13 高さ制限 - 都市基盤工学コース 建築環境デザイ …13 高さ制限 教科書...

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13 高さ制限 教科書 pp.81右~91 法令集 法56条 3.6 前面道路による斜線制限 斜線制限とは - ある地点からの離隔距離に応じて一定の 倍率の高さまで建築できる制限。 - 法での表現:「建築物の各部分の高さ- 法56条 一 別表第3(い)欄及び(ろ)欄 に掲げる地域、地 区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ、 前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同 表(は)欄 に掲げる距離以下の範囲内においては、 当該部分から前面道路の反対側の境界線までの 水平距離に、同表(に)欄 に掲げる数値を乗じて 得たもの 1)道路斜線制限 ☞法56条第1項 一号 建築物の各部分の高さは、次に掲げるもの 以下としなければならない。 適用距離 勾配

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13 高さ制限

教科書 pp.81右~91法令集 法56条

3.6 前面道路による斜線制限

• 斜線制限とは- ある地点からの離隔距離に応じて一定の倍率の高さまで建築できる制限。

- 法での表現:「建築物の各部分の高さ」

- 法56条

一 別表第3(い)欄及び(ろ)欄に掲げる地域、地区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ、

前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表(は)欄に掲げる距離以下の範囲内においては、

当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、同表(に)欄に掲げる数値を乗じて得たもの

1)道路斜線制限 ☞法56条第1項 一号建築物の各部分の高さは、次に掲げるもの以下としなければならない。

適用距離

勾配

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用途地域と道路斜線勾配との関係(原則)

• 1.住居系用途地域:     1.25

• 2.商業系、3.工業系用途地域:1.5

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これだけ覚えよ!別表第3(い)欄 (に)欄

(ろ)欄:容積率  と  (は)欄:適用距離 ! 別表第3

• !"#$%&

–前面道路の反対側の境界線までの水平距離 " 勾配

–勾配 =1.25(住居系) 

    1.5(商業・工業)

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1.25or1.5

2)適用距離•道路斜線制限は、前面道路の反対側の境界線からの離隔距離の一定範囲にのみかかる。

•用途地域及び             容積率の限度              に応じる

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! 別表第3 3)セットバックによる緩和• 「前面道路の反対側の境界線」とあるのは、• 「前面道路の反対側の境界線から当該建築物の後退距離に相当する距離だけ外側の線」とする。

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! 法56条2項

後退した場合 後退しない場合

道路突出して

よいもの

覚えよ

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外壁より突出してよい部分          !令130条の12

• 物置等: 軒の高さ2.5m以下     床面積5㎡以下     敷地の前面道路長さの1/5以下     道路境界線から最小1m以上後退

• ポーチ等:高さ5m以下     敷地の前面道路長さの1/5以下     敷地境界から1m以上後退

•門、へい:敷地境界に設けるもの     道路沿いは高さ2m以下

•歩廊など:特定行政庁が規則で定めたもの•その他 :高さ1.2m以下の建築物の部分(地階)

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4)前面道路が二以上ある場合      !法第6項、令132条

• 幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35m以内の区域 及び

• その他の前面道路の中心線からの水平距離が10m

をこえる区域については、• すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

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幅員最大の道路

道路の中心線

立体的に見ると...

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適用距離

前面道路の幅員をAとみなせる部分

前面道路の幅員がBの部分

2Aかつ35m以内

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前面道路が4ある場合:

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1.最大道路2.令132条第2項道路の広いものから順に幅員"2かつ35m

の適用を受ける

①最大幅員の道路から、2Aかつ35mの線(小さい方)を引き、次に他の幅員の道路中心から10mの線を引く。

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②次に幅員の広い道路Bから道路Dに沿って2B、かつ35m以内がBの道路幅員によって斜線制限。③残る道路CとD:Cの方が幅員が広いので、2C、かつ35m以内がCの道路幅員によって斜線制限。④残る部分はDの領域。

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5)計画道路による緩和       ! 令131条の2

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6)前面道路の反対側に公園等     ! 法56条第6項、令134条

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• 当該公園、広場、水面その他これらに類するものの反対側の境界線にあるものとみなす。

公園等

反対側の境界線

7)前面道路より敷地が高い場合     ! 法56条第6項、令135条の2

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• その前面道路は、敷地の地盤面と前面道路との高低差から1mを減じたものの1/2だけ高い位置にあるものとみなす。

Hm(H-1)/2

8)住居系用途地域内の緩和        ! 法56条第3項、第4項

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• 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域内 

• 前面道路の幅員が12m以上である建築物に対する• 別表第3(に)欄中「1.25」とあるのは、• 「1.25(前面道路の反対側の境界線からの水平距離が前面道路の幅員に1.25を乗じて得たもの以上の区域内においては、1.5)」とする。

!低層住居専用地域以外

8)住居系用途地域内の緩和        ! 法56条第3項、第4項

1.25W

W!12mの場合勾配1.5

低層住居地域以外

第4項により、建築物が後退した場合には、セットバックしないときと するときとの緩和で、どちらか有利な方を選択できる。

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9)敷地が制限の異なる地域等にわたる場合      ! 法別表第3備考、令130条の11

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法別表第3備考1

  「建築物」!「建築物の部分」  ☞ 斜線制限(勾配)は各地域の制限に従う

法別表第3備考2, 令130条の11

 「建築物がある地域又は区域」  !「建築物又は建築物の部分の前面道路に面する   方向にある当該前面道路に接する敷地の部分の   属する地域又は区域」  ☞ 適用距離は、前面道路に接する用途地域に従う

事例1 前面道路に異なる用途地域が    面する場合

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建築物の部分がそれぞれ属する用途地域の道路斜線の適用を受ける。

法定容積率350%

事例2 敷地奥に異なる用途地域が    ある場合 その1

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勾配は、各地域毎の制限。適用距離は、前面道路の接する第一種住居地域の制限(30m)が適用される。

法定容積率350%

第一種住居地域

商業地域

30m

20mにはならない

事例3 敷地奥に異なる用途地域が    ある場合 その2

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勾配は、各地域毎の制限。適用距離は、前面道路の接する商業地域の制限(20m)が適用される。事実上、商業地域のみの制限

法定容積率350%

第一種住居地域

商業地域

20m

30mにはならない

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二 当該部分から隣地境界線までの水平距離に、次に掲げる区分に従い、...中略...

イからニまでに定める数値を乗じて得たものに、

イ又はニに定める数値が         1.25とされている建築物にあっては20mを、...2.5とされている建築物にあっては31mを加えたもの

2)隣地斜線制限 ☞法56条第1項二建築物の各部分の高さは、次に掲げるもの以下としなければならない。

立ち上がり勾配

ハニ

用途地域と隣地斜線勾配との関係(原則)

• 1.住居系用途地域:  20m+1.25/1

• 2.商業系、3.工業系用途地域:31m+2.5/1

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これだけ覚えよ!法56条第二号

住居系(低層専用を除く)

商業系、工業系

2)セットバックによる緩和斜線の起点の高さ• 住居系(低層専用を除く) 20+1.25A (m)

• 商業・工業系       31+2.5A (m)

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! 法56条二号

後退した場合後退しない場合

結局、道路斜線と同じように考えればよい。

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3)その他:敷地が公園等に接する場合        ! 令135条の3 一号

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• 公園(...を除く)、広場、水面その他これらに類するものに接する場合、

• それらの幅の1/2だけ外側にあるものとみなす。

公園等

W/2だけ外側にある

街区公園

水路に接する場合、公有水面の占有許可を受けると、

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水路

このような建築物が可能

3)その他:隣地より1m以上低い場合        ! 令135条の3 二号

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• 建築物の敷地の地盤面が隣地の地盤面(...)より1m以上低い場合においては、

• 当該高低差から1mを減じたものの1/2だけ高い位置にあるとみなす。

(H-1)/2

(H-1)/2

敷地が上がるとみなされる分だけ、緩和される。

!1m

建築物の高さ(令2条第1項六号)の特例• 階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の 水平投影面積の合計が

• 建築面積の1/8以内の場合においては、• 12mまでは、建築物の高さに算入しない。

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 第一種低層住居専用地域若しくは第二種低層住居専用地域内 においては、

建築物の高さは、10m 又は 12m のうち

当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。

P.88 2)絶対高さ制限 ☞法55条

10m又は12m

北側斜線制限道路斜線制限

三 第一種低層住居専用地域若しくは第二種低層住居専用地域内 又は 第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内においては、

当該部分から前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの真北方向の水平距離に1.25を乗じて得たものに、

第一種/第二種低層住居専用地域  5m

第一種/第二種中高層住居専用地域 10m

を加えたもの。

P.89 4)北側斜線制限 ☞法56条第1項三号

真北方向

5m10m

勾配:1.25

北側高さ制限 例題• 図のように、敷地に建築物を新築する場合、建築基準法上、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度は、次のうちどれか。ただし、敷地の高低差はなく、また、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁の指定などはないものとし、日影による中高層の建築物の高さの制限及び天空率に関する規定は考慮しないものとする。

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第一種中高層住居専用地域20/10

商業地域40/10

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【道路斜線】•A点は、東側道路境界線から幅員の2倍以内かつ35m以内にあるので、A点に対する北側道路の幅員は12mとみなす。

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12mとみなす•容積率の限度は、前面道路の幅員の最大が12mなので、指定容積率で決まる。•20/10"374/814+40/10"440/814

         = 30.8/10

•すなわち、 別表第3より、

A点の適用距離は 30m。•乗ずべき数値は1.25。

17m 20m

22m

第一種中高層住居専用地域20/10

商業地域40/10

道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限がかかる •北側道路の反対側の境界線からA点までは

12+1+2m =15m               ! 道路斜線の制限を受ける。法56条第3項と第4項の有利な方を選択できる

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12mとみなす

<法56条第3項の場合>•12m"1.25=15mなので、 乗ずべき数値は1.5•(12+1+2)"1.5=22.5m ①<法56条第4項の場合>•(1+12+1)"1.25=17.5mで、A

点はその内側にあるので、•乗ずべき数値は1.25•(1+12+1+2)"1.25=20.0m ②

17m 20m

22m

第一種中高層住居専用地域20/10

商業地域40/10

"15m

前面道路幅員12m以上で住居系用途地域

【隣地斜線】•2以上の用途地域にわたる場合、建築物の部分ごとに適用される。•A点は第一種中高層住居専用地域

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一中高層•建物が8m後退しているので、隣地境界線までの距離は、8"2+7=23m

•23"1.25+20mなので、 明らかに22.5mを超える。

          …③17m 20m

8m

商業地域40/10

【北側斜線】•第一種中高層住居専用地域なので、•立ち上がりは10m。•勾配は1.25

40

一中高層•真北方向の水平距離は、 10+1+2=13m

•13"1.25+10=26.25m ④

17m 20m

13m

商業地域40/10

以上より、①、③、④で最小のものとなり22.5mとなる        答 22.5m