「輸血検査における標準手順書」 その他 検査編...hemolytic anemia;...

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愛知県臨床検査標準化ガイドライン 「輸血検査における標準手順書」 その他 検査編 直接抗グロブリン試験 抗体価測定 カラム凝集法 マイクロプレート法 第3版 2020年3月 愛知県臨床検査標準化協議会 AiCCLS : Aichi Committee for Clinical Laboratory Standardization

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愛知県臨床検査標準化ガイドライン

「輸血検査における標準手順書」

その他 検査編 直接抗グロブリン試験

抗体価測定

カラム凝集法

マイクロプレート法

第 3 版

2020年3月

愛知県臨床検査標準化協議会 AiCCLS : Aichi Committee for Clinical Laboratory Standardization

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発刊によせて

愛知県臨床検査標準化協議会

会 長 市 川 朝 洋

近年、働き方改革が注目を浴びるなか、大幅な長時間労働を強いられている医師から他の医療職へ

のタスク・シェアのあり方が検討されています。特に、臨床検査技師には今まで以上に臨床に係る機

会を増やし、より一層「チーム医療」に貢献することが求められています。

過誤が患者に重大な影響を及ぼしかねない輸血療法においては、臨床検査技師の輸血関連検査結果

に基づく情報提供などは、医師が安心して輸血実施をするうえで大変重要な部分を占めています。最

近の輸血関連検査は、カラム凝集法などの新しい検査法が主流となりつつあり、それに伴って多くの

施設で自動化が進んでいます。しかし、多くの施設において輸血関連検査担当者は他部門との兼務が

認められ、認定輸血検査技師など輸血検査に精通した技師も少ないことにより、十分な輸血関連検査

に関する教育を実施することができない現状が伺えます。

これまで愛知県臨床検査標準化協議会では、どの医療機関でも同じ質の検査を行えることを目指

し、標準手順書を出版してきました。輸血関連検査については 2009年 11月に第1版、2014年

3 月に第2版を出版しました。

このような状況を踏まえ、今回の第 3 版では、従来の試験管法のみならず、カラム凝集法やマイ

クロプレート法に関しても記載する大幅な改訂が行われました。また、標準的な用手法に関しては、

指導者がいない施設においても手技を確認できるように、動画を作成し公開することといたしまし

た。

この標準手順書が、新たに輸血業務に携わる皆様にとって手技の習熟の一助となることを期待して

います。また既に携わっている皆様には、ご自身の手技の再確認に活用していただき、輸血関連検査

の標準化に寄与することを願っています。

2020 年1月

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はじめに

2014年に「輸血検査における標準手順書(第2版)」が出版された。それから5

年が経過し、科学的根拠に基づく製剤使用のガイドラインをはじめ、数多くのガイ

ドラインや指針、書籍が関連学会から発行されている。

今回、「輸血検査における標準手順書(第3版)」を発行するにあたり、内容を見直

し大幅な改訂を加えた。改訂のコンセプトは、世間で情報があふれる中「輸血医療

に深く関わらない臨床検査技師、看護師、医師が手に取りやすい手順書」とした。

イラストや表を多用し、不慣れな方にとっても親しみやすい手順書を目指した。プ

ラスαの情報は、Note(コラム)で掲載した。そして、今回から本文中にQRコー

ドを記載し、動画で検査方法を確認できるようにした。本書の補助として動画を利

用いただければ幸甚である。

また、改訂に伴い、ページ数が増大したことから、日常業務中でも手に取りやすい

よう3部構成へと変更した。第1部「基本操作・血液型編」、第2部「不規則抗体・

交差適合試験編」、第3部「その他検査編」とし、利用者が今知りたい情報にアクセ

スしやすいよう配慮した。

本書の位置付けは、日常業務で最初に手に取るテキストである。検査の際に手元に

置いてすぐに必要な情報を確認でき、問題解決の一助になることを期待している。

この手順書が輸血検査の標準化を実現し、安全な輸血医療の実践につながり、ひい

ては県民の健康に貢献できることを願っている。

2019年12月

愛知県臨床検査標準化協議会

実務委員会 輸血検査部門

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目 次

Ⅰ. 直接抗グロブリン試験 1

1. 直接抗グロブリン試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2. 抗体解離試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

3. 自己抗体吸着法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10

Ⅱ. 抗体価測定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

1. 測定法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

2. 結果の解釈・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

3. IgMと IgGの鑑別・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

Ⅲ. カラム凝集法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18

1. 血液型検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

2. 間接抗グロブリン試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

Ⅳ. マイクロプレート法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

1. 直接凝集法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

2. 固相法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

Ⅴ. 参考文献 36

Ⅵ. 動画リンク 38

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Ⅰ. 直接抗グロブリン試験

直接抗グロブリン試験(direct antiglobulin test; DAT)は、生体内で赤血球が免疫グロブリンや

補体に感作されているか否かを判断するために用いられる。自己免疫性溶血性貧血(autoimmune

hemolytic anemia; AIHA)、胎児・新生児溶血性疾患(hemolytic disease of the fetus and

newborn; HDFN)、不規則抗体に起因する溶血性輸血副作用 (hemolytic transfusion reaction ;

HTR)の診断に有用である。また、薬剤起因性溶血性貧血でも陽性反応を呈する場合がある 1)。

1. 直接抗グロブリン試験

1) 操作(図1)

(1) 検体は 1,200g(3,000rpm)5分間遠心する。

(2) 識別番号を明記した試験管に生理食塩液を約1mL 分注し、(1)の

管底から採取した赤血球沈層を 1滴滴下し、3~5%患者赤血球浮

遊液を調整する。

(3) 試験管を 2本(DATと対照)用意し、それぞれ識別番号を記載する。

(4) (3)の試験管に(2)の患者赤血球浮遊液を 1滴ずつ滴下する。

(5) 生理食塩液で 3~4回洗浄する。最終洗浄後の生理食塩液は完全に除去する。

(6) DATの試験管に多特異抗ヒトグロブリン試薬を、対照の試験管に生理食塩液をそれぞれ 2

滴滴下する。

(7) 900~1,000g(3,000~3,400rpm)15秒間遠心し、判定する。

(8) DATの試験管が陰性であった場合は、IgG 感作赤血球を 1滴滴下し、再遠心後凝集がある

ことを確認する。

DATに用いる検体

試験管内の補体活性化を防ぐため、脱カルシウム作用を有する抗凝固剤(EDTA やクエン酸塩)

で採血した検体が望ましい。

冷蔵庫で保存した検体は寒冷凝集素とともに補体が感作されることがあり、生体内の反応なの

か区別ができなくなるため、原則使用しない 1)。

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2) 判定 1)

以下に DATの結果と判定方法を示す(表1)。

表1.直接抗グロブリン試験の結果と判定方法

DAT 対照(生理食塩液) 判定

反応結果

0 0 陰性

+ 0 陽性

+ + 判定保留

DAT試薬:多特異抗ヒトグロブリン試薬

IgG 感作赤血球添加後の反応が陰性の場合は再検査を実施する

3) 結果の解釈

DATが陽性になる原因は様々であり、必ずしもすべてに臨床的意義があるわけではない。まず患

者の溶血所見の有無を確認する。溶血所見が認められる場合には、患者情報を考慮し、生体内の赤

血球に抗体や補体が結合した原因と溶血の関連性を証明する必要がある。

溶血所見がない場合には、DAT の臨床的意義は低い。健常者でも IgG や補体の結合がみられ、

DATが陽性になることがある。DAT陽性の場合には、自己抗体に隠れている不規則抗体の有無を

確認することが重要である 1-3)。

4) DAT陽性時の追加検査(図2)

DAT 陽性は生体内の赤血球に免疫グロブリンや補体が結合していることを示す。免疫グロブリ

ンか補体のどちらが結合しているかを判別するため、それぞれの特異的試薬である抗 IgG 試薬と

抗補体試薬を用い、赤血球凝集の有無を判定する。赤血球に結合しているものが溶血の原因となる

抗 IgG抗体を含む場合には、抗体解離試験を実施し、抗体の特異性の有無を確認する。

抗体の結合が少量のときには DAT 陰性と判定される場合もあるため、溶血性貧血が疑われる際

には、DAT陽性時と同様に抗体解離試験を実施する 2)。

溶血の指標 3)

血漿(血清)の色調を確認する。

さらに以下に示すような指標の変化から溶血を推定する。

増加↑ 間接ビリルビン( I-Bil )、乳酸脱水素酵素( LD )、網赤血球数

減少↓ ヘモグロビン濃度およびヘマトクリット、ハプトグロビン

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図1. 直接抗グロブリン試験

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図 2. 直接抗グロブリン試験陽性時の追加検査

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5) DAT陽性の原因 3)

(1) 不適合輸血による溶血性輸血副作用(HTR)

(2) 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)

(3) 胎児・新生児溶血性疾患(HDFN)

(4) 薬剤起因性溶血性貧血(drug-induced immune hemolytic anemia; DIIHA)

(5) 移植臓器内のドナー由来リンパ球により産生された抗体

(6) 投与されたγグロブリン製剤の抗体

6) DAT陽性時の追加検査と結果解釈フローチャート

DAT陽性時の追加検査結果から考慮される病態(表 2)と、主要な反応(図3)を示す。

表2.DATの反応結果と考慮すべき病態 1, 4)

抗 IgG 抗補体 対照 典型的な病態

反応結果

+ 0 0

自己免疫性溶血性貧血

遅発性溶血性輸血副作用

胎児・新生児溶血性疾患

薬剤起因性溶血性貧血など

+ + 0 自己免疫性溶血性貧血など

0 + 0 ~ +

発作性寒冷血色素尿症

薬剤起因性溶血性貧血

寒冷凝集素症など

図3.DAT陽性時の結果解釈(主要な反応)2, 3, 5, 6)

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溶血性輸血副作用(HTR)とは?

免疫学的な原因と非免疫学的な原因により発症する。免疫学的な原因では、輸血後 24 時間

以内に発症するものを急性溶血性輸血反応(acute hemolytic transfusion reaction;

AHTR)、輸血後 24時間以上経過してから発症するものを遅発性溶血性輸血反応(delayed

hemolytic transfusion reaction; DHTR)と分類する。患者血漿中に輸血した赤血球と反応

する抗体が存在する場合に起こり、DATが陽性となる 3, 7)。

免疫学的 AHTR DHTR

発症時間 輸血後 24時間以内 輸血後 24時間以降

主な溶血場所 血管内溶血 血管外溶血

主な原因 ABO不適合輸血 二次免疫応答による

IgG 同種抗体の増加

非免疫学的(AHTR) 溶血の状況

過加温血 過加温による赤血球膜障害による溶血

過冷却血 過冷却による赤血球凍結と融解による溶血

過加圧血 細い輸血針や高速輸注時の過加圧による溶血

体外循環(人工心肺) 過圧迫、過陰圧吸引、異物接触、摩擦、温度差による溶血

薬剤混注 各種薬剤との混注で浸透圧の違いによる溶血、血液凝固

細菌汚染血 溶血毒素をもつ細菌による溶血

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遅発性溶血性輸血反応と二次免疫応答

遅発性溶血性輸血反応(DHTR)3)

直近の輸血後に溶血所見を認める場合に疑う。過去の輸血や妊娠により同種抗体を産生

しても、抗体価が検出感度以下に低下している可能性がある。そのため、輸血前に実施し

た不規則抗体スクリーニングで DHTR の原因となった同種抗体を検出できないことがあ

る。直近の輸血により再び抗原刺激を受けることで抗体価が急速に上昇し、輸血した対応

抗原陽性の供血者赤血球に同種抗体が結合し、HTRを引き起こす。この場合、通常、患者

赤血球から解離した解離液中に患者血漿中の不規則抗体と同じ特異性の同種抗体が検出さ

れる。また、不規則抗体の見逃しによる不適合輸血も DHTRの原因となるため、DATの

結果、解離液中抗体の同種抗体の特異性、可能であれば患者血液型の結果を考慮する必要

がある。なお、HTRの原因解析において、DAT陰性であっても抗体解離試験を実施し、

原因抗体の検出に努める。

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2. 抗体解離試験

1) 抗体解離試験の目的

DAT 陽性赤血球に結合している同種抗体や自己抗体を解離し、解離液中の抗体特異性を同定

することと、処理赤血球を用いて血液型抗原の検査や血漿(血清)中の自己抗体の吸着を行う

ために実施する8)。

2) 抗体解離法の種類と特徴8)

抗体解離法にはいくつかの種類があり、その特徴を理解して検査を行う必要がある。以下に抗

体解離法の種類と特徴を示す(表3)。

表3.抗体解離法とその特徴

方法

熱 有機溶媒 酸 その他

熱解離法 DT解離法 グリシン・塩酸

/EDTA解離法

クロロキン解離

目的

解離液(抗体)

検査

主に IgMの

解離

主に IgGの

解離

主に IgGの

解離 ×(不可)

血液型検査 ×(不可) ×(不可) 〇ただし

Kell 抗原変性

〇ただし

Bg抗原変性

自己抗体吸着 ×(不可) ×(不可) 〇 〇

温度 56℃ 37℃ 室温 室温

特徴

抗 A・抗 B試薬を用い

た吸着解離試験に利用

解離液は容易に回収

可能

解離赤血球と解離液

の両方を検査可能

解離赤血球のダメ

-ジが少ない

注意点

解離操作後、温度が下

がらないよう注意

解離液は暗赤色、

発がん性があるため

規則に従う義務あり

反応時間は約2分間

の短時間のため注意

反応時間は最大

2 時間以内のため

注意

3)操作

(1)熱解離法(Landsteiner&Miller の熱解離法)8)

① 患者赤血球を 5~6回十分に洗浄する。最終洗浄液は取っておき、陰性対照として検査に

用いる。

② 試験管に洗浄患者赤血球沈層と生理食塩液を1:1の容量を分注し、緩やかにゆっくりと

混和する。

③ 56℃に設定した恒温槽で 10 分間加温する(加温中は定期的に攪拌・混和)。

④ 試験管を 900~1,000g(3,000~3,400rpm)2~3 分間の条件で遠心する。

⑤ 遠心後、迅速に試料の上層(解離液)を別の試験管に分離し検査を行う。

⑥ 正しく抗体解離が行われているか確認するために①の最終洗浄液を陰性対照として一緒

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に検査する。

(2) DT解離法(ジクロロメタン・1,2-ジクロロプロパンを用いた解離)8)

① 患者赤血球を生理食塩液で 3 回以上十分に洗浄し、最終洗浄後は可能な限り上清の洗浄

液を除去する。

② ガラス製の試験管に洗浄赤血球沈層と生理食塩液を 1:1の割合で分注する。

③ ②の混合液と等量になるように DT試薬を加え攪拌する。

④ ミキサーで約1分間撹拌、または栓をして手を用いて激しい混和をする。

⑤ 栓を外して 37℃に設定した恒温槽で 5分間加温する。

⑥ 試験管を 900~1,000g(3,000~3,400rpm)5分間遠心する。

⑦ 遠心後、最上層(解離液)を別の試験管に分離し、検査を行う。

⑧ 正しく抗体解離が行われているか確認するために①の最終洗浄液を陰性対照として一緒

に検査する。

(3) 酸解離法(グリシン・塩酸/EDTA解離法)8)

① 患者赤血球を生理食塩液で 6 回十分に洗浄する。患者検体は EDTA を用いて採血した

検体が望ましい。最終洗浄液は取っておき、陰性対照として検査に用いる。

② 別の試験管で、10% EDTA 溶液 5 容量と 0.1mol/L グリシン・塩酸 20 容量を混和

し、グリシン・塩酸/EDTA溶液として調整する。

「容量」という表現は、割合を示すものであり「5容量と20容量で混和する」という意

味は1:4の割合になるように混和することと同義である。

③ ①の赤血球沈層 10容量に、②を 20容量加えて静かに混和する。

④ 室温で 2 分間反応させる。

⑤ 1mol/L トリス/NaCl溶液 1容量を加え混和する。

⑥ 試験管を 900~1,000g(3,000~3,400rpm)で 2 分間遠心する。

⑦ 上清を別の試験管に分離し、抗体同定検査を行う。正しく抗体解離が行われているか確

DT試薬の注意点 8)

DT 試薬に含まれるジクロロメタンおよび 1,2-ジクロロプロパンは特定化学物質に指定さ

れており、取り扱いに注意を要する。発がん性、吸入・飲み込みの有害性、アレルギー性皮膚

反応などの危険性の報告がある。引火性があり、火気や発熱物の付近での使用にも注意が必要で

ある。暴露防止として、マスク、手袋、保護メガネなどを用いて直接の接触を避け、長時間の吸

入も避ける。事業主は、特定化学物質を取り扱う者に対して、特定化学物質健康診断を定期的に

実施しなければならない。

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認するために①の最終洗浄液を陰性対照として一緒に検査する。

⑧ 処理赤血球を生理食塩液で 4~5回十分に洗浄し、DATにて反応性を確認する。陰性で

あれば、血液型検査や自己抗体の吸着に用いることができる。

(4) クロロキン解離法

① 患者赤血球を生理食塩液で3回以上十分に洗浄する。

② 別の試験管に上清を完全除去した赤血球沈層1容量とクロロキン二リン酸塩溶液4容量

を加え十分に混和する。

③ 室温(23℃±3℃)で最長 120 分まで反応させる。

30 分間隔で処理中の赤血球の一部を採取し、生理食塩液で 3回以上洗浄後、DATにて

反応性を確認する。

④ DATが陰性化したら、処理赤血球を生理食塩液で 3回以上洗浄し、血液型検査や自己抗

体の吸着に用いることができる。

3.自己抗体吸着法

1) 自己抗体吸着法の目的

血漿(血清)中に温式自己抗体が存在する場合、臨床的意義のある同種抗体の有無を確認するこ

とが困難となる。そのため、自己抗体を取り除いた血漿(血清)を用いて臨床的に意義のある同

種抗体の有無を確認する必要がある。自己抗体を取り除くために自己抗体を吸着する 9)。

2) 自己抗体吸着法 9)

(1) ポリエチレングリコール(polyethylene glycol; PEG)を用いた自己抗体吸着法

① 患者血漿(血清)を 1,200g(3,000rpm)で 5分間遠心分離後、患者赤血球を生理食塩

液で3~5回洗浄する。

② 洗浄した患者赤血球沈層 1mL に患者血漿(血清)1mL と PEG溶液1mL を加えて混和す

る。

③ 37℃で 15分間加温する。

④ 900~1,000g(3,000~3,400rpm)で 5分間遠心して上清を分取する。

⑤ 分取した吸着後の血漿(血清)を用いて不規則抗体検査を行う。

⑥ パネル赤血球の本数の試験管に吸着後の血漿(血清)を 4滴ずつ各試験管に滴下する。

⑦ パネル赤血球を各試験管に各 1滴ずつ滴下する。

⑧ 37℃で 15分間加温後、間接抗グロブリン試験で判定する。

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(2) ZZAP処理自己赤血球を用いた自己抗体吸着法

① ZZAP試薬溶液を調整する。

「1% フィシン」 0.4mL 「1% パパイン」 0.2mL

「0.2M DTT」 1.0mL もしくは 「0.2M DTT」 1.0mL

「pH7.3 PBS」 0.6mL 「pH7.3 PBS」 0.8mL

② 患者赤血球沈層 1mL に ZZAP試薬溶液 2mL を加えて混和する。

③ 37℃で 30 分間加温する。

④ 生理食塩液で 3~5回洗浄して吸着用赤血球とする。

⑤ 洗浄した吸着用赤血球沈層に患者血漿(血清)1mL を加えて混和する。

⑥ 37℃で 30~40 分間加温する。

⑦ 900~1,000g(3,000~3,400rpm)で 5分間遠心して上清を採取する。

⑧ パネル赤血球の本数の試験管に吸着後の血漿(血清)を 2滴ずつ各試験管に滴下する。

⑨ パネル赤血球を各試験管に 1滴ずつ滴下する。

⑩ PEG溶液を各試験管に 2滴ずつ滴下する。

⑪ 37℃で 15分間加温後、間接抗グロブリン試験を行う。

自己抗体吸着法の注意点 9)

① 同種抗体の一部も自己抗体とともに除去してしまう危険性を指摘する報告もある。

② 吸着時の反応温度を 4℃にすることで冷式自己抗体を吸着することもできる。

③ 間接抗グロブリン試験を行う際、吸着時に PEGが含まれているため、PEG溶液の添加は不

要である。吸着後血漿(血清)の残余を用いてさらに吸着操作が必要となる場合は、新たな

PEG溶液の添加は不要である。

PEGを使用するので、抗ヒトグロブリン試薬は抗 IgGを使用する。

④ 間接抗グロブリン試験の際は PEGが含まれていることを考慮して血球洗浄(4回)を行う。

⑤ 過去 3 ヵ月以内に赤血球輸血を受けた患者は、自己赤血球を使用した自己抗体吸着法は実

施できない。

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3) 温式自己抗体保有時の輸血赤血球製剤選択 10)

温式自己抗体保有する場合、交差適合試験で汎凝集となり適合血を得ることは難しい。よって、温

式自己抗体を保有する場合は以下の考え方で適合血を選択する(表4)。

製剤選択における優先準備とその目的を理解することは、製剤選択に有効である(表5)。

表4,温式自己抗体保有時の輸血赤血球製剤選択

患者の

Rh表現型 溶血所見 同種抗体

自己抗体の

特異性

輸血赤血球の選択

通常 輸血効果なし

D+C+c-E-e+

(非 AIHA)

無 考慮しない

不要

新たな同種抗体

に対する

抗原陰性血

有:抗 E E-

(AIHA)

無 無 (汎反応性のみ)

D+C+c-E-e+

(患者と同型)

有:抗 E

無 有

(汎反応性+抗 e)

E+e-

有:抗 E

赤血球型検査(赤血球系検査)ガイドライン改訂 2 版より一部改変引用

表5.温式自己抗体保有時の製剤選択の優先順位と目的 10)

輸血赤血球を選択する上での優先順位 目的

1 同種抗体の有無 溶血性輸血副作用の防止

2 Rh表現型の一致/適合 AIHA 患者の同種抗体産生防止

3 自己抗体の特異性 AIHA 患者の輸血効果

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Ⅱ.抗体価測定

抗体価測定は、血液型不適合妊娠、ABO不適合臓器移植、ABO不適合造血幹細胞移植の治療介入の

判断や血漿交換療法などの治療効果判定、幹細胞の生着や副反応の有無を知る一助となる。また、高力

価-低凝集性(high-titer low-avidity; HTLA)の特徴をもつ不規則抗体の同定に有用である。抗体価

は抗体濃度を測定する半定量法であるため、その力価を評価する場合には測定方法を統一する必要が

ある。

IgG型の抗体価測定には、原則として反応増強剤無添加の間接抗グロブリン試験を用いる11)。

1. 測定法

1)操作法11)(図4)

① 希釈系列作製用および検査用試験管を準備する。それぞれ識別番号を明記

する。

② 希釈倍率1:1に被験血漿(血清)100mLを分注する。

③ 希釈系列作製用試験管に生理食塩液100mLと被検血漿(血清)100mL

を分注し、2倍連続希釈を行う。

④ 3~5%対応抗原陽性赤血球浮遊液を50μLずつ加え、反応増強剤無添加-間接抗グロブリン

試験を行う。37℃60分間の加温時に時々混和する。

⑤ 生理食塩液で3~4回洗浄後、抗ヒトグロブリン試薬を2滴滴下し遠心判定する。

⑥ 陰性を呈した試験管にIgG感作赤血球を1滴滴下後遠心し、凝集することを確認する。

抗体価測定の注意点

① 抗体価は希釈操作や凝集判定に個人差があるため、誤差が生じやすい。

② キャリーオーバーによる測定誤差を防止するため、希釈系列を作製する際は清潔なピペッ

トチップを用いる。試験管内容物をよく混和して、次の試験管に加える。また希釈系列ご

とにピペットチップは交換する12)。

③ 使用する同じ表現型の指示赤血球(抗原がヘテロ接合体のもの)を用い、検査者間のテク

ニックや指示赤血球の抗原性などによる誤差を考慮し、前回の測定に用いた検体(凍結保

存)を同時に測定するのが望ましい。

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図4-1. 抗体価測定法

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図4-2. 抗体価測定法

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2. 結果の解釈

抗体価は1+の凝集を示す最大希釈倍数とする。スコアはw+の凝集まで付け、その和を求める11)。

「基本操作・血液型編 」(3〜4頁)を参照。

3. IgMとIgGの鑑別11)

血液型不適合妊娠の原因抗体が、抗Aや抗B、抗M等の場合には、その抗体にIgMのみならずIgG成

分が含まれているか確認する必要がある。そのために患者血漿(血清)を2-メルカプトエタノール

(2-ME)やジチオスレイト-ル(DTT)で処理し、IgM成分を減弱又は失活させ、IgG成分の抗体

検出を行う。

1) DTTによる処理方法

(1) 0.01M DTTの調製(失活しやすいので用時調整)

DTT 0.154gをリン酸緩衝生理食塩液(PBS)(pH7.3)100mLで溶解する。

(2) DTT処理血漿(血清)と未処理血漿(血清)の作製

① DTT処理血漿(血清):被検血漿(血清)と0.01M DTT を1:1の容量でよく混和し、

37℃30〜60分間反応させる。

② 未処理血漿(血清):被検血漿(血清)とPBS(または生理食塩液)を1:1の容量でよく

混和し、37℃30〜60分間反応させる。

(3) 免疫グロブリンクラスの鑑別

未処理血漿(血清)を対象にDTT処理血漿(血清)を用いて抗体価測定を行う。この際、

処理血漿(血清)は2倍希釈されていることを念頭に検査を行う。

2) 2−MEによる処理法

(1) 0.2M 2-MEの調整(失活しやすいので用時調整)

PBS(pH7.3)98.6mLと2-ME 1.4mLを混和する。

(2) 2-ME処理血漿(血清)と未処理血漿(血清)の作製

① 2-ME処理血漿(血清):被検血漿(血清)と0.2M 2-MEを1:1の容量でよく混和し、

室温で1〜2時間反応させる。

② 未処理血漿(血清):被検血漿(血清)とPBS(または生理食塩液)1:1の容量でよく

混和し、室温で1~2時間反応させる。

(3) 免疫グロブリンクラスの鑑別

未処理血漿(血清)を対象に、2-ME処理血漿(血清)を用いて、抗体価測定を行う。この

際、処理血漿(血清)は2倍希釈されていることを念頭に検査を行う。

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妊婦の抗体価検査 13)

① 血液型不適合妊娠が疑われる症例では、母のIgG型抗A、抗Bの抗体価が512倍以上のと

きに、またRhD血液型母児不適合妊娠が疑われる症例では16倍以上の時に胎児新生児溶

血性疾患(HDFN)のリスクが高まると考えられている8)。

② 母親が不規則抗体を保有している場合、分娩まで定期的に抗体価測定を行い経過観察する

必要がある。抗体価が上昇した場合には主治医に報告する。

③ 不規則抗体を保有する妊婦の抗体価検査には、対応抗原がヘテロ接合体の赤血球を使用す

る。時系列変化を見るため、抗体価検査では同一赤血球もしくは同様の表現型の赤血球を

用いることが望ましい。検査後の血漿を凍結保存し、次回検査時に同時に検査を行うこと

で精度の確認を行うことができる。

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Ⅲ.カラム凝集法14, 15)

カラム凝集法(column agglutination technology; CAT)は輸血検査の自動化として、国内で

は最も多く利用されている方法である。カラム凝集法は、試験管法と同様に赤血球凝集反応に基づ

いた原理である。

凝集反応は専用のマイクロカラムチューブに充填されたデキストランゲルあるいはガラスビーズ

内で観察される(図5)。

1.カラム凝集法

1) 原理(図5)

(1) 抗原抗体反応…赤血球浮遊液(抗原)と血漿(抗体)の

反応をカラム内で行う。

(2) フィルター効果…凝集塊の大きさに準じてゲル(ビーズ)

槽の上部から中間部に捕捉され、非凝集赤血球と凝集赤

血球をゲル(ビーズ)にて分別する。

(3) 比重勾配分離法…血漿、抗ヒトグロブリン試薬、赤血球

の比重の違いを利用し分離する。

2)フィルター効果(図6)

(1) 抗原抗体反応陰性の非凝集赤血球は、カラム遠心によ

りゲルまたはガラスビーズの隙間を通過しカラム底部

に沈殿する。

(2) 抗原抗体反応陽性の凝集赤血球は凝集塊の大きさに準

じてカラム遠心によりカラム内の上層部~下層部でゲ

ルまたはガラスビーズに補足される。

(3) 上記のように非凝集赤血球と凝集赤血球をゲルまたは

ガラスビーズで分別する原理をフィルター効果(ふる

い効果)という。

3)比重勾配分離法(図 7)

(1) カラム凝集法の間接抗グロブリン試験(IAT)は低イオン強度溶液・間接抗グロブリン試

験(LISS-IAT)を原理としている。

(2) カラム中のゲル(ビーズ)槽は抗ヒトグロブリン試薬で充填されているが、比重は血漿(血

清)と赤血球の中間付近(中間比重)に調整されている。

(3) 緩やかにカラムを遠心することで赤血球と血漿(血清)の混合液は抗ヒトグロブリン試薬

の上部に重層される。

図5.カラムの構造

図6.フィルター効果

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(4) さらに遠心することで、比重の関係により、血漿(血清)は抗ヒトグロブリン試薬の界面

を超すことが出来ず、赤血球は抗ヒトグロブリン試薬の界面の下に沈み込む。

(5) 赤血球に抗体が結合していれば、抗ヒトグロブリン試薬により凝集を起こし、カラム槽内

に凝集の大きさに応じて、上層から下層へ順次捕捉される。

4)特徴

(1) 試験管法に比べ判定が容易である。

(2) 反応像が安定であり客観性に優れている。

(3) 抗グロブリン試験の洗浄操作が不要である。

(4) 測定感度は試験管法とほとんど変わらないが、血液型検査のウラ検査では試験管法に比べ

反応が弱い場合がある。

(5) 判定および分注作業において自動化が可能である。

(6) 試験管法と比べランニングコストがかかる。

(7) 試験管法と比べフィブリン析出の影響を受けやすい。

(8) 部分凝集の判定が明瞭である。

(9) 直接抗グロブリン試験(DAT)や自己対照が試験管法に比べ陽性になりやすい。

5)判定

カラム凝集法の反応像と判定を次に示す。(表6)

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表6.カラム凝集法の反応像と判定

反応像 反応強度 判定

ほとんど全ての血球がバンド状にカラム上面に残る。また、極めて微量の血

球がカラム底部に見られることがある。

4+

陽性

凝集した血球の多くは主としてカラム上半部に観察される。また、少量の血

球がカラム底部に見られることがある。

3+

凝集した血球がカラム全体に観察されると同時に、おおむね半数の血球がカ

ラム底部に見られる。

2+

多くの血球がカラム底部に見られ、かつ比較的小さな凝集塊がカラム中に散

見される。

1+

ほとんど全ての血球がカラム底部にボタン状に沈殿しており、カラム中には

凝集塊は形成されない。ただし、極めて微量の血球がカラム上部およびカラ

ム中に痕跡程度に線状や点状に見られることもある。 0 陰性

陽性と陰性の中間に分類される。この場合、非常に弱い反応が検出されてい

る可能性や遠心などの操作が不適切であった可能性が考えられる。

± 判定保留

混合血球等の場合、強く凝集した血球がカラム上面にバンドを形成すると同

時にカラム底部には凝集しない血球がボタン状に沈殿している。MF、DCP、

DPはすべて部分凝集を示す。(メーカーにより表現が異なる)。Mixed field

agglutination; mf, double cell population; DCP, DP

MF

DCP

DP

部分凝集

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2.血液型検査

1) 操作15)

一般的な検査法を示す。原則として用いる試薬の添付文書に従って実施する。

(1) 患者検体を1,200g(3,000rpm)5分間遠心し、識別番号を明記した試験管等別の容器

に患者血漿(血清)を分取し、赤血球沈層と分離する。

(2) (1)で分離された赤血球沈渣より赤血球浮遊液を作成する。

(3) 使用する血液型カードに識別番号を明記する。

(4) 血液型カードオモテ検査用カラムと抗Dおよびカセットコントロール用カラム反応槽に

赤血球浮遊液を分注する注1。

(5) ウラ検査用カラム反応槽にウラ検査用赤血球試薬(A1赤血球試薬、B赤血球試薬)をそ

れぞれ分注し、赤血球が入ったカラム反応槽に被検血漿(血清)を分注する注2。

(6) カード専用遠心機で遠心し、凝集の有無および凝集の強さを判定する。

上記に関して、希釈液、赤血球浮遊液濃度、分注量、加温条件、遠心条件はメーカー添付

文書に従う。

注1 赤血球を分注する際はピペットを斜めにし、チップ先端を反応槽側壁に向けてゆっく

り分注する。

注2 血漿(血清)を分注した後は混和されていることを確認する。混和は血漿(血清)を勢

いよく分注する。

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3.間接抗グロブリン試験

1) 操作15)(図7)

(1) 患者検体を1,200g(3,000rpm)5分間遠心し、識別番号を明記した試験管等の別容器

に患者血漿(血清)を分取する。

(2) 使用する抗グロブリン試薬添加カードに識別番号を明記する。

(3) 反応増強剤(LISS)と赤血球試薬もしくは供血者赤血球浮遊液、またはLISS浮遊赤血球試

薬もしくは供血者赤血球浮遊液をカラム反応槽に分注する注1。

(4) 被検血漿(血清)をカラム反応槽に分注する注2。

(5) 37℃加温後、カード専用遠心機で遠心し、凝集の有無および凝集の強さを判定する。

上記に関して、供血者赤血球浮遊液の希釈液、希釈濃度、分注量、加温条件、遠心条件はメ

ーカー添付文書に従う。

注 1 赤血球試薬もしくは供血者赤血球がカラム内の抗グロブリン試薬と接触しないように

エアギャップ(空気層)を形成するように注意する。

注 2 被検血漿(血清)がカラム内の抗グロブリン試薬と接触しないようにエアギャップ(空

気層)を形成するように注意する。

エアギャップとは?14, 15)

間接抗グロブリン試験(IAT)を行う際に、抗ヒトグロブリン試薬と患者血漿(血清)が接触

しないようにするための空気の層(エアギャップ)を形成する必要がある。

エアギャップが形成されないと患者血漿(血清)と抗ヒトグロブリン試薬が反応し、

偽陰性を引き起こす可能性がある。

また、患者の正常異種抗体と試薬の構成成分が反応することで免疫複合体を形成し、

偽陽性反応を呈する可能性がある。

上記より、カラム凝集法における IATではエアギャップ形成は必須である。

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図 7. カラム凝集法による不規則抗体スクリーニング(オーソ社 ビーズカラム)

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分注のポイント

赤血球試薬(あるいは赤血球浮遊液)と血漿を反応層に分注した後

は、指で10回ほどなぞって混和する。

反応槽に分注した液体とカラム下層の試薬が遠心前に反応しないよ

う、エアギャップ(空気層)ができるようにする。

図8. カラム凝集法による不規則抗体スクリーニング

(バイオ・ラッドラボラトリーズ株式会社/株式会社カイノス ゲルカラム)

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4. カラム凝集法で見られる異常反応

カラム凝集法では、測定原理の違いから試験管法とは異なる反応像に遭遇することがある。カラ

ム凝集法でみられる主な異常反応に原因(表 7)および反応例と対処法(表8)を示す。

表7.カラム凝集法でみられる異常反応の原因

偽陽性 偽陰性 部分凝集

フィブリン析出

クリオグロブリン析出

高蛋白血症(連銭形成)

白血球増多症

低比重赤血球

検体汚染(キャリーオーバー)

遠心時間不足

カード取扱不備(乾燥、気泡)

反応槽のエアギャップ形成不良

検体試薬入れ忘れ

検体試薬分注量不足

試薬の劣化

反応槽のエアギャップ形成不良

遠心時間過剰、再遠心

低抗体価(特に抗 B)

異型輸血後

異型造血幹細胞移植後

キメラ、モザイク

抗原減弱(新生児、白血病)

フィブリン析出

クリオグロブリン析出

ABO亜型

15)より改変引用

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表8-1.カラム凝集法でみられる異常反応の原因と対応 14)

a. カラム内の気泡により偽陽性

因 カード取り扱い不備による気泡混入

応 新しいカードで再検査

b. 部分凝集様反応

因 フィブリン・クリオグロブリンなどの混入

検体確認(白濁、浮遊物の有無)

血清検体は血漿検体で再検査

検体を常温に戻し再遠心後に再検査

c. 部分凝集

左から抗 A、抗 B、抗 D、Rhコントロール

A1赤血球、B赤血球

異型輸血後、異型造血幹細胞移植後

キメラ、モザイク

ABO亜型

患者情報の確認(輸血歴や造血幹細胞移植歴)

各種亜型検査

d. 偽陰性、偽陽性

反応槽のエアギャップ形成不良

エアギャップの形成不良は、偽陽性と偽陰性の両

方の原因になり得る。

応 再検査

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表8-2.カラム凝集法でみられる異常反応の原因と対応 14)

e. 赤血球過多

血球試薬の分注量が多すぎる

血球浮遊液が濃すぎる

応 正しい分注(濃度、量)で再検査

f. 反応槽の液量不足

検体の入れ忘れ

分注量不足

応 正しい分注量で再検査

g. 溶血

溶血検体(血清・血漿)の使用

まれな不規則抗体(抗 P、抗 Tja など)による溶血

採血による溶血のない検体で再検査

目視にて判定する

不規則抗体スクリーニング・同定検査実施

h. オモテ・ウラ不一致

因 ウラ検査の反応が弱い

ウラ検査の検体量を増量する

試験管法にて再検査

反応時間の延長

e〜h のカラムは左から抗 A、抗 B、抗 D、Rhコントロール、A1赤血球、B赤血球

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カラム凝集法の注意点 14)

カラム凝集法では、適切にカード(カセット)を取り扱わないと結果に影響を与える場合が

あるので注意する。

カード(カセット)の取り扱い不良で、内容物がカラム内に飛び散っている場合やカラム内

試薬が温度変化によって蒸発や結露している場合、検査前にカード(カセット)を遠心して

から使用する。

気泡が認められるカラムは使用せず、新たなカラムで検査することを勧める。

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Ⅳ.マイクロプレート法

マイクロプレート法とは、直接凝集法と固相法(受身凝集法)を利用した検査方法である。

マイクロプレートのウェルで試験管と同様に抗原と抗体を反応させ、遠心後の凝集反応を光学的

な装置によって判定する。

ABO血液型・RhD血液型検査については試験管法と同じ直接凝集法を原理としており、不規則抗

体検査、直接抗グロブリン試験(DAT)や交差適合試験では固相法を原理としている(図8)。

マイクロプレートの種類と反応像の一例について図9、図10に示す。

1. 直接凝集法

1) 原理

被検赤血球浮遊液と血液型判定用抗体試薬(抗A、抗B、抗D、Rhコントロール)、被検血漿(血清)

と赤血球試薬(A1赤血球、B赤血球)をマイクロプレートウェル内で反応させ、遠心・撹拌後に凝集

像の大きさ(面積)をCCDカメラにより画像解析して結果を判定する16)。

2) 操作

一般的な検査法を示す。本項では全自動輸血検査装置の検査方法を示す17)

(1) 抗体試薬をウェルに分注する。

(2) 被検血漿(血清)をウェルに分注する。

(3) CCDカメラによる分注チェック。

(4) 被検検体の3%赤血球浮遊液を作製する。

(5) 抗体試薬の入ったウェルに(4)を分注する。

(6) 赤血球試薬を(2)のウェルに分注する。

(7) 室温でインキュベーションする。

(8) 遠心後に振盪して赤血球を再浮遊させ、CCDカメラにより判定する。

3) 特徴

(1) ABO、RhD血液型検査で使用する試薬は、試験管法においても使用可能なため検査結果は試

験管法とほぼ同等な結果が得られる。

(2) 試験管法に比べ、マイクロプレート法は機械的な強い振盪を行ってから判定するため、試験

管法で凝集が弱いとされる検体は、マイクロプレート法でより弱く判定される傾向にある。

(3) マイクロプレート法はオモテ検査において試験管法の部分凝集に相当する判定がない。セル

ボタンに対してfree cellが20~30%程度混在した場合にセルボタンが小さくなるため反応

が弱いとして判定保留となる17)。

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2. 固相法

1) 原理

赤血球膜が固相されたマイクロプレートのウェル(DAT、交差適合試験はpoly L-lysine処理ウェル

に患者あるいは供血者赤血球を固相する)に、患者血漿(血清)(DATでは加えない)とLISSを反応さ

せた後洗浄し、指示赤血球(抗ヒトIgG感作赤血球)を加え、遠心後指示赤血球のウェルへの付着ある

いは沈降の状態を解析して結果を判定する16)。

固相法の測定手順と試験管法との反応像の比較を示す(図12)。

2) 操作

一般的な検査法を示す。原則的には用いる試薬の添付文書に従って実施する17)

(1) 不規則抗体スクリーニング

不規則抗体スクリーニングは、あらかじめ赤血球膜が固相化されたマイクロプレート上で

LISS-IATを行うものである。

① 被検血漿(血清)をウェルに分注する。

② CCDカメラによる分注チェックを行う。

③ LISSを分注する。

④ 37℃でインキュベーションする。

⑤ PBSで洗浄する。

⑥ 指示赤血球を分注する。

⑦ 遠心後にCCDカメラにより判定する。

(2) 交差適合試験・DAT・D陰性確認試験

交差適合試験・DAT・D陰性確認試験は、赤血球を固相化した後に、マイクロプレート上でLISS-

IATを行うものである。

① PBSをウェルに分注する。

② 陽性対照コントロールセルを陽性対照用ウェルに分注する。

③ 供血者検体または被検検体の3%赤血球浮遊液を作製する。

④ ③をウェルに分注する。

⑤ 振盪して赤血球を混合する。

⑥ 遠心、振盪してPBSで洗浄する。

⑦ 被検血漿(血清)または抗D試薬(D陰性確認試験の場合)をウェルに分注する。

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⑧ LISSをウェルに分注する。

⑨ 37℃でインキュベーション後、PBSで洗浄する。

⑩ CCDカメラで赤血球の固相化状態を確認する。

⑪ 指示赤血球を分注する。

⑫ 遠心後にCCDカメラにより判定する。

①~⑤の操作により赤血球がウェルに固相される。

DATの場合、⑥~⑧の操作は省略される。

図8.マイクロプレート法の原理と反応像の違い (株式会社イムコアより提供)

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血液型検査 不規則抗体検査

交差適合試験

図9.マイクロプレートの種類と反応像の一例(株式会社イムコアより提供))

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ABO, RhD, 正常判定

オモテ・ウラ不一致例

不規則抗体スクリーニング, 陽性例と陰性例

交差適合試験, 陽性例と陰性例

図11.マイクロプレート法の反応像と判定の例 (株式会社イムコアより提供)

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図12. 固相法の測定手順と反応像(株式会社イムコアより提供)

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表9.カラム凝集法と試験管法とマイクロプレート法の比較 14-16)

操作法 利点 欠点

カラム凝集法

検査手順が標準化

判定に個人差なし

自動化が可能

IATにおいて洗浄操作を必要としない

トレーニングが簡単

専用の機器と試薬が必要

検査時間が長いため緊急輸血の対応困難

検査コストが高い

試験管法

専用の機器、試薬は必要ない

狭いスペースで検査が可能

検査時間が短いため緊急輸血に対応可能

検査の標準化が難しい

検査の手技、判定に個人差がある

結果の誤判定、誤記入、誤入力などのヒュ

ーマンエラーが存在する

トレーニングに時間がかかる

マイクロプレート法

試験管法に比べ判定が容易

反応像が安定であり、客観性に優れる

37℃反応性の抗体(IgG型)の検出感度が

高い

自動化が可能

LISS-IAT では洗浄操作が入るため非特異

反応が少ない。

低温反応性抗体(IgM型)とは反応性が低

固相法では洗浄操作が必要

測定に専用の装置が必要

試験管法に比べコストがかかる

検査時間が長いため緊急輸血の対応困難

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Ⅴ.参考文献

1) 菅野直子:「直接抗グロブリン試験」,JAMT技術教本シリーズ輸血・移植検査技術教本,53-55,(一

社)日本臨床衛生検査技師会(監),丸善出版,東京,2016.

2) 福吉葉子:「直接クームス試験の目的と結果解釈」,検査と技術 vol.46 no.8 2018年 8月 876-

877,医学書院,東京,2018.

3) 石丸健:「直接抗グロブリン試験」,JAMT技術教本シリーズ輸血・移植検査技術教本,178-179,

(一社)日本臨床衛生検査技師会(監),丸善出版,東京,2016.

4) 荒井俊也:「 発作性夜間ヘモグ ロビン尿症診療 の参照ガ イ ド 平成 28 年度改訂版 」

http://zoketsushogaihan.com/file/guideline_H28/05.pdf(2019 年 12 月 1 日アクセス)厚

生労働科学研究補助金 難治性疾患克服研究事業

5) 安田広康:「直接抗グロブリン試験」,スタンダード輸血検査テキスト第 3 版,106-109,認定輸血

検査技師制度協議会カリキュラム委員会(編),医歯薬出版,東京,2017.

6) 荒井俊也:「 自己免疫性溶血性貧血 診療 の参照ガ イ ド(平成 28 年度改訂版)」 http://zoketsushogaihan.com/file/guideline_H28/07.pdf(2019 年 12 月 1 日アクセス)厚

生労働省科学研究補助金 難治性疾患政策研究事業

7) 国分寺晃:「不規則抗体の臨床的意義」,スタンダード輸血検査テキスト第 3 版,90,認定輸血検査技

師制度協議会カリキュラム委員会(編),医歯薬出版,東京,2017.

8) 岸野光司:「抗体解離試験」,JAMT技術教本シリーズ輸血・移植検査技術教本,80-91,(一社)日

本臨床衛生検査技師会(監),丸善出版,東京,2016.

9) 石丸健:「自己抗体吸着法」,JAMT技術教本シリーズ輸血・移植検査技術教本,92-94,(一社)日

本臨床衛生検査技師会(監),丸善出版,東京,2016.

10) 監修)(一社)日本輸血・細胞治療学会赤血球型検査(赤血球系検査)ガイドライン改訂タスクホース:

「自己抗体」,赤血球型検査(赤血球系検査)ガイドライン(改訂 2 版)2016

11) 日高陽子:「抗体価測定」,JAMT技術教本シリーズ輸血・移植検査技術教本,77-79,(一社)日本

臨床衛生検査技師会(監),丸善出版,東京,2016.

12) American Association of Blood Banks(編):「抗体力価の測定」Technical Manual 13TH

EDITION<日本語版>,724-725,柴田洋一(監訳),オリンパス光学工業,東京,2002

13) 安田広康・大戸斉:「母体のための検査」,JAMT 技術教本シリーズ輸血・移植検査技術教本,146-

147,(一社)日本臨床衛生検査技師会(監),丸善出版,東京,2016.

14) 奥田誠:「カラム凝集法」,JAMT技術教本シリーズ輸血・移植検査技術教本,60-63,(一社)日本

臨床衛生検査技師会(監),丸善出版,東京,2016.

Page 41: 「輸血検査における標準手順書」 その他 検査編...hemolytic anemia; AIHA)、胎児・新生児溶血性疾患(hemolytic disease of the fetus and newborn; HDFN)、不規則抗体に起因する溶血性輸血副作用

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15) 福吉葉子:「カラム凝集法」,スタンダード輸血検査テキスト第 3 版,114-119,認定輸血検査技師

制度協議会カリキュラム委員会(編),医歯薬出版,東京,2017.

16) 奥田誠:「マイクロプレート法」,JAMT技術教本シリーズ輸血・移植検査技術教本,64,(一社)日

本臨床衛生検査技師会(監),丸善出版,東京,2016.

17) 上村正巳:「マイクロプレート法」,スタンダード輸血検査テキスト第 3 版,119-122,認定輸血検

査技師制度協議会カリキュラム委員会(編),医歯薬出版,東京,2017.

Page 42: 「輸血検査における標準手順書」 その他 検査編...hemolytic anemia; AIHA)、胎児・新生児溶血性疾患(hemolytic disease of the fetus and newborn; HDFN)、不規則抗体に起因する溶血性輸血副作用

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Ⅵ.動画リンク

1 凝集判定 https://youtu.be/WROU3oIhwXs

2 血球洗浄 https://youtu.be/bXU-Su1BWiU

3 血液型検査 https://youtu.be/4-y0AO7_lqI

4 血液型検査 (近距離) https://youtu.be/jvrJhw2Prps

5 部分凝集の観察 https://youtu.be/-uK0mNgx1ng

6 スライド法 https://youtu.be/1IZ5KT8uwDU

7 不規則抗体スクリーニング https://youtu.be/5O3wbe35Fo0

8 直接抗グロブリン試験 https://youtu.be/IN3FlvMf5dU

9 抗体価測定 https://youtu.be/4GbzRz0VKsc

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愛知県臨床検査標準化ガイドライン

「輸血検査における標準手順書」

第3版

発行 2020 年 3 月

発行所 愛知県臨床検査標準化協議会

発行者 市川 朝洋

編集者 岡田 元、佐野 俊一、松浦 秀哲

ガイドライン作成委員会

作成委員長 松浦 秀哲 (藤田医科大学病院)

作成委員 木村 有里 (JA 愛知厚生連 豊田厚生病院)

稲生 千絵美 (社会医療法人宏潤会 大同病院)

沖松 秀美 (豊川市民病院)

市川 潤 (JA 愛知厚生連 江南厚生病院)

片井 明子 (愛知医科大学病院)

小木曽 美紀 (日進おりど病院)

杉浦 縁 (藤田医科大学病院)

沖 かずよ (JA 愛知厚生連 海南病院)

小池 史泰 (名古屋市立大学病院)

問い合わせ先

愛知県臨床検査標準化協議会事務局

〒450 - 0002

名古屋市中村区名駅五丁目 16番 17号

花車ビル南館 1階

(公社)愛知県臨床検査技師会事務所

Tel 052 - 581 - 1013

Fax 052 - 586 - 5680