情報通信審議会...

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情報通信審議会 情報通信技術分科会(第125回) 日 時:平成29年3月31日(金) 14:00~ 場 所:第1特別会議室(8階) 1 開 会 2 議 題 (1)答申事項 ①「放送システムに関する技術的条件」のうち「放送事業用無線局の高度化 のための技術的条件」のうち「超高精細度テレビジョン放送のための マイクロ波帯を使用する放送事業用無線局(FPU)の技術的条件」に ついて 【平成18年9月28日付け諮問第2023号】 ②「非静止衛星を利用する移動衛星通信システムの技術的条件」のうち 「1.6GHz帯/2.4GHz帯を用いた移動衛星通信システムの技術的条件」に ついて 【平成7年9月25日付け電気通信技術審議会諮問第82号】 ③「Ka帯を用いた移動体向けブロードバンド衛星通信システムの技術的条件」 のうち「Ka帯を用いた移動体向けブロードバンド衛星通信システム(ESIM) の技術的条件」について 【平成28年6月30日付け諮問第2037号】 ④「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「デジタル コードレス電話の無線局の高度化に係る技術的条件」について 【平成14年9月30日付け諮問第2009号】 ⑤「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「920MHz帯 小電力無線システムの高度化に係る技術的条件」について 【平成14年9月30日付け諮問第2009号】 ⑥「ITS無線システムの技術的条件」のうち「700MHz帯高度道路交通システム の高度化に関する技術的条件」について 【平成21年7月28日付け諮問第2029号】 (2)報告事項 IoT時代の無線通信システムの検討状況 3 閉 会

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情報通信審議会 情報通信技術分科会(第125回)

日 時:平成29年3月31日(金)

14:00~

場 所:第1特別会議室(8階)

議 事 次 第

1 開 会

2 議 題

(1)答申事項

①「放送システムに関する技術的条件」のうち「放送事業用無線局の高度化

のための技術的条件」のうち「超高精細度テレビジョン放送のための

マイクロ波帯を使用する放送事業用無線局(FPU)の技術的条件」に

ついて

【平成18年9月28日付け諮問第2023号】

②「非静止衛星を利用する移動衛星通信システムの技術的条件」のうち

「1.6GHz帯/2.4GHz帯を用いた移動衛星通信システムの技術的条件」に

ついて

【平成7年9月25日付け電気通信技術審議会諮問第82号】

③「Ka帯を用いた移動体向けブロードバンド衛星通信システムの技術的条件」

のうち「Ka帯を用いた移動体向けブロードバンド衛星通信システム(ESIM)

の技術的条件」について

【平成28年6月30日付け諮問第2037号】

④「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「デジタル

コードレス電話の無線局の高度化に係る技術的条件」について

【平成14年9月30日付け諮問第2009号】

⑤「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「920MHz帯

小電力無線システムの高度化に係る技術的条件」について

【平成14年9月30日付け諮問第2009号】

⑥「ITS無線システムの技術的条件」のうち「700MHz帯高度道路交通システム

の高度化に関する技術的条件」について

【平成21年7月28日付け諮問第2029号】

(2)報告事項

IoT時代の無線通信システムの検討状況

3 閉 会

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< 配 付 資 料 >

資料125-1-1 放送システム委員会報告 概要

資料125-1-2 放送システム委員会報告

資料125-1-3 答申書(案)

資料125-2-1 衛星通信システム委員会報告 概要

資料125-2-2 衛星通信システム委員会報告

資料125-2-3 答申書(案)

資料125-3-1 衛星通信システム委員会報告 概要

資料125-3-2 衛星通信システム委員会報告

資料125-3-3 答申書(案)

資料125-4-1 陸上無線通信委員会報告 概要

資料125-4-2 陸上無線通信委員会報告

資料125-4-3 答申書(案)

資料125-5-1 陸上無線通信委員会報告 概要

資料125-5-2 陸上無線通信委員会報告

資料125-5-3 答申書(案)

資料125-6-1 陸上無線通信委員会報告 概要

資料125-6-2 陸上無線通信委員会報告

資料125-6-3 答申書(案)

資料125-7 IoT時代の無線通信システムの検討状況

※審議中継でダウンロードできる資料は、下線のもののみとなっております。

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システム推進室長

中村 新世代移動通信

移動通信課長

杉野

電波利用分析官 林

電波政策課長

田原

基盤局総務課長

秋本

電波部長

渡辺

総合通信基盤局長

富永

安藤委員

伊丹委員

江村委員

速記 西尾分科会長

相田分科会長代理

永利管理室長

放送技術課長

久恒

情流局総務課長

齋藤

大臣官房審議官

吉田

情報流通行政局長

南 技術政策課長

野崎

官房総括審議官

武田

村山委員

知野委員

三瓶委員

上條委員

審理官

関係者

関係者

関係者

関係者

関係者

関係者

関係者

関係者

関係者

関係者

ネッ

ト業者

ネッ

ト業者

ネッ

ト業者

ネッ

ト業者

ネッ

ト業者

傍聴席

操作卓 事務局

出入口

日時:

場所:

平成29年3月31日(金) 14:00~

総務省第1特別会議室(8階)

情報通信技術分科会(第125回) 座席表

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情報通信審議会 情報通信技術分科会放送システム委員会報告 概要

平成29年3月31日

放送システム委員会

資料125-1-1

「放送システムに関する技術的条件」(諮問第2023号)のうち「放送事業用無線局の高度化のための技術的条件」のうち

「超高精細度テレビジョン放送のためのマイクロ波帯を使用する放送事業用無線局(FPU)の技術的条件」

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検討開始の背景 1

4K・8Kについては、平成27年7月に「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合第二次中間報告」を公

表し、2020年に4K・8K放送が一般視聴者にも広く普及するよう、2018年のBS・110°CSによる4K・8K実用放送の開始などの目標が示されている。

こうした状況を踏まえ、番組伝送用の放送事業用無線局(FPU)についても、4K・8K素材伝送に対応した高伝送ビットレートをもつシステムが必要となるため、今般、現行の地上デジタル放送において主に使用されているマイクロ波帯※を使用するFPUの技術的条件の検討を行った。

※6GHz帯、6.4GHz帯、7GHz帯、10GHz帯、10.5GHz帯、13GHz帯

TSL

事件・災害等の報道中継

FPU受信基地

STL

放送局

送信所

スポーツ/一般番組の中継

放送

FPU(携帯型) FPU

(車載型)

TSL

FPU受信局(ビル屋上等)

FPU(ヘリに搭載)

FPU受信ポイント

FPU(車載型)

256QAM~ 4096QAM

ハイビジョンFPU64QAM

①変調の多値化 ②偏波MIMO

水平・垂直の両偏波を使用

伝送レートが2倍

③誤り訂正機能の強化

C/N

BER

畳み込み符号(ビタビ復号)

LDPC

FPU※の利用イメージ FPUの高度化のための技術

畳込み符号+

RS符号

LDPC符号+

BCH符号

FPU回線

※FPU: Field Pick‐up UnitSTL: Studio to Transmitter LinkTSL: Transmitter to Studio Link

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偏波MIMO 2

GH H

GH V

GV H

GV V

信号Hのコンスタレーション

GH H GH V

GV H GV Vチャネル応答⾏列G=

信号Vのコンスタレーション

信号H

信号V

〇 偏波MIMOは、MIMO技術のうち、同一チャンネルに水平偏波の電波と垂直偏波の電波を用い、互いに異なる情報を同時に伝送するもので、伝送できる情報量を大幅に増大することが可能。(理論上は2倍)

〇 それぞれの偏波の受信信号は、互いに他方の偏波の信号が混ざった状態になっているが、伝搬路の特性(チャネル応答行列)を受信側で正確に推定することで、それらを精度良く分離して、情報を正しく復調することが可能。

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超多値変調技術と誤り訂正の高度化 3

〇 現行のOFDM方式のFPUでは、キャリア変調に64QAMを採用しており、1キャリアシンボルで6ビットを伝送しているが、キャリア変調に最大で4096QAMを採用することにより、 1キャリアシンボルで12ビットを伝送することが可能。

○ キャリア変調の多値化により、所要C/Nが劣化するため、誤り訂正機能の高度化が必要。

○ 誤り訂正符号には、内符号として、理論限界に迫る高い訂正能力を持つLDPC符号(Low DensityParity Check Code)を、外符号として、リードソロモン符号と比べて簡易で符号化効率の高いBCH(Bose‐Chaudhuri‐Hocquenghem)符号を採用。

1.00E‐07

1.00E‐06

1.00E‐05

1.00E‐04

1.00E‐03

1.00E‐02

1.00E‐01

1.00E+00

10 15 20 25 30 35

BER

CNR [dB]

畳み込み(ビタビ復号)R=2/3(1024QAM)

LDPC R=2/3(1024QAM)

【誤り訂正符号の高度化による伝送特性の向上】

※ 1024QAM‐OFDM方式の例

256QAM~ 4096QAM64QAM

【変調の多値化】

1シンボルで6ビット

1シンボルで最大12ビット

最大で2倍の情報量

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検討の経緯 4

平成28年度

5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

技術分科会

放送システム委員会

4K・8K用FPU作業班

5/19

6/2

検討開始、4K・8K用FPUの要求条件を検討

5/30~6/13意見聴取の募集

5/24

検討開始の報告

12/5 2/912/13~1/16技術的条件に関する意見募集

技術的条件、共用条件の検討

作業班報告書案の検討、報告書とりまとめ

3/31

調査検討#1

調査指示

#2

7/26

#3

10/13

#4

11/28

報告

報告

技術的条件、共用条件の検討

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4K・8K用FPUの運用モデルと要求条件 5

1.伝送 4K・8K放送の番組素材としての品質を維持できるよう、TSビットレートで200~300Mbit/s級の伝

送を可能とする。 移動中継でも4K・8K放送の番組素材伝送を可能とする。

現行FPUと同等の運用形態を想定することから、建物などの反射によるマルチパスフェージング環境下での利用を可能とする。

2.伝搬距離 固定中継において 0.1 km ~ 50 km の伝搬距離を確保できること。 移動中継において 0.1 km ~ 4 km の伝搬距離を確保できること。

【運用モデル】

モデル 利用用途送信

空中線受信空中線 伝送距離

見通し外通信の有無

伝送レート 利用番組

固定中継(標準)

主に報道取材現場などの撮影現場からFPU基地局又は放送局までの中・長距離伝送する標準的な用途

パ ラ ボ ラφ0.6m

仮設パラボラφ0.6m基地局パラボラφ1.2m

50km(B,C,D帯)7km(E,F帯)5km(G帯)

無 200Mbit/s報道番組、スポーツ中継など

固定中継(高品質)

主に撮影現場からスイッチングセンターまで、高品質な番組素材を短・中局離伝送する用途

パ ラ ボ ラφ0.6m

仮設パラボラφ0.6m基地局パラボラφ1.2m

16km(B,C,D帯)2km(E,F帯)2km(G帯)

無 300Mbit/s

音楽番組、スポーツ中継、ドラマ番組など

移動中継

主にマラソンなどのロードレース中継や報道中継用として、中継車から受信基地等までを移動しながら短・中距離伝送する用途

電 磁 ホ ーン

パラボラφ0.3m4km(B,C,D帯)3km(E,F帯)3km(G帯)

無 150Mbit/sロードレー ス中継、報道番組など

【要求条件】

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最大伝送容量の検討 6

送信モード モデル映像ビットレート

※1

TSビットレート※2

映像ビットレートを満たす変調方式※3

最終的な伝送容量※4

フルモード

固定中継(標準)

188Mbit/s 以上 200Mbit/s 以上 1024QAM (符号化率:2/3)

344Mbit/s

固定中継(高品質)

285Mbit/s 以上 300Mbit/s 以上 4096QAM (符号化率:5/6)

412Mbit/s

移動中継 140 Mbit/s 以上 150 Mbit/s 以上 64QAM (符号化率:5/6) 206Mbit/s

ハーフモード

固定中継(標準)

87Mbit/s 以上 100Mbit/s 以上 1024QAM(符号化率:2/3)

168Mbit/s

固定中継(高品質)

135Mbit/s 以上 150Mbit/s 以上 4096QAM (符号化率:5/6)

202Mbit/s

移動中継 72Mbit/s 以上 75 Mbit/s 以上 64QAM (符号化率:5/6) 101Mbit/s

※1 ARIBの素材伝送用HEVC コーデック評価JTGによる評価実験の結果

※2 TS: Transport Stream※3 MIMO運用時。変調方式、符号化率は所要C/Nが可能な限り低くなるものを選択※4 パイロット信号、制御信号(TMCC、AC)を付加した理論上の最大伝送容量

最大伝送容量の検討にあたっては、まず、4K・8K素材伝送に必要な映像ビットレートの検証が必要。

電波産業会(ARIB)の素材伝送用HEVCコーデック評価JTGにおいて、ITU‐R勧告BT.500‐13 (01/2012)に基づく二重刺激連続品質尺度(DSCQS)法による画質評価が行われ、所要ビットレートを検証。

検証結果に基づき、 4K・8K素材伝送に必要な変調パラメータ及びパイロット信号、制御信号を含めた伝送容量について検討。

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他の無線システムとの共用検討 7

4K・8K用FPUは、空中線電力、占有周波数帯幅、サイドローブ特性、スプリアス発射、不要発射の強度の許容値等の電波の質に関する諸元は現行の規定を越えるものではないので、他の無線システムへの与干渉に関する新たな検討は不要であると考えられる。

しかし、所要C/Nが現行FPUと比較して大きくなることから、他の無線システムからの被干渉に関する共用条件は変わるため、被干渉についてのみ検討を行った。

既存無線システム 周波数帯 周波数関係

狭帯域無線システム(DSRC) 5,770 – 5,850MHz Bバンド隣接

固定衛星業務(アップリンク) 5,850 – 6,485MHz Cバンド共用

電気通信業務(6GHz帯) 5,925 – 6,425MHz B/Cバンド隣接

公共業務(6.5GHz帯) 6,570 – 6,870MHz C/Dバンド隣接

映像STL/TTL・TSL B,C,D,E,F,G,M,Nバンド B~Gバンド共用

現行FPU B,C,D,E,F,Gバンド B~Gバンド共用

【検討対象の無線システム】

Bバンド Cバンド

Dバンド

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共用検討の結果 8

既存無線システム モデル所要D/U[dB]

所要離隔距離

(正対の場合)[km]

DSRC移動局(B1隣接)

固定中継(標準伝送) 0.7  0.31 固定中継(高品質伝送) 10.7  0.31 移動中継 ‐5.1  0.15 

DSRC基地局(B1隣接)

固定中継(標準伝送) 0.4  9.3固定中継(高品質伝送) 10.4  9.3移動中継 ‐5.5  4.6 

固定衛星業務(C1~C4共用)

固定中継(標準伝送) 38.3  4.8固定中継(高品質伝送) 49.7  5.7 移動中継 34.8  3.1

電気通信業務(C1隣接)

固定中継(標準伝送) ‐17.3  28.4 固定中継(高品質伝送) ‐3.7  43.1 移動中継 ‐18.0  25.4 

公共業務(CバンドとDバンドの隣接)

固定中継(標準伝送) -30.7 21.3

固定中継(高品質伝送) -17.2 31.8

移動中継 -31.6 18.5

STL/TTL・TSL(B,C,D,E,F,Gバンド内隣接)

固定中継(標準伝送) -21.2 100.7

固定中継(高品質伝送) -8.1 143.9

移動中継 -27.8 45.5

現行FPUOFDM方式(B,C,D,E,F,Gバンド内隣接)

固定中継(標準伝送) ‐20.8  12.3 固定中継(高品質伝送) ‐7.2  18.6 移動中継 ‐27.8  5.3 

各既存無線システムにおいて求めた所要D/Uと、これに基づいて干渉側送信空中線と4K/8K-FPU受信空中線が正対した場合の所要離隔距離を算出した結果を右表に示す。

互いの空中線が正対した場合は、最大で100km以上の離隔距離が必要だが、角度をずらせば下図の例のように所要離隔距離が小さくなる。

総じて、互いの空中線が正対しないように4K・8K-FPUの位置や空中線の角度を調整することが可能であることから、これら既存無線システムとの共用は可能と考える。

空中線の向きが正対からずれた場合の所要離隔距離(STL/TTL/TSLの例)

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現行FPUと4K・8K等FPUの検討項目の関係① 9

検討項目 現行FPU(OFDM方式) 4K・8K用FPU

1 無線周波数帯 5,850~5,925 MHz(Bバンド)、6,425~6,570 MHz(Cバンド)、6,870~7,125 MHz(Dバンド)、10.25~10.45 GHz(Eバンド)、10.55~10.68 GHz(Fバンド)及び12.95~13.25 GHz(Gバンド)

変更なし(現行のマイクロ波帯FPUにおいて各免許人に割当てられたチャンネルへの導入を前提とする。)

2 通信方式 単向通信方式 変更なし3 電波の型式 X7W 変更なし4 最大伝送容量 105 Mbit/s(フルモード)

51 Mbit/s(ハーフモード)超高精細度テレビジョン放送用途(高品質伝送)での利用を可能とするため、以下の規定に変更

412 Mbit/s(フルモード)202 Mbit/s(ハーフモード)

5 空間多重方式 未検討 MIMOの導入

6 キャリア変調方式 64QAM、32QAM、16QAM、QPSK、DQPSK、BPSK、DBPSK 4096QAM、1024QAM、256QAMを追加

7 周波数の許容偏差 7×10-6以下 変更なし

8 占有周波数帯幅 17.5 MHz以下(フルモード)、8.5 MHz以下(ハーフモード)

変更なし

9 誤り訂正 以下を基本とする。固定伝送(64QAM-OFDM)

内符号:畳み込み(5/6)外符号:リードソロモン(204,188)

移動伝送(16QAM-OFDM)内符号:畳み込み(3/4)外符号:リードソロモン(204,188)

以下を基本とする。固定伝送(標準)(1024QAM-OFDM)

内符号:LDPC(2/3)外符号:BCH

固定伝送(高品質)(4096QAM-OFDM)内符号:LDPC(5/6)外符号:BCH

移動伝送(64QAM-OFDM)内符号:LDPC(5/6)外符号:BCH

10 C/N及びC/N配分 固定伝送:28 dB移動伝送:22 dB

固定伝送(標準):27.1 dB固定伝送(高品質):37.1 dB移動伝送:21.2 dB

11 瞬断率規格、不稼働率規格

所要の伝送パラメータ等を定めるための目標値として以下を提示固定伝送 0.5 (%/年)以下(B~D帯)

1.25×10-3 (%/年)以下(E~G帯)移動伝送 0.5 (%)以下(B~D帯)

0.5 (%)以下※1(E~G帯)

変更なし

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現行FPUと4K・8K等FPUの検討項目の関係② 10

検討項目 現行FPU(OFDM方式) 4K・8K用FPU

12 回線設計と空中線電力 標準受信電力固定伝送:-55 dBm移動伝送:-61 dBm

空中線電力10.6~10.68 GHz以外:0.2 W(5 W)※2

10.6~10.68 GHz:0.2 W(0.5 W)※2

標準受信電力固定伝送(標準):-55 dBm固定伝送(高品質):-45 dBm移動伝送:-62 dBm

空中線電力変更なし

13 空中線電力の許容値 上限:20 %以内下限:50 %以内

変更なし

14 送信スペクトルマスク フルモードf0±9 MHz 以上で -37 dB 以下

ハーフモードf0±4.5 MH z以上で -37 dB 以下

変更なし

15 スプリアス及び不要発射 帯域外領域におけるスプリアス発射の強度の許容値100 μW以下スプリアス領域における不要発射の強度の許容値50 μW以下

変更なし

16 偏波 直線(水平又は垂直)、円 水平及び垂直の組合せ、右旋及び左旋の組合せを追加

17 他の無線システムとの干渉検討

アナログ方式のFPU、シングルキャリア方式のデジタルFPUとの共用を前提に、隣接チャンネルでの利用可能性について検討

現行のデジタルFPU並びに同一周波数帯及び隣接周波数帯を使用する他の無線システムとの共用条件(所要離隔距離)について検討

18 測定法 ‐ MIMO伝送を想定した測定項目及び測定方法を検討

※1 降雨による回線瞬断率。これに加え、マルチパスフェージングによる回線瞬断率も0.5%以下とする。

※2 隣接チャンネルでアナログ回線が使用されていないことが確認できる等、既設アナログ回線との間で干渉等の問題がない場合には括弧内の値とする。

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情報通信審議会情報通信技術分科会衛星通信システム委員会報告概要

「非静止衛星を利用する移動衛星通信システムの技術的条件」のうち「1.6GHz帯/2.4GHz帯を用いた移動衛星通信システムの技術的条件」

平 成 2 9 年 3 月 3 1 日衛星通信システム委員会

資料 125-2-1

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1.6GHz帯/2.4GHz帯を用いた移動衛星通信システムの技術的条件の検討開始

○ 平成12年9月、「非静止衛星を利用する移動衛星通信システムの技術的条件」のうち、「1.6GHz 帯/2.4GHz帯を用いた移動衛星通信システムの技術的条件」として電気通信技術審議会より一部答申

○ 平成28年7月、電波使用状況が平成 12 年から大きく変化し、周波数共用検討の前提条件が変わったこと及び同システムの技術の進展が見られることから、同システムの高度化を図るため追加検討を開始

○ 移動衛星通信システムは、同報性、広域性、耐災害性等の衛星通信システム固有の特徴を有するほか、陸上、海上、上空、離島等での通信手段として、平時に加えて災害時において重要な役割を果たしている。平成 23 年3 月 11 日に発生した 東日本大震災等においても、地震や津波の影響を受けにくい移動衛星通信システムは、被災地における通信確保に必要不可欠な状況となった。

○ 我が国においては、既に1.5GHz/1.6GHz帯、2.5GHz/2.6GHz帯及び12GHz/14GHz帯を用いた移動衛星通信サービスが提供されている。

○ 1.6GHz/2.4GHz帯を用いた移動衛星通信システムの技術的条件については、平成12年9月に電気通信技術審議会が一部答申を行っているが、関連企業の経営状況悪化により、日本における事業参入が見送られた。

○ 今般、再び日本における事業参入のニースがあるところ、電波使用状況が平成12年から大きく変化して周波数

共用検討の前提条件が変わったこと及び同システムの技術の進展が見られることから、同システムの高度化を図るため追加検討を行った。

1

検討開始の概要

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1.6GHz帯/2.4GHz帯を用いた移動衛星通信システムの概要

1.6GHz帯/2.4GHz帯を用いた衛星移動通信システムは、諸外国においては、米国グローバルスター社によって2000年(平成12年)に商用サービスが開始されており、 グローバルにサービスを提供している主要な衛星通信システムの一つである。

Globalstar(周回衛星)衛星:32機、高度1414km• グローバルにサービスを提供している主要な衛星通

信システムの一つ。• ITUで移動衛星通信用に分配された周波数を使用し、現在約120カ国で運用。

• 1600MHz帯/2400MHz帯でCDMA方式を採用。• ベントパイプ方式により、衛星ではデータを地球局に中継し、処理は全て地上の地球局で実施。

• 世界中で約75万余の衛星携帯電話、位置情報サービス、資産管理需要等(IoT)で利用。

• 位置情報を利用した災害救助分野においては、これまでに4600もの世界中のレスキュー活動に活用され、地上系携帯電話の届かないエリアに取り残された1万数千人以上の緊急救命要請に利用。

Globalstar衛星通信の概要

日本は、韓国とロシアの地球局によってカバーされる。Globalstar衛星通信の地球局マップ

Globalstar衛星通信の携帯端末

衛星携帯電話

SPOT位置情報端末

資産管理

B2C市場 B2B市場

資産管理モニタリング

VAR/OEM提供

Globalstar衛星通信の活用事例

資産管理 資産管理位置情報

SPOT位置情報

SPOT位置情報/SOS

衛星携帯電話

ベントパイプ方式

低軌道周回衛星を利用した高品質・高効率・低価格なグローバル衛星通信ネットワーク

2

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既存システムとの共用検討

1.6GHz帯の周波数使用状況

検討周波数帯

無線LANアマチュア

無線LAN

VICS(2499.7)

2400 2483.5

2450

2500

2494

ロボット無線2471

[MHz]

2.4GHz帯の周波数使用状況

1.6GHz帯/2.4GHz帯を用いた衛星移動通信システムは、上りサービスリンク(Lバンド:1,610.0~1,618.75MHz)及び下りサービスリンク(Sバンド:2483.5MHz~2500MHz)を使用する。

今回の追加検討では、平成 12 年に一部答申が行われた以降に、電波使用状況が当時と比べ特に大きく変化した、以下の3点について共用検討を行った。

検討対象 干渉区分 周波数帯 平成12年当時からの変化

電波天文 与干渉 1.6GHz帯 干渉波想定の見直し

無線LAN小電力データ通信システム

被干渉 2.4GHz帯 利用台数の爆発的な増加

ロボット無線

(2.4GHz帯高度化利用)

被干渉 2.4GHz帯 平成28年8月に制度化 高出力

3

無線航行衛星(1559-1610) 検討周波数帯

イリジウム

[MHz]

電波天文(1610.6-1613.8)

1618.751610

1626.51618.7251613.8

2497

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既存システムとの共用検討結果

電波天文業務の概要

電波天文業務は、電波送信は行わず受信のみを行う業務であり、微弱な信号を扱っている。

使用周波数帯1,610. 6~1,613.8MHz

共用検討実機でのスプリアス輻射強度を元に、ITU-R勧告RA.769-2に規定された干渉制

限値を満足する離隔距離を保てる制限区域を設定し、関係者間で運用協定を締結してそれを適切に実施することで、共用は可能。

観測施設 運用条件 例外条件/運用指針

国立天文台

JAXA臼田宇宙空間観測所

0〜30Km 全周波数使用禁止30〜160Km Ch. 1,2,3,4 (1610.115- 1615.305 MHz)使用禁止

Ch. 5,6,7 (1615.035- 1618.725 MHz)使用可能160Km〜 全周波数使用可能

自然災害時、防災訓練時は制限を解除(解除時は連絡)

サービス利用者への周知NICT鹿島宇宙技術

センター

陸上 0〜30Km 全周波数使用禁止30〜160Km Ch. 1,2,3,4 (1610.115- 1615.305 MHz)使用禁止

Ch. 5,6,7 (1615.035- 1618.725 MHz)使用可能160Km〜 全周波数使用可能

海上 0〜50Km 全周波数使用禁止50〜160Km Ch. 1,2,3,4 (1610.115- 1615.305 MHz)使用禁止

Ch. 5,6,7 (1615.035- 1618.725 MHz)使用可能160Km〜 全周波数使用可能

JAXA臼田宇宙空間観測所(上側)国立天文台(下側)

NICT鹿島宇宙技術センター

干渉検討結果に基づく新たな運用条件案

運用制限区域の図示

4

電波天文との共用検討

運用制限区域の図示

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無線LAN・小電力データ通信システムとの共用検討

2.4GHz帯無線LAN(IEEE802.11b:20MHz システム)のチャネル配置

無線LAN・小電力データ通信システムの概要無線LANの規格としては、米国電気電子学会(IEEE : The Institute of Electrical and Electronics Engineers)により標準化された規格が広く利用されている。

使用周波数帯2,400~2,497MHz

共用検討

(※)所要離隔距離を計算した結果、屋外使用において、隣接となるCH13までを使用する機器では約72m、CH14を使用した機器では約290mとなり、衛星携帯電話の通信が困難になる事も考えられる。

屋内利用

屋外利用

※遮断損失は17dBとする(平成12年答申時の値を準用)

衛星携帯電話端末奥村・秦式モデル

3.5乗則5m

許容干渉電力 所要離隔距離

隣接干渉(2472MHz)

-119.4(dBm/MHz)

屋内利用 0.9 m

屋外利用 71.5 m

共用干渉(2484MHz)

屋内利用 3.7 m

屋外利用 288.9 m

伝搬モデル

Wi-Fi機器との同時使用/Wi-FiルータをCH13に設定し同時に利用結果:利用可能

Wi-Fiルータやスマートフォンのテザリング機能が多用される公園等での利用結果: 利用可能

公衆無線LANサービスエリア内での使用/繁華街等での衛星携帯電話の利用結果: 建物等により衛星が遮蔽されない場合には利用可能

事業用無線LANとの同時使用/使用CHをCH14に固定したWi-Fi機器を対向で設置し、相互に通信結果: 直線見通しで50m離れた地点では、利用可能であった。

距離が概ね10m以内に近付いた場合に、通話が途切れる場合もあった。

所要離隔距離の計算結果

【実環境での通話試験結果(実験試験局)】

既存システムとの共用検討結果

無線LAN機器との同時使用例

災害時の想定

避難所や避難場所に指定された公園等は、工場等からの一定の離隔距離が保たれると想定され干渉を受ける可能性が低い

【災害時の想定】

無線LAN・小電力データ通信システムから受ける干渉は非常に限定的であり、特定の状況で干渉を受ける可能性を利用者が理解することで、周波数共用は可能と考えられる。

5

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ロボット無線(2.4GHz帯高度化利用)の概要「ロボットにおける電波利用システムの技術的条件」として、平成28年3月に情報通信審議会から答申を受け、同年8月に制度化が行われており、今後、高精細画像の伝送等の高度利用が見込まれている。

使用周波数帯2,483.5~2,494MHz

共用検討

(※)所要離隔距離を計算した結果、陸上利用では、10MHzシステムの場合で560m、5MHzシステムの場合で656mであり、上空利用の場合には、離隔距離が等価地球半

径を考慮した可視範囲を超える事から、見通し範囲内でロボット無線が使用された場合には、衛星携帯電話の通信が困難になると考えられる。

2.4GHz帯ロボット用無線システムのチャネル配置

伝搬モデル

平常時 : 衛星携帯電話の利用時にドローンやロボットと遭遇した場合は、電波干渉により利用できない場合が考えられるが、ロボットの連続稼働時間等を考慮すると、長時間に渡って利用できないケースは少ないと想定され、利用者側でしばらく間を空けてから再度利用することなどで衛星携帯電話が利用できると想定される。

災害時 : 災害対策本部等などの設置以降は、ドローンやロボットなどの情報収集用機器、非常用通信伝達手段である衛星携帯電話等の利用について利用場所や利用時間が一元管理され、円滑な利用が想定される。

所要離隔距離の計算結果

【想定される利用シーンでの検討】

ロボットが近傍で使われている状況では、干渉を受けることが考えられるが、平時の衛星携帯電話の利用シーンを考えると、利用する時間を考慮することによって衛星携帯電話の利用は可能と考えられる。また災害時などには災害対策本部等による適切な運用調整が行われることで、衛星携帯電話の利用は可能と考えられる。

許容干渉電力 所要離隔距離 10MHzシステム 5MHzシステム

共用干渉 -119.4(dBm/MHz)

地上利用 (1.5m高) 560m 656m

上空利用(150m高) 169Km (※) 238Km(※)

※等価地球半径での見通し距離は、約50.5Km

災害時の想定

平常時の想定

6既存システムとの共用検討結果

ロボット無線(2.4GHz帯高度化利用)との共用検討

★災害発生(1日) ▲2日 ▲3日 ▲4日 ▲5日

▲安全な場所へ緊急避難(避難が第一優先)

▲固定・携帯通信インフラの被災

▲災害対策本部等の設置(人命の救助最優先)情報収集&情報発信

▲衛星携帯電話による報告、情報収集・救助要請

▲通信インフラが段階的に改善

▲ドローンを利用した更なる情報収集

ドローン

衛星携帯電話

固定・携帯電話

2483.5 2493.52486 24912488.5

10MHzシステム

5MHzシステム

(MHz)

24942484 2489

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他システムとの共用検討結果を考慮し、次のとおりとすることが適当。

技術的条件(1)

1.6GHz帯/2.4GHz帯を用いた移動衛星通信の無線設備の技術的条件については、国際的な電波に関する条約等及び国内の電波法

令に適合することが必要である。具体的には以下のとおりとすることが適当である。

1)一般的条件

技術的条件

必要な機能 人工衛星局を介して基地局(地球局)と通信を行う個々の移動局の送信装置が、自動的に識別されるものであること。

複信方式の移動局が使用する周波数、送信スロット及び符号は、基地局からの制御信号により自動的に選択されるものであること。

単向通信方式の移動局が使用する周波数は、予め設定されたものであり、位置情報によって適切に選択されるものであること。

無線周波数帯 サービスリンク用周波数帯は、1610.0~1626.5 MHz帯(上り)及び2483.5~2500 MHz帯(下り)であること。ただし、国際周波数調整の結果を遵守すること(※)。

セキュリティ対策 不正使用を防止するため、移動局装置固有の番号の付与など、適切な措置を講ずることが望ましい 。

人体への影響対策 人体(頭部・両手以外)の吸収比率は2W/kg以下、四肢は4W/kg以下。人体頭部の吸収比率は2W/kg以下。 (無線設備規則第14条の2)

7

(※)サービスリンク用の上り周波数について、隣接するイリジウムとの事業者間調整の結果、現時点では本システムの使用可能周波数

帯は、1610.0~1618.75MHzに限られる。

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2)移動局の条件

項目 技術的条件

送信装置 周波数の許容偏差 20ppm(無線設備規則第5条)

空中線電力の許容偏差 上限50%、下限50%(無線設備規則第14条)

不要発射の強度の許容値 下図のスペクトラム特性を満足(ITU-R勧告M.1343)

キャリアオフ時の漏洩電力 0.1MHz~30MHz -87dBW/10kHz30MHz~1,000MHz -87dBW/100kHz1,000MHz~12,750MHz -77dBW/100kHz

(ITU-R勧告M.1343)

受信装置 副次的に発する電波等の限度 4nW以下(無線設備規則第24条)

空中線 偏波 左旋円偏波または直線偏波

1610MHz未満また1628.5MHzを超える周波数帯における不要発射の強度の許容値

1610.0MHz~1628.5MHz周波数帯における不要発射の強度の許容値

8技術的条件(2)

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情報通信審議会 情報通信技術分科会衛星通信システム委員会報告 概要

「Ka帯を用いた移動体向けブロードバンド衛星通信システムの技術的条件」のうち「Ka帯を用いた移動体向けブロードバンド衛星通信システム(ESIM)の技術的条件」

平 成 2 9 年 3 月 3 1 日衛星通信システム委員会

資料 125-3-1

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Ka帯を用いた移動体向けブロードバンド衛星通信システム(ESIM)の技術的条件の検討開始

○ 平成27年11月、国際電気通信連合(ITU)世界無線通信会議(WRC-15)において、グローバルサービスを実現するため、ESIM(Earth stations in motion)が定義され、Ka帯の19.7-20.2GHz及び29.5-30.0GHz において移動体向け衛星通信システムを運用可能とすることに合意

○ 平成28年6月、船舶・航空機等の移動体における数十Mbps程度の高速通信サービスが実現できることから、Ka帯を用いた移動体向けブロードバンド衛星通信システムの技術的条件の検討を開始

検討開始の概要

1

○ 陸上における移動通信環境の高速大容量化に伴い、船舶や航空機等の移動通信環境においても社会・家族・友人とのコミュニケーションの円滑化等によるデジタル・ディバイド改善、船舶・航空機の運航システムのICT 化に伴う陸上との高速大容量通信へのニーズが高まっている。

○ 我が国においては、L 帯(1.6GHz 帯)、S帯(2GHz 帯)、Ku 帯(12/14GHz 帯)等を用いた移動衛星通信サービスが提供されている。現在主流となっているこれらの周波数帯は逼迫しつつあり、近年ではKa帯(20/30GHz帯)が、次世代の高速衛星通信用の帯域として世界的に注目され、グローバルサービスの提供が計画されている。

○ 2015年11月に開催された国際電気通信連合(ITU)世界無線通信会議(WRC-15)では、グローバルサービスを実現するためのESIM(Earth station in motion)が定義され、Ka帯の19.7-20.2GHz及び29.5-30.0GHzにおいて移動体向け衛星通信システムが運用可能となった。

○ Ka帯を用いたシステムの利用により、船舶・航空機等の移動体においても数十Mbps程度の高速通信サービスが実現でき、早期の国内導入が期待されることから、Ka帯を用いた移動体向けブロードバンド衛星通信システム(ESIM)の技術的条件について検討を行った。

1

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Ka帯を用いた移動体向けブロードバンド衛星通信システム(ESIM)の概要

○ Ka帯を用いた移動体向けブロードバンド衛星通信システム(ESIM)は、静止軌道上に配置された固定衛星業務用の衛星を介し、船舶や航空機等の移動体との間でブロードバンド通信を提供

○ 船舶や航空機等からの高速インターネット接続やハイビジョン画像伝送、VoIP電話等のサービスを実現

2

オペレータ(国)

Inmarsat(英国)

Telenor(ノルウェー)

Viasat(米国)

Eutelsat(フランス)

主な使用衛星 Inmarsat-5 Thor-7 Viasat-1,Viasat-2 KA-SAT

サービス対象(移動体)

船舶、航空機 船舶 航空機 航空機

サービス地域 全世界(極地を除く)

欧州、地中海、北海周辺

北米、大西洋北部 欧州

通信速度 上り:最大5Mbps下り:最大50Mbps

上り:2-6Mbps下り:数10Mbps

上り:2.5-20Mbps下り:70-100Mbps

最大100Mbps

システム全体概要 Ka帯を用いた主な移動体向け衛星通信サービス

Ka帯を用いた主な移動体向け衛星通信サービス(ESIM)の利用イメージ

2

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既存システムとの共用検討

○ Ka帯を用いた移動体向け衛星通信システム(以下ではESIMと記す)は、WRC-15決議に基づき、上りサービスリンク(29.5 - 30.0GHz)及び下りサービスリンク(19.7 - 20.2GHz)を使用。

○ ESIMに関して同一周波数帯を使用する他のシステムは存在しないが、隣接周波数帯を使用する無線システムとの共用について、以下の無線通信業務を対象に干渉検討を実施。

3

ケース 干渉種類 与干渉システム 被干渉システム

1 隣接周波数 ESIM宇宙局 電波天文(22GHz帯及び23GHz帯)

2 隣接周波数 ESIM地球局 電波天文(31GHz帯)

3 隣接周波数 無線アクセスシステム-電気通信業務(固定) ESIM地球局

3

無線アクセスシステム・電気通信業務(固定)

無線アクセス

システム・

電気通信業務

(固定)

超広帯域無線システム

超広帯域無線システム

衛星間通信小電力データ通信システム

小電力データ通信システム

加入者系無線アクセスシステム

電波天文

BSフィーダ

リンク↑

衛星放送↓

電波

天文各種レーダー

電波

天文

衛星間

通信

17.30

17.70

電気通信業務等

(固定衛星↓)

18.72

19.22

19.70

21.20

24.75

25.25

27.00

27.50

29.00

31.00

電気通信業務等

(固定衛星↑)

21.40

CATV番組中継(移動)

31.30

31.80

20.20

29.50

30.0022.00

22.40

22.60

23.00

23.20

23.60

24.00

22.21

22.50

23.55

無線アクセスシステム

エントランス回線(固定)

CATV番組中継(固定・移動)

ESIM↓

ESIM↑

24.05

24.75

24.25

アマチュア

ESIM↓

ESIM↑

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既存システムとの共用検討結果(1) 4

電波天文業務の概要電波天文業務は、電波送信は行わず、受信のみを行う業務であり、微弱な信号を扱っている。

使用周波数帯(1) 22GHz帯及び23GHz帯:22.21-22.5GHz及び23.6-24.0GHz(2) 31GHz帯:31.3-31.8GHz

共用検討(ケース1) 電波天文(22GHz帯及び23GHz帯)電波天文業務のうち、22.21-22.5GHz及び23.6-24.0GHzを受信す

る保護対象設備(申請予定を含む)に対して、ITU-R勧告RA.769-2に規定された干渉制限値に基づき干渉検討を行った結果、共用は可能。

出所)http://www.nro.nao.ac.jp/public/about.html

No. 設置場所 東経 北緯マージン[dB] *1

東経63度衛星*2 東経180度衛星*2

1 長野県南佐久郡南牧村野辺山 138°28’ 21” 35°56’ 40” 3.9 3.32 岩手県奥州市水沢区星ガ丘町 141°07’ 57” 39°08’ 01” 4.0 3.33 東京都小笠原村父島字旭山 142°13’ 00” 27°05’ 31” 4.0 3.24 鹿児島県薩摩川内市入来町浦之名 130°26’ 24” 31°44’ 52” 3.8 3.45 沖縄県石垣市字登野城嵩田 124°10’ 16” 24°24’ 44’ 3.6 3.56 鹿児島県鹿児島市平川町字狐迫 130°30’ 26” 31°27’ 51” 3.8 3.47 岩手県奥州市水沢区星ガ丘町 141°07’ 57” 39°08’ 00” 4.0 3.38 茨城県高萩市 140°41’ 41” 36°41’ 55” 4.0 3.39 茨城県日立市 140°41’ 32” 36°41’ 51” 4.0 3.3

10 岐阜県岐阜市 136°46’ 12” 35°28’ 47” 3.9 3.4

*1:マージンとは、ITU-R勧告RA.769-2で規定されている当該周波数帯での電力束密度の閾値(-231dB(W/(m2Hz)))からInmarsat F1(63E)及びF3(180E)の地表面での電力束密度を引いた値。

*2:共用検討においては、現時点で具体的な情報が得られるInmarsat GXサービスのInmarsat-5衛星を想定。

電波天文との共用検討(ケース1)電波天文業務の受信設備の概要

4

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既存システムとの共用検討結果(2) 5

共用検討(ケース2)電波天文(31GHz帯)

電波天文業務のうち、31.3-31.8GHzを受信する保護対象設備は長野県の国立天文台・野辺山宇宙電波観測所のみ。電波天文業務における干渉制限値を定めたITU-R勧告RA.769-2に基づく共用検討を実施。

5

電波天文との共用検討(ケース2)

(1) ESIM地球局(航空機及び陸上移動)ESIMシステムが異なる場合には結果が異なる場合もあるが、実機で

のスプリアス輻射強度を元に、ITU-R勧告RA.769-2に規定された干渉制限値を満足するように、必要な場合には関係者間で運用協定を締結して、それを適切に実施することで、共用は可能。

<電波天文とESIM地球局との検討結果まとめ>現時点で具体的な情報が得られるInmarsat GXサービスのInmarsat-5衛星のサービスを想定して検討を行った。ESIMシス

テムが異なる場合には結果が異なる場合もあるが、実機でのスプリアス輻射強度を元に、ITU-R勧告RA.769-2に規定された干渉制限値を満足するように、必要な場合には関係者間で運用協定を締結して、それを適切に実施することで、共用は可能である。

(2) ESIM地球局(船舶)国立天文台野辺山から海上は100km以上離れており、また山岳遮

蔽による見通し外のため共用可能。

共用検討モデル(ESIM地球局)

θE:ESIM地球局のx 軸からの回転角

(F3(180E))

H:アンテナ高

電波天文

ESIM地球局(陸上移動)

h:高度

天頂方向(z)

同一鉛直平面上のESIM宇宙局と逆方向(x)

r:電波天文とESIM地球局の(直下点)との距離

ESIM宇宙局ESIM地球局(航空機)

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既存システムとの共用検討結果(3) 6

無線アクセスシステム-電気通信業務(固定)の概要無線アクセスシステム-電気通信業務(固定)(以下、FWA: Fixed Wireless Access)は、従来の固定無線通信システムで必須であった大規模な鉄塔を不要とし、小規模な建物にも設置可能な大容量通信システムであり、比較的短期間に低コストで地域内のネットワークの構築等が可能。

使用周波数帯19.22-19.70GHz

共用検討

FWAの周辺で運用する際の運用可能距離について検討。

(1) ESIM地球局(陸上移動)180度衛星の場合は、角度θEが17°以上なら1km以遠において、63度衛星の場合は、角度θEが23°以上において1km以遠で運用可能。また、建物等の遮蔽により干渉を避けることも可能なため、実用上の運用は問題ない。

(2) ESIM地球局(航空機)FWAは陸上用途の仰角が低いPoint-to-Pointシステムであること、ESIM地球局(航空機)は一定のアンテナ仰角を有するほか、航空機高度及び位置は順次変化することより、航空機の移動に伴って当該干渉を避けることが可能であり、実用上の運用は問題ない。

(3) ESIM地球局(船舶)FWAは陸上用途の仰角が低いPoint-to-Pointシステムであること、ESIM地球局(船舶)は一定のアンテナ仰角を有するほか、船舶位置は順次変化することより、船舶の移動に伴って当該干渉を避けることが可能であり、実用上の運用は問題ない。

10

100

1,000

10,000

100,000

0.0 30.0 60.0 90.0 120.0 150.0 180.0

離隔

距離r [m]

x軸からの回転角θE [deg]

F1(63E) F3(180E) 1000m

無線アクセスシステム-電気通信業務(固定)との共用検討(ケース3)

共用検討モデル(ESIM地球局(陸上移動))

離隔距離(ESIM地球局(陸上移動))

6

アンテナパターンITU-R S.465 FWAアンテナ仰角:0°

アンテナ高:40m

z(天頂方向)

x

yθE r[m]

ESIM宇宙局(F1: 63E, F3: 180E)

<無線アクセスシステムとESIM地球局との検討結果まとめ>本検討は現時点で具体的な情報が得られるInmarsat GXサービスのInmarsat-5衛星のサービスを想定して検討を行った。

いずれの場合においても、当該干渉を避けることが可能であり、実用上の運用は問題ない。

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7

技術的条件

必要な機能 移動局は、自局の通信の相手方である人工衛星局のみを自動的に捕捉・追尾する機能を、隣接衛星等の他の人工衛星局の捕捉・追尾を阻止するような手順を含めて備え、通信の相手方である人工衛星局を自動的に捕捉・追尾ができなくなった場合には、直ちに送信を停止するものであること。

移動局は、基地局が人工衛星局を経由して送信する制御信号を受信した場合のみ、人工衛星局への送信が可能であること。

移動局は、自局の障害を検出する機能を持ち、障害を検出した場合及び人工衛星局を経由した基地局からの信号を正常に受信できなくなった場合には、送信を自動的に停止するものであること。

移動局が送信する周波数及び輻射する電力は、基地局が送信する制御信号による指令値に自動的に設定されたものであること。

基地局の制御により、移動局の電波の発射を停止する機能を有すること。

移動局は、許可された主管庁の領域を超えたときは、直ちに運用を止める機能を有すること。

適用周波数帯 サービスリンク用周波数帯として、移動局から人工衛星方向(アップリンク)には29.5-30.0GHz帯(Ka帯)、人工衛星から移動局方向(ダウンリンク)には、19.7-20.2GHz帯(Ka帯)を使用することが適当。

電磁環境対策 移動局は、過度な強度の電波から人体を保護するための必要条件を満たすよう、電波防護指針で定められた要求条件を満たすことが必要。また、移動局は航空機や船舶、車両等に搭載して使用することが想定され、それぞれ準拠すべき指針及び規定に従うことが適切。

1)一般的条件

Ka帯を用いた移動体向けブロードバンド衛星通信システム(ESIM)の無線設備の技術的条件については、国際的な電波に関する条約等及び国内の電波法令に適合することが必要である。具体的には以下のとおりとすることが適当である。

技術的条件(1)

○ 他システムとの共用検討結果を考慮し、次のとおりとすることが適当。

7

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8

2)移動局の条件

技術的条件(2)

項目 技術的条件

送信装置

空中線電力の許容偏差 上限50%、下限50% (無線設備規則第14条)

周波数の許容偏差 20ppm (無線設備規則第5条)

不要発射の強度

以下のとおり (無線設備規則第7条・平成17年総務省告示第1228号)ア スプリアス領域の不要発射の強度の許容値

・50μW 以下、又は基本周波数の平均電力より60dB低い値イ 帯域外領域の不要発射の許容値

・40log(2F/BN+1)dB/4kHzまたはスプリアス発射の強度の許容値のうち、小さい方の値以下。なお、15GHz以上の周波数の電波を使用する送信設備にあっては、4kHzの代わりに1MHzの周波数帯域幅を用いることができる。

受信装置 副次的に発する電波等の限度 4nW以下 (無線設備規則第24条)

空中線軸外輻射電力密度 下表ア、イのとおり (WRC-15決議156)

送信空中線の最小仰角 3°以上 (電波法施行規則32条)

対向する衛星方向からの離角 [θ] 最大EIRP[dBW/40kHz]2°≦θ≦7° 19-25log10θ以下

7°<θ≦9.2° -2以下

9.2°<θ≦48° 22-25log10θ以下

48°<θ≦180° -10以下

静止衛星軌道に対する仰角[ε] EIRP密度の増加量[dB]

ε≦5° 2.5

5°<ε≦30° 3-0.1ε

ア 軸外輻射電力密度 イ 低仰角時の条件

8

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情報通信審議会 情報通信技術分科会陸上無線通信委員会報告

-概要版-

「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「デジタルコードレス電話の無線局の高度化に係る技術的条件」

資料125-4-1

平成29年3月31日陸上無線通信員会

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審議の背景等

■ 検討背景

「デジタルコードレス電話の無線局」については、1.9GHz帯を使用し、免許を要しない無線局として平成5年(1993年)にPHS方式が導入されている。

高品質な音声通信及び高速データ通信などの高機能化を図るため、平成22年(2010年)に新たに広帯域システムであるDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)方式及びsPHS方式が導入された。

近年のIoT社会における多様な利用ニーズに対応するため、従来の方式に加え、データ通信を中心としたシステムへの高度化が求められており、携帯電話等の国際標準規格であるLTE方式を利用した無線システムの導入に向けて、既存システムとの周波数共用を図りつつ、必要な技術的条件について検討を行う。

例1:コードレス電話システムの高機能化(オフィス内)

■ 利用イメージ

管理センター1.9GHz帯

例2:IoTへの利用拡大(工場等の構内)

ロボット

クラウド

ゲートウェイ

1.9GHz帯

通信モジュール

■LTE方式のシステム構成(例)

1

親機 親機

子機

親機

HSS: Home Subscriber Server(ユーザー情報管理用データベース)

EPC: Evolved Packet Core(LTE収容コアネットワーク)

電話回線

子機 子機子機

PBX: Private Branch eXchange(構内交換機)

LTE方式を利用した新たな方

式の無線システムについては、

親機及び子機の無線機器以

外に、EPC、HSS等のネットワー

ク機器が必要となるため、一

般的な家庭内での利用ではな

く、事業所での内線電話として

の利用等が想定される。

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デジタルコードレス電話の普及状況、新たな方式のニーズ

■ デジタルコードレス電話の新たな方式のニーズ

2

91 187 250

279 314 342 361 381 433 476 522 555 586 634 695 744

1,110

1,581

2,107

91 96 63

30 35 28

19 20 52 43 46

33 30 49 61

202

542

366

471

526

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

0

100

200

300

400

500

600

13年度 15年度 17年度 19年度 21年度 23年度 25年度 27年度

出荷台数(累計)

万台

出荷台数(単年度)

万台

自営PHS(累計)

DECT(累計)

自営PHS

DECT

【電波の利用状況調査の調査結果】

自営PHSの出荷台数は、平成13年度からの累計出荷台数が700万台弱となっている。

DECTの年間出荷台数は、近年、350~550万台程度で推移しており、平成23年度以降の累計出荷台数は2100万台程度となっている。

なお、sPHS方式については、出荷実績はない。

■ デジタルコードレス電話の普及状況

現在、一般家庭の宅内のコードレス電話は、従来の自営PHS又は2.4GHz帯を使用したコードレス電話からDECT方式に置き換わりつつある。

事業所で使用されている内線電話は、現在、自営PHSが主流である。しかしながら、今後のチップセット、製品の供給状況等を鑑み、自営PHSから携帯電話等で用いられている3GPPで規格化されたTD-LTE方式を用いたデジタルコードレス電話へ移行するニーズが高まっている。

なお、3GPP規格においては、デジタルコードレス電話の周波数帯を含む、Band39(1880~1920MHz)が既に規格化されており、既存の携帯電話端末との共通的な利用等を含めたニーズも存在する。

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1.9GHz帯の国内・国際動向(LTEの動向)

LTE方式は、3GPPが電気通信分野(携帯電話)として標準化した規格である。

近年、IoTやPublic Safetyなど携帯電話以外にもLTE方式が導入されている。

なお、2016年6月にはIoT向けとして、低消費電力、低コストを主眼としたeMTC(帯域幅1.4MHz), NB-IoT(帯域幅200kHz)が

規格化されている。NB-IoTは、現時点においてはFDD方式のみが規格化されている。

■ LTEの標準化動向

3

出典元:GSA HPより

http://gsacom.com/paper/gsa-evolution-lte-report-july-2016/

LTE方式は、2016年7月時点で170ヶ国、521事業者(MVNO除く)において携帯電話の方式として採用されている。

LTE方式の利用は、世界全体で2015年末で契約数は10億回線を超えており、2020年末までに約38億回線に増大するものと予測されている。

TD-LTE方式は、46ヶ国、78事業者で携帯電話の方式として採用されている(端末シェア:38%)。

中国では、2013年12月からTD-LTE方式を導入(PHS方式からTD-LTE方式へ切替え)。

■ TD-LTE等の普及状況

現在ではChina Mobile(1.9GHz、2.3GHz、2.6GHz)、China Telecom( 2.3GHz、2.6GHz )及びChina Unicom ( 2.3GHz、2.6GHz )がサービスを提供している。2016年5月末には、3社合計でLTEの契約数が5.6億件を超え、対応する端末機種も2千機種以上。

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sPHS方式は導入実績

がなく、今後も導入が見込まれない。

デジタルコードレス電話の新たな方式の導入等に係る検討

■ 1.9GHz帯の周波数使用状況

携帯電話(↓)

携帯電話(↑)

1879.9 1920

GB GB

1915.71884.5GB : ガードバンド

1893.5 1906.1

公衆PHS

狭帯域デジタルコードレス電話(自営PHS方式)

広帯域デジタルコードレス電話(sPHS方式)

広帯域デジタルコードレス電話(DECT方式)

デジタルコードレス電話の無線局

[MHz]

制御チャネル

公衆PHS

平成22年 0台

5MHzシステム

1.4MHzシステム

広帯域デジタルコードレス電話(sXGP(※)方式)TD-LTE方式をベースとしたsXGP方式の導入を検討

4

■ 新たなシステムの導入等に係る検討事項

① 新たなシステムとして、3GPPで標準化されたTD-LTE方式をベースとしたsXGP方式の導入を検討

② DECT方式について、需要の増大への対応、利便性の向上及びIoT等に新たな利用形態に対応するため、周波数の利用拡大等の技術基準の見直しを検討

③ 上記①②の検討にあわせて、同一又は隣接周波数帯における既存無線システムとの共用条件等を検討

※ shared eXtended Global Platformの略。XGPフォーラムにおける、1.9GHz帯のTD-LTE方式をベースとした新たな方式の呼称。

導入年 累計出荷台数

平成5年 695万台(平成13年以降の累計)

平成22年 2,107万台(平成22年以降の累計)

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sXGP方式は、3GPPで標準化された1.9GHz帯(Band39:1880~1920MHz)を使用するTD-LTE方式に準拠。

通信方式は、下りはOFDMA(直交周波数分割多元接続)、上りはSC-FDMA(シングルキャリア周波数分割多元接続)を採用した時分割多重・多元接続による複信方式であり、データ通信を行う場合、占有周波数帯幅5MHzで10Mbps以上の高速通信が可能。

1.9GHz帯の免許を要しない周波数帯域(1893.5~1906.1MHz:12.6MHz幅)に導入することを前提として、既存システムとの周波数共用を図るためには、チャネル幅は3GPP規格の1.4MHz幅あるいは5MHz幅とすることが適当。

周波数配置については、自営PHSの制御チャネル配置やDECTとの周波数共用を図るため、下図のとおり、F1及びF5の周波数を避ける配置とする。

空中線電力は、屋内利用環境において通信距離として20~30m程度を確保するため、最大100~200mWとする。

sXGP方式の技術的条件の検討①

5

1893.5MHz 1906.1MHz

F1 F2 F3 F4 F5

sXGP方式

1.4MHz

PHS方式

DECT方式

制御チャネル

5.0MHz

1897.4 1899.2 1901.0

1899.1

1.728MHz

■ sXGP方式の通信方式及び周波数配置等

1.4MHz幅 5MHz幅

周波数1897.4MHz1899.2MHz1901.0MHz

1899.1MHz

通信方式(時分割複信方式)

下り: 直交周波数分割多重方式と時分割多重方式を組み合わせたもの

上り: シングルキャリア周波数分割多元接続方式と時分割多元接続方式を組み合わせたもの

伝送速度(下り)

QPSK 166kbps 723kbps

16QAM 826kbps 3.5Mbps

64QAM 2.1Mbps 8.5Mbps

256QAM 3.1Mbps 14.7Mbps

空中線電力親機/子機:

100mW親機:200mW子機:100mW

【sXGPの通信方式等】【sXGPの周波数配置】

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6

sXGP方式の技術的条件の検討②

『5MHzシステムの帯域外領域及びスプリアス領域における不要輻射強度の許容値』

『1.4MHzシステムの帯域外領域及びスプリアス領域における不要輻射強度の許容値』

-12dBm/1.152MHz(DECT方式への保護)

スプリアス領域スプリアス領域

【スプリアス領域の不要発射の強度】

他のシステムへの影響を勘案して、自営PHS方式及びDECT方式と同じ許容値を適用。

【帯域外領域の不要発射の強度】

3GPP規格に準拠することを基本とする。ただし、近傍の周波数においては、3GPP規格より厳しい値となっている既存システムの許容値を適用。

5MHzシステムの子機に対する許容値については、実装にあたっての小型化等を考慮し、中心周波数から6.1MHz~12.5MHzの離調周波数帯において、親機の許容値よりも10dB程度高い値とする。親機よりも子機の許容値が緩和されることになるが、子機からの不要発射については、人体吸収損や屋内利用による遮蔽効果が見込めること、移動するものであることを考慮すれば干渉が確率的となることから、他のシステムとの共用が可能。

【DECTのF1及びF5周波数の保護】

隣接するDECT方式のF1及びF5の周波数を保護するために、sXGP方式からの不要発射の強度の許容値を規定。

■ 不要発射の強度の許容値

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sXGP方式の技術的条件の検討③

同一周波数帯を共用する自営PHS方式及びDECT方式の通話チャネル、自営PHS方式の制御チャネルを保護するため、キャリアセンス機能を備え付けることとする。

キャリアセンスレベルについては、現行の自営PHS方式及びDECT方式のキャリアセンスレベルの基準と同等とし、sXGP方式の受信帯域幅を考慮して値を規定。

sXGP方式では、現行の3GPP規格に準拠した端末(子機)は、通常、キャリアセンス機能を有しない。通信エリア内における子機が他のシステムに影響を与える場合に備えて、親機が子機のキャリアセンス機能を代行する。この場合のキャリアセンスレベルを規定する。

なお、海外ではTD-LTE方式を免許不要帯域で他のシステムと共存して利用する動きがあり、将来、併せて子機にキャリアセンスを搭載することも期待されることから、親機、子機共にキャリアセンスするシステムに対するキャリアセンスレベルも規定する。

■ キャリアセンスレベル

自営PHS方式/DECT方式の通話チャネル 自営PHS方式の制御チャネル

キャリアセンスのタイミング

発射する電波について、電波の発射前に連続する2フレーム(20msec)以上の時間を検知

自営PHS方式の制御チャネル(ch12、ch18)について、電波を発射する前に検知

キャリアセンスレベル

【1.4MHzシステムの場合】

-68dBm以下(親機が子機のキャリアセンスを代行するシステムの場合)

-62dBm以下(親機、子機共にキャリアセンスするシステムの場合)

【5MHzシステムの場合】

-64dBm以下(親機が子機のキャリアセンスを代行するシステムの場合)

-56dBm以下(親機、子機共にキャリアセンスするシステムの場合)

【1.4MHzシステムの場合】

-75dBm以下(親機のみ)

【5MHzシステムの場合】

-82dBm以下(親機のみ)

その他親機又は子機が発射する電波の空中線電力を低下して運用する場合は、最大20dBまでの範囲で空中

線電力の低下分だけキャリアセンスレベルを緩和(空中線電力の低下分を空中線利得で補う場合を除く。)

sXGP方式のキャリアセンス機能及びキャリアセンスレベル

7

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sXGP方式と自営PHS方式は、現行では、自営PHS方式の制御チャネルはsXGP方式の周波数と重なっている。 sXGP方式と自営PHS方式は、

発射する電波の方式やフレーム間隔が異なるため、周波数が重なった現行の状態では時間軸上での共用は困難である。したがって、同一場所においてsXGP方式と自営PHS方式は共存することは困難である。一方、sXGP方式とDECT方式は、フレーム間隔が10msであるため、時間軸上で共用することが可能である。

自営PHS方式とsXGP方式のシステムを同一場所において共存可能とするため、自営PHS方式の現行の制御チャネル(ch12、ch18)に加え、これまで通話チャネルとして使用していた2つのチャネル(ch35、ch37)を新たに制御チャネルとして追加する。

新たに導入される自営PHS方式のシステムでは、ch12、ch18、ch35、ch37は制御チャネルとし、通話チャネルとして使用しない。

現行の自営PHS方式のシステムであって、今後出荷される機器についてはch35、ch37は通話チャネルとして利用しないよう措置することが望ましい。(なお、既に出荷されている現行の自営PHS方式のch35、ch37は、引き続き通話チャネルとして使用。)

自営PHS方式とDECT方式の共存状態におけるDECT方式のF2の周波数利用及びF6の周波数の追加は、今回のDECT方式の高度化で検討する。

sXGP方式と他システムとの周波数共用のための方策

■ 自営PHS方式の新たな制御チャネルの追加

自営PHS方式の制御チャネルとDECT方式のF2、F3及びF4並びにsXGP方式の全てのチャネルが重なっているため、自営PHS方式は、DECT方式あるいはsXGP方式と共存できない。

自営PHS方式の制御チャネルを新たに追加することにより、3方式の周波数共用が可能。

【自営PHS方式の現行制御チャネル(ch12、ch18)による運用】 【自営PHS方式の新制御チャネル(ch35、ch37)による運用】

8

DECT方式

F1 F2 F3 F4 F5

ch25

5

sXGP方式(1.4MHzシステム)

#1 #2 #3

#1sXGP方式

(5MHzシステム)

ch1

自営PHS方式

ch12

ch18

ch25

1

DECT方式

F1 F2 F3 F4 F5 F6

ch25

5

sXGP方式(1.4MHzシステム)

#1 #2 #3

#1

sXGP方式(5MHzシステム)

ch1

自営PHS方式

ch12

ch18

ch25

1

ch35

ch37

※2 ※2

※1

※1 ch12、ch18は引き続き制御チャネルとして使用

※2 DECT方式のF2及びF6の周波数利用の拡大を検討

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自営PHS方式の制御チャネル(ch12、ch18)を検知した場合、F1、F2、F5、F6は使用可能。なお、F3、F4は送信電力を制限することで使用可能。

【自営PHS方式との共用条件の緩和】

DECT方式においては、自営PHS方式と共用を図るため、自営PHS方式の制御チャネルに対する保護基準を設けている。自営PHS方式の制御チャネル(ch12、ch18)を検知した場合は、F2、F3、F4の周波数を使用しないこととしている。

DECT方式の実機の実力値を考慮した上で、実証実験により、DECT方式のF2、F3、F4の周波数を使用した場合に自営PHS方式の制御チャネルが受ける影響を評価した。その結果を受けて、F2はF1及びF5と同様に使用可能、F3及びF4は電力低減することにより使用可能となるよう条件を見直す。

【新たな周波数の追加】

DECT方式の普及によるトラヒック需要の増加へ対応するため、現行の免許を要しない周波数帯域内において、新たな周波数(F6)を追加する。

なお、F6周波数の追加に当たっては、自営PHS方式の新たな制御チャネル(ch35、ch37)への影響がないこと、隣接周波数帯における公衆PHS方式への影響がないこと及び現行の帯域外の不要発射の強度の基準値を満足できることを実機の実力値を考慮した上で、実証実験により確認している。

【その他技術基準の見直し】

空中線電力の規律(ch当たりの平均電力⇒最大平均電力)を見直す。

チャネルの柔軟な利用を確保するため、多重数やチャネル数の規定を削除する。

今後のIoT機器への対応に向けて無線設備の構造として空中線の分離を認める。

DECT方式の高度化に関する技術的条件の検討

■ 周波数利用の拡大に向けた検討

9

自営PHS方式の制御チャネル(ch12、ch18)を検知した場合、DECT方式は、F1及びF5のみ使用可能

【現行基準による共用条件】 【共用条件の見直し後】

DECT方式

F1 F2 F3 F4 F5 F6

自営PHS方式

ch12 ch18 ch35ch37

0dBm以下で送信可能 -5dBm以下で送信可能

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帯域内(1893.5~1906.1MHz)システムとの共用については、 DECT方式の周波数追加及び自営PHS方式の新たな制御チャネルを考慮した上で、トラヒック計算(呼損率)による検討を実施。

帯域外システムとの共用については、正対モデル又は確率的な評価による検討を実施。

被干渉

与干渉sXGP方式 DECT方式

自営

PHS方式

公衆PHS方式

(自営バンド)

公衆PHS方式

(公衆バンド)

1.7GHz帯

携帯電話

2GHz帯

携帯電話

sXGP方式 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○

DECT方式 ◎ ◎ ◎ ◎

自営PHS方式 ◎ ◎

公衆PHS方式(自営バンド) ◎ ◎

公衆PHS方式(公衆バンド) ○

1.7GHz帯携帯電話 ○

2GHz帯携帯電話 ○

sXGP方式と他システムとの周波数共用の検討①

10

◎ トラヒック計算による共用検討

○ 正対モデル又は確率的な評価による共用検討

■ 1.9GHz帯の周波数配置を考慮した共用検討モデルと検討方法

【1.9GHz帯のシステムの周波数配置】

【周波数共用検討のモデル】

帯域外システム 帯域外システム帯域内システム

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自営PHS方式、DECT方式、sXGP方式の3方式が共存する場合の呼損率はおおむねを1%以下となる。

他システムとの共用において、想定モデルⅡのsXGP方式(1.4MHzシステム)について、1%を超える結果となったが、通常の運用状態を想定するとシステム間で同期運用により利用可能なチャネル数が増え、呼損率は1%以下に改善されることから、共用は可能。

sXGP方式の異なるシステムで5MHzシステム及び1.4MHzシステムが共存する場合について、1.4MHzシステムについて呼損率が1%を超えるが、実運用上、5MHzシステムと1.4MHzシステムが同期運用される等の通常の運用状態を想定すると、呼損率は1%以下に改善されることから、共用は可能。

sXGP方式と他システムとの周波数共用の検討②(帯域内システムとの共用)

11

■ 帯域内システムとの周波数共用の検討結果

※前回報告書は、「小電力無線システム委員会報告(平22年4月30日)」を示し、DECT方式及びsPHS方式を導入する際に周波数共用に係る呼損率をシミュレーション検討した結果である。

想定モデル 呼損率 適用

Ⅰ:家庭用の端末密度が極めて高いと考えられるマンション群

PHS DECT sXGP(1.4M)今回検討結果1.45E-15 3.88E-08 5.42E-03

PHS DECT sXGP(5M)1.45E-15 3.20E-06 2.18E-12

PHS DECT sPHS 前回報告書(※)9.68E-17 7.30E-04 9.81E-28

Ⅱ:事業所用の端末密度が極めて高いと考えられるオフィスビル街

PHS DECT sXGP(1.4M)

今回検討結果

5.66E-09 6.69E-05 7.68E-02PHS DECT sXGP(5M)

5.66E-09 1.09E-03 3.80E-08PHS DECT sPHS 前回報告書(※)

1.17E-08 3.36E-02 2.56E-18

Ⅲ:事業所用の端末が高密度で配置される同一室内での混在利用

PHS DECT sXGP(1.4M)今回検討結果1.44E-05 2.84E-04 6.69E-05

PHS DECT sXGP(5M)1.44E-05 1.09E-03 1.11E-38

【他システムとの周波数共用の検討結果】

【sXGP方式同士の周波数共用の検討結果】

想定モデル同一システム間 異なるシステム間

1.4MHzシステム 5MHzシステム 1.4MHzシステム 5MHzシステムⅠマンション群 1.49E-06 1.73E-17 6.20E-01 2.79E-06Ⅱオフィスビル街 4.47E-03 4.96E-10 7.86E-01 1.03E-03Ⅲ同一室内での高密度配置 9.79E-12 3.07E-52 4.21E-01 5.91E-19

同期運用による

呼損率の改善

同期運用による呼損率の改善

1.4MHzシステム1.84E-089.28E-053.19E-03

1.50E-08

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共用検討は、正対モデルによる所要改善量の評価を行い、所要改善量がプラスの場合は確率的な評価を実施。

sXGP方式親機と他システムとの共用については、一部(①~⑤)は所要改善量がプラスとなるが、以下のとおり共用は可能。①~④:双方とも屋内における固定設置であり、一般的には干渉が起こらないよう周辺の調査、設置場所の調整を行うこと、機器の製造マージン等を考慮

すれば実運用上影響は少ないと考えられること。⑤:sXGP方式親機の耐干渉性の実力値による改善効果が見込まれること。

sXGP方式子機と他システムとの共用については、所要改善量がマイナス又は干渉確率が3%以下となり、共用は可能。

sXGP方式と他システムとの周波数共用の検討③(帯域外システムとの共用)

12

■ 帯域外システムとの周波数共用の検討結果

与干渉 被干渉

所要改善量又は干渉確率※

帯域内干渉(不要発射)

帯域外干渉(感度抑圧)

sXGP子機

公衆PHS基地局 2.3% -9.5dB

公衆PHS移動局 2.3% -16.0dB

公衆PHSレピータ(屋内) 2.3% -3.6dB

公衆PHS基地局

sXGP子機

2.3% 2.3%

公衆PHS移動局 2.3% -16.0dB

公衆PHSレピータ(屋内) 2.3% -3.6dB

与干渉 被干渉

所要改善量又は干渉確率※

帯域内干渉(不要発射)

帯域外干渉(感度抑圧)

sXGP親機

公衆PHS基地局 -4.9dB -4.9dB

公衆PHS移動局 0.86% -3.0dB

公衆PHSレピータ(屋内) 29.2dB 9.4dB

公衆PHS基地局

sXGP親機

-3.6dB -3.6dB

公衆PHS移動局 0.86% -6.0dB

公衆PHSレピータ(屋内) 28.4dB 6.4dB

sXGP親機

2G携帯基地局 -12.1dB -12.1dB

2G携帯レピータ(屋内) 19.2dB 3.4dB

1.7G携帯移動局 -5.6dB -5.0dB

1.7G携帯レピータ(屋外) -2.1dB 0dB

2G携帯移動局

sXGP親機

2.8dB -4.1dB

2G携帯レピータ(屋外) -6.6dB -7.1dB

1.7G携帯基地局 -0.8dB -0.8dB

1.7G携帯レピータ(屋内) 9.6dB 1.1dB

sXGP子機

2G携帯基地局 0.4% -11.0dB

2G携帯レピータ(屋内) 0.4% -9.6dB

1.7G携帯移動局 -6.8dB -18.0dB

1.7G携帯レピータ(屋外) -1.8dB -13.0dB

2G携帯移動局

sXGP子機

0.4% -14.1dB

2G携帯レピータ(屋外) -3.8dB -17.1dB

1.7G携帯基地局 0.4% 0.4%

1.7G携帯レピータ(屋内) -0.4dB -8.9dB

【sXGP方式親機との共用検討結果】

12※ 検討結果については、dB表示は正対評価モデルによる所要改善量、%表示は確率的な評価モデルにおける干渉確率を示す。

【sXGP方式子機との共用検討結果】

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デジタルコードレス電話の親機については、固定設置する無線設備であることから、安全施設に対する電波の強度の許容値(電波法施行規則第21条の3別表第2号の3の2)を適用することが適当であり、また、子機のうち、平均電力が20mWを超え、人体の近傍(20cm以内)で使用が想定されるものについては、人体における比吸収率の許容値(無線設備規則第14条の2)を適用することが適当である。

デジタルコードレス電話の無線局の電波防護指針への適合性

13

■ 防護指針への適合性

親機の適合性

■ モジュールのSAR認証

最も離隔距離が必要なものは、DECT方式親機において0.95cmである。通常の運用状態において、親機のアンテナから人体までの距離は以下の表で示した離隔距離を超えると想定されることから、電波法施行規則第21条の3の規定に適合している。

自営PHS方式 DECT方式 sXGP方式

離隔距離 0.32cm 0.95cm 0.80cm

子機の適合性

sXGP方式子機については、人体の近傍(20cm以内)での使

用が想定される。親機からの制御で割り当てられたリソースブロックのスケジューリングによっては、データ伝送の際の平均電力が20mWを超えるケースが想定されるため、sXGP方式子機は、比吸収率(SAR)の規定の対象とすることが適当である。

なお、IoT機器などで明らかに人体の近傍外(20cm以上離隔)で使用されるものについてはSARの適用対象外となる。

組込用モジュール状の特定無線設備単体ではSARの審査の対象外となる。一方、当該モジュールをノートPC、タブレット等に搭載する場合には、組み込んだ状態の製品がSARの審査の対象となる。「工事設計書の「5 その他の工事設計」にSARに係る無線設備である旨を記載するとともに、「通常使用する場合における筐体について記した図面」、「送信空中線と人体との位置関係について記した資料」等を添付し、登録証明機関等でSARの審査を受け適合性を確認することが必要。

無線モジュール単体では、SARの審査の対象外

認証を取得する際は、無線モジュールをタブレット等に組み込んだ状態で、SARの審査が必要

ノートPC、タブレット等への搭載

無線モジュール等を人体に近接して使用する機器に組み込む場合

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DECT方式及びsXGP方式の主な技術的条件案①

14

【現行の周波数配置】

【見直し後の周波数配置】

・ 自営PHS方式、DECT方式及びsPHS方式が周波数を共用。

・ sPHS方式は市場導入実績はなく、今後も導入予定はない。

・ sPHS方式に代わりsXGP方式を導入。

・ DECT方式については、F6の周波数を新たに追加。

・ 周波数共用を図るため、自営PHS方式の制御チャネル(ch35、ch37)を追加。

sXGP方式(1.4MHzシステム)

1.4MHz

自営PHS方式

DECT方式

現行の制御チャネル

5.0MHz

1897.4 1899.2 1901.0

1899.1

1.728MHz

1,895.616F1

1897,344F2

1899.072F3

1900.8F4

1902.528F5

1904.256F6

sXGP方式(5MHzシステム)

新たな制御チャネル

1893.5MHz 1906.1MHz

sPHS方式

2.4MHz

自営PHS方式

DECT方式

現行の制御チャネル

1895.75 1898.15 1900.551.728MHz

1902.95

1,895.616F1

1897,344F2

1899.072F3

1900.8F4

1902.528F5

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sXGP方式 DECT方式(下線が変更箇所)(1)周波数帯 1.9GHz帯 1.9GHz帯

(2)キャリア周波数1.4MHzシステム 1897.4MHz、1899.2MHz、1901.0MHz

5MHzシステム 1899.1MHz

1,895.616MHz、1,897.344MHz、1,899.072MHz、

1900.800MHz、1902.528MHz、1904.256MHz

(3)通信方式、多重化方式等 TDMA又はSC-FDMAの組み合わせ-TDD TDMA-TDD

(4)変調方式親機:BPSK、 QPSK、 16QAM、 64QAM、 256QAM

子機:BPSK、 QPSK、 16QAM、 64QAMGFSK、π/2-DBPSK、π/4-DQPSK、π/8-D8PSK、16QAM又は64QAM

(5)周波数許容偏差 0.25×10-6 10×10-6

(6)占有周波数帯幅1.4MHzシステム:1.4MHz

5MHzシステム:5MHz1.728MHz

(7)空中線電力

1.4MHzシステムの場合:100mW以下5MHzシステムの場合:

親機 200mW以下子機 100mW以下

240mW以下

(8)空中線利得 4dBi以下 4dBi以下

(9)伝送速度 規定しない 1.152Mbps(GFSK時)

(10)フレーム長 10msec 10msec

(11)スプリアス領域における不要発射の強度

-36dBm/MHz以下 -36dBm/MHz以下

(12)キャリアセンス①(通話チャネル保護)

連続する2フレーム以上にわたり、以下のキャリアセンスレベル以下であること。親機及び子機それぞれがキャリアセンスする場合

1.4MHzシステム:-62dBm以下、5MHzシステム:-56dBm以下親機が子機のキャリアセンスを代行する場合

1.4MHzシステム:-68dBm以下、5MHzシステム:-64dBm以下

連続する2フレーム(20msec)以上の時間にわたり-62dBm以下

(13)キャリアセンス②(自営PHSチャネル制御チャネル※(ch12、ch18)保護)

1.4MHzシステムの場合 -75dBm以下5MHzシステムの場合 -82dBm以下

-82dBm以下

(14)誤接続の防止等24ビット以上の識別符号長であることIMSIを識別符号として一定の管理

親機の識別符号長は40ビット、子機及び中継機の識別符号長は36ビット

DECT方式及びsXGP方式の主な技術的条件案②

※ 自営PHS方式の制御チャネルとして今回追加されたch35(1905.35MHz)及びch37(1905.95MHz)の2波は、キャリアセンスの対象外である。15

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IMSIは、ITU勧告E.212に基づき、番号体系や割当て手続き等を各国がそれぞれ規定しているもの。日本においては、国番号(MCC:Mobile Country Code)が2つ(440と441)が割り当てら

れており、事業者コード(MNC:Mobile Network Code)は総務省が国内電気通信事業者に指定している。

今後の検討課題

■ IMSIの管理方法

■ TD-LTEにおけるNB-IoTの標準化

16

NB-IoT(帯域幅200kHzのシステム)に関しては、これまでのところFDD方式のみが3GPPにおいて標準規格化されている。TDD方式によるNB-IoTの標準規格は未だ策定されていないが、今後、XGPフォーラムにおいてsXGP方式の機能拡張として検討される方向にある。このため、TDD方式によるNB-IoTについては今後の検討動向を受けて、必要に応じて検討を進めるここととする。

sXGP方式による、無線通信の接続には、国際的な識別番号IMSI(International Mobile Subscriber Identity)を用いた端末の識別・認証プロセスが必要不可欠となる。電気通信事業で使用するIMSIは電気通信事業法において管理されている。仮に、自営システムでIMSIを独自に利用した場合、以下の課題が生じる。

① 重複したIMSIが存在するとそれらの区別ができない。

② 電気通信事業者に既に付与されているPLMN-ID(Public Land Mobile Network-ID)を自営システムで使用すると、子機が電気通信事業者の網へ不要なアクセス信号を送信するおそれがある。

③ 従来のPHSシステム同様に自営システムの子機が屋外でそのまま公衆網でも利用できる形態を想定した場合、自営システムに付与されるPLMN-IDが電気通信事業者に付与されるPLMN-IDと重複しないように管理することが必要となる。

上記課題に対応するため、sXGP方式において使用するIMSIのうち、少なくともPLMN-IDについては、特定の番号を使用して、他の電気通信システムとの誤接続の防止を図ることが適当である。今後、制度整備に当たっては、IMSIの管理や運用方法を整理していく必要がある。

識別番号IMSIの構成

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情報通信審議会 情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会の開催状況 (参考)

17

平成28年7月7日(第31回陸上無線通信委員会)

・「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「デジタルコードレス電話の無線局の高度化に関する技術的条件」 の検討開始について審議。

・「デジタルコードレス電話の無線局の高度化に関する技術的条件」の検討状況について(中間報告)

・「デジタルコードレス電話の無線局の高度化に係る技術的条件」委員会報告(案)についての検討。

平成28年11月10日(第33回陸上無線通信委員会)

平成29年2月6日(第35回陸上無線通信委員会)

平成29年2月10日~3月12日 委員会報告(案)に対する意見募集

・意見募集を行った結果、4者(うち、個人1)から意見の提出あり。

平成29年3月16日~3月24日(予定)(第37回陸上無線通信委員会)

・提出された意見に対する考え方について、メール審議により検討。

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デジタルコードレス電話作業班の開催状況 (参考)

18

平成28年7月22日(第1回作業班)

平成28年8月24日(第2回作業班)

平成28年9月16日(第3回作業班)

平成28年10月7日(第4回作業班)

平成28年10月28日(第5回作業班)

・検討開始の背景・検討事項・調査の進め方について・TD-LTEシステムの概要及びDECTシステムの現状

・sXGP方式及びDECT方式の利用動向及び国際標準化動向・sXGP方式の技術的条件案と他システムとの共用検討、DECT準拠方式の他の無線システムとの共用検討

・sXGP方式の技術的条件案と他システムとの共用検討・sXGP方式及びDECT方式の自営帯域内における他システムとの共用検討

・sXGP方式の技術的条件案と他システムとの共用検討

・sXGP方式導入及びDECT方式の高度化に係る技術的条件案中間とりまとめに関する検討

平成28年11月18日(第6回作業班)

・自営PHSの新制御チャネル及び電波防護指針に関する検討

平成28年12月15日(第7回作業班)

平成29年1月27日(第8回作業班)

・DECT方式の高度化に関する技術基準及び測定法に関する検討

・sXGP方式導入及びDECT方式の高度化に係る技術的条件案とりまとめに関する検討

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情報通信審議会 情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会 構成員名簿

氏名 所属

主査 安藤 真 東京工業大学 理事・副学長(研究担当)産学連携推進本部長

飯塚 留美 (一財)マルチメディア振興センター電波利用調査部 研究主幹

伊藤 数子 特定非営利活動法人STAND 代表理事

大寺 廣幸 (一社)日本民間放送連盟 常勤顧問

小笠原 守 日本電信電話(株) 技術企画部門 電波室長

小花 貞夫(平成29年1月6日から)

電気通信⼤学 情報理⼯学研究科 教授

川嶋 弘尚(平成29年1月5日まで)

慶應義塾大学 名誉教授

河野 隆二 横浜国立大学大学院 工学研究院 教授 兼 同大学未来情報通信医療社会基盤センター長

小林 久美子(平成28年9月1日まで)

日本無線(株) 研究所ネットワークフロンティア チームリーダ

鈴木 薫 (一社)全国陸上無線協会 専務理事

玉眞 博義 (一社)日本アマチュア無線連盟 専務理事

田丸 健三郎 日本マイクロソフト(株) 技術統括室 業務執行役員ナショナル テクノロジーオフィサー

中原 俊二 日本放送協会 放送技術研究所 伝送システム研究部長

浜口 清(平成28年9月2日から)

国立研究開発法人情報通信研究機構 ワイヤレスネットワーク総合研究センター 副総合研究センター長

本多 美雄 欧州ビジネス協会 電気通信機器委員会 委員長

松井 房樹(平成29年1月6日から)

一般社団法⼈電波産業会 専務理事・事務局長

松尾 綾子 (株)東芝 研究開発センター 研究主務

三谷 政昭 東京電機大学 工学部情報通信工学科 教授

森川 博之 東京大学 先端科学技術研究センター 教授

矢野 博之(平成28年9月1日まで)

国立研究開発法人 情報通信研究機構 ワイヤレスネットワーク研究所 研究所長

矢野 由紀子 日本電気(株) セキュリティ研究所 シニアエキスパート

吉田 貴容美(平成28年9月2日から)

日本無線(株)研究所 新領域開発企画部 エキスパートリーダー

若尾 正義(平成29年1月5日まで)

元 (一社)電波産業会 専務理事

(参考)

19

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デジタルコードレス電話作業班 構成員名簿

氏名 所属

主任 梅比良 正弘 国立大学法人茨城大学 教授

副主任 児島 史秀 国立研究開発法人情報通信研究機構 ワイヤレスネットワーク研究所 スマートワイヤレス研究室 室長

飯沼 敏範

(平成28年10月4日まで)京セラ株式会社 通信機器事業本部 通信国内事業部 国内技術部 システム技術課

加藤 正美

(平成28年10月5日から)京セラ株式会社 通信機器事業本部 通信事業戦略部 事業戦略課

伊藤 泰成 KDDI株式会社 技術企画本部 電波部 企画・制度グループ マネージャー

遠藤 和隆 日本無線株式会社 通信機器事業部 通信機器技術部 モバイル通信グループ 参事

大谷 満 株式会社東芝 インフラシステムソリューション社 技師長

小谷 元史 一般社団法人電波産業会 研究開発本部 移動通信グループ 主任研究員

金子 雅彦 沖電気工業株式会社 情報通信事業本部 プラットフォーム開発センター 開発第三部 担当部長

小林 充生 NECプラットフォームズ株式会社 開発事業本部 ネットワークプロダクツ開発事業部 シニアエキスパート

標 淳也 富士通株式会社 ネットワークサービス事業本部 プロダクト企画開発事業部 テレフォニーネットワーク企画部 主任技師

平良 正憲 株式会社日立製作所 通信ネットワーク事業部 ネットワークサービス本部共通基盤開発部 主任技師

武久 吉博 パナソニックシステムネットワークス株式会社 コミュニケーションプロダクツ事業部 課長

野島 友幸 一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター 技術部 副部長

則武 潔 一般社団法人全国陸上無線協会 企画調査部 部長

平澤 弘樹 ソフトバンク株式会社 東京中央技術本部 シニアテクニカルマネージャー

森川 和彦 DECTフォーラム ジャパンワーキンググループ 代表

森田 公剛 東日本電信電話株式会社 ITイノベーション部技術部門企画担当 担当課長

八木 宏樹 株式会社NTTドコモ 電波部 電波技術担当課長

(参考)

20

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情報通信審議会 情報通信技術分科会

陸上無線通信委員会報告 概要

「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち

「920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術的条件」

平成29年3月31日陸上無線通信委員会

資料125-5-1

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■ 主な検討項目

(1) 周波数の使用方法の見直し

920MHz帯は多数の無線システムが周波数を共用するため、現行基準では、周波数の効率的な利用及び他の無線システムとの混信防止の観点から、通信利用ニーズを踏まえた搬送波の占有周波数帯幅を考慮し、

① 単位チャネルの帯域幅(100kHz/200kHz)及び② 単位チャネルの中心周波数に対する搬送波周波数の許容偏差

を規定している。近年、低速通信ニーズに対応して、単位チャネルの帯域幅に比べより狭い周波数帯域幅の搬送波を使用する新た

な利用形態が進展しつつある。現行の周波数の許容偏差の規定では、単位チャネルの中心周波数付近しか搬送波周波数を配置することができないため、狭帯域の無線システムに現行の規定を適用すると、効率的な周波数利用に課題が生じる。このため、狭帯域の搬送波周波数を利用するものについて、より周波数の効率的な利用が可能となるよう、単位チャネル内における周波数の使用方法の見直しを検討。

(2) その他技術基準の見直し

新たな通信方式や機器の小型化等、多様化する利用ニーズに対応し、更なる利便性向上に向けて、電波の型式、送信時間制限及び空中線利得等の技術基準の見直しを検討。

■検討背景

920MHz帯の小電力無線システムにおいては、平成23年に制度化され、移動体識別やスマートメーター等に広く利用されつつある。

近年、多様化するセンサーネットワークの構築に向け、広帯域の周波数利用だけでなく、センサーの検知情報等の低速通信利用ニーズも拡大しつつあり、特に920MHz帯においては、装置の小型化と伝搬特性の特長から利活用が注目されており、様々な無線システムの開発やサービスの検討が進められている。

こうした多様化する通信ニーズ等を踏まえ、920MHz帯の小電力無線システムの高度化について、情報通信審議会諮問第2009号(※)に基づき、既存システムとの周波数共用を図りつつ、狭帯域な周波数の使用方法、送信時間制限や空中線利得等の必要な技術的条件の見直しの検討を行う。

920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術的条件の検討

※ 情報通信審議会諮問第2009号「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」(平成14年9月30日諮問)

1

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920MHz帯小電力無線システムの利用概要

915MHz

1W

250mW

20mW

1mW916 923.4920.6919.2

パッシブ系

アクティブ系

特定小電力無線局

930

250mW

構内無線局

特定小電力無線局

928特定小電力無線局

簡易無線局

周波数配置

※使用周波数は、単チャネルを基本とし、最大5チャネル(構内無線局は最大3チャネル)の結束利用が可能。

945930 960915900890

携帯電話(↓)携帯電話(↓) 携帯電話(↑) MCA(↑) 航空無線航行RFID等

[MHz]

GBGB

GB : ガードバンド

単位チャネル(100kHz)

単位チャネル(200kHz)

940

無線局数の推移

H24 H25 H26 H27

構内無線局(1W)

446 2,770 4,685 6,657

特定小電力無線局(250mW)

22,774 4,053 2,550 5,845

H24 H25 H26 H27

簡易無線局(250mW)

58 177 191 224

特定小電力無線局(1mW, 20mW)

92,995 183,398 3,341,550 4,840,828

パッシブ系無線システム

アクティブ系無線システム

※ 免許・登録の無線局数は各年度末における総局数。

※ 特定小電力無線局(免許不要局)は、電波の利用状況調査による各年度毎の出荷台数を計上。

2

例 ・物流管理

例 ・荷物の積込み・入庫管理・集配、回収業務

屋内外、ハンディ型の利用

例 ・森林監視・橋梁の損傷管理・大気計測

屋外の長距離伝送等の利用

スマートメータ等の利用

例 ・電力モニタリング・ガス自動検針

例 ・位置情報支援・空調管理・ホームセキュリティ

在宅管理等の利用

○構内無線局(免許、登録)

・空中線電力:1W・周波数帯:916.7~920.9MHz

○特定小電力無線局(免許不要)

・空中線電力:250mW・周波数帯:916.7~923.5MHz

○簡易無線局(免許、登録)

・空中線電力:250mW・周波数帯: 920.5~923.5MHz

○特定小電力無線局(免許不要)

・空中線電力:20mW・周波数帯: 920.5~928.1MHz

○特定小電力無線局(免許不要)

・空中線電力:1mW・周波数帯: 915.9~929.7MHz

アクティブ系無線システムパッシブ系無線システム

工場等の構内での利用

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920MHz帯小電力無線システムにおける新たな利用ニーズ

■ LPWAシステムの利用

携帯電話(3G/4G)無線LAN

Wi-SUN, BLE, ZigBee etc. LPWA (SIGFOX, LoRa, ...)

1m 10m 1km100m 通信距離

消費電力/通信速度

高IoT社会の実現に向け、低消費電力(長寿命)

で広いカバーエリアを持つ低コストの無線シス

テムが求められており、LPWA (Low Power WideArea) として様々な規格が提案されている。

「超多数同時接続」がターゲット

■ 920MHz帯における主なLPWAシステム

3

システムSIGFOX LoRa

上り 下り 上り/下り

使用周波数 800-900MHz 433MHz, 800-900MHz

変調方式 SSB-SC + D-BPSK ISB + GFSK チャープ方式の周波数拡散・FSK

通信速度 100bps 600bps 250bps~50kbps程度

使用周波数の幅 100Hz 800Hz 125kHz 250kHz

空中線電力 20mW 250mW 250mW, 20mW

通信範囲 数km~数十km 数km~十数km

諸外国の利用状況 26か国で展開 LoRa Allianceで規格化。16地域で展開

■技術基準の見直し要望等

現行基準では、周波数の許容偏差が±20×10-6以内となっていることから、占有周波数帯幅100Hzと狭帯域となるSIGFOX方式につい

ては、中心周波数付近しか搬送波周波数を配置することができない。このため、単位チャネル内で搬送波周波数のより柔軟な周波数配置が可能となるよう、周波数の許容偏差の見直しに関する要望あり。

LoRa方式については、SIGFOX方式よりも占有周波数帯幅が広い125kHzを利用することから、周波数の許容偏差を含め、現行基準に適合し、周波数の効率的な利用等に支障が生じるものでなく、特段の改正要望はない。

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920MHz帯小電力無線システムの技術基準の見直し項目 4

■技術基準の見直し項目と対象システム

技術基準の見直し項目

パッシブ系電子タグシステム アクティブ系小電力無線システム

構内無線局(高出力型:1W)

特定小電力無線局(中出力型:250mW)

簡易無線局(高出力型:250mW)

特定小電力無線局(中出力型:20mW)

特定小電力無線局(低出力型:1mW)

免許・登録 免許不要 免許・登録 免許不要 免許不要

狭帯域周波数の使用方法 ○ ○ ○

その他

電波の型式 ○ ○

送信時間制限 ○

低利得アンテナ利用時の空中線電力 ○ ○ ○

識別符号 ○ ○ ○

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920MHz帯小電力無線システムの技術基準の見直しの検討①

■狭帯域周波数の使用方法の見直しの検討①

単位チャネル(200kHz)

(時間)

基地局受信イメージ

♯1

♯2

♯3

♯2

【現行の周波数利用】

基地局

#1

#2

#3

(時間)

単位チャネル(200kHz)

♯1~♯XXX

基地局受信イメージ(周波数)(周波数)

【新たな狭帯域の周波数利用】

・・・#XXX

基地局

#1

#2

#3

#4

複数の端末が同一単位チャネルを時間軸上で共用

伝送情報が少ないため、狭帯域化し、柔軟な周波数利用することにより、単位チャネル内における端末間の通信の輻輳回避を図る等、周波数利用効率を向上

#1

#2 #3#4

#1#2

#3

#3

fc(中心周波数)

単位チャネル(200kHz/100kHz)

周波数の許容偏差(約±18.4kHz)

現行基準では、周波数の許容偏差の規定(±20×10-6以内)により、搬送波周波数は単位チャネルの中心周波数から約±18.4kHzの範囲内の利用に限定される。特に狭帯域の周波数利用では、単位チャネル内の端から端まで周波数を使用することができない。

狭帯域の搬送波周波数の利用形態においては、同一の単位チャネル内において、端末毎に搬送波周波数をずらして利用することにより、従来の時間軸上の周波数共用だけでなく、周波数軸上においても周波数共用を行うことが可能となり、より周波数利用効率の向上が図られることとなるため、単位チャネル内における狭帯域の搬送波周波数の使用方法の見直すことが必要である。

狭帯域の周波数利用では、単位チャネル内の端から端まで周波数を利用を可能としたい

5

○狭帯域の周波数の使用方法イメージ

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920MHz帯小電力無線システムの技術基準の見直しの検討②

fc (中心周波数:割当周波数)

単位チャネルの帯域幅(200kHz/100kHz)(指定周波数帯の幅)

占有周波数帯幅

狭帯域周波数の使用方法の見直しについては、以下の2案が考えられる。

案① 現行の単位チャネル(100kHz/200kHz)の帯域幅を細分化し、新たな狭帯域の単位チャネルを設定する方法案② 現行の単位チャネル(100kHz/200kHz)の帯域幅内において、狭帯域の搬送波周波数の柔軟な配置を可能とする方法

案①の場合 想定される狭帯域の搬送波周波数を考慮し、現行の単位チャネルの帯域幅を更に細分化し、狭帯域の単位チャネルの幅、

その中心周波数(割当周波数)及び周波数の許容偏差を規定する。この場合、SIGFOXを想定すると、搬送波の占有周波数帯幅が100Hzであることから、現行の200kHzの単位チャネルをさらに2000

チャネルに細分化することになる。しかしながら、今後、多様化する通信ニーズを考慮すると、様々な通信方式の導入により、無線システム毎に搬送波の占有周波数帯幅が異なることが想定され、それぞれの搬送波の占有周波数帯幅に応じて複数の単位チャネルを利用するパターンが多数混在する状況が生じ得る。このような状況では、割当周波数の指定が複雑化し、周波数管理が煩雑となる。

案②の場合 現行の単位チャネルの帯域幅内に周波数の許容偏差を含めて搬送波の占有周波数帯幅が収まることを要件として規定

する。占有周波数帯幅の許容値や周波数の許容偏差を規定しない。【指定周波数帯による管理】これにより、狭帯域の搬送波周波数の利用が単位チャネル内の端から端まで使用可能となり、周波数の利用効率の向上を図ること

が可能となる。また、搬送波の使用可能な周波数の範囲を現行の単位チャネルの幅と同一とし、割当周波数を単位チャネルの中心周波数とすることにより、占有周波数帯幅の許容値や周波数の許容偏差を規定しなくても、現行の周波数管理を維持することが可能である。

■狭帯域周波数の使用方法の見直しの検討②

6

検討の結果、今後の多様化する利用ニーズに対する柔軟な周波数利用や適切な周波数管理の実現を考慮し、単一の単位チャネル内の周波数利用について、案②による使用方法として、現行の単位チャネルの幅を、指定周波数帯の幅とし、周波数の許容偏差を規定しないことを追加することが適当である。

なお、既存無線システムとの周波数共用の観点から、狭帯域の搬送波周波数の利用であっても、現行の技術基準のとおり、キャリアセンスは単位チャネル幅を基準とし、かつ、隣接チャネル漏えい電力や不要発射の強度の規定を適用することが適当である。これにより、既存の無線システムとの共用が可能である。

○案②のイメージ

※ 指定周波数帯の幅は、

占有周波数帯幅の許容

値と周波数の許容偏差

の絶対値の2倍の和と等

しい周波数の幅をいう。

周波数の許容偏差

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920MHz帯小電力無線システムの技術基準の見直しの検討③

■電波の型式の見直しの検討

(1) 対象システム

パッシブ系電子タグシステム(構内無線局及び特定小電力無線局(移動体識別用))

(2) 現行技術基準

N0N、A1D、AXD、H1D、R1D、J1D、F1D、F2D又はG1D

(3) 技術基準の見直し

電波の型式は、変調方式や伝送情報の型式を表示するものである。一般的に変調方式や伝送情報は、その方式や情報内容により使用する電波の占有周波数帯幅等の電波の質に影響を与えるため、隣接周波数や他の無線局への影響を与えないよう周波数を管理する上で電波の型式を規律する必要がある。

今般、弾性表面波を利用したSAW(Surface Acoustic Wave)デバイスを利用したパルス変調方式による無線機器の開発・導入が検討されており、新たな電波の型式(P0N, Q0N)の追加要望があった。これらの電波の型式による電波の使

用は、現行基準の送信マスクや不要発射の強度の許容値を満足するものであることから、既存無線システムへの影響を及ぼすものではない。

一方、多様化する通信ニーズにより、今後、同様に新たな通信方式や変調方式等の開発や導入の際に、現行基準で規定されている電波の型式以外のものが使用される可能性が想定される。これについては、今回の検討と同様に現行基準の送信マスクや不要発射の強度の許容値を満足するものであれば、既存無線システムへの影響を及ぼすものでないと考えられる。また、920MHz帯のパッシブ系電子タグシステムは、無線設備規則において、「移動体識別用」として技術基準を定めており、他の用途に使用されることはない。

このため、現行基準の送信マスクや不要発射の強度の許容値等の規定を満たすことを前提として、今後の柔軟な無線システムの機器開発や利用促進を図る観点から、920MHz帯パッシブ系電子タグシステムについては、電波の型式を規定しないこととする。

7

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【中出力型】送信時間制限

【低出力型】送信時間制限

920MHz帯小電力無線システムの技術基準の見直しの検討④

■送信時間制限の見直しの検討

(1) 対象システム

アクティブ系小電力無線システム(特定小電力無線局(テレメータ、テレコントロール及びデータ伝送用))

(2) 現行技術基準

【低出力型の基準 : 1mW以下(キャリアセンス無し)】

送信時間100ミリ秒以下及び休止時間100ミリ秒以上、かつ、1時間あたりの送信時間総和3.6秒以下

【中出力型の基準 : 1mWを超え20mW以下(キャリアセンス有り)】

①パッシブ系の共用条件 : 送信時間4秒以下及び休止時間50ミリ秒以上

②アクティブ系の共用条件 : 送信時間400ミリ秒以下及び休止時間2ミリ秒以上、かつ、1時間当たりの送信時間総和360秒以下

(3) 技術基準の見直し

空中線電力が1mW以下の無線システム(低出力型)は、受信回路を持たない安価なリモコンやタグシステムを利用で

きるようにすることを念頭に、送信出力や送信時間を制限することでキャリアセンス不要なシステムとして制度化されている。一方、空中線電力が1mWを超え20mW以下の無線システム(中出力型)の送信時間制限は、一定のキャリアセンスを行うことを条件として、低出力型の送信時間制限よりも緩和されている。

今般、多様な通信ニーズへ対応するため、低出力型と中出力型の無線システムが共用する周波数において、空中線電力が1mW以下のものであっても、中出力型の技術基準と同様にキャリアセンスを行うことを条件として、中出力型の送信時間制限の利用が可能となるよう要望があった。

8

検討した結果、既存無線システムへ影響を与えるものではないことから、現行の中出力型の技術基準について、空中線電力が1mW以下のものにキャリアセンスの適用範囲を拡大し、4秒以下又は400ミリ秒以下の送信を可能とする。

20mW

1mW

(キャリアセンス有り) (キャリアセンス無し)

空中

線電

適用範囲の拡大

空中線電力1mW以下の送信時間制限緩和

(適用無し)

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920MHz帯小電力無線システムの技術基準の見直しの検討⑤

■低利得アンテナの利用時における空中線電力の見直し検討

ハンディータイプのリーダライタやウェアラブル端末での利用など、小型・薄型機器の利用が進んでいる。小型・薄型機器では搭載スペースが限られることから、空中線利得が低利得となり、必要な通信距離が確保できないなど課題がある。

このため、アンテナ一体型等の無線設備における低利得アンテナの利用を前提として、基準の等価等方輻射電力(EIRP)の範囲内であれば、現行基準の空中線利得を増加することを許容することに加え、空中線電力を増加することを許容する規定の見直しを検討。

3

中出力型アクティブ系小電力無線システム(20mW以下のもの)を想定した場合のイメージ

16

0

[ dBm ]

[ dBi ]

空中線電力

送信空

中線利得

13

EIRP:16dBm

EIRPが16dBmを超えない範囲で、

①空中線電力の低下分について送信空中線利得を増加することを許容

現行基準

3

16

0

[ dBm ]

[ dBi ]

空中線電力

送信空

中線利得

13

EIRP:16dBm

EIRPが16dBmを超えない範囲で、

①空中線電力の低下分について送信空中線利得又は②空中線利得の低下分について空中線電力を増加することを許容

見直し案

24

-8

【基本的な考え方】

現行基準では、基準となる空中線電力と送信空中線利得による等価等方輻射電力(EIRP)を条件とし、基準のEIRPの範囲内で、空中線電力の低下分について、送信空中線利得を増加することを許容している。

見直し案は、アンテナ一体型等の無線設備における低利得アンテナの利用を前提として、基準のEIRPの範囲内で、現行基準の空中線

電力の低下分について送信空中線利得を増加することを許容することに加え、空中線利得の低下分について空中線電力を増加することを許容するものである。なお、基準とするEIRPは、現行基準と同一の値であることから、他の無線局へ著しく影響を与えるものでない。

EIRPにおける空中線電力の上限としては、アクティブ系においてはアンテナ一体型のものの空中線利得が一般的に-2~-6dBi程度であることを考慮し、高出力型で認められている空中線電力の250mW(24dBm)を最大とすることが適当である。また、パッシブ系においてはアンテナ一体型のもの(ハンディータイプ)の空中線利得が一般的に0~-3dBi程度であることを踏まえ、基準となるEIRPの電力を考慮し、中出力型のものは最大500mWとすることが適当である。

9

①①

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920MHz帯小電力無線システムの技術基準の見直しの検討⑥

■低利得アンテナの利用時(利得の低下分を空中線電力の増加で許容する場合)におけるキャリアセンスレベルの検討

920MHz帯は、様々な無線システムが周波数を共用しているため、基本的に電波の発射前にキャリアセンスを行うこととされている。

キャリアセンスは、他の無線局との混信を保護するため、自局が発射する送信エリアにおいて、他の無線局の電波が使用されていないか検知する機能である。

相対的に利得が低いアンテナは、利得が高いアンテナと比べて送信性能及び受信性能が下がるため、送信エリア及び受信エリアともに狭くなる。ここで、基準となるEIRPの範囲内で空中線電力を増加することを許容する場合、利得が高いアンテナと同等の送信エ

リアを確保することが可能となるが、受信エリアは狭いままであることから、自局の送信エリアに対して、十分なキャリアセンスを行うことができず、ひいては他の無線局と混信を生じるおそれが想定される。

このため、送信エリアと受信エリアの差を解消するため、空中線電力を増加させた分、キャリアセンスレベルを引き下げることが適当である。なお、高利得の空中線への付替え等、容易に不法改造ができないよう、空中線電力の増加を許容する無線設備については、無線設備(空中線及び送信装置等)が一の筐体に収められている構造のものに限定することが適当である。

-91

13(20mW)

24(250mW)

[dBm]

[dBm]

-80

現行基準値

新たな基準値(20mWタイプ)

■現行規定

キャリアセンスは、受信入力電力の値が給電線入力点において(-)80dBm以上の値である場合には、当該値を受信した無線チャネルにおける電波の発射は行わないものであること。

■見直し案

キャリアセンスは、受信入力電力の値が給電線入力点において(-)80dBm(空中線電力が20mWの値を超えるものにあっては、その超えた分を(-)80dBmから減じた値とする。)以上の値であ

る場合には、当該値を受信した無線チャネルにおける電波の発射は行わないものであること。

【キャリアセンスレベルと空中線電力】

キャリアセンスレベル

空中線電力

○中出力型アクティブ系小電力無線システム(20mW以下)の場合

低利得アンテナ使用時の空中線電力の緩和

10

【基本的な考え方】

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920MHz帯小電力無線システムの技術基準の見直し検討⑦

■低利得アンテナの利用時における空中線電力等の緩和(まとめ)

■その他

○識別符号の符号長の見直し

電気通信回線に接続する端末設備における識別符号の符号長の下限については、現行では48ビット以上と規定されている。近年の新たな利用ニーズであるSIGFOXやLoRa方式等の国際的な無線システムでは、より短い32ビット

が識別符号の符号長の下限となっている。したがって、これらの無線システムとの整合を図るため、端末設備における識別符号の符号長を32ビット以上に見直すこととする。

対象システム ①基準空中線電力

②基準送信空中線利得

③基準EIRP(①+②)(注1)

④最大空中線電力(注1)

⑤基準キャリアセンスレベル

⑥キャリアセンスレベル(注2)カテゴリー 局種

パッシブ型 特定小電力無線局250mW(24dBm) 3dBi 27dBm 500mW

(27dBm)-74dBm -74-P dBm

アクティブ型

特定小電力無線局(中出力型)

20mW(13dBm) 3dBi 16dBm 250W

(27dBm) -80dBm -80-P dBm

特定小電力無線局(低出力型)

1mW(0dBm) 3dBi 3dBm 250mW

(27dBm) (キャリアセンス不要) (キャリアセンス不要)

注1 EIRP規定を適用する場合、EIRPは使用する無線設備の送信空中線利得に許容偏差を含めた空中線電力を加えた値とし、規定値を超えないものとする。

注2 Pは、空中線電力が基準空中線電力を超えた分に相当する電力を示す。キャリアセンスレベルは、基準キャリアセンスレベルからPを減じる値とする。

注3 構内無線局については、他の無線システムの影響について詳細に検討する必要があることから、別途検討することとする。アクティブ型の簡易無線局(250mW)については、空中線電力も高出力であって、長距離通信の利用を目的とするものであり、低利得アンテナの利用ニーズが想定されないことから対象外とする。

11

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技術的条件の見直し(まとめ)①

現行 変更案

カテゴリー 構内無線局(高出力型)

特定小電力無線局(中出力型)

構内無線局(高出力型)

特定小電力無線局(中出力型)

電波の型式 N0N、A1D、AXN、H1D、R1D、J1D、F1D、F2D及びG1D 規定しない。

空中線電力 1W以下 250mW以下 1W以下

<変更無し>

250mW以下

ただし、無線設備が一の筐体に収められており、かつ、容易に開けられない構造である場合であって、等価等方輻射電力(※)が27dBm以下となるものにあっては、500mW以下とすることができる。

送信空中線 6dBi以下

ただし、等価等方輻射電力が、36dBm(6dBiの送信空中線に1Wの空中線電力を加えたときの値)以下となる場合は、その低下分を送信空中線の利得で補うことができる。

3dBi 以下

ただし、等価等方輻射電力が、27dBm(3dBiの送信空中線に250mWの空中線電力を加えたと

きの値)以下となる場合は、その低下分を送信空中線の利得で補うことができる。

6dBi以下

<変更無し>

3dBi 以下

ただし、等価等方輻射電力(※)が27dBm以上となる場合は、そ

の超えた分を送信空中線の利得で減ずるものとし、当該値以下となる場合は、その低下分を送信空中線の利得で補うことができる。

キャリアセンスレベル

-74dBm -74dBm(空中線電力が10mW以下の場合は-64dBm)

-74dBm

<変更無し>

-74dBm(空中線電力が10mW以下の場合は-64dBm)ただし、空中線電力が250mWを

超えるものにあっては、その超えた分、キャリアセンスレベルを減ずる。

○パッシブ型無線システムの技術的条件 【見直し項目のみ】

電波型式の見直し

低利得アンテナの使用時における空中線電力の見直し

低利得アンテナの使用時における空中線電力の見直し

低利得アンテナの使用時における空中線電力の見直し

12

※ 等価等方輻射電力は、使用する無線設備の送信空中線利得に許容偏差を含む空中線電力を加えた値とする。

上記以外の技術的条件については、現行基準のとおりとする。

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現行 変更案

カテゴリー簡易無線局(高出力型)

特定小電力無線局(中出力型)

特定小電力無線局(低出力型)

簡易無線局(高出力型)

特定小電力無線局(中出力型)

特定小電力無線局(低出力型)

周波数の許容偏差

±20×10-6以内 ±20×10-6以内

ただし、単一の単位チャネルを使用する場合にあっては、単位チャネルの幅を指定周波数帯(※)の幅とし、周波数の許容偏差は上記の規定を適用しないことができる。

「指定周波数帯」とは、その周波数帯の中央の周波数が割当周波数と一致し、その周波数帯幅が占有周波数帯幅の許容値と周波数の許容偏差の絶対値の2倍の和と等しい周波数の幅をいう。

空中線電力 250mW以下 1mWを超え20mW以下

1mW以下 250mW以下

<変更なし>

20mW以下

ただし、無線設備が一の筐体に収められており、かつ、容易に開けられない構造である場合であって、等価等方輻射電力(※)が16dBm以下となるものにあっては、250mW以下とすることができる。

1mW以下

ただし、無線設備が一の筐体に収められており、かつ、容易に開けられない構造である場合であって、等価等方輻射電力(※)が3dBm以下となるものにあっては、250mW以下とすることができる。

送信空中線 3dBi以下

ただし、等価等方輻射電力が、27dBm(3dBiの送信空中線に250mWの空中線電力

を加えたときの値)以下となる場合は、その低下分を送信空中線の利得で補うことができる。

3dBi以下

ただし、等価等方輻射電力が、16dBm(3dBiの送信空中線に20mWの空中線電力

を加えたときの値)以下となる場合は、その低下分を送信空中線の利得で補うことができる。

3dBi以下

ただし、等価等方輻射電力が、3dBm(3dBiの送信空中線に1mWの

空中線電力を加えたときの値)以下となる場合は、その低下分を送信空中線の利得で補うことができる。

3dBi以下

ただし、等価等方輻射電力(※)が、27dBm以下となる場合は、その低下分を送信空中線の利得で補うことができる。

<変更無し>

3dBi以下

ただし、等価等方輻射電力(※)が16dBm以

上となる場合は、その超えた分を送信空中線の利得で減ずるものとし、16dBm以下と

なる場合は、その低下分を送信空中線の利得で補うことができる。

3dBi以下

ただし、等価等方輻射電力(※)が3dBm以上

となる場合は、その超えた分を送信空中線の利得で減ずるものとし、3dBm以下となる場

合は、その低下分を送信空中線の利得で補うことができる。

技術的条件の見直し(まとめ)②

○アクティブ型無線システムの技術的条件① 【見直し項目のみ】

※ 等価等方輻射電力は、使用する無線設備の送信空中線利得に許容偏差を含む空中線電力を加えた値とする。

低利得アンテナの使用時における空中線電力の見直し

狭帯域の周波数の使用方法の見直し

低利得アンテナの使用時における空中線電力の見直し

13

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現行 変更案

カテゴリー簡易無線局(高出力型)

特定小電力無線局(中出力型)

特定小電力無線局(低出力型)

簡易無線局(高出力型)

特定小電力無線局(中出力型)

特定小電力無線局(低出力型)

送信時間制限

【キャリアセンス:5ms以上】送信:4s以内休止50ms以上

【キャリアセンス:128μs以上5ms未満】送信:400ms以内休止:2ms以上総和:360s/h以下

【キャリアセンス:5ms以上】送信:4s以内休止50ms以上

【キャリアセンス:128μs以上5ms未満】送信:400ms以内休止:2ms以上総和:360s/h以下

【キャリアセンス不要】①916-928MHz送信:100mS以内休止:100ms以上総和:3.6s/h以下

②928.15-929.65MHz送信:50mS以内休止:50ms以上

【キャリアセンス:5ms以上】送信:4s以内休止50ms以上

【キャリアセンス:128μs以上5ms未満】送信:400ms以内休止:2ms以上総和:360s/h以下

※要求の受信を完了した後2ms以内に送信

を開始し、要求の受信を完了した後5ms以内(一の単位チャネルを使用する場合は50ms以内)に送信を完了するACKにか

かる時間は、送信時間の総和に含めない。

【キャリアセンス:5ms以上】送信:4s以内休止50ms以上

【キャリアセンス:128μs以上5ms未満】送信:400ms以内休止:2ms以上総和:360s/h以下

※1mW以下の場合でも、使用可能とする。

※要求の受信を完了した後2ms以内に送信

を開始し、要求の受信を完了した後5ms以下(一の単位チャネルを使用する場合は50ms以内)に送信を完了するACKにか

かる時間は、送信時間の総和に含めない。

【キャリアセンス不要】①916-928MHz送信:100mS以内休止:100ms以上総和:3.6s/h以下

②928.15-929.65MHz送信:50mS以内休止:50ms以上

<変更なし>

キャリアセンスレベル

-80dBm -80dBm 【キャリアセンス不要】 -80dBm

<変更なし>

-80dBmただし、空中線電力が20mWの値を超えるも

のにあっては、その超えた分を(-)80dBmから減じた値とする。

【キャリアセンス不要】

<変更なし>

識別符号 48ビット以上 32ビット以上

技術的条件の見直し(まとめ)③

○アクティブ型無線システムの技術的条件② 【見直し項目のみ】

低利得アンテナの使用時における空中線電力の見直し

送信時間制限の見直し

識別符号の見直し

14

上記以外の技術的条件については、現行基準のとおりとする。

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920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る今後の課題

■今後の課題

(1) アクティブ系小電力無線システムの送信時間制限の見直しへの対応

920MHz帯の周波数の利用が広がり、様々な通信ニーズに対応するため、多種多様なアクティブ系小電力無線

システムの導入が進む中、スター型や中継型のネットワーク構成、マルチホップ通信、音声データ等の連続送信等が必要な無線システムについては、現行基準の送信時間制限の下でも利用可能であるが、今後の様々な利用形態を考慮した場合、より利便性を向上させるために送信時間制限を見直すべきとの要望が出されている。

このため、更なる利用ニーズを精査し、今後の普及予測や他の無線システムへの影響を確認した上で、送信時間制限の見直しについて検討を進めることが求められる。

(2) パッシブ系電子タグシステムの使用環境の多様化への対応

現在、高出力型パッシブ系電子タグシステムについては、構内無線局として規定されており、工場等の一の構内においてのみ使用が可能である。一方、諸外国においては、安価な計測システムとしてマラソンでのタイム測定システム等、広く屋外でも利用されている。機器の小型化も進み、ハンディタイプの機器も登場している。

このため、このような使用環境の多様化への対応等について他の無線システムへの影響を確認した上で、検討を進めることが求められる。

(3) アクティブ系小電力無線システムの電気通信サービスへの対応

IoT社会では、多種多様なモノがネットワークに接続され、インフラ構築、IoTデバイスによる情報収集、データ分析等、多様なプレーヤーが連携して電気通信サービスを提供することが想定される。これまで920MHz帯は自営

系の無線システムの利用が中心であったが、今後は、このような利用形態も視野に入れた制度整備が求められる。

15

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陸上無線通信委員会における検討状況 16【参考】

■平成28年11月10日(第33回陸上無線通信委員会)

• 「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術的条件」の検討開始及び検討の進め方について審議

■平成29年2月6日(第35回陸上無線通信委員会)

• 「920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術的条件」委員会報告(案)について審議

■平成29年2月10日~3月12日 委員会報告(案)に対する意見募集

• 意見募集の結果、3者(うち個人1者)から意見提出

■平成29年3月17日~3月24日(第37回陸上無線通信委員会)

• 意見募集の結果及び意見に対する考え方について、メールにより審議

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920MHz帯電子タグシステム等作業班における検討状況 17【参考】

■平成28年11月24日(第1回作業班)

• 「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術的条件」の検討開始及び検討の進め方を確認

• 新たな利用ニーズについて検討

■平成28年12月6日(第2回作業班)

• 技術的条件の見直し案について検討

■平成28年12月20日(第3回作業班)

• 技術的条件の見直し案について検討• 測定方法について検討

■平成29年1月26日(第4回作業班)

• 技術的条件の見直し案について検討及び取りまとめ

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陸上無線通信委員会 構成員【参考】 18

氏名 所属

主査 安藤 真 東京工業大学 理事・副学長(研究担当)産学連携推進本部長

飯塚 留美 (一財)マルチメディア振興センター電波利用調査部 研究主幹

伊藤 数子 特定非営利活動法人STAND 代表理事

大寺 廣幸 (一社)日本民間放送連盟 常勤顧問

小笠原 守 日本電信電話(株) 技術企画部門 電波室長

小花 貞夫(平成29年1月6日から)

電気通信大学 情報理⼯学研究科 教授

川嶋 弘尚(平成29年1月5日まで)

慶應義塾大学 名誉教授

河野 隆二 横浜国立大学大学院 工学研究院 教授 兼 同大学未来情報通信医療社会基盤センター長

鈴木 薫 (一社)全国陸上無線協会 専務理事

玉眞 博義 (一社)日本アマチュア無線連盟 専務理事

田丸 健三郎 日本マイクロソフト(株) 技術統括室 業務執行役員ナショナル テクノロジーオフィサー

中原 俊二 日本放送協会 放送技術研究所 伝送システム研究部長

浜口 清 国立研究開発法人情報通信研究機構 ワイヤレスネットワーク総合研究センター 副総合研究センター長

本多 美雄 欧州ビジネス協会 電気通信機器委員会 委員長

松井 房樹(平成29年1月6日から)

⼀般社団法人電波産業会 専務理事・事務局長

松尾 綾子 (株)東芝 研究開発センター 研究主務

三谷 政昭 東京電機大学 工学部情報通信工学科 教授

森川 博之 東京大学 先端科学技術研究センター 教授

矢野 由紀子 日本電気(株) セキュリティ研究所 シニアエキスパート

吉田 貴容美 日本無線(株)研究所 新領域開発企画部 エキスパートリーダー

若尾 正義(平成29年1月5日まで)

元 (一社)電波産業会 専務理事

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920MHz帯電子タグシステム等作業班 構成員

氏名 所属

主任 三次 仁 慶應義塾大学 環境情報学部 教授

伊東 克俊ソニー株式会社 R&Dプラットフォーム・システム研究開発本部・要素技術開発部門コネクティビティ技術開発部 担当部長 無線通信技術領域

乾 明洋パナソニックシステムネットワークス株式会社 システムソリューションズジャパンカンパニー 社会システム本部社会システムセンター テレコム&ユーティリティ部 通信システム課 主任技師

大井 伸二 凸版印刷株式会社 事業開発・研究本部 事業開発センター 担当部長

落合 孝直 富士通フロンテック株式会社 流通事業本部 RFID事業部 事業部長

川田 拓也 東京ガス株式会社 基盤技術部 スマートシステム研究開発センター 無線・通信技術チーム チームリーダー

小谷 玄哉 三菱電機株式会社 コミュニケーション・ネットワーク製作所 無線通信システム部 技術第三課 専任

斎藤 城太郎 セムテックジャパン合同会社 LoRa担当 技術課長

佐々木 邦夫 電気興業株式会社 新規事業統括部 事業開発部 参事

佐野 弘和 ソフトバンク株式会社 渉外本部 標準化推進部 制度推進課 課長

鈴木 淳 一般財団法人移動無線センター 事業本部 事業企画部 課長

鈴木 敬 東京電力パワーグリッド株式会社 電子通信部 通信ネットワーク技術センター 通信基盤技術グループ 課長

中畑 寛 一般社団法人日本自動認識システム協会 研究開発センター RFID担当 主任研究員

西田 肇夫株式会社東芝 エネルギーソリューションシステム社 電力流通システム事業部 スマートメーターシステム推進部スマートメーターシステム技術部 スマートメーター通信技術担当 参事

二宮 照尚 株式会社富士通研究所 ネットワークシステム研究所 フロントネットワーク運用管理プロジェクト 主管研究員

野島 友幸 一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター 技術部 副部長

日比 学 京セラコミュニケーションシステム株式会社 ICT事業本部 LPWA推進部 副部責任者

福永 茂 沖電気工業株式会社 情報・技術本部 研究開発センター イノベーション推進室 シニアスペシャリスト

藤本 和久 一般社団法人電波産業会 研究開発本部 移動通信グループ 主任研究員

望月 伸晃 日本電信電話株式会社 未来ねっと研究所 ワイヤレスシステムイノベーション研究部 主任研究員

山田 隆男 大日本印刷株式会社 情報イノベーション事業部 第2技術本部 ソリューション開発センター 第2グループ

李 還幇国立研究開発法人情報通信研究機構 ワイヤレスネットワーク総合研究センター ワイヤレスシステム研究室総括主任研究員

渡辺 淳 株式会社デンソーウェーブ Auto-ID事業部 技術企画部 技術管理室 室長

【参考】 19

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情報通信審議会 情報通信技術分科会陸上無線通信委員会報告

概要

平成29年3月31日陸上無線通信委員会

資料 125-6-1

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検討の背景

●700MHz帯高度道路交通システムは、路車間サービスを提供する基地局と、路車間サービス及び車車間サービスを利用する車載器(免許を要しない無線局)で構成され、平成23年に制度化。平成27年9月に国際標準化(ITU‐R勧告M.2084)。

●同システムの搭載車は、平成27年10月より市販開始。●自動走行に関する研究開発等の進展に伴い、様々な道路交通情報の適時取得に対するニーズが高まりつつある。●基地局間通信(路路間通信)の導入による路車間サービスのさらなる高度化、ITS(高度道路交通システム)インフラの

強靱化に向けた、電波利用に係る環境整備について、技術的検討が必要。

背景

高度化イメージ

1

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700MHz帯高度道路交通システムの割当状況等について

割当状況

760MHzを中心とする1波(755.5~764.5MHzの9MHz幅)を割当

(路車間通信と車車間通信で共用中)

2

●100msを1つの制御周期単位として、その中で路車間通信に利用できる時間帯をスロットとして予め定義している。-6.24msおきに16個のスロットを定義(1スロットあたり最大3.024ms=連続送信可能時間)。

(最大3.024ms × 16スロット = 最大48.384ms→ 最大48.384%の時間を路車間通信に利用可能)

●路車間通信で個々の基地局は、任意の100ms中最大10.5msまでしか使用できない(最大3.47スロット)。

●車車間通信は、CSMA/CA方式により、電波の空いているときに行うことができる。個々の車載器は任意の100ms中最大0.66msまで使用可能。(連続送信可能時間:最大0.33ms)

-基地局過密エリアでも、全体の50%以上の時間を車車間通信に利用可能-基地局が全く無いエリアでは、全ての時間を車車間通信に利用可能

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

0ms 100ms6.24ms 12.48ms 18.72ms 24.96ms 31.2ms 37.44ms 43.68ms 49.92ms 56.16ms 62.4ms 68.64ms 74.88ms 81.12ms 87.36ms 93.6ms

最大3.024ms

制御周期 100ms

現状の共用(路車間通信と車車間通信)方法

車車間メッセージサイズ:最大100Byte路車間メッセージサイズ:最大7kByte

※黄色の部分が路車間通信用スロット

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ITS(高度道路交通システム)専用周波数(760MHz)を利用

した車と車、車と路側インフラ設備をつなぐ無線システム。様々な情報提供等により安全で円滑な運転を支援。

対応車では、ディスプレイ表示や音声を通じて、運転者に対する注意喚起・情報提供等を実施。

ITS Connectとは?

【車車間通信システム】

緊急車両存在通知緊急走行車(本システム対応

車両)が周辺にいる場合に、自車に対するおよその方向・距離、緊急車両の進行方向を表示

通信利用型レーダークルーズコントロール

先行車が本システム対応車両の場合、先行車両の加減速情報を用い、車間距離や速度の変動を抑え、スムースな追従走行を実現

【路車間通信システム】赤信号注意喚起

赤信号(本システム対応信号)の交差点に近づいてもアクセルペダルを踏み続けるなど、ドライバーが赤信号を見落としている可能性がある場合に、注意喚起

信号待ち発進準備案内赤信号(本システム対応信

号)で停車したとき、赤信号の待ち時間の目安を表示

右折時注意喚起交差点(本システム対応信

号)で右折待ち停車時に、対向車線の直進車や、右折先に歩行者がいるにもかかわらず、ドライバーが発進しようとするなど、見落としの可能性がある場合に、注意喚起

※本ページのイメージ図、説明などはトヨタ社ホームページに掲載されているものを再構成・簡素化等したもの

2015年10月、トヨタ自動車が760MHzを利用した車車間通信システム及び路車間通信システムに対応した車の販売を開始。ITS専用周波数を利用した車車間、路車間通信の実用化は世界初。

(交差点に設置された車両検知機等の情報を取得して実現)

(参考)700MHz帯高度道路交通システムのサービス(ITS Connect) 3

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検討概要

路車間通信機能を有し、安全運転支援サービスを行う路側機が新たに路路間通信機能を具備することで、

①路車間サービスの高度化(近接交差点信号情報や緊急車接近情報の広域提供等)②信号管制システムの強靱化

を実現することを目的として、路路間通信の導入に向けて必要な技術的条件の検討を行う。

目的

700MHz高度道路交通システムは、そもそも安全運転支援を目的として制度整備されたものであり、

直接的な安全運転支援を行う車車間通信及び路車間通信のサービスを最優先に確保すべきである。これらのサービス提供に有害な影響を与えない範囲内で路路間通信を実現し、安全運転支援システムを含むITSの高度化に資することを目指す。

基本的な考え方

路路間通信の導入に向けた検討の前提条件として、

①原則として路側機設置モデルは従来と同等

②現状の路車間通信で利用可能な電波の範囲内(現行規格における路車間通信スロットの範囲内での電波の発射であり、かつ、1つの路側機の路車間通信・路路間通信の送信時間の総和が100ms中10.5ms以内)

の2つの条件を設定して現状に即した検討を行っている。これらの条件より、他の無線システムへの干渉については、現行システムの基地局による与干渉として想定している範囲内に収まることから、改めて検討は行わないものとする。

他の無線システムとの共存に関する検討

4

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シミュレーション結果

路車間通信、車車間通信及び路路間通信の通信成立性について、路側機配置や提供サービス等の条件を変えて、9パターンのシミュレーションを行った。その概要及び結果は以下のとおり。

これらのシミュレーションの結果、各通信における前提条件下において、①路側機の通信スロットは、標準規格の16個以内に収まる②車車間通信は、通信成功率が基準の95%以上を満たす③路車間通信は、通信成功率が基準の99%以上を満たす④路路間通信は、通信成功率が基準の90%以上を満たす⑤遅延時間が基準の1895ms以下(中継有の場合はその基準値)を満たす

ことから、現在路車間通信に用いられている通信スロット(無線資源)内で、路車間通信と路路間通信の共存が可能であり、車車間通信サービスも問題無く利用できることが確認できた。

5

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700MHz帯高度道路交通システムの高度化に関する技術的条件①

一般的条件

通信方式 同報通信方式、単向通信方式又は単信方式であること。

通信の内容 デジタル化されたデータ信号、画像信号又は音声信号の伝送を行うものであること。

使用周波数帯 使用する無線周波数帯は700MHz帯(755.5MHz~764.5MHz)とすること。

セキュリティ対策 不正使用を防止するため、必要に応じて通信情報の保護対策を講ずること。

無線設備の技術的条件 ①送信装置

空中線電力 1MHzの帯域幅における平均電力が10mW以下であること。

空中線電力の許容偏差 上限20%、下限50%であること。

周波数の許容偏差 ±20×10‐6以内であること。

変調方式 直交周波数分割多重方式であること。

占有周波数帯幅の許容値 9MHz以下であること。

送信速度 信号の伝送速度は、10Mbit/s以上であること。

等価等方輻射電力 1MHzの帯域幅における等価等方輻射電力は10mW以下であること。

不要発射の強度の許容値 周波数帯 不要発射の強度の許容値 参照帯域幅

710MHz以下 2.5μW以下 100kHz

710MHzを超え750MHz以下 20nW以下 100kHz

750MHzを超え755MHz以下 0.1mW以下 100kHz

765MHzを超え770MHz以下 0.1mW以下 100kHz

770MHzを超え810MHz以下 0.32nW以下 100kHz

810MHzを超え1GHz以下 2.5μW以下 100kHz

1GHzを超えるもの 2.5μW以下 1MHz

6

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700MHz帯高度道路交通システムの高度化に関する技術的条件②

無線設備の技術的条件 ②受信装置

副次的に発する電波等の限度

無線設備の技術的条件 ③制御装置

電気通信回線との接続 端末設備を構成する一の部分と他の部分相互間において電波を使用するものは、48ビット以上の識別符号を有すること。

送信時間制御機能 任意の100msの時間内の送信時間の総和(路車間通信及び路路間通信の通算送信時間)は10.5ms以下であること。

周波数帯 副次的に発する電波等の限度 参照帯域幅

770MHz以下 4nW以下 100kHz

770MHzを超え810MHz以下 0.32nW以下 100kHz

810MHzを超え1GHz以下 4nW以下 100kHz

1GHzを超えるもの 4nW以下 1MHz

無線設備の技術的条件 ④空中線

空中線の構造 規定しない。

空中線の利得 送信空中線の絶対利得は、0dB以下であること。ただし、等価等方輻射電力(1MHzの帯域幅における平均等価等方輻射電力)が、絶対利得0dBの送信空中線に平均電力が10mW(1MHzの帯域幅における平均電力が10mW)の空中線電力を加えたときの値以下となる場合は、その低下分を13dBまで送信空中線の利得で補うことができるものとする。

無線設備の技術的条件 ⑤その他

筐体 空中線系を除く高周波部及び変調部は、容易に開けることができないこと。

7

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陸上無線通信委員会 構成員名簿 8

※平成29年3月7日現在 【敬称略】

氏 名 現 職

主査委員

安藤 真 東京工業大学 理事・副学長(研究担当) 産学連携推進本部長

主査代理専門委員

浜口 清国立研究開発法人情報通信研究機構 ワイヤレスネットワーク総合研究センター副総合研究センター長

専門委員 飯塚 留美 (一財)マルチメディア振興センター 電波利用調査部 研究主幹

専門委員 伊藤 数子 (特非)STAND 代表理事

専門委員 大寺 廣幸 (一社)日本民間放送連盟 常勤顧問

専門委員 小笠原 守 日本電信電話(株) 技術企画部門 電波室長

専門委員 小花 貞夫 電気通信大学 情報理工学研究科 教授

専門委員 河野 隆二 横浜国立大学大学院 工学研究院 教授 兼 同大学未来情報通信医療社会基盤センター長

専門委員 鈴木 薫 (一社)全国陸上無線協会 専務理事

専門委員 玉眞 博義 (一社)日本アマチュア無線連盟 専務理事

専門委員 田丸 健三郎日本マイクロソフト株式会社 技術統括室 業務執行役員 ナショナルテクノロジーオフィサー

専門委員 中原 俊二 日本放送協会 放送技術研究所 伝送システム研究部長

専門委員 本多 美雄 欧州ビジネス協会 電気通信機器委員会 委員長

専門委員 松井 房樹 (⼀社)電波産業会 専務理事・事務局長

専門委員 松尾 綾子 (株)東芝 研究開発センター 研究主務

専門委員 三谷 政昭 東京電機大学 工学部情報通信工学科 教授

委員 森川 博之 東京大学 先端科学技術研究センター 教授

専門委員 矢野 由紀子 日本電気(株)セキュリティ研究所 シニアエキスパート

専門委員 吉田 貴容美 日本無線(株)研究所 新領域開発企画部 エキスパートリーダー

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ITS無線システム作業班 構成員 9

氏 名 現 職

【主任】小花 貞夫

電気通信大学 情報理工学研究科 教授

糸氏 敏郎 国土交通省 道路局 道路交通管理課 ITS推進室 課長補佐

井上 茂 (株)本田技術研究所 四輪R&Dセンター 第12開発室 第1ブロック 主任研究員

岩井 誠人 同志社大学 理工学部 電子工学科 教授

上村 治 ソフトバンク (株) 渉外本部 本部長代理 兼 標準化推進部長

小川 伯文 (一社)日本自動車工業会 ITS技術部会 委員

小竹 信幸 (一財)テレコムエンジニアリングセンター 技術部 部長

澤田 学 (株)デンソー 研究開発1部 部長

菅田 明則 KDDI(株) 技術企画本部 電波部 企画・制度グループ マネージャ

末木 隆 トヨタ自動車(株) コネクティッドカンパニー ITS企画部 ITS企画室 室長

瀬川 倉三 (一社)電波産業会 研究開発本部 ITSグループ 担当部長

田中 佑典 経済産業省 製造産業局 自動車課 電池・次世代技術・ITS推進室 課長補佐

浜口 雅春 沖電気工業(株) 情報通信事業本部 新規事業開発室 部長

藤本 浩日産自動車(株) 電子技術・システム技術開発本部 AD&ADAS先行技術開発部 システム・要素技術開発グループ

古川 憲志 (株)NTTドコモ 電波部 電波企画担当部長

【主任代理】山尾 泰

電気通信大学 先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター 教授

山田 雅也 (一社)UTMS協会 研究開発委員会 高度交通管制システム分科会 ネットワーク検討作業部会 委員

山部 浩司 警察庁 交通局 交通規制課 専門官

山村 真也 国土交通省 自動車局 技術政策課 専門官

山本 武志 日本電気(株) 第二製造業ソリューション事業部 第四インテグレーション部 シニアエキスパート

※平成29年3月14日現在 【敬称略:主任以外は五十音順】

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IoT時代の無線通信システムの検討状況

平成29年3月31日新世代モバイル通信システム委員会

資料125-7

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IoT時代の無線通信システム

IoT社会の本格的な到来に向け、従来よりも低消費電力、広いカバーエリア、低コストを可能とするIoT時代の無線通信システム、 LPWA(Low Power Wide Area) の実現が期待。

具体的には、新たな無線通信システムであるLoRA、SIGFOXや、携帯電話ネットワークを利用するeMTC、NB-IoT※

などが提案され、導入に向けた検討が本格化。

1

携帯電話(3G/4G)無線LAN

Wi-SUN, BLE, ZigBee etc.

LPWA(SIGFOX、LoRa、eMTC、 NB-IoT ...)

1m 10m 1km100m 通信距離

消費電力

5G?

図:eMTC/NB-IoTと既存の通信技術の違い

カバレッジ拡張により、これまで電波の届きにくかった屋内やメーターボックス内等をエリア化

※ eMTC: enhanced Machine Type Communication、NB-IoT: Narrow Band IoT

図:LPWAの利用例(スマートメータ―)

利用分野 主な利用ケース等

セキュリティー 火災報知器等のホームセキュリティ、ビル管理

スマートメーター 電力・ガス・水道メーター、漏水検知

社会インフラ 各種センサーによるインフラ管理、街灯管理

防災分野 河川、地滑り、気象、地震・火山観測

農業分野 温度・湿度、水質・土壌管理、家畜のモニタリング

トラッキング物流・運行管理、自動車、自転車、児童・高齢者、ペット、その他物品管理

スマートシティー 渋滞情報、スマートパーキング、自動販売機、ゴミ集積場等図:世界のIoTデバイス数の推移及び予測(出典:平成28年版情報通信白書)

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IoT時代の無線通信システムの主な諸元及び技術的条件の見直し 2

システムSIGFOX LoRa eMTC NB-IoT

上り 下り 上り/下り 上り 下り 上り 下り

使用周波数 920MHz帯(免許不要の周波数帯) 既存の携帯電話の帯域

変調方式SSB-SC + D-BPSK ISB + GFSK チャープ方式の周波数拡

散・FSKBPSK、QPSK、

16QAMQPSK、16QAM π/2-BPSK、π/4-

QPSK、QPSKQPSK

通信速度100bps 600bps 250bps~50kbps程度 1Mbps(全二重)、

300kbps(半二重)800kbps

(注)移動局1台あたり

62kbps 21kbps(注)移動局1台あたり

使用周波数の幅100Hz 800Hz 125kHz 250kHz 1.4MHz LTE-Aの周波数帯域

幅内の6RB(1.08MHz)

200kHz LTE-Aの周波数帯域幅内の1RB(180kHz)

空中線電力 20mW 250mW 250mW, 20mW 100mW、200mW - 100mW、200mW -

カバレッジ拡張 数km~数十km 数km~十数km 対LTE+15dBの拡張 対LTE+23dBの拡張

諸外国の利用状況26か国で展開 LoRa Allianceで規格化。

16地域で展開3GPPリリース13(2016年6月)で仕様化。

商用デバイスが開発中。3GPPリリース13(2016年6月)で仕様化。

商用デバイスが開発中。

新たな無線通信システム 携帯電話システムベース

技術的条件の検討内容

・狭帯域周波数の効率的な周波数利用を図るため、単位チャネル内における搬送波の柔軟な周波数配置が可能となるよう、周波数の許容偏差などの見直しを検討。

【本日検討結果を報告】

・現行技術基準に適合し、周波数の効率的な利用等に支障を生じるものではない。

【現行制度で対応可能】

・占有周波数帯幅の狭帯域化などへ対応するため、LTE-Advanced等の技術的条件を見直しを検討。

・空中線電力の最大値に変更はなく、不要発射の強度の値についても既存の基準値の範囲内に収まるため、新たな共用検討は不要との方向で検討。

【検討中】

・占有周波数帯幅の狭帯域化への対応や送信周波数帯幅の端で搬送波を発射するガードバンドモードなどに対応するため、LTE-Advancedの技術的条件の見直しを検討。

・空中線電力の最大値に変更はなく、不要発射の強度の値についても既存の基準値の範囲内に収まるため、新たな共用検討は不要との方向で検討。

【検討中】

検討体制陸上無線通信委員会

「920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術的条件」

新世代モバイル通信システム委員会「LTE-Advanced等の高度化に関する技術的条件」

■ LPWAの無線システムの主な諸元

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eMTC/NB-IoTの国際標準化動向

IoT時代の到来を見据え、3GPPにおいて、省電力等を実現するIoT向けの移動通信システムの検討が本格化。 2016年6月に策定された3GPP リリース13において、1Mbpsの伝送速度に対応した「eMTC」と伝送速度を抑えた「NB-

IoT」の仕様を策定。リリース14において更なる機能拡張が検討中。

2012 2013 2014 2015 2016 2017

リリース12 リリース13 リリース14

Cat-M2Cat-M1Cat-0

Cat-NB1 Cat-NB2

○ IoTの更なる機能拡張を

検討(further enhancement for MTC)

○ MTCの機能拡張(eMTC)・1.4MHzの帯域幅・15dBのカバレッジ拡張

○ NB-IoT・200kHzの帯域幅・23dBのカバレッジ拡張・ガードバンド/スタンドアローン運用

○ NB-IoTの機能拡張を検討(enhanced NB-IoT)

○ MTC・伝送速度を1Mbpsに制限・シングルアンテナ受信

LTE-Advanced eMTC NB-IoT

周波数 全LTEバンド1(2GHz), 2, 3(1.7GHz), 4, 5, 7, 8(900MHz), 11(1.5GHz), 12, 13, 18(800MHz), 19(800MHz), 20, 21(1.5GHz), 26(800MHz), 27, 28(700MHz), 31【FDD/HD-FDD】、39, 41(2.5GHz)【TDD】

1(2GHz), 2, 3(1.7GHz), 5, 8(900MHz), 11(1.5GHz), ,12, 13, 17,18(800MHz), 19(800MHz), 20, 21(1.5GHz), 25, 26(800MHz),28(700MHz), 31, 66, 70 (注)バンド21は、2017年6月に標準化完了に向けて活動中。

通信方式 FDD、TDD FDD、HD-FDD、TDD HD-FDD

コスト -シングルアンテナ(MIMO非対応)、半二重、データ処理の簡素化などにより、構造を簡素化し、低コストを実現

シングルアンテナ(MIMO非対応)、半二重、データ処理の簡素化などにより、構造を簡素化し、低コストを実現

バッテリー寿命目標 - 10年以上 (※1) 10年以上 (※1)

カバレッジ拡張 - 15dB (※2) 23dB (※2)

モビリティ対応 あり あり ハンドオーバ非対応

※1 省電力モードの導入、空中線電力の低減などにより、単三電池2本で10年駆動を実現、※2 対LTE比の値。繰り返し送信などにより、建物内部や鉄板の内側などこれまで圏外だったエリアへのカバレッジ拡張を実現

表:LTE-AdvancedとeMTC/NB-IoTの比較

3

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4eMTC/NB-IoTの主要技術

繰り返し送信技術の導入

同一信号を繰り返し送信

信号を繰り返し送信することで、通信品質を向上させ、

カバレッジを拡張する技術(Repetition)

eMTC / NB-IoT

時間

LTE

時間

受信間隔の拡張

時間 時間

最大2.56秒最大43分(eMTC)

eDRXDRX

※ extended Discontinuous Reception

間欠的な信号受信により、受信していない間は一部の機

能を停止させることで、消費電力を抑えるDRXの受信間

隔を最大2.56秒(LTE)から最大43分(eMTC)/2.91時間

(NB-IoT)に拡張し、更なる低消費電力を実現する技術

(eDRX※)

省電力モード(PSM)の追加

ネットワークへの接続性を維持しつつ、端末が一定時間、

(例:24時間)電源を落としたのと同じ状態(省電力モード)に

遷移することで、省電力を実現する技術

接続状態(CONNECTED)

待ち受け状態(IDLE)

Power Saving State

電源オフと同じ状態

(通信不可)

CONNECTED IDLE(例:20秒)

Power Saving State(例:24時間)

時間

電源投入

送受信タイミングの分離

f1

f2 時間

時間送信

受信

f1

f2 時間

時間送信

受信

送受信のタイミングを分離送信と受信を同時に行う

全二重 半二重

送信と受信を同時に行わないことで、端末の構造を簡素

化し、低コスト化を実現する技術

LTE eMTC/NB-IoT

Page 89: 情報通信審議会 情報通信技術分科会(第125回)soumusyou.web.stream.ne.jp/...情報通信審議会情報通信技術分科会 放送システム委員会報告概要

5今後のスケジュール

●3月18日(土)から4月17日(月)まで、

委員会報告案に対する意見募集(パブコメ)を実施中

●意見募集の結果を踏まえ、

5月上旬頃までに委員会報告をとりまとめ予定