ROSEリポジトリいばらき (茨城大学学術情報リポジトリ) ·...

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お問合せ先 茨城大学学術企画部学術情報課(図書館) 情報支援係 http://www.lib.ibaraki.ac.jp/toiawase/toiawase.html ROSEリポジトリいばらき (茨城大学学術情報リポジトリ) Title メタノール機関に関する実験的研究 : 第7報 排気再循還の 効果 Author(s) 澤, 則弘 Citation 茨城大学工学部研究集報(32): 9-23 Issue Date 1984-09-01 URL http://hdl.handle.net/10109/7207 Rights このリポジトリに収録されているコンテンツの著作権は、それぞれの著作権者に帰属 します。引用、転載、複製等される場合は、著作権法を遵守してください。

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お問合せ先

茨城大学学術企画部学術情報課(図書館)  情報支援係

http://www.lib.ibaraki.ac.jp/toiawase/toiawase.html

ROSEリポジトリいばらき (茨城大学学術情報リポジトリ)

Title メタノール機関に関する実験的研究 : 第7報 排気再循還の効果

Author(s) 澤, 則弘

Citation 茨城大学工学部研究集報(32): 9-23

Issue Date 1984-09-01

URL http://hdl.handle.net/10109/7207

Rights

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メタノール機関に関する実験的研究

     (第7報 排気再循還の効:果)

澤 則弘*

(昭和59年9月稲受理)

An Experimental Study o” a Methanol Fueled EngiHe

 (7th Report Effect of Exhaust Gas Recirculation)

            NORIHIRO SAWA

  Ahstractr To examine xhe effects of EGR on rhe exhaust emissions and on the cycle-by-cycle variation of

・・mb・・宅三・瞬・ces曲・…宅h…臨d・d・ψ・, th…th・・h・v・℃・i・d宅・m・・・…魚e emissi・…ft◎励yd・・一

cabo嬬caめ。鴛mo識oxide,醸ric oxide a簸d forma工dehyde and to record the cylkider pressure dcvclopme凱

histories of IOOO cycle duyation. Moreover, ehe standard deviatign of peak press“re Pmax, the temporal effec-

tive heat release afid the average pressure hisrory of 1000 measurements are analyzed.

This paper treats of che experimeneal results above mentioned.

 璽。まえがき

 メタノール(Cff30H)は含酸素燃料のため可燃範囲

囲が広く 希薄混含気還転が可能なので排気対策の面で    ,は有利となり オクタン価が高いので高圧縮比運転がで      ,きる。またサイクル論的にもガソリン機関よりも高い

熱効率が得られる。排気ガス申でもっとも低減が困難な

窒素酸化物(NOx)は含水メタノールを燃料とし,点火嘲を遅らせると大幅磁少することなどは魂辮        ’摘した。しかし 含水メタノールを使駁すると 純水メ       )     T T v t  . t       f

タノールを使用した場合よりも欠点がいっそう強調され                         ,始動性の劣下 材料の腐食 タンク容量の増加 潤滑曲      ) 一v 一一 ’F-r1s                     ,の劣化およびアルデヒド類(R・CHO)の排出が多くな

るなどの問題が起きる。これに対し 排気再循環(EGR)                ’を実施すると シリンダ内ガスの熱容量を増大させるの      ,で燃焼温度の低下を招き NOxの大幅な低滅が期待で           ’きる。

 ガソリン機関やディーゼル機関に対するEGRはすで

に実用化されているが メタノール機関にEGRを実施          ,

した報告はなく 未解明な部分が多い。そこで 水冷4       }   t t T     t        r      T )

サイクル頭上弁式機関を改造し 純メタノールおよび含              ’水メタノール燃料を気化器で供給した場合と純メタノー

ル燃料を電子制御燃料噴射弁(EFI)から吸気管内噴

射した場合についてEG:Rを実施し 機関性能 排気特                7 t’ttt H trmt一’ )

性および燃焼諸特性値:やそれらの相関関係などを実験的

に調べ 側弁式機関やガソリン運転時と一部比較しなが   ,ら若干考察したので 報告する。         ,

 2。実験装置および実験方法

 2.噸 実験装置

 2.f.1  気イヒ器機関

 供試機関は横形水冷単気筒頭上弁式4サイクル火花点

火機関(E-482)で,メタノール燃料での運転のため

気化器の主燃料ジェソトを大きく,圧縮比を高く改造し

た。その主要諸元をTable1に 実験装置の概要を               ,Fig.1に示す。

 実験装置は吸入空気量計測系統(サージタンク①,丸

形ノズル②マノメータ③温度計④)燃料供給系統            ) 一一一一一r -  t v  r )     ,

*茨城大学工学部機械工学科(日立市中成沢町)

9

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10 茨城大学工学部研究集報 第32巻 (1984)

(燃料タンク⑤燃料流量計⑥浮子室⑦気化器⑧)       1 tt”tt ttt’vrm一一一 v ) t一 1 pv ) ’ ’t”” v r e

吸気管系統(管壁温度計⑨ 管壁加熱器⑩) 供試機関            } Tww . t .. . v - }

⑪動力計⑫回転計⑬排気管系統(排気温度計⑭ J .一. . w  )           }  一ttt tn tt’  tTFtt -rm-rT v s

消音器⑮) EGR系統(冷却器⑯ サージタンク⑰     ) r. t t-Tt -  t  t    V  )                        ,温度計⑱マノメータ⑲丸形ノズルとマノメータ⑳)    1 v 7                        ’排気分析系統(NOxおよびHCH:0計測抽出孔⑳,排気

抽出孔㊧,ガスクロマトグラフ㊧,同記録㊧,COメー

タ㊧)燃焼解析系統(パルスマーカ㊧⑳指圧計⑳   s tTt-t t t t t   一 N-i )                    )  ....一 v 7

イオンプラグ⑳ 増幅器⑳ モニタCRT⑳ データレ       e ..一r...m ve                    ’コーダ⑫,統計解析器⑳,同記録計⑭)などから構成さ

れている。

Table 1 Specifications of the engine used.

               鴬噸ロe O疑V。瞭。eSDec工ficat工o皿s

SV enε加e

Cy},i捻der bore X 盲tro}ζe 即磁  (1》85 × 85 φ?2×62

S七roke volume Vh   Cc ‘β2 a52

Co囎res5iQn照tio ε 8み 6.o

Rεゆed独orseDower          軸 6ps/2000 rP置i乞畷ら.8)

尊.7PSβ6QO r鋼

Gpen B田DC 1O。CA

7a工ve@ 雛踏ニユ9

$u(:ζio魂

魔≠撃魔

clo$e ABDC 5べCム

e={haust魔″H▽e

B3DC鉢9。 CA

1 c⊥Ose 鯉DC 15。CA

5=  6’,“E-i3

  1IJ9

f6

コ2

22

 2.2 排気分析

 一酸化炭素CO濃度はNDIR 全炭化水素丁L薮C濃               ’度はFIDを用いてともに連続測定した。このとき?HC

濃度はメタンCH4を校正に使絹し, ppmCで表示した。

NOx濃度は亜鉛還元ナフチルエチレンジアミン法(JIS

KO104)で アルデヒド類:R・CHO濃度はその概略      ’値を知るためにホルムアルデヒドH℃HO検知管法で                        ’排気中の未燃のCH30HおよびCH4スクワランカラム

を用い FID付ガスクロマトグラフによってそれぞれ   ,分析した。

 なお,ガスクWのサンプリング系は水分の凝縮,それによ

るガス成分の吸着を防ぐため,リボンヒータで加熱した。

20

634

3 12

5632

て/8

9

14

17

了了

27

16

 ノ15

30

33 23

31

32

Fig. k Experimentai appracus.

 2.1.2 EM機関

 供試機関は横形水冷単気筒頭上弁式4サイクル機関

(E-482)で,実験装置としてはFiglの装置に新た

に燃料噴射弁および制御装置(EFI)を取付けた。な

お 燃料流量計で計量された燃料は加熱器で規定温度に ’

保持され 噴射弁から吸気管内に噴門される。この場合    :  r - T- t r tv -t tt tt tt F t T一 t v tt  :

噴射弁には一定圧力に調圧された燃料が供給され その                      ’噴鮒量は噴射弁の開弁蒔間で制御し 噴射開始時期はパ                ,ルスマーカ⑳を動かすことによって任意に変えられるよ

うにした。

 2.ろ 燃焼特性値

 シリンダの燃焼圧力を正確に計測するため シリンダ                    ’ヘソドを加工し 燃焼室壁面に直接指圧計を取付け 指       }  tt tt“rww-t t 一一Tt”一一t7t一 t-t tt J

圧波形 上死点(TDC)マークおよびイオン電流値を   ,データレコーダに記録した。これを必要に応じてモxタ

しながら再生し 4◎0チャンネルの統計解析器を通して       e ” 一t一  ’一一一vTmM 一一一 rm ”    s

エoeoサイクルの平均燃焼圧力P,平均駆勤圧力P。,そ

の差認P 平均圧力上昇率dP/d8および平均イオン電    夢流工gをXYレコーダに記録した。この記録から,燃焼

最高圧力Pmax,Pmaxを示すクランク角θ(P舩x),

4Pの最大値ts 1? max 2./ぼP灘axを示すクランク角6

(4P凱ax),最:大圧力上昇率(dP/d6)max,着火お

くれτ,燃焼期間9b,火炎伝播速度Vfを求め,有効熱

発生率(dQ/dO)などを解析した・さらに,統計解

析器の解析方法を切り替えて 燃焼最高圧力Pmaxの頻             ’度分布,標準偏差Sおよび変動率S/Ptnaxを求めた。

 2.4 実験方法

 実験には市販のメタノール(CH30H)を燃料とし                        sガソリン運転の場合にはレギュラガソリンを用いた。

CH30Hの発熱量はガソリンの約1/2と小さいがft 一

空気過剰率で比較すると 混合気の単位重量あたりの発           ’熱量はガソリン混含気よりも大きくなる。そのため こ                       ’の供試機関は本来石油発動機なので 体積効率ηvが                ’大きい範囲で運転すると過熱を起す。このため,ηvを

42.5および30%に限定した。

 2.4。1 気化器機関

 CH3eNはガソリンよりも蒸発潜熱が大きく,同じ$

気過剰率λで比較すると約8倍となるので 吸気管壁を                   ’加熱して気化を助長する必要がある。吸気管壁温度tw

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澤:メタノール機関に関する実験的研究(第7報 排気再循還の効果) ll

は文Wtg)により λ>1.1の範囲で気化率が100%に達       ,する44℃および室温の9℃で実験した。体積効率ηv,吸

気管壁温度tw 点火時期θ 愈水率yおよびEGR率       ) Ttttt t 一tt” t  )

の組み合せ条件(Table 2参照)について,浮子窒⑦

を上下に移動させて λをO.7から機関の運転可能な希         ,薄混合気領域(λ÷1.3~1.5)まで変化させ,そのと

きの出力L。,排気温度te,CO,THC, NOx, ff・

COH,排気中の未燃のCH30B:およびCH虞の各濃度を

測定した。また,代表的条件にっき機関を発火運転し,

約15分後安定するのを待ってシリンダ燃焼圧力,イオ

ン電流およびTDCマークなどをデータレコーダに記録

し,直ちに駆動運転に切り替えて,シリンダ圧力を同条

件で記録した。なお,ここに用いたE G R Eiiigは

  EGRme Ge/(Ge十Ga)×10ejuOoi (1)

 Ga:吸入空気量, Ge:排気再循環量である。

Tab玉e 2 Experime漁互。・簸dit三◎簸s.

ε臼 εn一_  Cab。 Eng.

巳ngiR鰹s診鱒d N rpm 2000 2000

V伽m晒物ric臼辮ci曾ncyηv。1。 42.5   30 42.5  30

Sρ&r民最dv&織ca l舞。CA 48.5 485 35 23.5

FueUnjedl◎R鱒。d e奪・1。CA 一20、+10 +100

F鳳inlecti◎獅脚§sur臼%・a肇9 t3 2.0  2.5

lRl曾。至lon diredi◎n A   3

F曲目e鵜pr磁“re t董。C 20,45  70

巳xha“st reclrcula毛めn ra宅iO

@            EG只。1。0  15  25 0 10 15 25

!自重a紅ePiPe temR tw OC 20 44     9

擁ydrous raセb Y。メ。 o 0  25  50

 2.雄.2 EFi機関

 実験はTab絶2の運転条件を選び,体積効率ηv,燃

料温度tf,噴射開始時期θi助,噴射圧Pi項,噴射方

向 8GR率の組合せの条件にっき空気過剰率λをλ= ,

e.・7から希薄混合気領域(λ==1.3)まで変化させ そ                       ,れそれの空気過剰率にっき機関出力L。,燃料噴射簸Gf,

排気wa度 te,CO,THC, N Oxの各濃度を測定した。

また 同階に記録した圧力線図を用いて各燃焼特性値を  ’

求めた。

5。実験結果および考察

 5.罎 機関性能および排気特性

 サイクル論的には排気再循環率(EGR)に比例して

図示仕事は僅かながら増加し しかも体積効率ηvを一             ,定に保ったままでEGR率を増加させる場合にはEGR                      ’率に比例して気化器開度または吸気絞り弁開度を大きく

するので,吸気過程におけるポンプ損失仕事が減少する。

これらの結果として 燃焼状態が良好な空虚比範囲にお         ’いては有効仕事が順次増加するものと思われる。さらに                         ,E G R ・1$gが増加すると衆知のように充填混合気の熱容量

が増加するので燃焼温度は低くなる。このため,炭化水

素燃料の化学平衡式や窒素酸化物の反応速度式からも知

られるようにCO濃度やN Ox濃度は減少し,とくに後者

の軽減は極めて顕著であると思われる。その反面,不活

性ガスの増加のため燃焼条件が悪化するので不完全燃焼

を誘発し THC濃度が増加する恐れがある。これらに    ’つき実験的に明らかにする必要がある。

 5.肇.壌 気化器機関

 供試機関の基本的運転条件として,Fig、2(a>に示す

条件(ηv;42.5%,婦 :44℃,θ;48。5℃A,y

=α)を選び,これに対して,N Ox軽減の効果が大き

いとされている点火蒔期を遅らせた実験結果(θ寵35℃A                         ’23.5℃A)をFig,2(b),(c)に示し, EGRの効果と比較

した。ηv=42,5%での実験のため,通常のメタノール

燃料機関よりも希薄側の可燃範囲はせまいが それでも                    ’ガソリン燃料機関(一点鎖線)より広く しかもλの全                  ’域にわたって出力は高い。これにEGRを実施すると                        ,λ>1.14の範囲では出力および熱効率は順次増加し λ                       ,>1.1 4の範囲では逆に低下の傾向が認められる。しか

し EGR率が15%以内であれば低下は無視できる程 ,

度である。

 これに対し,CO濃度はEGR率,ηv,tw,θなどの

条件には関係なく λにのみ支配され λ〈1.1の範囲        s ’ r 一 ’  )では燃焼温度が低いのでガソリン機関の値(一点鎖線)

よりも小さくな’っている。

 THC濃度は0.9〈λ〈1,15の範囲ではEGR率を変

えてもさほど差はないが これより過濃または希薄の難           ,燃焼範囲になると EGR率に比例して増加する傾向が        ’認められ とくにEGR=25%でλ>1.15になると    ’不完全燃焼を誘発し THCが急増する様子がみられる。         , N Ox濃度はλ ・= i.◎~1,2で最大値を示し, EGRの

増大とともに減少している。なお,Fig.2(a)には最大

出力の空気過剰率(Lemax点,矢印)およびEGR率

を変えても出力が同一であった空気過剰率λ= 1.i4

(NOx~λ線図上の矢印)におけるN Oxの濃度の数値を

N Ox~λ線図に併記している。い窪,出力に重点をおき,

λ=0・95,EGR’=25%〔Fig。2(a), L,max点〕で

運転すると,熱効率ηも高く,CO窯1%, THC=800

ppm C, NOx=2◎Oppmの排気性能を示す。しかし,

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12 茨城大学工学部研究集報 第32巻 (1984)

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EGR>15%となると その効果は急減し さらに燃           ) ttT t ’ tt )焼の悪化を招く(Fig.9参照)。

 λ=1,14の場合〔Fig.2(a>矢印〕, EGR・・=15%

としても,L,およびηは低下せずに, CO;0.3%,

TH:C=400ppmC, NOx ・” 300ppmへと改善される。

図申にはηv=30%,EGR=0%およびηv=喚2.5%,

EGR=0%,y=0.5の実験値を併記しているが, NOx

の低減効果に対し 前者はEGR=!3%に 後者は        )   ... .. .      )

EGR ・・20%に相当している。しかし 図無には併記                  ’していないが出力は若干低下する。

 NOxおよびTHCの排出濃度に対する点火時期6

の影響は大きく〔Fig.2(aいb>,(c)の比較〕,同一出力

(Le÷3・3PS)で比較すると,8=35℃AのときTH:C

t・200ppmC, NOx=:400ppm,θ=23。5℃Aで

THC÷500ppmC, N Ox;500ppmとなるが,8rm

48.5℃Aではλ=1.32とさらに希薄になるので?HC                      夕

÷700ppmCとやや大きいが聾OxはほとんどOppm

となっている。このことは θを遅らすのみでなく よ            ) Nt- t  t  ’  r 一  1 )

りよい排気浄化が可能であることを示している。参考の

ため,臼g.2(b)には側弁式機関(E-252)で点火時

期を変えた場合の実験値(SVE簸g.破線)を併記して

いる。

 メタノール燃料運転時のTHC濃度は全般的にガソリ

ン燃料運転時より高く,その組成はFig.5のとおりで

ある。図によると,λ<L1の範囲では酸素不足のため

未燃のC恥OH濃度が増加し 熱分解によるものと思わ             ’れるCH屡濃度も増加している。これに対し,λ〈1.1

の範囲では,CH30Hの着火温度が高いので燃焼変勤の

増加による未燃のCH30Hが急増し, C恥は低下している。

 R・CHO濃度は,排気中それの約90%を占めるといわ

れているH・CRO濃度で示したが λを大きくすると増               ,加し R=1rl~1.2で最大値となり それ以上ではむ  }         . r.t -tw 一     .. )

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澤:メタノール機関に関する実験的研究(第7報 排気再循還の効果) 13

しろ減少している。このことは,点火時期を4 8. 5℃A

に固定して測定したため λの大きい領域で燃焼がかな           ,り遅れ02濃度が高いにもかかわらず燃焼温度が低くな   ,

るので H:・CH:0濃度が低下したものと思われる。   コ また 簸・CHOはガソリン燃料の場合 燃焼過程の熱   ,                                           ,

分解によってC恥がわずかではあるが生じ,それが酸化

反応を経て生成するのに対し,CH30H燃料の場合には

未燃のCH30Hが直接反応を起すので,ガソリン運転

(図中の一点鎖線)にくらべてかなり多い。さらにEGR

率を増大させると H・CHO濃度は全空気過剰率の範囲        ,にわたって増加する。また CH30H濃度は過濃側で増            ,加,C一濃度はあまり変化しない。なお, NOx,H・CHO

の排出量におよぼすEGRの影響(Fig、4,0,△,□

印)と含水率yの影響(⑭血刻印) 一一一.p)とを.出カー定,

出力最大およびPmaxの変動率一定(10%)条件のも

とで比較するとMg.4となる。図によると, y=α5の

ときのNO.,H・CH:0濃度を出カー定,出力最大およ

びPmaxの変動率一定で, EGRを実施したときの測定

値と比較すると,N Oxの値はそれぞれEGR率が2G,

15および10%の場合の値に相当し,同様にH・CH:0

濃度ではEGR率の20,22および26%の値に相当し

ていることがわかる。

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Fig.4 1簸f1賢ence of EGR a難d Hydro疑s

   metha難01。獄e難gine power Le鋤d   exh&us宅emissio擁s(NOx,}更C頚0>.

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Fig.3 Characteristics of exhaust emissions   (CI{4, HCHe, CH30H).

 5.壌.2  EF}機関

 EGRを実施した場含の実験結果をFig.δおよび

Hg.6に示す。図によると,希薄混合気領域(R>1)

における出力L,,熱効率ηはEGR率の増加に伴って

著じるしく低下し,可燃範囲もせまくなっているが,過

濃混合気領域(R〈1)の出力はむしろ逆に増加する傾

向を示している。これは気化器機関においても認められ

た現象である。この傾向は体積効率ηvが低いため,残

留ガスの占める割合(Fig.6,η.=3◎%, tf ・2◎℃)

が多く,いわゆる燃焼条件が悪いほど顯著になっている。

このような場合,燃料温度tfを高めて燃料の気化を促

進させるとFig7(ηv篇42.5%, EGR・= 25%, Oi nj

=一Q0℃A)に示すように,希薄混合気領域(R>1)

におけるCO濃度やNOx濃度を高めることなく,機関

出力L,の向上とTHC濃度の減少を実現させること

ができる。したがって 出力および排気特性全般につい          ’て考えるとき,EGR率と燃料温度tfを組合せた最適

値が存在し,その選定によって出力Leの低下を最小限

にして CO濃度 NOx濃度および1e頁C濃度をともに   s T . ttt-r .]

軽減させることが期待できる。

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14 茨城大学工学部研究集報 第32巻 (1984)

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澤:メタノール機関に関する実験的研究(第7報 排気再循還の効果) 15

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Fig.7 lnfiuence of fuel remperature tf on

   combusion characteristics.

 5.2 燃焼変動および燃焼特性値

 5.2.で 気化器機関

 fi g. 8にCH30H燃料運転時の各クランク周におけ

るシリンダ内燃焼圧力の変動状態を示す。図の縦軸F%

は1000サイクルの燃焼圧力の変動頻度を%で表わした

もので このF曲線の山が高く するどいほど燃焼圧力   s 一 一  一一  ’ ・ ・一 ・ 一  ・ }

の変動が少なく安定した燃焼状態で,山が低く,すそ幅

が広いほど圧力変動が大きく,不安定な燃焼をしている

ことを意味している。図によると λの大きい希薄側で               ’

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は燃焼の開始および終了が遅れるので(P線図参照)                        ,上死点前では変動が比較的少なく,上死点後で大きくな

る傾向が認められ,逆にλの小さい過濃側ではこれと反

対の傾向になる。この場合,Pmaxの変動頻度と各クラ

ンク角における変動頻度曲線との間には 一貫した関係                  ,およびメタノール燃料運転とガソリン燃料運転との差は

あまり認められない。

 同じ運転条件でλを0.8,1.0,1,2につきPmaxの

変動におよぼすEGR,率の影響をFig.9に示す。図で

λ= O. 8および1.◎の場合 EGR・=0と15%とでは            ’変動に差がなく 比較的安定した燃焼をしているが λ       }   . tf t t” tt一  .   .t.tt”T 一 .  t )

=・ 1.2ではいずれも変動が増大し燃焼が不安定になって

いる。さらにEGR率を増すと(EGR=25%) 燃                       ’焼がかなりばらっくことがわかる。このことはFig.le

に示した10eoサイクルの燃焼圧力から求めたPmaxのS

およびS/Pmaxからもいえる。図において, EGR=

0の場合 最大出力空気過剰率(λ÷0.9)付近では    ’

Pmaxは最大に, IPmaxのSおよびS/Pmaxは最小に

なる。この傾向はEGR÷15%まで同じで 全般にS                    ’およびS/PmaxはEG貧率に比例して増加する。しか

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16 茨城大学工学部研究集報 第32巻 (1984)

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進め角θが小さい場合(たとえば23.5℃A)には,むし

ろλが大きくなるとSおよびS/Pmaxが共に減少する                  (6)傾向がみられる。これはガソリン噴射機関やメタノール

燃料機関(EGR=◎)でも希薄混合気領域でみられる

現象でジθを小さくすると燃焼最:高圧力が生ずるときの

クランク角は混合気が希薄になるにつれて上死点からお

くれてゆき,そのときのシリンダ体積が大きくなること,

λが大きいほど吸入される燃料の量が減少するので,吸

気管内での燃料の蒸発割合が増大し,混合気が均質化す

ることなどの理由によるものと思われる。なお,EGR

e・ O%ならば同一運転条件の場合,メタノール燃料運転

の方がガソリン燃料運転よりもS/Pmaxは小さくなっ

ている。いま θ=・・ 4. &5℃AでEGR瓢25%の場合,      コλ・=1.2においてS/Pmaxの最大値は1&6%にも達

してしまう。

 メタノール燃料機関の燃焼圧力経過を表わす燃焼特性

値として 1◎0◎サイクルの平均圧力線図から求めた    ,Pmax:,8(Pmax),認 Pmax,θ(APmax),6b(∠9 Pが0か

ら認P斑axに達するまでのクランク角度)および(dP/

dθ)maxなどの値をFlg.肩に示す。図において, R

を小さくするとPmax,(dP/dθ)maxは大きくな

り,θ(Pmax),θ(雄Pmax)は小さくなる。λ〈1.e

の場合,Pmax, APmaxはEGR率を増加させるとは

じめは増大し EGR÷15%付近で最大に それ以後      ,                                           ,

減少する。これに対し λ〉1.0でははじめからEGR          コ率の増加と共に減少している。0(Pmax)とθ(APmax)

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澤:メタノール機関に関する実験的研究(第7報 排気再循還の効果) 17

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はいずれの場合もEGR率に比例して増加,すなわち遅

れる。しかし燃焼期間θbはλ〈1。0ではほとんど変ら      ,ず門下であり,λ>1.◎ではEGR、率と共に増加してい

る。これは希薄混合気でEGRを行うと,不活性ガスの

増加のため燃焼がより緩慢,すなわち燃焼速度Vfがお

そくなるためで,この場合(dP/dθ)rnaxも低下す

る。

 ミ5.2.2  EF ;機関

 Fig.f2およびMg.箔にEFI機関に:EGRを実施

した場合の実験結果を示す。

 図によると EGR率が大きくなると気化器機関の場      ’含と同様に燃焼が緩慢になるのでθ(Pmax)およびθ

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Fig.12 lnfluence of EGR on combustion    characteristics.

(A Pmax)は上死点(TDC)から遠ざかり, Pmax

および4Pm、xの値は低下し,希薄混合気領域における

可燃範囲はせまくなっている。この場合,Pmaxの頻度

分布曲線(Fig.9)からもわかるようにEGR率に比

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18 茨城大学工学部研究集報 第32巻 (1984)

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S2,Fig.6とFlg.格と対比するとR=1における

NO濃度と{㌔賦との間には直線的相麗があり,従来ガ

ソリン機関で言われていた燃焼最高温度におけるNOの凍

盤)にほぼ近似している。すなわち,Fig S ‘#にはEGR

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Infiuence of EGR on coinbustioncharacteristics.

例してPmaxの値は変勤する。このため標準偏差Sや変

動率F=S/Pmaxは大幅に増大する。その反面,最大

有効熱発生率(dQ/dθ)max,最高燃焼ガス温度

Tmaxおよび(dP/dθ)maxが低下するので(Fig.

12,Fig.1ろ),機関燃焼騒音やNOxの軽減には有

効であることが容易に推測できる。なお,Fig.5とHg.

10       3020 EGR Ofo

F三琶,1ag Re三at圭◎曲etwee簸NO函◎and EGR    o/o’

=◎%時のNO濃度を規準(NO)。とし,(NO)/(NO)。

とEGR率との関係を示している。一般に窒素酸化物の発生濃度(N。)はM。。i,畷継翻し,若刊仮

定を設けると

(No)一 SSA・emEMT cN2)(02)i/2・d£・dv (2)

で与えられる。ここに(NO),〔N2〕,〔02〕はNO, N2,

02の濃度,1も:時間,V:体積, T:絶対温度, R:

ガス定数,A:頻度因子, E:活性化エネルギーである。い

ま EGRを実施した場合でもNOの生成において時間 つ

的 空間的要因が変らず しかも燃焼最高温度Tmaxで ,                              ,

NOの発生が凍結するものとすると,

器一器/需1;諜1畿(き〉

となる。そこで,オットーサイクルを取上げ,吸気過程

におけるエネルギー平衡式から出発し,熱力学的関係か

ら燃焼最高温度,N2,02濃度を求め,上式から等出した

(NO)/(NO)oの値を併記しているが,実験結果と定

性的によく一致している。

 燃焼圧力は各クランク角ごとにも変動している。EGR

率が大きくなると,燃焼が上死点後おそく’まで継続する

ので各クランク角における燃焼圧力およびそのサイクル

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澤:メタノール機関に関する実験的研究(第7報 排気再云云の効果) 19

変動は大幅に変わる。空気過剰率λ=エ.◎で比較すると

標準偏差Sの最大値はHg.15に示すようにほとんど変

わらない。この場合も有効熱発生率が最大となるクラン

ク角でSが最大になっている。

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Fig. 16

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Influence of EGR on effective heatrelease rate.

はシリンダ内燃焼に影響するが とくに燃焼条件の悪い              ,ような場含(臼9」ろ)にはEGRの影響は大きい。こ

の場合 燃料温度を高めると前項で指摘したように希薄   ,混合気領域における出力および熱効率は改善され,THC

濃度は減少する。しかし,Pmaxのサイクル変動の改善

は比較的小さい。

Fig.15 lnfluence of EGR on combustion    characteristics.

 次に過濃混合気λ瓢。.86の有効熱発生率(dQ/dθ)

線図(Fig16)によるとEGRを実施すると燃焼開始

はおくれるが,燃焼がおそくまで続くので上死点後40

℃A付近における曲線のふくらみは消滅し 全体として                   ’はdQ/dθがむしろ増加することになり,前項で指摘

した出力増加を招くものと思われる。このようにEGR

 5.ろ 燃焼特性値の相関

 Rassweilerは実用機関においても 燃焼重量割合Yが近似的に世盈爺_で与え障ることを繕)

している。ここでも これにしたがってYを1000サイ         ’クルの平均圧力線図から求め,これを燃焼開始からのク

ランク角θと燃焼期間θbとの比,いわゆる燃焼時問割

合Zに射してプwットするとFig.f7となる。丁丁には燃纏量割合に関するWi。b。の関賦潔計難を囎で

示している。図によると 実験値は燃焼の前半では指数           ’mが小さく 後半では大きくなる経過をたどるので 必     s  ・一  一       一 一 一   一       一 )

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2e 茨城大学工学部研究集報第32巻 (1984)

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Figユ7 C・mb賦三〇鍛mass罫ate&澄d combus-    tio難 time r&竃io.

ずしもWiebeの式と一致していない。また露GR率の

増加とともにmの値は全般に減少している。いま仮にY

== O.5の実測値から逆にmの値を求めると m == 2.6~                  ’3.8となる。

 次に燃焼重量割合としてWiebeの式を用いると熱発

生率dQ/dθは

  廻_H。Gf.亜  dO         de

           m-t-1 . . ml    =Hu’Gf’e-aZ ’a(rn-Y 1)zM ;一                      (4)                    Ob

で与えられ,dQ/dθの最大になる条件として,

z一o。(詞詣の関騰られる.このときの最

大熱発生率(dQ/dθ)maxは

撒。x-H髪㌣・・(…)

        /tElz,lll;Ei,, ln-gi)]iE¥’}ii’e-ii¥.}’ri (s)

で与えられる。ここに,Hu:燃料の低発熱量,Gf:燃料

流量,Ga:吸入空気量, Mo:理論混合比,λ:空気過剰

率,θb:燃焼期間,a:定数, m:燃焼に関する指数で

ある。

 mの値は実測によると EG鼠率が0~25%の範囲           ,ではm・= 2.6~3. 8と幅があるが この値に対する               ン・(醐{。(番、)}趣÷の値lrk…’一・・7

の範囲で その変化は小さい(a=6.9の場合)。した    ’がって,Gaおよびaの値が一定の場合には(dQ/d8)max

の値は(Hu/M。)/わ6わに比例することになる。一方,

dQ/d8(ヨdQe/d6+dQw/d6)はシリンダ内混合

気のエネルギ平衡とガス状態式とから熱力学的解析によ

り算出式が求まり,放熱量dQw/d6を見積り,燃焼圧

力Pを用いて遂次数値計算をすると算出できる。

 いま,(δQe/dのmaxを(dQ/d6)rnaxの代りに

用いて,そのときの(Hu/M。)/わ6bで整理すると

Xg.簿となる。同図にはメタノーール燃料およびガソリ

ン燃料運転時の実験値を併記しているが,いつれも一一直

線上に揃っており (dQ/dθ)rnaxに影響する因子の        ,概要をff q、(5>から知ることができる。

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Fig. l g Maxim“m hea£ reiease raee and (Hu/

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 次に,璽GR率の燃焼特性に及ぼす影響を明確にする

ために,Pmax,θ(Pmax),躍Pm膿,6(認Pmax)な

どの相関を調べた。本実験のように機関速度を一一定に保

った条件の場合には λを大きくしてシリンダ内の発生         ’熱量を減少させる方向に変化させると,θ(Pmax),

θ(tSPmax)は増加し, Pmax,4Pm躍は減少するが,

P搬&xと譲P磁ax,θ(Pmax)と6(4P田ax)との間

にはいずれの場合も正の強い相関がある(FigjgFlg.

20)。しかも EGR率 機関および燃料の種類 含水      ) ・ )  ・一一一 一 一一一・, ・   一一一 一・s

率などによる差は認められない。この理由はPmaxおよ

び4Pm8xはともにシリンダ内燃焼過程のうち,火炎が

燃焼室に十分に広がった後期に表われるので 主として                   s平均的混合気の性質によること 駕GR率 燃料の種類              s . )

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澤:メタノール機関に関する実験的研究(第7報 排気再循還の効果) 21

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  Prnax kg/cm2

Fig. 19 Coyela£ion between Pmax and

    APmax・

によって燃焼そのものは本質的に変らないためであろう。

また,シリンダ内の燃焼が早く終ると〔θ(Pmax)が小

さい〕 燃焼室体積が小さい時期にP maxおよびA Pmax   ,

が生じ 熱損失が小さくなるのでPmax A Pmaxの値   ぴ                                           コ

は大きくなる。したがって,Pma、とθ(Pma、)およ

び4Pmaxとθ(APmax)の間にはFig.2f,Fig.22

のように負の点間がある。この場合 E G R h’tW・P’Lを増加さ

                ,せるとθ(Pmax),θ(APmax)も大きくなるので

θ(Pmax)とPmaxおよびθ(4Pmax)と4Pm瞭の

関係線は右上の方向に移行する。

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Fig.20 qor.elLation between e〈iFmax) aBd

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06一̂O 15 20 25 30 35 Prnex kg /cm2

Fig.21 Coxelation between Pmax and    e (imax)・

4。結 言

 4サイクル頭上藍鼠機関をメタノール燃料で運転し,

ガソリン燃料運転と比較しながら,EGRを実施した場

合の機関性能,排気特性および燃焼特性などについて実

験的解明を試みたが,要約すると次のとおりである。

(1)メタノール燃料機関にガソリン燃料機関と同様な排

 気再循環(EGR)を実施することによって,機関性

 能を低下することなく,窒素酸化物NOxを減少させ

 ることができるが ホルムアルデヒド(H・CHO)や         ’ 未燃のメタノール(CH30H:)は増加する・また,NOx

 濃度のみに注Rするならば,気化器機関の場合,同一

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22 茨城大学工学部研究集報 第32巻 (1984)

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Fig.22 Corel-ation betweeR    S(Atimax)・

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 15%付近で最大になり それ以上増すと逆に減少し   一 ’” ’k 一 Hr  ’ θ(Pmax)およびθ(A P max)はEGRに比例して

 増加する。

(6) (dQ/dθ)maxと(Hu/M。)/λ・θbは直線関

 係にあり メタノール燃料運転でEGRを実施した場     , 合の実験値は一直線上によく揃い〈dQ/dθ)max                , に影響する因子の解明に役立つ。

(7)燃焼特性値間の相関関係について Pmaxと4 Pmax                 , は強い正の相関,Pmaxとθ(Pm、x)およびAPm、x

 とθ(4P加ax)は負の相関,θ(Pmax)とθ(A Prnax)

 は正の相関があり この関係はEGRを実施した場合         , も変らない。

(8)EFI機関でEGRを実施すると 希薄混合気領域                 , (1>1)における機関出力および熱効率は低下する

 が 燃料温度を高めると機関出力および熱効率は回復  ,

 し 炭化水素濃度は低減する。したがって £GR率  )  t tt  T  t ttTT T   t tFst      Y p

 と燃料温度の最適条件を選択するならば,機関出力お

 よび熱効率の低下を最小限にとどめて排気特性(NOx,

 THCなど)の改善が可能である。

 終りに本実験を主として担当した茨城大学工学部学生                        )小松:覚 平均志郎 正木茂 五十嵐挿一 室星孝徳            ) 一 ・一一 ・・ )  一一  一  ・一  )   1      .      )

小林明君に謝意を表する。

 運転条件ではηv;30%がEGR率13%に,また含

 水率y=0.5がEGR率20%の場合のNOx濃度に近

 似している。なお EGRと含水メタノール燃料使用         , 時との比較は,その評価にあたりどの性能に重点をお

 くかによって異なる。

(2)点火時期を遅らせることは,炭化水素(THC)濃

 度やNOx濃度の低減に効果はあるが,同一出力で比較

 するとき 点火時期はさほど遅らせずにEGRを併用     ’ した方が排気特性や機関性能の点で望ましい。

(5)各クランク角における燃焼圧力の変動はPmaxの変

 動と絹関は認められず そのクランク角における特有           , の変動状態を示す。とくに燃焼圧力の変動の標準偏差

 は有効熱発生率が最大になるクランク角θ〔(dQ/

 dO)max〕において最大になる。この関係はEGR

 率を変えた場合にも成立っ。これは熱発生が烈しいほ

 ど圧力変動も大きくなることを意味する。

(4)PmaxのSおよびS/Pmaxは気化器機関でθ=

 23.5℃A EGR鵜25%の場合を除いてはEGR     t . t   .  t-T  v F’一’ tV’1

 率に比例して増加する。

(5)PmaxおよびdPmaxは, EGR率を増加させると

参 考 文 献

(1)澤・ほか:茨城大学工学部研究集報                 )  P.23. P.39   一 一一 7

(2)澤・ほか:茨城大学工学部研究集報                  ’  P. 17

(3)  斉藤 ・eまカ} :

  P.51

(4)岩井・ほか:

  P.365

(5)岩井・ほか:

  P. 105

(6)

(7)

(8)

(9)

23(1975)     ’

24(1976)     ’

自動車技術会学術講演門前刷集751             1   -   v

自動車技術会学術講演会前嗣集752             」       )

自動車技術会学術講演会前刷集752             s       l

藤本・ほか:自動車技術会学術会学術講演門前下穿                      ,751. P. 81  ,

H.K.Newha}} & E.S.Starkman : SAE

paper 670122(1967)

H.K.Newha i 1:12th Symp. on Combustion

(1968). P.603    ,」. Zeldovich : Aeta Physlcochimiea.

VSSR 2f(1946). P.577          ’

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          澤:メタノール機関に関する実験的研究(第7報 排気再循還の効果)        23

⑩ :Rassweiler. G.M.:SAE Trans.42,2   aD シトケイ(坪内・加藤訳):ディーゼル機関の燃料

  (1938)                      噴射と燃焼,朝倉書店