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79 2009.5 金属資源レポート 79JOGMEC - COCHILCO 4 はじめに JOGMEC は、2005 年から、チリ銅委員会(COCHILCO、別添資料参照)と銅資源の生産、需給に関する情報交 換を目的とした情報交換セミナーを開催しており、第 1 回は 2005 年 11 月 4 日にサンティアゴにて実施した。この ほど、第 4 回目の情報交換会を 2008 年 12 月 5 日にサンティアゴにて開催した。今回は、チリ側から、COCHILCO 関係者、日本側から JOGMEC の他、現地日本企業関係者等、総勢約 30 名が参加し、日本側から、最近の銅及び モリブデンの需給動向について情報提供を行い、チリ側からは、チリの銅鉱業投資動向、モリブデン生産動向につ いて情報提供が行われた。 本稿では、その中からチリ側の報告を中心にセミナーの概要を紹介する。 神谷 夏実 金属資源開発本部 企画調査部 担当審議役 JOGMEC - チリ銅委員会(COCHILCO) 第 4 回情報交換会 1. 第 4 回情報交換会の概要 今回の情報交換会では、日本、チリ双方から合計で 4 件の報告が行われた。その概要は以下のとおりである。 (1)日本の持続的銅需給 (JOGMEC 企画調査部 神谷夏実) ■世界の資源企業の業界再編成が進むと同時に、資源 価格が高騰したが、2008 年後半は、価格下落と在 庫増加が起きている。 ■日本は輸入銅鉱石供給に依存、中国とほぼ同量の鉱 石を輸入している。 ■日本企業は銅加工賃により製錬を行っており、2008 年は加工賃低下、銅価格低下により業績が悪化して いるが、海外投資は積極化している。 JOGMEC の役割として、特に JV 基礎調査による初 期探鉱プロジェクト推進を行っている。 (2) 2008 ~ 2010 年のチリの銅及び金鉱業投資予測 (COCHILCO 企画調査部 AnaZuniga) ■銅鉱業投資の見通し(2008 ~ 2012 年)として、2012 年にかけて毎年 30 ~ 50 億 US $の投資が予定され ており、その約半分が国営 CODELCO によるもの である。 ■銅鉱山開発計画(新規及び拡張)の概要、CODELCO Andina ディビジョン拡張(25 万 t/ 年、48 億 US $) 等の概要、銅鉱山生産の見込みとして、2007 年の 555 万 t が 2015 年に 672 万 t まで平均年率 2.1%程 度で増加する見込み。現状計画は金融危機の影響は 反映されておらず、今後延期、計画変更が行われる 可能性がある。 ■銅開発投資環境の変遷、チリ鉱業の課題(鉱業用水、 電力供給、硫酸供給) (3)チリにおけるモリブデン生産の展望 (COCHILCO 企画調査部 JoseDonoso) ■世界の需給動向:世界生産は約 21 万 t/ 年で米国 30%、チリ 28%で、一次生産は全体の 37%程度。 鉱山生産はチリが世界の 22%程度であるが、焼成 酸化モリブデンの生産は 28%を占める。 ■チリのモリブデンの鉱山生産は、8事業所・鉱山 に お い て 約 45 千 t(2007) で、 半 分 は CODELCO Norteが占める。今後の増産は既存プロジェクト 拡張によるものがほとんどで、新規開発としては、 Esperanza 鉱山のみである。2015 年にモリブデン生 産は約 50 千 t 程度まで増加する見込みである。 (4)モリブデン需給動向 (三井物産㈱合金鉄部 伊藤 諒) ■モリブデン供給の特徴は、一次生産 35%、副産物 生産 65%という供給構造にあり、この特徴と価格 決定の構造のために、今回の金融危機による需要減 退を受けて価格が大きく下落した。 ■モリブデン需給の現状から副産物生産が多く原料供 給不足の可能性があったが、金融危機後、自動車、 ステンレス向けが大きく減少し、供給過剰になる。 石油開発井向けパイプ需要は引続き比較的強いとみ られる。また中国では強い需要が今後も続くとみら れる。 2. チリ側講演の概要 今回セミナーでの COCHILCO 側より報告のあった 概要を以下に記す。 (1)チリ銅鉱業の動向と課題 ①チリの銅鉱石生産は、金融危機後も、年平均 2.7% で増加 表 1 及び図 1 に示すとおり、2007 年のチリの銅鉱 石生産は、5,557 千 t(年産銅純分、以下同様)であり、

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) 第4回情報交換会

はじめにJOGMEC は、2005 年から、チリ銅委員会(COCHILCO、別添資料参照)と銅資源の生産、需給に関する情報交

換を目的とした情報交換セミナーを開催しており、第 1 回は 2005 年 11 月 4 日にサンティアゴにて実施した。このほど、第 4 回目の情報交換会を 2008 年 12 月 5 日にサンティアゴにて開催した。今回は、チリ側から、COCHILCO関係者、日本側から JOGMEC の他、現地日本企業関係者等、総勢約 30 名が参加し、日本側から、最近の銅及びモリブデンの需給動向について情報提供を行い、チリ側からは、チリの銅鉱業投資動向、モリブデン生産動向について情報提供が行われた。

本稿では、その中からチリ側の報告を中心にセミナーの概要を紹介する。

神谷 夏実金属資源開発本部 企画調査部 担当審議役

JOGMEC-チリ銅委員会(COCHILCO)第4回情報交換会

1. 第 4 回情報交換会の概要今回の情報交換会では、日本、チリ双方から合計で 4

件の報告が行われた。その概要は以下のとおりである。

(1)�日本の持続的銅需給(JOGMEC 企画調査部 神谷夏実)

■�世界の資源企業の業界再編成が進むと同時に、資源価格が高騰したが、2008 年後半は、価格下落と在庫増加が起きている。

■�日本は輸入銅鉱石供給に依存、中国とほぼ同量の鉱石を輸入している。

■�日本企業は銅加工賃により製錬を行っており、2008年は加工賃低下、銅価格低下により業績が悪化しているが、海外投資は積極化している。

■ �JOGMEC の役割として、特に JV 基礎調査による初期探鉱プロジェクト推進を行っている。

(2)�2008 ~ 2010 年のチリの銅及び金鉱業投資予測(COCHILCO 企画調査部 Ana�Zuniga)

■�銅鉱業投資の見通し(2008 ~ 2012 年)として、2012年にかけて毎年 30 ~ 50 億 US $の投資が予定されており、その約半分が国営 CODELCO によるものである。

■�銅鉱山開発計画(新規及び拡張)の概要、CODELCO�Andina ディビジョン拡張(25 万 t/ 年、48 億 US $)等の概要、銅鉱山生産の見込みとして、2007 年の555 万 t が 2015 年に 672 万 t まで平均年率 2.1%程度で増加する見込み。現状計画は金融危機の影響は反映されておらず、今後延期、計画変更が行われる可能性がある。

■�銅開発投資環境の変遷、チリ鉱業の課題(鉱業用水、電力供給、硫酸供給)

(3)�チリにおけるモリブデン生産の展望(COCHILCO企画調査部 Jose�Donoso)

■�世界の需給動向:世界生産は約 21 万 t/ 年で米国30%、チリ 28%で、一次生産は全体の 37%程度。鉱山生産はチリが世界の 22%程度であるが、焼成酸化モリブデンの生産は 28%を占める。

■�チリのモリブデンの鉱山生産は、8 事業所・鉱山において約 45 千 t(2007)で、半分は CODELCO�Norte が占める。今後の増産は既存プロジェクト拡張によるものがほとんどで、新規開発としては、Esperanza 鉱山のみである。2015 年にモリブデン生産は約 50 千 t 程度まで増加する見込みである。

(4)�モリブデン需給動向(三井物産㈱合金鉄部 伊藤 諒)

■�モリブデン供給の特徴は、一次生産 35%、副産物生産 65%という供給構造にあり、この特徴と価格決定の構造のために、今回の金融危機による需要減退を受けて価格が大きく下落した。

■�モリブデン需給の現状から副産物生産が多く原料供給不足の可能性があったが、金融危機後、自動車、ステンレス向けが大きく減少し、供給過剰になる。石油開発井向けパイプ需要は引続き比較的強いとみられる。また中国では強い需要が今後も続くとみられる。

2. チリ側講演の概要今回セミナーでの COCHILCO 側より報告のあった

概要を以下に記す。(1)チリ銅鉱業の動向と課題① チリの銅鉱石生産は、金融危機後も、年平均 2.7%

で増加表 1 及び図 1 に示すとおり、2007 年のチリの銅鉱

石生産は、5,557 千 t(年産銅純分、以下同様)であり、

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硫化鉱生産 3,725 千 t(67%)、SxEw による地金生産1,832 千 t(33%)であり、全体の 3 分の 2 が硫化鉱生産によるものであった。これらの既存の鉱山からの生産量は 2015 年において、硫化鉱が 2,814 千 t、SxEwが 1,382 千 t、合計で 4,196 千 t まで減少するとみられる。これに対し今後予定されている開発あるいは拡張計画は 2015 年において 2,524 千 t あるとみられ、その内訳は硫化鉱生産が 1,899 千 t(75%)、SxEw が 625千 t(25%)となっており、今後新たに増産される銅生産量は、硫化鉱によるものが SxEw より 3 倍多い見込みである。

図 1 に示すとおり、2015 年時点でのチリの銅生産量は 6,720 千 t とみられ、内訳は硫化鉱生産 4,713 千 t

(70%)、SxEw による地金生産 2,007 千 t(30%)であ�る。銅生産量の伸びでみると、2007 年の生産量 5,557千 t が 2015 年で 6,720 千 t となると、平均年率 2.6%

で増加することとなる。なお、チリの 2008 年の鉱石生産(実績)は 5,330 千 t

であり、前年の 5,557 千 t を 257 千 t、4.6%下回る結果となった。これは世界の銅鉱石生産量の低下(100千 t、0.7%減)を上回るものである。2008 年は、鉱石品位低下、労使紛争により生産が落ちたものとみられる。また、2009 年 4 月にサンティアゴで開催されたCRU 銅セミナーでは、COCHILCO は 2015 年における銅生産量を 6,300 千 t 程度に下方修正している。これは金融危機の影響を加味したもので、Los�Bronces、El�Abra、El�Morro、Escondida、CODELCO�Norte、Andina 各プロジェクトの計画の繰下げによるものとしている。

これらの結果から、現時点で COCHILCO は、チリの鉱石生産を 2008 年の生産量(実績)の 5,300 千 t から2015 年の 6,300 千 t(予測)まで増加するとみており、

CONDITION PRODUCTO 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

3,725 3,549 3,561 3,438 3,366 3,238 3,256 2,954 2,814

SxEw 1,832 1,952 2,017 1,893 1,790 1,772 1,595 1,442 1,382

5,557 5,501 5,578 5,331 5,156 5,010 4,851 4,396 4,196

0 6 27 298 711 1,266 1,453 1,611 1,899

SxEw 0 87 224 309 425 540 625 637 625

0 93 251 607 1,136 1,806 2,078 2,248 2,524

3,725 3,555 3,588 3,736 4,077 4,504 4,709 4,565 4,713

SxEw 1,832 2,039 2,241 2,202 2,215 2,312 2,220 2,079 2,007

SxEw 5,557 5,594 5,829 5,938 6,292 6,816 6,929 6,644 6,720

(単位:千 t)表 1. チリの銅鉱石生産予測(銅純分)

(出典:COCHILCO)

SxEw

SxEw

2.6%

図 1. チリの銅鉱石生産予測(銅純分)(出典:COCHILCO)

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これは年率平均で 2.7%となる。生産量の実績、予測を下方修正したが、増加率は変わらないとみていることを意味している。

② 銅地金生産も増加、国内地金生産比率はわずかに上昇の見込み表 2 に示すとおり、チリ国内での銅製錬量は、2007

年の 1,636 千 t から 2015 年には 1,920 千 t となり、増産量 284 千 t、平均年率 2.2%で増加すると予測される。また、銅精錬量では、2007 年の 986 千 t から 2015 年には 1,355 千 t となり、増産量 369 千 t、平均年率 4.7%で増加すると予測される。2015 年までの銅地金生産は同時期の鉱石生産の伸び(年平均 2.6%)より大きく上回っており、鉱石生産に対する地金生産の比率は、2007 年の 17.7%が 2015 年には 20.2%まで高まる

こととなる。今後チリ国内での地金生産の割合がわずかに増加し付加価値化が進むこととなる。

鉱石生産量(銅純分)と地金生産量の差を鉱石輸出量とすると、2007 年では鉱石輸出量は 2,739 千 t であったが、これが 2015 年には 3,358 千 t まで 619 千 t 増加�

(合計で 23%増、年平均 2.8%増)することとなる。

③ 新規開発や拡張コストは、今後は 90 年代に比べて1.7 ~ 2 倍に増加表 3 に示すとおり、2008 年以降計画されている新規

開発または拡張を行う主要プロジェクトは 19 件ある。大規模なものは、Collahuasi 鉱山拡張(年産 55 万 t、30 億 US $)、Andina 鉱山拡張(II)(年産 35 万 t、48 億US $)の他、Esperanza 鉱山(19 億 US $)、LosBronces鉱山拡張(17 億 US $)、Caserones 鉱山(15 億 US $)、

表 2. チリの銅製錬及び精錬生産量予測

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

487 462 457 457 484 484 652 700 700

499 509 535 540 540 540 540 540 655

986 971 992 997 1,024 1,024 1,192 1,240 1,355

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

658 656 853 842 846 761 909 899 899

978 1,017 1,145 1,147 1,131 1,019 1,130 1,070 1,021

1,636 1,673 1,998 1,989 1,977 1,780 2,039 1,969 1,920

(単位:千 t)

(出典:COCHILCO)

表 3. 新規プロジェクトと投資金額

(

2008ANTOFAGASTA MIN. Los Pelambres (Tranque Relaves Mauro)CODELCO - 521,1lartsiM aleirbaGELIHC

07sayaB samoL nóicailpmAATARTSX

2009437)I esaF( DPTK 49 a nóisnapxEanidnA OCLEDOC271eknarFREPPOC OIRANETNEC

2010

633onegópiH ollocadnASECRUOSER RUAANTOFAGASTA MINERALS

009,1aznarepsE006)II nóicailpmA ( serbmaleP soL021orgamlA ed ogeiDRODANIMOD ORREC057I esaF nóicailpmAISAUHALLOC

2011

447,1 secnorB soL nóisnapxE NACIREMA OLGNA002ayocutnANIM ATSAGAFOTNA005,1aucsaPKCIRRAB005,1senoresaCREPPOC CIFICAP NAP002II sayaB samoLATARTSX005,2orroM lEATARTSX2102

2012

423,2elasaC orreCKCIRRAB000,1V esaF adidnocsENOTILLIB PHB713selaH ortsiniM aniMetroN OCLEDOC008,4)II esaF( DPTK 032 a nóisnapxEanidnA OCLEDOC

Fuente: Elaborado en COCHILCO, sobre la base de los antecedentes de cada proyecto de fuentes públicas

534

(単位:百万 US$)

(出典:COCHILCO)

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Escondida 鉱山拡張(V)(10 億 US $)等がある。またEsperanza 鉱山(日本企業の権益比率 30%)、Caserones鉱山(同 100%)と日本企業の権益比率が高いプロジェクトがあり、日本企業の活発な投資戦略がみられる。

図 2 に示すとおり、2015 年までの総投資額は 297億 US $にのぼり、企業別にみた場合、そのおおよそ半分の 146 億 US $が CODELCO によるもので、チリにおいて CODELCO による投資比率が高い特徴がある。しかし、2012 年までの投資額でみると、総額244 億 US $に対し、CODELCO の投資は 98 億 US $

(40%)を占めるに過ぎず、短期的には民間投資の方が CODELCO を上回っている。

図 3 に示すとおり、今後予定されている鉱山開発・拡張の投資額を 1990 年代と 2007 ~ 2015 年で比較すると、1992 ~ 1999 年に操業開始した Escondida、Collahuasi 鉱山を含む 11 プロジェクトの初期投資額の平均は、おおよそ、年産 20 万 t(銅量)で約 9 億US $、年産 40 万 t で約 20 億 US $であった。これに対し、2007 ~ 2015 年に計画されている 11 件の新規開発または拡張計画においては、20 万 t で 15 億 US $、40 万 t で 40 億 US $と、90 年代に比べて 1.7 から 2 倍程度に投資額が上昇するとみられる。図 4 及び図 5 にこれらの主要プロジェクトの位置と開発・拡張計画の概要を示す。

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

5,500

CODELCO

CODELCO 1,676 1,623 1,364 1,454 1,768 1,946 4,753843 1,607 3,447 3,105 1,625 525 135289 90 520 550 975 1,000 400

2,808 3,320 5,331 5,109 4,368 3,471 5,288

2008 2009 2010 2011 2012

図 2. 主要新規プロジェクトへの投資金額 (出典:COCHILCO)

700,000

600,000

500,000

400,000

300,000

200,000

100,000

00 1,000

Prod

uctio

n (T

MF

Cu/

year

)

Investment (2007 mnUS$)2,000 3,000 4,000 5,000 6,000

Escondlda

1992 ~

2007 ~

Ampl. Escondal

R. Tomlc

Sulf. RTMMHGaby

AndlnaFasel

Pelambres

EsperarzaAmpl. Los Bronces

El Abra

Exp Collahuasl

Andlna Fase

Collahuasl

図 3. 主要プロジェクトの投資金額の変遷(1992 ~ 1999 年と 2007 ~ 2012 年の比較)

(出典:COCHILCO)

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CODELCO NORTER. TOMIC Sulfuros Total Inv. 2008~2010 : US$360 Mill80 Kton/year CopperMina Ministro A. Hales 50 ktpd.Total Inv. 2008~2013 : US$317 Mill.

MINERA GABYGabriela MistralTotal Inv. 2001~2008 : US$1.125 Mill.150 Kton/year SxEw Cathodes

ANTOFAGASTA MINERALSEsperanzaTotal Inv. 2007~2010 : US$ 1.900 Mill.195 Kton/year Cu content Concentrates

AntucoyaTotal Inv. 2009~2011 : US$ 200 Mill.

XSTRATALomas Bayas Extention

Total Inv. 2006~2011 : US$ 270 Mill.+ 15 Kton/year SxEw Cathodes

COLLAHUASIExpantion Phase I

Total Inv. 2008~2010 : US$750 Mill+ 200 Kton/year Cu fino

BHP BILLITONEscondida Phase VTotal Inv. 2008~2010 : US$1.000 Mill+ 210 Kton/year Cu content Concentrates

図 4. チリの主要新規・拡張プロジェクト(北部) (出典:COCHILCO)

CODELCO ANDINAAndinaFASE I Extention to 94 ktpd: Inversión 2005~2009 : US$ 734 Mill. FASE II : Extention to 230 ktpd: Inv. Total 2007~2014 : US$ 4.800 Mill.

CODELCO TENIENTEPilar Norte a 17 ktpd : Inv. Total 2007~2009 : US$105 Mill.

ANTOFAGASTA MINERALSLos Pelambres Extention to 175 ktpd : Total Inv. 2005~2010 : US$600 Mill.New Tailing Dam Los Pelambres :Total Inv. 2005~2008 : US$534 Mill.Cap 1,7 mill ton tailings

TECK COMINCOAndacollo SulfurosInv. Total 2007~2010 : US$386 Mill80 Kton/year Cu content Concentrates

XSTRATAEl Morro

Inv. Total 2009~2011 : US$ 2.500 Mill.155 Kton/year Cu content Concentrates

ANGLO AMERICANExtention Los BroncesInv. Total 2008~2010 : US$1.740 Mill+ 175 Kton/year Cu content Concentrates

PAN PACIFIC COPPERCaserones

Total Inv. 2009~2011 : US$ 1.500 Mill.110 Ktpa Kton/year SxEw Cathodes

図 5. チリの主要新規・拡張プロジェクト(中部)(出典 : COCHILCO)

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④チリ銅鉱業成長の制約要因世界最大の銅生産国チリは、概して投資環境は良い

とされているが、最近は銅鉱業の成長に影響を与える様々な制約要因が増加している。以下に、こうした制約要因のうち、探鉱投資、鉱石品位低下、水不足、電力不足、硫酸不足について述べる。・探鉱投資が減少傾向

�図 6 に示すとおり、世界のベースメタルを目的とした探鉱投資額は、2002 年の 6 億 US $から 2007 年の35 億 US $まで急激に上昇した。このうち銅を対象とする探鉱投資額は、2002 年の 3 億 US $から 2007年の 20 億 US $まで上昇しており、この間に銅の探鉱投資のシェアはおおよそ 60%を占めていたとみられる。これに対し、チリの探鉱投資額は、同じ期間に約 0.7 億 US $から 3.6 億 US $まで増加したもの

の、世界の探鉱投資額に占める割合は、約 10%から約 7%まで低下しており、2007 年にかけてチリにおける探鉱投資額は増加したものの、その伸びは世界のベースメタル探鉱投資額を下回っていたことになる。ただし、同じ期間の南米の探鉱投資額も、約36%から 28%まで下がっているので、南米全体の伸びも世界にくらべて低かったことになる。

・鉱石品位低下�図 7 に示すとおり、ポーフィリーカッパー鉱床の開発において、開発初期に上部の酸化帯を主体とする富鉱部の採掘から、下部の低品位帯に移行するに従い、鉱石品位が低下する傾向が避けられない。世界の平均的な鉱石品位は、1992 年当時の 1.5%台から2007 年には 1.2%まで低下し、今後 2015 年には 1.1%までさらに低下すると見込まれる。チリにおいては、

図 6. 世界のベースメタル探鉱投資とチリのシェア (出典:COCHILCO)

(%)1.8

1.7

1.6

1.5

1.4

1.3

1.2

1.1

1

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図 7. チリの鉱石品位低下の推移(出典:COCHILCO)

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1992 年当時は平均品位 1.5%あったものが、2007 年には 1.05%まで低下しており、2015 年には 0.8%台までさらに低下するとみられる。チリの鉱石品位は世界の平均を大きく上回って低下しており、今後生産量、採掘コストへの影響が懸念される。

・チリ北部では水不足�チリの銅の生産は、乾燥地帯であるチリ北部を中心として行われているが、工業用水獲得の問題が顕在化している。チリ北部において鉱業の用水消費量は全体の 5.2%を占めるに過ぎず、チリ北部は人口は少ないものの、水利権をめぐっては、農業その他の産業との紛争の種となっている。このため、鉱業界は、自前の水資源確保として、海水淡水化を進める等独自の対策を取る必要性に迫られ、生産コスト増の要因となっている。

・天然ガス供給が途絶し発電に支障�チリの 2007 年のエネルギー消費に関し銅鉱業は11%のシェアを占めており、電力消費に関しては銅鉱業は 32%を占めている。今後 2015 年までにおいて、銅鉱業における電力消費は 2007 年ベースから増加するとみられる。� チリの銅生産の 3 分の 2 はチリ北部の SING 電力システムから電力供給を受けているが、SING システムの 60%が火力発電による電力である。火力発電の燃料はアルゼンチン産天然ガスに依存していたが、2006 年頃からアルゼンチンからの天然ガス供給が制限、停止されている。このため発電会社は、燃料を重油に変更せざるを得ず、電力供給不足が起きている。また鉱山会社は自前の火力発電所を建設する必要性に迫られており、これが銅生産のコスト増要因となっている。現在、新規の LNG や石炭利用の発電所建設が進められており、2012 年には電力供給が安定化する見込みである。

・SxEw 用の硫酸が不足�SxEw プロセスでは大量の硫酸が必要となるが、通常硫化鉱の銅製錬工程で副産物として生産される硫酸が使われる。チリにおいて銅製錬所の多くはチリ中央部に位置するのに対し、SxEw 鉱山は主にチリ北部に位置する。従って、硫酸の運搬の問題と増加する SxEw プロジェクトに対する硫酸供給量確保が今後の課題として残る。現在 SxEw において銅地金1t の生産に対し 3.24t の硫酸が消費されている。

・チリ鉱業の課題�チリの銅鉱業は今後も引続きチリ経済の牽引役として重要な位置を占めていく。チリの安定した地政学的位置は、今後も優良な鉱業投資先として位置づけられる。従って、今後も新規開発、拡張プロジェクトが多く計画されており、世界の銅鉱業においてリーダー・シップを発揮することができるとみられる。しかし、今後の銅生産に対し様々な課題が残されていることも現実であり、官民が共同で問題解決に当たる必要がある。このために、技術的な改善対

策をとると共に、政府として安定的な財源確保のために、鉱業特別税の導入を図る政策も計画している。

(2)チリのモリブデン生産の展望①世界のモリブデン需給

図 8 に 2007 年の世界のモリブデンの供給動向を示す。モリブデン生産は、一次生産と副産物生産に分けられるが、世界生産のシェアは、前者が 37%、後者が63%となっている。モリブデンの鉱石生産(Supply)の生産国は、銅の鉱石生産国と類似しており、上位より、米国(30%)、チリ(28%)、中国(17%)、ペルー

(9%)等となっている。通常モリブデンは、硫化鉱を含む鉱石として採掘され、分離されたモリブデン精鉱のばい焼(Roasting)を行い、酸化モリブデン等として流通されている。ばい焼能力のシェアは、南米�

(主にチリ)(32%)、北米(26%)、中国(24%)、欧州�(18%)となっている。また、モリブデンの主要な鉱 石 生 産 者(Producers) は、CODELCO(15 %)、Phelps�Dodge(16%)、中国・金堆城 集 有限公司(Jinduicheng)(11%)、Rio�Tinto(7%)となっており、これら上位 5 社で上位 50%を占めている。

図 9 に示すとおりモリブデンの鉱石生産は、2003年までは年産約 130 千 t(純分ベース、以下同様)で�あったが、その後急激に増加し 2007 年は 214 千 t、2008 年は 219 千 t であった。チリの生産シェアは、1998 年以降、概ね 20 ~ 25%の範囲で推移している。

モリブデンの需要は、2002 年以降上昇傾向にあり、2007 年の世界需要は 201 千 t で、対前年比で 16%増加した。主要需要地域は、欧州(33%)、米国(19%)、日本(17%)、中国(14%)、その他(17%)となっている。銅の生産量と比べると、米国と中国で高い傾向があるが、これは一次生産者が多く、またこれらの国での銅鉱床中のモリブデン品位が高いためであると考えられる。

モリブデンの埋蔵量は、チリのシェアは 13%であり、中国(38%)、米国(31%)に次いで世界第 3 位である。

②チリのモリブデン生産チリにおいてモリブデンは銅の副産物として銅鉱床

中に銅鉱物と共生して産出し、銅鉱石中に含まれた状態で採掘される。モリブデン鉱物は、選鉱工程において銅と分離され、モリブデン精鉱として回収される。チリは世界的なポーフィリーカッパー型銅鉱床が分布しているが、そのなかでもモリブデンを含むポーフィリー銅・モリブデン鉱床は、図 10 に示すとおり、北部の始新世後期~漸新世の鉱床、南部の中新世後期~鮮新世に生成した鉱床とされている。主要鉱床は、Chuquicamata 鉱床(Mo 品位 0.024%、以下同様)、Radomiro�Tomic 鉱床(0.015%)、Escondida 鉱床(0.021%)、El�Salvador 鉱床(0.022%)、Andina-Los�Bronces 鉱床(0.02%)等がある。

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2007 年のチリのモリブデンの鉱山生産(金属純分)は 44.8 千 t で、世界生産 214 千 t の 22%であった。チリの生産シェアは、2003 年の 25%から低下傾向にある。なお、2008 年の生産は 33.7 千 t となっており、世界生産 219 千 t に対し 16%まで低下している。図 11 に示すとおり、チリのモリブデン生産は、CODELCO(主に、Norte ディビジョン、El�Tenienteディビジョン、全体の約半分)、Los�Pelambres 鉱山、

Collahuasi 鉱山等で生産されおり、比較的少数の事業所で行われている。

モリブデン精鉱は、モリブデンの回収工場に運ばれ、モリブデンの酸化物、三酸化物、フェロモリブデン等となって、出荷され流通している。チリのモリブデン精鉱は、そのまま輸出されるものと、チリ国内でばい焼されるものがあり、2008 年は、輸出が 15.2 千 t(グロ�ス)、国内加工が 47.4 千 t、合計 62.6 千 t であった。

(出典:COCHILCO)

図 8. 世界のモリブデン供給動向

図 9. 世界の国別モリブデン生産量の推移(出典:COCHILCO)

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図 11. チリのモリブデン生産量の推移(企業・事業所別、1990 ~ 2007 年)(出典:COCHILCO)

図 10. チリのポーフィリー銅・モリブデン鉱床(出典:JOGMEC カレントトピックス「チリ・モリブデン生産世界一に」(2005 年 1 月 20 日))

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チリにおいて、モリブデン精鉱からモリブデンを回収し生産している回収工場は、CODELCO�Norte、Alto�Norte 製錬所(Xstrata)、Molymet�Nos 社がある。これらのうち最大手は、独立系の Molymet�Nos 社で、サンティアゴ郊外の回収プラントにおいて、各鉱山で回収されたモリブデン精鉱から、酸化モリブデン、三酸化モリブデン等を生産している。

なお、モリブデン精鉱は国内で生産されるものと国外から輸入されチリ国内で加工されているものがある。精鉱輸入量は 2007 年が 27.0 千 t、2008 年が 26.6千 t であった。輸入先は、主にペルーで、これにメキシコ、米国が続く。

チリの硫化精鉱、酸化モリブデン、三酸化モリブデン、フェロモリブデンの生産量の推移は、図 12 に示すとおりである。

③チリのモリブデン生産の見通しチリにおいてモリブデン生産は、銅の副産物である

ため、今後の生産の動向は、銅生産の動向に依存している。2008 年のチリの銅鉱石生産量(金属純分)は�5,330 千 t で、前年の 5,557 千 t から 4.1%減少しているが、モリブデン鉱石生産(金属純分)は 44.7 千 t�

(2007 年)から 33.7 千 t(2008)に 25%減少している。今後もモリブデンの生産は銅の生産との関連が強いとみられる。

図 13 に今後の主要銅プロジェクト(新規及び拡張)の概要を示すが、これらのうち、モリブデンの生産が期待されるプロジェクトは赤丸で囲ったものである。これらの計画が実行されると、図 14 に示すとおり、チリのモリブデン生産は、2012 年に 55 千 t 程度まで増加することが期待される。

なお、チリでは、表 4 に示すとおり、今後新規のモリブデン精鉱の処理プラント建設の計画が進められている。新規プラントとして、CODELCO と Molymet社がサンティアゴ北方約 1,000km の Mejillones に、また Xstrata は Alto�Norte におけるプラントの建設また

図 12. チリのモリブデン生産動向(硫化精鉱、酸化物、三酸化物、フェロモリブデン)(出典:COCHILCO)

CODELCO NORTER. TOMIC Sulfuros Total Inv. 2008 2010 : US$360 Mill80 Kton/year CopperMina Ministro A. Hales 50 ktpd.Total Inv. 2008 2013 : US$317 Mill.

MINERA GABYGabriela MistralTotal Inv. 2001 2008 : US$1.125 Mill.150 Kton/year SxEw Cathodes

ANTOFAGASTA MINERALSEsperanzaTotal Inv. 2007 2010 : US$ 1.900 Mill.195 Kton/year Cu content Concentrates

AntucoyaTotal Inv. 2009 2011 : US$ 200 Mill.

COLLAHUASIExpantion Phase ITotal Inv. 2008 2010 : US$750 Mill+ 200 Kton/year Cu fino

BHP BILLITONEscondida Phase VTotal Inv. 2008 2010 : US$1.000 Mill+ 210 Kton/year Cu content Concentrates

CODELCO ANDINAAndinaFASE I Extention to 94 ktpd: Inversión 2005 2009 : US$ 734 Mill. FASE II: Extention to 230 ktpd: Inv. Total 2007 2014 : US$ 4.800 Mill.

CODELCO TENIENTEPilar Norte a 17 ktpd: Inv. Total 2007 2009 : US$105 Mill.

ANTOFAGASTA MINERALSLos Pelambres Extention to 175 ktpd: Total Inv. 2005 2010 : US$600 Mill.New Tailing Dam Los Pelambres:Total Inv. 2005 2008 : US$534 Mill.Cap 1,7 mill ton tailings

TECK COMINCOAndacollo SulfurosInv. Total 2007 2010 : US$386 Mill80 Kton/year Cu content Concentrates

XSTRATAEl Morro

Inv. Total 2009 2011 : US$ 2.500 Mill.155 Kton/year Cu content Concentrates

ANGLO AMERICANExtention Los BroncesInv. Total 2008 2010 : US$1.740 Mill+ 175 Kton/year Cu content Concentrates

PAN PACIFIC COPPERCaserones

Total Inv. 2009 2011 : US$ 1.500 Mill.110 Ktpa Kton/year SxEw Cathodes

XSTRATALomas Bayas Extention

Total Inv. 2006 2011 : US$ 270 Mill.+ 15 Kton/year SxEw Cathodes

図 13. チリの新規モリブデン鉱山開発案件(出典:COCHILCO)

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は拡張を計画している。これらのプラントの生産能力は約 37 千 t(金属純分)であり、今後チリ国内での精鉱処理が進み付加価値化が進むものと考えられる。

�3. まとめチリの銅鉱石生産は年率 2.7%で増加、地金生産比率も上昇

COCHILCO は、チリの銅鉱石生産を金融危機後の影響を加味し下方修正したが、増加率では依然として年平均 2.7%程度で増加するとみている。チリ国内での地金生産は今後も増加し、地金生産率(鉱石生産に対する国内の地金生産の比率)は、現在の 17.7%から2015 年に約 20.2%まで増加するとみられる。

チリの銅鉱山開発初期投資は増加新規開発及び拡張計画にかかる初期投資金額は、90

年代の比べると 1.7 倍から 2 倍程度に増加している。チリの銅鉱山生産リスクが増加

チリは概して投資リスクが低いが、今後、探鉱投資の減少、鉱石品位低下、水不足、電力不足、硫酸不足等のリスクが増加する可能性がある。モリブデン生産は付加価値化が進展

チリにおいてモリブデンは、銅の副産物として生産されている。今後チリ国内でのモリブデン精鉱の処理を行うプラント建設が進み、国内での付加価値化が大きく進展するとみられる。

(2009.4.17)

図 14. チリのモリブデン鉱山生産予測(出典:COCHILCO)

Project Mejillones Plant Molymet Project Mejilllones Plant Codelco Project Alto Norte Expansion

Company Molymet Company Codelco Company Xstrata

Main Characteristics

• Processing plant to produce molybdenum oxides from Mo concentrates from copper mining in Chile, Peru and others

Main Characteristics

• Processing plant with toaster and lixiviation facilities to produce molybdenum oxides and briquettes from increase Mo concentrates production in Codelco’s mines

Main Characteristics

•Addition of a second toaster and the construction of a lixiviation plant

Investment US$ 100 millions Investment US$ 107 millions Investment US 40 millions

Production Output 16.000 tons of Mo Production Output 12.000 tons of Mo Production Output 9.500 tons of Mo

Start Up or Actual Stage +2010 Start Up Prefeasibility Start Up 2H09

(出典:COCHILCO)

表 4. チリの新規モリブデン加工プラント建設・拡張計画

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