鬼平 感激の作品あれこれ…………4鬼平、大好き人間、集まれ ......― 4 ―...

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Transcript of 鬼平 感激の作品あれこれ…………4鬼平、大好き人間、集まれ ......― 4 ―...

  • 鬼平、大好き人間、集まれ!………3

    鬼平 

    感激の作品あれこれ…………4

    華麗なる大泥棒 

    ルパン三世 

    ………………………8

    大泥棒ホッツェンプロッツ

    DVD紹介「鬼平犯科帳」……………………………9

    花々の過失………………………………………………10

    おしえて!鈴木先生……………………………………11

    谷出講座振り返り&予告………………………………12

    平成24年度谷出講座ポスターセッション……………13

    人情の鬼、平蔵殿に寄せて……………………………14

    YA倶楽部から…………………………………………15

    春の日記…………………………………………………16

    進化する読み聞かせ

    お酒の時間………………………………………………17

    今立図書館で感じたこと

    行事案内…………………………………………………18

    セロ弾きのゴーシュを終えて…………………………19

    編集後記

    次号予告…………………………………………………20

  • ― 3 ―

    特集「鬼平犯科帳」

    [文]三田村善衛

     あいかわらずテレビでは「鬼平

    犯科帳」の人気がすごいらしい。

    時代劇の放送が少なくなっている

    現状の中で、あれだけの視聴率を

    かせげる番組はむしろ珍しいとい

    えるだろう。火付盗賊改方長官、

    長谷川平蔵こと鬼の平蔵の登場

    は、原作者の池波正太郎が44歳の

    時に書いた「オール讀物」の昭和

    42年12月号が最初である。池波さ

    んは平成2年に亡くなられている

    が、その間はずっとシリーズとし

    て書き続けられた。当然、テレビ

    ドラマ化され、鬼平は初代の松本

    白鸚(八世松本幸四郎)から、丹

    波哲郎、萬屋錦之介、そして中村

    吉右衛門と、四人の鬼平によって

    数百回もの放映がなされてきたの

    である。

     はてさて、それでは鬼平の魅力

    というのはどのあたりにあるのだ

    ろうか。ひとことで「鬼平犯科帳」

    を言い表せば、やはり人情咄とい

    うことになろう。長谷川平蔵は悪

    い盗賊は容赦なく斬り捨てるが、

    配下の同心や元盗賊の密偵たち、

    あげくは盗賊の頭に至るまで細や

    かに情をかけるあたりが泣かせる

    のである。鬼平こそはホットな気

    持ちを持つ、まさに人生の達人な

    のである。こんな上司がいたらど

    んなに職場が楽しくなるか、と溜

    め息をついているOLの方々も多

    かろう。しかも池波さんには悪い

    が、テレビ版の鬼平ときたら、そ

    れはもう原作をはるかに凌ぐ魅力

    で溢れているのだ。今や、鬼平の

    魅力は吉右衛門の魅力といっても

    過言ではあるまい。

     白鸚が鬼平を演じたのは59歳の

    時だったという。吉右衛門が鬼平

    の出演を決めたのは45歳である。

    しかし、吉右衛門が鬼平を引き受

    けた時点では父の演技には到底、

    及ぶまいと思っていたらしい。が、

    吉右衛門自身の熱心な勉強心、研

    究心と若さは、やがて父以上の鬼

    平を演じきるようになっていくの

    である。

     ところで、鬼平自身も素敵だが、

    まわりの仲間たちもじつに生き生

    きと描かれている。密偵たちでい

    うと、相模の彦十、おまさ、小房

    の粂八、大滝の五郎蔵、そして伊

    三次。さらには五鉄の三次郎、同

    心では酒井祐助、おなじみの木村

    忠吾、沢田小平次、家族では妻の

    久栄、辰蔵・・・。剣友では岸井

    左馬之助や井関録之助。いずれも

    名脇役といってもよく、ここに原

    作には登場しない同心の村松忠之

    進、通称猫どのまでもが現れて心

    和む名シーンを作り出していく。

    僕はスタジオで大滝五郎蔵役の綿

    引勝彦さんに出会ったことがある

    が、サイクリング好きな綿引さん、

    がっしりと大きな体格で、口で

    は笑っているが目は常に冷ややか

    なまま、という、まさに元盗賊の

    頭(かしら)の凄みがあった。さ

    らにさらにここにクールなナレー

    ターの中西龍さんが「いつの世に

    も悪は絶えない。その日、長谷川

    平蔵は本所・深川界隈を見回りの

    最中であった・・・」と来れば、

    もう完全に鬼平ワールドである。

    ラストも「当時の記録には××

    ×の名前は出てはこない・・・」

    と来て、静かにジプシー・キング

    スの「インスピレーション」が流

    れてくると、もう駄目。鬼平、大

    好き!となるのである。

     

    ちなみに鬼平は実在の人物で

    あったことを知らない人は多い。

    長谷川平蔵宣以(のぶため)は

    1746年から1795年まで生

    きて、実際に火付盗賊改方長官を

    九年間も努めたという。若い頃に、

    本所の銕(てつ)という無頼の徒

    時代があったことも、ほぼ本当ら

    しい。さらにこの平蔵さんは、悪

    人を捕まえるだけではなく、無宿

    人の更生・生活保護・授産施設ま

    で作って、無宿人に手に職をつけ

    させて、まっとうな世間に戻すこ

    とを実践した立派な人物でもあっ

    たらしい。しかも若い頃の放蕩時

    代につきあっていた悪い仲間をも

    捜査の密偵に使ったという、とん

    でもない記録までもが残っている

    という。はてさて、実際の長谷川

    平蔵さんは一体、どんな人物で

    あったのだろうか。気っ風が良く

    て、粋な侍だったろうと思うのが

    鬼平ファンの熱い想いでもある。

  • ― 4 ―

    特集「鬼平犯科帳」

    兇賊

    三田村善衛

     「オヤジご苦労」のセリフで有

    名な作品「兇賊」は、以前は米倉

    斉加年が居酒屋の九平を演じてい

    たが、リメイク版では小林稔侍が

    好演していた。どちらも名演だが、

    後者は夜鷹おもん役が若村麻由美

    だから、やはりこちらに軍配が上

    がる。ここでの悪役、網切の甚五

    郎については正直、どうでもよく

    て、感激のシーンは九平の居酒屋

    の中である。客は平蔵一人で、も

    ちろん九平は相手が鬼平とは知ら

    ない。平蔵は料理をちょっと口に

    して「おやじ、おめえ若い頃に(料

    理を)修行したな」と言うと、九

    平も「旦那もどうもただ者じゃね

    えな」と笑う。九平は得意の芋酒、

    芋なますの説明をする。

     そこへ寒風と共に、どうらんの

    ケバイ夜鷹が入ってくる。「おじ

    さん、熱いとこ付けてよ」ここら

    あたりは米倉ヴァージョンと同様

    なのだが、稔侍版においては「申

    し訳ねえ」と九平が夜鷹の来店を

    断る。仕方なく再び木枯らしの中

    へ戻ろうとする夜鷹。平蔵すかさ

    ず「おいおい、なぜだい?」「お

    目ざわりかと思って・・・」と九

    平。「なに、目ざわりだ?それな

    ら俺の方がよっぽど目ざわりだ

    ろうが。入れ入れ、寒かったろ

    う」と優しくねぎらって「だから

    よう、ここへ来てゆっくりと呑ん

    で、暖まって行きなと言ってんだ

    よう」と、「俺の勘定に」と酒ま

    で振る舞うのだった。夜鷹は絶句

    して「・・・そんな人並みに」と

    涙ぐむ。ここでまた仏の平蔵いわ

    く「なに、人だ?おめえだって俺

    だって人じゃねえか。この親父(九

    平)だって。どこに違いがあるも

    のかよ」と酌をする平蔵。感激す

    る夜鷹、感服する九平。このやつ

    れた夜鷹、ここで若村麻由美とは

    誰もわからないだろう。帰り際に

    平蔵は夜鷹に豆板銀まで渡す。「そ

    んな、親切にしてもらってお金ま

    で」「いいってことよ、付き合っ

    てくれた礼だ」と無理矢理、金を

    握らせる。

     

    89年版の米倉ヴァージョンで

    は、この夜鷹には名前もなかった

    が、小林稔侍スペシャル版では、

    さらに感激のラストシーンが追加

  • ― � ―

    特集「鬼平犯科帳」

    されているのだ。一年後の冬、場

    面は同じく九平の居酒屋。「夢だ

    ねえ・・・」盃を転がしながら、

    うっとりとして呟く夜鷹おもん。

    ここでのおもんの表情は、ぐっと

    女らしくて奇麗な顔になっている

    所に注目。「お前、あのお侍さん

    に惚れたのかい?」「冗談じゃな

    いよ、あんなお侍さんに惚れるな

    んて、それこそバチが当たるよ」

    と、慌てて否定するが、やっぱり

    平蔵のことが忘れられない様子。

    店は二人だけ。九平が戸を開ける

    と外は冬の木枯らし。「もう一度、

    会いたいねぇ。でもまた来るだろ

    うか・・・」九平は言う。「ああ、

    来るさ。きっと来る」黙ってうな

    ずくおもん。「でも、やっぱり夢

    だよねえ・・・」

     九平が外を見ると、夜の木枯ら

    しの中に、芋なますの包みを嬉し

    そうに見せて「親父、ご苦労」と

    笑う平蔵の姿が思い出される。は

    い、ジプシーキングスのフェイド・

    インでジ・エンド。何とも泣かせ

    る憎い作品だ。

    男色一本うどん

    杏理子

    うさ忠大好き!

     鬼平犯科帳には、主人公の長谷

    川平蔵以外にも密偵や与力、同心

    などに味のあるキャラクターが大

    勢登場するが、それぞれがとても

    個性的に描かれている。数多くい

    る同心のなかでも私が好きなのが

    うさ忠こと木村忠吾だ。剽軽な性

    格で誰からも愛され、色白でぽっ

    てりとやわらかいからだの持ち主

    で、神明前の菓子舗「まつむら」

    で売り出している、うさぎまん

    じゅうそっくりの風貌から鬼平や

    与力、同心たちから〝うさぎ〟と

    か〝うさ忠〟とか呼ばれている。

    うさ忠がシリーズで初登場する

    のは〝谷中 いろは茶屋〟だ。食

    べ歩きや酒などうさ忠の〝やめら

    れませぬな〟という一つに女が

    ある。しるこ茶屋であいびきなん

    かも日常茶飯事。この作品で忠吾

    は、本来は役所に詰めていなけれ

    ばいけないところを、茶くみ女お

    まつに会いたさに抜け出してしま

    うのだが、これがなぜか功を奏し

    て逆に大手柄をたててしまう。こ

    こで黙っていればいいものを、忠

    吾は平蔵に抜け出しの真実を告げ

    る。それに応える平蔵の言葉がな

    かなかの説得力なのだがこれは原

    作を是非お読みください。

     忠吾が出てくる作品は他にもあ

    るが、中でも「男色一本うどん」

    という作品はモチーフが一風か

    わっていて楽しめる。なんと火盗

    改めの同心と知らず、両刃使いの

    大泥棒が忠吾をかどわかしてしま

    うのだ。鬼平をシリーズ通して読

    んでいると、一般常識では首をか

    しげたくなるような〝泥棒にも3

    分の理?〟的な泥棒哲学が随所に

    ちりばめられ、それがとかく暗く

    陰惨に陥りがちな題材にくすっと

    笑えるユーモアを与えて救われる

    思いがする時があるのだが、この

    作品でも〝大きなお盗めを目前に

    している時は情事を控える〟とい

    う泥棒の変なこだわりが展開され

    る。

     この泥棒、毎日捕らわれている

    忠吾のところにやってきては舌な

    めずりし、「ふ、ふふ・・・気長に・・・

    気長に、な・・・」などと言う。

    一方の忠吾は貞操の危機の妄想と

    火盗改めの同心としての自負に気

    も狂わんばかり。忠吾には大変申

    し訳ないのだがこのへんのくだり

    が実におかしくてたまらない。忠

    吾がいかに、お頭平蔵を頼みに

    思っているのかがよくわかるのも

    本作品だが、それに応えるかのよ

    うに、作品のラストの平蔵の忠吾

    の貞操にかかわる一言が〝いつも

    部下をちゃんと見て、思いやって

    いる〟理想の上司的でしびれる。

     何だか忠吾礼賛の文章を書こう

    と思ったのに平蔵絶賛に落ち着い

    てしまうのだが、数ある同心のな

    かでも忠吾は平蔵の一番のお気に

    入りなのだと思う。平蔵が変装し

    たり身分を偽って行動するときは

    自らを木村忠五郎とか木村忠右衛

    門、木村五郎蔵、長谷川忠吾など

    と名乗り、なぜか必ず忠吾の名前

    が入っているからだ。(反対に忠

    吾も木村平蔵などと名乗ったりす

    ることもあるからお互い様か)忠

    吾関係では、「さむらい松五郎」や、

    「お雪の乳房」、「五月雨坊主」な

    どの作品があり、それぞれに忠吾

    独特の哲学や魅力が語られている

    のでこちらの方もよかったら是非

    お読みください。

  • ― � ―

    特集「鬼平犯科帳」

    血頭の

     

    丹兵衛

    竹内ともこ

     最近、料理家の阿部孤柳・著の

    江戸の料理屋「八百善」の全メ

    ニュー解説本を入手して感激して

    いるところですが、その阿部氏が

    テレビ版「鬼平犯科帳」の料理部

    門を担当されていると聞いて、ま

    すます番組が面白くなりました。

    原作には登場しないキャラクター

    である「猫どの」は火付盗賊改方

    の料理番をしていますが、江戸料

    理の本道ともいえる存在です。こ

    の番組では江戸の大泥棒の見事な

    仕事っぷりも見所ですが、平蔵さ

    んや密偵さんらが楽しく呑んだり

    食べたりのシーンもいっぱい出て

    きます。

     「熊五郎の顔」では深谷の旅籠

    で、タニシの、ぬた、が出されま

    すが、平蔵さんは同心の沢田さん

    や粂八さんの分も取り上げてし

    まうというエピソードがありま

    す。「用心棒」においては、深川

    飯の味付けで平蔵と猫どのが激し

    く口論しているシーンも印象的で

    した。他にもおいしそうな料理が

    五鉄や料理屋、旅籠、茶店で登場

    してきますし、江戸市中での各地

    のおみやげにも注目ですね。そう

    そう、福井市内には鬼平女子会と

    いうものが存在しており、実際に

    東京都内のあちこちをカメラ片手

    に路上観察をしながら歩き回る活

    動をなさっているそうです。「蛇

    の目」において木村忠吾さんがお

    頭を案内した天麩羅蕎麦が評判の

    「さなだや」を探したり、「山吹屋

    お勝」の特大玉子焼きを食したり、

    さらには六間掘のあべかわ、亀戸

    の最中、近江屋の羽衣煎餅、船橋

    屋のうぐいす羊羹などを探索した

    り、もちろん見回り探索コースで

    もある本所、深川を散歩したり、

    相生町の軍鶏鍋屋の五鉄は堅川の

    橋の手前の左手近辺だとか・・・。

    もう、コアな鬼平ファンはどこま

    で行くのでしょうか。

     閑話休題。私が一番好きなシー

    ンは、やはり「血頭の丹兵衛」の

    役宅での一場面。お頭と猫どのの

    講釈の所です。とにかく落語の

    ようにだいたいのセリフは記憶し

    ておりますので、完全ではありま

    せんがここで紹介しましょう。平

    蔵「今日の献立は何だ?」 

    猫ど

    の「鮎飯でございます」 平蔵「ほ

    う、伊勢虎で売り物にしているや

    つか?」 

    猫どの「なんの、私め

    のは、もっと工夫がしてございま

    す」 平蔵「ほう」 猫どの「まず

    ですね、醤油で淡味をつけた飯が

    炊き上がった所へ、鮎、あっ、そ

    れも玉川で取れたばかりの新鮮な

    鮎を素焼きにして、その鮎を突っ

    込み、頭から骨を引き抜き、残っ

    た身を炊き上がった飯とようくか

    き交ぜる。とまあ、ここまでは伊

    勢虎と同じでございますが、私め

    のは葱と青紫蘇(あおじそ)を細

    かぁく刻んだ薬味を、あっつあつ

    の鮎飯にたっぷりと交ぜて臭みを

    消せば、もう、この世のものとは

    思えぬ美味」 平蔵「たまらねえ、

    山盛りでくれよ!」おあとがよろ

    しいようで・・・。(茶人)

    土蜘蛛の

      

    金五郎杏理子

    鬼平のいたずら心

     

    鬼平には泥棒たちをまんまと

    いっぱいくわせるのが大好きなお

    ちゃめなところがある。

     「土蜘蛛の金五郎」では乞食の

    ようななりに身をやつした汚れ浪

    人〝木村五郎蔵〝として盗人宿と

    思われるどんぶりやに出掛けてい

    くのだが、お役目のためというよ

    り、なんだか〝化けの楽しみ〝に

    はまってしまっているような平蔵

    を見ることができる。売り上げを

    狙うふりをして近づく平蔵に〝ど

    んぶり屋の亭主(実は土蜘蛛の金

    五郎という大泥棒)は〝人を一人

    殺ってくれ〟と頼む。殺る相手は

    なんと長谷川平蔵だ。自分で自分

    を殺るために平蔵がとった秘策と

    は…?

     「殿様栄五郎」ではみずから盗

    め人になりすましているし、「墨

    つぼの孫八」でも盗賊にその魅

    力と好ましさを見込まれて助働

    きをする始末。「寒月六間堀」で

    は長谷川忠吾として正当でないか

    たき討ちの助太刀をしている。平

    蔵が盗人に扮するのは、なにも火

    盗改め方の長官となってからでは

    なく、なんと無頼にまかせ〝本所

  • ― � ―

    特集「鬼平犯科帳」

    の鬼鉄〟と呼ばれた若き頃にも盗

    人の助働きに担ぎ出されているか

    らその歴史は長い。もっともこの

    時はお頭に正体をあばかれて叱ら

    れ、未遂に終わったが・・・。

     

    私が一番傑作だと思ったのは

    「穴」という作品中で、昔の血が

    騒いで隣家に穴を掘って奪ったお

    金を、そ知らぬふりをしてまた全

    額返しに行き、さらに茶目っ気を

    おこそうと策を練って悦に入って

    いる往年の老盗宅に、反対に隣家

    側からその穴を伝って押し込ん

    で、穴から顔だけだして〝金を出

    せ〟と迫る平蔵だ。通常だったら

    〝火盗改めだ。神妙にせよ〟とだ

    けいえばいいものを、老盗をびび

    らせたい一心で〝金を出せ〟とは

    いやはや〝平蔵さまもお人が悪い〟

    というものだ。

     でも「土蜘蛛の金五郎」で「(汚

    れ浪人に扮したのは)おれにはた

    のしかった。できることなら、こ

    んなに面倒なお役目を捨てて、乞

    食浪人になってみたいような気も

    する…」という独白に触れると、

    日々の激務がしのばれ、ちょっと

    くらいのお戯れは許してあげても

    いいかなぁという気もする。

    密偵たちの宴

    勅使河原麗美

     「鬼平犯科帳」で一番好きな物

    語は何だろう、という質問をする

    と、みなそれぞれにいくつか挙げ

    るようだが、個人的には「密偵た

    ちの宴」だろうか。この作品、視

    聴率も23・6%とかなり高い。

     原作では春の夜におなじみの密

    偵たち、相模の彦十、船形の宗平、

    大滝の五郎蔵、小房の粂八、伊三

    次、おまさの五人が集まって、テ

    レビの脚本では粂八のセリフの

    「それにしても近頃のお盗(つと)

    めのザコはどうだ。え?みんな

    ひどい畜生働きばっかりじゃねえ

    か。三ケ条の掟をキッチリと守る

    お盗めがどんなものか、当節の奴

    らに見せてやりてえものだ・・・」

    から始まる。

     もちろん、三ケ条の掟とは、「人

    を殺さず、女を犯さず、貧しき者

    からは盗まず・・・」を言う。要

    するに、プロの盗みとはこういう

    もんだ、と巷の三流盗賊に見せ

    つけてやろうじゃねえか、と密偵

    たちが手練の技とチームワークで

    もって実際に盗みを働くというス

    トーリーなのだ。もちろん、長谷

    川平蔵にバレルとえらいことにな

    るので内緒の打ち合わせである。

     原作では連中は見事にお盗めを

    果たして、なんと盗んだ金は持ち

    主に返してシャモ鍋屋の五鉄で得

    意になって飲んでいる。そこへお

    まさが戻ってきて、今回の企みを

    平蔵はすべてお見通し、と告げる

    のである。その場で全員が顔面蒼

    白になるのだが、テレビ版ではこ

    の内祝いの場に平蔵を登場させて

    いる。「俺も今まで、数知らぬほ

    ど渡り合って来たが、今度の奴ほ

    ど腕のいいのは見たことがない。

    どんな奴か、一度でいい、ツラを

    見たいものだ・・・」とおだてて

    おいて、帰りがけに「五郎蔵、お

    前が奪い取った合鍵を返しておけ

    よ!」と一喝する。そしてヤケ酒

    を飲む連中のシーンで幕だった。

     しかもテレビ版では、一人、街

    中を帰っていく平蔵のシーンまで

    もが追加されているのだ。シナリ

    オでは平蔵は振り返ってニヤリと

    する、とあったが、リハではその

    通り演じた吉右衛門だったが、本

    番ではなんと、ニヤリとしてペロ

    リと舌まで出すのだ。きゃあーー、

    さすがは吉右衛門さん、お見事で

    した。大好き!(詩人)

    暗剣白梅香

    小林博之

     鬼平犯科帳第1シリーズの第1

    話で、放送は1989年であるか

    ら、四半世紀近く前である。当た

    り前のことだが、中村吉右衛門

    や多岐川裕美をはじめキャストが

    若々しい。

     ストーリーは仇討ち途中で暗殺

    者に身を持ち崩した凄腕の浪人と

    その標的となった長谷川平蔵との

    対決であるが、派手な殺陣を期待

    していた私にとって、土壇場での

    結末が意外であり、おもしろい。

     また、原作と違い、遊女が生真

    面目な一面を持つ暗殺者を翻弄す

    る場面がドラマに加えられてお

    り、その男女の微妙な機微が結末

    に大きく影響することになるので

    あるが、原作にひと捻り加えて、

    人間味のある作品に仕上がってい

    る。

  • ― � ―

     アニメのヒーロー、ルパン三世ってのは、じ

    つにかっこよくてスマートな泥棒さんである。

    彼も過去にはじつにいろんなものを盗んだ。現

    金や金塊、宝石、美術品etc・・・。「バイ

    バイ・リバティ・危機一発!」では、あの世界

    遺産でもある「自由の女神」を盗んだし、「バ

    ビロンの黄金伝説」においては、純金のバベル

    の塔をも盗んだ。しかし、ルパンが盗んだ最大

    のものといえば、それはもちろん、クラリスの

    心だろう。少々、ロリっぽくて私などはあまり

    好きな作品ではないのだが、一応、名作「カリ

    オストロの城」における銭形の名台詞が泣かせ

    る。「ルパンめ、まんまと盗みおった!」 すか

    さずクラリスが否定するのだが、またしても銭

    形いわく「いいえ、ルパンはとんでもないもの

    を盗みました。それは、あなたの心です」と。

    悪女の峰不二子とは対照的な可憐なクラリス

    に、世のアニメオタクはいまだにシビレている

    らしい。

     で、このルパン三世という男は、かのアルセー

    ヌ・ルパンの孫であるらしい。頭も良くてIQ

    300という文字通り世界一の天才大泥棒であ

    る。シリアスな顔になって謎解きをしたかと思

    うと、突然、にやけたスケベおじさんになっち

    まう。毎回、不二子には裏切られてばかりだが、

    全く懲りないのが彼のすごいところだろうか。

    これじゃあ、次元と五右衛門が呆れるのも無理

    はない。そこに宿敵、銭形警部のあくなき追跡

    が・・・。子供から大人までもが楽しめる所以

    だろう。

     ところで、原作のモンキーパンチのコミック

    の方は、いくぶんアクのある絵なので好き嫌い

    が分かれるのもうなずけるが、こちらの方は最

    近の映画とは異なり、ルパンもよりエッチに描

    かれているし、何よりもルパンが悪人だから好

    きである。アニメのルパンは、どうも優しいオ

    ジサマになりつつあるし、義賊みたいな面が強

    調されている。あれでは盗っ人独特のアヤウさ

    が少ないのではないか。なるほど、大天才であ

    りながら極度のおっちょこちょい、ポイと冷た

    く捨て去るかと思いきや、異常なほどにアホな

    ことに集中熱中する、彼ほど性格、癖、行動パ

    ターンのはっきりしたキャラは他にいないだろ

    う。本人もファンもそれを予測できるからこそ、

    誰もが安心して見ていられるのだ。ルパン語

    録に有名な台詞がある。「人生を愉しむコツは、

    どれだけバカなことを考えられるか・・・なー

    んだ」うーーーん、深い。年寄り隠居オジサン

    もアニメで考えこまされるのだった。

            郷田三郎

     

             (路上観察マニア)

  • ― 9 ―

     鬼平は何度見てもおもしろい。やはり中村吉右衛門

    のシリーズがいい。梶芽衣子のおまさが、油が乗り切っ

    ていてとくに良い。スタートの威勢のいい音楽、ナレー

    ション、最後のギターソロ、撮影場所も無理なく江戸

    の雰囲気が出ている。水辺もどこでロケをしているの

    か知らないが良い。せりふの中の用語も「急ぎ働き」「な

    め役」「盗人宿」など江戸語辞典に出ているのだろうか。

    ゲストの役者も実にいい。「本所・桜屋敷」の萬田久子、

    「血頭の丹兵衛」の島田正吾、「一本眉」の芦田伸介な

    ど限りがない。

     各作品の一番好きな場面が「五鉄」の二階座敷で軍

    鶏鍋を囲むシーン。相模の彦十の江戸家猫八が鍋の前

    に座り、おまさが菜ばしで鍋を整え、階下から藤巻潤

    が準備した具材を太った女優さんが運んでくる。そこ

    へ鬼平が現れ、着流しの股をはたいて座りながら刀を

    置く。「長谷川様」と言って彦十が酒を注ぐ。「彦十、

    おめえもやんな」「これはこれは、申しわけありませ

    ん」、おまさが「おじさん、いいかげんにしてください

    よ」とたしなめる。鍋の中では、軍鶏とごぼうのささ

    がきがグツグツと煮立っている。「この軍鶏鍋はな、軍

    鶏のダシでゴボウを食べるのだ。」と鬼平がうまそうに

    食べながら言う。盗人仲間を裏切って密偵となった二

    人に、鬼平はあくまでも優しい。ここに、大滝の五郎

    蔵と小房の粂八が加われば、全員集合である。伊三次

    は何故かいないことが多い。ワンパターンか様式美か、

    どちらとも違う個性豊な集合体である。ぜひ、中央図

    書館のDVDコーナーで借りて楽しんでください。私

    は、いまだかって書架に残っているのを見たことがあ

    りませんが。

    (T・K)

    「大どろぼう

       

    ホッツェンプロッツ」 

       

    O.プロイスラー著

     

    愛すべきものはつっこみどころ

    満載。この大どろぼうも例にもれ

    ず、期待を裏切らない。

    幅広ベルトに一振りのサーベルと

    七本の短刀、それにコショウピス

    トルで武装し、時と場合によって

    は自ら名乗ることも辞さない。

     

    誰からも恐れられるこの大どろ

    ぼうが、ある日カスパールのおば

    あさんの大切な大切な宝物を奪っ

    ていった。それは世界にたった一

    つの珈琲挽き。ハンドルを回すと

    おばあさんの大好きな曲︿五月は

    ものみなあらたに﹀*が流れてく

    るのだ。他のものには一切目もく

    れず、本当に欲しいものだけを奪っ

    ていく。それにしてもこの男、趣

    味が可愛すぎる。

     

    孫のカスパールとその親友の

    ゼッペルは、おばあさんの珈琲挽

    きを取り戻すべく、知恵を働かせ、

    勇気を奮い・・・気が付けば大ど

    ろぼうのねじろに。一度顔を見ら

    れたからと、カスパールとゼッペ

    ルはお互いの帽子を取り換える。

    この小さな変装が大きなカギとな

    る。

    二人の子どもはとりちがえられた

    まま、大どろぼうと大魔法使いそ

    れぞれのもとで囚われの身となり、

    大魔法使いの召使いとなったカス

    パールは、カエルに姿を変えられ

    た妖精と出会う。話の面白さとテ

    ンポの良さに子どもも大人もひき

    こまれる。ふたたびあらわる、三

    たびあらわるの三部作。

     

    祖母ドーラの口語りを深く心に

    刻み、郷土史研究家として地元民

    から話の聞き取りをしていた父の

    姿を見て育ったプロイスラ―

    。ド

    イツの語り部とも言える彼は、第

    二次世界大戦中、捕虜生活の中、

    セメント袋の内側の紙に故郷ボヘ

    ミアの山国を想い、物語を書いた。

    戦争体験、山の精、妖怪...

    ボヘミ

    アの水木しげる?それとも柳田國

    男?この原稿を書きかけた折も折、

    プロイスラ―

    逝去の新聞記事を見

    つけた。吉田孝夫著「語りべのド

    イツ児童文学」とともに是非一読

    いただきたい。(澄)

    *メロディは日本で歌われる「ちょうちょ

    う」。

    冬の長いドイツでは、5月は待たれた春

    の喜びもひとしお。「五月はものみなあら

    たに」は待ちに待った春をたたえる歓喜の

    歌である。―

    「鬼平犯科帳」第1シリーズ  第1話「暗剣白梅香」~第 26話「流星 -スペシャル -」 原作:池波正太郎 制作:松竹株式会社ビデオ事業室

  •  のっけから表題ごとだれかのも

    のを剽窃してしまった、はる三月

    福島から来たスミレという名の

    太った柴犬といっしょに散歩の

    ため日野川の河原に出ると、堤防

    の片隅に今にも咲こうとしている

    白い辛夷(こぶし)の花を見つけ

    た。その小さな花芽がふくらみは

    じめ、いっせいに天空を指してい

    た。冬の枯れた川岸にもようやく

    芽生えた蓬(よもぎ)や星の形を

    した小さな花の群生を見ることが

    できるが、この辛夷の樹とその花

    がここにあることは見落としてい

    た。このあたりはずいぶん前から、

    娘が子供の頃拾ってきたタボとい

    う名の犬といつも散歩に来ていた

    場所であるが、なぜか全くその花

    に気がつかなかった。うつむいて

    ばかりで路頭に迷っていたせいで

    あるのか、それにしても人の感性

    といったものも随分いい加減なも

    のである。

     この花を侘しい我が家の玄関先

    に活けてみようかと思い、堤防の

    斜面に背伸びして、やっとの思い

    でこの辛夷の枝に手を伸ばした。

    この樹は堤防沿いに植えられてい

    るが人様の庭先でもあるので、「花

    盗人」なる言葉がちらついた。生

    まれてこのかた悪いことを一度も

    したことのない私は枝を折る手が

    少し震えた。それもかまわず、枝

    ぶりがシュールなこの花を一枝持

    ち帰り、宮崎村のレイコ・コーエ

    ンさん作の花器に挿すと圧倒的な

    存在感で、そのさみしい空間を緊

    張させた。

     話は変わるが、先の駄犬、スミ

    レの元の飼い主である長年の友人

    が年明けに他界した。その男は鯖

    江の磯部村の出で、若き時より「文

    学」という果てなき荒野に分け

    いったばかりに、周りの人達に随

    分辛い思いをさせた。しかし、本

    人はまるで悪意がないというか、

    こずるく生きたわけではないの

    で、それなりに多方面の参列者に

    惜しまれて送られていた。

     「福島」と「沖縄」を見捨てた

    まま、誰も責任を取らないこの悪

    意ある時代に、このような終わり

    方もあるのかなと思うと、関東

    ローム層の相武台、電車を乗り継

    いで横浜郊外まで悪友を見送りに

    来たことにすこしほっとした。

      へえ彼奴

      亡うなつたんけ

       心太(ところてん)

                   

    南部和夫 辞世

       私的な告知です。

     私、五月十八日(土曜日)三時

    より越前市文化センター大ホール

    で開催される「小出裕章さん講演

    会」の事務局を引き受けることに

    あいなりました。(講演は七時よ

    り) この困難な時代を生きる残

    る手がかりにもなるかとも思われ

    ます。友の会の皆さんにも是非ご

    来場くださることを希望していま

    す。(拝)

     

    花々の過失

    栗波和夫武生クラフトセンター代表ブックカフェゴドー店主

  • ― 11 ―

     『怪盗ルパン』に代表されるよ

    うに冒険・探偵ものでは大どろぼ

    うやそれを追う探偵や子どもたち

    が活躍するお話がたくさんありま

    すが、本道を少し外して拾ってみ

    ました。

     「昼日中」は茶店の亭主の関心

    をうまく誘い、人目の多い真日中

    に母屋からごっそり盗み出すとい

    う鮮やかな盗みの手口に思わず感

    心。美術品や絵画は大どろぼうの

    狙いどころ。『チビ虫マービンは

    天才画家』でも細密画連続窃盗犯

    を捕まえるため、罠を仕掛けるこ

    とになりますが、そのための精巧

    な模写絵を描いたのは何と小さな

    甲虫だとは。

     ドジで憎めないどろぼうたちも

    多いようです。『花の木村と盗人

    たち』はどろぼうに転業したばか

    りの四人が親方の指導で花の木村

    を偵察に行きますが…なかなかこ

    れが難しい。この本を読むと、『ど

    ろぼうがっこう』を連想します。

    またこの流れは、一向にどろぼう

    は成功しない、石川五右衛門の血

    を引くという三兄弟の話『大ドロ

    ボウ石川五十五えもん』に、「ぬ

    きあしさしあし…」とはやし言葉

    でつながります。『おんちょろきょ

    う』も『ふるやのもり』でも、あ

    わてんぼうのどろぼうが勘違いで

    退散。よく似た昔話『とらとほし

    がき』が韓国にもあり、文化の違

    いや類似にも触れられます。

     盗みは決して正当化はできませ

    ん。切羽詰まって盗みに至ること

    を描いた『じゃがいも畑』『馬ぬ

    すびと』や、盗みの疑いを掛けら

    れること・冤罪をとり上げた『ティ

    ナのおるすばん』『ぬすまれた宝

    物』もあります。『泥棒をつかま

    えろ!』では、キャンプのお金を

    盗んだとイタリアからの出稼ぎ労

    働者を犯人と確信して、国境を越

    えるまでにと生徒たちが追いつめ

    て集団暴行にまで至ります。

     

    時間泥棒の登場する『モモ』、

    奪われた王女を取り戻すため湖の

    水をごっそり盗むという奇想天外

    な『ぬすまれた湖』、盗みも動物

    にとっては生きるための営み、狩

    りに他ならない『きつねのとうさ

    んごちそうとった』、などで少し

    流れを変えるのも面白いと思いま

    す。

     『七人のゆかいな大どろぼう』

    には、大金持ちになりたいと竜の

    目玉を盗む男が出てくる「目ん玉

    どろぼう」がありますが、これは

    越前の白山、九頭竜川にまつわる

    話です。

    「どろぼう」をテーマにブック

    トークを考えています。お奨め

    の本を教えてください。

    できましたら、中学年と高学年

    でお願いします。

    あまりにもストレートですが、

    これまでも何度かこのテーマが

    出てきたもののこれといったも

    のが思いつかなくて困っていま

    す。

    回答者/鈴木晴代氏

      (元・京都ブックトークの会代表)

    ︽紹介した本のメモ︾

    『怪盗ルパン』

    モーリス・ルブラン作 榊原晃三訳 岩波少年文庫

    「昼日中」

    森銑三(『悪人の物語』松田哲夫編 あすなろ書房)

    『チビ虫マービンは天才画家』

    エリース・ブローチ作 ケリー・マーフィー絵 伊

    藤菜摘子訳 偕成社

    *『花の木村と盗人たち』

    新見南吉童話選集 村上豊画 大日本図書 

    E『どろぼうがっこう』

    かこさとし絵・文 偕成社

    *『大ドロボウ石川五十五えもん』

    吉田純子作 細川貂々絵 ポプラ社

    E『おんちょろきょう』

    小暮正夫文 梶山俊夫絵 ほるぷ出版

    E『ふるやのもり』

    瀬田貞二再話 田島征三絵 福音館書店 

    E『とらとほしがき』

    韓国のむかしばなし パク・ジェヒョン再話・絵 

    おおたけきよみ訳 光村教育図書

    E『じゃがいも畑』

    カレン・ヘス文 ウェンディ・ワトソン絵 石井睦

    美訳 光村教育図書 

    *『馬ぬすびと』

    平塚武二作 太田大八絵 福音館書店

    *『ティナのおるすばん』

    イリーナ・コルシュノフ作 石川素子訳 徳間書店

    『ぬすまれた宝物』

    ウィリアム・スタイグ 金子メロン訳 評論社 

    『泥棒をつかまえろ!』

    オットー・シュタイガー作 高柳英子訳 佑学社

    『ぬすまれた湖』

    ジョーン・エイケン作 大橋善恵訳 冨山房 

    E『きつねのとうさんごちそうとった』

    ピーター・スピアー絵 松川真弓訳 評論社 

    『モモ』ミヒ

    ャエル・エンデ作 大島かおり訳 岩波書店

    *『七人のゆかいなどろぼう』

    たかしよいち作 スズキコージ画 理論社  

    注) E:絵本  *:小学中級から可

  • ― 12 ―

    「いいからいいから」であは

    は、うふふと始まり、「ぼくが

    ラーメンたべてるとき」では

    シーンとうたれ、「ガンジーさ

    ん」では蚊取り線香のうずま

    きについて思いを巡らせ、「ま

    わるおすし」ではこんな楽し

    み方があったなんて!と童心

    に帰り、さらに「おへそのあ

    な」で、生まれてくる前の胎

    児の気持ちになってみる。長

    谷川ワールドを存分に堪能さ

    せていただきました。

     本年度も、谷出先生から十

    回の講座を通して︿絵本の楽

    しみ方﹀をたっぷり教わりま

    した。絵本そのものの魅力は

    もちろん、絵本を伝える人の

    魅力がさらに絵本の力をひき

    だしていることも、身を以て

    教えて下さいました。次年度

    は、月ごとのテーマに沿って

    絵本のまだ見ぬ世界を案内し

    て下さいます。ウン年目の方

    も、初めての方もどうぞ気軽

    においで下さい。

    子どもの本を楽しむ会第10回

    「喜び

    怒り

    悲しみ

    楽しく 

    長谷川義史」

    第1期…4月~9月 主に第3金曜日 午後7時~8時30分

       ①

    4月19日(金)…元気な子絵本

    この1冊

       ②

    5月17日(金)…かえるの絵本

    この1冊

       ③

    6月21日(金)…七夕絵本

    この1冊

       ④

    7月19日(金)…ひまわり絵本

    この1冊

       ⑤

    8月16日(金)…家族の絵本

    この1冊

       ⑥

    9月27日(金)…お月さま絵本

    この1冊

    第2期…10月~1月 主に第3金曜日 午前10時~11時30分

       ⑦

    10月18日(金)…くだもの絵本

    この1冊

       ⑧

    11月15日(金)…お仕事絵本

    この1冊

       ⑨

    12月20日(金)…クリスマス絵本

    この1冊

       ⑩

    1月17日(金)…雪の絵本

    この1冊

    ︽主な開催場所︾ 越前市中央図書館 学習支援室書館

    ︽講師︾ 仁愛大学教授

    谷出千代子

    先生

    ︽対象︾ 子どもの本に興味がある方、お待ちしています。

    ︽内容︾ その月のテーマの本を持ちよってみんなで語りあいま

    す。

    ※時間・場所などは変更する場合があります。

    詳しくは越前市中央図書館(℡

    22ー0354)までお問合

    わせください。

    平成25年度 

    谷出講座「子どもの本を楽しむ会」のご案内

    「ポスターはどなたが?」の問い合

    わせをよくいただきます。次ペー

    ジはクリエイター・岡田が手掛け

    た今年度の十作です。

  • ― 13 ―

    谷出講座ポスターセッション

    平成24年度の谷出講座「子どもの本を楽しむ会」の案

    内ポスター。絵本作家の特徴を捉えつつ、読んだこと

    のない人でも来たくなるような可愛らしい仕上がりで

    す。

    これを作った岡田様は今年度から、「かこさとしふる

    さと絵本館」のほうに勤務されています。きっとまた

    素晴らしいポスターを作って絵本館の盛り上がりに貢

    献してくれることでしょう。

  • ― 14 ―

    人情の鬼 平蔵殿に寄せて

    ~スリにはスリ気質~岡

     先日、テレビで『鬼平犯科帳』

    を見ました。本当にたまたま、チャ

    ンネルを変えていたら映ったこと

    だったのですが、後から思えばこ

    の原稿の依頼のことが頭の片隅

    (Fさんスミマセン)にあったの

    でしょうね、珍しく最後のほうま

    で見てしまいました。

     それにしても、昔は本当によく

    時代劇を見ていました。僕が生ま

    れた鈴鹿市を含む中京圏では、朝

    9時から『暴れん坊将軍』が、月

    曜から金曜まで毎日、何十年も再

    放送しています(昔は、10時から

    は『特捜最前線』で、めったにか

    からないエンディング曲の2番ま

    で歌えるほど見ていました)。ま

    た、平日の夕方からは『水戸黄門』

    や『遠山の金さん』、土曜の午後

    2時からはテレビ愛知で、およそ

    聞いたことのないコアな時代劇を

    見て楽しんでいたものです。ちな

    みに僕の一番好きなのは、萬屋錦

    之介主演の『長崎犯科帳』という、

    お奉行が頭巾を被って悪人を暗殺

    しまくる物語です(「おい、○○

    屋。冥土の土産に俺の顔、とっく

    と見やがれっ」「あっ、お奉ぎ…」

    バサーっ! と、毎回こんな感じ

    です。エンディング曲も物悲しく

    て良かった…)。

     

    そんな僕でも、『鬼平犯科帳』

    はまったく見たことがありませ

    んでした。『大岡越前』などもそ

    うなんですが、子ども心になんだ

    か暗くて難しそうだ、というのが

    あったのかもしれません。そこで

    この原稿を書くにあたり、鬼平に

    ついていろいろ調べてみますと、

    大概、「悪党どもにはめっぽう鬼

    だが、ワケありの罪人や手下達に

    は情けをかける。あとグルメ」と

    いうようなことが書いてありまし

    た。前述したテレビ番組でも、な

    るほどそんな感じでした。

      さて、今回紹介するのは、「一

    文笛」という落語です。

     昔から、「罪を憎んで人を憎ま

    ず」なんて言いますが、人が他

    人の生命を救うために行った罪

    は、それでも許されないのでしょ

    うか。この落語の主人公は、名人

    級の腕を持つ〝秀〟というスリの

    男です。しかしこの秀、自分の腕

    に溺れていて、ある時、貧しい子

    どもの懐へ駄菓子屋で盗ったおも

    ちゃの笛をこっそり入れます。と

    ころが、その良いと思ってした行

    為が、かえってその子を死の淵へ

    追いやってしまいます。そんな秀

    に、かつてのスリの兄貴分が言い

    ます。

    「おい、子どもが可愛そうやと思

    うたら、たかだか五厘か一銭のお

    もちゃの笛、何で銭出して買うて

    やらんねん。それが盗人根性ちゅ

    うのや。……その金がどんな事情

    のある金か、回りまわってどこの

    誰がどない迷惑するか、一ぺんで

    も考えたことあるのかい。生意気

    なほげた叩くな」

     責められた秀は、「堪忍してく

    れ」と、右手の人差し指と中指を

    匕首で切り落とします。しかし、

    それで子どもの生命が助かるわ

    けではありません。そこで秀は、

    〝金が好きで貧乏人が嫌い〟な名

    医のところへ行き、子どもの入院

    代のためにその財布をスリます。

    兄貴との約束を破り、再びスリを

    働いた秀。そこには、子どもの生

    命が助かれば「懲役へでもどこへ

    でも行く」という覚悟がありまし

    た。その心情を兄貴に訴える場面

    は、自分の境遇にやさぐれ、腕に

    溺れていた時にはなかった秀の真

    剣さが見え、落語の大きな見せ場

    となっています。そして、指を二

    本切ったのに何故スリができたの

    かを秀が告白して〝オチ〟になる

    のですが、その時、それまで張り

    詰めていた緊張感がさっと解け、

    ホっと笑ってしまうところが、僕

    がこの落語が一番好きな理由で

    す。

     ところで、もし鬼平がこの秀を

    〝お縄〟にした時、はたして、そ

    の罪をいかに裁くのでしょうか?

  • ― 1� ―

    2013年2月11日の朝日新聞NIEに、YA倶楽部が取り上

    げられました。右のYA倶楽部通信ではそのことについて触れ

    ています。

  • ― 1� ―

     昨年三月に生まれた孫が、色々

    なものをつかんだり、放り出した

    りと、スムーズに指を動かすよう

    になってきました。

     「イヤイヤ、ドーモ」といった

    仕草も、大人のリクエストに応え

    るようになり、我が家の関心を一

    手に集めています。

     ハイハイと伝い歩きができるよ

    うになり、寝ているときと、お乳

    を飲むとき、そしてオムツを替え

    るとき以外は盛んに動き回ってい

    ます。

     自分の能力を出し惜しみするこ

    となく、疲れるまで精一杯その能

    力を使い切っているようです。

     あれだけ『練習』していれば、

    歩き出すのも間もなくでしょう。

     それに比して、私は、相当ずぼ

    らに日暮らしていますし、或いは

    気力という発火剤不足から不完全

    燃焼のまま一日を過ごしている気

    がします。

     しかしそれもあながち悪いこと

    ばかりではありません。動物だっ

    て、例えばサバンナで暮らすライ

    オンだって、お腹がふくれていれ

    ば狩をせずに寝そべってぐうたら

    しているようだし、「明日できる

    ことは、今日しないでおく」とい

    うスローライフを奨める人もいる

    のですから。

     第一、毎日全身全霊で努力・練

    習していたらどうなってしまうの

    か、すぐに心も体も壊れてしまう

    かも知れません。(言い訳でしょ

    うか?)

     話を戻しましょう。

     赤ちゃんの脳は、三歳くらいま

    でに成人の八割程度まで成長する

    と言われています。おぎゃあと生

    まれてから、脳はものすごい速さ

    で成長し併せていろいろなことを

    学習していくのでしょう。

     孫を見ていると、特に指の動き

    に比例して脳が成長しているよう

    に思えます。

     動物の中で人間ほど細かに指を

    動かせる動物はいないと思いま

    す。

     指が細かく動くから脳が発達す

    る、指が細かく動くから道具を

    作って道具を使う、道具を作って

    使うから更にまた脳が成長する、

    といった具合に人間は成長するの

    かもしれません。

     

    詳しくは分かりませんが、

    十五、六歳で脳の成長は止まると

    いう説もあれば、還暦を過ぎても

    脳は発達?成長するという説もあ

    ります。

     果たして、私の脳は成長してい

    るのか?

     昨年、思考力や記憶力に不安を

    覚え、神経内科を受診、MRIと

    血液検査をしてもらいました。

     MRI検査では、「年相応より

    若い状況、脳梗塞とかも心配ない」

    そうな。どちらかといえば、「仮

    面欝」かも知れないとの事。器質

    的には十分な能力を持っていて

    も、心がそれを使用しきれていな

    いということでしょうか。

     「能力を総動員して動き回る孫

    を、『師匠』として見習いなさ

    い!」。

     孫からの金言として受け入れ、

    還暦まで後数年少しだけがんばり

    ますか。

    春の日記

    もう少しだけ 「成長」しますか ......。

    O2

  • ― 1� ―

     4月といえばお花見、お花見と言え

    ば酒。〝花より団子〟ということわざ

    が古くから日本にはあるように、飲兵

    衛の思考は長い年月を経た現代でも同

    じくらい単純、かつ野暮に出来ていま

    す。とはいえ、お祝い事というのは普

    通の飲み会と比較してもやっぱりいい

    もので、楽しみ方についてとやかく言

    うのはそれこそ粋ではない、と酒飲み

    の立場から言い訳をしておきます。

     さて、ところで皆様、シャンパンは

    お好きですか?お祝い事や、結婚式の

    乾杯の時くらいしか飲まない、という

    方も多いでしょう。クリスマスには

    カップルが頬を赤らめながら飲んだり

    するかもしれません。いずれにせよ、

    発泡酒としての普及度はビールには到

    底及ばず、居酒屋で「とりあえずシャ

    ンパン」という風景を見かけるように

    なるには、あと100年はかかりそう

    です。

     

    日本にシャンパンがやってきたの

    は、ペリーの来航のときだと言われて

    います。鎖国なんて排他的な外交政策

    をとっている国のお偉方に対して交渉

    をするために、ペリーは世界中のお酒

    を積んで日本にやってきました。開栓

    一番、〝ポンッ〟と軽快な音をたてて

    泡が吹き出す光景は当時のサムライた

    ちにとって驚きとともに、異文化の象

    徴として捉えられたのではないでしょ

    うか。

     ちなみに、当時の文献にはシャンパ

    ンをしこたま飲んだ挙句、外人と肩を

    抱き合って「おぬしはワシの友じゃ!」

    と意気投合する武士の姿が描かれて

    います。日本が開国を決めた裏に何が

    あったのか、本当のところは分かりま

    せんが、シャンパンが裏で意外な働き

    をしていた…かもしれません。

     それから数百年、シャンパンは残念

    ながら日本人の生活に溶け込むまでに

    は至りませんでしたが、一方で特別感

    のあるお酒としてはそれなりの立場を

    維持し続けています。4月から新生活

    を送る方は、「幕末に見るシャンパン

    交渉術」をほどほどに参考にして、円

    滑な人間関係を築いていただければ、

    と思います。もちろん、何かあっても

    当方責任は取りかねますので悪しから

    ず。(小林ヤ)

    進化する読み聞かせ

     テレビ番組のなんでも鑑定団で一般の出場者の方

    がよく言っている言葉に「その骨董品が私を呼んで

    いたから買ってしまった」ということがあります。

     それを私自身の本とのかかわりから表現すれば、

    昨年12月くらいから「絵本が僕を呼んでいるんです

    よ」ということになります。武生のGさんに絵本の

    読み聞かせと紙芝居をお願いしたのを皮切りに、毎

    月何らかの絵本の読み聞かせにかかわっています。

    極めつけは、東京の世話になっているNGOの友達

    から海外での絵本の読み聞かせの取り組みを聞かさ

    れ、かかわりはさらに深さを増してきました。

     読み聞かせといえばお母さんの膝に座り一緒に絵

    本を読んでもらうという情景を思い浮かびますが、

    最近の読み聞かせは進化しているということを地元

    の公民館で体感しました。

     3月の新一年生のお祝い会の時に地元のボラン

    ティアの方々の取り組みで、絵本が大きくプロジェ

    クターで映画のごとく映し出され大迫力でした。お

    まけに太鼓とかで効果音も生演奏。なんか絵本に引

    き込まれます。子供たちは釘付けです。すげえ、絵

    本の読み聞かせって面白いと思った次第です。

     次は自分でもなんかやりたいなあ。せっかくです

    から地元の越前和紙のふすま紙とか戸袋を使った絵

    本を作りたいですね。みなさんどうですか。一緒に

    やる人この指とまれえ。

    (林直樹)

  • ― 1� ―

    今立図書館で感じたこと

     2年間、今立図書館で感じたことを紹介さ

    せていただきます。

     まず、図書館を上手に活用している利用者

    の方がたくさんおり、また、毎週来館してい

    る児童や、たくさんの本を借りてくれる児童

    がいる事を。

     次に、絵本の発見です。絵本が、簡単に言

    い表せないほど、奥深いものだとはいうこと

    を。図書館には宝がいっぱい詰まっています。

     また、地域のボランテイアの方々が一生懸

    命子どものために活動されており、図書館は

    多くの方に支えられて成り立っているものだ

    と。などなど。

     今後は、ますます魅力ある図書館になるよ

    う、当たり前のことではあるが、職員自らが

    知識習得に励み、学校、地元公民館などへの

    貸出や、毎週土曜日の行事など、地元ボラン

    テイアの方々と連携して、地道に、継続して

    いくことが最も大事であることを。

     最後になりましたが、友の会の皆様を始め、

    地域の皆様や、利用者の皆様には大変お世話

    になり、本当に有難うございました。

    今立図書館長  上野 巌

    愉しい骨董講座

    瀬戸の石皿、あんどん皿、馬の目皿など

    のコレクターとして海外でも知られてい

    る三田村善衛が、越前市図書館にて毎月、

    平日第3水曜日の夜7時から

    「愉しい

    骨董講座」を開催します。テレビ「何で

    も鑑定団」にも出演経験のある三田村が、

    実際に古い掛け軸や焼き物などをズラリ

    と持参して、古いものの見方、愉しみ方

    を優しく面白く解説します。他の市町か

    らの参加も自由です。ただし、プロの冷

    やかしはお断り。少人数で、のんびりと

    やります。

    ノミの市で骨董を買いたいけど今ひとつ

    よくわからない、さらには本物の簡単な

    見分け方などを教えてほしい。などなど、

    みんなで楽しく学びましょう。骨董を知

    ることは少なからず日本の文化を学ぶこ

    とにもつながります。欲の深い皆様のご

    参加をお待ちしております。

    (図書館友の会)

    IT講座報告

    通信端末・スマートフォンに触れるとい

    う第1回からはじまった講座も、3月の

    蔵書管理ソフトの活用という講座で終了

    しました。

    この間、学校図書館の現状や図書館内の

    Wi-

    Fi環境の整備提案、バーコード、

    蔵書管理ソフトについての学習等、多彩

    なコンテンツの連続。

    集大成として、蔵書管理のマニュアル作

    成中です。

    図書館IT研究会

    友の会総会のご案内

    4月27日午前10時から友の会総会を開催

    します。事業報告や今年度の事業計画、

    及び決算報告を行います。友の会に要望

    やご意見のある方、または図書館友の会

    の活動についていまいちよく分からない

    という方、お友達と一緒に是非ご参加く

    ださい。

    なお、総会終了後、午後2時からは図書

    館の定例行事「名作映画会」がありま

    す。27日の上映作品はフェデリコ・フェ

    リーニ監督の「甘い生活」。上演時間は

    163分です。お時間に余裕のある方は

    ご覧になってください。(友の会運営委

    員会)

    行事案内

  • ― 19 ―

    〝セロ弾きのゴーシュ〟

          を終えて

     

    2月23日(土)、学習支援室に

    て宮沢賢治ファンタジーシリーズ

    の最終章〝音のファンタジー、セ

    ロ弾きのゴーシュ〟が催されまし

    た。

     〝銀河鉄道の夜〟に出演いただ

    き、大好評を博したチェロの荒井

    結子さん、ピアノの福田美穂さん、

    朗読の五十嵐博美さんの3人が今

    回は〝セロ弾きのゴーシュ〟で再

    びのご登場となりました。荒井さ

    んの奏でるバッハの無伴奏組曲プ

    レリュードでいっきょにその世界

    に惹きこまれた瞬間からおしまい

    まで、どなたも今日この空間、こ

    の時間を共有できた幸せを感じら

    れたのではないでしょうか。終演

    後、一様にほころび、余韻に浸り、

    喜んでおられるかのようなお客様

    の表情がそれを如実に物語ってい

    たと思います。

     

    宮澤賢治ファンタジーシリー

    ズと銘打って2011年〝夏の

    ファンタジー

    銀河鉄道の夜〟、

    2012年〝雪のファンタジ―

     雪わたり〟、〝森のファンタジー

    どんぐりと山猫〟と企画させてい

    ただき、第4弾でもあるこの〝音

    のファンタジー

    セロ弾きのゴー

    シュ〟はシリーズの締めくくりで

    もありました。セロ弾きのゴー

    シュは一人の音楽家がまわりの

    人々や動物たちに支えられて知ら

    ず知らずのうちに成長していく物

    語でしたが、ひとつの音楽会がで

    きあがるまでにもたくさんの方々

    の支えの過程があります。

     友の会の事務局の皆さんはもち

    ろんのこと、主催してくださっ

    た館長はじめ図書館の皆様のご協

    力、中でもポスターやプロジェク

    ター作成においてたぐいまれなセ

    ンス、才能を発揮してくださった

    小林弥成さんのお力添えなくして

    はこの企画はもとより実現できな

    かったと思います。

     また、宮沢賢治への並々ならぬ

    熱意でこの企画の継続を支えてく

    ださった生涯学習センターの長谷

    川秀代さん、ご多忙にも関わらず

    合間を縫って駆けつけてくださっ

    た奈良俊幸市長、そしてなにより

    も毎回お天気が極端な季節にも関

    わらずおいでいただき、暖かいご

    支援を賜りましたたくさんのお客

    様にも心より感謝申し上げる次第

    でございます。

     

    最後にとてもお忙しいスケ

    ジュールの中、ご出演を快諾して

    くださり、素晴らしい演奏で盛

    り上げてくださった荒井さん、シ

    リーズ4回すべてにご出演下さ

    り、その美しい美声とたゆまぬ努

    力で賢治の世界を表現してくだ

    さった五十嵐さん、3回ご登場く

    ださり伸びやかなピアノの音色を

    ご披露くださった福田さんにも厚

    く御礼を申し上げたいと思いま

    す。

     ありがとうございました。

    (杏理子)

  • ― 20 ―

    編集後記

    ▼テレビの鬼平シリーズでは、徳利や盃、

    印籠などはホンモノの骨董品とのことで

    す。やるにょお。(善)

    ▼3年ごしの宮沢シリーズを無事終了する

    ことができ感無量です。さて次なる企画

    は...

    。お楽しみに。(杏理子)

    ▼新橋の舞台での鬼平も見ましたが、やっ

    ぱり吉右衛門さんは最高でした。しびれ

    ました。(麗美)

    ▼原作では五郎蔵さんと、おまささんは夫

    婦になるんですよ。きゃっ。(ともこ)

    ▼忙殺された3月が過ぎ、気がつくと桜の

    頃。還暦の年、定年組を羨望しながらも

    現役続行に日々感謝。桜を肴に今宵も一

    杯。(M)

    ▼最近iPadという代物にためしに電子

    書籍で新書を購入して見ました。通常の

    本を買うよりすこしだけ安いのですが、

    やっぱり紙には負けると思いつつ使って

    みると、あーーら便利。人生を積み重ね

     最近おめめがという方には 字が大き

    くなるから最高です。なんかこれはこれ

    で蔵書増えそうです。春を見つけたく 

    さまよう おやじ(林直樹)

    ▼池波作品は鬼平といい、秋山小兵衛とい

    い、人間くさいのに器がデカい。そして

    見終わったあと酒屋に走る自分はつくづ

    く俗人である、と思う。(小林ヤ)

    会報に関するご意見・お問合せ先

    越前市図書館友の会〒915-0832 越前市高瀬二丁目 7-24(越前市中央図書館内)電話:0778-22-0354Mail:[email protected]

    ― 次 号 予 告 ―

    次号は「怖い話-百物語-」特集を予定しています。

    どうぞお楽しみに!