プロトタイピングとユーザーテスト

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プロトタイピングとユーザーテスト

2016‑12‑10

エンジニアリングデザインプロジェクトC

東京工業大学 環境・社会理工学院 特任講師

角 征典 <kado.m.aa@m.titech.ac.jp>

なぜプロトタイピングをするのか?

「学習するため」以上

先に「何を学びたいか?」を明らかにする

労力をかけずに学習できるとコスパがいい

最小のコストで何かを学習できるプロダクト

→ MVP(Minimum Viable Product)

動画型MVP:Dropboxコンシェルジュ型MVP:AirBnB

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プロトタイプの種類(時系列)

引用:"A Method for the Management of Service InnovationProjects in Mature Organizations" Figure 7. Overall design processdepicting diverging and converging stages

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P1:Critical Function Prototype

顧客のニーズや課題を理解するためのプロトタイプ

プロダクトを「ひとこと」で表現するなら?

これが外れていると、まるで意味がないような機能

チラシのキャッチコピーに使えるような代表的な機能

まだ動かなくても大丈夫(ニーズや課題の理解が目的なので)

ダンボールやプレゼン資料でもOK

まずはこれを当てましょう

一発では当たらないので、松・竹・梅を出して比較するとよい

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P2: Darkhorse Prototype

これはどうなんだ?みたいな実験のプロトタイプ

「改良」ではなく「イノベーション」を目指すための思考実験

「ないわー」と思うものでも、とりあえず作ってみましょう

最初のうちにリスクが高いものを検証しておくとコストが安い

議論する暇があったら手を動かそう

ふざけた気持ちでやるといいと思う

5

P3: FunKtional Prototype

これまでのプロトタイプを統合したプロトタイプ

まずはとにかく一気に放り込んでみよう

とりあえず何とか動く、みたいな状態を目指そう

このへんから「プロダクト」の影がちらつき始める

機能の取捨選択のための「製品コンセプト」が必要になるかも

スタートアップでは「Why this?」「Why now?」「Why you?」の「3つのWhy」に答えることが重要と言われている

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P4: Functional Prototype

実際に動く/機能するプロトタイプ

FunKtionalから機能を厳選したもの「機能増えすぎ」にならないように注意して作ろう

機能はシンプルなほうが美しい!

ここで動くかどうかわからない……は避けよう(feasiblityを確保)

このあたりからそろそろ「最終プロダクト」を意識しよう

ここで大きく転換すると、いろいろコストがかかりすぎる……。

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P5: X‑is‑Finished Prototype

中心的な機能がきちんと動くプロトタイプ

まずは中心的な機能だけに注力しよう

そこだけ動けば、あとは想像力で補ってもらう

EDP‑Cの最終発表はこのあたりを目指したい

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P6: Final Prototype

すべての機能がきちんと使えるプロトタイプ

ユーザーがひととおり利用できるプロトタイプ

本格的なユーザーテストが可能になる

ここまでできれば、すごい!!

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プロトタイピングとユーザーテスト

1つのプロトタイプにつき 5人 にインタビューする

参考:5ユーザーでテストすれば十分な理由

<https://u‑site.jp/alertbox/20000319>インタビューの結果:

成功しているパターンが見つかれば、次のプロトタイピングへ

ダメそうなパターンが見つかれば、もういちどチャレンジ!!

※ パターンについては、KJ法やCJMを使って分析しましょう

2週間ごとにイテレーションをまわせれば理想的 1月末までに P3 / P4 / P5

最終発表会までに P4 / P5 / P6

……あたりを目指すのはどうだろう?

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ユーザーテストのヒント

課題やニーズの強い人にテストしよう(アーリーアダプター)

何度もテストに協力してもらおう(毎回見つけるのは大変)

あんまり説明しないようにしよう(Show, don't tell)

実際の状況で使ってもらう(仕事のツールなら仕事場で)

複数の案を比較してもらおう(1つだけを評価するのは難しい)

オープンエンドクエスチョンで質問しよう

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ユーザーテストのフォーマット

あくまでもサンプルのフォーマット。自由に調整してください。

1. 温かい歓迎と感謝の言葉(2分間)→ 雰囲気と場作り

2. ユーザー情報の収集(2分間)→ アーリーアダプターか?

3. 課題やニーズの確認(2分間)→ 簡単に説明(説明しすぎない)

4. プロトタイプを使ってもらう(10分間)→ 思考発話法

5. 実際の利用状況を意識した質問(10分間) → before / after6. 成否を判定する質問(2分間)→ 次のステージ? 再挑戦?

7. 次回のテストの予約 or 誰か紹介してもらう(2分間)

(時間)は目安。これは全体で30分になるように調整したもの。

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参考文献

『Running Lean』(オライリー・ジャパン)

『リーンエンタープライズ』(オライリー・ジャパン)

『Sprint: How to Solve Big Problems and Test New Ideas in JustFive Days』(Simon & Schuster)Bernhard Schindlholzer (University of St. Gallen, Switzerland),Falk Uebernickel (University of St. Gallen, Switzerland) andWalter Brenner (University of St. Gallen, Switzerland) "A Methodfor the Management of Service Innovation Projects inMature Organizations"

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