東日本大震災で発生した津波火災 における地形的影響の考察と津 … · ***東北大学 ... 震災後に行われた日本火災学会による現地調査
日本行政学会災害と科学技術研究部会発表資料
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科学技術・イノベーションと行政研究
東日本大震災時における情報技術の活用事例にみるシビックテクノロジーによる共創型行政サービスの可能性
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 白川 展之
本日の発表ドメイン・セグメント• 自治体を超えるコミュニティと自治体との連携• 発災後、維持期、復興期における進化
国 企業・広域自治体
コミュニティ
発災後
維持期
復興期
紹介事例
2
本日の発表構成
1. 自己紹介:科学技術政策との自身の関わり
2. 「科学技術の行政学」はありうるか?– 用語の定義:科学技術・イノベーション• 科学技術政策の歴史と理論的問題
– アクター・ネットワーク論と政策ネットワーク論• 自身の取り組み紹介( JST-RISTEX 玉村 PJ )
– 日本の行政研究と科学技術の関係– 東日本大震災と科学技術:社会からの信頼
3. シビックテクノロジーの事例紹介– 行政学、情報技術、社会起業の融合技術領域
3
自己紹介
H10-H20 広島県職員• 農林水産試験研究(評価)• 産業科学技術振興(サイエンスパーク)• 文部科学省出向(知的クラスター) • 予算業務(公衆衛生、地域福祉) →• 公立大学法人(財務管理)
H20-25.8 文部科学省科学技術・(学術)政策研究所上席研究官• 科学技術予測(デルファイ調査)・科学技術動向調査、計量書誌分析
現在• H25.9- 慶應義塾大学政策・メディア研究科特任講師• H25.11- (独)新エネルギー・総合技術開発機構( NEDO )• H25.9- (公)未来工学研究所 連携研究員(科研費)• H25.10- (一)コード・フォー・ジャパン 理事
危機管理関連業務公衆衛生:感染症対策、薬事、食品衛生、精神保健福祉、援護・恩給、特定疾患、災害救助法:非常食備蓄
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用語の定義
• 科学技術政策は、 OECD 諸国を中心に多様な用語法があり、– 科学と技術の社会における関係を受け、時代によって変遷してきた
(小林 ,2011 )。
• 科学技術政策は、– 専門分野別の研究振興を図る学術政策と、– 技術を体系的に編成・伝承することで社会価値を創出する技術政策が
融合し、– 新たな社会的な価値をもたらす活動を促すイノベーション政策へと
進化してきた。
• 科学政策には、– 科学のための政策( policy for science )という意味と、– 技術発展のための政策( policy for the development of technology )という意味が含まれる。
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本発表での科学技術に関する定義• 科学者・技術者集団内、それら総体として科学・学術の
振興を図る一政策分野としての政策、科学(学術)政
策• 特定の政策領域において用いられる科学技術に由来す
る知識を特定の政策/施策領域に活用しようとする政策技術政策
• 社会に対して、新たな価値を付与する活動に関する技術進化や社会の変化に伴い、専門領域間の利害調整に関する政策科学技術政策
• 新たな知識の結合により社会に差異化による価値をもたらすアイデアを実現させることを促進する科学技術・非技術科学技術にわたる政策
イノベーション政策
• 主に科学技術政策に重点を置き、イノベーションを促進する政策として、技術政策と科学技術政策を包摂する政策
科学技術・イノベーション政策
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科学技術研究
• 二つの潮流:大きく整理可能( Ben Martin 2012 ) Research Policy 誌
• イノベーション論と科学技術社会論– イノベーション論、
• 経済学:新古典派の経済学(経済成長論)、内生的経済成長、進化経済学へ
• 経営学:イノベーションの普及理論、起業家行動、ミクロ組織論、マクロ経営戦略、イノベーションシステム、社会学、社会ネットワーク理論等々
– 政治学関連の文献の引用が少ない。• 行政学の参画の余地 7
技術決定論と非技術決定論の問題
• 技術決定論とは、技術が社会に影響を与え変化させるという考え方– 印刷技術が社会の近代化を導いたと論じたマクルーハ
ンに代表されるように、• フォーマルな定量化・定式化を志向する社会科学
においては、– 技術決定論の潜在的影響から抜け出すのは困難が伴う。
• 技術を取り巻く環境を重視し社会が技術を規定するとする反技術決定論を採用する場合でも、– 前者の技術を社会と独立した外生変数として扱う点で
共通であり、技術決定論の裏返しの論理構造になる
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アクター・ネットワーク理論
• 技術(自然物と人工物)と社会を同じ土俵における等価な構成要素として、ネットワークの観点から技術の発展をダイナミックに捉える
• ネットワークの変化技術の社会的構成アプロー
チ
• 技術的人工物の発展段階を、線形ではなく、マルチダイレクショナルな発展として描く
• 関連社会グループ( relevant social group )
技術システムズ・アプローチ
• 技術と社会を対等に位置付け相互作用を,「逆突出部=決定的問題」を設定して,技術システムの発展上の阻害要因と個別技術的な解決課題を合わせて議論
• 技術システムの成長と境界変動
科学技術研究② 科学技術社会論( STS論)
→ 技術決定論からは脱却できるがフレーミングが複雑で混乱しやすい。9
科学技術と行政研究①仮説:政策ネットワーク論とアクターネットワーク論の接合• ANTでは、技術(自然物と人工物)と社会を同じ土俵(アクター・
アリーナ)における等価な構成要素からなる互いに不可分のネットワークの関係として位置付ける。アクター( actor )の範囲を無生物にまで拡張し、
• お互いに不可分なネットワークに委任されて発揮される行為能力である「エージェンシー (agency)」を持った「アクタント(actant)」である (Callon and Law, 1995; Latour, 1999) とし、技術の発展をダイナミックに捉える。
• さらに、「あるアクターが他のアクターを取り込むための方法」としての「翻訳」を通じ、相互関心に基づく関係性を「問題化(problematisation)」、「関心付け (interessement)」、「取り込み(enrolment)」、「動員 (mobilization)」の 4段階のプロセスを経て構築するとした。
• Callon(1986) はフランスのセント・フリオーク湾における日本のホタテ貝の養殖技術導入を例に、生物学者、漁師、帆立貝を等価のアクターとみなし関係構築を図る過程の例を示した。
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科学技術と行政研究②
• 日本の行政研究の蓄積の多くは、科学技術行政における特定省庁における政策過程の少数の分析研究を除くと多くは特定分野の政策の展開史である。
• 科学技術は、往々にして担当する行政組織や人事制度の変換はそれと別個に記述され、多くの場合、その政策展開を促したと思われる社会経済的環境や政治状況の変化に分析の力点が置かれ、環境変化の外生的要因として扱われる。
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先行研究• 行政史研究と専門知識の利用の行政技術としての知識利用とその専門家集団の技術系行政官
(技官)に係る研究(特定分野の政策にかかるものを除く)
• 行政史研究– 西尾隆日本森林行政史の研究 : 環境保全の源流 東京大学出版会 1988
• 技官(技術系行政官)行動– 木場隆夫、科学技術庁の政策形成過程、『中央省庁の政策形成過程(続)』,中央大学出版
会,2002年01月,木場 隆夫 ,城山英明– 新藤宗幸(2002)技術官僚:その権力と病理、岩波書店、– 藤田由紀子(2008)、公務員制度と専門性 : 技術系行政官の日英比較、 専修大学出版局
• 行政技術・意思決定– 城山グループの一連の研究、規制科学、TA(テクノロジーアセスメント)、フォーサイト、リスク
コミュニケーションなど多様なテーマ– 政策及び政策分析研究報告書-科学技術基本計画の策定プロセスにおける知識利用- 城山英明, 吉澤
剛 , 秋吉貴雄 , 田原敬一郎平成 19 年度内閣府経済社会総合研究所委託事業 『イノベーション政策及び政策分析手法に関する国際共同研究』 成果報告書シリーズ No.3 、政策科学研究所
– 医療技術の経済評価と公共政策 : 海外の事例と日本の針路 鎌江伊三夫 , 林良造 , 城山英明監修 日本の未来社会 : エネルギー・環境と技術・政策 城山英明 , 鈴木達治郎 , 角和昌浩編著 東信堂 2009.11 科学技術の公共政策 細野助博 [ほか ]監修 ; 日本公共政策学会 , 中央大学21世紀COEプログラム編 中央大学出版部 2008.1 科学技術のポリティクス 城山英明編 東京大学出版会 2008.7 政治空間の変容と政策革新 / [高橋進 , 大串和雄 , 城山英明編 ] 6 政策革新の理論 城山英明 , 大串和雄編 東京大学出版会 2008.3 政治空間の変容と政策革新 / [高橋進 , 大串和雄 , 城山英明編 ] 1 政治空間の変容と政策革新 [高橋進 , 大串和雄 , 城山英明編 ] 東京大学出版会 2008 科学技術の発展と法 城山英明 , 西川洋一編 東京大学出版会 2007.5 法の再構築 / 渡辺浩 , 江頭憲治郎編集代表 3 科学技術ガバナンス 城山英明編 12
科学技術の行政学?
科学技術で用いられている行政技術的側面を一般行政への移植という双方のアプローチが必要
欧州で行われている、合意形成のためのフォーサイトの総合計画等の行政計画への利用
既存の行政研究のアプローチの中での科学技術の変数としての扱い方の方法論的拡張政策ネットワーク論とアクターネットワーク論の
理論的接合と行政過程からのデータ収集
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研究的実践
• 文部科学省の科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」推進事業
• JST-RISTEX• 科学技術振興機構社会技術研究開発センター• プログラム統括:森田朗学習院大学教授• H23採択事業• 科学技術への社会的期待の可視化・定量化手法の開
発
• PI 玉村 雅敏 慶應義塾大学総合政策学部 准教授 14
科学技術への社会的期待の可視化・定量化手法の
開発プロジェクト概要( 1 )「政策マーケティング手法」を応用した社会的期待の調査と指標化の手法( 2 )「討論型世論調査( Deliberative Polling )」を活用した社会的期待の仮説構築・検証手法 ( 3 )「 SROI ( Social Return on Investment=社会投資収益率)分析手法」を応用した社会的期待への投資効果(インパクト)の定量分析の手法
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地域・技術・実践• 研究と実践の架橋技術領域と
して• シビックテクノロジーの事例
紹介
•米国での状況と日本での活動立ち上がり 16
Civic Technology地域の課題をテクノロジーで
解決する
技術領域オープンデータ×情報可視化=情報技術 ×市民参加× 社会起
業17
自分たちの街にいくら税金を支払っていて、どのように使われているかをわかりやすく見せたり
18
19
住んでいる地域で活動している議員さんがどんなことをしているかをデータベー
ス化したり20
21
市が公開している危険箇所(事故・犯罪に関する情報)を地図上にマッピングし
たり22
23
地域のごみ出しルールがわかりにくいのを、スマートフォンアプリを使ってわかりやすくしたり
24
25
バスの時刻表がとっってもわかりやすい iPhone アプリ
を作ったり26
バスをさがす福岡
27
そういったものがCivic Tech
です。
28
Base: オープンコミュニティ
29
OpenStreetMap
みんなが自由に Wiki のように編集できる地図。
複製・二次利用・改変すべてが商用利用、個人利用問わず可能
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OSM&ハイチ地震
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before
after
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CODE for AMERICA
自治体
技術者、エンジニア
市民
街の課題を解決するサービスなど
開発、運用
利用
フェローシッププログラム
自治体内で課題解決を行う
アドバイザー
アドバイザー
フォローアップ地域の IT 技術者を始めとするコミュニティ活動の実施
実施
参加
優秀な IT 技術者やデザイナーを派遣し、自治体の課題解決を行う
優秀な技術者の派遣、サポート
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東日本大震災
発災後国 企業・広域自
治体コミュニティ
発災後
維持期
復興期
紹介事例
35
`
• OpenStreetMap Foundation Japanの三浦さんからメンバー宛にメールが
36
たった 1ヶ月で200名以上のボランティア開発者やデータ収集メンバーが1万件以上の人々の声を集めた
37
クライシスマッピング
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東日本大震災
維持期国 企業・広域自
治体コミュニティ
発災後
維持期
復興期
紹介事例
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Hack For Japan
•テクノロジーで社会的課題を解決するコミュニティ
40
ハッカソン
※ハッカソン=「ハック」と「マラソン」を組み合わせた造語で、 1 日や 2 日という短時間でサービスやアプリケーションを作成するイベント 41
シビックハッカソン
市職員
デザイナー、デベロッパー、起業家
市民
課題
データや知見の提供
意見やアイデア
サービス開発
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オープンデータ+ハッカソン
オープンデータ=実際の地域の状況オープンデータは、じぶんたちの地域をより深く理解する助けになる
ハッカソン=技術者だけのもの ではない多様な人が参加して、アウトプットを考えることが公共のイノベーションに繋がる
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米国では頻繁に開催されている
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「テクノロジーで地域課題を解決する」この感覚をもっと突き詰めたい!
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東日本大震災
復興期国 企業・広域自
治体コミュニティ
発災後
維持期
復興期
紹介事例
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自分たちの街の課題をシビックテックで解決するコミュニティ
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CODE for JAPAN は、各地のブリゲイドを支援するプラットフォーム
Code for ◯◯
・各地域のコミュニティ作り・自治体との連携・課題解決の実施
・フランディング・各地のフリゲイドの活動を支援・成功事例の横展開・国や CODE for AMERICA との橋渡し
Code for X (フリゲイドコミュニティ)
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49
50
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f
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まとめ:「翻訳」技術としての行政学
• アクターネットワーク理論• 鍵概念=翻訳• イシューネットワークへの巻き込み、説得
• 翻訳技術としての行政学• 実証領域としてのシビックテクノロジー• データインテンシフ、データ駆動型科学
における行政学の貢献55
http://spendingdataparty-2013-winter.peatix.com/
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シカゴの例
•市民ボランティア団体
市民活動支援組織
ファンディング
財団
シカゴ: Chief Data Officer
資金提供オーガナイザーの雇用
連携アイデアソン、ハッカソンの実施継続的な開発
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米国のアプリケーション例
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