

に経営の合理化を計ると共に,他面,経営の就會的構i造關蓮の理解の中に経営の民主化をみて,両者

の相燭るる裡に襲展が期せらるるものであり,径営管理の健全性がみられる。前者の合理化の為に

機械化原理が導入され,後者の合理性彊化の為に人格化療理が樹立されて行く.経営そのものは,機能的概念のものとして,生産の昂揚の為に動き,資本の増殖としての要素的見地の要求とに相ふれ                 ●

て・膿場の倫理の確立の溢に並び封する時,機械化と共に民主化の進行が図らるべきである。生産撲

術的簿造關連の指導者について肚會的欝造の加味としての民主的な選出方法をとり,且つは,経営協

議機關紛争処理機關等を採り入れて,理解と調和とを漸進せしめて行く事が心要である・、、9場合に

も勢働者と経営者はより理解しあV・,組合と経営者とは協力して企業努力による生産の増大に相努

めて行くべきであろう。

※1乳Yoder;Personal Managenlent and I ndustriaI Relatiol1銭ChaR L Introduction Speci一

alized Managerial Functio凪EM.783.7頁

※18.Yoder;同書.4頁

※19・藻利重隆氏;経営榮務管理

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高木脱:DemocracyとLabor Rdatlo凶          一一77一

写高めて行く必要がある。この事は古く1913年既に科學的管理についての先駆者Frank Gilbrethによ

つて“榮働者の心からの協力のない限り,科学的管理やそれによる節約の効果は出て來ない”旨,20

が語られ,現在におV・ても,賃銀のみが生産能率を高むる唯一の誘因ではなくて,Human Re撤ions

も大きな要素となつているのであるし,むしろ両者が相關蓮しあつでいるのである。lncentive rates

・が与こられても,これが,組合と先づ謀り,そD後に経営者側が襲表すれば,一方的に襲表づるよりも効

果は大きくて,労働者達は,實際の勢藪に酬いられる報酬によるのみならす,この様な報酬の与えられ

る相互人的交換感情(interpersonal sentiments)の理解の如何にもとすく刺戟体系(incentive syst一

em)に,反慮を示すも、のである。その故に経営者は“financial incentivesは, technical engineering

であると共に,又,human relationsの問題で竜ある事”を知らねばならない,“両者は離れ得ないも

.のである”事が主張される様になる。、21かくて,現代の経螢者は,科學的な経螢管理の遂行に当つ

ても當然により多くhuman relationsに關心を注がねぽならす,この点におV・て,経螢者としても

Union-Management Co-operationの必要性が存在するのを知る。経螢者の主張を保持すると共に,

Demoρraticな努使關係,樹労働者対組合の關係が進められて來ねばならなv・。反,経螢者としては.

、組合を認め団体交渉をへて団体協約を締結する時は,個々人との雇晴契約にて個々に勢働条件を決

定するの煩を避け得るし,且つ,賃銀率も決定して來る故に,個別の低賃銀による原価切下げの有利

性を利用する同業者間の競孚も弱まり,荷叉,協約によつて賃銀率の当面の安定も得られて将來につ

’ヤ・ての豫測計算も可能となり,とれによつてより確実な作業の豫想が出來,且つ,組合との了解があ

る以上よ’り確実により有能な弊働者の野働力を獲得し得る.同様に,経営者が組合を理解する時に

、は,突獲的なストライキ怠業生産上の無駄等を排除する事も可能となつて來るし,平常の不平や苦惰

についての了解も出來,当該企業と螢働組合との間の懸隔も調節されて来るのである。旧型の企業

一者がかたくなに組合と相野立し,組合を圧殺し去らんと努力した事は,資本主義初期の企業の自由に

とらはれすぎての進歩のなv・Dernocracyの表現にすぎなv・。従つて近代の企業者の多数は,組含

の存在を認め,組合の主張する処にも反省と寛容の態度をもつて接し妥協点の発見に留意しながら

も経営者自身の意図をも亦主張するIndustrial Democra卿の在り方を知つてV・るのであり,且つ,

この在り方が経営権の限度を保持する限り決して自己を否定するものではなv・事をも知つているの

一である。

A.F.L.やC.1・(λを講成する各組合の中には共産主義者もいるし,T.UC・を構成するもののう

ちで竜全国鉱夫勢働組合その他に若干の活濃な共産党員の活動が見られ,鋳物工組合等は共産窯の

支配力が非常に大きV・。が,概して,英米の組合は急進的ではなく,組合の目的とする処のものは組

合員一同の勢働の集団的な販費に当り,その条件として賃銀勢働時間その他の待遇を有利に獲得す

一る事である。勢働者は,この間に所謂constant small advancesを求めていて,決してより進んで企

業者をその企業の所有や経営の地位から排除せんとするものでもなく,叉,賃銀体系をくつがえして

労働者自身が格別に高度な條件を得んとのみ欲するものでもなV・。螢働者の主な關心は,日常の仕

事jobに關してであつて,勢働権(right to work)の保持である。しかし乍ら爾,~二の労働権の主張

。の為には,勢働者とその組合は強く自己の存在を主張するのであつて,ここに叉,組合側のIndustr一

一ial Democracyの姿が見られる。それ故に,組合は企業側との交渉を漱迎する。即ち,“私は賃銀労

※20、Harvard Business Review. Volume XXX. Number 2.77頁

※21.Harvard Business Review.同号. Whyte, W・R;Econom ic Incentlves and

Human Relations.79頁

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一78一           茨城大屋文理學部紀要(融會科墨)Nα3           1953.3

働者の組織と企業者の組織とが共に存在する事を徴迎する,中略,叉,我が国の産業や商業の成功と

相かなうごとき賃銀や勢働時間の問題について,相共に論議しあう事を懲迎する”.22のである。

American Democracyにあつては,労働者側は,只Pressure Groupとして政窯をおし有利な労

働法規の獲i得を求むるが,これは議會にて決せらるべき問題としてPolitical Democracyの分野に

おき,Industrial Democracyと明白に塵別する。企業における勢働者側のDemccracy, Economic

Freedomは,その時代と杜會に相応する労働条件の獲得とその為の主張の自由とである。それ故に

団体交渉の手綾を進行せしむる事になる。

しかし,英国における榮働者側のDemocracyは,特定蕪派(努働窯)との密接な關蓮に立つて

勢働法規の改善を求め,Political Democra(yとの關蓮がより大きい。而も街,個々の企業と組合と

の間にあつては,むしろ,米国よりもより強く螢使爾者の間にて,即ち,第三者の斡旋の機会をより少

くもつて,紛争の解決を圖らんとする意圖が大きい。殊に,企業の國有化が獲展して來ている現在に

おV・ては,個人企業の経営者とは異る相手方を組合側が持つ場合が生じる。この場合組合側がいか

なる態度を持つかにつV・ての問題が生じる。これら,勢働者と企業者及至管理者側との關係におい

て,俺,英國におけるIndustrial Democracyの特色がみられる。

産業革命の進行があり,勢使両者の封立も明白となるにつれて,英國人のDemocraticな動きは・

当然に対立と圖孚の激化,榮使関係についての立法の進展をみると共に,一面,両老の間においての

紛孚の処理につV・ての努力,その方法の進歩もみられて來る。組合結破の事,ShoP-Stewardが組合

の内部にあつて組合即)組合に勤する関心を高め労働条件の履行に努力し勢働者の不平をきいて職

長と折画したりする事,職場委員会(ShoP-Committee)が作られてこの職場監事職場委員(ShoP一

Steward)を補佐する事叉,地魎支部{工ocal Branch)による蓮絡の強化や地域委昌会(District

Committee)を結成して団体交渉に当る事等,勢働者の苦情をきき紛孚の処理に當る機関が次第に

誕生して來る。既に1869年北部イングランド鐵鋼製造業調停付裁委員会や1872年中部鐵鋼業賃

銀委昌會等があり,建築紡織等種々の業種において勢使間の紛孚の調停仲裁の機関がみられる。こ

れらの機関の構造は,先づ勢使同懲の代表者の協議仲裁によつて孚議の解決が求められ,不可能の場

合には双方の受諾する中立の仲裁者の裁定をまつ様になつている。法によつて1909年に設置をみ

る事になつた最低賃銀協議會も,勢働組合組織の未獲達な諸産業に投置されて,最低賃銀率の決定に

当るものであり,労使各同数の代表委員によつて協議せられている。1916年Whitley調査委員会

は,勢使蓮合の全國産業協議會(全國勢使代表蓮合産業協議会)とその下部組織Eしての地方協議

會工場委員会をもつ,勢働者の従業条件のみならす産業上の…般の政策経営生産工程生産構造及び

産業關係の立法に至る迄の広範囲にわたる問題をとりあげる機關の設置を,勧告している。ここに労

使による経螢協議会の麗営があり,Industrial Democracyの顕著な表現の一つがみられる。各種の

産業にみるWhit工ey式の全国産業協議會は,純然たる民間の任意による組織であつて・職責機構題

螢者等は凡て蓼加団体の各自の協定によつて定められ,從つて,種々の差違と特徴とをもで)ものであ

り,叉,維持の経費も当然に勢使萌者の共同負担であつて,政府の財政的な援助には頼らない。

例えば港湾騰業については,そのWhitl・y式の形をとる全麟頭鞭蓮合協議會が全国醐使吊

者協會の代表と蓮楡一投勢動組合全国一般都市榮働組合全国合同仲仕埠頭勢働組合スコツトランド

蓮輸一般勢働組合の代表とからにて組織されていて,全国的な一般原期としての最低賃銀勢働日数

※22.Samue1 Gompers;Labor and the Employe凱Daugherty;Labor Problemミin

America111ndustry. Chap.19. q 692頁      .

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高木白完;Dmeocracvとhbor Rdl・tions         -79一

獲業等を協定し共同意志表示事項についてはかり調停嘉務をみたりする。荷,各港灘や地匠に・V’づ

れも,榮使代表よりなる蓮合委員會が設けられて,同じ任務に從事してV・る。叉・金属機械業につV、

てみるに,金属機械同業使用者全國蓮合會同加留地方協議会と勢働組合との間に協約が結ばれて

(1922年),勢働者の苦情は職長に迄もたらされ,ここで未解決の場合,受持の職場監事と當該労働者

とで職長主任叉は工場長に話し,これにて未解決なれば丁場委員會にはかる。爾未解決の場合は地

方懇談会にかけ,この懇談會は使用者協會と勢働組合の地方役昌とによつて構減される。解決出來

なV、時は,最後に,螢使双方の全國本部役員によつて梼放される中央懇談會にかけられるが・この裁

定にも強制力はない。協定不成立の場合には,規定の手績全部が修了したものとして・螢使双方共に

自由行動に移り得る事になつている。  Whitley委員会が模範規約として示したものによると

その委員の構成は,半救は使用者団体残りの半激は勢働組合で任命する事をよしとする・下部組織

としての工場委員會は,両者の代表を同敏にすることは實行困難でもあリイ必要でもあるとして・若

干の差を認めている.いつれにせよ,実質において封等に祷球され・極力当該者間におV・て自主的に

纒の解決されることが,最纏まし械とであるとされてv・る.組合(U㎡・n)経営者(Manag一

ement)とが,使用者はその企業を経営する権利を有し,労働者はその勢働機能を行使する権劉を有す

る立場に立つて,各六ZF等に権利を主張し,協議機関を自らの手によつて作り・相封し帽共に協議し

て鰍への途を進む.この労働關係乃覇使關係αab・・R・1ati・n・)において顕著に・P・1itica1

Democracyに相通じるIndustrial Democra(汐の姿をみるのである。

次に例を米國にとつてみる。1946年1月26日に,クライスラー会肚とC・LO・に加盟するアメ

リカ自動車航空機農具工業螢働組合の12軍位及び全國際軍一組合の計13組合との間に締結され

た勢働協約によれば,“組合は,会砒が諸工場を脛営レ業務及び從慧員を指揮することに関して介入

を許さざる完全な権利を有することを,認める。”“若し,尺ての交渉f綾が薫される前或は後に罷業

が起つた場合は,この協約は直ちに切れる”・‘会杜は本協約のこの項の違反に滲加せるいかなる被傭

者をも懲戒する権利を留保する”“経営者は,ごの協約に丁される交湯手績が余す処なく行はれ而も

交渉が五日間綾けられる迄は,工場閉鎖は行はない,”,と記1,叉,弊働糸件の不平に関しては.被傭者

は投書箱に投書するか或は職長叉は職匠組長に陳情する。聯麟隈は繕長と協議し・未解決なれば・

職場委員飾職囎当監督と協議し而も解決不倉ゆ時は棚騰会に紳て職場委昌会と鞭関係監督とが協議し,調整の出来なV・時は輩位組合役昌と工場取締とが協議する。荷解決イ能なれば國

際軍一組合の代表者達と労働関係專務とが協議し,これにても叉不讃の場合には,当該問題は會枇側

二名國際輩一組合側:二名中立議長一名の控訴委員会に提田さ幻るのてある・これによる裁定が・団

体交渉手綾として規定される最後のものとなつてV・る。而も,勢使爾者間に書翰が取り安はされて

~・つれの側も,産業上の完全な調和を実現する為に,誠意をもつて司体交泌を奨励する,’璽“両側とも

優秀な質の自動車と貨物自動車を製造する生産力を高めることが,結鳩彼等の利益になるごとを認

め識前の生産力を取願すことを希望する”旨が蓮・ら才・てV・る・C」0孫の・・1スラ陰

阯の鯛齢にして尚,かかる協力の意図が明白に述べられているのであつて・カ・つての1923年の

The Baltimore and Ohio鐵道の勢使の協力体制ついで誕生した協力委曼會が想起せらるるし・同

時に叉,1941年Th・L・ban・n Steel and l・・n…が損失に堪えかねて購を株主に告げた時に

The Steel Workers Organization Committeeが書翰を会血の役員によせて・歓点を指摘すると共

にその会肚企業を繁栄せしむべく,組合側から協力を申し出た事實が思い起される・更に・琢在では・

多敏の会齢,株主に営業報告をなす趾らす,從業購に,特にその報髄了解し易く図鰍時

には色彩を施す等の留意を佛つて迄にして作製し配布して,雇傭生産販費牧入賃銀璽當資産負債税

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一80一           茨城大學文學部紀要(社會科學)翼q3           1953.3・

金額等當該会甦企業の経螢への理解を求めて,導使両者の協力に資してv・るのである。叉,Wester五

EI㏄tric會肚のHawthorne工場にあつては, Hurnan Relationsにつv、ての考慮がより深く彿は

れているの略周知の事であつて,即ち,人事管理としての立場からではあるが,生産活動をば螢使

両静を含む関係者全体の目的追求的な集団行動であるとみて,個人接燭制PersonaヱContact Plan

産業相談Industria1 Counselling提案静度Suggestion System等を老案して,勤簿意欲の昂揚を

求め協力を檜加する配慮がなされている。かくて,米國においても,資本主義経濟枇会における当該企

業の繁栄が,経営者にも従業螢働者にも共に利釜であることを知つて,経営権と勢働権とを保持しつ

つ,団体交渉の宰続をふんで,各自の意状を主張し協議する。而もこれを順傭ならしめんが滋に充分

に協議の機長を持つ様に努りしあV・,螢働者側よりの疑問を去6信頼を高むる資料としての経営歌、

態の説明書を配り,人間関係に深い考慮を佛つて行き,封等の交渉を行うと共に協力による産業平和

を意岡する慮に,即ちかかるLabor Relationsにおいて亦,反省と寛容と妥協による,Po工itical D e-一、

mccracyに掘通じるIndustrial Democracyのその一つをみるのである。

以上,英米の勢使関係におけるDemocracyの形をみて來たが,樹一つの問題がある。即ち,英米

において産業の國有化が続く場合,これに関係する勢働組合はいかなる立揚をとるであろうか。194

4年の勢働組合会議の中間報告には,“吾人が獲得しようと欲するものは,凡ての労働者が彼自身の、

欲する自身の脅得したv・かなる仕事をも,自身の熟練とその仕事の性質に応じた賃銀率と条件にお

いて,自由に選澤することの’ll來る様にすることである”’旨が述べられて,組合側は,自由な勢働者

自身による決定を求めている。Collective Economyが進行するにつれて,勢働者と経営者側との共

同動群の行は巾る場合が益女増大して来,而も,國有化の進行と共に経営の澹當者は公共の義務を負

う人々であつて從來の贅本主義就會の経営者よりもより強V・交渉かを持つことになるであろう。し

叉,組合側も相封的に強ハ交渉力を発揮する必要が増加して※るであろう。組合員は,自己自身の潜

動に深く根を下し乍らも,高V・水準に立つて國民経濟の問題を観察し,個々の組合の問題につV・ても

亦國家的政策の限界と必要とを勘案して行動し,而も國家経済に多大の影響を及ぼして行くことを,

一層知らねばならなくなるであろう。それ故に,産業肚會にあつても亦,今迄のLabor Relationsの

おかれたそれとは異る環境におV・て,Democra(汐の主張がより強くみられて行くことになろう.23

この場合にあつても爾,現在のSoviet蓮邦の螢働組合にみるDemocracyの理念とは異つた, An一

gro-Saxon人の自由思想の基調の上に立つたDemocracyの主張がより強く続けられることと思

はれる。

〔IV〕・結語;民主主義理念の許容せらるる限界.

Democracyは,政治的な観念, Political Democracyの言爲であつて,身体の自由生命の安全幸幅の

邉求の爲に,自由で平等な人々の多敷による政治がなされることであり,思想学問艮心言論集會居住

等々の自由の保障の下に進行せしめられねばならなV・.Economic Freedomを求むるIndustrial D e・

mocracyにお・いても,Frank Tannenbaumの述べるFreedom of making all infinite variety of

decisionsやFreedorn of private judgmentを歓く~二とは出来ない。との場合the Russian Eρ一

onomyは,果して,~二れを歓》・ているであろうか。Soviet理念を基調とする限り,只この限りにおいて

※23.Roper;Trade Unionism and the New Sbcia10rder.関嘉彦氏繹.鞭組合運動と薪

肚會秩序.第七章・

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高木臼完:De皿㏄racアとLabor R・1atlon9・          -81一

は,Soviet蓮邦の生産経済杜会及びその機溝の中に樹自由が存在し,個々人の意図が盛られ,同様に,

Soviet RussiaのLabor Reiationsも又, Democraticなものであると見ることが出來る。英米の

経済肚會,螢働関係乃至は努使関係も,高度にDemocrat三cなものであることは言をまたな》・。

しかし,Soviet RussiaにおV・て,共産就会の實現を求むることにあせりすぎて・Soviet理念の

強調から過度に個人の自由を圧迫し批判の自由を奪う、限りにおV・ては・Dem㏄racyは牽制され続

けらるるものである。螢働組合の自由も,労使関係におけるDemocracyも・抑圧されつづけるもの

である。  又資本主義経済耐会が,個々の企業の存続襲展にあせり過度に利潤の追求蓄積にのみ

あせる限り,勢使樹立の街更の激化をもまねぐこととなる.Labor Relaticnsにおいても・Intra-U一

nion Demccracyはたとv・順調に進行しても,Wagner法の後にTaft-Hartley法を生む経螢者の意

欲や國内政治情勢は,やがては,いかに冷却期間(coolfn墓off)を設けても却つてストライキを醸成

して行くにすぎぬ結果を生むことになりはしなv・か・叉・Unio薮一Mana墓ement Cρ{operationにし

ても,経済枇会の政策や運営に反省のない限り,その温健な勢働組合も・永久に企業家側と協調的で

あり得るか否か。臓dicalsを内に育成せしめて行くことがなv・ものか。 Co丘cjliato琢typeの企業

者が,資本蟻経離会にあつての企業者経営者である限り・いかなる程度まで綱組合と協調し・

産業亭和を実現し,企業努力をば期待し得るものか。かくて・企業の存続と獲展とを願う限りにおい

て,螢働者側を圧迫しがちになる可能性も亦存在する。

                   ’「つれにせよ,Democracyは“無限の種類に亘る決とをなすことの自由”“個々入の判断の自由’・

を要求する.  Soviet理念が,勢働組合や勢使関係を・lii⊥会主義仕会建設の目的意識に於てのみ

老慮して,納得し了解つるをまたすに1固々人の自由を牽制するなれば・これは・anti-de皿ocratic乃

至はautocraticなものと云はねばならなV・であろう。資本主i義経濟砒會の一般人や経営者も・その

歓点を反省し改艮することに努力しなv・で,一方的な見鱈からのみDernoし一acyを主張して・かかる

立場からLabor Relationsにも関心するなれば・所詮・労資關係の紛争を越少せしむべく期待するこ.

とは困難であろう。Democra(7は反省と寛容とを忘れないAutonomyを要素とする。今こ~二に

Economic Freedomに關蓮しての英米の Democracy及びこの民主主義理念との関係たおいての

Labor Relations,叉,同じ見解関蓮におv・てのSoviet遽邦のDemocracy及びL飴or Relationsの

性格と現實とを分析比較して來たが,両者のV・つれの場合にも,只各々一方のみの観黙に立つて主張

し,申庸moderationを忘れるなれば,民キ的なものなるべしとしてとりあぐる政治や乃至はこれ

に伴う一般経済の就会に於て胴様であろうカ’,殊にここに問題とつる鞭関係鞭関係に於ても

亦,産業民主主義Industrial Democracyの一つの現れとしての混乱の少V・推移を期待することは

難かしV・であろう。