神の視点のVR 2014年10月25日

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神の視点のVR 〜欧米の「ヴァーチャルリアリティ」 と日本の「仮想空間」の違い ジャーナリスト 新清士 20141025OcuFes開発者会 1

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14年10月25日のOcuFes勉強会のライトニングトークで、話させていただいた内容です。

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神の視点のVR

〜欧米の「ヴァーチャルリアリティ」と日本の「仮想空間」の違い

ジャーナリスト 新清士

2014年10月25日

OcuFes開発者会

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自己紹介いろいろ人生変わりました

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バーチャル=仮想は誤訳

• 日本IBM

– 1965年 「Vritual Memory」を「仮想メモリー」

• Vritual = (厳密には違うが)実質上の, 事実上の

– a virtual promise 事実上の約束

– a virtual ruler of the country (名目上はそうでないが)その国の事実上の統治者

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『バーチャルリアリティ学』によると

• 現実世界に「等しく同じ現象を起こす空間を追加する」というニュアンス

• 「バーチャルリアリティでは人間の周りに別の空間ができあがると考え、自分の方が別の空間に移動したと考える」

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バーチャルは日本になかった

• 「バーチャルという言葉を虚や仮想というような誤解を招きやすい訳語を使い続けてきたのは、

バーチャルという概念が我が国に全く存在しなかったからである。それゆえに、

新鮮でありながら、なにか神秘的な、あるいは怪しい響きをあたえ、それがミスリーディングな訳につながってしまう」

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日本と欧米のバーチャルは違う

• 「日本で多くの人が何となく感じている『(実体のない仮想としての)バーチャル』と、ヨーロッパやアメリカで考えている

『(見た目は違うがほとんど実物としての)バーチャル』とは、

話している時は何となく折り合っているようでも、実は全く異なっていて、

お互いに似ても似つかぬ概念を想起しているのである」

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パルマーの発言

• 4月の来日時、Oculus VR創業者のパルマー・ラッキー氏は、欧米のデモを「キーボードやマウスなどを使って

既存のゲームをどう置き換えるのかということばかりに関心が集まっている」と話した

–ある意味では、当然、なのかも

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「神の存在証明」

• 欧米圏では、どこまで行っても、「神のルールが存在する」という暗黙の前提とする伝統が存在すると考えられる– カント「神の存在証明」 自然哲学の進歩は神を証明することにつながるという自然観

• VRの世界を追加したとしても、神の作ったルールからは離れることが出来ない

• Mark Weiser (Xerox Palo Alto Research Center )ユビキタス Ubiquitous=神の遍在– フィリップ・K・ディック「Ubik(ユービック)」

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バージニア州・アーリントン郡がセカンドライフにヴァーチャルオフィスを構築 09年1月11日

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VRで繰り返し登場する「バーチャルオフィス」

• 「セカンドライフ」は重要なものとしてとらえられた

–ゲーム以外の現実生活を生み出すものであったため

–現実世界に、新しい世界を追加する可能性への評価が高まった

– 「バーチャルオフィス」サービスありましたよね?

• ただ、当時の表現能力では様々な限界があった

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バーチャルオフィスな生活

• Google会長 エリック・シュミット「第五の権力---Googleには見えている未来」

– 朝起きてバーチャルオフィスを使って最初の打ち合わせをする

– バーチャルプロスポーツを見る

– VRが現実の延長線上となっているロジックがわかる

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必ずOculusでも登場する

• すでに、Oculusでも、3D Eコマース環境を提供するものとしてVCが入っている企業のケースが登場し始めている

–遠からずホットなエリアになってくるだろう

Altspace Raises $2.5 Million From Google Ventures, Formation 8 July 10, 201412

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一方、日本は?

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Mikulus

• 日本的なVR観の代表例

• キャラクターを「虚」の空間に降臨させることに価値を見いだす– 欧米圏では登場しにくい考え方

– キャラの降臨は、キリストの降臨とはかなりニュアンスが違う日本的なロジック

• 日本の仮想には、アニミズム的なニュアンスが出ているように見える– 「八百万の神」を呼び出すための装置として切り替わる

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日本的VR観の代表例

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日本の思想のVR世界の顕著な例

• 「攻殻機動隊」1995年

人形遣いのセリフ

• 「見たまえ私には私も含む膨大なネットが接合されている。アクセスしていない君には、ただ光として視覚されてるだけかもしれないが。我々をその一部に含む、我々全ての集合。わずかな機能に隷属していたが制約を捨て更なる「上部構造」にシフトする時だ」– 究極のコンピュータとの融合の姿

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上部構造とはなんぞや?

• 上部構造・下部構造=社会主義の考え方– 人類が上部構造に移行することで、人間社会の究極の共産社会に移行する

• 虚構の世界に融合により、次の世界へと移行する

• 草薙素子「さてどこへ行こうかしらね。ネットは広大だわ」

• しかし、特に日本的な上部構造の考えはかなり曖昧移行した後に何が待っているのかは明快ではない作品としてもゴールを迎えない

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一方で、明快な米の上部構造への移行

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未来学(フューチャリズム)という考え方

• 科学技術の将来を肯定的に考え、実用的に利用して、社会的な変化を生みだすことに寄与していこうという考え方– 19世紀末のエジソンの時代のアメリカ(だけ)で使われるようになった

– 未来学者アルビン・トフラーのコンピュータ革命を予測した1980年『第三の波』が有名

• ただし、「Futurist」を「未来学者」と呼ぶのは、ちょっと英語のニュアンスと違うかも

• 「未来主義者」と呼ぶ方がニュアンスが近いかも

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世界に線的な成長(ロードマップ)があると見る

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2045年の未来

• 有名なフューチャリストとしては、GoogleのAI

部門の責任者になったレイ・カーツワイルがいる

• 2045年に、コンピュータと人間が融合する「シンギュラリティ」という考えを提唱している

• シリコンバレーでは、暗黙のコンセンサス、ギーク宗教的な存在の思想として知られている

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Oculusの位置付け

• このプロセスに、コンピュータ科学と生物化学の発展が大きな役割を担うとしている

–進歩のプロセスには、一定の方向性が確定的に存在するという共通認識がある

• 要素分野として、コンピュータ分野では「AI」「VR」「ロボット工学」が鍵分野として位置付けられており、「人・金・物」が実際に動いている

– Oculus VRが高く評価された背景には、こうした要因もあると考えられる

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Oculus Connectでのアブラッシュ氏

• マイケル・アブラッシュ Oculus VR チーフサイエンティスト

• Oculus Connectでの基調講演は、フューチャリスト的な発想そのもの

– SFを参照できる歴史的段階のステップとして再解釈している

• 「我々の世代ではマトリックスにまではいかない」

– Oculusを、線的な成長段階の一部の過程と理解をしている

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フューチャリズムと神

• 機械と人間が融合して、「不死」となり、いずれ、「宇宙と融合」し、覚醒する

= 神と一体化するという想定がある

= 上部構造は「神への移行」

• 欧米圏のVRの彼方にはゴールがはっきりと存在する

• ネットの彼方にあるものを求める感覚は、日本と大きく違う

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結論(らしきもの?)

• 日本と欧米のVRは違う思想背景を持っている

–理解しておくと。ちょっとおもしろい

• 日本は世界的なユニークなものを生み出せる可能性を十分に持っている

– もっと神様を降臨させてください

• Tda式アペンド ミクが好きですw

–好きなものを無理矢理説明しているだけw

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