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敗血症 (sepsis)...sepsis and septic shock:2008, Intensive Care Med, Vol. 34, 17/60, 783/785,...
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心拍変動を指標とする敗血症発症の検知
岐阜大学
工学部応用情報学科 横田康成,河村洋子
医学部附属病院 白井邦博,松丸直樹
敗血症 (sepsis)血液に細菌が感染して引き起こされる全身性炎症反応症候群(Systemic Inflammatory Response Syndrome; SIRS)のこと.
重症化すると,敗血症性ショックを経て,肺,腎臓,心臓,肝臓などの重要臓器が機能不全となり,40-60%は30日以内に
死亡する.
敗血症とその合併症により,死亡者数は年間9,000名を超え,
交通事故による死亡者数を上回っている.
特に,集中治療室 (Intensive Care Unit; ICU)では,点滴や
レスピレータをはじめとする様々なドレイン,カテーテル,センサが体内に挿入されているため,それらが感染源となって,感染のリスクが高い.
敗血症の診断に至るまで
1. 医師が主観的観測などによって発症を疑う.
2. 血液検査を行う.
3. 細菌が検出された場合,敗血症と診断される.
専門医でないと発症を疑うことが難しく,見逃すこともある.
重症化すると手遅れになるので,
2008年敗血症撲滅キャンペーンガイドラインによって,敗血症発症後1時間以内の抗生剤投与が提唱されている.Dellinger et al. Surviving Sepsis Campaign: International guidelines for management of severesepsis and septic shock:2008, Intensive Care Med, Vol. 34, 17/60, 783/785, (2008)
敗血症の常時モニタリングの必要性
敗血症の常時モニタリング
血液中のサイトカイン(cytokine)の常時,あるいは定期
モニタ敗血症を発症すると,血液中にサイトカイン(免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質で,特に免疫,炎症に関係したものが多い)が増えることから,サイトカインを常時,定期的モニタリングすることにより,敗血症発症を検知する.
問題点:常時モニタは,新たな感染源になりうるので危険.定期モニタは手間がかかりすぎる.サイトカイン検出にはコストと時間がかかる.
もっと簡便にモニタリングできる方法の模索
心拍変動
平均値の逆数=心拍数
ばらつき(分散)=心拍変動
心電図波形
拍と拍の間隔 RRI(R-R Interval)QRS波のピーク時刻
HRVの解釈
内外の刺激を受けて自律神経の働きにより,心拍数が変化する.
安静時でも拍と拍の間隔はわずかながら変化している.
心拍変動が大きいほど,内外の刺激に対する反応が良い(健康である)ことを意味する.
運動能力を測る尺度としても利用されている.
心拍数だけでは分からない情報が得られるものとして期待されている.
Task Force of the European Society of Cardiology the North American Society of Pacing Electrophysiology, ``Heart Rate Variability, Standards of Measurement, Physiological Interpretation, and Clinical Use,’’Circulation, vol. 93, no.5, pp.1043-1065 (1996)
自律神経モニタとしてのHRVの利用
自律神経モニタとしてのHRVの利用敗血症を発症すると,自律神経活動に変調をきたし,HRVに変化が現れる(敗血症性ショック発症前にHRVが低下すること)との報告がある. 森口ら, HRV解析によるSeptic shock発症の予知に関する検討, 日本臨牀, 62巻12号(2004.12)
ICU患者の状態把握法の一つとして,敗血症などにより全身性ショックを未然に防ぐため,HRVによる患者の常時モニタリングが期待される.
課題: HRV推定では,異常心拍(ICUの患者では非常に多い)と長周期成分
(トレンド)を除去しないと誤推定の要因となるため,その除去が不可欠であるが,従来,自動的に除去する優れた手法がなかった.そのため,常時モニタリングが困難だった.
異常心拍,トレンド
Time(sec)
RR
I(sec
)
Time(sec)
RR
I(sec
) 異常心拍
長周期成分(トレンド)
課題:異常心拍やトレンドを(人手を介さずに)自動的に正確に除去すること.
新技術の基となる研究成果・技術
知見:自然な確率的現象から得られた標本は正規分布に従うことが多い.
正規性の尺度(正規分布からのズレの評価):
標本列 が正規分布に従っているらしさ:
歪度,尖度を表す3,4次中心モーメント を用いた尺度43 ,mm
43, mm
3m4m
43, aa4/1
44
4
3/1
33
3 3mamag : 正の実数3,4次中心モーメント の重み
正規分布では,分散を1に規格化した際の3次中心モーメント は0,4次中心モーメント は3になり,それに近いほど正規性が高い.
Nxxx ,,, 21 K
新技術の基本的考え方
異常値とトレンドを除去した後のRRI系列の確率密度分布は,
正規分布になっているはずである.
RRI系列の確率密度分布が,もっとも正規分布に近づくよう
に異常値とトレンドを決定すればよい.
新技術の具体的方法1トレンドの表現
時刻
トレンド時刻 でのRR間隔を で表す
1t 2t 3t nt・・・ ・・・
nx
Nt t
);(tfnt
nx 6次程度の多項式
(LF 0.04Hzは,極小値が5個程度出現する.)
とおく.フラグをまとめて,
とおく.異常ならばが正常ならば間隔での時刻
),,(0,1
21 N
nnnn
qqqQqqxRRt
K
正常/異常心拍の表現
新技術の具体的方法2
を決定すればよい.正常心拍を表すフラグ
とド関数くなるように,トレンもっとも正規分布に近
の確率密度分布が残差系列
Qtf
qntfx nnn
);(1thatsuch,,2,1),;( K
解くことができない.になり,現実的時間で回の正規性評価が必要
を選択すればよいが,を最大にする
の正規性尺度を決定し,残差系列最小にするように
にわたる平均誤差をのと
み合わせについて,が取りうるすべての組
Nnnn
nn
nnn
QqNntfxgtfx
qNntfxQ
2})1;,,1|);(({
);(1thatsuch,,,1);()1,,1,1,1(,),1,,0,0,0(),0,,0,0,0(
K
K
KKKK
そこで
((1分毎の処理の場合,心拍数70bpmでN=70となり,2N=1.18x1021 回の正規性評価が必要.))
しかし
新技術の具体的方法3
正規性尺度が最大になるようにQを決定
平均誤差が最小になるようにトレンド関数
f(t;θ)を決定
Qを固定
f(t;θ)を固定
Q=(1,1,…,1)とする
反復法により離散最適化を行う
従来技術とその問題点1
異常心拍(不整脈)の例
典型的なECG波形と比較し,一定以上異なっているものを異常心拍と見なす
問題点:ECG波形の変化が現れるほど大きな異常でないと検出は不可能
ECG波形を比較する
従来技術とその問題点2
時刻
拍と拍の間隔が正規分布に従うとき,99.6%のデータが,平均±3×標準偏差に入る統計的性質(3σルール)を利用し,
この範囲に入らないものを異常と見なす.
異常
異常
正常
正常(あるいは異常)データを特定するためには,正常データに対する平均・標準偏差が必要である.⇒ しかし,その時点では正常データが特定されていないため,一般的には,
異常データを含めた平均・標準偏差で代用される.⇒ そのため,異常データが多くなると,異常データの存在も正常なこととなり,
除去されなくなる問題がある.
異常値除去結果の例
白抜き:異常値と判定
異常値と判定出来ていない +3σライン
-3σライン
正常値が厳選されている
従来技術
新技術
元のRRI時系列
トレンド除去結果の例
推定されたトレンドライン
トレンドが除去されている
トレンドが除去されていない
Time(sec)
RR
I(sec
)R
RI(s
ec)
RR
I(sec
)
(a) Original RRI
(b) Abnormal data elimination by conventional 3σ role
(c) Abnormal data elimination by the developed technique
(d) De-trended RRI by the developed technique
従来技術
新技術
元のRRI時系列
敗血症性ショックとHRVの関係
敗血症性ショック
敗血症性ショックの前には,HRVが減少し上昇するV字パターンが観測される.
V字パターンを形成する
Patient A (男性,65歳,火傷)
4日目23時頃
尿量減少
5日目14時頃
血圧急上昇
これまで,14患者,16例について同様に観測⇒ 敗血症性ショックに至るまでの一つの時間経過であると推測されるV字パターンは
本研究により初めて観測された.
新技術の特徴・従来技術との比較
従来技術では,最終的には人手により異常心拍を特定し除去する必要があるため,自動化・リアルタイム化が困難であった.そのため,後日の追試・評価,研究用としてでしか,HRVを求めることができなかった.
新技術により,計算機による自動化・リアルタイム化を可能にした.これにより,モニタとしての実用化が可能になった.
想定される用途
敗血症モニタ
心電図を記録する装置さえあれば,さらなる侵襲なしに,自律神経活動をモニタでき,敗血症発症を検知し,敗血症性ショックを予知できる.
一般用HRV計心拍数に加えてHRVを表示する「HRV計」
心拍数だけでは分からない自分の健康状態の把握(深酒防止など)に使えると期待される.
実用化に向けた課題
臨床データ(敗血症発症患者の発症前数日間の心電図)が圧倒的に不足しており,現段階では,敗血症発症に伴うHRVの特徴的パターンをやっと捉えたに過ぎない.
医学的確証を得るためには,今後,岐阜大学病院だけで実施するのではなく,全国規模で組織的に臨床データを蓄積する必要がある.
一般用HRVモニタについては,日常のどのような状態でHRVがどのように変化するのかといった知識・知見を幅
広く蓄積する必要がある.
企業への期待
敗血症モニタについては,臨床評価の実施
一般用HRVモニタについては,携帯型HRV計の開発・
販売,共同研究
本技術に関する知的財産権
発明の名称:心電図データの異常心拍及びトレンドの除去方法、自律神経モニタ装置、及び敗血症発症警告装置
出願番号:特願2010-210953出願人:国立大学法人岐阜大学
発明者:横田康成,河村洋子,白井邦博,松丸直樹
お問い合わせ先
岐阜大学産官学融合本部
知財マネージャー 神谷英昭TEL : 058-293-3182FAX : 058-293-3346E-mail : [email protected]