造影剤の副作用:造影剤の副作用: アレルギー歴(特に喘息)と...

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造影剤の副作用: アレルギー歴(特に喘息)と 心疾患は要注意 医療安全対策 文書 No.268 ●Katayamaらにより、尿路造影、造CT、血管造影(DSA)において血管内投与された造影剤の 副作用に関する前向きの他施設共同研究が行われたKatayama H. et al. Adverse reactions to ionic and nonionic contrast media-A report from the Japanese Committee of the Safety of Contrast Media. Radiology 1990;175:621-628.●次のような副作用が発生した:嘔気、熱感、嘔吐、かゆみ、蕁麻疹、発赤、血管痛、★させ い、くしゃみ、咳、胸痛、腹痛、動悸、顔面浮腫、悪寒、呼吸困難 突然の血圧低下 意識消 心停止 ●副作用の発生率は、イオン性では12.66%、非イオン性では3.13%であった。 ●重い副作用(呼吸困難 突然の血圧低下 意識消失 心停止 )の発生率は、イオン性では 0.22%、非イオン性では0.04%であった。 ●心停止の発生は、イオン性では0.004%(169,284例中7例)、非イオン性では 0.0006%(168,363例中1例)であった イオン性造影剤 例:ウログラフィン、 アンギオグラフィン、 コンレイ 非イオン性造影剤 例:イオパミロン、 オムニパーク、イオ メロン 全副作用の発生率 12.66% 3.13% 重い副作用の発生率 0.22% 0.04% ●造影剤の副作用の発現時間:約70%は投与中または投与後5分以内に発 生。約16%は投与後5分以降に発生。 副作用の発生時間 イオン性造影剤 非イオン性造影剤 投与中 47.3% 48.7% 投与後5分以内 22.2% 21.6% 投与後5分以降 16.0% 15.3% 記載なし 14.4% 14.4% 次に続く 6‐14: 放射線科に関係するリスクマネジメント 6‐14‐1 ●造影剤の問題 < 6-14: p.1 > 1)造影剤の副作用

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造影剤の副作用: アレルギー歴(特に喘息)と 心疾患は要注意

医療安全対策

文書  No.268

●Katayamaらにより、尿路造影、造CT、血管造影(DSA)において血管内投与された造影剤の副作用に関する前向きの他施設共同研究が行われた(Katayama H. et al. Adverse reactions to ionic and nonionic contrast media-A report from the Japanese Committee of the Safety of Contrast Media. Radiology 1990;175:621-628.)。

●次のような副作用が発生した:嘔気、熱感、嘔吐、かゆみ、蕁麻疹、発赤、血管痛、★させい、くしゃみ、咳、胸痛、腹痛、動悸、顔面浮腫、悪寒、呼吸困難、突然の血圧低下、意識消失、心停止

●副作用の発生率は、イオン性では12.66%、非イオン性では3.13%であった。

●重い副作用(呼吸困難、突然の血圧低下、意識消失、心停止)の発生率は、イオン性では0.22%、非イオン性では0.04%であった。

●心停止の発生は、イオン性では0.004%(169,284例中7例)、非イオン性では0.0006%(168,363例中1例)であった

イオン性造影剤 例:ウログラフィン、

アンギオグラフィン、コンレイ

非イオン性造影剤 例:イオパミロン、

オムニパーク、イオメロン

全副作用の発生率 12.66% 3.13%

重い副作用の発生率 0.22% 0.04%

●造影剤の副作用の発現時間:約70%は投与中または投与後5分以内に発生。約16%は投与後5分以降に発生。

副作用の発生時間 イオン性造影剤 非イオン性造影剤

投与中 47.3% 48.7%

投与後5分以内 22.2% 21.6%

投与後5分以降 16.0% 15.3%

記載なし 14.4% 14.4%

次に続く

6‐14: 放射線科に関係するリスクマネジメント

6‐14‐1 ●造影剤の問題

< 6-14: p.1 >

1)造影剤の副作用

●基礎疾患として心疾患が存在すると、重い副作用が発生しやすい:イオン性では0.53%、非イオン性では0.10%に発生。

●造影剤の副作用歴があると、なかった群に比べて約5倍発生しやすい。

造影剤の副作用歴

イオン性造影剤 非イオン性造影剤

有り 今回の発生44.04% (重い副作用0.73%)

今回の発生11.24% (重い副作用0.18%)

なし 今回の発生9.02% (重い副作用0.13%)

今回の発生2.21% (重い副作用0.03%)

●アレルギー歴があると副作用が発生しやすい。特に喘息は重い副作用が発生しやすい。

アレルギー歴の種類

イオン性造影剤 非イオン性造影剤

アトピー 全副作用の発生25.83% (重い副作用0.49%)

全副作用の発生7.22% (重い副作用0.11%)

喘息 全副作用の発生19.68% (重い副作用1.88%)

全副作用の発生7.75% (重い副作用0.23%)

花粉症 全副作用の発生25.90% (重い副作用0.43%)

全副作用の発生7.51% (重い副作用0.07%)

薬剤アレルギー

全副作用の発生23.92% (重い副作用0.42%)

全副作用の発生7.51% (重い副作用0.07%)

食物アレルギー

全副作用の発生23.03% (重い副作用0.55%)

全副作用の発生5.75% (重い副作用0.06%)

基礎疾患 イオン性造影剤 非イオン性造影剤

心疾患 全副作用の発生13.77% (重い副作用0.53%)

全副作用の発生4.41% (重い副作用0.10%)

腎疾患 全副作用の発生14.92% (重い副作用0.20%)

全副作用の発生3.57% (重い副作用0.04%)

糖尿病 全副作用の発生15.43% (重い副作用0.22%)

全副作用の発生3.27% (重い副作用0.05%)

呼吸器疾患 全副作用の発生9.95% (重い副作用0.21%)

全副作用の発生2.37% (重い副作用0.04%)

ゼーゼー

< 6-14: p.2 >

6月1日からCT・MRIで造影剤を使用する場合には、説明書・問診用紙・検査同意書を使用してください

医療安全対策

文書  No.467

全国の医療機関で、造影剤に関係した医療事故が発生

しています。裁判では添付文書に違反していたかどうか

が 争点になります。

★ 患者が「禁忌」「原則禁忌」に該当している場合、その危険を上回る造影検査のメリットが必要になります。

★ 問診を行った記録が必要です。

★ 救急処置の準備が必須です。

★ 「遅発性副作用について患者に説明した」という記録が必要です。「異常がでたとき速やかに主治医に連絡するように指示をしていた」という記録が必要です。

★ インフォームド・コンセント(説明をして同意を得た)の記録が必要です。

①CT・MRI造影剤使用に関する説明書

②CT・MRI造影剤使用に関する問診用紙

③検査同意書(複写式)

説明義務 問診義務 患者に同意権

選択権

●  H17年6月1日から、医師はCT・MRIで造影剤を使用する場合には、原則として(できるかぎり)①説明書・②問診用紙・③検査同意書を使用してください。

●  問診用紙に記載してもらうことが不可能な場合は、問診用紙は不要です。家族に①説明書を渡して説明し、家族から③同意書をとってください。

● ①、②の用紙は、医事課で用意し各外来・病棟に置きます(3ヶ月の試行期間を経て印刷します)。③は従来の用紙を使用してください。

● この患者は「禁忌」「原則禁忌」の患者だったのですね。

● 問診を行った記録はありますか。

● 救急処置の準備はしてありましたか。

● 異常が認められたときすぐに投与を中止しましたか。

● 遅発性副作用について患者に説明したという記録はありますか。

● 異常がでたとき速やかに主治医に連絡するようにという指示をしていたという記録はありますか。

2)造影検査における説明書・問診用紙・同意書

< 6-14: p.3 >

「MR検査を安全に行うためのガイドライン」(No.41, 87の改訂)

医療安全対策

文書No.732

  当院のMR室が中心になり、MR検査を安全に行うためのガイドラインを作成しました。当院でMR検査を行う場合は、このガイドラインにしたがってください。なお、不明な点があれば、MR室に問い合わせてください。

No. 確認事項 内容

1 閉所恐怖症 閉所恐怖症の有無 (閉所恐怖症でも検査が可能だったこともある)

2 人工呼吸器 人工呼吸器を使用しているかどうか、仰臥位で呼吸抑制が出現するかどうか

3 体温調節機能 体温調節機能の異常の有無: MR検査により、汗をかいたり体温が上昇したりすることがある。

4 妊娠 妊娠の可能性の有無(後述)

5 長時間 長時間一定の姿勢を保持できるかどうか

6 付帯医療器具 付帯している医療器具にMR検査で支障が生じないかどうか

7 薬物アレルギー 薬物アレルギー(造影剤等)並びにアレルギー性の慢性疾患の有無

8 体内・体外の金属 職業、事故、手術などによって体内および体外に金属が存在していないか     どうか(注意:義

手、義足、義眼)

9 磁性体 エレキバン、カイロ、治療用針などの磁性体の有無

10 メイクアップ用品 メイクアップ用品(マスカラ、まぶたの入れ墨など)の有無、身体の入墨の有無:  まぶたの局所的

腫脹(火傷)が生じた例もある。身体に入れ墨をしている場合は、経験上は安全であるが他院で火傷の報告例がある。

No. 名称 備考、注

1) 通常は安全と

されている金属部品

1 体内の固定具 整形外科の人工関節部品など強く固定されているもの(プレート、スク

リュー)

2 外科用部品 消化管機械吻合針は通常安全である。

リザーバ、シャントチューブは通常安全であるが、磁力で流量調節が可能な製品については、仕様を確認すること。【注意】 脳外科で使用

しているJ-VACドレーンは、磁性体が存在するため不可とする。

3 心臓の人工弁

4 脳動脈瘤塞栓術で使用さ

れるプラチナコイル

2) MR検査が禁

忌とされている装着

金属部品など

1 体内の電子電気部品 ペースメーカー、移植蝸牛刺激装置、注入ポンプ

2 目のメイクアップ用品、身

体の刺青(入墨)

マスカラ、まぶたの入墨(まぶたが火傷により局所的に腫脹した例が

ある)、身体の入墨(身体に入墨をしていて火傷が生じたという報告例がある)

3 スワンガンツカテーテル 渦電流の熱で溶けたという報告例がある。

4 冠動脈ステント ステント留置後6ヶ月間は禁忌(当院循環器科)。MR検査に対するイ

ンフォームドコンセントを得ることが望ましい。

5 ニトログリセリン真皮浸透

絆創膏

ニトロダームによる火傷の報告例がある。

6 補聴器、人工耳小骨

A) 検査の予約時および検査前に被検者について次の事項を確認すること

B) 被検者が装着している金属の安全性について(注:次ページに続く)

次ページに続く

6‐14‐2 ●MRI

1)MR検査を安全に行うためのガイドライン

< 6-14: p.4 >

3) 消化器内科関係(当院消化器内科の見解) 消化器内科において体内留置金属を使用する可能性のある検査は下記の通りである。

【×】

MRI不可

基本的に

ステンレス製のコイル、

ステントを用いてい

るため、原

則的にはMRI不可

1 PTO(経皮経肝食道静脈瘤塞栓術)

【注】 左の検査は基本的にステンレス製のコイル、

ステントを用いているため、原則的にはMRI不可である。ただし今後MRI可能な種類も使用されると考

えられるため、不明な場合は消化器内科に問い合わせること。

2 PTPE(経皮経肝門脈塞栓術)

3 TIPS(経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術、経皮的肝内門脈静脈短絡術)

【○または×】個々の症例によりMRI検査が可か不可かは異なる。

右の【注】

を参考にして担当医

が判断すること。

1 BRTO(バルーン閉塞下逆向性経静脈的塞栓術)

【注】 一般的にはコイルを使用しない場合が多い。

腹部単純撮影などでコイルを使用していないことが確認できればMRI可能。コイルを使用していれば

MRI不可。

2 Reservoir留置術 【注】 近年はプラチナ製のコイルを使用しており、

また留置ポート(ソファポート)もMRI対応なので、これが確認できればMRI可能である。しかしほとんど

の症例(2002年9月までの症例)はステンレス製のコイルを用いているので原則的には不可。

3 胆管留置ステント 【注】 最近使用しているself expandable typeのステ

ント(スマートステントなど)はナイチノール製のステントなので、留置後1~2週間程度の間隔をあけた

後であればMRI可能。ただし、WALL STENTはステンレス製なので原則的にはMRI不可(2000年以前

の症例では使われている可能性あり)。

4 止血クリップ 【注】 ステンレス製なので、胃腸壁に残存している

場合は原則的に不可。ただし止血が確認できており、時間の経過しているものであれば、医師の判断

により可能と考える。

B) 被検者が装着している金属の安全性について(注:前ページから続く)

No. 名称 注

4) 脳神経外科関係

1 脳動脈瘤クリップ 当院にて手術を施行した場合、1990年(H.2)以降の手術例を検

査可能とする。他院にて手術した場合は、詳細が不明であり禁忌とする。死亡例の報告もある。

2 脳神経外科で使用するステント

種類、部位、経過期間により異なるので、脳神経外科に問い合

わせること。

5) 下大動脈フィルター

○ 呼吸器内科で使用しているフィルターはMR検査可能(○)

× 循環器科で使用しているフィルターはMR検査不可(×)

C) 妊婦のMR検査について

キーワード 内容

妊娠3ヶ月以降

積極的に検査は行わないが、妊娠3ヶ月以降を検査可能とする。こ

の妊娠3ヶ月以降の場合、①MR検査の必要性および②電磁場の胎児に対する影響などの安全性が確立していないことを告げて、

検査の同意を得ること。

造影剤投与

妊婦に対する造影剤投与は、胎児に対する安全性が確立されて

いないため禁忌とする。

D) 職員に対する安全確保について

 妊娠している職員のMR検査室内への入室は禁止する。

< 6-14: p.5 >

補聴器をつけたままのMR検査は禁忌です

●補聴器をつけたままMR検査を行うと補聴器が故障してしまいます。 ●補聴器には、ポケット型・耳かけ型・耳穴型などの種類があります。耳穴型の中には、外から一見しただけではわからないくらい小型のものもあります。

●MR検査のオーダーをする医師は補聴器の有無を確認してください。ナースも確認してください。MR検査を行う技師は、検査前に耳穴まで確認してください。

ポケット型

耳穴型

耳かけ型

耳穴型補聴器がはいっているかもしれませんよ!

医療安全対策

文書  No. 226

2)補聴器をつけたままのMR検査は禁忌です

< 6-14: p.6 >

死亡することもあるMR吸着事故

●当院放射線科による「ハサミを使用した実験」では、MR本体からの距離が1.5m以内になると磁力を受けました。大きな金属(磁性体)ほど大きな力を受けます。

●白衣のポケットのボールペンが吸着した事例や、ポケットベルが壊れた事例もありました。

●医療安全対策文書No.87 「MR検査を安全に行うためのガイドライン(改訂)」を参考にしてください。

MR吸着事故  7ヶ月で13件(2001.1-7)

●酸素ボンベ 8件(1名死亡)

●酸素ボンベホルダー 1件

●はさみ 1件

●点滴台 1件

●踏み台 1件

●その他 1件

 GE横河メディカルシステムの資料によれ

ば、2001年1月~7月アメリカでMR検査のときに吸

着事故が13件発生し、そのうち1名が死亡していました。

 金属(磁性体)

医療安全対策

文書  No. 116

3)死亡することもあるMR吸着事故

< 6-14: p.7 >

「MR検査に関するパンフレット」を院内で統一、 2月1日から使用開始

医療安全対策

文書  No.414

● 現在、MR検査に関するパンフレット(案内文書)が、各科・各部署ごとに作成され、数種類が出回っています。中には誤った記載があるもの、部分的に異なった記載がなされているものが存在します。トラブルになったり検査結果に影響が出た事例もあります。

● H17年2月1日から放射線科が作成した「MR検査を受けられる方へ(裏にMR検査室ご案内)」に統一します。各部署で使用していたものは廃棄してください。新しい統一パンフレットは1月末に各部署に配布します。

 2月1日から新しいパンフレットを使用してください。

● パンフレットは、暫定的に放射線科受付に置いておきますので、不足したときは、放射線科受付に取りにきてください。

● MR検査の案内文書ではなく、症状・疾患とMR検査について各部署で作成したものは、従来通り使用してかまいません。

MR検査室ご案内

MR検査を受けられる方へ

4)MR検査に関するパンフレットを院内で統一

< 6-14: p.8 >

ペースメーカ植込み患者はMR検査禁忌です

医療安全対策

文書  No.351

ペースメーカー植込み患者に対してMR検査を行ってしまった事例がありました。

●  ペースメーカーは磁気の影響で設定値が変わってしまいます。大変な医療事故になります。

●  医師は、必ず問診表の内容を確認し、さらに金属が体内にないかどうかの確認を必ず行ってください。

● 医療安全対策文書No.87「MR検査を安全に行うためのガイドライン(改訂版)」を参考にしてください。

●  体内金属がない場合は、MRのオーダー用紙に体内金属(ー)と必ず記載してください。

●  放射線科MR室では、検査直前に問診用紙で最終確認をすることにしました(平成16年10月1日から使用開始します)。なおこの用紙内では、患

者・家族にとって聞き慣れている「MRI」という用語を使用しています。

次のページに問診用紙

6‐14‐3 ●ペースメーカ

1)ペースメーカ植込み患者はMR検査禁忌

< 6-14: p.9 >

 MRI検査を安全に行うための問診用紙

                         放射線科 MR検査室

お名前:(                 )

生年月日:(明治、大正、昭和、平成    年    月    日) 検査日(平成    年    月    日)

  MRI検査は放射線を使わずに、身体の任意の断面を撮影することができます。患者様は全身が磁石でできたトンネル中に入るため、金属性の物や電子機

器が身体に付いていると非常に危険です。ケガやヤケドをしたり、最悪の場合、命に関わるような損傷をすることもあります。

ご本人もしくは付き添いの方が記入をしてください。記入できない方は担当技師が記入のお手伝いをいたします。

1.心臓ペースメーカーを埋め込んである。    はい     いいえ 2.くも膜下出血の手術をしてクリップがある。  はい     いいえ

3.補聴器や人工内耳を付けている。       はい     いいえ

4.手術や内視鏡検査で胃や腸にクリップがある。 はい     いいえ 5.イレズミをしている。            はい     いいえ

6.義足・義手・義眼をしている。        はい     いいえ 7.MRI検査について、詳しい説明が欲しい。  はい     いいえ

        確認者(放射線技師)                印

補聴器

脳動脈瘤のクリップ

心臓のペースメーカー

胃・腸にかけられた止血クリップ

義足

< 6-14: p.10 >

ペースメーカ植込み患者は MRIは禁忌、CT検査は要注意

医療安全対策

文書  No.531

 ペースメーカ植込み患者に対するMRIは原則禁忌です。磁場の影響を受け、ペースメーカに不具合が発生し、場合によっては死亡します。従来CT検査は可能と考えられていましたが、この度「CT検査は要注意」ということが判明しました。2005年11月25日付けで厚生労働省は次のような通知を出しました。

X線CT装置等と植込み型心臓ペースメーカ等の相互作用に係る「使用上の注意」の改定指示等について(平成17年11月25日 厚生労働省)

●植込み型心臓ペースメーカ

 「本品を植込んだ患者のX線CT検査に際し、本体にX線束が連続的に照射されるとオーバーセンシングが起こり、本品のペーシング出力が一時的に抑制される場合があるので、本体にX線束を5秒以上照射しないよう十分に注意すること」

●植込み型除細動器

 「本品を植込んだ患者のX線CT検査に際し、本体にX線束が連続的に照射されるとオーバーセンシングが起こり、適切な治療の一時的な抑制又は不適切な頻拍治療を行う可能性があるので、本体にX線束を照射しないよう十分に注意すること」

MRIは 禁忌

CTは 要注意

 ペースメーカ植込み患者に対しては、次のように対応してください。

(1)ペースメーカ植込み患者のフォローアップを行っている主治医: 適宜「MRIとCT検査の危険性」に関する説明を行うこと。

(2)CTをオーダーする医師: メッリト・デメリットの説明を行い、カルテにインフォームドコンセントの記録を残すこと。ペースメーカ植込み患者のCTの指示においては、「原則としてペースメーカ本体部分はさけること」。どうしても本体部分の撮影が必要な場合は、循環器科医師の立会いのもとで行うこと(脈拍モニター、リセット解除の準備をしておく)。

(3)放射線技師: ペースメーカ植込み患者のCT検査では、本体部分をさけて撮影する。本体部分の撮影に際して循環器科医師が立ち会わない場合は、当院のルールとして撮影を拒否すること。

(4)何らかの問題が発生した場合は、医療安全管理室に連絡すること

心臓ペースメーカ

2)ペースメーカ植込み患者はMRIは禁忌、CT検査は要注意

< 6-14: p.11 >

ペースメーカ植込みの患者様は MRIは禁忌、CT検査は要注意 平成17年12月27日

患者・家族の皆様へのお願い

船橋市立医療センター 医療安全管理室

 ペースメーカ植込み患者様に対するMRIに関しては、磁場の影響を受け、ペースメーカに不具合が発生する可能性があり、原則として行うことはできません。CT検査に関しては、従来は「ペースメーカが植え込まれていてもCT検査は可能」と考えられていましたが、この度「CT検査は要注意」ということが判明しました。

(1)ペースメーカが植込まれていると、「MRI」は行えません。

(2)ペースメーカが植込まれていると、「CT」は要注意です。当院では、植込み部位を含むCT検査は原則として行いません(ペースメーカ本体にX線束を5秒以上照射することはできません)。

(3)ペースメーカが植込まれていても、CT以外のX線撮影等は安全です。

MRIは 禁忌

CTは 要注意

★ペースメーカが植込まれている患者様へのお願い

 循環器科だけでなく他の診療科を受診する際にも、ご自分の体にペースメーカが植込まれていることを主治医・担当医に必ずお話しください。いろいろな検査のメリット・デメリット・危険性についてご説明いたします。

心臓ペースメーカ

< 6-14: p.12 >