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巻末資料表1-1 ALSFRS‒RALSFRS‒R(ALS functional rating scale)各項目で該当する数字ひとつに○をつけてください1.言語 4 会話は正常

3 会話障害が認められる2 繰り返し聞くと意味がわかる1 声以外の伝達手段と会話を併用0 実用的会話の喪失

2.唾液分泌 4 正常3 口内の唾液はわずかだが,明らかに過剰(夜間はよだれが垂れることがある)2 中程度に過剰な唾液(わずかによだれが垂れることがある)1 顕著に過剰な唾液(よだれが垂れる)0 著しいよだれ(絶えずティッシュペーパーやハンカチを必要とする)

3.嚥下 4 正常な食事習慣3 初期の摂食障害(時に食物を喉に詰まらせる)2 食物の内容が変化(継続して食べられない)1 補助的なチューブ栄養を必要とする0 全面的に非経口性または腸管性栄養

4.書字 4 正常3 遅い,または書きなぐる(すべての単語が判読可能)2 一部の単語が判読不可能1 ペンは握れるが,字を書けない0 ペンが握れない

5.摂食動作:胃瘻の設置の有無により,(1)(2)いずれかの一方で評価する  (1)(胃瘻なし)食事用具の使い方

4 正常3 いくぶん遅く,ぎこちないが,他人の助けを必要としない2 フォーク・スプーンは使えるが,箸は使えない1 食物は誰かに切ってもらわなければならないが,何とかフォークまたはスプーンで食べる

ことができる0 誰かに食べさせてもらわなければならない

  (2)(胃瘻あり)指先の動作4 正常3 ぎこちないがすべての指先の作業ができる2 ボタンやファスナーをとめるのにある程度手助けが必要1 介護者にわずかに面倒をかける(身の回りの動作に手助けが必要)0 まったく指先の動作ができない

6.着衣,身の回りの動作

4 障害なく正常に着る3 努力を要するが(あるいは効率が悪いが)独りで完全にできる2 時折,手助けまたは代わりの方法が必要1 身の回りの動作に手助けが必要0 全面的に他人に依存

7.寝床での動作 4 正常3 いくぶん遅く,ぎこちないが,他人の助けを必要としない2 独りで寝返ったり,寝具を整えられるが非常に苦労する1 寝返りを始めることはできるが,独りで寝返ったり,寝具を整えることができない0 自分ではどうすることもできない

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表1-2 ALSFRS‒R(つづき)8.歩行 4 正常

3 やや歩行が困難2 補助歩行1 歩行は不可能0 脚を動かすことができない

9.階段をのぼる 4 正常3 遅い2 軽度に不安定,疲れやすい1 介助を要する0 のぼれない

呼吸(呼吸困難,起坐呼吸,呼吸不全の3項目を評価)10.呼吸困難 4 なし

3 歩行中に起こる2 日常動作(食事,入浴,着替え)のいずれかで起こる1 坐位あるいは臥床安静時のいずれかで起こる0 極めて困難で補助呼吸装置を考慮する

11.起坐呼吸 4 なし3 息切れのため夜間の睡眠がやや困難2 眠るのに支えとする枕が必要1 坐位でないと眠れない0 まったく眠ることができない

12.呼吸不全 4 なし3 間欠的に補助呼吸装置(BiPAPなど)が必要2 夜間に継続的に補助呼吸装置(BiPAPなど)が必要1 1日中(夜間,昼間とも)補助呼吸装置(BiPAPなど)が必要0 挿管または気管切開による人工呼吸が必要

ALSFRS‒R 評価日項目 点数

1 言語2 唾液分泌3 嚥下4 書字5 摂食動作(食事 /指先)6 着衣,身の回りの動作7 寝床での動作8 歩行9 階段をのぼる10 呼吸困難11 起坐呼吸12 呼吸不全

合計点数 (48点満点)

(大橋靖雄,田代邦雄,糸山泰人,ほか.筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の日常活動における機能評価尺度日本版改訂 ALS Functional Rating Scale の検討.脳と神経 . 2001; 53: 346‒355. より改変)

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巻末資料

表2 機能的自立度評価表(FIM)評価項目 評価内容 評価点

セルフケア A)食事(箸,スプーン) 咀嚼,嚥下を含めた食事動作 1~7B)整容 口腔ケア,整髪,手洗い,洗顔など 1~7C)清拭 風呂,シャワーなどで首から下(背中以外)を洗う 1~7D)更衣(上半身) 腰より上の更衣および義肢装具の装着 1~7E)更衣(下半身) 腰より下の更衣および義肢装具の装着 1~7F)トイレ 衣服の着脱,排泄後の清潔,生理用具の使用 1~7

排泄 G)排尿コントロール 排尿の管理,器具や薬剤の使用を含む 1~7H)排便コントロール 排便の管理,器具や薬剤の使用を含む 1~7

移乗 I)ベッド,椅子,車椅子 それぞれの間の移乗,起立動作を含む 1~7J)トイレ 便器へ(から)の移乗 1~7K)浴槽,シャワー 浴槽,シャワー室へ(から)の移乗 1~7

移動 L)歩行,車椅子 屋内での歩行/車椅子移動.主な移動手段(歩行,車椅子) 1~7M)階段 12~14段の階段昇降 1~7

コミュニケーション N)理解(聴覚,視覚) 聴覚または視覚によるコミュニケーションの理解 1~7O)表出(音声,非音声) 言語的または非言語的表現 1~7

社会認識 P)社会的交流 他の患者,スタッフなどとの交流,社会的状況への順応 1~7Q)問題解決 日常生活上での問題解決,適切な決断能力 1~7R)記憶 日常生活に必要な情報の記憶 1~7

          総点 18~126評価点基準7:完全自立 (時間,安全性含め)6:修正自立 (補助具使用)5:監視4:最小介助 (患者自身で75%以上)3:中等度介助 (患者自身で50%以上)2:最大介助 (患者自身で25%以上)1:全介助 (患者自身で25%未満)

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表3-1 Norris ScaleModifi ed Norris Scale 四肢症状尺度(日本語版)

普通にできる いくぶん支障がある 十分にはできない まったくできない

仰臥位で頭をあげる 3 普通にできる.約60°屈曲を保持可能 2 床から約 30°以上屈曲し保持できる 1 床から30°以下だが屈曲できる 0 床から頭を持ち上げられない

寝返りをする 3 普通にできる 2 ひとりでできるが相当の努力と時間を要する 1 人手をかりればできる.手摺のみでは困難 0 まったくできない仰臥位から坐位まで起き上がれる 3 普通にできる 2 ひとりでできるが相当の努力と時間を要する 1 人手をかりなければできない 0 まったくできない

名前を書く 3 普通にできる 2 時間をかければボールペンで読める字を書ける 1 太めのマジックであれば,何とか判読可能 0 まったくできない

シャツ・ブラウスを自分で着る 3 普通にできる 2

通常のものであれば時間をかければひとりでできる

1 一部介助が必要 0 まったくできない

シャツのボタンをかける(ファスナーのあけしめができる)

3 普通にできる 2 時間をかければひとりでできる 1一部介助が必要.あるいは,一部のボタンしかかけられない

0 まったくできない

ズボン・スカートを自分ではく 3 普通にできる 2

時間をかければひとりでできる(坐位か立位を明記…)

1時間がかかり過ぎて実用的ではない.かなりの介助が必要

0 まったくできない

定規をあてて線を引く 3 普通にできる 2 線は何とか実用的に引ける 1

線は引けるが実用性に欠ける.自助具を使えば線は引ける

0 まったくできない

フォークまたはスプーンを握る 3 普通にできる 2 握る力は弱いが何とか実用的に握れる 1

握る力は弱く実用性に欠ける(自助具を使うか,柄に布を巻き太くすることで何とか実用になる)

0 まったくできない

急須から茶碗にお茶を入れ,それを飲む 3 普通にできる 2 時間がかかるが実用的である 1 自助具を使うか一部介助をすれば何とかできる 0 まったくできない立ち上がってお辞儀をする 3 普通にできる 2 時間をかければできる 1 立ち上がれないか,または頭を十分下げられない 0 まったくできない髪をとかす(櫛が使える) 3 普通にできる 2 時間をかければできる 1 自分の思うようにできない,または一部介助が必要 0 まったくできない

歯ブラシを使う 3 普通にできる 2 時間がかかるが実用的である 1自助具を使うか一部介助をすれば何とかできる.電動歯ブラシしか使えない

0 まったくできない

本や盆を持ち上げる 3 普通にできる 2筋力は弱いが軽いものなら持ち上げることはでき,実用的である

1 空の盆または新書本程度なら持ち上げることができる 0 まったくできない

鉛筆やペンを持ち上げる 3 普通にできる 2 筋力は弱いが持ち上げることができ実用的である 1 書字が可能な形で持ち上げるのは困難 0 まったくできない

腕の位置をかえる 3 普通にできる 2筋力は弱いが位置を変えることができ実用的である

1 人手あるいは反対側の手による介助があればできる 0 まったくできない

階段を昇る 3 普通にできる 2時間がかかるが実用的である.手摺があれば実用的に昇れる

1 側に人がいれば何とか昇れる(手摺が必要) 0 まったくできない

50m歩く 3 普通にできる 2 時間はかかるが歩ける 1 50mまでは歩けない 0 まったくできない

独りで歩く 3 普通にできる 2 時間はかかるがどこでも行ける 1 歩ける場所,距離は限られる(家のなか程度) 0 歩けない

介助(杖・歩行器・人手)により歩く 3 介助なしで歩ける 2

介助(杖,歩行器,人手)により歩ける.時間がかかるが実用的である

1 介助(杖,歩行器,人手)により1mくらい歩ける 0 介助があっても歩けない

坐位より立ち上がる 3 普通にできる 2 時間をかければひとりでできる 1 独りでは困難介助が必要 0 まったくできない(小田英世,大橋靖雄,田代邦雄,ほか.ALS患者の身体機能評価尺度の信頼性と因子構造.脳神経 . 1996; 48: 999‒1007. より一部改変)

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巻末資料

表3-2 Norris ScaleModifi ed Norris Scale 球症状尺度(日本語版)

普通にできる いくぶん支障がある 十分にはできない まったくできない

息を一気に吹き出す 3 普通にできる 2 弱いが吹き出せる 1 鼻にもれる 0 まったくできない口笛を吹く(口とがらしができる) 3 普通にできる 2 弱いが口笛らしく聞こえる 1 口笛の形になるが音は出ない 0 まったくできない

頬をふくらます 3 普通にできる 2 頬を押すと息が漏れる 1 口唇は閉じるが頬はふくらまない 0 口唇も閉じない

顎を動かす 3 あらゆる方向に動かせる 2 左右上下に動かせるが,ゆっくりで弱い 1 極めてゆっくりで動く範囲も狭い 0 まったくできない

ラララと言う 3 普通にできる 2 ゆっくりとなら言える 1 ラの発音が不明瞭 0 まったくラとは言えない舌を突き出す 3 普通にできる 2 口唇より外に出せる 1 歯列まで出せる 0 歯列を超えない

舌を頬の内側につける 3

舌を頬の内側につけ強く舌を収縮できる

2 つけることができるが収縮が弱い 1 頬に触れることができるが収縮しない 0 つく所までいかない

舌を上顎につける 3舌を上顎につけて強く押すことができる

2 摂食して維持できる 1 上に向かって舌が動く 0 舌はほとんど動かない

咳払いをする 3 普通にできる 2 痰が切れる程度にできる 1 痰が切れる所まで行かない 0 まったくできない

流涎 3 なし 2 下を向く,食事中,会話などにある 1食事,会話などをしなくとも時々ある.あるいは時々よだれを拭く必要がある

0 絶えず流涎がある

鼻声 3 なし 2 少しはある 1 はっきりわかる程度 0 話の内容がわからない程度口ごもり,内容不明瞭 3 なし 2 ときどき解らない言葉が混じる 1 ときどき解る言葉が混じる 0 ほとんどわからない食事内容 3 常食 2 軟食 1 きざみ食 0 半流動食(小田英世,大橋靖雄,田代邦雄,ほか.ALS患者の身体機能評価尺度の信頼性と因子構造.脳神経 . 1996; 48: 999‒1007. より一部改変)

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表4 Frontal Assessment Battery(FAB)①類似性の理解(概念化能力) 教示:「今からいう2つまたは3つの物はどのような点が似ていますか」    a) バナナとオレンジ(はどのような点が似ていますか?)    b) テーブルと椅子(はどのような点が似ていますか?)    c) チューリップとバラとヒナギク(はどのような点が似ていますか?) 補足:a)の質問に対して「どこも似ていない」という完全な間違いや,「どちらも皮がある」という部分的な間

違いの場合は,検者が「バナナとオレンジはどちらも…」といって被験者を手助けする.しかしここで正答しても,a)の得点は 0点とする.b)と c)はでは,患者を助けてはいけない.正答は,それぞれの上位カテゴリーである,果物,家具,花のみとする.

 項目点:3つとも正答  3      2つ正答    2      1つ正答    1      正答なし    0/3 

②語の流暢性(思考の柔軟性) 教示:「私がストップというまで,できるだけ多く「か」で始まる単語をいってください.ただし,人の名前と固

有名詞は除いてください」 補足:制限時間60秒.被験者が最初の5秒間無反応であれば,「たとえば『かき』というように」と付け加える.

さらに10秒間無反応であれば,『か』で始まる単語なら何でもいいですから」と促す.同じ単語の繰り返しや変形(傘,傘の柄),人の名前,固有名詞は正当には加えない.

項目点:10語以上  3      6~ 9語   2      3~ 5語   1      2語以上   0/3 

③運動系列(思考の柔軟性) 教示:検者は被験者の前に座り,「まず私がすることをよく見ておいてください」といい,左手で Luria の「拳 ‒

手刀 ‒掌(fi st‒edge‒palm)系列運動」を 3回やってみせる.「では,あなたの右手で私と同じことをしてください.最初はいっしょにしますね.後で一人でやっていただきますよ」といい,まず検者は被験者といっしょに3回繰り返す.その後,「さぁ,一人でやってみてください」と被験者にいう.

項目点:被験者1人で 6回連続してできる              3      被験者が1人で 3~ 5回連続してできる            2      1人ではできないが検者といっしょなら3回連続してできる   1      検者といっしょでも3回連続してできない           0/3 

④葛藤指示(干渉刺激に対する敏感さ,two-one tapping 課題) 教示:「今から私がいう規則に従って机を叩いてください.まず私が 1回机を叩いたら,あなたは 2回叩いてく

ださい」といい,被験者がこの規則を理解したことを確認するために,1‒1‒1 の系列で検査する.「もう1つの規則ですが,私が 2回机を叩いたら,あなたは 1回叩いてください」といい,被験者の理解を確認するために,2‒2‒2 の系列で検査する.その後,「本番です」といい,1‒1‒2‒1‒2‒2‒2‒1‒1‒2 で検査を行う.

 項目点:間違いなし                    3      2回までの間違い                 2      3回以上の間違い                 1      被験者が4回以上連続して検者と同じように叩く  0/3 

⑤Go/No-Go 課題(抑制コントロール) 教示:「さきほどと同じように,また規則に従って机を叩いてください.私が1回机を叩いたら,あなたは1回叩

いてください」といい,被験者がこの規則を理解したことを確認するために,1‒1‒1 の系列で検査する.「私が2回机を叩いたら,あなたは机を叩かないでください」という.そして,被験者の理解を確認するために,2‒2‒2 の系列で検査する.その後,「本番です」といい,1‒1‒2‒1‒2‒2‒2‒1‒1‒2 で検査を行う.

 項目点:間違いなし                    3      2回までの間違い                 2      3回以上の間違い                 1      被験者が4回以上連続して検者と同じように叩く  0/3 

⑥把握行動(環境に対する被影響性) 教示:検者は被験者の前に座り,被験者の両手の掌を上に向けて,被験者の膝の上に置く.検者は何も言わないか,

あるいは被験者の方を見ないで,検者の両手を被験者の手の近くにもっていき,被験者の両手の掌に触れる.そして,被験者が自発的に検者の手を握るか否かを観察する.被験者が検者の手を握ったら,検者は「今度は,私の手を握らないでください」といって再度,被験者の掌に触れ,検者の手を握るか否かを観察する.

 項目点:手を握らない                3      とまどってどうすればいいのか尋ねてくる   2      とまどうことなく検者の手を握る       1      握らなくてもいいといわれた後でも手を握る  0/3 

  /18  (Dubois B, Slachevsky A, Litvan I, et al. The FAB: a Frontal Assessment Battery at bedside. Neurology. 2000; 55: 1621‒1626. より改変)

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巻末資料

表5 気管切開下陽圧換気導入後の筋萎縮性側索硬化症における意思伝達能   力障害 stage 分類stage Ⅰ 文章にて意思表出が可能stage Ⅱ 単語のみ表出可能stage Ⅲ yes/no のみ表出可能stage Ⅳ 残存する随意運動はあるが,yes/no の確認が困難なことがあるstage Ⅴ 全随意運動が消失して意思伝達不能な状態(林 健太郎,望月葉子,中山優季,ほか.侵襲的陽圧補助換気導入後の筋萎縮性側索硬化症における意思伝達能力障害̶stage 分類の提唱と予後予測因子の検討̶.臨床神経 2013; 53: 98‒103. より一部改変)