物理化学実験④物理化学実験④表面張力の測定表面張力の測定表面張力の測定表面張力の測定
[[目的目的]]界面活性剤であるドデシル硫酸ナ界面活性剤であるドデシル硫酸ナ[[目的目的]]界面活性剤であるドデシル硫酸ナ界面活性剤であるドデシル硫酸ナ
トリウムトリウム((SDSSDS))の水溶液の表面張力を滴下の水溶液の表面張力を滴下トリウムトリウム((SDSSDS))の水溶液の表面張力を滴下の水溶液の表面張力を滴下
法で測定し法で測定し表面過剰濃度表面過剰濃度、、分子断面積分子断面積およおよ法で測定し法で測定し表面過剰濃度表面過剰濃度、、分子断面積分子断面積およおよ
びび臨界ミセル濃度臨界ミセル濃度((CMCCMC))を求めるを求める..
福井大学大学院工学研究科生物応用化学専攻福井大学大学院工学研究科生物応用化学専攻 前田史郎前田史郎
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福井大学大学院工学研究科生物応用化学専攻福井大学大学院工学研究科生物応用化学専攻 前田史郎前田史郎
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2
て就職に不利になることが予想されますので,レポートは十分注意して書いて下さい.
液体の性質液体の性質
液体は球形をとる傾向を持つ液体は球形をとる傾向を持つ
水中で水分子同士は水素結合でつながれて安定化しているが、表面では結合を作れないない
なるべく表 積を小さくするよう 表 積
33
なるべく表面積を小さくするように表面積/体積が最も小さい球形をとる
アメンボやアルミニウム硬貨が水に浮かぶのも表面張力の作用 ある用である。
4
表面張力表面張力
液体が持つ表面積を最小にしようとする傾向を表す物理量を表面
張力 と呼ぶ張力 (surface tension) と呼ぶ.
表面積を dだけ変化させるのに必要な仕事 dw から次式で定義さ表面積を dだけ変化させるのに必要な仕事 dw から次式で定義される.
dddw
d
dd w (仕事)=(表面張力)×(面積)
55表面張力の単位は J/m2=Nm/m2=N/m.
表面張力の測定法(1)表面張力の測定法(1)
長さ l のワイヤーを持ち上げて,液体の表面を高さ h だけ引き延ばすのに必要な仕事面を高さ h だけ引き延ばすのに必要な仕事をw,面積変化をとし,表面張力が一定であるとするとであるとすると,
hlw 2ここで,重力は小さいので無視する.
この仕事 は ワイヤ に働く力を F とす アトキンス物理化学 図18・20この仕事wは,ワイヤーに働く力を F とすると, w =Fh とも表すことができる.
ア キ 物 化学 図
w =Fh = 2hl , ∴ F = 2l
したがって = F /2l となる
(力)=(表面張力)×(長さ)であるが,この問題の場合は液膜の両面に働く表面張力を
66
したがって, F /2l となる. 液膜 両面 働く表面張力を考慮しなければならないので注意!
表面張力表面張力
○表面張力のもう一つの定義
表面張力の大きさが変化しない(位置等の関数ではなく 定数である)表面張力の大きさが変化しない(位置等の関数ではなく,定数である)とすると,
(1)単位面積を増加させるときに必要な仕事 dd(1)単位面積を増加させるときに必要な仕事ではなく,
dd w
(2)単位長さ当たりに垂直に働く力
と解釈することができる
sf dd と解釈することができる.
(仕事)=(力)×(距離) ・・・仕事の定義
=(表面張力)×(面積) ・・・定義(1)
= (表面張力)× (長さ)×(距離)
7
= (表面張力)× (長さ)×(距離)
(力)=(表面張力)×(長さ) ・・・定義(2)
f 仕切り板によって区切られた水 水+界面
af
SS
仕切り板によって区切られた面積Sの表面に界面活性剤が一杯に広がっているとする.
活性剤
l l
SSこの仕切り板に力fを加えて距離lだけ移動させ,面積がSだけ変化したとするl l
最初の面積 S=a×l
Sだけ変化したとする.
面積変化 ΔS=a×Δl
面積変化ΔSに必要な仕事Δ 表面張力 面積変化ΔS面積変化ΔSに必要な仕事Δw =表面張力×面積変化ΔS
(仕事)=(力)×(距離)=Δw=f×Δl =×ΔS = ×a×Δl
仕切り板に働く力 f = ×a ∴ = f /a
(表面張力)=(単位長さ当たりに垂直に働く力の大きさ)
8
(表面張力)=(単位長さ当たりに垂直に働く力の大きさ)
表面張力の測定法(2)表面張力の測定法(2)::液滴法液滴法((滴下法)滴下法)ガ 管 先端 滴 ずく が徐 たま
rガラス管の先端に滴(しずく)が徐々にたまり、
表面張力と重力が釣り合ったところで落下すrる。一滴の質量をm,重力加速度をgとすれば,液滴を下に引く力は重量W=mgである.これを
g
上に引き上げる力は表面張力をγ,ガラス管の外半径をrとすると2rである。したがって
mgの外半径をrとすると2rである。したがって,液滴の質量から表面張力を測定できる.g
rmgW 2
mgW
表面張力 の単位は
12
Nmskg
99
rr
22
1Nmm
g
界面活性剤界面活性剤
分子内に親水基と親油基(疎水分子内に親水基と親油基(疎水基)を持つ (両親媒性)
親水基疎水基
水中では、ある一定濃度(臨界ミセ 濃度(CMC))以上でミセ油水界面 気水界面に集積する
1010
セル濃度(CMC))以上でミセルを形成する.
油水界面、気水界面に集積する.
疎水部 親水部
界面活性剤分子 ミセル
気相(a) (b) (c) (d)
疎水部 親水部
気相
界面
液相
界面活性剤濃度
液相cmc
界面活性剤濃度
界面活性剤濃度が希薄な場合(a,b)は界面活性剤は分子(イオン)の状態 溶解 時 気 液界 吸着が起きる 界 活性剤 濃度状態で溶解し,同時に気-液界面に吸着が起きる.界面活性剤の濃度を増加すると,ある濃度で界面への吸着は飽和し(c),溶液内部ではミセルが形成される このときの濃度を臨界ミセル濃度(critical micelle
1111
セルが形成される.このときの濃度を臨界ミセル濃度(critical micelle concentration; cmc)という.
界面活性剤分子の分布界面活性剤分子の分布
が気相と液相が接する時の n (mol)の界面活性剤の分布
分子が均 に分布していれば
界面: n
分子が均一に分布していれば,n = n であるが,分子が界面に集積すると と は だけ異な
液相: n
界面: n
合計: n
積すると, n と n は n だけ異なる.
分子が界面に集積する傾向が大きければ は正となる 界面の面積を
合計: nn = n - n (1)
分子が界面に集積する傾向が大きければnは正となる.界面の面積を(m2)とし,表面過剰濃度 (mol m-2) を次式で定義する. は界面にある分子の単位面積当たりのモル数を表わすにある分子の単位面積当たりのモル数を表わす.
1212
(2)
n
したがって の逆数 1/ (m2 mol-1)は 界面にある分子の1分子したがって,の逆数 1/ (m2 mol 1)は,界面にある分子の1分子
が占有する面積(分子占有面積)を表わす.
11m
表面過剰濃度 /mol m-2
1m
表面過剰濃度 /mol m
分子占有面積 Å2 1
1313
分子占有面積 /Å2molecule-1
ステアリン酸
mN
m-1
イソステアリン酸
表面
圧π/
m イソステアリン酸
リン酸トリ-p-クレジル
1分子当たりの面積/nm2
表
図23・27 表面膜の表面圧および
他の性質を測定する装置の概念図
1分子当たりの面積/nm
図23・28 界面活
性剤 各 が占界面活性剤を水槽中の液体表面に広げてお
いてから,雲母製の浮きの方向へ圧縮仕切り
性剤の各分子が占
める面積による表面
板を動かすことによって水平方向に圧縮する。
雲母の浮きにはねじれ線が結ばれており、浮き
圧変化
14
の両側からかかる力の差を測定できる.
親水部分がイオンに解離していない分子;
メチレン鎖が平面ジグザグ構造:20Å2molecule-1
メチレン鎖が分岐した構造:32Å2molecule-1チ ン鎖 分岐した構造
ステアリン酸
Nm
-1面
圧π/
mN
イソステアリン酸
表面
リン酸トリ-p-クレジル
1分子当たりの面積/nm2
1515
図23・28 界面活性剤の各分子が占める面積による表面圧変化
親水部分がイオンに解離していない分子;
メチレン鎖が平面ジグザグ構造:20Å2molecule-1
メチレン鎖が分岐した構造:32Å2molecule-1チ ン鎖 分岐した構造
親水部分がイオンに解離しているSDSではイオン間の反発によって分子間隔が拡がる
:52Å2molecule-1
イオン間反
SDS:CH3(CH2)11OSO3-
イオン間反発
1616
界面活性剤の分子断面積
1717
分子構造総合討論会(2004,広島)要旨4B10
非イオン性の界面活性剤,たとえばアルキルアルコール,は,
親水基である水酸基(-OH)が電荷を持たない.したがって,親親水基である水酸基( OH)が電荷を持たない.したがって,親
水基同士の反発が起こらず,界面において分子が密に詰まること
ができるので 分子断面積はCH 鎖の20Å2 l l 1に近い値ができるので,分子断面積はCH2鎖の20Å2molecule-1に近い値
を取ることができる.
1818
界面に溶質が集積すると表面張力が低下することを,ギブズの自由
エネルギー変化 dG を使って説明しようエネルギー変化 dG を使って説明しよう.
界面が存在する場合のギブズの自由エネルギー変化は次のように書
ける.
(3)dddd nTSG ここで,は化学ポテンシャルである.温度一定の下で(3)は(4)になる.
( )
(4)dddGを積分すると,になる.
(5)G
(4)ddd nG
の全微分は,(6)のように表される.
(5) nG
(6)ddddd nnG
1919
(4)ddd nG (4)ddd nG
(6)ddddd nnG
( )と( )を比べると
(6)ddddd nnG
(4)と(6)を比べると,
(7)0dd n
(7)をで割ると,
(7)0dd n
( )
(8)dd n
(9)d Γ
2020
この式を,ギブズの等温吸着式という.
希薄溶液では はモル濃度 c を用いて次のように書ける.
したが て 定温度において
(10)dlnd cRT 濃度cにはモル濃度mol/lを用いなければならない.
したがって,一定温度において,
(11)dlnd cRT
を用いなければならない.
溶質が界面に集積( > 0)すれば, c の増加とともに は低下することを意味する。(11)を変形すると
(12)dlog
d3032
1dlnd1
cRTcRT
Γ
表面張力を測定することによって,表面過剰濃度 を求めることができる.
dlog303.2dln cRTcRT T
表面張力の単位は N/m.
2121
表面張力 単位
表面過剰濃度の単位は mol/m2 .
しかし,SDSのように,界面活性剤分子が電解質であり,イオンに解離しかし,SDSのように,界面活性剤分子が電解質であり,イオンに解離
する場合は以下のようになる.
(13)dlog
d303.221
dlnd
21
TT cRTcRT
Γ
g TT
(12)d1d1Γ (12)dlog303.2dln
cRTcRT
ΓT
表面張力の単位は N/m.
2222
表面張力 単位
表面過剰濃度の単位は mol/m2 .
(13)式より
( )d
(13)式より,0
傾き
(14)2dlnd
RTΓc T
RT Γc T
2dlnd
濃度が薄い極限では → 0,つまり溶媒の表面張力に漸近する.その領域では勾配が0になり,界面に吸着された界面活性剤分子の面密の領域では勾配が0になり,界面に吸着された界面活性剤分子の面密度も0になる,すなわち(c→0)→0になると考えられる.一方,界面の面積は有限であるから ある濃度c 以上では(c > c )→constant になると積は有限であるから,ある濃度cH以上では(c > cH)→constant になると予想される.実際,限界ミセル濃度(CMC, critical micelle concentration)以上では界面活性剤はバルクな液層内でミセル( i ll )を形成し 表以上では界面活性剤はバルクな液層内でミセル(micelle)を形成し,表面張力が減少しなくなる.したがって,(14)式の勾配が0になる(みかけ
2323
のが0になる).
疎水基 親水基
界面活性剤分子
疎水基 親水基
0
面張
力
d
傾き
表面 RTΓ
c T2
dlnd
lnc界面活性剤濃度
lnc
表面張力を濃度(cmc濃度以下の濃度)に対してプロットして傾きを求
めることによって,表面過剰濃度を求めることができる.また, の逆
2424数をとると分子断面積を求めることができる.
○単位についての考察
表 過剰濃度 式 および だけを見 ると 濃度と表面過剰濃度の式 およびだけを見ていると,濃度としてモル濃度mol/lを用いるか,他の濃度の単位を用いるかによって,傾きdγ/dlogcの値が違ってくるように思えますの値が違ってくるように思えます.
しかし,ギブズの等温吸着式(9)から表面過剰濃度およびを導く際に 希薄溶液の化学ポテンシャルの定義を用いています にく際に,希薄溶液の化学ポテンシャルの定義を用いています.における濃度cはモル濃度mol/lであるので,表面過剰濃度の式 およびにおいても濃度cはモル濃度mol/lでなければなりません.mol/m3にびにおいても濃度cはモル濃度mol/lでなければなりません.mol/m に変換する人がいますが間違いです.
表面張力γの単位をN/m 気体定数Rの単位をJK-1mol-1 (=NmK-1 mol-1)表面張力γの単位をN/m,気体定数Rの単位をJK 1mol 1 (=NmK 1 mol 1),温度の単位をKとすれば,表面過剰濃度の単位はmol・m-2になります.
1 Nm
dlncはdc/cに等しいので,無次元(単位のない単なる数値)であり濃度の
2111
lnd
mmol
KmolNmKNm
cRT
25
単位を考慮する必要はありません.
試薬実験実験
ドデシル硫酸ナトリウム: CH3(CH2)11OSO3-Na+
分子量=288 38 -分子量 288.38器具
滴数計 1 共栓三角フラスコ(50ml) 3滴数計 1 共栓三角フラスコ(50ml) 3
ピンチコック 1 三角フラスコ(50ml) 1
スタンド 1 ムッフ 1
カウンター 1 クランプ 1ウンタ クラン
10mlメスピペット 1 ビュレットクランプ 1
50mlメスフラスコ 1 マイクロメ タ 全体で150mlメスフラスコ 1 マイクロメータ 全体で1
ゴム管 1
2626
滴下法滴下法
液を管より徐々に滴下させ,そのとき生
ずる液滴の体積や重量を測ることによりずる液滴の体積や重量を測る とにより
表面張力を求める.
実際には滴数計を用いて5ml滴下する実際には滴数計を用いて5ml滴下する時の滴数を数える.10秒で1滴が滴下する程度の速さになるようピンチ クをる程度の速さになるようピンチコックを
調節して下さい.
最後の1滴分は目盛り(最小目盛り
10 l=0.01ml)を読んで補正する.SDS溶液の密度は濃度によらず
1 mg/ml とする.
2727
g とする
ビ レ トクランプで滴数計の上部に取り付けたゴム管の先端 ビュレットクランプで
ゴム管を挟んで固定する
付けたゴム管の先端付近をピンチコックで挟んで落下速度を調 定する挟んで落下速度を調節する
滴数計をクラ プ滴数計をクランプで挟んで固定する
SDS水溶液試料はSDS水溶液試料は共栓付き三角フラスコに保管する
滴数計から落 すに保管する
滴数計から落下する液体は三角フラスコで受ける
28
スコで受ける
From “N. Sajdera, Metal Finishing, 100, Supplement 1, Jan. 2002, Pages 599-600”
表面張力は次の関係から非常に正確に計算することができる:
表面張力=mg/r×F
ここで はゆっくりと形成された滴の質量である この滴は 重力加速度ここで,mはゆっくりと形成された滴の質量である.この滴は,重力加速度gによって,直径2rの研磨されたキャピラリー管の水平な先端から落下するものである.FはV/r3の関数である.るものである.FはV/r の関数である.
滴下速度が速すぎると,重力だけでなく,試料溶液が管の中を落下する運動エネルギ も寄与するので上の式が成り立たず 得られた表面
29
る運動エネルギーも寄与するので上の式が成り立たず,得られた表面張力が不正確になる.
滴下法滴下法始点は
最初と最後の1滴分は目盛り(最小
始点は+0.02ml
目盛り10 l=0.01ml)を読んで補正する 目盛りる.
(例) 始点が+0.02mlで終点が+0 03mlだと合計0 05ml補正する
5.00ml 5.05ml
+0.03mlだと合計0.05ml補正する.61滴で5.05ml落下した場合に滴 体積は 終点は1滴の体積は
5.05/61 = 0.08278 ≒ 0.0828 ml終点は+0.03ml
SDS溶液の密度は濃度によらず1 g/ml とする.
30
g
外径2rの管の先端から落下する液滴の重量 W は管の先端の 周外径2rの管の先端から落下する液滴の重量 W は管の先端の,周囲の長さに沿って垂直方向に働く表面張力と釣り合うので
が得られる ここで Mは液滴の質量 は
(15)2 rMgW
が得られる.ここで,Mは液滴の質量,g は重力加速度である.したがって,
)5(122
MgW
しかし 実際の液滴の落下では まず く
22 rr
しかし,実際の液滴の落下では,まず,く
びれができた後大部分が落ちるが,なお
先端に液滴が残る
3131
先端に液滴が残る.
その補正としてHarkins-Brownの補正定数φを用いると表面張力
は,次の(16)から求めることができる.
φは の関数であるrφは の関数である.31V
MgW (16)22
r
Mgr
W
各濃度 定 す各濃度2回測定して平均する.
3232
補正係数は下図のように 多項式近補正係数は下図のように,多項式近似式を用いて計算できる.
33
マイクロメータ滴数計の外径2rはマイクロメータを用いて測定する.副尺を用いて0.01 mmまで読み,先端付近3ヶ所の測定値を平均する.
マイクロメータ
34
測定のしかた
被測定物に測定面を合わせてシンブルを回被測定物に測定面を合わせてシンブルを回転させるが,ラチェットのカチカチ音が2回ほど音がする程度で止める.
12.930 mm12.430 mm
3535
0.5mmの中間目盛りが見えているので,0.430mmではなく0.930mmである.
結果の整理結果の整理
1.担当した濃度における表面張力測定実験データをまとめる.
試料溶液作成に用いたSDSの質量,希釈の方法等を詳細に記録し試料溶液作成 用 た 質量,希釈 方法等を詳細 記録してレポートに記載する.
2 他のグループから担当分以外の濃度における表面張力の2.他のグル プから担当分以外の濃度における表面張力の
データを受け取って一覧表を作成する.
算 濃 プ3.表面張力を計算して濃度 c または ln c に対してプロットする.
4.臨界ミセル濃度(cmc)/moll-1を求める.
5.cmc以下の濃度における表面過剰濃度 を求める.
6 メチレン基の分子面積約20 Å2と SDSの 1/ を比較して6.メチレン基の分子面積約20 Å と,SDSの 1/ を比較して、
分子の集積密度について考えよ.
数値 数式が書 あるだ 提出 言葉 説
3636
7.数値や数式が書いてあるだけでは再提出.言葉で説明せよ.
結果の整理(データ処理に関する補足)結果の整理(データ処理に関する補足)
ノートパソコン2台にそれぞれのグ
ループごとにExcelファイルを用意するの0
RT Γ2dld
傾き
ル プごとにExcelファイルを用意するので.補正した滴数と管の直径を入力する
と を計算して濃度に対して をプロット c Tdln
と,γを計算して濃度に対してγをプロット
します.
濃度の増加につれて表面張力が0から減少して(a),ほぼ直線となり(b),cmc以上の濃度では水平線になる(c).直線部分(b)の4点程度を選んで( ) ( )最小自乗法を用いて直線部分の傾きを求める.作成したファイルはUSBメモリなどにバックアップして持ち帰り レポート作成に利用してくださいメモリなどにバックアップして持ち帰り,レポ ト作成に利用してください.
ファイルは後でWeb上に公開します.同じグループ内でも印刷出力のフォトコピ をレポ トに用いることは禁止します コピ を含むレポ トは受
3737
トコピーをレポートに用いることは禁止します.コピーを含むレポートは受
理しません.
考察考察考察考察
1 Gibbsの吸着等温式を導け(実験予習レポート課題にあるので省略1.Gibbsの吸着等温式を導け(実験予習レポート課題にあるので省略して良い).
2.SDSの濃度を高くしていくと,ある濃度(臨界ミセル濃度)以上では表面張力の減少はほとんど起こらなくなる.なぜか.表面張力の減少はほとんど起 らなくなる なぜか
3.滴下法とワイヤーを用いる方法(アトキンス物理化学図18・20)以
外に表面張力を測定する方法を1つ挙げ,図を示して説明せよ.企業
等のホームページに掲載されている解説を,そのままプリントしただけ
のレポートは受理しません.出典が書かれていないレポートも受理しま
せんので,出典を明らかにしたうえで,自分の言葉で説明を加えてくだ
3838
,出典を明 う ,自分 言葉 説明を加 く
さい.
考察に関する補足考察に関する補足
2.SDSの濃度を高くしていくと,ある濃度(臨界ミセル濃度)以上では表面張力の減少はほとんど起こらなくなる なぜか面張力の減少はほとんど起こらなくなる.なぜか.
設問は,SDS濃度を高くしていっても表面張力がほとんど減少しなくなる直接的な原因・理由を求めています.ミセル形成についてのスライドに
書かれている「界面活性剤の濃度を増加すると,ある濃度で界面への吸
着は飽和し,溶液内部ではミセルが形成される.」は適切な解答とはい
えません 「界面への吸着が飽和すること」が原因なのか あるいは「ミえません.「界面への吸着が飽和すること」が原因なのか,あるいは「ミ
セルが形成されること」が原因なのか分かりません.また,「ある濃度」と
は何か説明が必要ですは何か説明が必要です.
3.図だけ示しても不充分です.言葉で説明を加えて下さい.図や式の
3939
中に現れる文字が何を示すか明記しなければいけません.
グループ分けグループ分け岸本 洋平
試料調製および測定濃度 M( mol/l = mol/dm3)a, 0, 0.05, 0.0001(cの0.001を希釈)
aNGUYEN THI THUY LIEN
a, 0, 0.05, 0.0001(cの0.001を希釈)
b, 0, 0.02, 0.0005(dの0.005を希釈)
c, 0, 0.01, 0.001(0.01を希釈)
倉知 聞多b
古根川 直人
小林 未奈 c, 0, 0.01, 0.001(0.01を希釈)
d, 0, 0.005, 0.002(aの0.05を希釈;bの0.02を希釈)
e 0, 0.05, 0.0001(gの0.001を希釈)
c齋藤 安希
坂井 淳d
坂野 真智子 e 0, 0.05, 0.0001(gの0.001を希釈)f 0, 0.02, 0.0005(hの0.005を希釈)g 0, 0.01, 0.003( iの0.03を希釈)
坂野 真智子
迫 勇樹e
三箇 啓介
h 0, 0.005, 0.002(eの0.05を希釈;fの0.02を希釈)i 0, 0.03, 0.001(gの0.01を希釈)
島田 和樹f
清水 遥絵
白崎 範子g
赤字(下線)はSDSを秤量して溶液を調製.他は1/10に希釈して調製
g鈴木 智也
瀬古 雄亮h
相馬 彩希
4040
他は1/10に希釈して調製.希高木 健
i高柴 則子
41表面張力実験例
表面張力実験データ解析例
CMC
RTΓc
2dlnd
傾き
CMC
c Tdln
この直線は実験データ点をExcelの直線近似から求めたy=ax+bを用いないで下さい.理論的には傾きゼロの水平線であるべきです.したがっ
42
ないで下さい.理論的には傾きゼロの水平線である きです.したがって,CMC以上の濃度でのγの平均値の値を持つ水平線y=γ(平均値)を用いて下さい.
市販SDSの表面張力測定の一例
臨界ミセル濃度
CMC
4343山下技研(徳島)のホームページ参照 http://www.tcn.ne.jp/~yamashita/
SDSに不純物が混じっていSDSに不純物が混じっていると,cmc付近で表面張力が異常に低下するが異常に低下する.
精製したSDSでは,cmc付近での表面張力の異常が近での表面張力の異常が
見られない.
4545http://www.tcn.ne.jp/~yamashita/
試薬メ カ のSDSで試薬メーカーのSDSでは,cmc付近での表面張力の異常はほとんど
見られない.
4646http://www.tcn.ne.jp/~yamashita/
物理化学実験④表面張力のレポートについての補足説明
結果の整理0 05
0.06
0.07
0.08
1.表面張力γを計算して濃度 c または ln c に対してプロットする.
3.cmc以下の濃度における表面過剰濃度 を求める.0.02
0.03
0.04
0.05
-10 -8 -6 -4 -2 0
γ-lncプロットを作成するとき,表面張力γの単位はN/m,濃度cの単位はモル濃度mol/litter(=mol・dm-3)にして下さい.dmはデシメートル,つまり10cmです.
cmc以下の濃度でγ-lncプロットの傾きdγ/dlncを求めるとき,希薄な濃度のデータが右図のようにcmcに近い濃度のデータから外れるときは,傾きを求めるデータから除外して右図のように直線を引いて下さい.線を引 下さ
表面張力γの単位をN/m,気体定数Rの単位をJK-1mol-1(=NmK-1mol-1),温度の単位をKとすれば,表面過剰濃度の単位はmol・m-2になります.
1 N
dlncはdc/cに等しいので,無次元(単位を持たない単なる数値)であり濃度の単位を考慮する必
2111
lnd
mmol
KmolNmKNm
cRT
要はありません.表面過剰濃度の逆数の単位はm2mol-1,つまり1モルあたりの分子面積です.メチレン鎖の分子断面積20Å2/moleculeと比較するためには, をアボガドロ数Nで割ってやらなければいけません. 50~80Å2/moleculeの値になれば良いのですが,1桁以上違う場合
4747
は実験あるいは計算のどちらかが間違っている可能性があります.
疎水基 親水基
界面活性剤分子
疎水基 親水基
0
面張
力
d
傾き
表面 RTΓ
c T2
dlnd
l界面活性剤濃度表面張力を濃度に対してプロットすると上図のようになる. cmc濃度以下
lnc
表面張力を濃度 対 ッ する 図 う なる 濃度以
の濃度で,ほぼ直線になる領域での傾きを求めることによって,表面過剰
濃度を計算することができる(濃度がcmcよりずっと薄くなると徐々に傾き
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濃度を計算することができる(濃度がcmcよりずっと薄くなると徐々に傾きが小さくなりゼロに近づくので,除外する).
実験レポートについて
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改訂履歴
2009ver1
ver1 1 9月29日 実験レポ ト 「結果の整理」の第1項の「SDSの質ver1.1 9月29日 実験レポート,「結果の整理」の第1項の「SDSの質量など,実際の滴下数,滴数の補正のしかたを詳細に記録してレポートに記載する.」 この部分を強調した.トに記載する.」 の部分を強調した.
2010ver1
ドゥジェンヌの「表面張力の物理学」付録CD「動く界面」からビデオファイルをハイパーリンクした.
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