Stack Tit lpfga.co.jp/media/images/golfmechanic20120804.pdfStack &Tit l...

9
今、世界のトッププレーヤーがその理論を基にスイング改造に取り組むなど、 世界中で話題騒然となっているスイング理論があります。「スタック&ティルト 」です。 米国のゴルフインストラクターのアンディ・プラマーとマイク・ベネットが レジェンドプレーヤー(往年の名プレーヤー)のスイングを徹底的に解析し、 彼らに共通するメリットのみを抽出して構築した画期的なスイング理論です。 この理論、何が凄いかというと、従来は“相反するもの”と言われてきた “方向性 ”と“飛距離 ”を同時に実現したことです。 従来のゴルフ理論とは、どこがどう違うのか? 今回は、「スタック&ティルト 」を身に付けるために 知っておきたい重要ポイントをお教えします。 きっとあなたも、「スタック&ティルト 」の虜となることでしょう。 取材・構成・文/土屋光男 撮影/渡辺義孝 取材協力/鳴沢ゴルフ倶楽部(山梨県) 小暮博則は、アンディ・ プラマーとマイク・ベネッ トが 米国で主宰する「ス タック&ティルト 」のス クールに入門。日本人 初の「スタック&ティルト ネットワークインストラ クター」となった〈 写真 は、認定証を手にする 小暮博則を囲むアンデ ィ・プラマー(左)とマイ ク・ベネット(右)〉。 Stack & Tilt is a registered trademark of AM Golf Associates, LLC http://stackandtiltgolfswing.com/ Stack &T ilt こぐれ・ひろのり——19721127 日生まれ。 身長184 ㎝、体重79 ㎏。JGTOツアープロ。 PGAティーチングプロ。埼玉県出身。明治大 卒。現在、PFGA(パーフェクトゴルフアカデミ ー)のゴルフスクールを主宰し、赤坂(東京都) と小手指(埼玉県)でスクールを展開する。 日本人初 スタック ティルト ネットワークインストラクター 全貌 アンディ・プラマーと マイク・ベネットが レジェンドプレーヤー (往年の名プレーヤー)の スイングを徹底的に 解析して生まれた 画期的なスイング理論 & 9 8

Transcript of Stack Tit lpfga.co.jp/media/images/golfmechanic20120804.pdfStack &Tit l...

Page 1: Stack Tit lpfga.co.jp/media/images/golfmechanic20120804.pdfStack &Tit l 「スタック&ティルト題となっている。く、今世界のゴルフ界でホットな話スイングだと紹介されることも多

今、世界のトッププレーヤーがその理論を基にスイング改造に取り組むなど、世界中で話題騒然となっているスイング理論があります。「スタック&ティルトⓇ」です。

米国のゴルフインストラクターのアンディ・プラマーとマイク・ベネットがレジェンドプレーヤー(往年の名プレーヤー)のスイングを徹底的に解析し、彼らに共通するメリットのみを抽出して構築した画期的なスイング理論です。この理論、何が凄いかというと、従来は“相反するもの”と言われてきた

“方向性”と“飛距離”を同時に実現したことです。従来のゴルフ理論とは、どこがどう違うのか?

今回は、「スタック&ティルトⓇ」を身に付けるために知っておきたい重要ポイントをお教えします。

きっとあなたも、「スタック&ティルトⓇ」の虜となることでしょう。取材・構成・文/土屋光男 撮影/渡辺義孝 取材協力/鳴沢ゴルフ倶楽部(山梨県)

小暮博則は、アンディ・プラマーとマイク・ベネットが米国で主宰する「スタック&ティルトⓇ」のスクールに入門。日本人初の「スタック&ティルトⓇネットワークインストラクター」となった〈写真は、認定証を手にする小暮博則を囲むアンディ・プラマー(左)とマイク・ベネット(右)〉。

Stack & TiltⓇ is a registered trademark of AM Golf Associates, LLChttp://stackandtiltgolfswing.com/

Stack&Tilt

米国で生まれ

世界の

トッププレーヤーが

実践する注目の

新スイング理論

こぐれ・ひろのり——1972年11月27日生まれ。身長184 ㎝、体重79 ㎏。JGTOツアープロ。PGAティーチングプロ。埼玉県出身。明治大卒。現在、PFGA(パーフェクトゴルフアカデミー)のゴルフスクールを主宰し、赤坂(東京都)と小手指(埼玉県)でスクールを展開する。

日本人初スタック&ティルトⓇネットワークインストラクター

全貌

アンディ・プラマーとマイク・ベネットがレジェンドプレーヤー

(往年の名プレーヤー)のスイングを徹底的に解析して生まれた

画期的なスイング理論

& Ⓡ

89

9 8

Page 2: Stack Tit lpfga.co.jp/media/images/golfmechanic20120804.pdfStack &Tit l 「スタック&ティルト題となっている。く、今世界のゴルフ界でホットな話スイングだと紹介されることも多

Stack&Tilt

スイングだと紹介されることも多

く、今世界のゴルフ界でホットな話

題となっている。

「スタック&ティルトⓇ」は、日本の一

部ゴルフ雑誌で「左1軸スイング」

などと紹介され、「体重移動をし

すぎるタイプには向いている」とか

「方向性は良くなるが飛距離が

ダウンする」と言われています。し

かしこれは正しくありません。確

かに方向性は良くなりますが、飛

距離はけしてダウンしません。む

しろ飛ぶようになります。

 

そこで本誌では今回、皆さんに

“本当に正しい「スタック&ティルト

Ⓡ」”理論を紹介させていただきた

いと思います。

「スタック&ティルトⓇ」とは、どの

ような意味でしょうか?

「スタック」(Stack)とは、「積

み重ねる」という意味です。正面か

ら見て、①ボール、②腰の中心、③

肩のラインの中心、④頭が、アドレ

ス時に一直線に並ぶように積み重

ねるように構えることから、「ス

タック」と言うネーミングがつきま

した。 一方「ティルト」は、「傾ける」

という意味です。バックスイング時

にカラダを左に傾け、ダウンスイン

グからフォロースルーにかけてカラ

ダを右に傾けることから、「ティル

ト」とネーミングされました。

「スタック&ティルトⓇ」を実践す

ることで、3つの重要な目的が達

成されます。それは①ローポイン

ト(最下点)、②マキシマムスピード

(飛距離)、③ディレクション(方向

性)の3つです。「マキシマムスピー

ド」と「ディレクション」は、文字通

り飛距離が伸びて方向性が良く

なるということです。もうひとつの

「ローポイント」とは、(インパクト

前後に)クラブヘッドを低い位置でコ

ントロールすることです。スイング

の最下点をボールより先に持って

きて、長いインパクトゾーンを実現

します。これによりスイングの再

現性が高まり、ミート率が向上し

ます。

 

そしてこの3つの目的を達成す

るために、5つのキーワードが「スタ

ック&ティルト」においてとても重

要なポイントとなります。それは、

①ウェイト・フォワード、②ショルダ

ー・ダウン、③ハンズ・イン、④アーム

ズ・ストレート、⑤タック・バットです。

この5つのキーワードに、「スタッ

ク&ティルトⓇ」で“方向性”と“飛距

離”が共に向上する秘密が隠され

ています。

 スタック&ティルトⓇ(

Stack

&TiltⓇ)は、世界のトッププレ

ーヤーが実践している今注目のゴ

ルフ理論です。過去のレジェンドプ

レーヤー(往年の名プレーヤー)のス

イングを徹底的に解析し、そこか

ら共通する動きを抽出し、ひとつ

の理論として構築しました。

 

構築したのは、米国のゴルフイン

ストラクターのアンディ・プラマーと

マイク・ベネット。近年﹃スタック&テ

ィルトⓇ﹄を取り入れているプロゴル

ファーは多く、なかでもチャーリー・

ウィーはマイク・ベネットとアンデイ・

プラマーの愛弟子として有名だ。

 

さらに、厳密に言うと﹃スタック

&ティルトⓇ﹄ではないものの、、シ

ョーンフォーリーにコーチングされて

いるタイガー・ウッズ(今季2勝)、ハ

ンター・メイハン(同2勝)、ジャステ

ィン・ローズ(同1勝)などは、米国マ

スコミでは﹃スタック&ティルトⓇ﹄の

トッププレーヤーが

この理論を取り入れている

積み重ねるように

構えるから「スタック」

カラダを傾けるから「ティルト」

ローポイント

マキシマムスピード

ディレクションを実現

レジェンドプレーヤーの

スイングを徹底的に解析して

構築した新理論

とは?&

バックスイング時にカラダを左に傾ける。そしてダウンスイングからフォロースルーにかけて、カラダを右に傾ける。この傾ける(Tilt)動作が、「ティルト」のネーミングの由来だ。

「スタック&ティルトⓇ」のアドレスは、正面から見て①ボール、 ②腰の中心、 ③肩のラインの中心、④頭、の4ヵ所が一直線に並ぶ。この4ヵ所を積み重ねる(Stack)ように一直線に並べることが、「スタック」のネーミングの由来だ。

❶ ローポイント(最下点)❷ マキシマムスピード(飛距離)❸ ディレクション(方向性)

重要な3つの目的

❶ ウェイト・フォワード❷ ショルダー・ダウン❸ ハンズ・イン❹ アームズ・ストレート❺ タック・バット

身に付けるための5つの重要キーワード

1011

1011

Page 3: Stack Tit lpfga.co.jp/media/images/golfmechanic20120804.pdfStack &Tit l 「スタック&ティルト題となっている。く、今世界のゴルフ界でホットな話スイングだと紹介されることも多

Stack&Tilt

従来のスイング

バックスイングで右に体重を移動させ

そこから体重を左に移動させる

1213

「スタック&ティルトⓇ」の体重移動は、「左足体重で構え、そこから右足に体重を乗せていかず、左足のみに荷重していく」という考えである。

前傾姿勢を気にせずに積極的にヒザを伸ばしてスイングする。バックスイングでは右ヒザを伸ばし、ダウンスイングからフォロースルーで左ヒザを伸ばす。

従来のスイングでは“前傾姿勢キープ”を強く

意識する。そのため、フォロースルーまでヒザの

角度をキープしてスイングしている。しかしこ

れではスイングが窮屈になる。

従来の日本のスイング理論では、体重移動は“バックスイングで右足に体重を乗せ、ダウンスイングからフォロースルーにかけて右足に乗せた体重を左足に乗せていく”というものであった。

 「スタック&ティルトⓇ」の体重移

動は、従来から日本で正しいとさ

れているスイング理論(以下、従来

の理論)の体重移動と、大きく異

なります。

 

日本で正しいと言われている考

え方は、「バックスイングで右足に

体重を乗せ、ダウンスイングからフ

ォロースルーにかけて、右足に乗せ

た体重を左足に乗せて

いく」というものです。

 

しかし、「スタック&

ティルトⓇ」はそうでは

ありません。すでにア

ドレス時に、左足体重で

構えます。そしてそこ

から右足に体重を移動

させず、左足へと体重

を乗せていきます。

 

具体的には上の写

真のように、①アドレス

(左足55対右足45)↓

②トップオブスイング(左

足60対右足40)↓③ハー

フウエーダウン(左足80

 

従来の理論は、「前傾姿勢をキ

ープしろ」と教えています。体重

移動を積極的に行うため、前傾姿

勢をキープしないとインパクトで元

(アドレス)の位置に正しく戻れず、

打点が安定しないからです。バック

スイングで右ヒザの角度をキープ

し、ダウンスイングからフォロースル

ーにかけて左ヒザの角度をキープ

し前傾姿勢が変わらないようにし

ます。しかしこれでは、スイングが

対右足20)↓④フォロースルー(左足

95対右足5)といった具合に、左足

体重の状態から、より左足へと体

重を乗せていきます。これが「スタ

ック&ティルトⓇ」の体重移動です。

 

凄く変則的な体重移動と思わ

れる方も多いと思いますが、この

「左からさらに左に乗せていく体

重移動」のほうが再現性の高いス

イングが可能となります。また、

飛距離もアップします。

 

何故か? 

18~25ページで説明

する5つのキーワードが分かると、

その理由が分かります。

窮屈になります。カラダが十分回

らず、飛びません。

「スタック&ティルトⓇ」は、前傾姿

勢を気にしません。具体的には、バ

ックスイングで右ヒザ(脚)を伸ばし

カラダを左に傾けます。ダウンスイ

ングからフォロースルーにかけては

左ヒザ(脚)を伸ばし、カラダを右に

傾けます。右ヒザを伸ばすと同時

にカラダを伸展させながら左に傾

けます。ダウンスイングからフォロ

ースルーにかけては腰を左にスライ

ドさせてからインパクト以降左ヒザ

を伸ばし、カラダを右に傾けます。

そうすると結果的にカラダは伸び

上がらず前傾姿勢は起き上がらな

いのですが、これはあくまでも結

果としての形。意識としては、前

傾姿勢を気にせず積極的にヒザを

伸ばします。

 このように前傾姿勢を気にしな

いと動きがスムーズになり、カラダ

をしっかり回せます。これが飛ば

しにつながります。

スタック&ティルトⓇの5つのキーワードを説明する前に、スタック&ティルトⓇの特徴的な動作を2点、知っておいてください。それは、「左足のみに乗せていく体重移動」と「前傾姿勢を気にしないスイング」です。ココが違う!と従来のスイング は&

&

体重移動の方法が大きく異なる

アドレス

45 40 30 2055 60 70 80

インパクト

トップオブスイング

フォロースルー

フィニッシュ

切り返し直後

(腕が地面と平行に

なる位置)

(両腕が地面と平行

になる位置)

■スイング時の左右の体重配分の推移■スタック&ティルトⓇ

ハーフウエーダウン

10 590 95

■従来のスイング

左足体重から左に体重を乗せていく

「左↓左↓左」の体重移動

従来のスイング

前傾姿勢を変えない。

そのためには、ヒザの角度をキープする

&

前傾姿勢を気にしない

前傾姿勢をキープせず、ヒザを積極的に

伸ばしてカラダをしっかり回す

1213

12

Page 4: Stack Tit lpfga.co.jp/media/images/golfmechanic20120804.pdfStack &Tit l 「スタック&ティルト題となっている。く、今世界のゴルフ界でホットな話スイングだと紹介されることも多

Stack&Tilt15

連続写真で見るスタック&ティルトⓇは、従来日本で正しいとされているスイング理論と異なります。そこで、スタック&ティルトⓇの特徴的な部分を連続写真で見ていきましょう。一連の流れで見ると、特徴的なポイントがひと目で理解できます。ひと目で分かるスタック&ティルトⓇ

正面

飛球後方

左足体重(左55対右45)

カラダの左サイドを左に傾ける

スイングの最下点はボールの先

カラダの右サイドを右に傾ける

カラダの左サイドを伸ばす

左ヒザを伸ばす

ボール、腰の中心、肩のラインの中心、頭を、一直線上に積み重ねる

アドレス

体重を左足に荷重していくため、インパクトでは左足90対右足10の体重配分

インパクト腕が地面と平行になる地点まで、両腕を伸ばす「アームズ・ストレート」の形

フォロー尻を目標方向に押し込む「タック・バット」の形。そして左脚をまっすぐ伸ばす

フィニッシュ

左腕と右脚をまっすぐ伸ばし、左肩を下げる「ショルダー・ダウン」の形

トップ

手を内側に入れていく「ハンズ・イン」の動きを行う

ハーフウエーバック

両腕を伸ばしていく。また左足を踏み込んで、 左ヒザを伸ばしていく

ハーフウエーダウン

1415

14

Page 5: Stack Tit lpfga.co.jp/media/images/golfmechanic20120804.pdfStack &Tit l 「スタック&ティルト題となっている。く、今世界のゴルフ界でホットな話スイングだと紹介されることも多

Stack&Tilt16

 

従来のスイングは、“アドレスで

左右均等もしくは若干右足体重

で構え、そこからバックスイングで

体重を右足にしっかり乗せ、ダウン

スイングからフィニッシュにかけては

右足に乗せた体重をいっきに左足

に乗せていく”というスイングでし

た。

 

しかしこのスイングは、“頭が左

右に大きく動いてしまう”という

弊害が生じます。右足に体重を乗

せていこうとすると、その動きに

つられて頭が右にスライドします。

ダウンスイングからフォロースルーに

かけて左足に体重を乗せていこう

とすると、その動きにつられて頭

は左へスライドします。このように

頭が左右に動くと、回転軸も左右

に動きます。これではカラダとク

ラブが極めて複雑に動くため、再

現性の悪いスイングとなります。

体重を左右に

移動するスイングは

頭が動き軸がズレる

「ウェイト・フォワード」とは、体重

を前(飛球方向)にかけていく(乗せ

る)ことです。前述したようにやや

左足体重(左足55対右足45)で構

え、そこからさらに左足に荷重し

ていきます。これにより、ミート率

が上がります。

 

ミート率が上がる理由は、2つ

あります。ひとつは重心移動を抑

えたスイングのため頭が左右にス

ライドしません。回転軸も左右に

ズレず、1ヵ所にとどまります。軸

が動かないので、再現性の高いスイ

ングが可能になる

のです。もうひとつ

は、体重を前にかけ

ていくことでローポ

イント(スイングの最

下点)がボールの先

になります。これに

よりインパクトがゾ

ーンになり、ミート

率がアップします。

スイングの最下点が

ボールの先になり

インパクトがゾーンになる

頭がその場にとどまるため

回転軸が動かず

再現性が向上する

「スタック&ティルトⓇ」を実現するための5つのキーワード(①ウェイト・フォワード、②ショルダー・ダウン、③ハンズ・イン、④アームズ・ストレート、⑤タック・バット)を、ひとつずつ説明していきます。

【意味】 体重を前にかけていく Weight Forward

key word 1キーワード1

従来のスイングは、左右均等の体重配分もしくはやや右足体重の構えからスイングをスタートする。このアド㆑スは、ボール、腰の中心、 肩のラインの中心、頭が一直線上に納まらない。また左右に大きく体重移動するため、軸が左右にズ㆑る。

従来のスイングは軸がズ㆑るスイングのためインパクトでボールの手前にヘッドが着地する、ダフりやすいスイングになる。

軸がズ㆑ずかつローポイントがボールの先にくるため、ヘッドがボールの手前に着地することなく正確にボールをとらえられる。ダフらないスイングになる。

体重を右足に移さず、トップオブスイングより左足に体重を乗せ、そこからフィニッシュにかけてさらに左足へと体重を乗せていく。そうすると頭が左右に動かず、軸もズ㆑ない。これが、再現性の高いスイングが可能となる理由だ。

17

左足体重で構え、スイング中に右足に荷重せず、左足のみに荷重していく。バックスイングで右足に体重を乗せていかないため、トップでは左足60対右足40の左足体重になる。この状態からさらに左足に荷重していくことで、「ウェイト・フォワード」が完成する。

point

右足:左足45:55(アドレス)40:60(トップオブスイング)30:70(切り返し直後)20:80(ハーフウエーダウン)

左右の体重の荷重推移

6040 Ⓡ

1617

Page 6: Stack Tit lpfga.co.jp/media/images/golfmechanic20120804.pdfStack &Tit l 「スタック&ティルト題となっている。く、今世界のゴルフ界でホットな話スイングだと紹介されることも多

Stack&Tilt18

 

従来のスイングは、前傾姿勢のキ

ープをうたっています。肩のライン

を若干右肩下がりに構えて、その

状態から上体を回して右足に体

重を乗せるのですが、その際に前

傾姿勢をキープするためには、肩

をできるだけ水平に回します。し

かし肩を水平に回すと、スイング

軌道が歪みます。頭と上体が左右

に動き、スイング軌道は“真円”で

はなく“楕円”になります。

 

楕円のスイング軌道はエネルギー

効率が悪く、飛距離がダウンしま

す。また(楕円のスイング軌道は)、

“ダウンスイングでヘッドがインサイ

ドから振り下ろされた後にストレ

ートに動いてボールをとらえ、イン

パクト後は再びインサイドに振ら

れる”という複雑な動きをします。

スイング軌道が複雑に動けば、再

現性は当然悪くなります。

肩を水平に回すと

頭が左右に動くため

スイング軌道が楕円になる

「ショルダー・ダウン」とは、バックス

イングで肩を下げることです。こ

こで言う肩とは、左肩のことを言

います。

具体的には、バックスイングで左

肩をボールに向ける意識を持って

上体を回転させていきます。そう

すると、トップオブスイングで左肩

は下がった状態になります。この

ように回すことで、クラブはイン

サイドに引かれ「キーワード3」で

説明する「ハンズ・イン」が実現しま

す。また体重は右に移らず左に残

るため、上体が右にズレません。頭

は右に動かずその場にとどまり

ます。その結果、軸が動くことな

く軸回転できます。軸が動かない

わけですから、スイング軌道は楕

円ではなく、限りなく“真円”

に近い形になります。楕円より

も真円のほうがエネルギー効率

が良いため、強い力でボールを

叩けます。また真円のスイング

軌道のほうが楕円よりも動き

がシンプルになり、再現性も良

くなります。

 

以上の理由で、方向性と飛

距離共に向上します。

ボールに向ける意識で

上体を回転させる

スイング軌道が

真円になるため

ボールを強く叩ける

【意味】 トップオブスイングで左肩を下げる Shoulder Down

key word 2キーワード2

従来のスイングは、“前傾姿勢をキープするために肩を水平に回す”と教えている。

左右均等の体重配分で構え、そこから肩を水平に回して体重を右足に乗せていくと、頭と軸が右に動く。

「スタック&ティルトⓇ」のトップを正

面からとらえた写真。頭と軸が動

いていないのが分かる。

左足体重で構え、そこから肩のラインが左下がりになるように肩を回していくのが「スタック&ティルトⓇ」の“ショルダー・ダウン”の動きだ。

肩を水平に回さず、バックスイングで左肩をボールに向ける意識でカラダを回す。そうすると、トップオブスイングで、左肩は下がった状態になる。肩の中央部を中心にカラダ(上体)を回せるため、頭と軸がズレない。

point

左肩を下げることで頭が右に動かない。そうすれば、軸も右に動かない。

スイング中に頭と軸が左右に動くということは、スイング軌道がヨコに広がるということ。その結果、スイング軌道が楕円になる。

軸を左右にズラさずカラダ(上体)を回せれば、スイング軌道はヨコに広がらず真円に近い形になる。これにより、ボールを強く叩ける。

19

1819

18

Page 7: Stack Tit lpfga.co.jp/media/images/golfmechanic20120804.pdfStack &Tit l 「スタック&ティルト題となっている。く、今世界のゴルフ界でホットな話スイングだと紹介されることも多

Stack&Tilt20

「ハンズ・イン」は、テークバック時に

手(グリップ)を内側に入れていくこ

とです。具体的には、手の位置に

飛球線(ターゲットライン)と平行な

線を引き、そのラインに対して手

を約40度内側に入れていきます。

つまり、飛球線よりも40度内側に

ヘッドを引いていきます。

 

従来のスイング理論は、「テーク

バック開始30㎝は、ヘッドをまっすぐ

引く」と言われています。しかし

ヘッドをまっすぐ引くと、手(グリ

ップ)は内側に40度入っていきませ

ん。それよりももっと外側(アウト

サイド)に引かれます。

テークバック開始30センチで

ヘッドを

まっすぐ引いてはいけない

「ハンズ・イン」を上手く行うため

には、左上腕部を胸に押し付ける

ようにして内側にプレッシャーをか

けてテークバックしていきます。そ

うすれば、手は理想的な角度(約

40度)で内側に入っていきます。

「ハンズ・イン」のメリットは、スイン

グ時のエネルギー効率が良くなり

飛距離がアップすることです。サッ

カーでボールを蹴る動作をイメージ

していただくと、その理由がよく

分かります。サッカーボールを蹴る

ときには、足をまっすぐ引いてまっ

すぐ振り下ろすよ

りも、(足を内側に

引いて)内側から振

り下ろしてボールを

巻き込むようにと

らえるほうが強い力

で蹴れます。ゴルフ

スイングもこれと同

じです。手をまっす

ぐ引いた位置(アップ

ライトな位置)から

振り下ろすよりも、

内側に引いて内側か

ら振り下ろしていっ

たほうが、より強い

力でボールを叩けま

す。

サッカーボールを蹴るとき

内側から巻き込むように

足を振り下ろしたほうが

強く蹴れる

内側から振り下ろした

ほうが、強い力で

ボールを叩ける

【意味】 手を内側に入れていく Hands in

key word 3キーワード3

テークバック時にヘッドを真っすぐ引いていくと、クラブはアウトサイドに上がりアップライトなトップオブスイングになる。アップライトなトップから振り下ろしたのでは、強い力でボールを叩けない。

従来のスイング理論では、「テークバック開始30 ㎝はヘッドを真っすぐ引いていく」のが正しい形とされている。

テークバック時に左上腕部にも意識

を置く。左上腕で胸にプレッシャー

をかけてクラブを上げていく。

テークバック時に左上腕で胸にプレッシャーをかけ、手とクラブを内側に引いていく。これがハンズ・イン。右ページの写真(従来のスイング)と比べるとかなり内側に引かれる。

point

ハンズ・インが正しくできると、テークバックでヘッドは真っすぐ引かれず40度内側に引かれていく。

サッカーボールを蹴るとき、足をまっすぐ引いてまっすぐ振り下ろすよりも、内側に引いて内側から振り下ろすほうが、強い力でボールを蹴れる。ゴルフスイングもこれと同じだ。

21

飛球線

40°

飛球線

2021

Page 8: Stack Tit lpfga.co.jp/media/images/golfmechanic20120804.pdfStack &Tit l 「スタック&ティルト題となっている。く、今世界のゴルフ界でホットな話スイングだと紹介されることも多

Stack&Tilt22

 

従来のスイング理論は、“腕を

無理に伸ばせ”とは教えません。無

理に伸ばそうとするとカラダが伸

び上がるなどの弊害が生じるた

め、“自然体で使え”と教えるレッ

スンが多く見受けられます。その

ため、トップオブスイングで左腕が

曲がった状態の方を多く見かけま

す。しかし腕が曲がるということ

は、スイング中に腕が伸び縮みす

るということ。これでは曲げた腕

をインパクトで再び伸ばさなけれ

ばならず、再現性が極めて悪くな

ります。

 

またインパクトで左ヒジを曲げて

(引けて)しまう方を多く見かけ

ますが、腕を伸ばす意識を持たず

にスイングすると、この症状が表

れます。

 

さらに腕が伸び縮みすると、ダ

腕が曲がると

曲がった腕を

伸ばさなければならず

再現性が悪くなる

「アームズ・ストレート」とは、スイン

グ中に両腕をまっすぐ伸ばすこと

です。これにより、2つのメリット

が生まれます。

 ひとつは、(腕を伸ばすことで)

ヘッドがカラダからより遠くに振ら

れ、スイングアークが大きくなりま

す。スイングアークは大きければ大

きいほど遠心力が大きくなり、ヘッ

ドスピードがアップします。

 

もうひとつのメリットは、腕の長

さを一定に保てることです。伸ば

すことで長さが変わらなくなり、

一定に保てます。その結果インパク

トで元の状態(アドレスの状態)に

振り下ろすことができ、インパクト

の再現性が高くなります。これに

より方向性が向上します。

 

ただし腕をまっすぐ伸ばすとい

っても、スイング中両腕をずっと伸

ばし続けるわけではありません。

トップオブスイングでは左腕を真っ

すぐ伸ばしますが、右腕は曲がり

ます。さらにフォロースルーでは両

腕を伸ばして振り抜いた後、フィニ

ッシュにかけて「左腕↓右腕」の順

番で両腕は曲がっていきます。

ヘッドをより遠い位置に

振ることができ

スイングアークが大きくなる

【意味】 両腕を伸ばす Arms Straight

key word 4キーワード4

トップで腕(左腕)が曲がると、ダウンスイングからインパクトにかけて左腕を伸ばさなければならない。「曲げた腕を伸ばす」という動作が加わるため再現性が落ちる。

左腕が真っすぐ伸びたトップオブスイング。従来のスイングのトップオブスイング(右ページの写真Ⓐ)と比べると、その違いは明らか。左腕を伸ばすことでクラブがカラダからより遠くに振り上げられ、スイングアークが大きくなる。また、左腕を伸ばした状態から振り下ろすことで腕の長さを一定に保て、インパクトで正しくボールをとらえられる。

point

フォロースルーで左腕を伸ばす意識を持たないと、スイングが小さくなる。これも、飛ばない原因のひとつだ。

ウンスイング時に(オンプレーンな軌

道よりも)アウトサイドからヘッドが

下りやすくなります。カット軌道

でボールをとらえるため、飛距離

がダウンします。

ダウンスイングで左腕を伸ばすタイミングが早いとダフる。そうするとそれを嫌い左ヒジを伸ばさず少し曲げてインパクトを合わせてしまう。これではスイングにブ㆑ーキがかかり飛ばない。

腕の長さを一定に保て

インパクトの再現性が

向上する

フォロースルーは、腕が地面と平行

になる位置まで両腕を伸ばし続け

る。そこから「左ヒジ↓右ヒジ」の

順番で腕を曲げていく。

ダウンスイングで両腕を伸ばしてい

く。左腕を伸ばした状態から振り

下ろすことで、腕の長さを一定に保

て再現性の高いインパクトを実現で

きる。

23

2223

Page 9: Stack Tit lpfga.co.jp/media/images/golfmechanic20120804.pdfStack &Tit l 「スタック&ティルト題となっている。く、今世界のゴルフ界でホットな話スイングだと紹介されることも多

Stack&Tilt2425

「タック・バット」とは、直訳すると

“お尻を押し込む”ことです。具体

的にはダウンスイングからフィニッシ

ュにかけて、お尻を上半身の下に

押し込むようにスイングします。

イメージとしては、腰(お尻)を目標

方向に突き出す意識を持ちます。

「タック・バット」を行うためには、バ

ックスイングで右脚を伸ばし、ダウ

ンスイングからフォロースルーにかけ

て左脚を伸ばす動作がポイントと

なります。従来の理論は、スイング

中にヒザの高さをできるだけキー

プしましたが、これでは「タック・バ

ット」の動きは生まれません。

 

切り返しで腰を目標方向にスラ

イドさせ、同時に左脚で地面を蹴

るようにして左脚を伸ばしながら

お尻を下半身の下に押し込んでい

きます。

ダウンからフォローで

左足を伸ばしていくと

尻を目標方向に押し込める

「タック・バット」で、2つの効果が

得られます。ひとつは、弾道が高

くなります。左脚を伸ばしてお尻

を押し込むことで、フォロースルー

でヘッドを高く振り抜けます。ヘッ

ドがアッパーに振り抜かれるわけで

すから、ボールを高く上げられ飛

距離が出ます。従来のヒザの高さ

をキープするスイングでは高く振

り抜けず、低弾道になります。

 

ふたつめの効果は、カラダの回転

スピードが上がり、ヘッドスピードが

上がります。“ジャンプする”行為

をイメージしてください。ヒザを伸

縮させずに曲げたままジャンプし

ても、地面を強く踏み込めないた

め高くジャンプできません。スイン

グもこれと同じです。ダウンスイン

グで左ヒザを伸ばしていくことで

地面を強く踏み込め、この動作が

カラダの回転を助け、回転スピード

がアップします。

左脚を伸ばすと

地面を強く踏み込め

回転スピードが上がる

【意味】 お尻を押し込む Tuck Buut

key word 5キーワード5

ダウンスイングからフォロースルーにかけて腰を左にスライドさせ左脚(ヒザ)を伸ばしていく。この動きで、尻を目標方向に強く押し込める。

タック・バットとは、ダウンスイングからフィニッシュにかけて、尻を前(目標方向)に押し込む動作。下の写真を見ると、尻が目標方向に押し込まれているのが分かる。左足を踏み込み、尻を目標方向に押し込むことで、ヘッドを高く振り上げられるとともに、カラダの回転スピードがアップする。

point

ヘッドを高く

振り抜け、球を高く

上げられる

バックスイングで右ヒザを伸ばさないと、「タック・バット」を正しく行えない。

尻は飛球方向に押し込むだけでなく、飛球後方から見てボール側にも押し込まれる。

スイング中ヒザの高さをキープするのが従来のスイング。このスイングではヒザの伸縮のパワーを使えない。

左ヒザを伸ばさずにキープして振り抜くと、ヘッドを高く振り上げられない。ボールも高く上がらない。

2425