ROEとキャッシュフローによる経営改革 -...

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●経営環境の歴史的変化-ハイリスク・ハイリターン時代現在の日本は明治維新、太平洋戦争に次ぐ「第三の歴史的大転換期」にあるといわれる。戦時下の官民協調による経済資源の政策的優先配分(1940年体制)の下での間接金融体制が、戦後の資金不足下での経済再建期にもそのまま継続されたが、この体制は驚異的とも思える成功を収めた。しかし、戦後の復興期は欧米にモデル(到達目標)があり、日本全体ではリスクが小さく投資機会が豊富な時代(ローリスク・ハイリターン)だったから、資金の有効利用を検討する必要はほとんどなく、その社内体制もなかった。また間接金融中心で銀行借入が多く、自己資本比率が極端に低かったから、経営者は株主を意識する必要はなく、借入利息をカバーした経常利益の最大化が経営目標として合理的な時代でもあった。1980年代後半の資本自由化により、直接金融体制に移行し、ローリスク・ハイリターンからハイリスク・ハイリターンの時代へと経営環境が大きく変化した。この時期に企業は資金余剰時代への対応体制、つまり資金を有効に使うノウハウ(資金運用の効率化機能)を身に付けるべきであった。資金余剰時代、ハイリスク・ハイリターンの時代に必要な経営機能は、資金運用の効率化と成長の持続であり、経営目標は資本効率指標ROE(自己資本利益率)の向上とキャッシュフローの拡大にある。国際基準(グローバル・スタンダード)はROEとキャッシュ獲得能力が評価尺度となっており、国際会計基準ではキャッシュフロー計算書が貸借対照表、損益計算書と並ぶ基本財務諸表と位置付けされている。●必要ROEとしての資本コスト-損益計算書に表れないコスト資本コストとは、投資家が要求する最低収益率

(必要ROE)である。投資家が、確定利付きの国債ではなく見返りの保証のないリスク資産である株式を選択するのは、ハイリターン、つまり国債以上の見返り(配当と値上り益)を期待するからである。株価の値上りは、長期的には市場の要求する資本コスト以上のROEを達成した株式に与えられるのであり、必要ROEを達成できない株式は投資対象とならないために株価は下落し、株式市場で淘汰されることになる。従来、時価発行増資の資金コストが銀行借入コストよりも低いとの誤った認識が経営者の一部に存在していた。この場合の資金コストは配当のことであるが、投資家が少額の配当のみで満足するはずがないのであって、株価が値上がりせず投資家のリターンが国債利息よりも低ければ、投資家は株式よりも確定利付きの国債の購入を選択するのは自明の理である。●企業に欠ける財務機能-資金の効率的運用財務機能とは資金の調達と運用(キャッシュフロー)を有効に管理すること、つまり株式・金融市場から投資・貸付を受けて必要リターン(必要ROEと配当、支払利息)を返す「資金の調達機能」と、社内の各事業に資金を有効配分(投資)して必要収益を回収する「資金の運用機能」である。1940年体制以後、資金不足の時代が50年近く続き、しかも戦後の経済発展期は投資機会が豊富であったから、従来の財務・経理部門の仕事は資金量の確保(資金調達)のみであって、もう一方の資金の運用機能が忘れられていた。今後は、将来収益を生む事業に必要資金を投資できる能力と、必要収益の回収をチェックする能力が要求される時代となったことを経営者は認識すべきである。●投資の経済性分析-ROEとキャッシュフローの枠組みを決めるものハイリスク・ハイリターン時代の経営において重

要な点は、将来に向かっての投資が経営の枠組みを決めるということであり、投資が資金運用のポイントであるということである。ここでいう投資とは、設備投資のみでなく、研究開発投資、情報システム投資、人材・教育投資など、当面の収益の獲得には必ずしも必要でない将来のためのすべての支出を含む広い概念である。投資の経済性分析は会計手法ではなくキャッシュフロー分析(DCF法)で行われる。DCF法とは、投資の結果として予測されるキャッシュフロー(資金の収入と支出)を、時間の経済的価値とリスクを考慮した割引率で現在価値に換算して経済性を判断する方法の総称である。キャッシュフローで分析するのは、会計処理には恣意性が介入する余地があり客観性に問題があること、費用・収益は会計の知識を要するのに対してキャッシュフローは会計の素人でも理解できるため経営現場でも検討できることなどがその理由であるが、逆にキャッシュフローの予測は職人芸的であり、熟練した判断力と洞察力が必要であるとされている。しかし我が国では、経済性工学(経済性分析の理論と技術)によりキャッシュフロー分析が理論的に体系化されており、すでに製造部門においては自動車業界を中心に、設備投資の経済性検討として実践利用されている。従来の財務会計や業績評価会計と比較するとキャッシュフロー分析は、過去や現在ではなく将来に向かっての意思決定であること、期間計算だけではなくプロジェクト計算を含むことなど、発想の視点が従来とは異なるため実践では戸惑われる面も見受けられる。しかしハイリスク・ハイリターンに対応するには、ROEとキャッシュフローによる経営管理体制の確立が必要とされる時代である。

ROEとキャッシュフローによる経営改革-企業に欠ける資本コスト概念と投資の経済性分析公認会計士 高田慎三郎氏

◆日本ユニシスのホームページ=http://www.unisys.co.jp/

CTIが実現する新たなマーケティング展開特集:特集:特集:特集:特集:特集:特集:特集:特集:特集:特集:特集:特集:特集:特集:特集:特集:

1997No.437 9

主な記事

◆ユーザ事例*三井海上火災保険-データ・ウェアハウスを「本部情報系システム」に活用 (16面)

*金沢信用金庫-新情報系システム構築 (9面)*ベルシステム24 -Vantiveを活用しコールセンター・

サービス事業を積極展開 (7面)*サンライズ貿易-商品先物情報提供サービスを強化 (6面)

* 道情報システム-分散ツールDSmgr+で障害監視を実現 (10面)

*住友不動産ホーム-「トータル・ハウジング・システム」を構築 (8面)

◆IT最前線*電気事業の規制緩和と情報システム (12面)*MOSAに基づくMAPPER新製品群 (13面)

*電子マネー元年 (14面)*間違いだらけのDSS構築 (15面)◆News FromUnisys*スタディ案内人(Navi)シリーズ販売開始/「イントラネット・イネーブラ」提供開始 (11面)

2

最近新聞や雑誌でCTI (Computer TelephonyIntegration)という言葉を目にすることが多くなった。CTIは単に電話とコンピュータの融合技術の総称であり、その言葉自体は20年以上も前から存在し、決して新しいものではない。それが最近とみに話題となっているのは、2つの理由がある。1つは、この技術が企業活動、とりわけ営業やマーケティングの分野の課題解決に対して非常に有用なソリューションを提供することが認識されてきたからであり、もう1つは技術進歩や規制緩和によってCTIを使ったシステムを構築できる環境が整ったからである。

現在、営業・マーケティング分野でのキーワードを挙げると、次の3つに集約される。CTI技術は、これらに対し有効なソリューションを提供している。(1)Mass customizationこれは、より多くの顧客に対してカスタマイズされた商品やサービスを提供することを意味する。これを行うためには個々の顧客(個客)のニーズ

と、企業にとってのその個客の重要性をできるだけ事前に判断し、適切な担当者が効率よく対応しなければならない。営業担当者が直接対応しなければならない重要顧客を除けば、あとは組織としていかにさまざまな顧客の情報をシステマチックに収集・管理し、それに基づいて適切な対応できるかが重要となってくる。最近では、顧客の企業にとっての関係をそのデモグラフィック(属性:趣味や家族構成など)から判断するのではなく、トランザクション(取引履歴やコンタクト履歴など)から行うようになってきた。この意味からも、組織的に顧客との接点履歴を収集できる仕組みを持っている企業が競争優位を得られる可能性が高くなってきている。CTI技術を使うことで、顧客との接点である受注窓口やカスタマー・サポートなどのコールセンターにおいて、かかってきた電話から顧客を特定し、その過去の取引履歴などから顧客の重要性やニーズを判断して適切なオペレータが対応したり、顧客との対応状況を記録した画面ごと他のオペレータに電話を回して、スムーズな対応を行うことが可能となる。(2)Disintermediationこれは中間の排除、すなわち顧客と企業との間をできるだけ簡素化し、顧客の顔が直接見えるようにしていこうというものである。ここでいう「中間」とは、生損保であれば代理店、製造業であれば販社や問屋など、顧客との間に介在する組織のことを意味する。CTI技術を使うことによって、たとえばカスタマー・サポートから顧客の新製品に関するニーズを吸収したり、代理店では

に問題となる。また、かかってきた電話から適切な顧客ニーズを引き出すことは、日本語の言語そのものの曖昧さもあり、意外に難しい。自動音声応答に関してはまだ根強い反発も予想されるため、効率化の切り札とするためにはもうひと工夫が必要である。しかし反面、日本では定着率のよい正社員を使ったきめ細やかな対応が可能なほか、カスタマー・サポートなどでは、インターネットなどの他メディアに積極的に情報を流すことで顧客の「自習」を促し、結果として効率のよいコールセンター運営が行える可能性もある。このように、今後は米国で発展してきたCTI技術をベースにしながら、それをいかにうまく「日本的」に解釈して定着できるかが成功の鍵となると考えられる。

扱わない新しい直販商品を販売し、その商品に関する維持管理業務をコールセンターを使って行うことなどが可能となる。(3)Multiplicityこれは顧客への接触チャネルの多様化を指す。すなわち、従来営業社員のみが顧客への対応窓口であったものを、それ以外のチャネルに広げていこうというものである。CTIを使うことにより、営業社員ではコンタクトすることのできないセグメントの顧客をコールセンターを営業窓口として囲い込んだり、営業社員に会わなくても済む用件をコールセンターで受けて営業を効率化し、その対応履歴をコールセンターと担当営業が共有することで、顧客に対して両者が同じ質の対応を行うことが可能になる。シーズ面でも規制緩和やCTI技術の一般化が進んでいる。98年の早い段階から全国的に実施される予定の発信者番号表示サービス(発IDサービス)により、かかってきた電話からの顧客の特定がより容易になる。また、マイクロソフトやノベルなどのベンダ主導でTAPIやTSAPIと呼ばれるCTI用のアプリケーション・インタフェースが標準化されてきており、CTIを実現するためのコストは急速に下がっている。

図にCTIを使った営業系システムの例(製造業向け)を示す。このシステムは、顧客や商談、商品・技術などの情報を集中管理する営業フロント・システムを中心に、大口顧客には担当営業が直接モバイル端末をもって営業を行い、マス顧客はCTIを使ってコールセンターが効率よく顧客の対応を行うものである。営業フロント・システムからの受注情報や引き合い情報は、生産・購買部門から参照可能なほか、コールセンターで答えられないような技術的な内容は、テクニカル・サポートに対応画面ごと転送されるようになっている。最終的にはこれらの顧客対応情報をデータ・ウェアハウスに蓄積し、顧客セグメ

ントの再定義や新商品の開発、部門評価などに応用していく。このように、顧客を中心とした営業系システムの統合化を全社レベルで実行していこうというのがCAM(Customer Asset Management)や ECRM(Enterprise Customer Relationship Management)と呼ばれている考え方であり、これを実現するソフトウェアはCIS(Customer Interaction Software)と呼ばれている。CISは非常に成長率の高いアプリケーション分野であり、VantiveをはじめとするCISベンダは高成長を続けている。

コールセンターなど、CTI技術を使ったアプリケーションは、日本は米国に比べてはるかに遅れている。米国ではすでに企業戦略の中にコールセンターが有力なツールとして位置づけられており、現在興味の中心は技術面での優位性や、よりコスト効率を上げるためのインターネット・コールセンターや、顧客対応の質をより向上させるためのコール分析ツールに向かっている。それに対し、日本ではまだコールセンター運営そのもののノウハウが確立されている企業さえ少なく、一部の先進企業を除いて戦略との融合はまだこれからというのが現状である。日本企業において、米国のCTI技術の動向や、それを使ったマーケティング戦略の事例は、日本の先行指標として参考になることは間違いない。ただし、注意すべきことは、米国におけるCTIの流れや企業戦略が、即日本に応用できるとは考えないことである。米国の事例の中では、よくローコストでシステマチックなコール・ハンドリングや、集まった顧客情報の分析・利用の側面が強調されているが、これは米国のように電話に対して心理的障害がなく、人件費・システム費用の合理化が絶対正義であることが前提になっている。これに比べ、日本ではそれ以前に、まず有望顧客にいかに電話をかける気を起こさせるかがまず最初

1997年9月1日第437号

CTIによる新マーケティングの展開株式会社野村総合研究所

経営コンサルティング部 主任コンサルタント 袖山欣大氏

CTIが実現する新たなマーケティング展開特 集��

顧客をキーにして営業系システムを統合化

大口�顧客�

マス�顧客�

訪問�商談�

顧客�

技術�

商品�受注担当�引き合い�

問い合わせ�

SFA

CTI

セールス�(Mobile)

営業フロント・システム�

大口需要動向�

受注内容�

商品情報�

生産・購買�

テクニカル�サポート�

ダウンロード�アップロード�

自動転送�

データ・ウェアハウス�マーケティング�データベース�

受注処理システム�

SFA=Sales Force Automation

CTIを用いた営業系システム

いまなぜCTIなのか

営業・マーケティング分野で有効なソリューションを提供

「いかに日本的風土に適合させるか」が成功への

UN

3

CTI(Computer Telephony Integration)は狭義には、コンピュータによるPBXの制御技術と理解されるが、広義にはこの技術を用いて構築されたコールセンターやUnified Messaging、さらにその上位に位置づけられるヘルプデスクなどの業務システムまでも含める場合がある。ここでは、狭義のCTIと密接に結びついたコンピュータとの連携技術について述べる。

コンピュータ、特にデータベースとPBXとその電話サービス機能の連携によりプロフィット性の高いコールセンターを構築することができる。 (図1)

PBXの主な機能は、局線(1次局、2次局)接続インタフェース部分と、局線と局線間を接続するスイッチ機能部分、その他の機能部分に大きく分けることができる。●回線交換機能①局(1次局)線インタフェース部分には次のものがある

*アナログ局線、アナログ専用線インタフェース*デジタル専用線インタフェース*ISDN局線インタフェース*パケット網インタフェース②局(2次局)線インタフェース部分の主要なものには次のものがある

*アナログ電話機インタフェース*アナログ多機能電話インタフェース*デジタル多機能電話インタフェース*ISDN内内線インタフェース*コンピュータ・インタフェース*中継台インタフェース③デジタル・スイッチ(局線と局線間の接続を行うスイッチ機能)

④制御系のインタフェース部分*局線間の接続の仕方などを制御、統計情報を蓄積するコンピュータへの接続

⑤付加機能の部分*音声蓄積装置、音声応答装置、FAX網インタフェースなど

●電話サービス機能PBXが持つ主な電話サービス機能を次のように整理してみることができる①転送サービス自動(着信)転送、不在転送、話中転送、応答遅延転送、特定呼転送(ISDNの相手による転送)

②会議通話サービス③自動呼配分(ACD機能を活用し、着信呼を内線に均等配分する)

④その他のサービスピックアップ・サービス、コールバック・サービス、キャンプ・オンサービス、指定時間呼び出しサービス、キャッチ・ホン・サービスなど

CTIサーバはPBXの制御系インタフェースを介して接続され、そのソフトウェアで交換機能を制御する。その他の各種付加サービス機能をミドル・ソフトウェアと連携し実現しているものがある。これらのソフトウェアはPBXの機能と依存度が高く各社独自のソフトウェアとなっているのが現状である。●各種の付加機能①PBXの回線交換機能の制御②CTIクライアント・ソフトウェアと連動し、情報/データの授受を行い、次のような機能を実現する。

*Screen Popup機能顧客からの電話の呼の転送とともにオペレータのPC上に該当する顧客情報などを表示する。

*Call Back機能顧客の会話の途中で、Call Back要求があった場合などに、指定された電話番号に発呼する。

*PreView Dialing機能オペレータが顧客に発呼する場合、事前にその顧客に関する情報を確認した後、発呼する。

*Predictive Dialing機能顧客リストとオペレータの空き状況を見て自動的に順次発呼し、応答のあった呼をオペレータに転送する。

*Power Dialing機能顧客リストより自動的に順次発呼し、応答のあった呼をオペレータに転送する。

*Progressive Dialing機能顧客リストより順次、発呼する。*Soft Phone機能コンピュータ上に実現したソフトウェア電話。③発信者番号通知サービスとの連携NTTが今年度中に開始するサービスで、このサービスとScreen Popup機能を併用することにより着呼と同時に顧客を特定することが可能となり、オペレータの効率的な会話が可能となる。④PBXの付加装置との連携*ACD(AutoCall Distributor)機能呼着信時、オペレータを自動的に選択(選択のロジックは事前登録)する機能。

*IVR(Interactive Voice Response) 、VRU(Voice Response

Unit)との連携機能IVRはオペレータが顧客との会話において、受け答えが定型的な会話をコールフロー(簡易なGUI機能で登録)とともに音声応答装置に音声メッセージを登録しておき自動会話機能を提供する。オペレータの負荷軽減、24時間対応など活用の範囲が多い。⑤PBXに関する統計機能の提供

各企業はインテーネットを活用して各種情報提供を行っており、この情報を見た顧客からの問い合わせに関し、1つの仕組みを作ることができる。顧客が必要な情報(顧客番号、電話番号など)を入力し、ホームページ上で設定した“Call Me”ボタンを押すことによりWebサーバからCTIサーバを経由し、その顧客に発呼しオペレータと会話をすることが可能となる。

業務処理部分でOAシステムと連携し、電子メール、FAXなどを活用し各種情報提供を行う。以上、CTIと密接に結びついたコンピュータとの連携技術について述べてきたが、ハードウェア技術の進展により、PBXの機能のほとんどは1枚のハードウェア・ボードとミドル・ソフトウェアの連携で実現できる状況であり、規模・目的に応じて製品選択の幅が大きくなってきている。

日本ユニシスでは小規模コールセンター向けのCTIソリューションとしてWindowsNTサーバ上にPBX、ACD、IVRなどの対応ハードウェア・ボードとミドル・ソフトウェア群を組み合わせて実現したCTIサーバとCAMを実現するアプリケーション・パッケージVantive Enterpriseとを連携したCAM plus CTIソリューション・プロダクト「Tiny Call Center」(図2)の提供を計画している。これはコールセンター・ネットワーク規模の拡大にも対応するための拡張機能も配慮しており、柔軟性に富んだシステムとして製品化を進めている。

ユニシス・ニュース

1997年9月1日第437号

UN

PBXの回線交換機能、電話サービス機能

CTIサーバの機能

インターネットとの連携機能

業務処理部分でのOAシステムとの連携

日本ユニシスの対応

ユニシスが提供するCTIソリューション日本ユニシス株式会社

ソフトウェアビジネス部CTIソリューション室部長 佐々木健夫

・・・・�

Internet

CTIサーバ�

Webサーバ�AP DB�サーバ�

LANCTI クライアント�

オペレータ�オペレータ�オペレータ�

IVR

ACD

DDE

Vantive�クライアント�

PBX

(IVR:Interactive Voice Response, ACD:Auto Call Distributor)

公衆回線網�

図1 コンピュータ・ネットワークと電話回線ネットワークの結合

・・・・�

CTI�クライアント�

公衆/回線網�

Internet

CTI�サーバ�

Webサーバ�

LAN

オペレータ� オペレータ� オペレータ�

PBX

IVR

ACD

DDE

Vantive�サーバ�

Vantive�クライアント�

図2 小規模CTI構成図(Tiny Call Center)

CTI製品の位置づけ

4

ユニシスがUM(Universal Messaging)技術に最初に関わったのは、いまから10年以上も前に遡る。AT&Tが6つの地域電話会社に分割された後、NYNEXやPacific Bellが加入者サービスのために考案したのが、音声メール、特番サービスなどの音声サービス商品である。ユニシスは、これらの地域電話会社と共同で音声サービス商品を開発したのがUM技術への関わりであった。IVR(Interactive VoiceResponse)と呼ばれるコンピュータによる音声応答機能、音声蓄積・音声メール機能を開発し、電話事業者に提供した。ユニシスはこれをNAP(NetworkApplication Platform)と命名し、今日のUM技術の基礎を築き上げることになった。

音声メール機能は、その簡便さと話し手の微妙なニュアンスまで相手に伝わる特性が認められて他の通信業者も次々に導入を始めたが、同業の通信事業者の要望によりFAXメール機能もNAPに取り込み、より充実した商品へと機能拡張を行った。今日ではアメリカ合衆国をはじめ、ヨーロッパ、アフリカ、東南アジア、南アメリカ諸国の26カ国56ユーザがこの機能を享受している。ユニシスにとって幸いしたことは、より多くの電話加入者に利用されたことによって、基本ソフトウェアVNMS(Voice NetworkManagement System)の信頼性の向上やアプリケーション・プログラムUVMS(Universal Voice ManagementSystem)の充実に寄与すると同時に、膨大なノウハウを蓄積でき、開発ツールやシステムを支える管理ツールの開発を促したことである。これは音声メール・FAXメールの分野におけるユニシスの先進性の現れと信頼の証にほかならない。

ユニシスが音声メール・FAXメールを開発していた時期を同じくして、一方ではインターネットによる電子メールが瞬く間に普及した。非同期通信というものの便利さ、時間資源の効果的な活用によるビジネス効率の高さが認識された一面もある。この非同期通信に対して、同期通信とは通常の電話機やFAXの場合には、必ず通信相手を呼出した後に通信を開始することをいう。しかし、相手が話中であっ

たり、不在であったり、機器が故障していた場合には当然通信はできない。忙しい人とか社外で働く人にとって、必ずしも時間効率が良いとはいえないのが同期通信のあり方である。図1に示すように非同期通信では、通信相手との間に必ずサーバと呼ぶコンピュータが介在し一時的に通信相手の代行をしてくれる。したがって、送信者はサーバのメールボックスにメッセージを残して通信を一時終了するが、受信者はサーバからメッセージが届いたり、または定期的にサーバの中のメール・ボックスを覗くことで最終的にメッセージのやりとりを完了できる。

ユニシスが、過去に培ってきた音声メール・FAXメールの技術に、電子メールの良さを統合した新しいサービスを提供する機能がユニバーサル・メッセージング(UM)機能である。そして、このUM機能を提供するシステムをUMSと呼んでいる。UM機能を簡単に表現すると「まったく性質の異なるメディア(音声、FAX、電子メール、イメージデータ)を一元化し、統合すること」を目指している。そして、私達の身の周りにある機器(電話機、FAX、PCなど)を使って、自由に必要なデータにアクセスするために、UMサーバと呼ぶ機器はデータの蓄積、配信、変換、認識などの機能を実行する。UMSの良さは1年365日、1日24時間“いつでも、どこでも、しかも単一の機器で”すべてのメディア・データにアクセスが可能な点にある。近々、リリース予定のUM 1.5の機能を例にとり、具体的な使用例を1、2点紹介してみる。

1点目は「テキスト・ツー・スピーチ」機能。Aさんは電子メールを受け取ったが、Aさんは例のごとく外出中である。Aさんはサーバにメールが到着した場合、自分の携帯電話へ転送する指定をして外出したので、サーバはAさんの携帯電話に電子メールが到着したことを通知する。Aさんは自分の暗証番号を入力(Aさんを確認)して、電子メールの読み上げを携帯電話で聞くことができる。この機能には、1つのメリットと3つの変化が可能である。メリットとは、音声メールと同じ簡便さを享受できることである。Aさんのように外出の多い

人には、外出先でしかも自分の都合のよい時に電子メールにアクセスができる。また、3つの変化とはサーバに対する指定を変えることにより実現される。1つは到着通知をさせない指定も可能なこと。顧客と商談中に呼出しベルが鳴るのは困りものである。2つ目はメールの内容を指定するFAX装置に出力させることも可能。3つ目は在席している場合には自分のPCのCRT画面に到着通知を表示させ、メールの転送を指示することができる。

2点目は「メーリング・サービスの多様化」である。UM機能は、音声メールを電話機で聞いたり、メッセージを追加して第三者に転送するなど音声メール本来の機能を利用して、FAXメールを所定のFAX装置に出力することはもちろんのこと、PCで音声メールを聞くことも、またFAXメールをCRT画面に表示して確認することも可能である。さらには、音声やFAXを電子メールに添付して相手先に送信することもできる。図2を参考に、一元化と統合という意味を再度確認してみる。一元化とは、それぞれのデータをデジタル化(一元化)してサーバ内に蓄積することを意味する。また、統合とはユーザが望むアクセス手段(電話機やPCなど)に応じた形にデータを変換・加工しユーザにメディアの持つ特性を意識させないことを意味する。ユニシスの提唱するユニバーサル・メッセージング機能はこうした各種メディアを一元的に管理し、融合させることと定義づけることができる。

今後のUM機能には、OCR機能、音声認識機能さらには自然言語認識機能の取り込みを予定している。UM上で音声認識機能が実現すると、電話番号を音声でダイヤルするとか、コンピュータの入出力機器を音声で制御するとか、音声による受注・発注、情報検索、ホテル予約、座席予約などさまざまな用途の広がりが考えられる。さらには、EC/CALS機能の開発を計画し、文字データの統合までも包含していく予定である。こうしたUM機能が広く普及すると、私達の生活様式も、会社のビジネスのあり方も随分と変わってくることだろう。 UN

1997年9月1日第437号

ユニシスのユニバーサル・メッセージングへの関わり

NAPで音声・FAXメールの発展に寄

同期通信と非同期通信

性質の異なるメディアの統合を目指すUM

便利な「テキスト・ツー・スピーチ」機能

同期通信� 非同期通信�

電話機�

FAX FAX

FAX FAX

電話機�電話機� 電話機�

電子メール� 電子メール�サーバ�

サーバ�

同期通信は、通信相手と直接に会話、�通信を行う。�

非同期通信は、サーバがメッセージ蓄積機能を�有し、間接通信を行う。�

FAX

電話機�(PDC、PHS)

電話機�(PDC、PHS)

電子メール�

FAX

電子メール�

電話機、電子メールなどのアクセス手段と機能ボックス内の機能は任意に選択され、�電子メール>電話機、FAX>電子メールのようにメディアが統合される。�

機能ボックス� 機能ボックス�

認識��分解��蓄積��変換��検索�

変換��組立��転送��添付��合成�

一 元 化�

CTIが実現する新たなマーケティング展開�特

 集��

ユニシスのUM(ユニバーサル・メッセージング)技術日本ユニシス株式会社

サーバシステム部UMSプロジェクト部長 川嶋正捷

図1 同期通信と非同期通信 図2 データの一元化と統合

メーリング・サービスの多様化に対応

今後の計画

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企業がコールセンターを構築する目的は、顧客サポートの充実やOne to oneマーケティングの実践において効果を果たすことである。したがって、その目的達成のために最も重要なことは顧客情報を中心としたデータベース・アプリケーションを作成することであり、CTI技術を導入することではない。この顧客中心システムの構築において、米国において注目を集めているビジネス・テクノロジー戦略がCustomer Asset Management(CAM)である。CAMとは顧客を企業にとっての資産と考え、その価値を増やすために部門を超えて取り組もうという考え方であり、CAMを実現することにより、顧客を獲得すると同時に優良顧客化し1人の顧客からより多くの利益を享受することができるというものである。

そして、このCAMを構築するソリューション・アプリケーションで注目されているのがVantiveEnterpriseである。Vantive Enterpriseは米国Vantive社が開発したソフトウェアで、現在本分野で最も評価の高い製品であり、ワールドワイドで350社以上の実績がある。Vantive Enterpriseは次の5つのアプリケーション・モジュールによってCAMを実現しようとしている。 (図1参照)①Vantive Support顧客からの各種問い合わせ・回答をスピーディかつ確実に実施するためのカスタマ・サポート/サービス・システム。②Vantive Salesキャンペーン管理やセールスの照会・商談管理などセールス・フォース・オートメーション・システム。③Vantive Field Service技術者を派遣する業務に焦点をあて、オンサイト

サービス・リペア支援システム。④Vantive Quality顧客からの指摘があった欠陥や苦情に関するトラッキングをエンジニアリング部門に回し品質向上を図るシステム。⑤Vantive Helpdesk社内従業員からの各種問い合わせなどを支援するシステム各アプリケーション・モジュールが顧客や製品情報などを共有し、顧客中心の業務プロセスの実現を可能としている。コールセンターという観点でみると、Vantive SupportとVantive Salesが使用される。

企業がコールセンターを構築する目的は、顧客サポートの充実やOne to oneマーケティングの実践において効果を果たすことである。そのためにはコールセンターを顧客中心システムの中の1つの機能と位置づけ、拡張性のあるインフラ作りが必要となる。(1)顧客のライフサイクルの広がりセールス・リード(照会)を獲得することや受注を受けるだけの単一目的を対象としたシステム化ではなく、顧客のライフサイクルすべてにわたって対応できるコールセンターのインフラ作りが必要となる。そのためには統一された顧客情報を顧客のライフサイクルに合わせて引継ぎおよび情報共有できる仕組みが必要となる。(2)企業の対応組織の広がりコールセンターは顧客中心システムの1つの機能である。したがってコールセンターで得られた情報を他の部門(逆もしかり)へ業務とともに引継ぎができるインフラを作成しておく必要がある。コールセンターのみのシステム化に注力すると、顧客中心システムの拡張性がなくなる危険性が出てくる。CAMの考え方をもとにコールセンターを構築するとインフラとしての拡張性が出てくる。

自動車販売会社が新モデルの車を発表し、新聞広告に掲載したとする。新聞にはパンフレット希望のコール先としてコールセンターの電話番号が記載されている。興味を抱いたお客様がコールセンターに電話をしてくる。この際、すでに取り引きのあるお客様であればそのオペレータはその顧客情報をPC画面に表示させてOne to oneの対応が可能となる。顧客情報をすばやく取り出す技術としてCTI技術、たとえば発信者番号表示認識技術や音声応答技術が使用される。次にオペレータはあらかじめ用意されているアンケートをお客様に回答していただく。本アンケートには回答内容による点数づけがあり、お客様の購買意欲をシステムが自動判定できる。パンフレット送付を約束して電話を切り、コール情報を保存する。すると、ワークフローの機能により資料送付担当へ、この顧客情報とともに仕事が引き継がれる。またアンケート結果により、システムが有望と判断した顧客の情報はやはりワークフローの機能によりセールス・マネージャのもとに、セールス案件フォローの仕事として引き継がれる。営業マンはSales Force Automationシステムに導かれながらセールスを進めていく。 (図2参照)本例は、Vantive Salesを中核としてシステム化を図ると容易に実現できる。また、セールス部門から顧客サポート部門への顧客情報と仕事の引継ぎもVantive Supportの適用によって可能となり、Vantive Enterpriseを活用すればセールスの始まりから顧客サポートまでコールセンターを含めた一貫した業務システムの構築が可能となる。コールセンターを、顧客中心システムの1つの機能と位置づけ、CAM plus CTIを実現することにより可能となるのである。

ユニシス・ニュース

1997年9月1日第437号

UN

ユニシスのコールセンター構築に対するアプローチCAM plus CTI

日本ユニシス株式会社ソフトウェアビジネス部CTIソリューション室担当課長 渡部弘毅

顧客中心主義のCustomer Asset Managementの構築 CAM plus CTIを実現する例

CAM構築を支援するVantive Enterprise

CAM plus CTIを実現するコールセンタ

Vantive �Quality

Vantive �Support

Vantive �Sales

Vantive �Field Service

Vantive �Helpdesk

外部顧客からの各種問い合わせ受付用のカストマ・サポート/サービス・システム�

社内ユーザを対象としたITインフラなどのヘルプデスク用途�

ソフトウェアのソースコード・コントロールを含む一元管理システム�

サポート・データベースと連携し、オンサイト・サービス、リペアなどにフォーカスしたシステム�

キャンペーン・マネジメント、コンタクト・マネジメントなど、セールス・フォース・オートメーション機能�

Customer Asset Management

VantiveEnterprise

 Vantive Support  V

antiveS

ales

 

Van

tive Quality

‐CAMを実現する5つのApplication‐�

 V

antiv

eH

elpdesk

 Vantive Field Service

お客様�

スタッフ部門�

販促ツールの送付�

電話問合せ�

コールセンター�

営業部門�

資料送付担当�

スクリプト�

セールスリード�(照会)の作成�

営業マン�商談管理�

エスカレーション�

自動ワークフロー�

購買意欲�

有望�

データ保存�興味なし�

自動ワークフロー�(ノーティフィケーション)�Sales Manager

会社� 地域� 契約�

個人�購入履歴�問合せ履歴�

商品に興味�

図1 Vantive Enterprise 図2 コールセンターを活用したチームセリング・モデル例

Customer Asset Management

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サンライズ貿易では電話系システムとコンピュータ・システムを連携して国内/海外の先物市場の約定値と市況解説を音声とFAXで提供する「音声/FAXサービス」を昨年12月1日から開始している。本システムはユニシス音声応答システム(NAP)をベースに開発されたもので、同システムの活用は情報提供の充実を通じて、新規お客様の獲得や既存お客様への満足度向上に資する同社情報戦略の一環を成すものである。

サンライズ貿易は、貴金属、穀物、砂糖、繊維、ゴムなどの先物取引の委託売買およびこれらに関わる情報サービスなど行っている企業である。「金融ビックバンに象徴される規制緩和、自由化の流れは当業界も含めて避けて通れない状況となっており、今後優勝劣敗の激しい競争が予想される。それに勝ち抜くには『お客様一人ひとりのファイナンシャル・アドバイザーとして常に価値ある情報を提供し、豊かなライフプランづくりのお役に立つ企業を目指す』という企業ポリシーを貫くことにある。その実践のために、同社では時々刻々と変化する商品情報や価格情報をリアルタイムに収集・分析して、高精度な情報としてお客様に提供する情報系システムの整備充実を進めており、今回のCTI技術を応用した音声/FAXサービスもその中の1つの試みである」(サンライズコンピューターセンター取締役部長関根達郎氏)。

今回提供を開始したサービス概要は次のとおり。(1)約定値音声サービス国内/海外の相場情報をもとに各商品単位/限月単位(先物取引の売買約定を最終的に決済する日)の約定値を音声情報として提供するサービスである。音声による約定値情報は、各情報ベンダから配信されるデータを音声に変換しているので、FAXによる情報に比べて、よりリアルタイム性が高い情報を提供できる。(2)市況解説音声サービス各商品を同社独自にグルーピングしてグループ単位の市況解説のコメントを音声情報として提供するサービスである。国内市況では貴金属、大豆・トウモロコシ、小豆・繭糸など、海外市場ではシカゴ穀物、ニューヨーク石油、ロンドン非鉄、北米市場農産物、アジア市場農産物、経済指標などの市況解説が聞ける。(3)約定値/市況解説FAXサービス上記と同様に国内/海外の相場情報をもとに各商品単位/限月単位の約定値やグループ単位の市況解説コメントをFAX情報として提供している。主なメニューとしては、国内/海外の先物市場の

銘柄ごとのチャート、市場ごとの約定値段一覧表、市場ごとの市況解説、ニュース&トピックスなどが用意されている。(4)口座照会FAXサービス会員の取引口座の残高照会要求を電話で受け付けて、その要求に基づく残高情報をサンライズ・コンピュータセンターからお客様が指定したFAXへ出力する。同サービスの利用には、会員番号とパスワードの入力が必要で、これによりセキュリティが確保されている。

情報提供サービスの特徴は次のとおり。(1)国内全取引所の商い銘柄のすべてを網羅国内の全取引所で実質的に商いされている全銘柄を網羅して、約定値と市況解説を提供している。(2)充実した海外市況解説の提供海外市場もほぼすべてを網羅し、米国情報は現地シカゴから情報を直接入力している。(3)24時間サービスの実現本サービスの実施にあたり、ユニシス音声応答システム(NAP)によるアウトソーシング・サービスを利用し、24時間サービスを実現している(ただし毎月第2日曜日と第4日曜日は、システム保守点検のためサービスを休止)。なお、ユニシスのアウトソーシング・サービスを利用した狙いは、*自社運用に比べ初期投資コストを削減できる*NAPは大手チケット販売会社の音声応答に活用されるなど実績がある

*ポート数と処理量による従量制料金で拡張に気を配る必要がない

*東京以外にサービスを拡張するときユニシスのネットワークを活用できる

などを挙げている。

この情報提供サービスの仕組みは下図に示すとおりである。国内/海外の相場情報は、複数の情報ベンダー、

サンライズ貿易本社、同社シカゴ支社などの多様なルートから最新情報がリアルタイムに入力される。同社の情報提供体制の特徴は、質・量ともに、豊富な情報をリアルタイムに、しかも市況解説付きで24時間提供し、お客様が簡単に利用できるところにある。

このサービスは5カ年事業計画の中の情報サービス体制の確立の一環として開始されたものである。「その狙いとするところは、お客様サービスに徹する情報戦略こそが、他社との差別化を図り、競争が激化する中で勝ち抜くための有力な武器となると考えているからである。今回の音声/FAXサービスはその第一歩であり、今後も企業理念に掲げているファイナンシャル・アドバイザーとして価値ある情報の提供に徹せられるように、本システムをさらに前進させていきたいと考えている」(関根取締役部長)。なお、約定値/市況解説音声サービスは、無料で提供しており、その利用方法は簡単である。『(**)****-****』をダイヤルし、音声ガイダンスに従って操作すれば初めての人でも利用できる。有効な情報が入手できるとあってアクセス件数は増え、月々3万件以上利用されている。 UN

1997年9月1日第437号

競争のポイントは提供情報の質とスピード

多彩な情報を音声とFAXで提供

情報提供サービスの特徴情報提供サービスの充実を差別化戦略の中核に

CTIが実現する新たなマーケティング展開�特

 集��

サンライズ貿易商品先物情報提供サービスを強化

音声/FAXサービスを活用

■株式会社サンライズ貿易◆上場商品の先物取引の委託売買、商品ファンド、オプション取引、純金積立および現物取引を行っている商品先物取引企業。◆本社=東京都豊島区高松1-1-11◆代表者=北山 明代表取締役◆従業員数=482名◆関連会社=㈱サンライズコンピューターセンター◆使用機種=A14-321(業務系ホスト)、A14-D11E(情報系ホスト)、A11-411(開発/バックアップ機)

複数の情報�ベンダー�

A14-D11E 相場�ファイル�

相場DB

㈱サンライズ貿易 本社� ㈱サンライズ貿易�

会員マスタ登録� FAXボックス情報入力、会員マスタ登録�

A14障害時相場情報入力�

市況解説(音声)入力�

海外相場情報入力�

海外市況解説(音声)��

2200/403

U-MS/PC

U-MS/FAX

FAXボックス�ログ�

FAXボックス�ログ�

FAXボックス �口座照会�

FAXボックス �口座照会�

FAX�ボックス�

FAX�ボックス�

会員マスタ�

会員マスタ�

ユニシス・アウトソーシングセンター�

サンライズコンピューターセンター�

NIU:ネットワーク・インタフェース・ユニット�FIS:ファクシミリ・インタフェース・システム�

日本ユニシス情報システム㈱�

F I SN I U

~�

U-net網�東京×2�大阪×2

公衆回線網�東京×8

音声サービス�

FAX情報サービス�

お客様�

相場照会�

口座問い合わせ�

VOICE�ファイル�

NAP

照会情報�照会情報�

FAXSP

音声システム�アプリケーション�

相場DB口座DB

A18-422A14-321

 シカゴ支社�

音声/FAX情報サービス・システム概要図

関根達郎氏

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ベルシステム24は、1対1の対話型マーケティングという新しい概念を武器に、24時間、365日、企業と顧客の多様なニーズに応え、急成長を遂げるテレマーケティングのトップ企業である。同社は、電話やFAXなどの情報メディアを駆使して販売促進や市場開発に関する情報あるいは顧客情報を収集し、それらをクライアント企業のマーケティング活動のために提供している。最近急速に伸びている通信販売の受注受付や移動体通信分野などの顧客管理業務などへ事業を拡大し、テレマーケティング企業No.1の地位を不動のものにしている。同社では、One to oneマーケティングを事業展開の根幹に据えている。顧客(消費者)のニーズは多様化し、すでに「十人十色」を越えて「一人十色」の時代となり、企業もそれに対応したマーケティング戦略をとらねばならない。その戦略の根幹は、消費者のニーズを個別に捉え、企業と個人が、コミュニケーションを適切にとり合える体制づくりにある。同社では、これをマーケティング・パラダイムの転換と捉え、「大量生産・大量宣伝・大量販売によるマーケットシェア獲得」から「One to oneマーケティングによるカスタマーシェア獲得へ」を目指している。

同社が指向する顧客サポートの充実やOne to oneマーケティングの実現に欠かせない手段がCTIを活用したコールセンターである。同社では、CTIをプロスペクト獲得のためのローコストなツールと位置づけている。同社社長室広報担当サブマネージャー 山田 俊英氏は「コールセンターは電話、FAX、パソコン、インターネットなど、さまざまなメディアを統合化した形でハンドリングできる点が重要である。CTIを活用することによりこれが可能になる。また、スキルを考慮して適切なコミュニケータにコールを割り当てたり、複数のクライアントを担当する場合は、それぞれに対応した情報を画面に表示できるなど、CTI技術は大きな効果を発揮する」と語っている。

同社では、Customer Interaction Software(CIS)の導入検討を進め、日本ユニシスの提案するVantiveを導入した。その選定理由として、次の点を挙げている。*幅広いアプリケーションへの対応コールセンターでは、見込み客の獲得、顧客維持のためのリテンション・マーケティング、One to oneマーケティング、ヘルプデスクの展開など多彩な用途が見込まれる。Vantiveはこうしたニーズに対応できる幅広い機能を持っている。しかも、コールセンターの発展形態に応じて機能を追加しつつ進化させることができる。

*顧客データベースとの結合One to oneマーケティングの要となるのは、顧客データベースである。Vantiveは既存の顧客データベースとの連携機能が優れている。また、データベースの整備は進んでいるがカスタマー・サポートの仕組みがないといった企業にも適用しやすい。*現場での開発に適したツールが充実コールセンターは企業の方針やマーケティング戦略、プロモーションなどの変更や改善に迅速に対応して、仕組みを自在に発展させていく必要がある。そのときツールが現場で柔軟にカスタマイズできるかどうかがポイントになる。Vantiveには豊富なオブジェクトが用意されており、現場での変更・改善が迅速に行える。*豊富な実績アメリカではNo.1のシェアを持ち、国内の顧客にも知名度があり、事例も多彩である。

ではCTIによるコールセンターとは、どのようなものか、同社が開発した損害保険会社向けのシステムをもとに紹介しよう。◆コールセンターから展開するSFA/CAMの損保業界向けシステム例顧客からの問い合わせ、顧客への加入勧誘、顧客へのサービス提供という企業と顧客との関わりをコールセンターから展開している例である。①顧客からの問い合わせ (画面1)顧客のプロファイルを問い合わせのトリガー、アンケートによるステータスなどの把握により、より明確なターゲット・マーケティングが可能となる。②顧客への加入勧誘 (画面2)顧客からの問い合わせから収集したプロファイルをもとに、その顧客の重要性やニーズを判断し、より的確なセールスがコールセンターを利用して行える。③顧客へのサービス提供 (画面3)顧客へのサービスの一環であるトラブル時のサポートを、コールセンターから業者との連携等で顧客へ直接質の高いサービスを低コストで提供できる。

■株式会社ベルシステム24◆電話をはじめ、コンピュータ、FAXなど、あらゆる通信メディアを利用し、企業のマーケティング活動をサポートするテレマーケテング事業のNo.1企業。◆本社所在地=東京都豊島区南池袋2-16-8◆代表者=園山征夫社長◆設立=昭和57年9月◆売上高=270億円◆従業員数=社員780名/コミュニケータ9,000名

CTIを効果的に活かすためのポイントとして、山田氏は次のような点を指摘している。*使用目的を明確にするCTIは規模、内容、目的によっていろいろな使用形態が考えられる。銀行のテレホン・バンキングのように目的が明確な場合に最も効果を発揮する。CTIは見込み客の開拓から顧客の維持管理に至るマーケティング・プロセスに対応した形で活用すべきである。“すべてをコールセンターで”ではなく、時には人が直接対応する必要があることも念頭に入れておくべきであろう。*データベースを整備・充実する一番重要な点がデータベースの整備である。顧客とのコミュニケーション履歴など十分なデータの裏づけがないと、CTIは充分な効果を得られない。企業によってはデータベースを全社用、営業用といった形で分散して保有しているケースも多いが、統合データベースを整備することが重要である。*各種のメディアの統合化を図るたとえば顧客の履歴データも、電話、FAX、パソコンなど各種のメディアで活用できる仕組みが必要である。同社では、今後のマーケティングの展開においてCTI技術を、新たなマーケティング推進のツール、高付加価値サービスとローコスト・オペレーション推進の立役者と位置づけている。サービスの重視、顧客満足の向上が、これからの大競争時代を勝ち抜くポイントとなるとき、同社はCTI技術の活用によって、一元化された質の高いサービスを提供し、他との差別化を図ろうとしている。しかし、そこではあくまでも、「基本に忠実に、着実に一歩ずつ」と強調している。CTIというツールからの発想ではなく、それをどう活用するかをはっきり意識しつつデータの整備に取り組めと勧めている。山田氏はこれを“Not CTI but Database”と表現している。CTI活用の真髄がここにあるように思える。

ユニシス・ニュース

1997年9月1日第437号

UN

One to oneマーケティングを事業の根幹に据える

CTIでローコストなOne to oneマーケティングを追

Vantiveの統合機能を評価

コールセンターの実際例

CTI活用のポイント「データベー

画面1 顧客からの問い合わせ    画面2 顧客への加入勧誘 画面3 顧客へのサービス提供

ベルシステム24Vantive を活用し

コールセンター・サービス事業の積極展開を図る

コミュニケータ対応風景

山田俊英氏

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住友不動産ホームは、高気密・高断熱の2×4工法技術をもとに、お客様の要望にオーダーメイドで最大限応える高級注文住宅を提供している。同社が住宅設計にCADを導入した時期は古く、昭和63年より主に営業支援用の平面図、立面図ならびに見積書の作成を行っていた。しかし、「最近は住宅の設備・構造面での機能が向上し、顧客の要望も複雑化、多様化しているのに対し、従来のCADでは十分な対応が難しくなった。特に図面と見積書が連動できず、整合性をとることが困難で業務上の種々の不都合を生じる原因となってきた。そこで、設計上の自由度の高さを保ちつつ、当初プランの作成から積算、実施

図、施工図の作成、発注支援といったハウスメーカーとしての一貫処理を可能とする日本ユニシスのHcad/ws2にシステムを切り替えることになった」(首都圏事業本部設計部長池本祐一郎氏)と語っている。

現在、新システムは東京・千葉・神奈川・埼玉・大阪・京都・神戸・仙台のほか、各拠点に配備されたHcad/ws2と本社CADセンターをISDN回線でネットワーク接続した総システム台数37台からなる構成となっており、合わせてHcad/ws2と連動した形で利用が可能なパソコン・ベースの提案ボード・システムともLAN接続されている。その基本的な業務の流れは次のとおりである。①営業拠点では設計担当者がお客様の

要望に応じて、外観透視図、鳥瞰図などの設計プランを出力する。また、インテリア・プランなどビジュアル化した提案ボードを作成して提示する。同時に仮契約用の概算積算と図面(平面図・立面図)を作成する。

②仮契約後、基本プランの修正を経て、プランを確定して確定図、壁量計算書、矩計図、見積書を作成する。

③本社CADセンターでは仮契約後の変更を一括して処理するとともに、確定したデータを受けて工事用の施工図面(展開図・設備図・構造図)と木拾い表(使用する構造材のすべてを数量化した一覧表)を作成する。

④さらに構造図、木拾い情報は資材部門にも回され、部材の発注データとして活用される。

一般的に住宅CADシステムを構築する場合、意匠設計を立ち上げてから構造設計に進むというプロセスを経るが、今回は意匠設計と構造設計をわずか1年弱で稼働させている。「普通この種のシステムを1年で開発することなど考えられない。カスタマイズを含め1年弱という短期間で稼働できたことはHcad/ws2の設計思想が非常に優れていたからである」(池本部長)と評価している。今回実現されたトータル・ハウジング・システムの主な特徴は次のとおり。(1)補助職による施工図面の内製化を実現従来、施工図面の作成は主として設計事務所に外注していたが、今回Hcad/ws2によって設計技術者だけでなく、設計知識を余り持たない補助職でも施工図面の作成が可能となった。補助職による内製化のため、構造部材データを追加するとともに標準納まりが自動的にコンピュータで配置されるように自動化機能を強化した。その結果、最短でも7日を要していた施工図面の作成が、補助職でも3日で完成することが可能となった。(2)積算数量情報を発注システムへ渡

す仕組みを実現2×4工法は木材の組合せで組み上げていくが、その部材の1本1本を積算数量情報として一覧化した木拾い表を自動作成するようにした。この積算数量情報を資材部門の発注システムに渡す仕組みを作り込み、本年8月からその運用も開始した。このシステムにより、資材部門では発注用データの再入力が不要となり、より精度の高い発注業務処理が可能となった。(3)提案ボードの活用などでさらなる営業支援機能を強化営業支援面では平面図・立面図のみならず鳥瞰図や透視図も迅速作成を実現したほか、インテリア・プラン、エクステリア・プランなどをビジュアルにプレゼンテーションできる提案ボード・システムを活用し、お客様の要望に沿った設計プランを提示するなどさらなる営業支援の強化を図っている。従来、提案ボードは写真やカタログなどを切り貼りし、営業担当者が約半日かけて作成していたが、今回のシステム化により、2時間程度で美麗な提案ボードの作成が可能となっている。(4)邸別矩計(かなばかり)図や3階建対応も実現部位ごとに各種パターンを標準化しこれを組み合わせることにより施工用の邸別矩計図(住宅全体の断面図)の作成を可能にしたほか、最近の顧客ニーズを反映して3階建対応も図っている。(5)標準化の推進で工事段階の生産性向上に寄与Hcad/ws2の導入にあたり、事前準備として部品や構造設計などの標準化作業を細部にわたり進めてきたが、その結果、工事段階での生産性向上に寄与する効果が出てきている。「標準化されたため現場での施工が容易になり、精度の向上と工期短縮にもつながってきている」(池本部長)。

池本部長は、今後のCAD開発の目標について、「我々が眼目としていた施工図面の内製化率は、現在60~70%のところまできた。早く80%を達成したい。また、今回は、まず主力商品の高級注文住宅用に開発を進めたが、今後は分譲住宅など他の商品分野にも拡大していきたい」と語っている。 UN

1997年9月1日第437号

Hcad/ws2導入の経緯-お客様のご注文により柔軟に応えるために

営業支援から施工・発注支援までのトータル・システムを実現

Hcad/ws2の採用で実現した新システムの特徴

今後は他の商品分野にも拡大予定

住友不動産ホーム住友不動産ホームでは、日本ユニシスの住宅設計システム『Hcad/ws2』を導入して、同社が設計、販売する2×4工法の注文住宅と企画型住宅の意匠設計、積算、構造設計、さらに発注システムと連動した発注支援までを一貫して支援する『トータル・ハウジング・システム』を構築し、営業段階から設計・施工段階に至る大幅な生産性と精度の向上、工期の短縮などを実現している。

■住友不動産ホーム株式会社◆同社は、住友不動産が2×4(ツーバイフォー)工法の本場、アメリカで長年にわたり培ってきた建築技術をベースに、日本の気候風土と生活様式に合わせた住宅を提供することを狙いに昭和57年に設立された。2×4工法による高級注文住宅を主力商品として建売住

宅やビル、マンションなどの賃貸事業用建物へも積極的に取り組んでいる。◆本社=東京都新宿区西新宿2-4-1◆代表者=江口浩一社長◆資本金=3億円◆売上高=476億円(平成8年度)◆従業員数=607名

住宅設計システム『Hcad/ws2 』で『トータル・ハウジング・システム』を構築意匠設計から積算・構造設計・発注支援までの一貫処理を実現

製造工業情報システム

アクト3ブレス外観

提案ボード(左)邸別矩計図と木拾い表(右)

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一定の地域を営業基盤とする地域密着型という優位性を活かして発展してきた地域金融機関も、厳しい競争の渦中にあり、金融ビッグバンを目前に競争の激化はさらに拍車がかかっている。これまでの地域金融機関としての優位性を維持・発展させるには、顧客情報を活用した戦略的なマーケティングが強く要請され、経営のポイントもここに集約されてきている。それを情報システム面から支えるのが情報系システムであり、これを活用して、戦略性、利便性の高いサービスの提供とマーケティングの展開につながる情報分析が求められている。こうしたニーズには、従来のホスト集中型システムでは必ずしも充分に応えられなかった。そこで、柔軟で、使いやすく、コストの安い、より多角的な分析を誰もが行える新たな情報系システムが求められてきた。金沢信用金庫では、こうした狙いから、クライアント/サーバ型の新情報系システムを構築したものである。

開発は昨年11月にスタートし、同金庫電算部門、ユーザ部門、日本ユニシス、ソフトバンク金沢などによって進められ、日本ユニシスがSIを行い、本

年8月1日より本部での運用を開始した。システム構築には、オープンで使いやすい製品が採用された。たとえば、サーバにはデータ・ウェアハウス構築をローコストで実現するためにPCサーバを採用、OSには、WindowsNT3.5、データベースにはOracle7.3を採用した。クライアントはWindows95を搭載したDOS/V PC200台を導入し、使い勝手に優れ、利用者がさまざまな角度から分析を可能にする検索ツールBusinessObjectsや加工ツールExcelを搭載した。さらに、本部と全営業店をLAN/

WANで接続しネットワーク化した。また、部店サーバ(6台)のデータベースは2台ずつを同じ内容に設計し障害対応や負荷分散に備えている。 (図参照)

現在、新情報系システムで分析・加

工するデータは基幹系システムから取り込んだ流動性預金、定期性預金、融資などの過去2年分の月次データと1カ月分の日次データである。本部職員はじめ利用者は汎用検索ツールBusinessObjectsを駆使して自在な情 報 加 工 を 行 え る 。 こ れ は 、BusinessObjectsが、①マウス操作のみで検索できる、②RDBの構造やSQLなどの知識が一切不要(業務で使っている日常用語でデータ検索できる)、③Excelとの連動で検索データの二次加工が容易などの特徴があるからである。各部門のユーザは顧客名、預金高、商品名など日常用語を使って条件を指定して検索し、そのデータをExcelに貼り付けて自由に加工している。たとえば、ローンの当初の貸出日から10年目を迎えるお客様という条件で顧客明細を出したり、55歳以上で、これから年金給付を受ける人や受給資格者の中で受給口座がまだ指定されていない人を把握して渉外活動に役立てることも可能になる。あるいは、普通預金残高と他の商品の利用状況などを比較して顧客についての一定の法則性を探ることも可能になる。

新情報系システムの運用で、同金庫では出力帳表を画面で検索することによるレスペーパー化を実現するとともに、検索データを組み合わせて、顧客動向や収支データを細かく分析し、マーケティング力や商品開発力の強化など、次のような効果を期待している。*顧客サイドに立った利便性の追求を中心に置いた金融商品・サービスの迅速な開発

*個々の顧客ごとの固有のニーズに対応したOne to oneマーケティングの展開*取引状況の明確な分析基準により顧客をセグメント化し、採算性も考慮したメリハリのある顧客対応*渉外係が面談時にヒアリングした情報、アンケートによる個人顧客情報や個人事業主・法人情報など、地域金融機関ならではの情報をもとに、顧客をセグメントし、顧客ニーズに対応したマーケティングの展開

同金庫では、本年下期に営業店での運用を開始し、来年度からは、電子メールを含めたグループウェアを新情報系システムに移行させ、文書管理の分野まで広げていく。次のステップとして、既存のサブシステム(人事、不動産、収益管理、ALMなど)との連携を進めていく。さらに、これと同時並行的に対外ネットワーク化に本格的に取り組み、しんきん情報システムセンター、全国信用金庫協会、全国信用金庫連合会などとの業界内ネットワークへの対応を行い、さらに、現在実施中のパーソナル・バンキング(残高照会など)に加えてデリバリ・チャネルの多様化に対応した顧客向けのネットワーク・サービスを推進していく。理事・電算部長 中村 聰氏は「金融機関はビッグバンを控え、どうやって生き残るか模索している。当金庫では、来年度を初年度とする経営3カ年計画のもとで具体的に対応していく。そのためには情報システム面からの支援は不可欠であり、営業戦略、顧客サービス戦略に新情報システムをどう結びつけていくかを検討中である。今回の情報系システムは、その基盤として機能するものである」と語っている。

ユニシス・ニュース

1997年9月1日第437号

UN

戦略的マーケティングを支える情報系システム

オープンで使いやすさを追求した

システムを構築

新情報系システムでマーケティング、

商品開発力の強化を支援

ビッグバンに向けて情報システムの

さらなる強化・拡充を目指す

BusinessObjectsで多面的分析を容易に

本部ビル�

[ライフサービスセンタ]

本部�

[営業店] [営業店]

センター� 本店営業部�

Business Objects�クライアント�

Business Objects�クライアント�

Business Objects�クライアント�

Business Objects�クライアント�

プリンタ�

プリンタ� Business Objects�クライアント�

プリンタ� Business Objects�クライアント�

プリンタ�

プリンタ� プリンタ�ルータ�

Ethernet LAN

全店サーバ�Windows NT

部店サーバ�Windows NT

部店サーバ�Windows NT

2200シリーズ�

ORACLE�データベース�

ORACLE�データベース�

ORACLE�データベース�

情報系�データベース�

6台�

43店舗�

ISDN

ルータ� ルータ� ルータ�

・・・・�

金沢信用金庫創業90年を迎えた金沢信用金庫ではクライアント/サーバ型の「新情報系システム」を構築し、8月1日から稼働を開始した。このシステムは、還元帳表を電子化し本部~全営業店を広域情報通信網で結び、パソコンから必要帳表をタイムリーに検索することによりレスペーパー化を図るとともに、エンドユーザ部門での二次加工を容易に実現することを目指して構築されたものである。

■金沢信用金庫◆明治41年に創業、本年度で90年を迎えた。「あなたと未来づくり-わたくしたちは愛と信頼をテーマに」を企業理念に地域金融機関として幾多の苦難の時代を乗り越え、いまや石川県はもとより北陸随一の信用金庫として発展を遂げている。

◆本店所在地=金沢市香林坊1-3-8◆代表者=湯澤重直理事長◆預金量=4,040億円◆店舗数=44店◆役職員数=705人

-平成9年3月末-

戦略的情報分析を自在に展開する新情報系システムを構築

金融情報システム

新情報系システム構成図

研修風景

新情報系システム画面

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簡単な荷造りで、安全・確実にお客様の荷物を指定の場所へ届けるのがJRコンテナ輸送である。JRコンテナ取扱拠点は全国に約150カ所展開され、貨物情報処理のためにフレンズ・システムが構築されている。一方、全国300社近い通運事業者で構成する全国通運事業協同組合連合会(全通協)がUNIXサーバ「U6000」をベースに構築したのが、全通情報システム(ジーネット=Z-NET)である。このシステムは、JRコンテナの貨物情報を通運事業者に提供するデータ提供機能、通運事業者間の配送料金などの精算を行う交互計算機能、JRコンテナのオンライン予約などを行うフレンズ結合機

全通情報システムは、UNIXサーバ「U6000/550」×2台(運用機と予備機)をホストに、監視サーバ「U6000/100」、監視端末「U6000DT」などで構成され、通運事業者側の端末(214台)とはINS回線で結ばれている。その運用管理に分散システム運用管理ツールDSmgr+の諸機能のうちDSmgr/コンフィグ(構成情報管理機能)とDSmgr/フォールト(障害管理機能)が導入された。 (図1)DSmgr/コンフィグは、システムを構成するハードウェア機器とその稼働状況の管理を行うものである。この機能によって、管理領域をツリー構造にして管理するグルーピング管理(ネット

能などがある。

ワーク単位、セグメント単位)やシステム構成や配置図および接続図をビジュアルに表示するなどして、システム全体の容易な管理を実現している。一方、DSmgr/フォールトは

DSmgr/コンフィグと連動して、ネットワーク構成の中の障害発生箇所の通知や、資源使用量の「しきい値」超過の監視と報告、プロセス稼働状況の監視などを担うものである。

同社独自のユニークなDSmgr+への付加機能として異常発生時のブザー鳴動による通知機能がある。これは障害が発生したとき、メッセージ表示のみならず、ブザーを鳴動させる仕組みである。同社中央システムセンター貨物システム課 副主任 藤川 耕作氏は、「当社の場合、運用監視は運用専任の当直員が行っている。当直員は本システムだけでなく、複数のシステムを同時に監視しているので障害が発生しても画面表示だけでは気付かないことがある。そこで、ブザー鳴動で障害発生を知らせる仕組みを作った。当社のような特殊事情のあるサイトでは非常に役立つ検知機能であろう」と語っている。

全通情報システムでは障害対応のために「Ready Reserve」ソフトウェアを使って、サーバの運用機と予備機との間で、一定間隔によりハートビート(運用機と予備機が互いに相手が正常に稼働しているかどうかを確認する動作)を行っている。DSmgr+で運用機にハードウェア障害の発生が検知されたとき、運用機で使用していた資源(ネットワーク、ディスク)を予備機に自動的に引き継ぎ、システム・ダウン時間を最小限にとどめられる仕組みとなっている。ただ通信回線の切り替えは当直員による手動でスイッチを切り替える方式となっている。バッチジョブについてはシェルを作

り、シェルを当直員が起動することにより、コンソール画面に起動・終了メッセージを出し処理結果を印字するとともにDSmrg+の監視端末にも起動・終了メッセージを表示している。「指令室とコンピュータ室が離れたところにあるので、スケジュール通りにジョブが実行され、正常に終了したかどうかはコンピュータ室に行かないと分からない。そこで作業の実行ごとにDSmgr+の通知機能を使って指令室の監視端末に起動と終了メッセージを送り、表示できるようにした。便利なジョブ監視機能として活用している」(藤川副主任)。

「DSmgr+」は、UNIX機とPCで構成される分散システムを統合的に運用管理するツールで、小規模から大規模までの分散システム(1台~数万台構成)に柔軟に適用、拡張できるのが特徴。全通情報システムは小規模構成のためDSmgr/コンフィグとDSmgr/フォールトが適用されたが、このほかにも●DSmgr/リリース(ソフトウェア/ファイル配布管理):分散システムを構成する管理ノード(サーバ、クライアント)へのソフトウェア配布の管理

●DSmgr/ジョブ(ジョブ管理):分散システムで実行するバッチ・ジョブの管理

●DSmgr/バックアップ(バックアップ/リストア管理):分散システムを構成するサーバおよびクライアントのデータ資源のバックアップ/リストア処理の管理

●DSmgr/パフォーマンス(性能管理):分散システムを構成する機器の性能の管理機能

●DSmgr/アカウント(稼働統計管理):分散システムのシステム資源の使用量に応じた課金処理の管理

●DSmgr/SMS(SMS連携機能):マイクロソフト社のSystem ManagementServer(MS-SMS)と連携してSMS配下のパソコンの統合管理

など豊富な管理アプリケーションが用意されている。 (図2) UN

1997年9月1日第437号

JRコンテナの迅速・確実な輸送を支える全通情報システム 運用管理の効率化を狙いDSmgr+を活用

ブザー鳴動機能を付加し、障害の早期検知を実現

障害発生時の切替処理の仕組み

分散システム運用管理支援ツール「DSmgr+」について

道情報システムJRグループの情報通信分野における中核企業の鉄道情報システム(株)ではUNIXサーバ「U6000」を核に、再構築された分散処理系の通運業システム(全通情報システム)の運用に分散システム運用管理支援ツール「DSmgr+」を採用した。DSmgr+は障害監視と稼働状況管理に活用され、システム運用管理の効率化を実現している。

■ 道情報システム株式会社(略称:JRシステム)

◆旧国鉄の民営分割時に国鉄本社の情報システム部門を中心に誕生した会社で、JR旅客6社、JR貨物が出資して設立されたJRグループの情報通信分野における中核企業。JRの旅客販売サービスの頭脳である「MARS」や全国規模の高度付加価値情報通信網「JR-

NET」などの運営管理を行っている。◆本社所在地=東京都千代田区丸ノ内1-6-5◆代表者=林 宏之社長◆従業員数=450名◆設立=昭和61年12月

分散システム運用管理ツール「DSmgr+」によって効率的な障害監視を実現

社会公共情報システム

指令室�SMView

監視端末�

コンピュータ室�

マネージャ�

U6000/100

DSmgr/コンフィグ�DSmgr/フォールト�

DSmgr/コンフィグ�DSmgr/フォールト�

DSmgr/コンフィグ�DSmgr/フォールト�

エージェント�エージェント�U6000/550(2)U6000/550(1)

データ・ファイル�

マネージャ :1 U6000/100サーバ�エージェント:2 U6000/550 ( (2)は開発用サーバ兼(1) のバックアップ用サーバ)

図1 全通情報システム構成図

DSmgr/コンフィグ�

DSmgr/フォールト�

DSmgr/リリース�

DSmgr/ジョブ�

DSmgr/バックアップ�

DSmgr/パフォーマンス�

DSmgr/アカウント�

DSmgr+ 構成情報管理�

障害管理�

ソフトウェア/ファイル管理�

バックアップ/リストア管理�

性能管理�

稼働統計管理�

SMS連携機能�

ジョブ管理�

オブジェクト指向管理基盤�Tivoli Management PlatformTM

図2 DSmgr+の管理アプリケーション

監視画面

11

日本ユニシスは、マルチメディア技術 を 利 用 し た C A I シ ス テ ム「SkillNavigator(スキルナビゲータ)」を拡充し、利用形態の多様化対応実現、導入の容易性を追求した、新たなラインナップとしてスタンドアロン環境でCD-ROM1枚で作動するランタイム版「スタディ案内人(Navi:ナビ)」の販売を開始した。「SkillNavigator」は、CAI(コンピュータを利用した学習支援)システムで、マルチメディア関連技術を利用することにより、視覚と聴覚に訴えた教育効果を高めた学習システム。見やすくわかりやすいユーザ・インタフェースにより、学習者の理解を高め、知識・技術の向上をサポートするCAIシステムとして、販売開始後約3,000本の販売実績をあげている。「スタディ案内人(Navi)シリーズ」の主な特徴は、次のとおり。①従来の「SkillNavigator」のスタンドアロン版から一部の管理機能と、オーサリング(教材作成)機能を外し、低価格で提供。

②Windows 3.1版、WindowsNT版、Windows 95に対応

日本ユニシスは、イントラネット・システム構築にあたつてのサービス体系として「イントラネット・イネーブラ」を8月1日から提供を開始するとともに関連サービスを含めたサービス体制を大幅に強化した。さらにNotes、Exchange、Staffwareな

したGUIにより、マウスを使って誰もが簡単に操作できる。③CD-ROM1枚で動作可能なためインストール作業から解放される。④実際に日本ユニシスの教育サービスに携わる講師陣のノウハウを充分に生かしたコースウエアを豊富に用意。⑤学習履歴の保存機能により、利用場所にかかわらず、個人のペースで学習ができる。また1枚のCD-ROMで複数の人が学習することが可能。「スタディ案内人(Navi)シリーズ」の価格は、各コースウェアとも1万2,800円。●問い合わせ先日本ユニシス パーソナルコンピュータ事業部事業企画室柴田*TEL:(03)5546-4550*E-mail:Snavi-info@unisys.co.jp

どのグループウェアを中核とした各種サービスの提供を一段と強化しロータス社、マイクロソフト社の認定資格保有者によるシステム構築業務全般にわたるシステム構築サービスを提供する。「イントラネット・イネーブラ」では、

今後の企業における情報システムの主流となるイントラネットに関し、システム・デザインの際の基本となる標準的なシステム・モデルとここに実装される高品質な製品を組み合わせ「プロダクト・セット」として提供する。また、システムを構築し活用するための各種サービス群を次の10のメニューとして体系化し「イントラネット・イネーブラ」として提供する。①コンサルティング・サービス*基盤構築コンサルティング*AP開発実装支援コンサルティング*セキュリティ・コンサルティング*導入後診断コンサルティング②環境提供サービス*サーバ構築サービス*クライアント構築サービス③アプリケーション構築サービス④運用支援サービス*デスクトップあんしんサービス*I-Netクリニック・サービス⑤ネットワーク構築コンサルティング・サービス

⑥グループウェア・コンサル&構築サービス

*ロータスノーツ関連サービス*Exchange関連サービス⑦コンテンツ作成サービス*コンテンツ作成サービス*コンテンツ作成支援サービス⑧PC簡単インストール・サービス⑨接続/アウトソーシング・サービス⑩教育サービスこれらのプロダクト・セットと各種サービス群はソリューションとして従来の汎用機によるシステムとの連携、デシジョン・サポーシ・システムとの連携、エキストラネット構築の基盤としての位置づけを持つ。

平成9年度ユニシス研究会秋季全国

大会は、青森市「ホテル青森」を中心に10月16日(木)~18日(土)まで開催される。第1日目には、RAB青森放送に勤務の傍ら、作家・詩人・イラストレータ・作曲家・歌手・CMディレクターと多彩な活躍をされている伊奈かっぺい氏の「津軽の文化と伝統」の記念講演をはじめ、元日本鉄道建設公団青函建設局長北村 章氏の「世界最長の海底トンネルに挑む」、青森県教育庁文化局の岡田康博氏の「三内丸山遺跡が秘めた古代の謎」、棟方志功記念館館長福井平内氏の「棟方志功の世界」など、青森ならではの興味深い特別講演が予定されている。さらに、「最新IT動向とその戦略的活用」と題し、ユニシスの取り組みが紹介される。

日本ユニシスは、「メガ・コンペティションを生き抜く情報革命」をテーマに、「ユニシスインフォメーション・マネジメント・フォーラム’97」を開催する。システム課題のみならず、経営課題・ビジネス課題を解決するソリューションを提供する I n f o r m a t i o nManagement Companyとして、“企業の情報革命を支援する”当社の姿勢を明示する。◆開催日程*東京=11月13日(木)/14日(金)*大阪=11月19日(水)/20日(木)*名古屋=11月27日(木)/28日(金)

●参加申込・問い合わせ先ユニシス研究会事務局*TEL:(03)5546-7366*FAX:(03)5546-7409*E-mail:juua-info@unisys.co.jp*http: //www.unisys.co.jp/JUUA/97-fall/index.htm

「ユニシスインフォメーション・マネジメント・フォーラム’97」東京・大阪・名古屋で開催

ユニシス・ニュース

1997年9月1日第437号

UN

マルチメディアによる個別学習システム「スタディ案内人(Navi )シリーズ」の販売開始

「SkillNavigator」ラインナップ強化

イントラネツト構築支援サービス体制を強化「イントラネット・イネーブラ」提供開始 

ユニシス研究会

「秋季全国大会」開催迫る10月16日(木)・17日(金)・18日(土)青森

Lotus1-2-3入門(Ver.R5J) LotusNotes入門(Ver.R4.5J)Windows入門(Ver.3.1) Windows95入門Excel入門(Ver.5.0) Excel95入門(Ver.7.0)Excel応用(Ver.5.0) Excel95応用( Ver.7.0)Excelマクロ(Ver.5.0) Word95入門(Ver.7.0)Word入門(Ver.6.0) PowerPoint入門(Ver.7.0)Access入門(Ver.2.0) Access95入門(Ver.7.0)PowerPoint入門(Ver4.0) Excel97入門一太郎入門(Ver.6.3) Excel97応用

Word97入門PowerPoint97入門(平成9年9月予定)Access97入門(平成9年9月予定)

Windows3.1版 Windows95版/NT版

スタディ案内人(Navi)シリーズ・コースウェア一覧表

【ClearPathサーバ】●HMP IXシリーズ*システム運用・管理  EBRS 3R3

●HMP NXシリーズ*データベース      DataExtractor/NX 1.0

*ユーティリティ電子帳票システムUNIREP-V 3.00

*WindowsNT環境DataExtractor/NX(PCクライアント) 1.0

●ITASCA・2200・1100*言語・開発環境SORT/MERGE 16R1B-2B

*システム運用・管理  EBRS 3R3

*日本語情報処理文字ファイル・タイプ3サービス・プログラム 1R3D

●Aシリーズ*ユーティリティ電子帳票システムUNIREP-V 3.00

【オープン・プロダクト・システム】●USF*OS関連       S-J.SOLARIS/S-SOLARIS 2.5.1 Hardware:4/97

*言語・開発環境S-[J.]C/C++ 4.2S-[J.]FOR 4.2

S-[J.]TERMWARE 2.0S-[J.]TERMWARE 2.0S-PROF PASCAL 5.0S-A. SHOP 3.0構造化トランザクション定義言語STDL開発キット 1.5.1構造化トランザクション定義言語STDLランタイム・キット 1.5.1構造化トランザクション定義言語STDL DCEインタフェース 1.5構造化トランザクション定義言語STDLWSクライアント・キット 1.3

*データベースINFORMIX-SQL AJ6.05.UD1INFORMIX-4GL AJ6.05.UD1INFORMIX-4GL RDS AJ6.05.UD1INFORMIX-4GL ID AJ6.05.UD1

*システム運用・管理  

EX-Changer 2.2S-J.DISK SUITE 4.1

*日本語情報処理    U-OS2 2R1A

●HPシリーズ   *日本語情報処理    NUL日本語機能 1R2B

●PC*OS関連AQUANTAシリーズ XVision 7.0

*マイクロソフト製品Aquantaシリーズ StandbyServer NT V1.21 1R1A

Software Release Announcement(SRA)は、弊社製品をご利用いただいている方のために、サポート・サービスの一環として、毎月1回発行するものであり、当月リリースされた新規ソフトウェアやバージョンアップをご案内し、ソフトウェア導入のご検討をいただくためのものです。ご要望のソフトウェアがありましたら、弊社営業員までお申し付けくださいますようお願い致します。なお、下記の8月発行SRAの内容は、すべてパソコン通信HELPパックで参照できます。

8月発行のSRA(ソフトウェア・リリ-ス・アナウンスメント)

12

規制緩和は、1980年代から国内外の自由競争の促進の観点から、世界的な潮流となっている。国内においても、1990年初めのバブル経済の崩壊後、日本型経済の将来性に対する不安が指摘され、国内外に開かれた経済社会の活性化を目指した規制緩和の積極的な推進が政策面で大き

くクローズアップされてきた。電気事業においては、1990年代半ばからの急激な円高を契機として、電気料金水準の内外格差が拡大し、産業界を中心に低廉な電気料金の実現への要請が高まった。具体的には、表1、表2の施策が行われた。

電気事業の“社会的使命の継続”と“コスト削減”という相反する経営課題を解決するために、短期的かつ即効的な施策の展開と将来を見据えた中長期的な施策展開が重要課題となっている。 (図1)①短期的な主な施策*設備投資/保守コスト削減*業務運営の効率化による組織運営コストの削減*負荷平準化機器の積極的な販売活動

の展開*電力関連会社を含めたグループ力の強化と効率化②中長期的な主な施策*電源のベストミックス化* 本 格 的 な DSM(Demand SideManagement)の推進*本格的なエネルギー競合時代に向けた企業力の強化などである。

いままでの情報システムは、定型的な業務処理の効率化を主目的にした業

務置換型のシステム化として効果を上げてきたが、その効果は、ほぼ飽和状

態となってきている。すなわち、現在の業務運営を前提とした業務処理の効率化には限界がきている。今後は、前述した各種経営課題を解決するための情報システムは、新たな視点によるシステム化が重要となる。①経営革新への情報システムの活用情報システムは、経営資源の1つとして重要な役割を担っているが、現在および将来の経営に対する大きな変化に柔軟に対応できるシステム化が緊急課題である。*情報による価値創造と意思決定高度情報化時代において、多種多様な情報が容易に入手できる環境になる一方、最近の電子メール、インターネットに代表される「情報過多」「情報の氾濫」の時代であるともいえる。その中で有用な情報を選択し、活用することで新たな価値の創造と意思決定が可能となる。すなわち、図2のサイクルで人間の判断と情報システムとの協調作業ができる新たな情報処理環境が必要となる。②業務革新への情報システムの活用情報システムは、前述したように業務処理の効率化に大きな効果を発揮してきた。今後の経営課題に柔軟に対応していくためには、いままでの業務運営の抜本的な見直しとそれに対応した新たな情報システムが必要となる。電気事業の使命を達成する目的で現在の組織形態(部門化/階層化組織)が形成されており、発電・送電・販売を一貫して遂行する業務運営もこれを前提に行われている。現時点では、グループ制の導入/部・課の廃止/職位階層の短縮などの組織のフラット化への改革および本店・支店・事業所の役割の変革と権限委譲などの業務運営の改革が行われているが、この巨大な組織・業務運営を短期間で変革することは非常に難しく、新たな情報技術をトリガとした業務革新が重要となる。●情報技術による業務革新*業務プロセスと情報連携

各部門別に構築されている業務システムは、前述したように業務処理の効率化を目的とした業務置換型である。したがって、定型処理/非定型処理/意思決定支援が複合的に混在する業務プロセスにおいて、定型処理のみがプロセスとして、システム化されているのが現状である。他の非定型処理や意思決定支援は、未システム化か別システムとして存在している。また、他部門との連携については、ホスト・コンピュータ上でファイルとして連携されているものの、業務連携プロセスとして連携されていることは少ない。*情報共有と活用各業務システムの情報は主にホス

ト・コンピュータ上で共有されているが各自が活用できる環境は、まだ未整備の状況であり、他部門の情報に関しては紙ベースの情報が多く、活用のための再入力が必要となるケースが多い。このような状況の中で、経営課題に対応していくためには、前述した「情報活用サイクル」による業務革新およびコスト削減施策などを支援するシステム化が重要となる。●業績評価制度の見直しとシステム化電力会社における業績評価制度は、会社ごとに差はあるもののいくつかの制度が実施されており、電気事業の社会的使命を反映して、「サービス面」「収支面」「安全面」を中心とした評価項目となっている。今後に予想される一層の規制制度改革によるさらなる競争原理の導入が図られる中、社会的使命の遂行を前提とし、私企業としての収益性や成長性を維持していくためには、社内に競争原理を導入し、個人あるいは組織の動機づけを明確にした目標管理体制の整備と客観的評価基準による業績評価の見直しが必要となってきている。現在の電力会社にとっては、部門

別・地域別の業績管理会計の導入は難しい状況ではあるが、情報技術を活用した積極的な取り組みが課題である。

UN

1997年9月1日第437号

電気事業の規制緩和

電力会社の経営課題

情報システム化の新たな視点

電気事業の規制緩和と情報システム日本ユニシス株式会社

社会公共マーケティング部エネルギーコンサルティング室長 下平知明

サービスアドバンスト・コンサルティング・サービス(5)

 �●発電事業への新規参入の拡大�・卸電気事業への参入の自由化�・入札制度の導入�・卸託送の活性化�●負荷平準化のための料金制度の見直し�・選択約款の設定と公表を前提とした届出制�

●電力会社の兼業規制の緩和�・経営効率化や経営資源の有効活用ができる事業についての許可制の廃止�

●小売供給事業への参入条件の整備�・一定条件による特定電気事業者の参入��●電気設備の保安規制の合理化�・国の直接関与のあり方の見直し�・技術基準のあり方の見直し�・電気工作物の区分の見直し�

 �●高コスト構造是正の一環として、� 「2001年までに国際的に遜色のないコスト水準とすること」�●これに対し、電力業界は、� 「現在の電気料金の値下げの方向性を表明」�

表1 電気事業法の改正(平成7年)

表2 経済構造の変革と創造のためのプログラム(平成8年)��

電力の安定供給と�電気事業の経営効率化�

◆コスト増大の主要因� ●設備関連のコスト増� ●負荷率の悪化� ●電源開発の長期化�

◆電気事業の社会的使命� ●低廉かつ高品質の電気の安定供給� ●お客様サービス向上� ●地域社会の発展への貢献�

各種施策�・短期�・中長期�

図1 電力会社の経営課題

データ� 情 報� 価値創造� 意思決定�情報活用�サイクル�

事 例�「電気料金」�というデータ�

「20%削減」�という情報�

経常利益が�─XX億円�

コスト�削減施策�

経営層�による判断�

図2 情報による価値創造と意思決定

13

MOSA(MAPPER Open SystemsArchitecture)とは、MAPPER製品開発の基本となる新しいアーキテクチャで、最新の業界標準やITをMAPPERにいち早く取り入れるためのフレームワークである。図1は、このアーキテクチャに基 づ き 開 発 さ れ るMAPPERの機能拡張の方向性を表している。*EUC環境としての機能拡張

*グルー・ソフトウェアとしてのインテグレーション機能拡張

*アプリケーション開発環境としての機能

MFW2(MAPPER for Windows レベル2)は、Windows 95/NT4.0 Workstation対応を行った32bitアプリケーションで、新しいGUIを提供する。主な特徴は次のとおりである。①Windowsのマナーに基づくGUIMGI(MAPPER Graphical Interface)というユーザ・インタフェースによりExcelと同様なGUIを提供するため、すべての操作をマウスで行える。図2は、MAPPERブラウザから任意のレポートを選択しレポート・ビューアで表示したところである。②最大8画面まで同時使用可能従来のMFW1.0では提供していなかった複数画面同時使用が可能となった。一方の画面ではローカル・データベースをアクセスし、もう一方の画面ではパススルー機能を用いてサーバ上のデータベースをアクセスすることもできる。また、MFW2間でのpeer topeerなやりとりも可能である。

「MapconKiss」は、MFW上で稼動するGUIアプリケーションの開発/保守ツールで、RADツールとしての機能を備えている。従来のMQS(MAPPER QuickScreen : GUI画面作成ツール)に比べ次のような点で機能強化が図られている。*ポイント・アンド・クリックによる簡単な操作でGUIアプリケーションの開発および保守が可能

拡張*データベース・ソフトウェアとしての機能拡張以下に、MOSAに基づき新たに提供を開始した新製品群を紹介する。

③従来の会話機能、ラン機能も使用可能MFW1.0やDW(デザイナー・ワークベンチ)で提供していた従来のGUIも継続して使用可能である。MFW2は、単体でローカルなシステムとしても稼動するし、パススルー機能によりホスト/サーバのクライアントとしても稼動する。さらに、他のMAPPERサーバやMFWからのアクセスも許すという優れた特徴を持つ。

*クライアント/サーバ型の分散開発環境を提供*オブジェクト指向のアプリケーション開発環境を提供し、作成したフォーム(画面)やコードをライブラリに格納し、部品として再利用することが可能*イベント・ドリブン型のプログラムを自動生成し、ユーザによるコード作成を最小化することが可能

MapconKissは、開発者が極力コードの記述を行わずにアプリケーションを構築できるような工夫がなされている。MAPPERのランを熟知していなくても短期間でアプリケーションの開発が可能である。MapconKissクライアントで生成された コ ー ド や オ ブ ジ ェ ク ト は 、MapconKissサーバのリポジトリに保存し、管理できる。保存したオブジェクト類は、ライブラリ化し複数の開発者から部品として再利用、共用できる。部品の再利用により標準化を徹底し、

「WNT5.3.1(MAPPER for Windows NTレベル5.3.1)」は、Windows NT4.0 Server対応のMAPPERである。NetscapeNavigatorやInternetExplorerなどの各種WWWブラウザから、MAPPERのデータベースやアプリケーションをアクセスできるWWW連携機能を提供する。WWW連携機能は、MAPPERを使用したEUC環境をさらに強化するもので、WWWと連携した新しい情報共有のスタイルを実現する。WWW連携機能は、NTサーバ上の

市販Webサーバを介してMAPPERのユーザ・アプリケーションとインタフェースをとる。WWW連携機能を使用することで、ユーザはMAPPER ランとHTMLを組み合わせたアプリケーションを開発できる。

EUCツール「BOX」は、EUC環境の充実に必要な各種機能を提供する。代表的なものとして、Excel/Lotus連携機能やRDB検索機能がある。*Excel/Lotus連携機能マウスによる簡単な操作でMAPPERレポートのデータをExcelやLotusのシートへ挿入したり、またその逆にそれ

以上、MOSAに基づくMAPPER新製品のいくつかを紹介した。日本ユニシスは、今後も最新のITを積極的に取り込んだMAPPER製品の提供を行っていく予定である。最後に、緊急の課題となりつつある西暦2000年対応について少しふれておく。日本ユニシスは、MAPPERアプリケーションシステムの西暦2000年対応のため、Clear2000/MAPPERという製品

ランの品質を高めることができる。図3は、MapconKissによるフォーム作成例である。

既存のMAPPERアプリケーションも、画面表示部分のコードをHTMLに置換すればブラウザをフロントエンドにしたシステム、すなわちイントラネットへと容易に変身させることができる。図4は、従来のMAPPERで開発した人事アプリケーションを画面表示部分をHTMLに置き換えブラウザから実行したものである。

らのシートからMAPPERレポートにデータを取り込むことを可能とする。*RDB検索機能OracleなどのRDBから任意データの検索実行を可能とする。検索の対象となる表や列の選択指示、表と表との結合キーの指定、検索条件の指定などすべてGUI環境で行える。

をすでに提供している。Clear2000/MAPPERは、2000年対応を行うための方法論(作業手順、ツールを使用した具体的な作業方法、留意事項など)と支援ツールからなる。Clear2000/MAPPERを使用すると、2000年対応に関する作業工数をツール未使用の時に比べ30%~50%削減することができる。詳しい紹介は次号で行う予定である。

ユニシス・ニュース

1997年9月1日第437号

UN

MAPPER製品開発の新フレームワーク「MOSA」

新たなGUIを提供する「MFW2」

GUIアプリケーション開発・保守ツール「MapconKiss」

WWW連携機能を搭載した「WNT5.3.1」

EUCツール「BOX」

最新ITを積極的に取り込んだMAPPER製品の提供を推進

MOSA(MAPPER Open Systems Architecture) に基づくMAPPER新製品群日本ユニシス株式会社

サーバシステム部4GLソフトウェア室課長 白井久美子

IT 最前線

EUC�(End User Computing)

RAD�(Rapid Application Development)

・WWW対応�・GUI対応�

データベース�

インテグレーション�

・ODBC対応�・レポート桁数拡張�・パラレル化�・パフォーマンス向上�

・PCソフトとの連携�・RDBとの連携�・分散ネットワーク対応�

・アプリケーションの開発・保守� の生産性向上�・GUI環境での帳票設計支援�

MAPPER

MOSA(MAPPER Open Systems Arc

hitect

ure)

図1 MAPPERの機能拡張の方向性

図2 「MFW2」によるレポート表示画面例

図3 「MapconKiss」によるフォーム作成例

図4 WWW連携機能によるアプリケーション実行例

14

現在、電子マネーと呼ばれるものにはさまざまな形態が存在するが、その利用技術や形態により、一般的には以下のように分類されている。●格納媒体による分類電子マネーの格納媒体による分類として、ICカードの中に電子マネーという価値を表すデータを格納し、リアルショップでの使用を前提にした「ICカード型」と、利用者のパソコンに電子財布ソフトをインストールし、ネットワークを介して電子マネーのデータを送受信する「ソフトウェア型」に分けられる。ソフトウェア型はネットワーク上のバーチャル・ショップでの使用を前提としていることから「ネットワーク型」と呼ばれる場合もある。●流通形態による分類また、流通形態による分類としては、電子マネーを利用者から利用者へと譲渡することができ、現金に近い流通性を持つ「オープンループ型」と、一定の取引に使用が限定され、電子マネーは発行体、利用者、商店へと流通し、必ず発行体に還流する仕組みの「クローズドループ型」に分けられる。実際のシステムはこれらの機能を組み合わせたものであるが、その中でも、価値の転々流通性があり、持ち運びが容易な「ICカード・オープンループ型」の電子マネーが最も現金に近い性質を持つ。この代表的なシステムが、英国のMondexとNTTの電子マネーである。

96年9月にNTTは日本銀行金融研究所と共同で電子マネーシステムを開発

した。国産唯一の電子マネーシステムである。今年1月から5月の間、情報通信研究所が主催するECN(エレクトロニック・コマース・ネットワーク)プロジェクトにおいてNTT電子マネーの実証実験が実施された。今後は、97年度から3カ年計画で実施される郵政省主導のサイバービジネス協議会での実証実験および98年10月から都市銀行とNTTが共同で行う実証実験が予定されている。では、NTTの電子マネーシステムの流れを簡単に説明する。 (図参照)このシステムの参加者としては、電子マネーの利用者、商店、電子マネーを発行する発行機関、利用者登録を行う登録機関、電子マネーの預け入れ、引き出しを行う金融機関が存在する。まず、利用者は電子マネーを利用するために登録機関において利用者の登録を行う。利用者は電子マネーを引き出すために金融機関に電子マネーの発行を依頼する。この時金融機関は電子マネーではなく、電子マネー発行チケットのようなものを利用者に返す。利用者はそのチケットを電子マネー発行機関に送り、ここで初めて発行機関が電子マネーを発行する。発行された電子マネーは利用者のICカードに格納される。利用者は電子マネーで現金と同様にリアルショップでの買い物の決済手段として利用できるほか、ネットワーク上のバーチャル・ショップでの利用や、個人間での受け渡しも可能である。NTTの電子マネーは、価値そのものをICカードの中に格納する電子財布方式である。また、格納された価値を転々流通させるオープン・ループ型でもある。Mondexの場合は同じICカー

ドでオープンループ型でも、価値そのものを持たずに残高情報のみを持つ残高管理方式である。電子財布方式は銀行がお金にサインをするので安全性が高くなる一方、データ量が多い分、残高管理方式より処理速度が遅いことなど、それぞれにメリット、デメリットがある。セキュリティに関しては、独自の暗号方式による認証技術を用い安全性を確保している。また、ブラインド署名などの技術を使ってお金の匿名性を維持しているため、利用者のプライバシーは完全に保護されている。その他、分割利用が可能なことなど、NTTの電子マネーは現金に最も近いシステムであるといえる。しかし、このシステムにも実現に向けていくつかの課題がある。まず、不正使用が行われたときの検出のタイミングである。不正使用が行われると、これをリアルタイムに検出することはできない。お金が発行機関に戻された時に初めてチェックされ検出される。したがって、実際の運用としては、電子マネーに有効期限を設けるなどして、あるサイクルで発行機関に電子マネーが戻るような仕組みが必要となる。また、現在の仕様では、転々流通する間に電子マネーに情報が追加されるためデータ容量が大きくなり、ICカードの容量に収まらなくなる可能性がある。これらの課題は、今後の実験を通して改善が図られていくであろう。

Mondex、VISAキャッシュ、NTT電子マネーなど、代表的な電子マネーシステムは電子マネーの入れ物としてICカードを使用している。ICカードは、集積回路を1つのチップとして組み上げ、カード内に埋め込まれている。また、製造時に物理的・電気的な解析を防止する手段が施されているため、実

質的には外部から内部メモリを読みとることができない。ICカードが電子財布として使用される理由はこのようなセキュリティの高さにある。ICカードは、今後、電子マネーとしての入れ物としてだけではなく、クレジットカードや銀行キャッシュカード、個人情報管理など、さまざまな分野で利用されるようになり、1枚で複数のアプリケーションを利用できる多機能型ICカードへと進化していく。このプラットフォームとして現在注目されているのがMULTOSとJavaCardである。MULTOS(high-security Multi-ApplicationOperating System)は、ICカードの基本ソフトであり、Mondex Internationalが現在開発を進めている。MULTOS上には複数のアプリケーション・ソフトをダイナミックに組み込んだり取り外したりすることができる。MULTOSは、PCにおけるWindowsを目指しているのである。一方、JavaCardは、Javaで書かれたアプリケーション・ソフトが利用できるICカードで、96年10月にJavaSoftが仕様 を 公 開 し た 。 現 在 、 V I S AInternationalはJavaCardをベースにしたICカードシステムを開発中である。JavaCardは、Cardletと呼ばれるJavaアプリケーション、Cardletを開発するためのAPIおよびクラスライブラリ群である JavaCard API、 JavaCard VirtualMachineなどから構成される。ICチップ上にCardletをロードし、用途に応じて自由に組み替えることができる。現在、JavaCard APIのバージョンは1.0であるが、今年10月にはセキュリティやコミュニケーション機能、EMV対応などを追加したバージョン2.0を公開する予定である。このようにMULTOSとJavaCardの基本的なコンセプトは同様であり、利用する側としては、1つのアプリケーションソフトを相互に利用できることが望まれる。

Mondexは将来的にMULTOS上でJavaが稼動する機能を持たせると表明している。両陣営の今後の展開に注目したい。<参考文献>

*「電子マネー及び電子決済に関する懇談会報告書」(大蔵省)*「日経デジタルマネーシステム1997・4月号/特別版1997年②」(日経BP)*岩村 充著 「電子マネー入門」(日経文庫)*「コンピュートピア1997・8月号」(コンピュータ・エージ社)*MULTOS -http://www.multos.com/

*JavaCard API - http://java.sun.com/commerce

UN

1997年9月1日第437号

「電子マネー」電子マネー元年―実験段階から実用化へ

日本ユニシス株式会社新事業企画開発部市場開発室課長代理 西木重信

IT 最前線

電子マネーの種類

今秋より、電子マネーの実用化を目指した大型実験プロジェクトが日本でもいよいよ本格的にスタートします。今年10月には神戸にてVISAキャッシュの実験が行われ、その後も、98年1月から郵政省のICカード型電子マネー実験が埼玉・大宮にて、98年6月にはVISAキャッシュ・渋谷実験、98年10月には都市銀行の電子マネー・新宿実験などが予定されています。また、米国サイバーキャッシュ社は、米国ですでに実用サービスが開始されている電子決済サービスを今年10月から日本でも開始すると発表しました(日経新聞97年8月6日)。このように、現在、国内外の企業が電子マネーのデファクト・スタンダードを目指し、しのぎを削ってサービスを展開しようとしています。今年5月にVISAとマスターカードがSET1.0を発表したことにより、今後は、インターネット上での安全なクレジット決済が可能になるとともに、電子マネーとクレジットカード機能が統合され、あらゆる電子決済を1枚のICカードで行うことができるようになってきます。今回はこの「電子マネー」をテーマとして、最新事例や技術動向を中心に解説します。事例では、NTTが開発した電子マネーシステムを採りあげます。このシステムは、国産唯一の電子マネーとして、いま非常に注目されています。また、電子決済普及の鍵となるICカードの最新技術動向についても解説します。次回は、ECを支える要素技術としてのセキュリティについて採りあげる予定です。

国産の電子マネーシステム

次世代ICカード・プラットフォーム

利用者1 利用者2

金融機関2金融機関1

発行機関�登録機関�

商店�

⑦支払い�(譲渡)�

⑧支払い�

⑨預入れ�

⑩還流�

⑪二重使用の検出�⑫不正者追跡�

⑤発行依頼�

⑥発行�

④チケット発行�

③換金依頼�

①利用者� 登録�

②許可証� 発行�

出典:日本電信電話株式会社�

NTT電子マネーシステムの概要

15

DSS(意思決定支援システム)はこれまで、情報技術の制約から主に経営者、あるいは企画部門など限られた範囲内で意思決定を支援するシステムとして具体化されてきた。しかし、最近では、情報技術の発展を受けて、経営者層や企画管理層だけでなく、日々顧客と接し、いろいろなデシジョンをしている担当者層も含めた企業内の全レベルのビジネス・ユーザの意思決定支援を可能にするシステムとして位置づけられている。DSSを導入することによって、企業全体の「知力」を上げ、

DSS構築に当たって、陥りやすい間違いとして以下の点が挙げられる。(1)壮大な構想情報システム部門が中心になって

DSS構築を進めていく場合、通常、まずエンドユーザのニーズの把握から始めるが、エンドユーザからは、さまざまな要求が山のように寄せられる。その中には思いつきの要求も多い。ユーザのニーズだからといって、すべてを取り上げ壮大な構想を描いて、構築に取りかかるとコストがかかりすぎて失敗に帰すケースが多い。(2)構想なき実行最初は小さなモデルから始めるべきであるが「小さく始めて、そのまま」ということでは進歩はない。利用の実態を追跡し、継続的に修正しながらニーズの変化に迅速対応し、常に鮮度の高いデータベースを維持する必要がある。(3)目的不在で効果が見えないどのようなシステムでも目的が明確にされなくては役に立たない。DSSは、経営管理、顧客管理など経営寄りの発想から構築されるものである。したがって、トップダウンでデザインしていくことが重要な要件となる。(4)不安定なニーズからスタート

ビジネスのやり方を変え、企業競争力を高めることが可能になる。DSSの適用分野は、図1のように多岐にわたっている。

業務ニーズは、経営トップや管理職の異動、市場環境の変化、技術の進歩などによってニーズは常に変化する。これではいつまでたっても構築にとりかかれないし、完成しても効果は少ない。そこで「安定したニーズとは何か」をしっかり見極める必要がある。(5)最新ITを把握していない情報技術は日進月歩の世界である。常に最新の情報技術を把握し追随し、上手に使いこなす努力が必要となる。(6)エンドユーザ不在/隔離エンドユーザの必要とするデータに不備があったり、データが適切な形で保持されない、あるいは情報提供のタイミングが遅いと、エンドユーザは使わなくなる。(7)ツール、プラットフォームの選択から入るツールとプラットフォームが揃えばDSSを構築できるという考えを持つ人が非常に多い。DSSを構築する上でこれらは不可欠であるが、もっと重要なことは、DSSの目的である「経営を変え、ビジネスを変える」という視点から、まずニーズをつかみ、必要な仕組みづくりから始めることが成功への第一歩である。

DSS構築を成功させるために採るべきアプローチとして、次の5つを挙げることができる。(1)ビジネス指向であることDSSは情報技術指向ではない。DSS

を何のために導入するのか、どのようなビジネスにどのように活用するのか、それを明確にした上で構築に取りかかることが絶対の要件になる。このためには、エンドユーザの「何

が見たいのか」「ほしい情報とは何か」というニーズに応える視点から構築を進めるのではなく、「自分たちに与えられた目標は何か」「その中で、問題は何か」「商品が売れないのはなぜだろう」「顧客に向かって何をすべきだろう」といった業務に与えられた目標、あるいは価値を明確にした上で構築に取り組むべきである。(2)全体構想の確立企業全体(エンタープライズ)の活動は、情報の動き(データ・モデリング)で表わすことができる。このモデルを作ることによって、業務系データの意味が明確になり、統合的に体系づけ、組織としてあるべき情報を明らかにすることが可能になる。次に、企業全体、部門、それぞれが持つべき情報とその責任を明確にし、長期的視野に立って、DSSシステム構造と機構の構想を立案する。さらにDSSを構築、成長させていくための段階的行動計画を立案する。(3)小さく始めて大きく育てる変化に迅速、柔軟に対応できるように身軽なシステムが望まれる。そしてDSSの効果を確認しながら、ダイナミックに変化する企業活動に呼応してスパイラルにシステムを成長させていく

必要がある。(4)ユーザ自ら考え、実行するDSSの世界を育てる中心的役割を担うのは、エンドユーザである。その役割は「考える」「実行する」「判断する」ことにある。一方、情報シテム部門は、それを「整備する」「支援する」「コーディネートする」役割に徹することが必要となる。自ら考えるということは、単なるトライ・アンド・エラーを実行することではない。目標設定・実施・評価・見直しを繰り返し、スパイラル・アップさせ、自分自身で活力、創造力、実行力、考察力、判断力、顧客満足度獲得力を生み出していくことである。このためには、推進体制の整備や計画的な人材育成など組織的な取り組みが必要となる。(5)最新最適なITの活用具体的にDSSを構築するに当たっては、まずアーキテクチャを確立し、その中で「変えてはならない部分」と「変えていく部分」を切り分ける必要がある。「変えてはならない部分」は、論理的なデータモデルであり、「変えていく部分」にそのときどきの最新最適なITを採用し、機能向上を図る。

企業の情報システム全体像とDSSの位置付けを表わしたのが図2の「エンタープライズ・モデル概念図」である。DSSは図の「データベース検索・抽出サービス」の部分に相当する。具体的に構築する上で、次のような要素技術を整理しておく必要がある。*ビジネス・システム・モデリング実世界(ビジネスの場)に着目し、企業にとってあるべきDSSをモデル化し、企画する技術。*システム基盤構築

要求されたDSSに最適なプラットフォームとネットワークを選定し構築する技術。*データ・ウェアハウス構築データベース/データマート設計・構築技術、OLAP/データマイニングなど分析技術。*協業基盤構築データを情報として活かし、協業するための基盤で、グループウェア、ワークフロー、イントラネットなどの技術が挙げられる。

ユニシス・ニュース

1997年9月1日第437号

UN

間違いだらけのDSS構築DSS構築のトータル・アプローチ

IT 最前線

企業にダイナミズムと活力を与えるDSS

「間違い」に学ぶDSS構築のアプローチ

DSS構築を成功に導くためのアプローチ

DSS構築のための要素技術

マーケ�ティング�

顧客獲得�・保持�

営業活動�支援�

販売戦略�

コール�センター�

リスク�管理�

CRM�顧客リレーションシップ管理�

�キャンペーン�実施・評価�

販売履歴�客に合った商品�

外部環境予測�シミュレーション�

業績管理�

営業マン別�業績管理�

管理会計�商品別�部門別�収益管理�

経営計画�

商品開発�

企業の「知力」を上げ、�ビジネスのやり方を変える。�そして生き残り、成長する。�

統計手法の応用�外部環境予測�

商品別収益�シミュレーション�

データベース�マーケティング�

顧客購買行動�の分析�

図1 DSSの適用分野

ミッション・クリティカル・アプリケーション�(基幹業務システム) ビジネス・サポート・アプリケーション�

(業務支援システム)

コア・ビジネス・システム�(中核業務システム)

アドミニストレーティング・サポート・システム�(運用支援システム)�

基幹業務DB� 業務支援DB�

外部・市販DB� データベース検索・抽出サービス(データ・ウェアハウス)� 履歴DB�

経営支援DB� 業務管理DB� 運用支援DB� オフィス情報支援DB�

エグゼクティブ・サポート・�アプリケーション�(経営支援)�

ビジネス・マネジメント・�アプリケーション�(業務管理)�

マネジメント・サポート・システム�(管理支援システム)�

アドミニストレーティング・�サポート・アプリケーション�

(運用支援)�

オフィス・インフォメーション・�サポート・アプリケーション�(オフィス情報支援)�

図2 エンタープライズ・モデル(概念図)

16発行日本ユニシス株式会社広報部広報室 〒135 東京都江東区豊洲1-1-1 (03)5546-4111 発行人山下宗久 編集人武井 浩 制作ピー・アールセブン 発行日 1997年9月1日 ISSN 0915-051X

◆社外からの寄稿や発言内容は、必ずしも弊社の見解を表明しているわけではありません。

金融ビッグバンへの対応など、保険業界をめぐる経営環境は、厳しい競争が避けられなくなっている。規制緩和などによる商品・サービスの多様化や、異なった業態間との競合などに迅速、柔軟に対応できる情報システム基盤の整備が要請されている。特に、急速に進む規制緩和に対応するには利用部門を中核に据え、従来以上に情報の共有化・戦略的活用を可能にする情報活用基盤の整備が不可欠である。こうした対応への一環として、同社では、エンドユーザ・コンピューティングを積極的に推進し、次のような狙いから、データ・ウェアハウスを導入し、超並列技術を利用した情報系システムの強化に取り組んできた。*企業内に蓄積された膨大な基幹データを意思決定に役立つ情報として整理・統合して活用できる新しい情報システム環境を確立する。*大量データの高速検索、加工・分析を可能にし、事業内容の正確な把握と問題点の発掘が行えるシステムを実現する。*データの多元的な分析や将来予測などを迅速に可能にするシステム環境

を作り、新商品開発のスピードアップを図る。

データ・ウェアハウスの構築には利用部門との連携がその成否を決めるといわれる。同社では、95年から約1年をかけてユーザ部門に対してヒアリングを行い、利用方法を明確にした上でデータの選択やデータベースの設計に取り組んだ。情報システム部 運用企画担当課長小佐野清氏は次のように語っている。「データ・ウェアハウスの構築には利用目的、利用すべきデータ内容などの基本的な戦略を明確にし、利用するデータの質を確保し、高速なレスポンスと優れた操作性を実現することが重要である。我々は、これらのすべての点をクリアしたものと自負している。プラットフォームの選定についてはハードウェア性能の評価はもとより、C/SSの構築面で実績があり、システム・サポート力を高く評価して日本ユニシスの超並列オープンサーバ『OPUS』に決定した」。96年1月にOPUSを設置、3月よりデータ・ウェアハウスの構築に着手し、12月から本番稼働を開始した。

システムはその中核に超並列オープンサーバ「OPUS」を採用、データベースは「Oracle7」、データ検索エンジンに汎用検索ツール「BusinessObjects」、データ加工ソフトに「Excel」を配し、クライアント(検索用端末)には合計27台のWindowsNTという構成である。サーバ(千葉ニュータウン本社ビル)とクライアント(東京・駿河台本社)とは64kbpsの専用回線で接続されている。

(図参照)データ・ウェアハウスには、主に代理店や契約関係のデータが蓄積されている。データ・ウェアハウスの規模は、ディスク容量が500GB、データ件数は大小合わせて約6,800万件、最大規模のもので1,300万件にのぼるものもある。データベースの数は約150に及んでいる。稼働中のデータ・ウェアハウスとしては、きわめて大規模なシステムである。利用部門は、本社の商品開発、営業推進、事務管理部門など合計15部門に達している。ユーザは、データ・ウェアハウスを、BusinessObjectsを介して検索し、そのデータをExcelによって自由に加工できる。こうした強力かつ簡易な検索・加工ツールを活用することによって、利用者は業務知識だけで必要な情報を即座に入手できることになる。

データ・ウェアハウス活用による利点として次のような点が挙げられている。*大量データの高速検索を実現結果が出力されるまでの時間は、従来の情報系システムでは1案件で1~2時間もかかる場合があった。これを数分単位へと飛躍的なスピードアップを実現した。この結果、ユーザはさまざまな切り口からの検索・加工が容易に

ールExcelの知識だけでシステムを活用できる。導入当初は一定のリテラシ教育が必要であったが、現在ではほとんどの利用者にExcelなどコンピュータ活用の知識が普及している。*新商品の開発が短期間で可能従来の情報系システムでは、基幹システムからのデータ抽出、検索・分析プログラムの作成を経て実際に利用できるまで数カ月かかっていた。新システムでは、検索プログラムの作成が不要となり、必要なデータをデータ・ウェアハウスに取り込むだけで実用に供することができる。時間の短縮は、自由化対応やビジネス・スピードの向上、また情報システム部門の負荷の軽減、バックログの解消にも効果を発揮している。

◇小佐野氏は今後の課題について、「規制緩和に起因した新しい業務ニーズに対応していく上で、情報システムの活用はますます重要性を増してくる。システムをできるだけ効果的に活用するため、データ整備をはじめ、CPUの使用状況、ネットワークの負荷、クライアントの利用時間帯など稼働統計を整備し、ユーザの利用状況を正確に把握して対応していく。また継続的な利用促進を目指して、人事ローテーションに合わせた教育を実施し、高度な情報活用スキルをユーザサイドに定着させていくことも必要である」と語っている。

なり仮説・検証を繰り返して高度な分析に挑戦できる環境が整った。*操作性に優れ使いやすいシステムを実現利用者は、非

定型問い合わせツールBusinessObjectsと加工ツ

UN

規制緩和への対応の一環として情報系システムを強化

超並列サーバを中核に大規模なデータ・ウェアハウスを構築

検索処理は数時間から数分に、新商品開発期間も大幅に短縮

基幹システム� OPUS2000データ・ウェアハウス�

データ件数:6800万�データベース:約150

千葉ニュータウンセンターLAN

駿河台本社LAN 専用回線 64Kbps

WindowsNT3.51�SQL*NET�BusinessObjects�Excel

検索端末27台�

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・�

CPU:Pent ium66MHz� 16ノード�メモリ:128MB/ノード�ディスク:548GB�Oracle7�SQL*Net

本店スタッフ�向けデータベース�

同左�

本部情報系システム構成図

1997年9月1日 第437号

三井海上火災保険三井海上火災保険では、情報活用基盤の強化を目指して「本部情報系システム」のためのデータ・ウェアハウスを構築し、運用を開始した。大量の基幹データを高速に検索、加工・分析ができるデータ・ウェアハウスの活用により、商品開発、営業支援など戦略的な情報活用基盤が一層強化されることになる。

■三井海上火災保険株式会社◆大正7年10月、三井物産を母体として誕生以来、損害保険業界のビッグスリーの1つとして、その牽引車的役割を果たしてきた。一昨年に21世紀にかけての情報中枢および本社バックオフィスとなる千葉ニュータウン本社ビルを竣工、情報基盤の強化・拡充を推進している。

◆本店=東京都千代田区神田駿河台3-9

◆代表者=井口武雄社長◆従業員数=9,000名◆正味保険料=6,400億円(平成9年3月)◆使用機種(ユニシス・システム)=超並列オープンサーバ「OPUS2000」、エンタープライズ・サーバ「2200/600シリーズ」「同500シリーズ」、UNIXワークステーション「USファミリ」ほか。

データ・ウェアハウスを「本部情報系システム」に活用大量データの高速検索、加工・分析に威力規制緩和をにらみ情報活用基盤を強化

金融情報システム

データの質、操作性、応答速度をポイントに

駿河台本社ビル