融合脳 「認知症等の克服に関する研究」 「発達障 …融合脳...

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融合脳 「認知症等の克服に関する研究」 「発達障害・統合失調症等の 克服に関する研究」 の概要 資料4-2 脳科学研究戦略推進プログラム 1

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融合脳「認知症等の克服に関する研究」

「発達障害・統合失調症等の克服に関する研究」

の概要

資料4-2

脳科学研究戦略推進プログラム

1

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認知症等の克服に関する研究

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FTLDの分子標的治療薬・バイオマーカー開発によるdisease-modifying therapyへの展開①FTLDの分子標的治療法開発

ASO開発 FTLDモデルへのASOの投与・検証

②FTLDイメージングバイオマーカー開発

FTLD関連分子の画像化開発

イメージングマーカー検証(コホート)

認知症等の克服に関する研究チーム長:岩坪 威(東京大学)

産生阻害剤前駆体タンパク質

分解除去産生 分解

凝集阻害剤

従来の創薬作用点本事業で進める新規作用点

認知症症状

Aβ凝集体の蓄積

アルツハイマー病原因物質Aβ

[孤発性アルツハイマー病脳]ネプリライシンの発現低下

発症メカニズムの研究:ネプリライシン発現・活性低下メカニズムの解明早期診断技術の開発:脳内ネプリライシン発現低下を反映するバイオマーカーの開発

症状緩和症状改善

予防

aシヌクレイン凝集阻害薬

(FABP3 リガンド)

伝播阻害薬(セルトラリン)

レビー小体病根本治療薬の開発

名古屋大学拠点・祖父江G

長崎大学拠点・岩田G 東北大学拠点・福永G

東京医科歯科大学拠点・横田G

株田(国立精神・神経センター)・CMAT依存的αシヌクレイン分解機構解明・CMAT制御によるレビー小体病治療薬開発へのPOC取得

角田(同志社大)・血漿Aβ分子種の精密測定によるAD早期診断法確立・Aβ産生抑制ペプチド創生と治療法確立

目標達成型探索研究課題

BBB通過型Aβオリゴマー抗体の創生、超早期イメージングと先制医療の達成・ABOとタウ病態の時間的相関関係解明・ABOの超早期AD脳イメージング・ABO抗体によるAD治療のPOC確立

新基軸アミロイド仮説に基づくアルツハイマー病治療戦略の実用化・代謝ストレス、カロリー制限模倣、脂質メディエーターを標的とする予防・治療戦略の確立・分子Xのヒト化抗体による前臨床研究・新規バイオマーカーの確立:血漿APL1β、髄液分子X

可溶性Aβグリア

慢性炎症

炎症性Aβ産生亢進神経細胞変性・死

代謝ストレス 分子X

Aβ産生

APL1βバイオマーカー炎症性脂質

メディエーター

東京大学拠点・岩坪G

レビー小体病の早期診断技術と根本治療薬の開発

孤発性アルツハイマー病アミロイド蓄積の原因に即した治療薬と診断用バイオマーカーの開発

革新的治療技術の開発:Aβ分解酵素(ネプリライシン)の活性増強化合物の創製

●神経内科関連施設●精神科関連施設

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新機軸アミロイド仮説に基づくアルツハイマー病の包括的治療開発岩坪 威 (東京大学)

【研究実施体制】

【目的】アルツハイマー病(AD)の発症時期に既に生じている『未知の不可逆的病態』に着目し、アミロイドβ(Aβ)を中核に、上下流を包含した超早期病態を標的とする治療法、診断法の実用化を目指す。 Aβの凝集蓄積・毒性の上下流で強い影響を与える代謝・炎症ストレス等の増悪因子に対する介入法を創出し、複数標的に対する併用療法を指向する。これに加え、アミロイド病態の評価に関わるバイオマーカーの開発を行う。

シーズ供給東京大学病態解析・標的同定

(岩坪・富田)東京大学抗代謝ストレス、抗炎症薬等

(岩坪・富田)東京医科歯科大学HMGB1抗体療法(田川・岡澤)

東京医科歯科大学HMGB1髄液定量(田川・岡澤)

大阪大学血漿・髄液APL1β28(大河内)

東大病院早期・探索開発推進室Phase I ユニット医科歯科大医療イノベーションセンター

・早期AD screen・治療評価コンパニオン

【業務内容】

シナプス障害

Tau・第3分子膜シグナル障害

細胞外伝播

細胞内蓄積

フィードバック機構

細胞死

可溶性Aβオリゴマー毒性

Aβ脳内動態変容

代謝ストレス:岩坪

代謝ストレスに伴う脳内慢性炎症・ストレスシグナルを標的とする治療法開発、カロリー制限を模倣する予防・治療戦略のPOC取得

APL1βバイオマーカー診断:大河内血漿APL1βとAD病変の関連の解析、AD早期診断を目指した血液バイオマーカー確立

分子X:田川

炎症性脂質メディエーター:富田

POC臨床試験、APL1/2βによる治療効果の評価

Aβ病態形成過程を制御する分子Xに対するGMP基準ヒト化抗体による前臨床研究、コンパニオンマーカーとしての髄液X濃度の確立

可溶性Aβの上・下流に働く慢性炎症の制御因子、炎症性脂質メディエーターを標的とする予防・治療戦略の確立

【課題の目標・タイムテーブル】【東京大学】・代謝ストレス制御・カロリー制限模倣によるAD予防治療開発・慢性炎症制御によるAD予防・治療法の開発

【東京医科歯科大学】・GMP基準ヒト化X抗体の作製と実用化・髄液X診断

【大阪大学】・APL1βのバイオマーカーとしての臨床実証研究

28年度 29年度 30年度 31年度 32年度 目標病態研究・標的同定病態研究・標的同定 動物POC・用量・毒性動物POC・用量・毒性

抗体医薬作成抗体医薬作成 用量・安全性等臨床導入

用量・安全性等臨床導入

前向き・後方視臨床研究・POC確立

前向き・後方視臨床研究・POC確立

測定機器・承認申請測定機器・承認申請

病態研究・標的同定病態研究・標的同定 動物POC・用量・毒性動物POC・用量・毒性

ヒト・動物 POC取得ヒト・動物 POC取得 測定法・承認申請

測定法・承認申請

ヒト臨床導入

ヒト早期臨床試験

第1相POC治験開始

コンパニオンDxとして活用企業導出4

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前頭側頭型認知症の分子標的治療薬・バイオマーカー開発によるdisease-modifying therapyへの展開 祖父江元(名古屋大学)

(目的)

三大認知症の1つである前頭側頭型

認知症(前頭側頭葉変性症:FTLD)

のdisease-modifying therapyへの展

開を視野に、FTLDの発症メカニズム

の探求、FTLDの克服へ向けた治療

技術と診断技術の開発を目指す。

(業務内容)

(研究実施体制)(課題の目標)• ASOを中心とした新規FTLD治療技術の開発• 平成32年度までに非臨床POC獲得• 早期病態に立脚した新規FTLD診断技術開発

• 治験デザインの構築

(将来の目的等)

• ASO製剤のGMP、GLP基準をクリア• First in human• 臨床治験への展開

大阪大学モデル動物の治療法

開発 (TDP-43)

放医研イメージングマーカー開発

名古屋大学モデル動物の治療法開発(タウ)

イメージングマーカー開発

神戸天然物学

ASO開発

① FTLDの分子標的治療法開発 (ASO開発を中心に)

修飾アミダイトENA hTau/FUS KDマウス

TDP-43 BAC Tgマウス

有効性・安全性などの確認

ASOの投与(髄腔内投与・末梢投与)

② FTLDイメージングバイオマーカー開発

FTLD関連分子病態の画像化・定量化に向けた開発・検証

・イメージングマー

カーの有用性の検

証(FTLDコホート)

・治療効果の検証●神経内科関連施設●精神科関連施設

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血液脳関門通過型抗アミロイドβオリゴマー抗体の創生によるアルツハイマー病の分子イメージング診断、治療法の開発及び発症メカニズムの解明 横田 隆徳(東京医科歯科大学)

(目的)アルツハイマー病の発症基盤分子と考えられるアミロイドβ蛋白(Aβ)のオリゴマー(ABO)

を分子標的にし、独自のモノクローナル抗体を基に、本課題の中核の知財である血液脳関門(BBB)通過分子技術によってBBB通過型ABO抗体を創生する。本抗体の脳への高効

率の抗体医薬のデリバリーを達成して、アルツハイマー病の発症メカニズムを解明し、超早期アルツハイマー病患者のコンパニオン診断が可能となるABO特異的なブレインイ

メージングと根本的な先制医療を達成する抗体療法を実現させる。

(業務内容)

(研究実施体制) (課題の目標、将来の目的等)

東京大学(津本)BBB通過型ABO抗

体創生

大分大学(松原)ABO特異抗体精

東京医科歯科大学(横田)イメージング解析、

病理・生化学的解析、BBB通過最適化

量子機構(青木)生体イメージング

Glc-ABO抗体GLUT1結合ABO抗体

↓BBB通過

↓ABO認識

↓イメージング治療効果

iCONM(片岡)GLUT1リガンド

分子構築

中・長期目標

・ベンチャー企業と民間企業への技術移転を行い、製剤の設計、品質確保、安定させる・平成36年度までに非臨床試験の終了・平成36年度から38年度にかけて臨床試験・平成39年3月承認申請予定 6

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孤発性アルツハイマー病アミロイド蓄積の原因に即した治療薬と診断用バイオマーカーの開発 岩田 修永(長崎大学)

(目的)本事業は、新規の作用点を有するアルツハイマー病の予防・治療薬として非臨床POCを確立したリード化合物を創製し、臨床試験につなぎ、製薬会社等へ導出することを目的とする。本拠点では、アルツハイマー病脳に蓄積するアミロイドベータ(Aβ)の分解酵素としてネプリライシンの同定に成功している。また、Aβ蓄積の原因としてネプリライシンが早期に発現低下することも見出している。そこで、このネプリライシンの発現低下や活性制御メカニズムを明確にすると共に、本酵素の機能を補完する薬剤開発を行う。また、脳内ネプリライシン活性の低下を反映する脳脊髄液または血液バイオマーカーやアルツハイマー病サブタイプ特異的バイオマーカーの探索研究も進め、早期診断への応用を図る。さらに、アルツハイマー病危険因子の病態との関連性を明らかにし、新たな治療薬開発に繋げていく。

(業務内容)

(研究実施体制) (課題の目標、将来の目的等)

長崎大学

理化学研究所(BSI)・斉藤貴志

【1】 革新的治療技術の開発【3】 発症メカニズムの研究

長崎大学拠点長・岩田修永全体統括

東京大学・岩田淳[臨床医]

【3】 発症メカニズムの研究、臨床研究

(拠点間連携協力)国立精神・神経医療研究センター・齊藤祐子 [ブレインバンク]東京大学・岩坪威[アルツハイマー病バイオマーカーの開発]

【1】 革新的治療技術の開発

ネプリライシン活性増強薬の開発とその作用メカニズムの解析

【3】 発症メカニズムの研究

AD脳でのネプリライシン発現・活性低下メカニズムの解明 (調節因子の探索、性差、エピジェネティックス、リン酸化)

【2】 早期診断技術の開発 【4】 発症メカニズムの研究

AD危険因子(炎症反応、グリア細胞)を標的とした病態解析

AD危険因子(Aβ代謝)を標的とした病態解析

ADサブタイプ特異的バイオマーカー

AD-iPS細胞を用いた病態解析新規創薬標的の探索

臨床試験の効率化、先制医療

脳内ネプリライシン発現低下を反映するバイオマーカー

個別化医療

(臨床系)西田教行、佐藤克也、小澤寛樹、黒滝直弘【2】 早期診断技術の開発、臨床研究

(基礎系)田中隆、城谷圭朗、浅井将、黒田直敬、大山要、有賀純、中川慎介、畑山実、巽理恵【1】 革新的治療技術の開発、【2】 早期診断技術の開発、【3,4】 発症メカニズムの研究

(連携協力)京都大学iPS細胞研究所・井上治久[疾患iPS細胞を用いた創薬研究]

小規模臨床試験臨床プロトコー

ルの作成

in vivo POC (有効性、安全性)の取得

新規作用点の同定と活性増強を仲介する既存の受容体アゴニストのリポジショニング

臨床研究へのトランスレーション

in vivo POC ( 有効性、安全性)の取得

H33.3H30.4H29.4H28.4 H31.4

【1】 革新的治療技術の開発

製薬企業への導出

【2】 早期診断技術の開発

臨床研究

2年目 3年目 4年目 5年目

治療効果の確認

【3,4】 病態解析

H32.41年目in vivo POC(有効性、安全性)を確立したシード化合物の取得

in vivo POC (有効性、安全性)の取得

シード化合物のさらなる構造至適化

脳由来ネプリライシン量の変化を反映する末梢血マーカーの確立

CSF中ネプリライシン活性を反映するサロゲートマーカーの確立

ADサブタイプ特異的CSFバイオマーカーの確立

簡便な検出法の確立

ADサブタイプ特異的バイオマーカー候補の同定

AD治療の新規作用点の同定

ネプリライシンゲノムヒストン異常の解析

ネプリライシン活性制御因子の同定

in vivo POC ( 有効性、安全性)の取得

遺伝子変異によるフェノタイプの解析

TREM2, CD33のリガンドの同定LRRタンパク質の機能解析

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aシヌクレイン凝集阻害薬

(FABP3 リガンド)

伝播阻害薬(セルトラリン)

レビー小体病根本治療薬の開発

レビー小体病の早期診断技術と根本治療薬の開発福永 浩司(東北大学)

(目的):

パーキンソン病を含むレビー小体病はαシヌクレインの凝集体が神経細胞間を伝播し、神経変性を起こすことで、認知症やパーキンソン症状を惹起する。αシヌクレインの凝集体形成および伝播を防ぐ根本治療薬は無い。本研究では脂肪酸結合タンパク質、FABP3の診断マーカーとしての有用性を確立し、FABP3リガンドの治療薬およびイメージングプローブとしての有用性の POC を取得する。さらに、伝播阻害薬セルトラリンの適応拡大を検証する。

(業務内容)• FABP3リガンドの非臨床POC取得(東北大学・福永浩司)• レビー小体病モデル作成と伝播の機序解明(東北大学・福永浩司)• aシヌクレインと FABP3 の相互作用機構の解明(鳥取大学・河田康志)• aシヌクレインの伝播阻害薬 セルトラリンのリポジショニングの検証(東北大学・

長谷川隆文)• レビー小体病のバイオマーカー・イメージングプローブの開発(国立病院機構

仙台西多賀病院・武田篤)

(研究実施体制) (課題の目標、将来の目的)

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発達障害・統合失調症等の克服に関する研究

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発達障害・統合失調症等の克服に関する研究拠点長:山末英典(浜松医科大学)

(グループ課題)山末英典(浜松医科大学)グループは、自閉スペクトラム症中核症状の革新的治療法の開発によって巨大なUnmet medical needsを解消

する目的で、バイオマーカーを活用したオキシトシン新規改良経鼻剤の多施設医師主導治験を動物実験と並行して行なって、自閉スペクトラム症の中核症状である対人コミュニケーション障害に対する初の治療薬を承認するためのデータを提供する。

吉川武男(理化学研究所)グループは、「発達障害に対する有効な治療薬は承認されておらず、統合失調症に対してはこれまで神経伝達物質受容体の観点から論じられてきたがアンメットニーズは依然として高い」、という現実に鑑み、ベタインを中心とした細胞内代謝経路および細胞内ダイナミクスという新機軸から発達障害・統合失調症の病理を理解し、生物学的病態に対応するバイオマーカーや診断法、および治療法に関して新技術創出を目指す。

尾崎紀夫(名古屋大学)グループは、自閉スペクトラム症と統合失調症の新規診断法・治療法を開発するため、①両疾患のゲノム解析に基づく発症メカニズムの解明、②モデル動物・細胞・組織の開発、③臨床表現型とゲノムデータを結びつけた新規診断法の開発、④特定の分子病態を反映した末梢バイオマーカーの開発、⑤モデル動物とiPS細胞を用いた新規治療法の開発を行う。

糸川昌成(東京都医学総合研究所)グループは、発達障害および統合失調症の診断法と治療法を開発することを目的とする。 業務内容は、ゲノム解析によってエフェクトサイズの大きいrare variantを同定し、variantを保有した希少症例(プロトタイプ)において大きなエフェクトサイズがもたらす病態を明らかにする。当該病態を動物モデルで再現し、病態を改善させる物質を検索する。プロトタイプと同じ病態を軽度に持つ一般症例にまで敷衍して、症候群から比較的均質で小さな亜型を抽出し、これらに病態改善物質を用いた治療戦略を立てる。課題の目標としては、統合的遺伝子診断法の開発と比較的均質で小さな亜型を抽出して、これらに病態改善物質を用いた治療戦略を立てる。

(目標達成型探索研究課題)竹本さやか(名古屋大)は、自閉スペクトラム症および統合失調症で見出された電位依存性カルシウムチャネルゲノム変異を対象とし、各

研究者の要素技術を活用した多面的な生物学的意義付けを推進する。また、制御可能な病態モデル動物を開発し、分子~特定神経回路~脳機能の連関を明らかとする。これらにより、カルシウムシグナル破綻に基づく精神疾患の分子細胞基盤を解明し、新規介入戦略樹立に繋げる。

前川素子(理化学研究所)は、核内受容体と統合失調症の病態メカニズムとの関連性を明らかにするため、ヒト遺伝学的解析、動物実験、培養細胞実験、ヒト死後脳を用いた実験、を行う。これらの解析結果を元に、核内受容体を分子標的とした新規治療法開発、バイオマーカーの開発に取り組む。

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大阪大学

名古屋大学

東北大学

北海道大学

理化学研究所早稲田大学

九州大学

帝人ファーマ

オールジャパンで挑む革新的な自閉スペクトラム症(ASD)中核症状治療法の開発

山末英典(浜松医科大学)

表情・視線・声色の定量解析

血中分子・ゲノム解析

マルチモダリティ脳画像解析

新規改良型オキシトシン経鼻製剤

・・・モデル動物・行動解析・分子生物学的解析

巨大なUnmet medical needs

東北大学

浜松医科大学

東京大学

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研究計画

H28

H29

H30

H31

H32

ASD中核症状の革新的治療法の開発による巨大なUnmet medical needsの解消

次世代シーズの有効性・安全性の検討

オキシトシン既存製剤の自主臨床試験

企業主導PIIb/ PIII治験

薬事承認

モデル動物の行動・分子機能解析

新規改良製剤の開発

薬効予測・診断技術の開発

240名のASD当事者におけるオキシトシン反応性と分子・ゲノムデータをメタ解析

次世代シーズ分子の同定と機能解析

次世代シーズの創出

医師主導PI治験

医師主導PIIa治験

オキシトシン反応性を規定する分子(次世代シーズ)の検索

オキシトシン投与条件の基礎データ収集

ASDモデル動物で効果発現メカニズム・関連病態

を検証(行動・中間表現型・分

子ゲノムマーカー)

「マウスASD表現型解析システム」

の構築

オキシトシン効果発現メカニズムと関連病態(薬効と関連する行動・中間表現型・分子ゲノム

マーカー)を探索・検証

ヒト臨床研究 動物実験 融合的研究課題外の項目

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ベタインを中心とした細胞内代謝・細胞内ダイナミクスから挑む発達障害・統合失調症の新規診断・治療法の開発

(吉川武男:理化学研究所)

ベタインを中心とした細胞内代謝・細胞内ダイナミクスから挑む発達障害・統合失調症の新規診断・治療法の開発

(吉川武男:理化学研究所)

ベタイン(トリメチルグリシン)ベタイン(トリメチルグリシン)

東京大学(切原):ベタインの自主臨床試験医師主導治験

東京大学(廣川・田中):キネシンモーター分子からのアプローチ

-

NR2B

微小管

KIF17

理化学研究所(吉川):硫化水素、ベタイン、酸化ストレスの相互連関

iPS細胞 神経幹細胞塊

分化誘導

国立精神・神経医療研究センター(星野):AUTS2・DSCAML1分子からのアプローチ

健常シナプス形成

疾患シナプス形成

国立精神・神経医療研究センター(木村):硫化水素シグナルからのアプローチ

合成 分解

貯蔵・放出 機能

SAM

Cys

CBS

CTH

MPSTH2S

H2S

H2S

結合型硫黄

Ca++

シグナル

細胞保護・障害

貯蔵 NMDARK・TRPチャンネル

トランスポーター酵素

S┃ ┃ ┃SHSH

┃SH

H2S2O3

RhodaneseSQR ─ SSH

SQR

放出

福島県立医大(國井):死後脳からの検証アプローチ

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応用を見据えた発達障害・統合失調症病理の統合的理解

研究計画研究計画

H28

H29

H30

H31

H32

新規診断技術・治療法の開発

新規治療法開発

・サルファストレス緩和法

・KIF制御化合物のプロトタイプ

・薬理学的シャペロン

ベタインの臨床試験

医師主導治験

自主臨床試験

治験準備

臨床試験の実施

薬効と相関するバイオマーカー

探索&特許出願

治験実施(POC取得)

企業主導治験

薬事承認

モデル動物の行動・分子機能解析

遺伝子改変動物・ゲノム編集iPS細胞の作成

パスウエイ解析

in vitro in vivo解析

(着目因子)・ベタイン・H2S・CRMP2

・KIF・AUTS2・DSCAML1・ストレス代謝産物

病理評価系開発

診断バイオマーカー開発

ヒトサンプル収集

生化学的・ゲノム解析

死後脳を用いたゲノム・

タンパク解析

疾患層別化のバイオマーカー、診断キット開発

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(5) 新規治療法開発

疾患モデル動物及びモデル細胞・組織を利用した分子病態に基づく治療法開発

モデルマウス及び患者iPS細胞由来モデル細胞を利用コンパニオン診断法として活用し治療標的群を抽出

POC取得から治験をめざす

POC取得モデル動物と細胞・ヒト脳組織・神経画像を活用

新規診断法開発(4) ASD・SCZから特定分子病態群を抽出する末梢

バイオマーカー開発22q11.2欠失と末梢血reelinに着目

(3) ゲノム解析から診断法開発全ゲノム解析、臨床表現型、パスウェイ解析

ゲノム解析から分子病態解明疾患ゲノム変異のin silico, in vitro, in vivo解析

(1) 発症メカニズム解明

POC取得から治験をめざす

相互比較・検証

相互比較・検証

相互比較・検証

ゲノム解析結果に基づくモデル生物開発脳組織オルガノイドの開発

(2) 診断・治療に繫がる疾患モデル動物・細胞・組織開発

発達障害・統合失調症等の克服に関する研究尾崎 紀夫(名古屋大学) ASDとSCZ克服に向けた診断法・治療法開発計画全体像

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15

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・ゲノム変異から発症メカニズム解明・診断・治療法に繫がる疾患モデル動物・細胞・組織開発

MRI画像解析表現型解析

名古屋大学

・疾患モデル生物から治療法開発

医療薬学

モデル動物薬効評価

ヒト脳組織解析融合脳ヒト脳組織リソースチーム(協力)

分子生物学的解析

神経薬理学

精神医学・親と子どもの心療学

・未診断患者のゲノム解析から診断法開発

ネットワーク解析

全ゲノムCNV解析

Exome解析

システム生物

モデル動物作製, 発症機構解析

脳とこころの研究センター

患者iPS細胞樹立,神経細胞分化法開発・分子病態群を特定する診断法開発

Reelin&22q欠失バイオマーカー開発:

蛋白構造解析:(協力)創薬等支援技術プラットフォーム

治療法開発:製薬企業

治療法開発:製薬企業

(協力) All Japanゲノムコンソーシアム

(協力)国際ゲノムコンソーシアム

Reelinマーカー開発

(協力) All Japan表現型コンソーシアム

疾患モデル細胞・組織薬効評価

先端医療研究支援センター

疾患モデル組織作製

生物統計、生命倫理、PMDA相談、特許出願

先端医療研究支援センター

AMED・脳プロ融合脳PD,PS,PO・脳プロ・革新脳参画機関・革新的医療技術創出拠点

:連携

22q欠失マーカー開発

臨床・基礎・産業界の連携研究体制

同意取得・サンプリング

病態解析

環境医学研究所

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Nx3100

Sirius

NAS

Mercury

Venus

Capella

制御用WorkSta on Xeon3.46GHz(12) Mem 100GB HDD 10TB

DELL R910 Xeon2.4GHz(40) Mem 256-512GB HDD 60TB

/nas /triton

/ tan /archive /archive2 /archive3 /nas3 /nas4

解析用サーバ

Jupiter

Neptune

Saturn

居室用WorkSta on Earth Uranus Rigel Mars

Folivoraサーバ群

Procyon

Aldebaran

DELL R920 Xeon 2.8GHz(60) Spica 2.5GHz(72) Mem 512GB 1TB: Sirius Spica HDD 20TB

DELL R720 Xeon 3.0GHz(20) Mem 256GB HDD 2TB

Deepspace01-15

演算サーバ 大容量メモリサーバ

DELL MD3460 HDD 240TB(物理容量)

Betelgeuse

NAS

Infiniband 56Gbps

NGS基幹ネットワーク 1Gbps

ストレージ用ネットワーク 10Gbps

フロントエンド Orion

QNAP

Spica

HPC管理ネットワーク 1Gbps

Pollux

拠点横断連携で挑む革新的な発達障害・統合失調症の診断・治療法の開発

糸川昌成(東京都医学総合研究所)

病態に基づく治療法

都医学研、京大

Rare variant横浜市大

動物モデル東大、理研

バイオマーカー都医学研、京大

遺伝子・バイオマーカー診断法横浜市大、都医学研

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Page 18: 融合脳 「認知症等の克服に関する研究」 「発達障 …融合脳 「認知症等の克服に関する研究」 「発達障害・統合失調症等の 克服に関する研究」

診断法・治療法の研究開発戦略

Rare variant同定 病態 drug

Vit. B6GLO1

都医学研京大

理研

横浜市大

SCN2ASCN1A

STXBP1

東大カルボニル

関連遺伝子

診断法 バイオマーカー 治療法

新規rare variant

戦略:

開発:

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