アニーリングマシンによる 配送ルート最適化技術の開発 ·...
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アニーリングマシンによる配送ルート最適化技術の開発
お茶の水女子大学 理学部 情報科学科 4年大石美賀・松本奈紗
2019年度アニーリング部門 田村PM
1
2
1. プロジェクトの概要
2. 問題設定
3. アルゴリズムと実行結果
4. まとめと今後の課題
組合せ最適化問題に特化したアニーリングマシンで
宅配便の配送ルートを最適化
3
ネットショップの普及
過酷な労働環境
予算的な問題
運送業の人手不足
プロジェクトの背景・目的
プロジェクトの成果
● 宅配便の配送ルートの最適化
○ 配達時間指定を考慮
○ 大規模マシン用、小規模マシン用のアルゴリズムの開発
● Webアプリケーションの開発
○ リアルタイムでのルート検索
○ 時間指定の変更に対応
4
Webアプリ
5デモ動画
メインのアイディア
巡回セールスマン問題(TSP)「複数の都市をそれぞれ1回だけ訪問するとき、最短のルートを求める」という組合せ最適化問題
巡回セールスマン問題(TSP)を組み合わせて配送ルートを最適化
6
D-Wave 2000Q
量子アニーリングマシン全結合ビット数:64ビット
TSPの最大都市数:8都市
使用したアニーリングマシン
富士通デジタルアニーラ
アニーリングマシン全結合ビット数:1024ビットTSPの最大都市数:32都市
7
大規模用 小規模用
8
1. プロジェクトの概要
2. 問題設定
3. アルゴリズムと実行結果
4. まとめと今後の課題
問題設定
都市部での配達→配達車両の駐車可能箇所が限られる
駐車可能箇所まで車両で移動 台車に荷物を積み、近くの配達先に配達
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問題設定
配達時間枠 ① 午前中
② 12:00 〜 14:00③ 14:00 〜 16:00④ 16:00 〜 18:00⑤ 18:00 〜 20:00⑥ 20:00 〜 22:00
10
1つの配達時間枠ごとにルートを求める
問題設定
: 配達先 (時間指定あり ) : 配達先 (時間指定なし ) : 駐車可能箇所
: 営業所
: 台車のルート
: 車両のルート
時間指定ありを含むグループを優先
Google Maps APIを用いた2点間の移動時間
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①②
③
各時間枠内で営業所に戻る
12
1. プロジェクトの概要
2. 問題設定
3. アルゴリズムと実行結果
4. まとめと今後の課題
デジタルアニーラ用 (大規模用)2~3時間の配達時間枠で回り切れないサイズの問題
D-Wave 2000Q用(小規模用)
2~3時間の配達時間枠で回り切れるサイズの問題
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大規模用のアルゴリズム
配達時間枠 ① 午前中
② 12:00 〜 14:00③ 14:00 〜 16:00④ 16:00 〜 18:00⑤ 18:00 〜 20:00⑥ 20:00 〜 22:00
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午前中に時間指定されている配達先(優先)+
全ての時間指定なしの配達先
12:00~14:00に時間指定されている配達先(優先)+
午前中に配達できなかった時間指定なしの配達先
・・・
大規模用のアルゴリズム
大規模用のアルゴリズム
1配達先のクラスタリング
2駐車可能箇所の割り当て
3台車で回る部分のTSP
4車両で回る部分のTSP
アニーリングマシンを使わない
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: 時間指定ありの配達先
: 時間指定なしの配達先
16
1配達先のクラスタリング
大規模用のアルゴリズム
配達先間の距離と時間指定の有無を考慮
... ...
1配達先のクラスタリング
距離+時間指定の重み付け 各配達先の所属グループは 1つ
17
大規模用のアルゴリズム
18
2駐車可能箇所の割り当て アニーリングマシンを
使わない
各グループの配達先の重心 から
距離の近い順に2つずつ駐車可能箇所 を割り当てる
大規模用のアルゴリズム
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3台車で回る部分のTSP
5分
8分
大規模用のアルゴリズム
20
各時刻で1箇所にいる 各配達先に1回だけ訪問
t=1 t=2 t=3 t=4 t=5
i=1 1 0 0 0 0
i=2 0 1 0 0 0
i=3 0 0 0 0 1
i=4 0 0 0 1 0
i=5 0 0 1 0 0
台車の移動時間
3台車で回る部分のTSP
大規模用のアルゴリズム
21
4車両で回る部分のTSP
12分5分
16分
8分
7分
6分 10分
7分
12分
15分
5分10分
大規模用のアルゴリズム
22
4車両で回る部分のTSP
12分
16分
10分
8分
7分
6分 10分
7分
12分
5分
15分
5分
①
②
③④
⑤⑥
時間指定ありを含むグループを必ず先に回る
与えられた点全てを通らなくてよい TSP↓
各グループでどちらかの駐車箇所を選択
大規模用のアルゴリズム
23
4車両で回る部分のTSP
車両の移動時間
選んだ駐車可能箇所
台車の移動時間
・使用する駐車箇所・ルート
大規模用のアルゴリズム
P=1
P=3
24
4車両で回る部分のTSP
t = 1 t = 2 ... … t = 6
P=1 1 0 … … 0
P=2 0 0 … … 0
P=3 0 1 … … 0
… 0 0 … … 0
… 0 0 … … 0
… 0 0 … … 0
P=12 0 0 … … 1
g1
g2
g6
各時刻で1箇所に存在
各グループに1度だけ駐車
P=12
g6
g1g2
指定ありを先に訪れる
大規模用のアルゴリズム
25
時間枠を超えてしまう
1~4の結果
大規模用のアルゴリズム
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次の時間帯に回す
最終的な配送ルート(デジタルアニーラ)
時間枠内に営業所に戻るようにする
大規模用のアルゴリズム
・各配達時間枠の開始10分前までに配達希望時刻の変更と再配達の依頼が可能
・ドライバーは更新された配達先のデータを使用して最新の配達ルートを得る
配達時間の変更や再配達への対応
27この配達先で1~4を行いルートを求める
更新後の配達先データ
違う時間帯から追加された配達先
違う時間帯に移動した配達先
ある時間帯の更新前の配達先データ
使用したデータ
東京都文京区大塚4.5.6丁目
・配達先数:60箇所
・駐車可能箇所:86箇所
・営業所:ヤマト運輸大塚5丁目センター
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指定あり:20箇所指定なし:40箇所
実行結果(デジタルアニーラ)
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配達先のクラスタリング(60箇所を17グループに分ける)
: 時間指定ありの配達先
: 時間指定なしの配達先実行結果(デジタルアニーラ)
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最終的な配送ルート
・車両で回る部分のルート 時間指定あり×7→なし
・各駐車箇所で台車に荷物を載せる時間:3分・各配達先に荷物を届ける時間:1.5分・総配達時間:2時間58分・回れた時間指定なし:17個
回れなかった23個の時間指定なしは次の時間帯に
実行結果(デジタルアニーラ)
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デジタルアニーラ用 (大規模用)2~3時間の配達時間枠で回り切れないサイズの問題
D-Wave 2000Q用(小規模用)
2~3時間の配達時間枠で回り切れるサイズの問題
小規模用のアルゴリズム
1配達先のクラスタリング (D-Wave2000Q)
32
12
12
4
4
4
4
4
24
12
12
4
4
4
4
4
4
複数グループのクラスタリングモデル
(デジタルアニーラで使用したもの)
が使えるようになるまで2分割
複数グループのクラスタリングモデル
小規模用のアルゴリズム
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4車両で回る部分のTSP(D-Wave)
①
④
③②
⑤⑥
6分
7分
10分 12分 5分
7分
5分
12分
15分
16分
小規模用のモデル:時間指定ありを含むグループを優先的に回る
小規模用のアルゴリズム
34
4車両で回る部分のTSP(D-Wave)
① 駐車可能箇所をランダムに選ぶ
② 時間指定を考慮した通常のTSPを解く
③ 台車+車両の最小の移動時間を採用
小規模用のアルゴリズム
1時間45分
1時間41分 1時間30分採用
実行結果(D-Wave)
使用したデータ
東京都文京区大塚4丁目付近
・配達先数:24箇所(時間指定あり :6箇所)
・駐車可能箇所:20箇所
・営業所:ヤマト運輸大塚5丁目センター
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最終的な配送ルート
実行結果(D-Wave)
・車両で回る部分のルート 時間指定あり→なし→あり→あり →あり→なし
・総配達時間:1時間32分
シミュレーテッドアニーリング (SA) との比較
小規模用モデル
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アニーリングマシンを用いることで、総配達時間の短縮を達成
総配達時間 計算時間
SA 1時間50分 約3分
D-Wave 1時間32分 約4分
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1. プロジェクトの概要
2. 問題設定
3. アルゴリズムと実行結果
4. まとめと今後の課題
まとめ
・開発内容
・宅配便の配送ルートの最適化をアニーリングマシンで行う手法を開発
・Webアプリの開発
・利用者や社会にとっての価値
・リアルタイムでの配送ルートの最適化が可能
・ドライバーの負担の軽減やユーザの利便性の向上
・中長期における達成目標
・様々な地域に対応できるアプリケーションの開発
・1時間単位など細かい時間指定にも柔軟に対応
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今後の課題
①クラスタリングモデルの改良
・クラスタに含まれる点の数が同一になる作用が距離コストよりも強い
・佐藤プロジェクトとの連携
②パラメータを自動でチューニングする手法を開発
・網羅的に時間指定の重み付けのパラメータとクラスタリング数の
チューニング
40
補足
41
小規模用のアルゴリズム
1配達物のクラスタリング (D-Wave2000Q)
42
12
12
4
4
4
4
4
24
12
12
4
4
4
4
4
4
複数グループのクラスタリングモデル
(デジタルアニーラで使用したもの)が
使えるようになるまで2分割を繰り返す。
複数グループのクラスタリング
モデルを使う。距離+時間指定の重み付け
大規模用のアルゴリズム
43
4車両で回る部分のTSP(デジタルアニーラ)
車両の移動時間
各時刻で1箇所に存在
各グループに1度だけ駐車
台車の移動時間+時間指定の重み付け
小規模用のアルゴリズム
44
4車両で回る部分のTSP(D-Wave)
tに比例した緩やかな時間指定の重み付け
車両の移動時間
小規模用のアルゴリズム
45
4車両で回る部分のTSP(D-Wave)
車両の移動時間緩やかな時間指定の重み付け
各時刻で1箇所に存在 選ばれた各駐車可能箇所に1回だけ駐車