弥彦村教育委員会広報紙 - Yahiko · 2017. 10. 31. ·...

4
「さっき言ったのに,もう忘れたみたい」 「はっとするような危険なことを平気でする」 「みんなと遊びたいけれど,なぜかいつもけんかになる」 「身の回りのことが一人でできない」 「きちんと座れない」 など,子どもの様子を見て,「どうして?」「なぜ?」なんて思うこと はありませんか?これらは,本人がやろうと思ってもできなかったり, 言われた言葉の意味や,やり方がわからなかったりして,子ども自身が理解できずに苦しんでいる ことの表れとも考えられます。保護者も,子どもの様子から子育てに自信がもてずに悩むケースも 見られます。 1.悩まずに相談を 近年,脳科学や医療的なケアの進展などにより子どもの行動の理解が進 みました。その中で,幼児期の早い段階での適切な対応が,子どもの成長 にとても大切であることが分かってきています。「どうして?」「なんで?」 と思ったら,悩まず,担当の保育士さんや子ども支援センター,学校の担 任の先生等に相談してみてください。「SSW(スクール・ソーシャル・ワ ーカー)に相談してみたい」という方は,気軽に教育委員会までご相談く ださい。また,村では,本年度から「早期療育」に関する事業を,新潟市西区にある「社会福祉法人 笑顔の会エンジェル西療育教室」に委託して始めました。7月からは,保育園だけでなく弥彦小学 校でも巡回支援を行っています。 2.「療育」って何? 『療育』とは,子どもが社会的に自立できるように取り組む治療や教育のことです。生活への不自 由をなくすよう専門的な教育支援プログラムにのっとり,例えば「姿勢が保てない」「話をじっとし て聴けない」などについて,トレーニングを行い改善しようとするものです。「療育」についてのお 問い合わせや相談がありましたら,教育委員会までお問合せください。 編集・発行 弥彦村教育委員会 TEL(0256)94−1021 FAX(0256)94−3232 〒959-0392 新潟県西蒲原郡弥彦村大字矢作 402 番地 平成 29 年9月7日発行 弥彦村教育委員会広報紙

Transcript of 弥彦村教育委員会広報紙 - Yahiko · 2017. 10. 31. ·...

Page 1: 弥彦村教育委員会広報紙 - Yahiko · 2017. 10. 31. · には文字を書くのが速い子もいればそうでない子もいます。こういう子たちにどう対応するのか。

「さっき言ったのに,もう忘れたみたい」

「はっとするような危険なことを平気でする」

「みんなと遊びたいけれど,なぜかいつもけんかになる」

「身の回りのことが一人でできない」

「きちんと座れない」

など,子どもの様子を見て,「どうして?」「なぜ?」なんて思うこと

はありませんか?これらは,本人がやろうと思ってもできなかったり,

言われた言葉の意味や,やり方がわからなかったりして,子ども自身が理解できずに苦しんでいる

ことの表れとも考えられます。保護者も,子どもの様子から子育てに自信がもてずに悩むケースも

見られます。

1.悩まずに相談を

近年,脳科学や医療的なケアの進展などにより子どもの行動の理解が進

みました。その中で,幼児期の早い段階での適切な対応が,子どもの成長

にとても大切であることが分かってきています。「どうして?」「なんで?」

と思ったら,悩まず,担当の保育士さんや子ども支援センター,学校の担

任の先生等に相談してみてください。「SSW(スクール・ソーシャル・ワ

ーカー)に相談してみたい」という方は,気軽に教育委員会までご相談く

ださい。また,村では,本年度から「早期療育」に関する事業を,新潟市西区にある「社会福祉法人

笑顔の会エンジェル西療育教室」に委託して始めました。7月からは,保育園だけでなく弥彦小学

校でも巡回支援を行っています。

2.「療育」って何?

『療育』とは,子どもが社会的に自立できるように取り組む治療や教育のことです。生活への不自

由をなくすよう専門的な教育支援プログラムにのっとり,例えば「姿勢が保てない」「話をじっとし

て聴けない」などについて,トレーニングを行い改善しようとするものです。「療育」についてのお

問い合わせや相談がありましたら,教育委員会までお問合せください。

編集・発行 弥彦村教育委員会 TEL(0256)94−1021 FAX(0256)94−3232 〒959-0392 新潟県西蒲原郡弥彦村大字矢作 402 番地

平成 29 年9月7日発行

弥彦村教育委員会広報紙

Page 2: 弥彦村教育委員会広報紙 - Yahiko · 2017. 10. 31. · には文字を書くのが速い子もいればそうでない子もいます。こういう子たちにどう対応するのか。

8月3日(木)に,新潟大学の長澤正樹先生

をお招きして『授業のユニバーサルデザイン』

についての研修会を行いました。小学校,中学

校だけでなく,保育園からも5名の参加者があ

りました。

『ユニバーサルデザイン』とは,『特別な誰か

にではなく、誰にでも使える』という意味です。

例えば,自動ドアは、特別な道具や動作をする

ことなく、子どもからお年寄り、車いすに乗っ

ている人や両手に荷物を抱えた人など多くの人

が利用することができるデザインになってお

り、ユニバーサルデザインの代表的な例です。

つまり,『授業のユニバーサルデザイン』とは,すべての児童生徒にとって分かりやすい授業とい

うことになります。ただし,言うのは簡単ですが,実際に行うとなると難しいのです。例えば,教室

には文字を書くのが速い子もいればそうでない子もいます。こういう子たちにどう対応するのか。

長澤先生からもいくつか支援の方法が示されましたが,繰り返しお話されていたのは,正解は1つ

ではないということです。児童生徒の実態に応じて,方法は当然変えなくてはいけないというお話

が印象的でした。

「授業のユニバーサルデザイン」では,教室

等の環境を整えることも重要な考え方です。

例えば,保育園では,右の写真のように,1日

の活動の流れがイラストや写真で提示されて

います。これも『ユニバーサルデザイン』の一

つの取組です。何をしたらよいのかが明確に

なっているので,すべての子どもが活動しや

すくなります。学校に行くと,イラスト等で重

要な指示がされているポスターを目にしま

す。これも大変重要です。人は,大きく分ける

と,目で見て理解するのが得意な人と言葉を

聴いて理解するのが得意な人に分かれると言

われています。イラストを提示しながら説明

することで,そのどちらのタイプにも対応できる工夫がなされているといえます。今回は保育園の

<問い合わせ先>

弥彦村教育委員会子ども教育係 ℡:(0256)94-1021

Page 3: 弥彦村教育委員会広報紙 - Yahiko · 2017. 10. 31. · には文字を書くのが速い子もいればそうでない子もいます。こういう子たちにどう対応するのか。

8月1日(火),2日(水),4日(金)の3日間,小学校の先生が

保育園を訪問し,保育士さんの保育や子どもたちの様子を参観しま

した。

この取組は,昨年度,小学校の校長先生からの発案で始まったもの

で,今年度で2年目となります。今年度5月に教育委員会が実施し

たアンケートでも,昨年度のこの取組がよかったと記述している保

育士さんが何名もおられました。園では遊びを中心とした生活を通

して個々に応じた支援を行います。小学校では教科の学習を中心に

より計画的に学習を進めます。この段差が子どもにとって大きな段差になることがあります。まず

は保育士と小学校の先生が交流を深めて,その段差を低くしようとしているのです。今後一層,保

育園と小学校の連携が重要になることを見越して,お忙しい中だったかと思いますが,保育士の皆

様,小学校の教職員の皆様,ありがとうございました。

小学校の外国語活動が変わります

(表1)。今後どのように対応していく

のか,小学校の大きな課題となってい

ます。

8月21日(月)に新潟大学の松澤

伸二先生をお招きして,外国語教育に

ついて理解を深めるための研修会を実

施しました。現在,小・中学校で扱って

いる単語の数は約1 ,200語程度だ

そうですが,改訂によって,2,000

語近くを扱うことになるそうです。こ

れだけでも大きな変化ですが,慣れ親

しむことを中心としてきた小学校の外

国語活動において,とりわけ高学年では書く力も求め

られるようになります。そのため,英語嫌いが増える

のではないかという心配の声が全国各地であがって

います。この心配を払拭していくためには,小学校と

中学校が連携して,興味・関心を高めて,主体的に学

習に取り組む子どもたちを育てることが大切だと考

えています。教育委員会としてもサポートしていきた

いと考えています。

表1 外国語活動の授業時数

学年 平成29年度

(現在)

平成30・31年度

(移行措置)

平成32年度

(全面実施)

小6 35 50 70

小5 35 50 70

小4 ※ 15 35

小3 ※ 15 35

小2 ※ ※ ※

小1 ※ ※ ※

※弥彦小では小1〜小4で学期に数回程度,外国語活動に取り組んでいます。

次年度以降の小1,小2も今年度並みの取組を予定しているそうです。

Page 4: 弥彦村教育委員会広報紙 - Yahiko · 2017. 10. 31. · には文字を書くのが速い子もいればそうでない子もいます。こういう子たちにどう対応するのか。

夏休み前になりますが,7月14日(木)に今年度第一回目の地域教育協議会を開催しました。地

域教育協議会は,「地域と学校が連携し,弥彦だからできる教育」を実現するために設置されていま

す。メンバーは,柏原地域教育コーディネーターさんをはじめ,氏子青年会,区長会,民生児童委員

会,山太鼓保存会,スポーツ少年団,小中学校教職員の代表者,小中 PTA会長,村教育委員会等か

ら構成されています。今回は,中越教育事務所社会教育課から講師をお招きして,弥彦村で来年度

から導入を目指す,『コミュニティ・スクール』についての理解を深めました。意見交換では,導入

に期待する声がある一方で,以下のような不安や疑問の声もありました。

・児童・生徒にとってのメリットがよく分からない

・教職員の負担が増えるのではないかと心配

・これまでも地域と学校は連携して取り組んできたが何が変わるのか

・地域や家庭にどのように設置の意義などを伝えていくのか 等

教育委員会では,これらの御意見を踏まえ,弥彦の実態に応じたよりよい『コミュニティ・スクー

ル』設置に向けて取り組んでまいりたいと考えています。11月18日(土)には弥彦村教育フォーラムを

開催し,学校を地域全体でどう支えるかを考えます。多くの村民の皆様から参加いただきたいと考えており

ます。

※NHK『あさイチ』に燈籠まつりに向けて活動する弥彦中学校の

様子が紹介されました。(左は祭り当日,右は『あさイチ』の画面です)