Biomechanical analysis of maxillary prosthodontic...

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/ Title Biomechanical analysis of maxillary prosthodontic reconstruction using implants after resection for maxillary cancer Author(s) �, Journal �, 118(6): 560-561 URL http://hdl.handle.net/10130/4789 Right Description

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,

Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

Biomechanical analysis of maxillary prosthodontic

reconstruction using implants after resection for

maxillary cancer

Author(s) 金, 美良

Journal 歯科学報, 118(6): 560-561

URL http://hdl.handle.net/10130/4789

Right

Description

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560 歯科学報 Vol.118,No.6(2018)

きん み ら

氏 名(本 籍) 金 美 良 (韓国)

学 位 の 種 類 博 士(歯 学)

学 位 記 番 号 第 2046 号(甲第1280号)

学 位 授 与 の 日 付 平成26年3月31日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当

学 位 論 文 題 目 Biomechanical analysis of maxillary prosthodontic reconstruction using implants after resection for maxillary cancer

掲 載 雑 誌 名 Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology第29巻 2号 156-162頁 2017年DOI:10 .1016 /j.ajoms.2016 .10 .006

論 文 審 査 委 員 (主査) 矢島 安朝教授(副査) 柴原 孝彦教授 片倉 朗教授

阿部 伸一教授

論 文 内 容 の 要 旨

1.研 究 目 的上顎悪性腫瘍に対し顎骨を含む腫瘍切除術は,術後に咀嚼障害・構音障害・審美障害といった後遺症を伴う

ため患者の QOLは著しく低下する。顎義歯の維持・支持源としてデンタルインプラントを応用する方法がこれらの改善に有用と報告されており,また上顎骨欠損症例に対し頬骨体にインプラントを埋入するザイゴマインプラントの有用性も認知されている。しかし,臨床の場において経過観察中のザイゴマインプラントの破折症例は多く,ザイゴマインプラントの適応が不明確である。今回我々は上顎腫瘍切除後に顎補綴再建を行った場合の,顎義歯の維持装置としてのザイゴマインプラント応用の有用性を検討する目的で,シミュレーションモデル上での咬合力に対する顎顔面骨およびインプラント体の応力分布を評価し,生体力学的な影響の解析を行った。2.研 究 方 法68歳の日本人男性で健常な上顎骨無歯顎患者の頭蓋顔面骨の CT画像より得られた CT-DICOM date をもとにして,MimicsⓇ(Materialise)を用いて3D構築し,作成した顎顔面・頭蓋骨のソリッドモデルをコンピューター上で仮想的に上顎骨切除を行い,上顎骨欠損モデルを作成した。欠損パターンは Okay らの分類を参考にし,臨床的に顎補綴を作成する際インプラントを選択することが多い,ClassⅠB;臼歯部欠損,ClassⅡ;半側欠損,ClassⅢ;全顎欠損を顎骨欠損パターンとし,Control model;健常無歯顎を対照とした全4パターンでシミュレーションを行った。インプラントは Brånemark System Ⓡ を(Nobel Biocare AB, Goteborg, Sweden)設定した。歯槽骨部へは大きさが φ3.75 mm×13.0mmで,高さが3mmの Multi-unit abutment RP の standardimplant を使用した。無歯顎残存頬骨部へは大きさが φ3.75 ×40.0mmで3mmの Multi-unit abutment を使用した。また上部構造は左右対称にカーブした10mm×8mmの馬蹄形のバーを想定し,Solidworks Ⓡで構築した。埋入本数は4本を基本として,埋入部位は健側では当講座の宇治川らの先行論文の設定に準じて側切歯,犬歯相当部および第二小臼歯,第一大臼歯相当部歯槽骨に2本の埋入を想定し,上顎骨欠損側では,残存頬骨への埋入を想定した。

SolidWorksⓇ上で,作成したモデルを用いて垂直および側方の咬合力を再現した荷重条件を加え,それらの

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状態におけるインプラント体及びその周囲の顎顔面骨への応力分布の生体力学的な影響について,COSMOS-WorksⓇを用いて三次元有限要素解析を行い,生体力学的な観点から検討を行った。3.研究成績および考察各インプラントの埋入周囲骨は最大応力が25MPa を超えると,荷重に対し骨の耐性は失われるとの報告が

あり,過度な荷重は顎補綴の維持が困難になり,また骨折のリスクを上げるため,患者別にシミュレーションを行い,応力が25MPa 以下となる顎補綴設計を行うことが必要だと考えた。上顎骨全顎欠損においてザイゴマインプラント2本のみの支持による顎補綴は発生応力は25MPa を越え,また半側欠損においても高値であり,予後良好な顎補綴設計には発生応力に加えて硬組織及び軟組織の残存状態や機能歯数,咀嚼能力等を考慮する必要があると予測された。また,頬骨及び残存歯槽突起部へのインプラント埋入は,咀嚼時の義歯の沈下に対し補助的な役割として有効であり,負荷条件設定の際,咬合力だけでなく,義歯の質量も考慮する必要があると考えた。以上より,上顎骨切除術症例において術後の顎補綴の応力集中を回避するために本シミュレーションは有効であり,インプラントによる顎補綴治療の予後の向上に繋がると考えた。また症例によってザイゴマインプラントの適応条件は異なることも示唆された。4.結 論上顎悪性腫瘍に対し顎骨を含む腫瘍切除術を施行した際に,顎義歯の維持装置としてインプラント応用を計

画した場合,インプラント埋入本数は,ザイゴマインプラント及びデンタルインプラント単独ではなく,複数本で組み合わせたほうが有用であると考えられた。また,ザイゴマインプラントを併用した場合,応力は上顎骨歯槽突起部に集中するため,欠損範囲を考慮した適応が必要である。

論 文 審 査 の 要 旨

本研究は上顎骨悪性腫瘍切除後に顎義歯を用いて顎補綴再建を行った場合の,顎義歯の維持装置としてのザイゴマインプラント応用の有用性について検討することを目的とし,シミュレーションモデルを用いて咬合力に対する顎顔面骨およびインプラント体の応力分布を評価し,生体力学的な影響の解析および検討を行った。本審査委員会では,1)研究モデルの妥当性とインプラント埋入位置の設定の定義,2)研究結果の再現

性,3)咬筋以外の咀嚼筋の要素を荷重条件として用いなかった理由,4)本研究の結果とザイゴマインプラントの臨床経過の関連性などについての質問がなされた。これらの質問に対して,1)オーラルメディシン・口腔外科学講座の先行論文があり,そのモデルに準じて

設定されたものである。2)骨欠損の様相が異なれば,その後のインプラントに加わる応力も大きく変化するため,今回の結果だけでは再現性は低いと考えられる。3)過去の研究と条件を統一するため,今回は頬骨への応力評価を行い,下顎骨については考慮していない。4)臨床でのザイゴマインプラントの破折部位は,本研究結果と一致し応力の集中する頬骨埋入部付近が多い,との回答があり,その他の質問や口頭試問に対しても妥当な答えが得られた。また,論文タイトル,英文構成や表現,図表の表記・説明などに対して改善点が指摘され,それらについても訂正および追加を行い論文を修正した。以上の結果より,本研究で得られた知見は今後の歯学の進歩,発展に寄与するところ大であり,学位授与に

値するものと判定した。

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