古地磁気年代測定法の考古学・人類学への応用 富山 …古地磁気年代測定法の考古学・人類学への応用 富山大学理学部酒井英男 (1)古地磁気年代測定
GPS時代の測地学nishishu.net/geod/geodesy.pdfGPSは測地学を変えた GPSの登場で、...
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GPSは測地学を変えた
GPSの登場で、 測地学が大きく変わった。
①地球座標系の確立(重心位置、地球自転軸方向、自転速度の高精度決定)
②グローバルな測位の実現(地表面地形としての“地球の形”の直接測定)
③GPSと物理測地学の結合:(GRACE等のミッション
による詳細な地球重力場(ジオイド)の決定。 重力場の時間的変化の探求。)
①:地球座標系の確立
地球座標系とは、地球に固定された座標系である。
地図を作製したり、地球上での位置を表すために使われる。
歴史的には国毎にローカルな地球座標系(測地基準系と呼ばれる)が使われてきた。
20世紀の終わりごろから、グローバルな地球座標系が測地基準系として導入され始めた。
測地基準系
測地基準系とは、その国で位置を表現する基準となるものである。
測地基準系は地球座標系と回転楕円体で構成される。
回転楕円体は、位置を経度、緯度で表すために導入される。
測地基準系に採用された地球座標系が測地座標系であり、採用された回転楕円体は準拠楕円体と呼ばれる。
測地基準系の歴史
ローカルな測地原点に基づく測地座標系(例:旧日本測地系、アメリカNAD27、・・)
とローカルな準拠楕円体(例:ベッセル楕円体、クラソフスキー楕円体、・・)
↓
グローバルなネットワーク型地球座標系(例:ITRF,WGS84、・・)
グローバルな準拠楕円体
(例:GRS80、WGS84、・・)
準拠楕円体(a,b)
ローカルに決定
h0
φ0
Φ0
測地原点
α0
A0
Λ0
H0
λ0 東京湾平均海面
天文経緯度観測
天文方位角観測
GPS以前の測地基準系
Λ0
Φ0
A0
H0
=α0
=φ0
=λ0
=h0
準拠楕円体を測地原点の観測値を使って地球に固定した。
最新の地球座標系
ネットワーク型の座標系
ITRF(国際地球基準座標系)
IERS(国際地球回転観測事業)によって決
定される座標系。ITRF89、ITRF94、ITRF2005・・・
WGS84
DoD(米国)がGPSのために構築した座標系
最新の地球座標系の構築
1)位置の分かった観測点での宇宙測地観測
2)その結果、地球重力場、地球自転軸方向についての詳しい値が得られるとともに、地球重心に基づくより精度の高い観測点位置座標が決定できる。
1)~2)を繰り返すことにより観測点位置座標をより高精度なものに更新できる。 このようにして得られた観測点位置座標の集まりで、地球座標系を構築(実現)している。 ネットワーク型の座標系。
例:WGS84、ITRF
観測モデル
f(La、xa)=0
La :観測量 xa :未知量(観測点座標等)
たくさんの宇宙測地観測を行い最小二乗法で未知量を求める。
0),,,,,( 21211 auaaanaa xxxlllf
0),,,,,( 21212 auaaanaa xxxlllf ・・・・
0),,,,,( 2121 auaaanaar xxxlllf
GRS80楕円体
測地原点のITRF座標
h0
φ0
λ0
測地原点
ITRF座標系
),,(),,( 000000 hZYX
現在の日本測地基準系
平均自転軸
地球重心
Z
X
Y
測地原点には地球座標系の位置座標を与える。
GPS 以前
・測地座標系は測地原点1点だけの
観測で決定
・ローカルな準拠楕円体
ローカル
地球重心に関係しない
GPS時代
・世界中数百点の観測点で代表される
ネットワーク型の地球座標系を導入
・グローバルな準拠楕円体
グローバル
地球重心座標系
測地基準系
特徴
②:グローバルな測位の実現
GPS以前は
(二次元(水平位置)+一次元(高さ))で表すローカルな測位
観測点での鉛直線方向に影響された測位
GPS時代は
グローバルな三次元測位
観測点での重力場に依存しない測位
u
(上)
n(北)
e(東)
P1
P2
Z
A
S
Δn
Δe
Δu
ZS
AZS
AZS
u
e
n
PP
cos
sinsin
cossin
21
測位の基本
位置が既知の基準点 P1と未知点 P2
との間で観測を行いP2の位置を決定
ローカルな局地座標系での測位
測地座標系 u上
Z
X
Y
Φ
Λ
天文経度
ΔY
e東
n北
ΔZ
Δn
Δe
Δu
P2 未知点
鉛直線方向
P1 基準点
局地座標系
天文緯度
O
測地座標系での測位は実際には複雑
鉛直線の向きが場所により変化
測位が鉛直線の方向
(観測点での重力場) に依存する。
鉛直線
鉛直線
局地座標系1
局地座標系2
観測点毎に鉛直線の向きが異なる。
古典的な位置観測は重力場の方向(水平面や鉛直線に依存する。 例えばトランシットによる角度観測は鉛直線の方向に基づくから、鉛直線の方向により角度観測値は変わる。
大気屈折
高度角観測の誤差
P1
P2
ZS
AZS
AZS
PP
cos
sinsin
cossin
21
P1からP2への観測で方位角Aは良く決まるが
高度角Zは大気屈折の影響で良く決まらない。
N
A
高さ方向の大気屈折が問題を更に複雑化する。 :観測ベクトルが誤差で歪み高さ方向が良く決まらない
u上 P2
e東
n北
A
Z
S
P1
Q1
Q2
s
α
子午線
準拠楕円体面上での位置決定
A: 観測方位角
↓
α:測地方位角
S:空間距離
↓
s:測地線長
観測値の化成
古典的な解決法: 測位を2次元+1次元に分解 2次元:準拠楕円体面上で
位置計算を行う三角測量
1次元:高さは三角測量では精度
を犠牲にし、高精度の高さ
は水準測量で行なう。
GPSによる測位 観測点での重力場に依存しない測位
GPS観測は、極めて幾何学的な観測である。
GPS衛星測位は、観測点での鉛直線の向きに影響されない
地球重力場はGPS軌道位置の計算を通して間接的に入ってくるが、その影響は小さい。
b)重力法
重力のポテンシャル理論から
地表面での重力観測:g‘
ジオイド上での(化成)重力値:g
重力異常の計算:Δg=g-γ、(γ:正規重力)
ストークス積分の計算
ジオイド高=
gdSR
N )(4
c-1)衛星法-1 軌道観測によるジオイド決定
地球の引力ポテンシャルを球関数に展開
衛星の軌道観測から球関数の係数を決定
重力ポテンシャルの決定
ジオイド高の決定
)(sin)(sin1 33
3
22
2
PJr
aPJ
r
a
r
GMV EE
)(2
222
yxVW
/)( UWN
楕円軌道の変化
赤道面
軌道面(t)
春分点方向
極
昇交点や近地点等の位置が時間と共に
変化し、軌道面が動いていく。
ω(t) Ω(t)
近地点
軌道面(t+Δt) 昇交点
昇交点経度 iJa
aE cos3 2
2
2J
は、衛星の周回毎に 変化する。
昇交点経度の変化を観測することで、例えば、ポテンシャル係数 が求まる。
重力観測衛星(CHAMP,GRACE等)
GPS衛星
重力観測衛星の軌道(位置)を決定
地球
重力計(加速度計)搭載
c-3 )衛星法ー3 GPSと重力衛星によるジオイド決定
CHAMP,GRACE ミッション
GPS時代のジオイド
地球の形としてより、地球重力場の表現として重要になっている。 CHAMP,GRACE、ミッションで
地球重力場の詳細が調べられており、その結果として詳細ジオイドが得られている。
高さ(正標高)の基準面としての役割は、GPS時代になってより大きくなっている。
グローバルなジオイド決定とGPSを組み合わせた統一した高さ体系の構築が将来の課題。