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平成24年度 次世代の科学技術を担う人材育成事業 福岡県 高校生科学技術コンテスト 受験番号 氏 名 所属校名 福岡県教育委員会

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平成24年度 次世代の科学技術を担う人材育成事業

福岡県

高校生科学技術コンテスト

総総合合問問題題・・数数学学

解解答答解解説説

受 験 番 号

氏 名

所 属 校 名

福岡県教育委員会

- 2 -

第1問(総合問題)

[出題のねらい] 現在,人類はエネルギー問題に直面している。

依存している化石燃料の枯渇,原子力発電の危

険性の問題などである。一方で,新しいエネル

ギー開発・研究も進んでいる。エネルギー問題

をテーマとして,問題文を読む理解力,思考力

などを問う出題をした。 [解答]

問1 (1) ⑤ (2) 1.9 m3 問2 (1) 産業革命による大量の化石燃料の

消費が始まったため。 (2) 人の多い環境では,その測定は局地的な

ものになるが,人の少ない環境では大気の

循環による二酸化炭素の拡散により,地球

全体の平均値を測定できるため。 (3) 夏と冬では,植物による光合成量に差が

あり,二酸化炭素の消費量にも差があるた

め。 問3 (1) 2.8MeV

(2) リチウム原子核:Mm

m

Q

アルファ粒子:Mm

M

Q

問4 (1) Ⅰ;25,Ⅱ;50,Ⅲ;5,Ⅳ;30 (2)

[解説]

先進国の経済や生活は,化石エネルギーに依

存している。化石燃料は何億年もかかってつく

られた有限の資源であり,あと数十年で枯渇す

ると言われている。しかし年々消費が増加,途

上国も経済拡大をめざし,枯渇がさらに早まる

ことは確実になってきている。

世界のエネルギー資源

資 源 採掘寿命

石 油 46 年

天然ガス 63 年

石 炭 119 年

ウラン 69 年

(OECD エネルギー統計 2009)

埋蔵量の少ない産油国はあと 20 年で原油資

源の枯渇が見込まれており,その時,産油国

(OPEC)は大幅な輸出削減に走ると見られてお

り,石油に過剰に依存している世界経済の崩壊

は避けられない状態になっている。 さらに化石エネルギーの大量消費で二酸化炭

素が急激に増加し地球温暖化が進行し,異常気

象,海面上昇,洪水,食糧不足,環境難民増加

など深刻な問題が発生するという事も考えられ

ている。 問1 近年,メタンハイドレートと呼ばれるメタン

の水和物が,日本近海の海底に多量に存在する

ことが明らかになった。メタンハイドレートは

新しいエネルギー資源としてその有効利用に大

きな期待が寄せられている。 氷の中では水分子の酸素原子は,ダイヤモン

ドの中の炭素原子に似た配列をとる。すなわち

図 1 に示すように 1 つの酸素原子のまわりに 4つの水素原子が正四面

体状に配置している。

水素原子は近接する 2つ

の酸素原子の間に位置

し,水分子間に水素結

合が形成されている。 水中における水分子は,水素結合によって周

りの水分子と会合し,分子の集団を形成する。

このような分子の集団はクラスターと呼ばれる。

液体の水を冷却すると,水分子間の水素結合が

切断されにくくなるため,クラスターのサイズ

が大きくなり,やがて氷の結晶へと成長する。

水中にメタンのような疎水性分子が存在する と,水分子は疎水性分子

を取り囲むようにしてク

ラスターを形成する (図2)。メタンハイドレート

の結晶では,水分子がメ

タン分子の周りを“かご”状に取り囲んだ構造をと

ることが知られている。

(0.5 キロルクス) (12 キロルクス)

- 3 -

メタンハイドレートの見た目は氷に似ている。

1 m3のメタンハイドレートを1気圧の状態で解

凍すると 164 m3 のメタンガスと水に変わる。

解凍する前のメタンはメタンハイドレートの体

積の 20 %に過ぎず,他の 80%は水である。分

子式は CH4•5.75H2O と表され(CH4 8 個につ

き H2O は 46 個),密度は 0.91 g/cm3である。

火をつけると燃えるために「燃える氷」と言わ

れることもある。 現在,日本近海等に多量の鉱床が見つかって

いるが,低温・高圧の条件でなければ CH4が海

中から空気中に放出されてしまうため(下図)に,

現有の採掘技術では回収できないという問題点

もある。

コスト面の問題もあるため,これからの課題

はいかに効率よく回収できるか,ということに

なる。 (1) メタンの構造は次の電子式でもわかるよ

うに,正四面体形であることが知られている。

C HH

HH

C

H

H

ClCl

もし,メタンが次のような正方形であった

なら,ジクロロメタン CH2Cl2には 2 種類の

異性体が存在することになるが,実験的事実

からジクロロメタン CH2Cl2 には異性体が存

在しないことがわかっているので,メタンは

正方形ではなく,正四面体形であることがわ

かる。

C

H

Cl Cl

H

C

HCl

ClH

メタンが正方形なら2 種類の異性体が存在する。

(2) 単位格子 1.70×10-21 cm3中に 8 個の CH4

と 46 個の H2O を含んでいるので,8CH4・

46H2O が 1 組と考えると,1 mol の個数は

6.0×1023 個,分子量は 8×16 + 46×18 = 956 よ

り,メタンハイドレートの密度 d〔g/cm3〕を求

めることができる。 1.70×10-21×d〔g〕 → 1 組 956 g → 6.0×1023組 比例計算より, 1.70×10-21×d×6.0×1023 = 956×1 ∴ d ≒ 0.937 g/cm3 つまり,メタンハイドレート 10 kg は,

0.937

1010 3cm3の体積をもつことになる。

また,単位格子 1.70×10-21cm3中に CH4は,

23106.08

mol 含まれているので,0.937

1010 3cm3

では,

2321

3

106.08

101.701

0.9371010

≒ 83.7 mol

よって,標準状態における CH4は, 83.7×22.4 = 1874 L ≒ 1.9 m3

[別解] 分子量より,メタンハイドレート 956 g 中

に CH4を 8 mol 含むことになるので,10 kg

では, 8956

1010 3

≒83.7 mol 含む。

問2 産業革命以降,特に 20 世紀に入ってからは

急速に,二酸化炭素,メタン,人工物質である

ハロカーボン類などの温室効果ガスが増加しつ

つあり,これがもたらす地球温暖化は,自然の

生態系や人間社会に大きな影響を及ぼし,人類

の生存基盤を揺るがす問題となっている。 このため,現在では,気候変動に関する政府

間パネル(IPCC)第 27 回総会(2007 年,スペイ

ン・バレンシア)において,IPCC 第 4 次評価報

告書統合報告書の政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに,統合報告書本編が受諾さ

れた。これら大気成分の濃度変化について世界

各国の協調のもとで組織的な観測・監視が行わ

れている。 工業化以後における大気中の二酸化炭素濃度

上昇の主要な原因は化石燃料の使用であり,土

地利用の変化も重要ではあるがその影響は小さ

い。化石起源の二酸化炭素の年間排出量は,

1990 年代の年当たり炭素換算で 64 億 t(二酸化

- 4 -

炭素換算で235億 t)から,2000~2005年には,

年当たり炭素換算で 72 億 t(二酸化炭素換算で

264 億 t)に増加した。土地利用の変化に関連す

る,1990 年代の二酸化炭素の平均排出量は,年

当たり炭素換算で 16 億 t(二酸化炭素換算で 59億 t)と推定されるものの,この推定には大きな

不確実性を伴う。(IPCC,2007 報告書より)。 (1) 大量の化石燃料の消費が始まるのは,18世紀後半のイギリスに始まる産業革命以降で

あるが,大気中の二酸化炭素濃度もそのころ

から増加が始まっている。さらに近年になる

と,図に見られるように,化石燃料からの二

酸化炭素排出量の増加に対応してその大気中

濃度は増加し続けていることは明らかである。 (2) 都会では二酸化炭素の排出量が多く,その

地域での観測は局地的な二酸化炭素濃度の測

定になってしまうが,人の少ないところでの

観測では大気の循環によって二酸化炭素が拡

散され,地球大気全体の平均値を測定できる。 問3 「ホウ素中性子捕捉治療」では,ガン細胞に

ホウ素 B105 を取り込ませて,放射線の一種であ

る中性子線n (熱中性子)を人体に影響が少ない

低エネルギーで照射する。すると,ホウ素と中

性子が反応してアルファ粒子 42Heが出る(次図)。

105B + n → 7

3Li + 42He ・・・(a)

アルファ粒子には細胞を殺す強いはたらきが

あり,飛距離は,細胞 1 個分以下と短いので,

まわりの正常細胞に影響を与えず,そのガン細

胞だけを殺すことができる。一般的な放射線療

法は,ガン組織全体に治療効果のある放射線を

当てるため,ガン細胞周辺の正常細胞も傷つく

が,ホウ素中性子捕捉療法は,原理的には,ガ

ン細胞だけを選択的に殺して,正常細胞をほと

んど傷つけない画期的な治療法といえる。 ガン細胞は増殖力が強いため,正常細胞より

もホウ素化合物を多く取り込みやすいという性

質を利用し,アミノ酸とホウ素の化合物

BPA(p-Boronophenylalanine)を患者に点滴す

ることにより患部にホウ素を取り込ませる。 また,中性子の発生源は,これまで原子炉だ

けであったが,最近では中性子源として小型加

速器の開発も進んでいる。加速器は,陽子や電

子などの粒子を加速して飛ばす装置で,円形や

直線の加速器でつくった陽子線を,ベリリウム

やリチウムなどの金属に当てたときに生じる中

性子線を利用する。加速器は原子炉よりも操作

が簡単で,病院の建物内にも設置できる。臨床

研究が飛躍的に進み,実用化への大きな一歩に

なると期待されている。 (1) (a)において,ホウ素10

5Bの原子核 1 個が反応

するときの反応の前後での質量の減少分⊿m は, ⊿m=(10.01020+1.00866)-(4.00151+7.01436)

=0.00299〔u〕 1u の質量をエネルギーに換算すると

9.3×102MeV であることから,放出されるエ

ネルギーQ は, Q=⊿m×9.3×102 = 0.00299×9.3×102 ≒2.8〔MeV〕

(2) 反応後のリチウム原子核の速さを V,アル

ファ粒子の速さを v とする。このとき,問題

文よりわかる関係を整理すると,次のように

なる。 ・リチウム原子核の運動量の大きさとアルファ

粒子の運動量の大きさが等しい(運動量保

存則) MV=mv

・Q がすべてリチウム原子核とアルファ粒子

の運動エネルギーに変換された(エネルギ

ー保存則)

Q= 21 MV2

+ 21 mv2

これらの式より,

21 MV2

=Mm

m+

Q

21 mv2

=Mm

M+

Q

- 5 -

問4 バイオマスエネルギーは,石油のような枯渇

性資源を代替しうる非枯渇性資源として注目さ

れている他,二酸化炭素(CO2)の総排出量が増

えないと言われていることから,おもに自動車

や航空機を動かす石油燃料の代替物として注目

されている。しかし,バイオマスエネルギーが

普及するにあたり,以下の課題が存在している。 バイオマスエネルギーは植物を利用する(有

力なのがサトウキビ,小麦,トウモロコシ等で

ある)。大量に増産するには当然ながら作物が大

量に必要となるが,作物の耕作面積が急速に増

えることはありえない。そのため,現在の生産

量の中から穀物を利用することになるわけだが,

全体的な生産量が上がっていない状態で需要だ

けが伸びることにより,穀物の値段の高騰を引

き起こしている。特に日本の場合,食料自給率

は 40%程度であり,結果的に,日本は輸入穀物

の価格の高騰による影響を受けている。 そこで,食用作物以外での生産技術の開発が

望まれている。今,次世代の燃料として関心を

集めているのが藻類などから作り出すバイオマ

スエネルギーである。ユーグレナ(和名:ミドリ

ムシ)は,光合成によって二酸化炭素を固定して

成長するとき,油脂分を作り出していて,これ

がバイオマスエネルギーの元として利用可能で

ある。 ミドリムシは体長 50~100マイクロメートルの単細胞生

物で,おおよそ紡錘形である。

二本の鞭毛をもつが,一本は

非常に短く細胞前端の陥入部

の中に収まっている。一方の

長鞭毛を進行方向へ伸ばし,

その先端をくねらせるように

動かしてゆっくりと進む。細胞自体は全体に伸

び縮みしたり,くねったりという独特のユーグ

レナ運動を行う。鞭毛運動をする動物的性質を

もちながら,同時に植物として葉緑体をもち光

合成を行うため,動物・植物の区別が難しい,

という話の好例として挙げられる。 (1) 問題文にあるように,ミドリムシの細胞成

長では,細胞は細胞周期をくり返して増殖す

る。細胞周期は G1期,S 期,G2 期の順に進

行し,この間に細胞核1個当たりの DNA 量

が 2 倍になる。DNA 量が 2 倍になった細胞

は 後に M 期(分裂期)に入って分裂する。

光を当てたとき,光がどのような強さであ

っても,S 期,G2期,M 期の速さは全く変化

せず,各々,3 時間,1 時間,2 時間を保つ。

これに対し,G1期は光が強くなるに応じて

短 6 時間まで短くなり,光合成量に依存する。

つまり,ミドリムシの細胞成長は主に G1 期

に行われていることがわかる。細胞周期の,

どの時点においても,G1 から M 期のいろい

ろな時期のミドリムシが混在している。 例えば,細胞周期が 12 時間で進行するな

ら,S 期(3 時間),G2期(1 時間),M 期(2 時間)の長さは変化しないため,G1期は 12-(3 + 2 + 1) = 6 時間ということになる。よって,

Ⅰ S 期は, 25(%)100123

Ⅱ G1期は, (%)5100126

0

また,細胞周期が 60 時間の場合には,S期は 3 時間で変化しないので,

Ⅲ S 期は, 5(%)100603

図4より,細胞周期を見積もると,細胞数

が 2 倍になる時間を見ればよいことになるの

で,およそ 30 時間であることがわかる。 Ⅳ 30 時間 (2) 0.5 キロルクスではみかけの光合成速度は

負になるため,G1 期が著しく長くなり,細

胞周期の進行が事実上停止すると予測され

る。 12 キロルクスでは光飽和の状態であり,

G1 期は 短の 6 時間になるため,細胞周期

は 12 時間になると予測される。

(相対値)

- 6 -

第2問(専門問題)

[出題のねらい]

数を並べた円順列という素朴なテーマを題

材にして,具体的な試行錯誤から解決の方向性

を発見する力,論理的に推論を組み立てる論証

力をみる。

特に問3については,「最大数が 14 となるこ

とはない」という命題をどのように翻訳するか

という数学的センスを問う。

[解答]

問1 下図のように,a,b,c,d,e,f,g を定

める。ただし,各文字は,2,4,5,6,7,8,

9 のいずれかである。

このとき,

0 8a b

15a b c

3 12b c

3 14c d

3 15d e

1 13d e

1 14e f

1 15f g

0 14f g

0 15g a

第 1 式,第 2 式から, 7c

これを第 3 式に代入して, 2b

以下同様にして,

4d , 8e , 5f , 9g , 6a

よって,

問2 0 から 9 までの整数を環状に並べた円順

列の数字を,0 から順に左回り(右回りでも

よい)に読み取り,それを

0 0a , 1a , 2a , 3a , 4a , 5a , 6a , 7a ,

8a , 9a

とし, ia ( , , ,  , 0 1 2 9i )とその両

隣の数を足してできる□で囲まれた数を iA

とする。

このとき,

0 9 10A a a

1 1 20A a a

2 1 2 3A a a a

3 2 3 4A a a a

4 3 4 5A a a a

5 4 5 6A a a a

6 5 6 7A a a a

b15 a 0

g

f

1ed

3

c12 15

1414

14

158

1315

215 6 0

9

5

184

3

712 15

1414

14

158

1315

0a9a8

a3a4

a1a6

a2a5

a7

A9A8

A0

A1

A2

A3

A5

A4

A6

A7

- 7 -

7 6 7 8A a a a

8 7 8 9A a a a

9 8 9 0A a a

よって,

0 1 9 1 2 93A A A a a a

ところで,

1 2 9 45a a a

であるから,

0 1 9 3 45 135A A A ここで,すべての i に対して ≦13iA であると

仮定すると,

≦ 0 1 9 13 10 130A A A

となり矛盾する。

以上から,「□で囲まれた数からなる円順列」

の構成要素には,必ず 14 以上の数がある。

(証明終わり)

問3 すべての iに対して ≦14iA であると仮定

すると,

≧ 2 1 2 314 A a a a

≧ 5 4 5 614 A a a a

≧ 8 7 8 914 A a a a これらの辺々を加えると,

≧ 2 5 814 3 A A A 1 2 3 4 5 6 7 8 914 3 a a a a a a a a a

14 43 5

これは矛盾である。

よって,15 以上となる iA が存在する。

したがって,「□で囲まれた数からなる円順

列」における構成要素の最大数が 14 となる

ことはない。

(証明終わり)

第3問(専門問題)

[出題のねらい]

辺の長さが 3,4,5 の直角三角形は非常に有

名であるが,この三角形の内角について議論さ

れることはほとんどない。そこで,その内角の

ある具体的な角度による評価ができるかどう

かを問う問題である。図形の基本的な性質を理

解しているかどうか,また,その知識をどう組

み立てられるかという図形考察力を問うこと

がねらいである。

[解答]

解法 1(2 倍角,3 倍角の公式を利用する解法)

36 とおくと,

5 180

3 180 2

よって,

cos3 cos 180 2

すなわち,

cos3 cos2 2 倍角,3 倍角の公式により,

3 24 cos 3cos 2cos 1

3 24 cos 2cos 3cos 1 0 2cos 1 4 cos 2cos 1 0

cos 0 より, cos 1 0 であるから,

24 cos 2cos 1 0

1 5cos4

cos 0 より,

1 5cos cos364

ここで, 4cos5

であるが,

1 5 5 5 11 125 1214 04 5 20 20

よって, 1 5 44 5

すなわち,

cos36 cos

- 8 -

cos x は 0 90x において単調に減少するから,

36

(証明終わり)

解法 2(内角が 36,72,72の二等辺三角形

を利用する解法)

A 36 , B C 72 の二等辺三角形 ABC

を考える。

Bの二等分線と辺ACとの交点をDとすると,

△ABD はDA =DBの二等辺三角形

△BCD はBC=BDの二等辺三角形

となる。 AB a, BC b とすると( 1b とし

て考えてもよい), AD=BD=BCであるから,

CD a b

△ABC∽△BCD であるから,

AB: BC=BC: CD

: :a b b a b

2a a b b

2 2 0a ab b

2

1 0a ab b

0ab

より, 1 52

ab

したがって,

1 5cos362 4ab

ここで, 4cos5

であるが,

1 5 5 5 11 125 1214 04 5 20 20

よって, 1 5 44 5

すなわち,

cos36 cos

cos x は 0 90x において単調に減少するから,

36

(証明終わり)

解法 3(直線の傾きを利用する解法)

点 O を原点とする座標平面上に,辺の長さが 3,

4,5 の直角三角形 ABQ,ODP,ODC と,

AO= AQ 5 の二等辺三角形 AOQ を図のよう

にとる。

不等式

36

を示すためには,

180 5 すなわち, 5902

を示せばよい。

(図では,●が ,○が 12 を示している。)

点 P から直線 OC に垂線 PH を下ろし, OH u,

PH vとすると,

△PHC∽△ODC

であるから,

CH : HP : PC 3: 4 : 5 すなわち,

5 : : 6 3 : 4 : 5u v

これより,

75

u , 245

v

A

B C

D

a

a-b

b

b

36c

5

5

5

5

4

4

3

3

3

A

O

B

C

D

P

Q

H

y

x

- 9 -

したがって,OQ と OP の傾きを比較すると,

の傾き = 5 4OQ 33

の傾き = 24OP7

vu

よって,

の傾き の傾きOQ OP であるから,

190 22

すなわち,

5902

以上から, 36 は示された。

(証明終わり)

第4問(専門問題)

[出題のねらい]

先を見通して要領よく工夫して,与えられた

公式に帰着させる計算処理能力を問う。また,

最小値をとるときの点の位置を考察するとき

に,最小値を取り得るかどうかの精緻な議論が

できるかどうかを問う。

[解答]

問1 1 1 1 11 12

S u a uu u a

1 12

a uuu u

Sa

1 1 1

2u a a

aS

u

1 12

ua

S au

……(*)

ここで,1 u a より 0ua ,1 0

u であるか

ら,相加平均と相乗平均の大小関係により,

≧1 1 22u ua u a u a

等号が成り立つのは,

1ua u かつ 1 u a

から, u a のときである。

1 02

a であるから,S は =u a のときに最

小となる。

以上から, , P 0a

〔(*)以降で,u についての実数解条件を用い

る別解〕

21

2a u aS

a u

ここで,2u a tu とおくと,

2 0u tu a ……①

u についての 2 次方程式①は実数解をもつこ

- 10 -

とが必要であるから,

≧2 4 0t a

0t であるから, ≧2t a

=2t a のとき,①の実数解(重解)を求める

と,

2tu a

となり,これは 1 u aを満たしている。

よって,2u atu は =u a のときに最小と

なる。

1 02

aa であるから,S は =u a のときに最

小となる。

以上から, , P 0a

〔(*)以降で,S を u で微分して増減を調べる

別解〕

21

2a u aS

a u

であるから,S を u で微分して,

2

2

1 2 12

a u u u aSa u

2

2

12

a u aa

Su

0S とすると, u a

1 02

aa であるから,1 u a における S の

増減表は次のようになる。

極小

1

0

u a a

S

S

よって,S は u a のときに最小となる。

以上から, , P 0a

問2

(1) ≧ 3

3

31 1 1 3p q r pqrp q r pqr

≧3

3

31 1 13p q r pqrp q r pqr

……② 3p x , 3q y , 3r z とおくと, 3

pqr xyz

より,②は,

≧3 3 33 3 3

31 1 13x y z xyzxyzx y z

……③

となる。

ここで, 1p , 1q , 1r のとき,

1x , 1y , 1z

である。この条件のもとで,③を示す。

③ 2 2 2x y z x y z xy yz zx

≧2 2 2

1 1 1 1 1 1 1 1 1x y z xy yz zxx y z

2 2 2x y z x y y z z x

≧2 2 2

1 1 1 1 1 1 1 1 1x y z x y y z z x

ここで,

≧2

2 1 1x yx y

……④

を示す。

2

2 1 1x yx y

22

2

x yx y

xy

2

2

11x yxy

22

2

10

xyx y

xy

……⑤

( 1x , 1y より)

これより,④は成り立ち,同様にして,

≧2

2 1 1y zy z

, ≧2

2 1 1z xz x

も成り立つ。

- 11 -

よって,

2 2 2x y y z z x

≧2 2 2

1 1 1 1 1 1x y y z z x

また, 1x , 1y , 1z より,

1 1 1 0x y zx y z

以上から,③,すなわち,与えられた不等式

は成り立つ。

③の等号が成り立つのは,⑤から,

x y z すなわち, p q r

のときに限る。

(証明終わり)

(2) 1 1 1 11 12

T u v uu u v

99

1 1 a vv a

であるから,

1 1 12 1 1T u v uu u v

99

1 1 a vv a

9

9

12 v u a vuu u v v a

T

……(※)

9

92 1v a u vu

u v u vT

a

ここで, 91 u v a より,

1vu ,

91a

v

であるから,

p u , vqu

,9arv

とすると,

1 1 12T p q rp q r

(1)より,

≧ 3

3

12 3T pqrpqr

9

39

3

12 3 v auu v v au

u v

T

33

2 13 aTa

よって, ≧ 33

3 12

T aa

等号が成り立つのは,

p q r

つまり,9v au

u v のときである。

2u v , 9uv a より, 3 9u a

これより, 3u a , 6v a 以上から,T は,

3u a , 6v a のとき,最小値 33

3 12

aa

をとる。

したがって,T が最小となるときの点 P,R

の座標は,

, 3P 0a , , 6R 0a

〔(※)以降で,T の増減を微分法で調べる別解〕

まず,v を固定すると,問1より,T が最小

になるのは, u v のときである。

このとき,

9

9

1 12 a vT v vv av v

次に,v を 91 v a において変化させる。

v t とおくと,

9 2

2 9

1 222

a tT tt t a

T を t で微分して,

9

2 3 9

1 2 2 222

a tTt t a

4 9 3 9 18

9 3

t a t a ta t

T a

0T とすると,

4 9 3 9 18 0t a t a t a

- 12 -

3 9 9 9 0t t a a t a 9 3 9 0t a t a

9 3 2 3 6 0t a t a t a t a 91 t a より, 3t a 91 t a におけるTの増減表は次のように

なる。

極小

3 91

0

t a a

T

T

よって,T は 3t a のとき最小となる。 3t a のとき, 3v a から, 6v a

また, 3u v a

したがって,T が最小となるときの点 P,R

の座標は,

, 3P 0a , , 6R 0a