ビッグデータの流通と阻害要因 - 第30回 情報通信学会大会 一般個人発表
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ビッグデータの流通と阻害要因
~放送業界を対象とした分析を中心として~
伊賀野康生一般社団法人テレコムサービス協会 関東支部ネットビジネス21研究会 副主査
池末成明総合研究大学院大学 複合科学科 情報学専攻
はじめに• 「テレコムサービス協会」とは
情報通信ネットワーク社会構築のための重要な担い手として、• 多様な情報通信サービスの創出• 健全な競争市場の発展• 安全・安心なネットワーク社会の実現
を活動目標とし、これらの活動により• 事業者のビジネスに貢献するとともに• 消費者の利益と地域社会の発展及び公共の福祉
に資することを目的とする業界団体
• 「ネットビジネス 21 研究会」とは• 刻々と変化する事業環境と、ネットビジネスの実態を把握し、支部の中心的な
活動の場として会員に有益な情報を提供する
• 2012 年度の調査内容• テーマ:ビッグデータと、その制限事項、解決への課題
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ビッグデータと、その制限事項、解決への課題
• 目的– ICTにおけるスマートな取組みとして、業界を選別し、ビッグデータの取扱いと制度的な阻害要因等について調査研究を行い、今後の事業展開の参考とする。
• 調査研究方法– 調査対象とする業界を選別。– 識者による講演を聞くか取材。– 調査のまとめ方を討議。– 業界毎に調査研究班を分け、研究成果をパワーポイントに整理。
– 研究会内で各班発表と意見交換。– 事務局報告書(案)を全員でレビュー、意見交換。
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調査対象業界• デロイト「シフトインデックス
産業展望」を参照し、各業界の位置づけを俯瞰
• ビッグデータの活用が期待される業界を管轄官庁毎に選定
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ヘルスケア産業(健康診断)
厚生労働省
自動車産業 国土交通省放送事業 総務省(情報流通行政局)
出典:シフトインデックス産業展望 監訳 池末成明
The Deloitte Center for the Edge
ビッグデータと放送事業
5出典:総務省 「ビッグデータの活用の在り方について」資料 ( 2012 年 5 月)
スマートテレビのソーシャル機能
放送コンテンツ
スマートテレビの利用履歴
スマートテレビのユーザ・データ
番組データ視聴データ
次世代の放送事業としてのスマートテレビ
6出典:総務省 「スマートテレビの推進に向けた基本戦略」資料 ( 2012 年 6 月)
7出典:経産省 「電子決済を活用したオンライン・コンテンツビジネスに関する調査研究報告書」 ( 2005 年 3 月)
既存の放送事業で扱われるメタデータ例
字幕と放送法• 放送法
– 1997 年• 放送法の改正に伴い、テレビ放送事業者は、字幕番組・解説番組をできる限
り多く設けるようにしなければならないことと放送努力義務が規定された• 平成 19 年度までに新たに放送する字幕付与可能な放送番組のすべてに字幕
を付与することを目標とした
– 2007 年• 字幕付与可能な放送番組の定義を拡大し、平成 29 年度までに対象の放送番組のすべてに字幕付与を目標とした– 拡大対象番組
» 複数人が同時に会話を行う場合以外の生放送番組» 手話により音声を説明している放送番組» 大部分が歌唱の音楽番組» データ放送やオープンキャプションにより番組の大部分を説明している場
合も、字幕放送に含める
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キーボード入力
リスピーカー日本語C
修正字幕PD 技術
PD
技術キーボード入力スピードワープロ
辞書制作
生字幕制作の流れ
音声
音声
音声
字幕データ
字幕データ
字幕データ
9情報提供: NHK グローバルメディアサービス
修正
PD
字幕PD技術
字幕PD
音声認識技術
スポーツ
バラエティー
報道
リレー方式
リスピーク方式
リレー方式
速記タイプ
字幕放送の現状
• 普及目標の対象の 6割~ 9割に字幕が付与されている普及目標の対象となる放送番組における字幕番組の割合
総放送時間に占める字幕放送時間の割合
NHK (総合) 70.6% 61.0%
NHK (教育) 53.5% 45.5%
在京キー 5 局 90.8% 46.1%
在阪準キー 4 局 90.9% 41.7%
在名広域 4 局 84.1% 41.3%
全国の系列ローカル局(在阪準キー 4 局及び在名広域 4 局を除く101 社)
64.0% 32.9%
• 字幕の付与が難しい番組– 生放送番組
• ニュース、スポーツ中継、複数人で会話するバラエティー番組など– 深夜・早朝帯の番組
総務省 平成 23 年度の字幕放送等の実績 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu09_02000045.html
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字幕放送の今後の懸念点• 既存の字幕未対応の番組は、字幕対応が困難な番組– 字幕対応に要するコストが大きく跳ね上がる可能性
がある• 今後の高齢化社会に向けて、更に、字幕放送の
重要性が増し、更なる字幕対応化への要望が予想される
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字幕放送事業の継続性を担保するためビジネス化が必要
字幕データの活用例• NHK
– 概要「クローズアップ現代」(総合)の放送内容をテキスト情報として公開している
– 目的:番組宣伝として
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メリット• コンテンツの「検索」や「加工」が容易になり、放送コンテンツの利活用促進
• 書籍等の別メディアへの応用を容易に実現
放送コンテンツ(音声や映像データ)がテキストデータ化
放送コンテンツをビッグデータ化しやすくなり、利活用が進む
字幕データ流通の主な阻害要因• 潜在的価値が認識されていない– 一方で、字幕対応にコスト負担を強いられて
いる• データが統一的に扱われていない–「録画番組」と「生放送番組」–「オープン・キャプション」と
「クローズド・キャプション」• 権利処理が煩雑で負担が大きい–映像コンテンツと同様の問題 13
キャプションの種類• オープン・キャプション
– いわゆる、テロップ– 通常放送として、画面に表示されるテキスト– 例
• 登場者情報、撮影場所、会話の重要な部分• クローズド・キャプション
– リモコンの「字幕」ボタンによって表示されるテキスト
• それぞれは、全く別のフローで付与される– オープン・キャプション: 編集フェーズ– クローズド・キャプション: 伝送フェーズ
• クローズド・キャプションには、オープンキャプションとして表示される発話部分が含まれない
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15出典:総務省 「放送コンテンツ流通の促進に向けて」資料 ( 2012 年 8 月)
提言• 放送コンテンツをビッグデータ化するスマートテレ
ビにおいて、「字幕データ」の積極的な活用を推進• 各放送局で「字幕データ」の統一的扱いを決定し、
「字幕データ DB 」を作成– 「オープン」+「クローズド」の統合– 将来的には、放送局を縦断する共通プラットフォーム化
• 新規制作コンテンツ– 「字幕データの活用」も視野に入れ、制作段階で権利処理を実施
• 放送済コンテンツ– aRma (映像コンテンツ権利処理機構)などを活用
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謝辞本研究の推進にあたっては、以下の方々にご支援頂いた。皆さんのご支援に深く謝意を表したい。• テレコムサービス協会 関東支部 ネットビジネス 21 研究会
– 桑子博行氏(テレコムサービス協会)– 石前義行氏( NEC ビッグローブ)– 稲次克彦氏(テレコムサービス協会)– 石田茂氏(インテック)– 後藤堅一氏(日本通信)
• 清水計宏氏• その他、自動車業界、放送業界、健康診断業界のビッグ
データに影響力のある担当者の方々
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ご清聴ありがとうございました
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