経済概況 - JBIC...604 459 602 662 679 680 710 734 914 - 貿易収支 億ドル -77 -47 -34 -122...

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3 経済概況 21 経済概況 経済概観 フィリピン経済の歩み フィリピン経済の歩みはアジアの優等生、アジアの病人(80 年代から 90 年代後半にかけて)、 アジア通貨危機後に近隣諸国と比して伸び悩む時代、サブプライムローン・リーマンショックに よる金融危機からの回復期と時期により異なる様相を呈する。低迷期の原因としては政情不安や 投資を呼び込む政府の主導力が不足していたことなどが挙げられる。 1960 年代後半から 1986 年までのマルコスの独裁政権では腐敗や汚職が外国投資家に嫌気され 投資が伸び悩んだことや、 80 年代初頭の輸出の低迷の影響などを受けフィリピン経済は低迷した。 83 年に起きたペニグノ・アキノ・ジュニア上院議員暗殺事件による政情不安も相まって、 80 年代 中盤にフィリピン経済は行き詰った。マルコス政権に終止符を打ったエドゥサ革命後の 90 年代 も、順調に増加した人口と裏腹に経済成長は低迷を続けた。 政権の腐敗やクーデターなどの政情不安以外にも、 1986 年の日系商社のマニラ支店長誘拐事件、 2007 年の現職上院議員が率いる武装集団によるマニラ市内のホテルの占拠など、過去のフィリピ ンは外国投資家の投資意欲を下げる要因の枚挙に暇がない。 これらの課題を払拭するために、2016 年に就任したドゥテルテ大統領は汚職のない政府や経済 成長に資するインフラ投資計画「Build! Build! Build!(インフラ及び産業開発分野への投資を加速 し、経済、雇用、所得等の向上を図る政策)」を掲げて、投資環境の整備を積極的に実行している。 図表 3-1 IMF による 1980 年から 2022 年までの GDP の推移である(2016 年以降は IMF によ る予測値)。実際に 8485 年や 90 年代初頭、アジア通貨危機の 97 年などの成長率の下落度合は 顕著であるが、概ね順調に一定の成長率を堅持している。 図表 3-1 実質経済成長率と 1 人あたり GDP の推移 (出所)IMF より作成、2016 年以降は IMF による予測値 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 5,000 80 85 90 95 00 05 10 15 20 (年) 1人あたりGDP(左軸) 実質GDP成長率(右軸) (ドル) (%) 予測 アジア通貨危機 リーマンショック エドサ革命

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  • 第 3 章 経済概況

    21

    経済概況

    経済概観

    フィリピン経済の歩み

    フィリピン経済の歩みはアジアの優等生、アジアの病人(80 年代から 90 年代後半にかけて)、アジア通貨危機後に近隣諸国と比して伸び悩む時代、サブプライムローン・リーマンショックに

    よる金融危機からの回復期と時期により異なる様相を呈する。低迷期の原因としては政情不安や

    投資を呼び込む政府の主導力が不足していたことなどが挙げられる。

    1960 年代後半から 1986 年までのマルコスの独裁政権では腐敗や汚職が外国投資家に嫌気され投資が伸び悩んだことや、80 年代初頭の輸出の低迷の影響などを受けフィリピン経済は低迷した。83 年に起きたペニグノ・アキノ・ジュニア上院議員暗殺事件による政情不安も相まって、80 年代中盤にフィリピン経済は行き詰った。マルコス政権に終止符を打ったエドゥサ革命後の 90 年代も、順調に増加した人口と裏腹に経済成長は低迷を続けた。

    政権の腐敗やクーデターなどの政情不安以外にも、1986年の日系商社のマニラ支店長誘拐事件、2007 年の現職上院議員が率いる武装集団によるマニラ市内のホテルの占拠など、過去のフィリピンは外国投資家の投資意欲を下げる要因の枚挙に暇がない。

    これらの課題を払拭するために、2016 年に就任したドゥテルテ大統領は汚職のない政府や経済成長に資するインフラ投資計画「Build! Build! Build!(インフラ及び産業開発分野への投資を加速し、経済、雇用、所得等の向上を図る政策)」を掲げて、投資環境の整備を積極的に実行している。

    図表 3-1 は IMF による 1980 年から 2022 年までの GDP の推移である(2016 年以降は IMF による予測値)。実際に 84、85 年や 90 年代初頭、アジア通貨危機の 97 年などの成長率の下落度合は顕著であるが、概ね順調に一定の成長率を堅持している。

    図表 3-1 実質経済成長率と 1 人あたり GDP の推移

    (出所)IMF より作成、2016 年以降は IMF による予測値

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    80 85 90 95 00 05 10 15 20 (年)

    1人あたりGDP(左軸) 実質GDP成長率(右軸)(ドル) (%)

    予測 アジア通貨危機

    リーマンショック エドサ革命

  • フィリピンの投資環境

    22

    最近の経済動向

    フィリピンの GDP は図表 3-2 から読み取れるように、民間支出が大きな割合を占めている。これは、海外出稼ぎ労働者からの送金で支えられており、ペソの為替レートの影響を大きく受ける。ま

    た、フィリピン政府は財政規律を維持する傾向にあり、結果として政府支出が低調である。これに

    は外国投資家からの信認向上等のメリットと、経済成長を加速させるために必要なインフラ整備の

    遅れ等のデメリット両面を持つ。また、輸出から輸入を差し引いて算出される純輸出はマイナスで

    ある。

    図表 3-2 実質 GDP 成長率と要因分解

    (出所)PSA より作成

    図表 3-3 はフィリピンの主要な経済指標である。中でも実質 GDP 成長率は、金融危機からの回復期である 2010 年(7.6%)、その翌年の 2011 年(3.7%)はいずれも前年度のボラティリティが大きく一概に高成長、低成長とは断定できないが、2012 年以降は平均的に 6.6%で推移しており、フィリピンの順調な経済成長を表している。一方、失業率は 2008 年から 2013 年まで基本的に 7%以上を維持しており、2014 年以降は 6.8%から 5.5%の間で推移している。また、貧富の格差が大きく、近隣諸国と比して名目 GDP の増加が一人あたり GDP として行き届いていない点もフィリピンの特徴である。貿易収支のマイナスを他の収支(とりわけ海外出稼ぎ労働者からの送金)に

    よりカバーする状況が続いている。

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    (年度)民間支出 政府支出 総固定資本形成 純輸出 誤差 実質GDP成長率

    旺盛な民間支出が

    経済成長を下支えリーマンショックに

    よる急速な落ち込み

  • 第 3 章 経済概況

    23

    図表 3-3 主要経済指標

    単位 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

    名目 GDP 十億ドル 174 168 200 224 250 272 285 293 305 321

    一人当たり GDP $ 1,941 1,851 2,155 2,380 2,592 2,769 2,842 2,866 2,927 3,022

    実質 GDP 成長率 % 4.2 1.1 7.6 3.7 6.7 7.1 6.1 6.1 6.9 -

    人口 万人 8,944 9,102 9,260 9,418 9,650 9,818 10,014 10,214 10,418 10,627

    失業率 % 7.4 7.5 7.3 7.0 7.0 7.1 6.8 6.3 5.5 6.0

    消費者物価上昇率 % 8.2 4.2 3.8 4.7 3.2 2.9 4.2 1.4 1.8 3.1

    コア・インフレ率 % 5.8 4.2 3.6 4.3 3.7 2.9 3.0 2.1 1.9 -

    輸出額(FOB) 億ドル 491 392 514 480 520 540 618 586 561 -

    輸入額(CIF) 億ドル 604 459 602 662 679 680 710 734 914 -

    貿易収支 億ドル -77 -47 -34 -122 -100 -57 -33 -122 -267 -

    経常収支 億ドル 1 84 72 56 69 114 108 77 - -

    直接投資流入額 億ペソ 1,827 1,218 1,961 2,582 2,895 2,740 1,870 2,452 2,190 -

    外貨準備高 億ドル 330 375 540 657 717 738 703 724 719 -

    為替レート(年平均) ペソ/ドル 44.5 47.6 45.1 43.3 42.2 42.4 44.4 45.5 47.5 -

    (出所)IMF、PSA、フィリピン中央銀行より作成

    最近の経済トピックス

    フィリピンにおける経済トピックスはドゥテルテ大統領によるインフラ投資計画である Build! Build! Build! や、安倍首相とドゥテルテ大統領の間で交わした経済協力(マニラ首都圏の鉄道事業整備、地方との連結性強化、ダバオを含む地方都市開発支援、カビテ州産業地域の洪水対策事

    業を含む自然災害への強靱性強化、電力課題の解決、LNG 基地への日本企業の参入実現、二国間通貨スワップ)等が挙げられる。

    フィリピンの都市

  • フィリピンの投資環境

    24

    産業構造

    フィリピンにおける産業構造は、長年にわたりサービス業に依存する状況が続いている。1998年から 2016 年にかけて第 3 次産業の比率が過半を占め、その比率は 51%から 57%へ拡大を続けている。第 1 次産業は 1998 年には全産業の 13%を占めていたが、2016 年には 9%までシェアを落とした。第 1 次産業としての産出総額自体は 1.6 倍に拡大したが、全産業の拡大と比べて低い伸び率であった。第 2 次産業の全体に占める構成比は 1998 年の 35%から 2016 年の 34%と概ね横ばいではあるが、2000 年代後半においては 31%までシェアを落としていた。第 2 次産業の産出額も 1998 年から 2016 年で 2.3 倍まで拡大したが、全産業に占める割合を落とした格好となった。

    図表 3-4 第 1~3 次産業の構成比の推移

    (出所)PSA より作成

    第 3 次産業の内訳で特筆すべきは「自動車・オートバイ・個人および家庭用品の貿易と修理」、IT/BPO サービスを含む「その他サービス」である。2016 年でこれらは全産業のそれぞれ 18.3%と9.8%を占め、その規模も拡大傾向にある。前者は、フィリピンにおける自動車製造業の弱さが自動車の貿易を盛んにする要因となっており、この結果として表れたと考えられる。また後者は、

    インド、ベトナムと並び BPO サービスが有名であるフィリピンだが、それでも GDP に占める割合は 10%未満にとどまっている。BPO サービスが生み出す雇用も一定以上の教育水準に達している労働者に限られ、恩恵を受ける裾野産業も製造業等に比して狭い範囲にとどまるため、製造業

    の能力向上がフィリピンの課題といえる。なお、「金融」と「不動産」も 2006 年に比して、増加が著しい。

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    1次産業 2次産業(その他) 2次産業(製造業) 3次産業

  • 第 3 章 経済概況

    25

    図表 3-5 産業別 GDP(名目)の構成比

    (金額:100 万ペソ)

    名目 GDP 構成比 2006 2016 (年率) 2006 2016 (差分)

    全体 6,271,157 14,480,720 8.7% 100.0% 100.0%

    1.農業、狩猟、林業および漁業 775,688 1,397,615 6.1% 12.4% 9.7% -2.7%

    a. 農林 640,340 1,212,818 6.6% 10.2% 8.4% -1.8%

    b. 漁業 135,348 184,796 3.2% 2.2% 1.3% -0.9%

    2. 産業部門 2,100,382 4,464,453 7.8% 33.5% 30.8% -2.7%

    a. 鉱業 76,548 114,317 4.1% 1.2% 0.8% -0.4%

    b. 製造業 1,481,322 2,844,927 6.7% 23.6% 19.6% -4.0%

    c. 建設業 308,212 1,049,671 13.0% 4.9% 7.2% 2.3%

    d. 公益業 234,300 455,538 6.9% 3.7% 3.1% -0.6%

    3.サービス部門 3,395,087 8,618,652 9.8% 54.1% 59.5% 5.4%

    a. 輸送・倉庫・通信 476,866 913,100 6.7% 7.6% 6.3% -1.3%

    b. 自動車・オートバイ、個人 および家庭用品の貿易と修理

    1,053,202 2,643,389 9.6% 16.8% 18.3% 1.5%

    c. 金融 396,866 1,164,718 11.4% 6.3% 8.0% 1.7%

    d. 不動産 631,048 1,898,897 11.6% 10.1% 13.1% 3.1%

    e. 行政・防衛 260,217 575,693 8.3% 4.1% 4.0% -0.2%

    f. その他 576,888 1,422,855 9.4% 9.2% 9.8% 0.6%

    (出所)PSA より作成

    貿易構造

    輸出・輸入・貿易収支の推移

    フィリピンの貿易構造は他の東南アジア諸国とは異なる様相を呈しており、輸入の拡大傾向に

    起因する慢性的な貿易赤字が続いている。東南アジアの近隣諸国が各年度によって貿易黒字と赤

    字を繰り返してきた状況に対して、フィリピンは 2003 年以降恒常的に貿易赤字となっている。この貿易・経常収支やペソ/外貨のレートの構造はフィリピンの内需および輸出の動向双方に大きく影響する。

  • フィリピンの投資環境

    26

    図表 3-6 財の輸出・輸入と貿易収支の推移

    (出所)IMF より作成

    品目別輸出・輸入の動向

    フィリピンにおける最大の輸出品目は電気機器と事務用機器・コンピュータである。1990 年代に日米のメーカーが進出して以降、その構図は変わっていない。2010 年、2011 年においては一時的に輸出総額全体におけるシェアが著しく低下したが、これはエレクトロニクスが景気変動の影

    響を大きくうける品目であり、輸出先の景気動向の影響を受けたためであると考えられる。実際、

    2012 年にエレクトロニクスが輸出全体に占める割合は急激に回復している。

    輸入品目としては、2016 年に 171 億ドルと電子機器が最も多く、全体の約 20%を占めている。これは輸出志向型の現地日系企業による投資が加速していることが影響を与えている。フィリピ

    ンに電気・電子産業が集積する理由としては、豊富な人材に加え、PEZA 管轄の経済特区に進出した際に受けられるインセンティブ(法人税や関税の一部免除)などが挙げられる。

    図表 3-7 2016 年輸出品目・輸入品目の構成割合

    【輸出】 【輸入】

    (出所)UNCTAD Stat より作成

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    2005

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    2009

    2010

    2011

    2012

    2013

    2014

    2015

    2016

    (100万ドル)

    (年)輸出 輸入 貿易収支

    機械類・輸

    送用機器64.5%

    雑製品9.9%

    素材製造品(皮革、

    紙、鉄鋼等)8.2%

    食料品・動物5.6%

    食料に適さない原材料3.8%

    その他8.0%

    機械類・輸

    送用機器49.0%

    素材製造品(皮革、紙、鉄鋼等)12.3%

    化学製品10.1%

    食料品・動物9.8%

    鉱物性燃料等9.7%

    雑製品5.7%

    その他3.4%

  • 第 3 章 経済概況

    27

    図表 3-8 主要輸出品目

    (100 万ドル/暦年) 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

    輸出総額 47,410 50,466 49,078 38,436 51,498 48,042 51,995 56,698 61,810 58,648 56,313

    (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%)

    食料品・動物 1,791 2,021 2,341 2,080 2,161 3,055 3,176 4,196 4,278 2,927 3,162

    (3.8%) (4.0%) (4.8%) (5.4%) (4.2%) (6.4%) (6.1%) (7.4%) (6.9%) (5.0%) (5.6%)

    魚介類・同調整品 387 470 639 567 634 646 811 1,156 994 767 711

    果実・野菜 963 1,026 1,098 959 920 1,395 1,596 1,958 2,267 1,492 1,777

    飲料・たばこ 183 191 236 255 316 398 294 360 521 397 350

    (0.4%) (0.4%) (0.5%) (0.7%) (0.6%) (0.8%) (0.6%) (0.6%) (0.8%) (0.7%) (0.6%)

    食料に適さない原材料 957 1,415 1,207 894 1,338 1,778 1,808 3,089 4,013 2,677 2,130

    (2.0%) (2.8%) (2.5%) (2.3%) (2.6%) (3.7%) (3.5%) (5.4%) (6.5%) (4.6%) (3.8%)

    金属鉱・金属くず 696 1,137 868 646 955 1,249 1,344 2,504 3,348 2,098 1,641

    鉱物性燃料等 1,093 1,415 1,608 734 1,057 1,403 1,263 2,136 1,837 775 750

    (2.3%) (2.8%) (3.3%) (1.9%) (2.1%) (2.9%) (2.4%) (3.8%) (3.0%) (1.3%) (1.3%)

    石炭・コークス・練炭 0 39 40 86 197 164 164 222 344 148 320

    石油・同製品 1,048 1,244 1,401 567 783 1,190 1,094 1,865 1,490 621 391

    動植物性油脂 615 769 1,074 608 1,290 1,461 1,167 1,352 1,507 1,208 1,194

    (1.3%) (1.5%) (2.2%) (1.6%) (2.5%) (3.0%) (2.2%) (2.4%) (2.4%) (2.1%) (2.1%)

    植物性油脂 580 734 1,040 595 1,270 1,431 1,069 1,083 1,421 1,145 1,163

    化学製品 765 1,019 1,123 963 1,554 1,874 1,927 2,322 2,212 1,653 1,549

    (1.6%) (2.0%) (2.3%) (2.5%) (3.0%) (3.9%) (3.7%) (4.1%) (3.6%) (2.8%) (2.8%)

    有機化合物 83 175 234 118 380 442 471 398 892 452 389

    香料用精油・洗剤 105 143 193 198 273 312 329 421 362 338 447

    プラスチック(成型前) 76 94 147 132 198 205 245 145 170 288 229

    素材製造品(皮革、紙、鉄鋼等) 3,655 3,746 3,958 2,678 3,356 4,562 4,913 6,090 5,542 4,984 4,601

    (7.7%) (7.4%) (8.1%) (7.0%) (6.5%) (9.5%) (9.4%) (10.7%) (9.0%) (8.5%) (8.2%)

    木製品・コルク製品 667 789 940 844 1,046 1,710 2,185 3,116 2,977 2,794 2,826

    非鉄金属 1,390 1,578 1,650 840 1,039 1,413 1,255 938 700 849 596

    金属製品 222 292 249 209 318 346 442 1,180 860 676 518

    機械類・輸送用機器 32,948 35,224 33,031 26,624 22,805 19,897 31,013 31,574 35,579 37,871 36,321

    (69.5%) (69.8%) (67.3%) (69.3%) (44.3%) (41.4%) (59.6%) (55.7%) (57.6%) (64.6%) (64.5%)

    事務用機器・コンピュータ 8,178 10,209 9,016 8,210 5,747 4,485 5,531 5,916 7,018 6,891 6,620

    電気機器 21,227 21,157 19,742 14,711 13,088 11,287 19,024 20,476 21,864 24,407 23,529

    雑製品 4,866 4,443 4,091 3,381 2,320 2,899 5,945 5,234 6,027 5,704 5,579

    (10.3%) (8.8%) (8.3%) (8.8%) (4.5%) (6.0%) (11.4%) (9.2%) (9.8%) (9.7%) (9.9%)

    衣類・同附属品 2,624 2,294 1,979 1,534 1,078 1,402 1,612 1,575 1,843 1,458 1,044

    業務用機器・医療用機器 173 151 248 199 194 328 949 979 1,282 1,415 1,219

    写真機器・光学機器・時計 799 910 878 875 214 244 1,222 1,189 1,092 946 1,300

    その他の雑製品 673 631 590 507 557 665 1,867 972 1,086 1,011 1,119

    その他 538 221 409 219 15,301 10,716 490 345 292 452 677

    (1.1%) (0.4%) (0.8%) (0.6%) (29.7%) (22.3%) (0.9%) (0.6%) (0.5%) (0.8%) (1.2%)

    (出所)UNCTAD Stat より作成

  • フィリピンの投資環境

    28

    図表 3-9 主要輸入品目

    (100 万ドル/暦年) 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

    輸入総額 54,078 57,996 60,420 45,878 58,468 63,693 65,350 65,705 67,719 70,153 85,909

    (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%)

    食料品・動物 3,171 3,713 5,866 4,807 5,953 5,642 6,077 6,089 7,214 7,159 8,429

    (5.9%) (6.4%) (9.7%) (10.5%) (10.2%) (8.9%) (9.3%) (9.3%) (10.7%) (10.2%) (9.8%)

    穀物・同調整品 1,210 1,261 2,879 2,129 2,475 1,629 1,741 1,408 1,855 1,941 1,794

    飼料 461 563 710 670 688 899 1,059 1,135 1,367 1,079 1,322

    飲料・たばこ 257 246 279 251 191 230 237 292 297 309 463

    (0.5%) (0.4%) (0.5%) (0.5%) (0.3%) (0.4%) (0.4%) (0.4%) (0.4%) (0.4%) (0.5%)

    食料に適さない原材料 1,113 1,321 1,236 1,525 2,038 1,637 1,910 1,949 926 1,015 1,367

    (2.1%) (2.3%) (2.0%) (3.3%) (3.5%) (2.6%) (2.9%) (3.0%) (1.4%) (1.4%) (1.6%)

    金属鉱・金属くず 506 618 517 957 1,366 788 972 1,203 238 329 429

    鉱物性燃料等 8,300 9,883 12,804 7,654 9,905 12,810 14,093 13,537 13,590 8,292 8,345

    (15.3%) (17.0%) (21.2%) (16.7%) (16.9%) (20.1%) (21.6%) (20.6%) (20.1%) (11.8%) (9.7%)

    石炭・コークス・練炭 301 298 427 433 529 667 785 825 767 678 1,030

    石油・同製品 7,606 8,834 11,582 6,636 8,797 11,560 12,633 11,923 12,228 7,315 6,897

    動植物性油脂 163 179 251 162 195 571 405 285 624 641 925

    (0.3%) (0.3%) (0.4%) (0.4%) (0.3%) (0.9%) (0.6%) (0.4%) (0.9%) (0.9%) (1.1%)

    動物性及び植物性の加工油脂 24 102 181 107 120 399 250 148 375 377 677

    化学製品 3,975 4,229 5,167 4,483 5,585 6,761 6,712 6,507 7,453 7,113 8,690

    (7.4%) (7.3%) (8.6%) (9.8%) (9.6%) (10.6%) (10.3%) (9.9%) (11.0%) (10.1%) (10.1%)

    医薬品 553 612 700 766 832 974 1,023 1,124 1,084 1,332 1,545

    プラスチック(成型前) 728 769 873 562 926 1,329 1,228 1,168 1,763 1,264 1,519

    素材製造品(皮革、紙、鉄鋼等) 4,639 4,729 4,894 3,640 4,683 5,800 5,663 6,069 6,761 7,520 10,562

    (8.6%) (8.2%) (8.1%) (7.9%) (8.0%) (9.1%) (8.7%) (9.2%) (10.0%) (10.7%) (12.3%)

    織物用糸・繊維製品 1,244 1,189 873 604 648 814 796 908 876 870 1,218

    非金属鉱物製品 218 257 307 305 401 478 589 716 798 965 1,267

    鉄鋼 1,284 1,299 1,730 991 1,313 1,449 1,472 1,558 1,891 2,012 3,401

    非鉄金属 664 683 642 463 660 962 722 668 720 776 1,031

    金属製品 445 503 473 485 635 781 742 809 907 1,196 1,457

    機械類・輸送用機器 30,365 31,706 27,897 21,541 27,519 18,025 27,553 28,214 27,598 34,356 42,064

    (56.2%) (54.7%) (46.2%) (47.0%) (47.1%) (28.3%) (42.2%) (42.9%) (40.8%) (49.0%) (49.0%)

    事務用機器・コンピュータ 3,892 5,204 4,758 3,989 4,425 2,028 3,492 2,612 2,358 2,794 4,331

    通信・音響機器 1,329 1,235 1,298 1,201 1,189 1,468 1,569 1,562 1,473 2,195 3,266

    電気機器 20,526 20,092 16,119 11,639 14,995 7,247 13,410 13,343 12,836 17,484 17,105

    自動車・バイク等 1,443 1,827 2,094 2,044 2,863 2,854 3,534 3,611 3,778 4,800 7,540

    雑製品 1,875 1,763 1,731 1,604 1,929 2,178 2,430 2,545 2,910 3,523 4,926

    (3.5%) (3.0%) (2.9%) (3.5%) (3.3%) (3.4%) (3.7%) (3.9%) (4.3%) (5.0%) (5.7%)

    業務用機器・医療用機器 421 406 413 392 502 483 522 463 438 632 1,138

    その他の雑製品 596 592 662 637 707 862 896 968 1,118 1,326 1,885

    その他 221 225 295 213 469 10,037 270 219 347 227 137

    (0.4%) (0.4%) (0.5%) (0.5%) (0.8%) (15.8%) (0.4%) (0.3%) (0.5%) (0.3%) (0.2%)

    (出所)UNCTAD Stat より作成

  • 第 3 章 経済概況

    29

    また、裾野産業が広く雇用創出力の高い自動車の輸出入に目を向けると、自動車のフィリピン

    国内生産が過去 10 年間伸び悩んできた状況が伺える。2006 年にはほぼ同額だった自動車及びバイクの輸出入は、2016 年に 3 倍以上増加している輸入に対して輸出は概ね横ばいである。その結果、輸入の増加分がそのまま貿易赤字の増加要因となっている。経済成長に伴って増加する自動

    車の需要を国外からの輸入で賄っており、後述するフィリピン国内での自動車生産台数と販売台

    数のギャップや、自動車の輸出が伸び悩んでいる事実は、フィリピン国内での自動車生産能力の

    脆弱さを表していると考えられる。

    図表 3-10 自動車・バイクの輸出入の推移

    (出所)UNCTAD Stat より作成

    輸出入の国別動向

    図表 3-11 はフィリピンにおける主要な国への 2011 年から 2016 年にかけての輸出増加額である。サブプライムローン・リーマンショックからの回復期である 2011 年から 2016 年にかけての国別の輸出増加額を見ると、日米と香港が大幅増加している。その内訳を見ると幅広い品目が増

    加している日米向けに対して、香港向けは電気機器が単独で大幅増加している状況が見て取れる。

    -8,000

    -6,000

    -4,000

    -2,000

    0

    2,000

    4,000

    6,000

    8,000

    10,000

    2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016(年)

    (100万ドル)

    輸出 輸入 純輸出

  • フィリピンの投資環境

    30

    図表 3-11 品目別輸出増加額(対主要輸出国・地域:2011→2016 年)

    (分野、億ドル) 日本 米国 香港 中国 シンガポール 小計 全体

    全体 28 16 29 1 -6 68 83

    素材製造品(皮革、紙、鉄鋼等) 14 -1 -1 -3 0 10 0

    木製品・コルク製品 11 0 -0 -0 0 11 11

    機械類・輸送用機器 21 27 38 12 16 114 164

    事務用機器・コンピュータ 0 6 2 1 0 9 21

    通信・音響機器 3 4 1 1 0 9 10

    電気機器 15 11 36 8 17 88 122

    その他輸送用機器 6 3 -1 0 -1 6 11

    雑製品 8 5 1 2 1 16 27

    バッグ・旅行用品 0 3 0 0 0 4 5

    衣類・同附属品 0 -3 -0 -0 -0 -3 -4

    業務用機器・医療用機器 2 1 0 1 0 4 9

    写真機器・光学機器・時計 2 3 0 1 0 6 11

    その他の雑製品 3 1 -0 0 0 4 5

    (注) 各国とも増加額が顕著だった項目のみを記載しており、個別の項目の合計と全体は一致しない。

    (出所)UNCTAD Stat より作成

    図表 3-12 はフィリピンにおける主要輸入国・地域からの 2011 年から 2016 年にかけての品目別輸入増加額である。国全体で輸入の増加が顕著だったのは日本と中国で、それぞれ 32 億と 94 億増加している。日本からの輸入は電気機器と事務用機器・コンピュータが合わせて 17 億、自動車・バイクが 8 億増加している。このうち前者は半製品を輸入した後にフィリピンから輸出するものが含まれ、自動車は多くが国内市場向けの完成車輸入である。中国からは輸入額の増加が日本の

    3 倍近くなっており、鉄鋼・通信機器・電気機器等の増加が顕著であった。

    図表 3-12 品目別輸入増加額(対主要輸入国・地域:2011→2016 年)

    (分野、億ドル) 中国 日本 米国 タイ 韓国 小計 全体

    全体 94 32 7 31 10 174 222

    鉱物性燃料等 7 2 0 -3 -3 3 -45

    石油・同製品 8 2 0 -3 -3 4 -47

    素材製造品(皮革、紙、鉄鋼等) 34 3 0 2 2 42 48

    鉄鋼 20 -0 -0 0 -0 19 20

    機械類・輸送用機器 38 33 17 31 17 136 240

    専門機械 3 4 0 1 1 9 12

    その他産業機械・部品 4 2 1 2 1 11 17

    事務用機器・コンピュータ 4 7 1 2 0 14 23

    通信・音響機器 8 1 -0 0 1 9 18

    電気機器 12 10 10 8 10 50 99

    自動車・バイク等 4 8 0 18 2 31 47

    その他輸送用機器 1 1 4 0 1 7 14

    (注) 各国とも増加額が顕著だった項目のみを記載しており、個別の項目の合計と全体は一致しない。

    (出所)UNCTAD Stat より作成

  • 第 3 章 経済概況

    31

    輸出相手国・地域を全体から俯瞰すると、2016 年では日本(20.7%)と米国(15.4%)を合わせた輸出額が輸出総額の 36%を占めている。一方、中国に対する輸出総額は 11%にとどまる。政治的には前述の通りアキノ政権時と比べると米国と距離を置き中国に歩み寄る姿勢を見せている

    フィリピンだが、経済的には依然として日米への依存度が高い状況が見て取れる。

    輸入相手国・地域を見ると、中国が単独で 18.5%を占め、日本(11.9%)と米国(8.9%)の合計に肉薄する輸入額である。中国からの輸入額は 2006 年の 38 億ドルから 2016 年の 159 億ドルと右肩上がりで増加を続けている。

    貿易収支は、恒常的に赤字である。取引金額が大きくなる自動車の輸出が育っていない他、最

    大の輸出品目であるエレクトロニクス産業についても半製品を輸入して加工の上輸出する形態が

    多い事や、エネルギー源の輸入が輸出を超過している事などが原因として挙げられる。

    図表 3-13 主要輸出・輸入相手国・地域(2016 年)

    【輸出】 【輸入】

    (出所)UNCTAD Stat より作成

    日本20.7%

    米国15.4%

    香港11.7%中国

    11.0%

    シンガポール6.6%

    ドイツ4.1%

    タイ3.8%

    韓国3.7%

    台湾3.7%

    その他19.4%

    中国18.5%

    日本11.9%

    米国8.9%

    タイ7.8%韓国

    6.5%

    シンガポール6.5%

    台湾6.3%

    インドネシア5.5%

    マレーシア4.0%

    香港3.0%

    ドイツ2.3%

    その他18.8%

  • フィリピンの投資環境

    32

    図表 3-14 主要輸出相手国・地域

    (単位:100 万ドル/暦年) 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

    輸出 47,410 50,466 49,078 38,436 51,498 48,042 51,995 56,698 61,810 58,648 56,313 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%

    先進国 26,254 25,499 25,343 21,650 23,722 23,113 24,638 28,439 31,253 29,756 28,677 55.4% 50.5% 51.6% 56.3% 46.1% 48.1% 47.4% 50.2% 50.6% 50.7% 50.9%

    日本 7,918 7,304 7,707 6,208 7,841 8,866 9,881 12,048 13,919 12,381 11,674 16.7% 14.5% 15.7% 16.2% 15.2% 18.5% 19.0% 21.3% 22.5% 21.1% 20.7%

    韓国 1,423 1,784 2,523 1,828 2,243 2,196 2,862 3,400 2,532 2,512 2,095 3.0% 3.5% 5.1% 4.8% 4.4% 4.6% 5.5% 6.0% 4.1% 4.3% 3.7%

    台湾 2,010 1,973 1,862 1,325 1,752 2,003 1,915 1,983 2,446 2,177 2,056 4.2% 3.9% 3.8% 3.4% 3.4% 4.2% 3.7% 3.5% 4.0% 3.7% 3.7%

    香港 3,706 5,804 4,987 3,213 4,336 3,699 4,776 4,541 5,594 6,199 6,583 7.8% 11.5% 10.2% 8.4% 8.4% 7.7% 9.2% 8.0% 9.0% 10.6% 11.7%

    シンガポール 3,505 3,139 2,607 2,477 7,319 4,278 4,864 4,142 4,454 3,650 3,701 7.4% 6.2% 5.3% 6.4% 14.2% 8.9% 9.4% 7.3% 7.2% 6.2% 6.6%

    米国 8,698 8,601 8,216 6,797 7,570 7,107 7,406 8,337 8,733 8,811 8,671 18.3% 17.0% 16.7% 17.7% 14.7% 14.8% 14.2% 14.7% 14.1% 15.0% 15.4%

    ドイツ 1,781 2,149 2,440 2,506 2,657 1,729 1,957 2,339 2,660 2,646 2,293 3.8% 4.3% 5.0% 6.5% 5.2% 3.6% 3.8% 4.1% 4.3% 4.5% 4.1%

    オランダ 4,769 4,150 3,708 3,744 2,430 1,745 1,551 1,749 1,892 1,772 1,716 10.1% 8.2% 7.6% 9.7% 4.7% 3.6% 3.0% 3.1% 3.1% 3.0% 3.0%

    発展途上国 21,148 24,957 23,728 16,780 27,769 24,921 27,352 28,256 30,554 28,888 27,631 44.6% 49.5% 48.3% 43.7% 53.9% 51.9% 52.6% 49.8% 49.4% 49.3% 49.1%

    アジア 20,290 23,919 22,555 15,824 26,469 23,426 26,063 26,321 28,672 26,735 25,938 42.8% 47.4% 46.0% 41.2% 51.4% 48.8% 50.1% 46.4% 46.4% 45.6% 46.1%

    中国 4,628 5,750 5,469 2,934 5,724 6,102 6,159 7,025 8,034 6,393 6,192 9.8% 11.4% 11.1% 7.6% 11.1% 12.7% 11.8% 12.4% 13.0% 10.9% 11.0%

    タイ 1,325 1,403 1,509 1,236 1,783 1,904 2,446 1,909 2,352 2,263 2,130 2.8% 2.8% 3.1% 3.2% 3.5% 4.0% 4.7% 3.4% 3.8% 3.9% 3.8%

    マレーシア 2,621 2,507 1,958 1,360 1,396 1,099 1,018 1,375 1,161 1,199 1,189 5.5% 5.0% 4.0% 3.5% 2.7% 2.3% 2.0% 2.4% 1.9% 2.0% 2.1%

    インドネシア 364 524 603 383 449 606 840 835 759 628 592 0.8% 1.0% 1.2% 1.0% 0.9% 1.3% 1.6% 1.5% 1.2% 1.1% 1.1%

    欧州 28 33 42 44 42 55 80 75 76 51 54 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.2% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1%

    中東・北アフリカ 368 462 525 414 535 519 482 592 654 540 557 0.8% 0.9% 1.1% 1.1% 1.0% 1.1% 0.9% 1.0% 1.1% 0.9% 1.0%

    サブサハラ・アフリカ 103 164 177 132 173 186 158 576 294 736 231 0.2% 0.3% 0.4% 0.3% 0.3% 0.4% 0.3% 1.0% 0.5% 1.3% 0.4%

    西半球 358 380 428 367 550 735 570 691 860 826 851 0.8% 0.8% 0.9% 1.0% 1.1% 1.5% 1.1% 1.2% 1.4% 1.4% 1.5%

    その他 8 10 7 6 7 8 5 3 2 4 5 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%

    【参考】

    ASEAN 8,192 8,032 7,090 5,844 11,545 8,635 9,804 8,844 9,211 8,537 8,401 17.3% 15.9% 14.4% 15.2% 22.4% 18.0% 18.9% 15.6% 14.9% 14.6% 14.9%

    EU28 8,739 8,594 8,526 7,972 7,425 5,955 5,929 6,555 6,728 7,173 6,792 18.4% 17.0% 17.4% 20.7% 14.4% 12.4% 11.4% 11.6% 10.9% 12.2% 12.1%

    (出所)UNCTAD Stat より作成

  • 第 3 章 経済概況

    33

    図表 3-15 主要輸入相手国・地域

    (単位:100 万ドル/暦年) 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

    輸入 54,078 57,996 60,420 45,878 58,468 63,693 65,350 65,705 67,719 70,153 85,909 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%

    先進国 22,706 22,868 21,796 16,560 20,308 21,341 22,172 22,087 21,460 23,088 27,104 42.0% 39.4% 36.1% 36.1% 34.7% 33.5% 33.9% 33.6% 31.7% 32.9% 31.6%

    日本 7,677 7,219 7,122 5,765 7,302 7,017 6,961 5,595 5,539 6,761 10,196 14.2% 12.4% 11.8% 12.6% 12.5% 11.0% 10.7% 8.5% 8.2% 9.6% 11.9%

    韓国 3,332 3,404 3,129 3,161 4,040 4,640 4,731 5,050 5,234 4,550 5,623 6.2% 5.9% 5.2% 6.9% 6.9% 7.3% 7.2% 7.7% 7.7% 6.5% 6.5%

    台湾 4,247 4,191 4,038 3,184 3,871 4,391 5,077 5,125 4,591 5,481 5,374 7.9% 7.2% 6.7% 6.9% 6.6% 6.9% 7.8% 7.8% 6.8% 7.8% 6.3%

    香港 2,197 2,326 2,102 1,548 1,566 1,609 1,553 1,373 1,657 1,901 2,540 4.1% 4.0% 3.5% 3.4% 2.7% 2.5% 2.4% 2.1% 2.4% 2.7% 3.0%

    シンガポール 4,556 6,411 6,218 3,931 5,443 5,144 4,654 4,418 4,705 4,880 5,597 8.4% 11.1% 10.3% 8.6% 9.3% 8.1% 7.1% 6.7% 6.9% 7.0% 6.5%

    米国 8,699 8,115 7,738 5,488 6,324 6,950 7,590 7,418 5,997 7,629 7,681 16.1% 14.0% 12.8% 12.0% 10.8% 10.9% 11.6% 11.3% 8.9% 10.9% 8.9%

    ドイツ 1,411 1,292 1,148 1,008 1,182 1,502 1,503 2,418 2,749 2,593 2,010 2.6% 2.2% 1.9% 2.2% 2.0% 2.4% 2.3% 3.7% 4.1% 3.7% 2.3%

    オランダ 426 482 453 323 299 336 325 315 389 415 536 0.8% 0.8% 0.7% 0.7% 0.5% 0.5% 0.5% 0.5% 0.6% 0.6% 0.6%

    発展途上国 31,370 35,127 38,623 29,317 38,159 42,351 43,177 43,618 46,259 47,064 58,804 58.0% 60.6% 63.9% 63.9% 65.3% 66.5% 66.1% 66.4% 68.3% 67.1% 68.4%

    アジア 26,774 28,536 30,413 24,633 32,151 34,079 34,829 35,602 39,151 42,016 53,952 49.5% 49.2% 50.3% 53.7% 55.0% 53.5% 53.3% 54.2% 57.8% 59.9% 62.8%

    中国 3,869 4,233 4,561 4,060 4,954 6,505 7,136 8,597 10,284 11,478 15,916 7.2% 7.3% 7.5% 8.9% 8.5% 10.2% 10.9% 13.1% 15.2% 16.4% 18.5%

    タイ 2,180 2,403 2,998 2,596 4,103 3,641 3,643 3,569 3,598 4,434 6,726 4.0% 4.1% 5.0% 5.7% 7.0% 5.7% 5.6% 5.4% 5.3% 6.3% 7.8%

    マレーシア 2,183 2,370 2,583 1,787 2,646 2,771 2,620 2,402 3,209 3,305 3,417 4.0% 4.1% 4.3% 3.9% 4.5% 4.4% 4.0% 3.7% 4.7% 4.7% 4.0%

    インドネシア 1,069 1,357 1,602 1,915 2,469 2,544 2,925 2,983 3,185 3,109 4,708 2.0% 2.3% 2.7% 4.2% 4.2% 4.0% 4.5% 4.5% 4.7% 4.4% 5.5%

    欧州 272 137 211 474 490 1,564 1,028 1,392 1,069 481 434 0.5% 0.2% 0.3% 1.0% 0.8% 2.5% 1.6% 2.1% 1.6% 0.7% 0.5%

    中東・北アフリカ 3,528 5,335 6,889 3,202 4,525 5,606 6,478 5,430 4,976 3,650 3,085 6.5% 9.2% 11.4% 7.0% 7.7% 8.8% 9.9% 8.3% 7.3% 5.2% 3.6%

    サブサハラ・アフリカ 52 72 99 94 86 166 94 117 90 97 107 0.1% 0.1% 0.2% 0.2% 0.1% 0.3% 0.1% 0.2% 0.1% 0.1% 0.1%

    西半球 745 1,047 1,011 915 907 936 749 1,077 973 820 1,226 1.4% 1.8% 1.7% 2.0% 1.6% 1.5% 1.1% 1.6% 1.4% 1.2% 1.4%

    その他 2 1 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%

    【参考】

    ASEAN 10,714 13,451 15,290 11,672 16,434 15,040 14,954 14,282 16,159 17,042 22,495 19.8% 23.2% 25.3% 25.4% 28.1% 23.6% 22.9% 21.7% 23.9% 24.3% 26.2%

    EU28 4,647 5,542 4,766 3,494 4,284 4,742 4,892 6,526 7,861 6,606 6,799 8.6% 9.6% 7.9% 7.6% 7.3% 7.4% 7.5% 9.9% 11.6% 9.4% 7.9%

    (出所)“Direction of Trade Statistics”, IMF, UNCTAD Stat より作成

  • フィリピンの投資環境

    34

    図表 3-16 国別の貿易収支の推移

    (単位:100 万ドル/暦年) 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

    貿易収支 -6,668 -7,530 -11,342 -7,442 -6,970 -15,651 -13,355 -9,008 -5,909 -11,505 -29,596

    先進国 3,548 2,632 3,547 5,090 3,413 1,772 2,466 6,352 9,793 6,668 1,572

    日本 241 85 585 443 539 1,850 2,920 6,454 8,380 5,620 1,478

    韓国 -1,910 -1,620 -606 -1,333 -1,797 -2,444 -1,869 -1,651 -2,702 -2,039 -3,528

    台湾 -2,237 -2,217 -2,176 -1,860 -2,119 -2,388 -3,161 -3,141 -2,145 -3,304 -3,318

    香港 1,509 3,478 2,886 1,666 2,770 2,090 3,223 3,169 3,937 4,299 4,043

    シンガポール -1,051 -3,273 -3,611 -1,454 1,876 -866 210 -276 -251 -1,230 -1,896

    米国 -1 486 478 1,309 1,246 157 -184 919 2,736 1,182 990

    ドイツ 370 857 1,292 1,498 1,475 227 454 -79 -89 54 283

    オランダ 4,343 3,668 3,256 3,420 2,130 1,408 1,226 1,434 1,504 1,357 1,179

    発展途上国 -10,222 -10,171 -14,895 -12,537 -10,391 -17,430 -15,825 -15,363 -15,704 -18,176 -31,173

    アジア -6,483 -4,617 -7,858 -8,808 -5,682 -10,653 -8,766 -9,281 -10,479 -15,281 -28,014

    中国 758 1,517 908 -1,126 770 -402 -977 -1,572 -2,250 -5,085 -9,724

    タイ -855 -999 -1,489 -1,360 -2,321 -1,737 -1,197 -1,660 -1,246 -2,170 -4,596

    マレーシア 438 137 -626 -427 -1,250 -1,672 -1,602 -1,027 -2,048 -2,106 -2,228

    インドネシア -705 -833 -1,000 -1,532 -2,020 -1,938 -2,085 -2,148 -2,426 -2,481 -4,115

    欧州 -244 -105 -169 -430 -448 -1,509 -948 -1,317 -993 -430 -379

    中東・北アフリカ -3,159 -4,873 -6,364 -2,788 -3,990 -5,087 -5,996 -4,838 -4,323 -3,110 -2,529

    サブサハラ・アフリカ 51 92 79 37 87 20 64 459 204 639 124

    西半球 -387 -668 -583 -548 -356 -200 -179 -386 -113 6 -375

    その他 6 9 6 6 7 7 5 3 2 3 5

    【参考】

    ASEAN -2,522 -5,419 -8,200 -5,828 -4,889 -6,405 -5,150 -5,438 -6,948 -8,505 -14,094

    EU28 4,092 3,053 3,760 4,478 3,141 1,213 1,036 28 -1,133 567 -7

    (出所)“Direction of Trade Statistics”, IMF, UNCTAD Stat より作成

  • 第 3 章 経済概況

    35

    ASEANの中のフィリピン

    ASEANの中では成長余地が多く残されているフィリピン

    1967 年に 5 ヵ国(インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、シンガポール)で発足したASEAN は、1984 年にブルネイ、1995 年にベトナム、1997 年にラオスとミャンマー、1999 年にカンボジアが加盟し、現在 10 ヵ国で構成されている。IMF の統計によると、2016 年の ASEAN10 ヵ国の総人口は約 6.3 億人、名目 GDP は約 2.5 兆ドルである(図表 3-17)。

    フィリピンは ASEAN10 ヵ国の中で面積は 6 番目の大きさであるにも関わらず、人口は 1 億人を超えておりインドネシアの次に人口が多い国である。労働年齢の人口が豊富である事も投資先

    としての魅力であり、名目 GDP も人口と高い経済成長率に後押され ASEAN 内で 3 位である。しかし、人口の増加が経済成長に比して早いため、その恩恵が一人あたりに行きわたらないこと、

    歴代大統領が格差解消に取り組んでこなかったことなどを原因として、一人あたり GDP はASEAN 内で 6 位になっている。ドゥテルテ大統領は従来ルソン地方に偏重していた予算を地方に振り分けると発言しているため、各地域における一人あたり GDP に今後寄与することが期待される。いずれにしても、人口の増加傾向が続きその国民が高い英語運用能力を持つフィリピンは、

    ASEAN において相対的な優位性をもつ。

    図表 3-17 ASEAN 諸国の比較表(2016 年)

    人口 万人

    面積 1,000 ㎢

    名目 GDP 億ドル

    1 人あたり GDP ドル

    シンガポール 561 (9) 0.7 (10) 2,970 (4) 52,961 (1)

    ブルネイ 42 (10) 6 (9) 114 (10) 26,935 (2)

    マレーシア 3,163 (6) 330 (5) 2,965 (5) 9,374 (3)

    タイ 6,898 (4) 513 (3) 4,071 (2) 5,902 (4)

    インドネシア 25,871 (1) 1,911 (1) 9,325 (1) 3,604 (5)

    フィリピン 10,418 (2) 300 (6) 3,049 (3) 2,927 (6)

    ベトナム 9,269 (3) 331 (4) 2,013 (6) 2,172 (8)

    ラオス 658 (8) 237 (7) 158 (9) 2,394 (7)

    ミャンマー 5,225 (5) 677 (2) 644 (7) 1,232 (10)

    カンボジア 1,578 (7) 181 (8) 202 (8) 1,278 (9)

    合計(平均) 63,684 4,487 25,510 4,006

    【参考】

    日本 12,696 378 49,365 38,883

    米国 32,330 9,834 186,245 57,608

    中国 138,271 9,597 112,321 8,123

    インド 129,980 3,287 22,638 1,742

    (注)括弧内はランキング

    (出所)IMF, “World Economic Outlook (2017/10)”より作成

  • フィリピンの投資環境

    36

    ASEAN域内での貿易額の変化

    ASEAN 域内での関税率撤廃の動きや各国の経済成長に伴い、ASEAN 諸国内での貿易額は年々増加している。2016 年の ASEAN 諸国の域内向け輸出総額は 2,705 億ドルと、2006 年(1,916 億ドル)の 1.4 倍となった(図表 3-18)。

    フィリピンからの輸出は、マレーシア以外の全ての ASEAN 加盟国に対して増加しているが、その増加額は 2 億ドルにとどまる。これは、タイ向けの輸出が 8 億ドル増加した以上にマレーシア向けの輸出が減少した事や、ミャンマー・ラオス・カンボジアなどの後発 ASEAN 参加国向けの輸出が微増にとどまっている事が影響している。対照的なのがタイからの輸出で、2006 年から2016 年に向けてミャンマー・ラオス・カンボジア向けの輸出が 3 倍以上増加している。

    2006 年から 2016 年にかけてフィリピンの輸入は ASEAN すべての国で増加している。インドネシアやタイ、ベトナムからの輸入が約 2~5 倍に増加しており、それらは ASEAN 域内の輸入額の中でもともと大きかった貿易額がさらに増加している。なお、貿易額は少額ではあるもののミャ

    ンマーやカンボジア等からの輸入が大幅に増加しており、例えばミャンマーからの輸入は 2006 年には 200 万ドルだったものが 2016 年には 3,900 万ドルまで増加している。

    図表 3-18 ASEAN 諸国間の貿易額の変化(2006 年→2016 年) (単位:100 万ドル) 輸出元国

    輸出先国 年 インド ネシア タイ

    マレー シア

    シンガ ポール フィリピン ベトナム ミャンマー カンボジア ブルネイ ラオス

    ASEAN 10

    インドネシア 06 3,336 4,074 24,901 364 958 4 2 1,516 0 35,155 16 8,126 6,666 25,855 592 2,918 117 18 85 4 44,382 Diff 4,790 2,592 954 228 1,960 113 17 -1,430 4 9,227

    タイ 06 2,702 8,502 11,313 1,325 930 2,096 15 144 493 27,520 16 5,394 10,628 12,919 2,130 3,598 2,241 419 466 1,780 39,576 Diff 2,693 2,126 1,606 805 2,668 145 404 322 1,287 12,056

    マレーシア 06 4,111 6,656 35,537 2,616 1,254 148 7 40 46 50,415 16 1,647 9,564 34,734 1,189 3,441 144 100 278 12 51,109 Diff -2,464 2,908 -804 -1,426 2,187 -4 93 237 -35 694

    シンガポール 06 8,930 8,411 24,744 3,449 1,812 285 139 191 1 47,961 16 11,861 8,183 27,581 3,701 2,691 891 63 335 5 55,309 Diff 2,931 -229 2,837 252 880 606 -76 144 4 7,348

    フィリピン 06 1,406 2,588 2,173 5,080 783 2 2 1 0 12,034 16 5,271 6,355 3,288 6,535 3,974 39 22 53 3 25,540 Diff 3,865 3,767 1,115 1,455 3,191 37 20 53 3 13,506

    ベトナム 06 1,052 3,094 1,758 5,459 354 37 75 0 157 11,986 16 3,046 9,357 5,730 11,322 747 75 229 64 610 31,180 Diff 1,994 6,263 3,972 5,863 392 38 154 64 453 19,193

    ミャンマー 06 138 762 165 563 8 17 0 0 0 1,652 16 616 4,150 946 2,293 17 392 1 0 0 8,415 Diff 478 3,388 781 1,730 9 376 1 0 0 6,764

    カンボジア 06 104 1,243 108 460 9 781 0 0 1 2,705 16 427 4,636 285 763 16 2,789 3 0 20 8,938 Diff 323 3,393 177 303 8 2,008 3 0 19 6,233

    ブルネイ 06 38 83 346 574 6 0 0 0 0 1,047 16 89 79 512 756 8 7 1 10 0 1,462 Diff 51 -4 166 182 2 7 0 10 -0 415

    ラオス 06 4 1,023 6 41 0 95 0 0 0 1,170 16 6 3,967 19 44 1 575 0 6 0 4,616 Diff 2 2,944 13 3 0 480 0 5 -0 3,446

    ASEAN10 06 18,483 27,196 41,876 83,928 8,130 6,629 2,572 241 1,892 698 191,644 16 28,355 54,416 55,655 95,221 8,401 20,386 3,511 868 1,281 2,434 270,528 Diff 9,872 27,220 13,780 11,293 271 13,757 939 627 -611 1,735 78,883

    輸出増-輸入増(注) 645 15,164 13,086 3,944 -13,236 -5,436 -5,825 -5,606 -1,026 -1,711

    (注) 統計誤差等のため、輸出からみた上記図表 3-16 は、輸入からみた数値とは必ずしも一致しない。 ラオスは IMF 予測値

    (出所)IMF 資料より作成

  • 第 3 章 経済概況

    37

    賃金コストで比較したフィリピンの位置付け

    図表 3-19 は、ジェトロの投資コスト比較調査(2016 年 4 月時点調査)を基に、製造業、非製造業別に月間基本給と残業代や賞与等の年間支給分から求められた実質月額給与を表している。

    インドネシアと対比することで、フィリピンにおける製造業の賃金は人口増加による豊富な労

    働力の供給を背景に人件費が割安である事が見えてくる。賃金単価は総じて 1 人あたり GDP で表される所得水準と比例するが、一人あたり GDP が同水準にあるインドネシア(フィリピンの約1.23 倍)との比較において、製造業はワーカー(ジャカルタはマニラの 1.25 倍)、エンジニア(同1.1 倍)、中間管理職(同 1.09 倍)といずれもフィリピンが安価である。一方で、非製造業においては状況が逆転し、スタッフ・マネージャーともにフィリピンがインドネシアより割高となる。

    これはフィリピンにおける所得格差の大きさが一因であろう。また、マニラ市内においても高層

    ビルが林立するマカティと、マカティ外のマニラ市内では街並みが様相を異にする。

    マニラの写真

  • フィリピンの投資環境

    38

    図表 3-19 ASEAN 諸国・中国との賃金コスト等の比較 国名 都市名 製造業 非製造業

    1 人当たり GDP ワーカー エンジニア 中間管理職 スタッフ マネージャー シンガポール シンガポール 1,703 2,586 4,050 2,461 4,347

    52,961 ドル (2,274) (3,462) (5,262) (3,475) (5,792) マレーシア クアラルンプール 321 709 1,409 772 1,591

    9,374 ドル (430) (908) (1,784) (977) (1,991) タイ バンコク 338 636 1,403 668 1,442

    5,902 ドル (500) (909) (1,946) (917) (1,925) インドネシア ジャカルタ 320 459 1,008 455 1,151

    3,604 ドル (438) (654) (1,390) (627) (1,600) フィリピン マニラ 255 418 921 492 1,310

    2,927 ドル (385) (560) (1,166) (628) (1,742) ベトナム ハノイ 191 424 973 431 962

    2,172 ドル (300) (574) (1,281) (563) (1,256) ホーチミン 214 411 846 453 1,095 (373) (544) (1,162) (568) (1,416) ラオス ビエンチャン 140 376 727 295 628

    2,394 ドル (192) (465) (935) (331) (718) ミャンマー ヤンゴン 124 272 694 350 1,069

    1,232 ドル (181) (322) (827) (436) (1,222) カンボジア プノンペン 175 391 885 346 906

    1,278 ドル (198) (458) (990) (496) (1,044) 中国 北京 652 862 1,810 999 2,066

    8,123 ドル (1,100) (1,286) (2,273) (1,490) (3,667) 上海 558 1,016 1,774 973 1,919 (1,082) (1,277) (2,565) (1,583) (3,307) 広州 468 770 1,431 869 2,000 (900) (1,366) (2,508) (1,294) (3,298)

    (注) 各都市の上段は正規雇用者の月額基本給(ドル)、下段は「基本給、諸手当、社会保障、残業代、賞

    与などを含む年間総支給額」を 12 ヵ月で割った実質月間コスト(ドル)

    (出所)IMF、ジェトロより作成

    ASEAN 諸国(ブルネイを除く)、中国との比較では、マニラの製造・非製造の平均賃金コストはおおむね一人あたり GDP と整合する。比較対象国の中でフィリピンの一人あたり GDP が 10 ヵ国中 6 番目であり、マニラの製造・非製造平均賃金コストは 13 都市中 7 番目である。その内訳として、非製造は 13 都市中 7 番目で、製造に関しては 8 番目である。この構図はジャカルタやハノイとは逆であり、相対的に製造業の工員コストが割安であると言える。

    賃金単価の数字にフォーカスすると ASEAN 諸国にはフィリピンより労働コストが安い国が存在する。しかし、労働コストの本質的価値を判断する上で、フィリピン国民の英語運用能力の高

    さ、若年人口の増加が続くことによる労働力供給の安定度合いなどを加味すると、投資先として

    のフィリピンの魅力が見えてくる。

  • 第 3 章 経済概況

    39

    ひとくちメモ 4: 中国と中華系フィリピン人の存在感

    中国とフィリピンは少なくとも 13世紀頃から交易がある。この長い関係により、中国文化はフィリピ

    ンに広く浸透し、影響を与えてきた。16世紀のスペインによる植民地支配が始まると、交易は続いてい

    たものの、中国系人口の増加を恐れた統治側による国外追放やカトリックへの改宗などの抑圧政策が始

    まった。残留のために改宗した中国系移民の町として、スペインは Binondo(チャイナタウン)を作っ

    たが、結果この地域でフィリピン中国間の国際結婚が進み、人口は急速に増加していった。フィリピン

    人の特徴の一つである家族関係を重視する性質は、中国人から継承されたといわれている。

    フィリピンの全人口の 1%は居住国の国

    籍を持つ中国人(華人)である。ビジネス界

    でも大きな存在感をみせており、国内の最

    富裕層の大半は彼ら中国系フィリピン人で

    ある。Forbes 2017によると、フィリピン長

    者番付上位 10 人のうち 8 人は中国系であ

    る。

    氏名 年齢 純資産 (10 億ドル)

    主なビジネス

    Henry Sy 93 18.0 比最大の財閥 SM グループ創業者、小売・不動産・銀行

    John Gokongwei, Jr. 91 5.5 食品・航空・石油化学・不動産等

    Lucio Tan 83 4.2 タバコ・航空・銀行・不動産・酒造

    David Consunji 96 3.6 建設・不動産開発(2017 年没)

    George Ty 85 3.6 金融・不動産

    Tony Tan Caktiong 65 3.4 飲食業・不動産

    Andrew Tan 65 2.5 不動産開発・酒造

    Ramon Ang 64 2.3 酒類販売

    (Source) Forbes(https://www.forbes.com/philippines-billionaires/#7f7bf0e07776)

    2017 年に中国とフィリピンは 12 の MOU に署名した。工業団地への容易な投資を促すための合意や、

    知的財産の保護、活用、管理、実施を促進する協定、青少年育成、インフラ整備、気候変動対策、防衛

    産業など、その内容は多岐にわたる。またフィリピンにいる中国人は、先祖や自身が中国生まれでも既

    にフィリピン人として生活している人々が多数存在しており、仕事などで一時的に滞在しいずれ祖国に

    帰る印象が強い日本人に対し、既にフィリピンの日常の一部になっているようだ。

    中華街