Illuminea July 2010 Japanese

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DESIGNING THE FUTURE E-BOOKS: その将来は いかに? INTERVIEW: 学術ジャーナル 20年もの試行錯誤と 挑戦の日々 2010 7 大学図書館および情報コミュニティにOUPが配信するニュースと特集記事 新しいニーズに対応する場の提供

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Japanese translation of the July issue of Illuminea, Oxford University Press’ quarterly librarian newsletter

Transcript of Illuminea July 2010 Japanese

Page 1: Illuminea July 2010 Japanese

DESIGNING THE FUTURE

E-BOOKS: その将来はいかに?

INTERVIEW: 学術ジャーナル20年もの試行錯誤と挑戦の日々

2010年 7月

 大学図書館および情報コミュニティにOUPが配信するニュースと特集記事

新しいニーズに対応する場の提供

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| EDITORIAL

回のIllumineaは、デジタル書籍がこれまでになく注目されてきている

今、出版社、図書館、そして学術コミュニティにとってどのような意味

があるのかを考えてみたいと思います。E-bookを有効活用する  

読者が増え、日常生活アイテムとして取り入れられてきていますが、未だ印刷物を 

ベースとしたビジネスモデルにすがる出版社、そして図書館にこのe-bookはどのよう

な影響をもたらすのでしょうか。

また、図書館を建築物と捉えた時、その未来の姿はどのように変化するのでしょ

うか。いくつかの実存する図書館を例として紹介しながら、最新の図書館の機能、

図書館で行われる活動について、知識を求める人々の避難場所としての役目とは、

そして蔵書を保管する建物ではなく、情報を繋ぐ場・学びの場・コミュニケーション

の場としての図書館を見て行きます。

テクノロジーの伝道師、Richard Wallis氏はLinked data/smart dataについて語り

ます。セマンティックウェブはどのように図書館を変えるのでしょうか。そして、ロンドン

LSE大学の情報サービスマネージャ、Nicola Wright氏は未来の図書館プロジェクト

がどのようなものか、またなぜ未来を楽観的に見ることができるのか、その考えを 

述べます。

アルゼンチン出身の著者、ホルヘ・ルイス・ボルヘスは著書「バベルの図書館」

で、このバベルの図書館には、表現可能な文字や記号全ての組合せの、無限大と

もいえる蔵書が納められていると想像しました。著者はインターネットが普及する前

から、無意味な文字や記号の羅列にしか見えない、意味を為さない膨大なデータ

に押しつぶされそうになりながら取り組む図書館員を描き、情報過多という問題を

提示していたのです。ならば、図書館員に求められるのは、一見無意味なデータか

ら意味を見つけ、図書館利用者には情報の迷路のガイドとなり、過去のデータを 

整理・保存し続けることではないでしょうか。

オックスフォード大学出版局にてヘッド・オブ・オンラインセールスを務めるCHRIS BENNETT氏はコメンタリー

「E-BOOKS:将来はいかに?」にて次のように述べています。「E -BOOKSは生活消費アイテムとして主役になりつつある」

CONTENTS

E-books: その将来性はいかに?Chris Bennett OUP、ヘッド・オブ・オンラインセールス

Designing the future新しいニーズに対応する場の提供

ニュース

Martin Richardson氏インタビュー学術ジャーナル、20年もの試行錯誤と挑戦の日々

デジタル情報 その保存の目的と今後の対応OUPの情報保存の取り組みと 図書館の情報保存への意識についての調査結果

未来図書館プロジェクト:コップの水は    まだ半分もあるNicola Wright、ロンドンLSE大学情報サービスマネージャ

ディレクトリ 参加学会一覧とOUP連絡先

セマンティックウェブは 変革をもたらすか?Richard Wallis、Talis

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編集: Catarina Walsh編集助手: Lizzie Shannon-Little編集チーム: Damian Bird, Alison Bowker, Claire Dowbekin, Richard Gedye, Amanda Hirko, Patricia Hudson, Colin Meddings, Margaret Love, and Aviva Weinstein.デザイン: Sequel Group Ltd (www.sequelgroup.co.uk)

Illumineaへの皆さまの貴重なご意見・ご感想を  お待ちしています。 今後の号へのご提案またはご寄稿などについては、[email protected] まで、メールにてご連絡ください。

表紙写真とデザイン © ボードリアン図書館

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COMMENT |

E-BOOKS:その将来はいかに?

-booksはここ一年半の間に、こぞってメディアに取り上げられ注目されてきています。最近に

なってこれだけ脚光を浴びているのにはいくつかの理由があります。一つは、今まで市場が成熟していないために出版社はこれまでe-booksを真剣に検討してこなかったのですが、Kindle、Sony Reader、そしてつい最近、鳴り物入りで登場したApple iPadというe-books専用の端末によって、e-booksは生活消費アイテムとして主役になりつつあり、出版社としてもe-booksがこれまでの印刷物を単にデジタル化したものではなく、それ以上に重要なビジネスになりうるものだということを認めざるを得なくなってきたということです。

ところが、これほどメディアに取り上げられている書籍のデジタル化ですが、今後の利用者になると思われる学生、学者や図書館員などのユーザののニーズについては全くと言っていいほど議論されてきていません。E-bookは過度な種類のフォーマットや端末がそのままの状態で世の中に出回っており、ユーザにとっては非常に利用しにくい状況になっています。そのため、出版社によっては、書籍をデジタル化する本来の意味、研究成果や文献をより グローバルに流通させることで誰もがアクセスできるようにする、ということを忘れてしまうところもあるくらいです。情報がとかく氾濫し 状況の全体像が不透明な今、必要とされる コンテンツをタイミングよく届けることができるシステム・技術はこれまで以上に重要視されています。

デジタル化によって得られる最大の結果は、コンテンツの生産者と消費者をより身近につなぐ、サプライ・チェーンの構築なのです。著者イコール読者ということを、多くの出版社が見落としがちです。

デジタル化で問題とされる多数の異なるフォーマットについては、私は、プロプライエタリシステム、つまり汎用性がなく融通がきかないものについてはその価値を低く考えます。(SonyとAppleは、プロプライエタリ利用を 

E

あきらめました)また、私はe-bookではPDFが定番フォーマット、という説を否定したいと思います。PDFというフォーマットは確かに当初に比べて改善されていますが、最終的には紙への印刷を目的として考えられたフォーマットであり、オンライン上での利用を最終目的としたXML言語の台頭によって徐々に消滅していくものと考えています。もちろん、現時点ではPDFがe-bookの定番 フォーマットかもしれません。ですが、次世代では、PDFのように非常に限られた使い方しかできない  フォーマットはその価値を認められないでしょう。ePubなど、XML言語のオープンソース・フォーマットのほうが、出版社や図書館が今後投資すべきフォーマットであるといえると思います。

重要ポイント:発見性の高さと、フレキシブルなビジネスモデル

E-bookビジネスもまた、非常に残念なことながら、過去のしがらみである印刷物という考え方の枠にとらわれています。学術ジャーナルが印刷からオンラインへ移行したときに経験したことを教訓としなければなりません。印刷物のときに適切だったビジネスモデルをそのままデジタル出版に当てはめても成功しないでしょう。仮に成功しても、長期にわたって有効ではありません。(ただし、書籍よりもよりデジタル化が進んでいるジャーナルビジネスでも紙ベースのビジネスモデルから完全に離れることができていないようです。)

最近特に注目されてきているe-bookビジネスモデルとしては、Patron-Driven Acquisition(PDA モデル)と呼ばれる利用ベースのモデルがあります。基本的には、 図書館は予め大体の予算を設定しておき、ユーザが一定の回数以上e-bookにアクセスした場合はそれに合わせて図書館が出版社やエージェントから課金がなされる、という

システムです。どのe-bookをPDA モデルで購入するかは、図書館が 設定できます。ところが、数々の試行錯誤の結果、このモデルは図書館が従来のビジネスモデルで購入するより高い料金を払うケースがあることが明らかになってきています。特に人気があるe-bookについてはこの傾向が見られます。また、問題はこのPDAモデルを含む他の利用ベースのモデルでも、売上イコール一冊分の冊子体としてとらえていることです。これでは都度内容を更新できる、オンラインコンテンツの フレキシブルな良さがビジネスモデルに全く反映されないことになります。この問題は出版社だけの問題ではありません。図書館の予算も往々にして買い切りである印刷物に対する予算の立て方であって、常に更新されるe-bookを購読する、という予算の立て方ではなく、よってユーザ側の利益を一番に考えたものとはいえないのです。

デジタル出版とそれに伴う図書館サービスで何が最も重要であるのか、今やっとそれが見え始めた段階にあります。それは発見性の高さ、利用しやすさ、互換性の高さやニーズに合わせてフレキシブルに購入することができるビジネスモデルなどであり、実現されれば将来、より存続性が高く活発なe-bookビジネスが発展していくことでしょう。

過度な種類の

フォーマットや

端末が出回り、

ユーザにとって

非常に

利用しにくい

状況です

The Apple iPadアップル社協力

Chris Bennett、ヘッド・オブ・オンラインプロダクツセールス、 OUP

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DESIGNING THE FUTURE:

図書館は「知識を持つ人々のコミュニティにとって憩いの場です」(ボードリアン図書館のディレクター、SARAH THOMAS氏(ILLUMINEA, 2010年4月号コメント)、

「教える場と情報整理用の スペースとして図書館は大きく変わろうとしてきている」

Philological Library ベルリン自由大学Reinhard Corner

い間、図書館とは、教え・学ぶ場所と、 書籍や学術ジャーナルを借り、個人の勉強用にコピーを取ったり出来るサービスを役割

としてきました。それが、デジタル化という変化の波にのみこまれ、今やその従来の役割を大きく問われています。 もし書籍や学術ジャーナルを備えておく場所でないとしたら、将来の図書館はどういう用途のために使用されるのでしょうか。それでもやはり、情報の収集、整理、保管はされなければならないでしょう。一部の人は、図書館が人々の情報交流やネットワーキングの場として情報を共有するような場所になるのではないか、と予測しています。

この考えを踏まえて、図書館という物理的な場所は現在、その姿やコンセプトに大きな変更を求められています。学術図書館の多くはすでに一般公開を求められていて、オックスフォード大学の新しいボードリアン図書館、 ウェストン図書館もすでにそのように一般公開を予定しています。図書館のユーザが仲間とリラックスして学び、集いやすいようなスペース-カフェやグループで打ち合わせが出来るような施設-を計画しています。このような新しいスペースでは、「おしゃべり」も積極的に行うように進められることが考えられます。情報のプロによる協力を得ながら行われるこのような会話による情報共有は、今後の情報過多時代にはより必要とされると思われています。

現在の図書館のトレンドは、書籍などを置くための事務的で簡素でオフィスのようなスペースから、より感覚的に心地よい、インスピレーションが湧き、リラックスが出来、研究者や学生が楽しんで使用できる社交場としてに移ってきています。学ぶためのツールとして、インターネットやワイヤレス、マルチメディアの利用エリアも更に取り入れられ、エコにも気を使った環境づくりが推進されることとでしょう。自然光を取り入れたり、冷暖房を極力さけるための技術、より省エネルギー消費を目指した図書館の設計が推奨されるでしょう。

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長新しいニーズに対応する場の提供

Catarina Walsh、シニアコミュニケーションマネージャ、OUP

| FEATURE

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美しく先進的な建築の数々

左の写真は、2005年にドイツ・ベルリンの自由大学に新たに設立された図書館、The Philological Libraryです。建築家Norman Foster氏によってデザインされたこの建物は、屋根と壁の部分が組み合わさって人間の脳を象ったデザインとなっています。デザインの一部を使って陰の部分を作り、また換気が行えるように設計しました。日中の光の加減で気温も調節できるようになっています。この図書館は自由大学のダーレムキャンパスにとってのシンボルであり、ベルリンのランドマーク的存在でもあります。現在、700,000冊の蔵書を保有しています。

アメリカ合衆国ワシントン州のシアトルには道路に面した公共の図書館、The Ballard Libraryとサービスセンターである、 Neighbourhood Service Centre

があり、建物は未来型のエコフレンドリーな図書館のモデルとされています。なだらかに丸みを帯びた緑の屋根はある種類の草で作られており、吸水性、保温性に優れています。取り付けられた太陽電池パネルとリサイクル材料は省エネルギー、省資源使用を目標としています。デザインは、ナチュラルな資源を利用し、エコ建築に感心を持ってもらうために採用されたものです。

こちらは2004年に建てらてたオランダのユトレヒト大学の図書館です。この図書館の責任者である建築家は、建物のことを 「新しい、巨大な立方図書館」と

述べています。この6階建てのコンクリートの立方体には蔵書がぎっしりと詰め込まれて保管されており、一部のコンクリート部分には 読書が出来たり、図書を手にとって見ることが出来るオープンエリアが作られています。建物の内部は黒色に塗られており、巨大なオープンスペースの中でもじっくり落ちついて勉強できるように配慮されています。

最後にここ、英国Glasgow Caledonian UniversityのThe Saltire Centreは様々なニーズを持つ人が図書館をフレキシブルに使えるように、社交場のスペースから勉強に専念出来る静かなエリアまで多様なスペースを設けています。 大学の理念が、対話、討論、異なる勉強方針の自由というとおり、この図書館は、キャンパスの他の建物と比べてもその理念をよく表した建物だと言えます。

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新ボードリアン: “本の要塞から自由で、ひらめきの溢れる場所へ”

オックスフォード大学のボードリアン図書館は、大規模改修の工事許可を得て2015年に新・ボードリアン図書館、

「ウェストン図書館」に生まれ変わる予定です。オックスフォード大学出版局はこの新しい図書館の改修工事のため、Garfield Weston Foundationと同額の 2千500万ポンドを寄贈しました。

ボドレー図書館員のSarah Thomas氏は、「改修工事によりボードリアン図書館は本の要塞からユーザを引き付ける、自由と魅力とひらめきの溢れる場所となるでしょう」とコメントしています。

このプロジェクトで、建物はより広く明るいガラス張りのエントランスホール、そして新しい展示ギャラリーを  オックスフォード市内でも大きなブロード通り沿いに設けることになります。一般市民もよりアクセスしやすくなるでしょう。展示ギャラリーは今でも年間10万人に訪問されていて、改修で更にスペースを拡大するギャラリーにはこれまで以上の訪問者数が見込まれています。

ボードリアン図書館の特別コレクションのアソシエイトディレクター、Richard Ovenden氏は、「Wilkinson Eyre Architects建築会社は目を見張るデザインを提案してきていて、そのデザインはこれまでの建物の歴史を損なうものではなく、かつ、研究者や学生にとっては使いやすいモダンで便利なインフラを提供できる内容になっている」とコメントしています。「またこのデザインは 今後増えるであろう一般ユーザにも満足してもらえると思います。」

ハンブルグ大学の図書館社会学者、Olaf Eigenbrodt氏が本誌Illumineaに、図書館建築物とその機能の最新トレンドについて語りました。

貴方の言う「リビングルーム図書館」というコンセプトについて説明いただけますか。つまり、安らぐことが出来る、安全で一体感を得られる場所ということです。ドイツ語でWohnzimmer、応接室という意味を持つリビングルームという言葉ですが、これは普通、家庭にとって家の中では訪問客をもてなす場です。そして同時に、家族のための憩いの場でもあるわけです。この両方の、gemütlich-居心地の良いプライベートな居間、という意味でのスペース、そして訪問客をもてなす公共の場としてのスペース、この両方を合わせ

て超越したところに未来の図書館像というものがあるのです。

デジタル時代の図書館は、リソースとして、そして物理的なスペースとして、どのような役割を担っていくものと思われますか。情報のリソースとしては、図書館はもはや多くの情報機関の一つ、となっていくでしょう。情報の保存、それを引き出す場として図書館は今後も重要視され続けるとは思いますが、それよりも知識を生産できる、ということがより重視されるようになります。これからは、情報のコレクションよりも それをいかに繋ぐか、というコネクションへ注目がシフトしていくと思われます。また、コネクションの次にはいかにコミュニケーションを取るか、という、ことに注目が移っていくと思わ

れます。コミュニケーションとなると、これは複数の人、その人たちの活動や個 人々の情報へのインターフェース、ネットワーク、知的アクセスへのニーズが関わってきます。図書館は、場として、人々がそれぞれ自分のペースで生涯、一人でも、学び続けることが出来るようなインフラと環境を整えて提供することが必要となってきます。個人や複数の人々が何かしらの知識を生み出すには、色々な目的をもった複数の種類の場を必要とします。人々が様々な情報に意図しなくても出会えるような場をつくりだすことができる、というのが望ましいと思います。同時に、図書館は、多様な情報が飛び交い、目まぐるしい変化を遂げるこの時代には、落ち着いてゆっくり考え事が出来る場でもなければなりません。人がひと時立ち止り、振り返って

考えることが出来るスペースがあれば、と思います。

図書館建築物の最近のトレンドを教えてください。過去20年~30年、図書館はどこも似たような、機能的で開放的なスペースを提供し続けてきました。建築家達も図書館員も、90年代より、図書館の新しい形、というものを考え続けてきています。現在のトレンドとしては、まず建築物としてシンボル的な、驚きのある、マルチ機能やマルチ メディア環境を整えたデザイン性の高いインテリア(応接ラウンジを中心とした)をもつ建物です。学術図書館に、より公共性とサステナビリティを持たせたものが、これからの主要と言えます。

“コレクションからコネクションへ”

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オックスフォード大学出版局は、 The Journal of American History 及び OAH Magazine of History の出版社としてOrganization of American Historians (OAH)に選ばれたことを今年5月に発表しました。  OAH代表のDavid A. Hollinger氏は、「OUPとのパートナーシップを大変喜ばしく思っています。これでジャーナルの出版・販売の継続が保証されるだろう」と述べました。出版が完全に移行されるのは2011年からになります。

OUPではその他の新規・移管タイトルの出版にも力を注力していて、2010年の移管タイトルで医学系では米国感染症学会の Clinical Infectious Diseases と The Journal of Infectious Diseases が追加され、そして人文系では The Quarterly Journal of

Economics と The Review of Economic Studies が増えることになりました。

人文系では非常に評価の高いジャーナルであるこの2つのタイトルが来年から追加になることによって、分野別コレクションにも新たに経済・金融分野が増えることになりました。このコレクションには、経済・金融全体をカバーするジャーナルだけではなく、金融学、開発経済学、農業経済学、環境経済学、そして法と経済などを専門的に取り扱ったジャーナルも含みます。

医学を研究する学生や医師、看護師、医学研究者にとっては今年夏、 Oxford Medical Handbooks Onlineプロジェクトの第2弾の発表に伴い、他に類を見ない膨大なメディカルハンドブックシリーズがオンラインにてアクセス可能となります。第2弾の発表で、Oxford Medical Handbooks、 Oxford Handbooks in Nursing と Emergencies から新しいタイトルがリリースされます。これらのタイトルの追加によって、シリーズ最高の78タイトルもの膨大なコレクションに アクセスが可能となります。

昨年、パイロット的に行ったオン

ライン出版の結果、市場のニーズが高いことが明らかになり、特に様々な分野のコンテンツが必要とされることがわかりました。このニーズに答えたのが今回の第2弾のリリースであり、この秋から、各図書館がそれぞれのニーズに応じてタイトルを選んで独自のコレクションを作ることが出来る販売モデルを採用しています。7月から秋の本格始動までは、 要望に応じて無料トライアルを実施いたします。

また、コンテンツのオンライン掲載以外にも、独自のポータルも用意し、メディカルハンドブックが一つの

ポータルから見られるようにします。このポータルから、メディカル系の ジャーナルや他のオンライン書籍、そしてOxford Scholarship Onlineにもリンク設定を行います。

このプログラムへのご意見・感想、より詳しい情報をご希望の方はメディカル系マーケティング担当のAlison Bowkerまでメールをお送りください。[email protected]

オックスフォード大学出版局はInformation and Library Network (INFLIBNET) Centreと提携し、今後3年間をかけて6,000以上ものインドの大学に206タイトルのジャーナルを提供します。

INFLIBNETはインド政府により確立されたインフラシステムで、今後、国内の図書館や情報機関が情報を共有できるようになります。

INFLIBNETの責任者である

Jagdish Arora氏は、「この計画は非常に好意的に受け止められていて、計画に賛同しシステムに参加する 大学は後を絶たない。我々はOxford Scholarship Online や E-book の コレクションを含め、更に提供出来る情報を増やしていくつもり」と述べています。

オックスフォード大学出版局では検討の結果、医学、歴史学、法学、経済・政治学他、多岐分野に渡る

200以上のジャーナルを選び、コレクションに加えることとしました。 これらの中には、非常に高いインパクト・ファクターを持つ Journal of the National Cancer Institute、 Political Analysis や European Heart Journal などのタイトルも含まれています。

当初6巻セットとして2004年に初版印刷された Oxford History of Western Music は他に類を見ない詳細なクラシック音楽の歴史を掲載した書籍です。

著者であるRichard Taruskin氏は現代の音楽研究者として最も有名な一人として知られています。素晴らしい観察や音楽分析、そして音楽のみならず、歴史・文化・政治・芸術・ 文学・宗教と音楽を組み合わせて パノラミックに分析した内容は「我々の文化の理解に概念的な思想をもたらした」(Times Literary Supplementコメント)、OUPの編集者であるNancy Toff氏も、「これは非常に深い知識を得られるだけではなく、ところどころに驚きや発見を見つけることが出来る、非常にチャーミングで興味深い書籍」と評価しています。

オンライン版は2004年の改定版で、テキスト部分の見直しもされて おり、また2009年用にそれぞれの巻のために新しく書かれたイントロダクションも含みます。また、テキストだけではなく、多くの画像や楽曲のサンプルも含み、全69章の参考文献リストや著者Taruskinのオリジナルコメントもあります。

更に、オンライン版の特徴として、Oxford Music Onlineを契約している読者には、Grove Music Onlineへのリンクも含みます。

OXFORD HISTORY OF WESTERN MUSIC オンライン掲載中

Captain America Comics表紙画像 #1号 (1941 3月), Marvel Entertainment, LLC協力.

新規移管ジャーナル… そして新コレクション

ジャーナルのご購読、無料オンライン体験版、その他情報をご希望の方はこちらのメールアドレスへお問い合わせください。[email protected].

より詳しい情報はこちらのメールアドレスへお問い合わせください。 アメリカ大陸以外:[email protected] アメリカ:[email protected]

オックスフォード大学出版局、インドの大学にジャーナルを提供

OXFORD MEDICAL HANDBOOKS オンラインコンテンツを掲載

| NEWS

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INTERVIEW |

学術書籍とジャーナル部門のディレクター、Martin Richardson氏が 今年6月、退職しました。Richardson氏は21年間に渡ってOUPで書籍や学術ジャーナルの出版に 携わり、その間、初めてジャーナルをオンライン出版させ、新しいビジネスモデルの試みやジャーナルの流通 開拓など様々なことに挑戦し続けてきました。

以下はRichardson氏が、OUP所属20年のうち、主に携わってきた学術ジャーナル出版の経験、印刷物からデジタルへの移行やオープンアクセスについて、出版の新技術、そして図書館の将来についてIllumineaに語ったインタビュー内容を掲載しています。

OUPがオンライン化をスタートしたのは90年代の初期のことです。冊子体印刷出版からデジタル出版に移行した当時はいかがでしたか。私は非常に恵まれており、時代が大きく変動する、まさにそのときにOUPで働いていました。インターネットの普及によって、500年間続いた我 、々印刷・出版業界に、デジタル出版社としての新たなチャンスが与えられたのです。始めのころは色々な間違いもおかしました。出版のプロセスも最初から見直さないといけませんでした。最初は問題の大部分が技術的なことでしたが、それ以外にも多くのスキルを学びなおさなければならず、それは出版プロセス自体にも反映されました。現在では、240以上もの多岐に渡る分野のオンラインジャーナルが出版されています。

貴方は常にジャーナルの流通という点でも試行錯誤されていたと思います。2005年にスタートしたオープンアクセスという、著者が出版費用を負担することで論文をネット上で無

料公開するモデル「オックスフォード・オープン」についてお話いただけますか。オンライン出版は、従来では考えられなかった、世界へジャーナルを流通させる上で全く新しいビジネスモデルの可能性を提示してくれました。オープンアクセスはその一つのモデルにすぎません。我々は、それまで、 読者が対価を支払って論文を読むという購読システムをとっていたジャーナルを、全オープンアクセスという形態で世に提供した最初の出版社の一つです。それだけではなく、90以上のタイトルで、著者にオープンアクセスを選択できるオプションを提示しました。このオープンアクセスモデルが、比較的裕福なスポンサーがついている自然科学系のジャーナル以外でも有効な、汎用性の高いビジネスモデルとなるかどうか、まだ結果は出ていません。

では、ジャーナルの平均的な論文の被引用回数を用いて、その品質を図るとされている指標、インパクト・ ファクターについてはどのように思われますか。他に品質を見定める有効な指標はあると思いますか。インパクト・ファクターはジャーナルの品質を図るために開発され、定評を得ている一つの指標です。その方法には色 と々問題もあるとされていますが、これまで代わりとなる指標が出てきていないのも事実です。 利用回数をベースとした指標(利用ファクター)であれば、多岐に渡る分野を同時に評価する、インパクト・ ファクターを補助する指標になりうるかもしれません。その他にも様々な指標が現在、検討されています。

OUPジャーナルは査読(ピア・レビュー)という、投稿された論文をその分野のエキスパートが匿名で審査を

するシステムが使われていますが、この査読システムは審査を遅らせる、欠陥の多いシステムだという批判もあります。これについてはどう思われますか。確かにこのシステムには問題もありますが、インパクト・ファクターのように、査読はすでに十分確立されたシステムです。編集者がジャーナルに相応しい論文を選考するため、また、著者にとっては更に良い論文を書き続けるための評価コメントを得られるシステムとして、良いものだと考えます。これまでに他のシステムも検討されてきましたが、現在のところ、査読システムを超えるものはないようです。

学術研究論文の出版にとって、携帯からのネットアクセスなど、新しい技術はどのような影響があると思われますか。これからの10年、新技術はますます論文の流通・浸透にとってインパクトを与えるものと思われます。どの技術が出版ビジネスに大きな影響を与えるか、それを予測するのは難しいですが、ユビキタス技術を持つ携帯ビジネスが論文の流通に大きな影響を持っても不思議ではないと思います。

学術図書館は今後、どうなるでしょうか。今後、更にデジタル化が進むうえで、出版社、特に大学出版は どのように図書館と協力し、明るい将来を築いていくことが出来るでしょうか。出版社がデジタル化に対応しようとしているように、また、図書館も新しい時代の彼らの役割、デジタル情報のプロバイダとしての役割を受け入れなければなりません。最近USで行われたIthakaによるアンケート調査によると、図書館の、「資料の門番」としての役割は徐々に薄れており、それ以上に「資料の購入者」としての役割が強くなってきているようです。我々大学出版は、研究論文を選ばれた少数の読者だけではなく、広く多くの人に読んでもらえるように努力してきました。また、アドバイザリー・グループという活動を通して、図書館と図書館員の変化するニーズに対応できるようにしています。

インターネットは500年以上の間冊子体印刷を続けてきた我々に、デジタル出版社として新たにスタートする大きなチャンスを与えてくれた

INTERVIEW

学術ジャーナル20年もの試行錯誤と挑戦の日々

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年前半、OUPでは、デジタル情報保存についての ウェブアンケート調査を

行い、475名分の回答を得ることが出来ました。回答者の国籍は主に 北アメリカ及び欧州が多かったものの、世界各地から回答をも得ることが出来ました。図書館の種類では、大部分が大学図書館、一部、医学・薬学図書館、企業図書館、政府図書館からの回答もありました。

 オックスフォード・ジャーナルでは以前よりKoninklijke Bibliotheek、 Portico、LOCKSS、などとの契約によってデジタル情報保存に取り組んできました。これは2008年にAssociation of Learned and Society Publishers (ALPSP)から出版されたデジタル情報保存戦略レポートに

よって我々自身がデジタル情報保存について見直すことから始まったプロジェクトですが、OUPの社内の取り組み方やその戦略を考え直すに当たって浮かび上がった疑問が「そもそも我々のデジタル情報保存戦略は、顧客である図書館のニーズや 期待に沿うものであるだろうか」と いうことです。図書館のニーズや期待をより詳しく知るため、我々はALPSPレポートを再度読み返し、現在のデジタル情報保存についての意見をまとめるため今回のアンケート調査を企画した次第です。

 アンケートの結果、回答者の85%がデジタル情報保存の問題は図書館にとって「とても重要」もしくは 「重要」と認識していることがわかりました。これはALPSPが行ったアンケートの結果の91%という数値と非常に良く似た回答傾向と思われます。なお「デジタル情報の長期保存に関して何か手立てを検討しているか」については、46%と半分以下が何も手段を検討していないことが明らかになりました。ただし、アンケート結果内容をさらに詳しく分析すると、デジタル情報保存がどういうことか、またどのような手段が保存といえるのか、図書館によっては理解が曖昧であることもわかりました。

誰がデジタル情報保存の責任者となるべきだと 考えますか?

このアンケート調査では、長期デジタル情報保存の意味を「アカデミックな文献・情報を、将来の学者・研究者や学生がアクセスできるように保存することを目的とする」に限っており、購読キャンセル後のアクセスについての問題は省いたつもりでしたが、回答を読むと質問の意図が上手く伝わらなかったように思われます。これは通常、デジタル情報保存の問題を検討するとき、この、購読キャンセル後のアクセスの問題も含むからだと思われます。

質問の意図が十分に伝わらなかったことによる回答の分析の難しさもありましたが、それでもアンケートによって明らかになったこともいくつかありました。例えば、オックスフォード・ジャーナルが取り組んできたこれまでの情報保存については、 図書館も賛同していることがわかりました。特にPortico(44%)、そしてLOCKSS(35%)、CLOCKSS(13%)の取り組みは評価されていることがわかりました。我々にとって予想外 だったのは、図書館がそれぞれ独自のサーバにデータをダウンロードしているケースが非常に多くみられたことです(44%)。うち、特にPorticoなどのプログラムに参加していない

と回答した43%は出版社に頼ると回答していて、また、情報保存のプログラムに参加しない理由として41%は費用の問題と答えています。

長期情報保存について誰が責任を負うべきか、については、図書館と出版社が協力し合うことが望ましいとの回答が多く、またその場合は 国会図書館がより大きな役割を担うべきと考えていることも明らかになりました。さらに、このアンケート調査では誰がデジタル情報保存のための費用を負担すべきかという難しい質問も問いかけてみましたが、これについても図書館と出版社の協力によって行うべきとの回答が最も多く見られました。

アンケート調査の結果分析を終えて、我々は、これまでのOUPの戦略を変えるべきではなく、むしろ、状況が不透明である以上、現在は引き続きこれまで通りの戦略を続行することが良いという結果にたどりつきました。OUPの現在の取り組みは、 図書館もサポートしている戦略であるということが明らかになったのです。そして、調査を行うことで我々は、デジタル情報保存についてはこれまで以上の知識が必要であり、 図書館やその先の学者・研究者にもこの問題をより理解してもらうために自ら活動しなければならないこと、解決策を見出すにはより注意 深く、より深く検討しなければならないことがわかりました。このアンケートの結果は今後の活動に重要なディスカッションの材料として、 UKSG、NASIGにて報告を行いました。年内には報告書のウェブ掲載を予定しています。

| FEATURE

デジタル情報その保存の目的と今後の対応

OUPの情報保存取り組みと図書館の情報保存への意識についての調査結果

Colin Meddings、シニアライブラリマーケティングマネージャ、 OUP

85% の回答者は、デジタル情報保存の問題が図書館にとって

「とても重要」もしくは「重要」と考えている

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INSIGHT |

来の学術図書館プロジェクトに関わる図書館 そして図書館員達は、教

えること、学ぶこと、研究することが将来どのように変化しているか想像し、そしてこれらの新しい環境が図書館や所属機関にどのような影響をもたらすのかを考える、ということに挑戦・取り組んでいます。図書館は常に3年~5年というスパンで将来の計画を立てることに慣れていますが、このプロジェクトはさらにずっと先の2050年までを見据えて考える良いチャンスを与えてくれます。

このプロジェクトはBritish Library, JISC, Research Information Network, Research Libraries UK, and SCONULの協力によって成り立っていて、 Curtis+Cartwright Consulting Ltd(SAMI Consultingとの共同で)は2010~2011年にシリーズでワークショップを開き、高等教育に携わる幅広い関係者からアイディアを 収集しています。このワークショップシリーズのうちいくつかはすでに今年の2月と3月に行われ、私も参

加しましたが、この我々の遠い未来を考えるワークショップは非常に興味深いものであると同時に少し気がかりな点もあり、とても考えさせられました。初回のワークショップでは、将来の高等教育を考えるにあたってマクロ的でグローバルな要因を検討しました。例えば、経済、金融、富、グローバリゼーションや温暖化が与える影響についても検討しました。小グループに分かれたディスカッションで目立ったのは 楽観的な見方と悲観的な見方をする人に分かれたことです。2回目のワークショップではより具体的な内容に移り、実際に考えられるシナリオにそって検討しました。

ワークショップで特にポイントとなった質問は:• 高等教育の価値観は自由、 

もしくは固定されたもの?• 重視するのは生徒の数(量)、

もしくは質?• 高等教育をリードするのは

国、もしくは市場?

この質問の答えをそれぞれ組み合わせることによって、いくつかのシナリオを検討しました。結局シナリオは6つあがり、これを小グループで検討しました。そのうちの一つが 「ユーティリティモデル」です。多様な価値観、国の費用負担、生徒数重視、という設定だと高等教育は将来どのようになっているのだろうか。どうやって最終的このモデルに到達し、このモデルの環境の

中で学んだり研究したり、仕事をするということはどういうことであろうか。国ではなくて市場がリードするニッチモデルで自由な価値観をもち、量より質を重視した場合は違う結果になるだろうか。

これから夏にかけて、更にいくつかのワークショップが開催される予定で、そこではこれらのシナリオをより具体的に検討していく予定です。

私は、この非常に自由でクリエイティブで、考えられないほど遠い未来について考える発想にとても感銘をうけました。近い将来についてはある程度予想をすることが可能で、的確さを求められたりもしますが、途方もない将来のことについて考えることは当たる予想をしなければならないというプレッシャーがなく、自信をもって自由に想像することができました。

私は楽観主義者です 

シナリオによっては図書館や図書館員にとってはあまり明るくない未来を想像せざるを得ません。退廃していくシステムや機関の真っただ中にいることも想像できますし、我々がいる図書館・機関の規模も

非常に小さくなって巨大な中央政権的な教育機関のほんの一部に縮小していることも考えられます。情報テクノロジーの発達によって、中央から教え・学ぶのに必要なシステムが非常に画一的に配信されることもあるかもしれません。これによって、それぞれの図書館の特性が消されてしまうおそれもあります。物理的に図書館、という場所を提供することも必要なくなるかしれません。技術の更なる発展によって、図書館員が培ってきた資料や教材を収集したり、整理したり、教授や学生が様々な資料を使いこなすための知識も価値がなくなるかもしれません。

ただ、私は事態を非常に楽観的に考えていて、今回のことも「コップの水はまだ半分もある」というくらいに考えています。人間は社会的・組織的な生き物であり、そのこと自体は今後も変わらないと考えているからです。

我々は他の人間と関わっていたいし、そういう場所-考えたり、話し合ったり、討論したり、一緒に楽しむことが出来る場所、というのが必要だと思っています。だから図書館員は、そのニーズに答えるために、更にユーザの考えをくみ取り、彼らが必要とするサービスを必要とされるときに提供する、それもユーザ個人個人に合わせたサービスを提供することが求められるのだと思います。将来は、更に情報の生産も消費も激しくなり、それを整理する術も必要とされると思います。ただし、今までとはおそらく違う方法や違うツールを使うことになると思われます。よって、情報を検索する、評価する、それらを学び・教え・研究に使うことはこれまで以上に重要になり、それが出来ることが今後の図書館員に求められることだと考えています。

このプロジェクトに関するより詳細な情報はこちらから: http://www.futurelibraries.info/

Nicola Wright、情報サービスマネージャ、London School of Economics and Political Science(ロンドンLSE大学)

私は楽観主義者で、コップの水はまだ半分もある、と考えています。人間は社会的・組織的な生き物で、 それは今後も変わらないと思うから。

コップの水はまだ半分もある

未来の図書館プロジェクト:

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| DIRECTORY

アフリカ

10th Southern African Online Information Meeting 8月4~5日 プレトリア、南アフリカ 担当:Graham Grant、オンライン部門[email protected]

アジア

Academic Solution Seminar7月2日 東京(日本)担当:Kazunori Oike、ジャーナル部門[email protected]

2010 International Caring Seminar7月15~16日 台北(台湾)担当:Liu Liping、ジャーナル部門[email protected]

BIBF 20108月30日~9月3日 北京(中国)担当:Liu Liping、ジャーナル部門[email protected]

LARMLC 20109月2~3日 台北(台湾)担当:Ivy Yu、ジャーナル部門[email protected]

PULC Publishers day9月15日 大阪(日本)9月17日 東京(日本)担当:Kazunori Oike、ジャーナル部門[email protected]

JMLA/JPLA Publishers day9月 東京・大阪(日本)担当:Kazunori Oike、ジャーナル部門[email protected]

オーストラリア

IMPACT NSW 7月13~16日 オルバリー、NSW 担当:Marika Whitfield、オンライン部門[email protected]

ALIA 9月1~3日 ブリスベン担当:Marika Whitfield、オンライン部門[email protected]

Australian Law Libraries Association Conference 9月29日~10月1日 メルボルン担当:Marika Whitfield、オンライン部門[email protected]

欧州

The 2010 CILIP Health Libraries Group Conference7月19~20日 マンチェスター(英国) 担当:Mary Robson、オンライン部門 [email protected] 担当:Hannah Dernie、ジャーナル部門[email protected]

EIFL General Assembly 8月6~8日 ルンド(スウェーデン) 担当:Adina Teusan、オンライン部門[email protected] 担当:Wolfgang Steinmetz、ジャーナル部門[email protected]

IFLA8月10~15日 ゴテンバーグ(スウェーデン)担当:Adina Teusan、オンライン部門 [email protected]担当:Matthew Howells、ジャーナル部門[email protected]

BIS 9月1~4日 ローザンヌ(スイス) 担当:Katharina Baier、オンライン部門 [email protected] 担当:Wolfgang Steinmetz、ジャーナル部門[email protected]

ODOK9月21~24日 レオーベン(オーストリア) 担当:Katharina Baier、オンライン部門 [email protected] 担当:Wolfgang Steinmetz、ジャーナル部門[email protected]

Frankfurt Book Fair 10月6~10日 フランクフルト(ドイツ)担当:Wolfgang Steinmetz、ジャーナル部門[email protected]担当:Katharina Baier、オンライン部門[email protected]

北アメリカ

American Association of Law Libraries7月10~13日 デンバー、コロラド担当:Chloe Hennin、ジャーナル部門[email protected]担当:Alexandra Mele、書籍&雑誌・法部門[email protected]

Illinois Library Association9月29~30日 シカゴ、イリノイ担当:Nancy Roy, 学術&レファレンス ライブラリーセールス部門[email protected]担当:Belinda Hayes、ジャーナル部門[email protected]

Mid-Atlantic Chapter of the Medical Library Association Conference10月13~15日 チャペル・ヒル、ノースカロライナ担当:Chloe Hennin、ジャーナル部門[email protected]

学会・会議当出版局が2010年7月~10月前半に参加出席する主要な学会・会議一覧です。一覧に掲載されている学会・会議に出席される場合は、ぜひ当局ブースにお越しください。なお、当日詳細な打ち合わせをご希望の場合、学会・会議出席担当者まで事前にメールにてお申し込みください。

打ち合わせの予約、その他のお問い合わせは学会・会議出席担当者までメールにてご連絡ください。

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ジャーナル連絡先OUPは、図書館(単独または複数施設)やコンソーシアムがパッケージ(オックスフォードジャーナルコレクション)として、または図書館利用者のニーズに合わせて選択的にカスタマイズしてご利用いただける、220 誌以上の学術ジャーナルを出版しています。過去にさかのぼるバックファイルも、Oxford Journals Archiveからご利用いただけます。

販売 製品情報、無料体験版のリクエストおよび見積は、[email protected]までメールをお送りください。販売担当者に個別に連絡するには、www.oxfordjournals.org/for_librar-ians/quote.html サイトよりご連絡ください。

マーケティング

図書館利用者への販促に関する宣伝用資料 およびお問い合わせは、[email protected] までメールでお問い合せください。

カスタマーサービス オンラインアクセスや印刷物についてのお問い合わせ、技術的なサポート、また、支払・請求書についてのお問い合わせを含む、カスタマーサービス宛てのお問い合わせは、当出版局のサポートチームにご連絡ください。

アメリカ大陸[email protected]+1 800 852 7323(米国・カナダからのフリーダイヤル番号)

日本・韓国[email protected]+81 3 5444 5858

その他の地域コンソーシアムのお客様[email protected]+44 (0)1865 354949

コンソーシアム以外のお客様[email protected]+44 (0)1865 353907

オンラインプロダクツ 連絡先オックスフォード大学出版局では、多くのオンラインプロダクツを提供しています。当局の評価の高いものには、Oxford English Dictionary、Oxford Dictionary of National Biography、Oxford Reference OnlineおよびOxford Scholarship Online などがあります。

販売

製品情報、体験版のリクエスト、および見積は、メールで営業チームへお問い合わせください。

全世界(アメリカ大陸以外)[email protected] +44 (0) 1865 353705

アメリカ大陸[email protected]+1 800 624 0153

マーケティング

図書館利用者への販促に関する宣伝用資料 およびお問い合わせは、下記メールアドレスへ お問い合せください。

全世界(アメリカ大陸以外)[email protected]

アメリカ大陸[email protected]

オンラインサポート オンラインアクセスへのお問い合わせ、技術的なサポート、また、支払・請求書についてのカスタマーサービスへのお問い合わせは、下記メールアドレスへお問い合わせください。

全世界(アメリカ大陸以外)[email protected]+44 (0) 1865 353705

アメリカ大陸[email protected]+1 800 334 4249 (ext 6484)

トレーニング

オンライン製品のご利用方法に関するトレーニングのご希望は、オンライン製品スペシャリストにお問い合わせください。

全世界(アメリカ大陸以外)Mark [email protected]

アメリカ大陸Taylor [email protected]

オックスフォード大学出版局の主要連絡先オックスフォード大学出版局の、出版物・サービスに関するご質問やお問い合わせは下記連絡先へメールまたはお電話にてご連絡ください。

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| INSIGHT

セマンティックウェブは 変革をもたらすか?

Richard Wallis氏、 独創的な企業として知られるTalis社のリーダー

Linked Data と セマンティックウェブ

セマンティックウェブはSir Tim Berners-Leeによって2001年に初めて提唱されました。セマンティックウェブは、単独のデータに意味付けをして互いにリンクすることで、単なるデータベースを一つの巨大な知識のネットワークを作り上げるという構想です。Linked Dataはこのセマンティックウェブを 構築するためのツールの一つです。まだ初期段階にはありますが、メタデータがリンクされた、政府、メディアや組織などの膨大なデータが、ウェブ公開されています。

書館は、図書館として存在を始めたときからテクノロジーの最先端に位置

し、それを利用してきました。印刷された冊子体と紙のカード目録作りから、コンピュータの導入など、図書館はより良いサービス提供のために新しい技術を取り入れてきました。古くは巻物の資料の隅につけられた分類用の札(タグ)から、今日、 図書館マネジメントシステムとして使われているMarcレコードまで、技術の大半は、いかに図書館が保有する図書や情報の膨大なメタデータを整理し保存するかに使われてきました。出版業界でも、プレス機械の時代以降、似たような技術の進化を遂げてきました。結局、基本的には、新し技術はほとんど、製品の製作とその流通や保存管理、という 目的に使用されてきました。今では物理的な製品がより、電子上だけの製品・サービスにとって代わっているだけです。よって、図書の管理用 メタデータとそのメタデータの品質については、出版物を製作し流通 させる出版社にとっても、それを 保存管理する図書館にも、両方に 通ずる問題なのです。

当初は、図書メタデータは図書館員がユーザのために図書を探す目的として主に使われていました。最近では、ユーザが直接、メタデータを駆使して本や資料にアクセスできるようになってきています。電子目録の導入は図書をユーザに直接届ける効率的な手段として大きな役割を 果たしました。ユーザが自分で検索することができるこのセルフサービス的なシステムを導入したことによって、図書館員は、従来の木製の カタログ棚と紙の目録カードを使用していたころよりも、そして実際にユーザに対面応対するよりも、より 多くのユーザを効率的にサポート できるようになったのです。

ところが、出版社ではこのような変化は今のところ見られません。 電子システムを導入してからも、 図書館のような爆発的なユーザが直接アクセスをしてくるようなこともなく、未だにアクセスは個人よりも機関からが多いというのが現状です。出版社のウェブサイトは、個人 ユーザが情報を簡単に引き出せる場というよりも、出版社が自らの製品やサービスを潜在ユーザにPRする場となっているようです。

どのように図書の情報を記載するか、出版社の図書情報の何をどう整理して目録に記載するか、については以前から図書館員にとって非常に 時間がかかり、経験とスキルを要する仕事でした。決まった型を使ったカード目録の 導入でそれはかなり単純な 作業となり、1901年に情報の共有化と図書資源の削減のためにアメリカ議会図書館が始めた、図書情報を予めカードに印刷するというシステムは多いに作業効率化に役立ちました。1960年代には、コンピュータの登場によって、図書館はオンラインコンピュータライブラリセンター(OCLC)やBirmingham Libraries Cooperative Mechanisation

Project(BLCMP、Talis社の前社)という情報整理・カタログ作成を専門に行う組織と協力することで、更に作業を効率化することに、成功しました。

なお、現在においてもOCLCやBLCMPの組織は、メタデータ 作成作業の効率化に貢献しています。

このように新しいテクノロジーによって図書メタデータに関わる作業の様子は以前とだいぶ変わってきました。しかし、結局、作業方法が変わっただけで、メタデータを個々の図書館が作成する、という作業自体は何も変わっていないのです。メタデータの作成自体は出版社や他の機関にて行われて、図書館員の作業の効率化はされいるかもしれませんが、昔のように、図書館員が巻物の隅に札をつけたときと同じことを新しいテクノロジーを使って行っているだけなのです。

ところが、ついに、この延 と々続いてきた作業そのものを根本的に変える、パラダイムシフト的なテクノロジーが出現したのです。

Linked Data新展開に向けて

Sir Tim Berners-Lee提唱のLinked Dataは、個々の単語データに意味のあるタグをつけて、コンピュータが自動的に情報を収集、解釈及び分析を行うことを可能としました。これによってインターネットを 単にデータの集合体から、知識データベースへ変えるというセマンティックウェブという構想が、従来の図書館のカタログ作成という作業を根本的に変えることになると考えています。 Linked Dataの世界では、どの単語、例えば著者名、分野、メディアのフォーマットの種類、出版社や他、個人がつけた様々な単語のタグが意味のある情報の要素となります。このような考え方の元では、現在まで図書を検索するための単語を含んだカタログ目録は、著者という情報にたどりつくため、または調べ

たいある分野という情報にたどりつくための情報リンクを集めて掲載したリンクの集合体、ということになります。セマンティックウェブはネット上に構築されているゆえに情報はすべてグローバルに共有することが可能です。この、セマンティックウェブのグローバルな性質が、図書館及び出版社の今後を変える鍵となるのです。

図書の情報リンクがグローバルに共有されると、個々の図書館で情報を持つ必要がなくなります。つまり、図書情報は今後、個々の図書館で持つものではなく、全世界で共有するものに変わっていくことになるでしょう。同様に、出版社の図書メタデータがリンクされるようになってくると、データの正確さという品質を問う必要性は消え、各図書館が行っていたカタログ作業というものも不要と なります。

もちろん、経験やスキルを持つカタログ担当者は今後も必要とされ続けるでしょうが、必要とされる数は激減するでしょうし、国会図書館などの中心的な図書館や組織に数名いればこと足りるという状況になるかもしれません。このような変化は一夜にして起こるものではなく、更に、今後数年のうちに起る可能性も少ないと思われます。ただし、10年後ではどうでしょう。10年後には、情報のとらえ方や扱い方がこれまでと全く異なっているかもしれないですね。