UVI IRCAM Prepared Piano | サウンドバンクマニュ …...4 イントロダクション IRCAM...

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サウンドバンク マニュアル Soſtware Version 1.0 JP 160314

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サウンドバンク マニュアルSoftware Version 1.0

JP 160314

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ソフトウェア使用許諾(EULA)

本エンドユーザーライセンス規約(以下”EULA”または”本規約”といいます)は、お客様とUVI(所在地:159 rue Amelot, 75011 Paris - France)の間で交されるUVIの作成したソフトウェア、書類およびその他のマテリアルの使用に関するライセンス規約になります。本規約に同意しない場合は、直ちにUVI製品(以下”本製品”と呼ぶ場合もあります)の登録、インストールもしくは利用を中止してください。UVI製品の使用、あるいは第三者に使用許諾をした場合、本規約に同意するものとします。

A- ライセンス許諾

1. UVIは以下の利用規約に基づき、お客様に本製品の非独占オーソライズドコピー使用権を許諾します。

2. UVI製品のライセンスはシングルユーザーライセンスです。お客様の所有するコンピューターまたはiLokドングルに最大3台まで認証して使用することが可能です。

3. ソフトウェアライセンスでは、第三者への賃貸または貸与する権利はありません。これらの行為は禁じられています。

4. 本規約は、別項で記載する規定に該当しない限り、ソフトウェアライセンスを第三者に移譲、再販することが可能です。その際、iLokアカウントから”Transfer License”の手続き申請を行い、iLokライセンス管理をするPace社にライセンス移行手数料(ライセンスごとに25米ドル、最大50米ドル)を支払います。その後、同社からの依頼を受けてUVIの承認と譲渡先へのシリアル移行を取り仕切ります。移譲後、元のライセンス登録は削除されます。iLokへの申請手続き、連絡は英語でおこないます。

5. バンドルで入手した個々の製品、あるいは他の製品へのアップグレードやクロスグレードに使用した製品の再販およびライセンス移譲の認可はありません。

6. 購入された製品に含まれているサウンドやサンプルは、追加ライセンス料の支払いやUVIへのソースアトリビューションを提供することなく、商用の制作、録音物に使用できます。

7. 本規約は、再販もしくは配布利用の為に本製品を使用することを禁じます。その範囲は、他のディスクやデバイスに収録、再フォーマット、ミックス、混合、フィルター、再合成に及びます。サウンド、マルチサウンド、サンプル、マルチサンプル、ウェーブテーブルに組込むための編集行為、サンプラーやマイクロチップなどソフトウェア、ハードウェアを問わず、全てのサンプル再生装置のためのプログラムやパッチ編集も禁止事項に含まれます。本製品を他者が利用するサンプリングまたはサンプル再生デバイスの為の販売、あるいは配布することは出来ません。

8. ライセンス違反が認められた時点で、本契約は終了します。その場合、コピーを含め、全てのUVIソフトウェアとドキュメントを速やかにUVIに返還しなければなりません。

9. UVIの保有する全ての権利は、本書で明示していません。

B- ライセンス認証

1. UVI製品の使用にあたり、シリアル番号の登録(uvi.net/register)とデバイスのライセンス認証が必要です。UVIは、製品のライセンス認証にPace AP社のiLokシステムを採用しています。認証にiLokアカウントの取得とiLok License Manager(いずれも無料)も必要です。iLokアカウントは、シリアル番号登録時にUVIウェブサイトを通じて取得できます。iLok License ManagerはUVI WorkstationやFalconとともにインストールされます。UVI製品は、未登録、未認証の状態で使用することはできません。

2. 製品シリアル番号の登録をする際、UVIデーターベース上に登録されたお客様の姓名、メールアドレス、住所が必要です。未登録の場合、UVIアカウントを作成します。UVIは128ビット暗号化されたSSL接続の最新の通信保護規格を採用しています。お客様からの情報をウェブ経由で安全に当社サーバーに送ることが可能です。UVIの個人情報に関する扱いについてはこちらをご覧下さい:https://www.uvi.net/privacy-policy

3. UVI製品のライセンスは、最大で3つのiLokドングルもしくはコンピューターに認証して同時使用が可能です。ライセンス認証と解除は、専用ソフトウェアのiLok License Managerを通じて行います。

C- ソフトウェアの保護お客様は、本製品にコピープロテクションが使用されていること、本製品を利用するにあたってコピープロテクションに関する操作を行うことに同意するものとします。お客様は、UVI によって実装されたコピープロテクション技術の回避、改造あるいは変更を加えないことにも同意するものとします。

D- 所有権本製品の所有権、封入されているデジタル記録された音の権利は、(いかなるコピーも)UVIによって保持されます。本製品のコピーは、本規約に基づいてお客様に提供されます。本製品のライセンス(ソフトウェアを利用する権利)のみがお客様によって購入されたものです。

E- 契約期限この合意による契約期限は、本製品のパッケージの開封あるいは使用を開始し、終了するまで有効です。お客様がこの期限条件内に何かを破棄した場合、この契約は終了します。終了に際して、UVI に本製品のコピーおよび関連書類をすべて破壊し返却することで、契約の終了に同意するものとします。

F- 規制本契約に基づく許可される場合を除き、本製品および関連書類の販売、リース、賃貸、ライセンス許可、配布、転送、複製、再プロデュース、公開、改造もしくはタイムシェアは禁じられています。

G- NFR(転売不可)シリアルと無料製品シリアル番号に”NFR”の記載があるUVI製品のライセンス(以下”NFR”といいます)は、デモ、テストあるいは評価利用のために用意されています。NFRは商用利用不可で、転売、移譲をすることはできません。NFRにはアップグレード、クロスグレードなどの特別セールオファーから除外されます。同様に関連したバウチャー (割引券)の発行を受け取ることもできません。さらにNFRの所有者は、商用バージョンの製品に同梱されているバウチャーを受け取る権利もありません。

無料製品はUVI、あるいはUVIと提携する第三者がプロモーション目的など、製品バンドル等の方法によって無料配布された製品(ライセンス)を指します。無料製品は商用バージョンと同様、商用利用可能ですが、NFRライセンスと同様、転売、移譲をすることはできません。また、認証デバイスの破損等に関するライセンス復帰の対象外にもなります。”NFR”と記載された無料製品のライセンス規約は、無料製品の規約が優先されます。

H- サポート責務の免除UVIは可能な限り、製品使用ための技術的な問題解決に努めます。ただし、UVIは追加情報、ソフトウェア、技術情報、ノウハウ、サポートを提供したり、利用できるようにする義務を負いません。

I- 仕様とシステム条件本製品の技術仕様は、推定あるいは近似値で記載している場合があります。環境が千差万別であるため、これらの値は目安であり、互換性や動作を保証するものではありません。UVIは動作に必要な条件をすべてウェブサイト記載しています。エンドユーザーは、製品の購入前にエンドユーザーのデバイスがUVI製品のシステム条件を満たしていること、および該当製品がエンドユーザーの要件を満たしているを確認する責任を負います。

本規約はフランス共和国の法律に基づいて制定されています。解釈をするにあたって、英語版のEULAを使用します。©2017 UVI. All rights reserved.全ての登録商標はその権利帰属者の所有物です。

以下の規約を理解、承諾するまで、本製品の使用はお控えください。本製品をお客様あるいはお客様が許可した方が使用することは、本規約に同意したことになります。

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イントロダクション ...........................................................................................................4

操作画面 エディット(Edit)ページ .....................................................................................6

エフェクト(Effects)ページ ................................................................................. 7

設定(Settings)ページ .........................................................................................8

IRCAM Prepared Piano 演奏テクニック ........................................................9

プリセットとプリパレーションリスト ....................................................................... 13

リンク ................................................................................................................................... 16

クレジットと謝辞 .............................................................................................................. 17

目次

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イントロダクション

IRCAM Prepared Piano 無限のサウンド ポテンシャル - 究極のアバンギャルド ピアノ

世界最先端の音響音楽研究所:IRCAM と UVI のコラボレーションによる究極のバーチャル プリペアドピアノ音源です。

サンプルの収録は、パリのIRCAMの研究室でおこなわれました。IRCAM Prepared Piano は世界トップクラスのプレイヤーによる、現代音楽で使用する45のテクニック(プリパレーション)を収めています。特別な音色のみならず、丹念に調整された Yamaha C7グランドピアノ、最高級の機材によるマルチサンプルされた音色そのものも魅力的です。

その結果、市場で最も柔軟かつ洗練されたプリペアドピアノを完成させることができました。ノートごとに最大2つのプリパレーションを施すことが可能で、異なるポジションのマイクミキシング、ランダマイズ機能など、自由にカスタマイズできます。予め用意されたプリパレーションでも、オリジナルの設定をするにも、ちょっとした操作で即座に演奏できます!

この史上最も先進的かつ柔軟性を備えた完全なプリペアドピアノは、UVI エンジンのパワーなしに実現は不可能でした。IRCAM Prepared Piano、UVI エンジンのサウンドクォリティと機能を最大限に利用したソフトウェア音源の1つです。

莫大なライブラリ - 45のプリパレーションテクニックを網羅

IRCAM Prepared Piano は、45のプリパレーションを1つ1つ丹念に収録し、こうした集められたサンプル数は12,000を超えます。これらのプリパレーションは、ノートごとに設定可能で、組合わせて使用することも可能です。

ネジ、消しゴム、コイン、選択ばさみ、スティックなどの一般的な手法からマレット、ピック、弓、さらには EBow まで、40以上に異なるプリパレーションが用意され、その音色を自由に試すことができます。さらに、ノートごとに2つの異なるプリパレーションを施し、ミキシングやレベルやピッチの設定も可能です。

最低システム条件:• UVIWorkstation2.6以降またはFalcon1.0以降• 4.5GB以上の空きディスク容量インストールとオーソライズに関する詳しい情報はサウンドバンクインストールガイドをご覧ください。

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IRCAMとJohn Cageについて

IRCAM Centre Pompidou

http://www.ircam.fr/1969年にジョルジュポンビドゥー国立美術文化センターが管轄する音響音楽研究所として設立したフランス国立の施設。正式名称はInstitut de Recherche et Coordination Acoustique/Musiqueで略してIRCAM

(イルカム)と呼ばれる。作曲家で指揮者のPierre Boulezを初代総裁として迎え入れたIRCAMはその創設以来、未だに世界で他に類を見ない現代音楽の研究と制作に特化した施設として存在します。

IRCAMは可能な限り外部からのノイズを遮断した地下施設で、コンサートホールには残響コントロールするための可動壁や常設スピーカーを数多く有し、無響室やレコーディングスタジオをはじめとした様々音響実験施設はもちろん、コンピュータ端末によるマルチメディア図書館なども備えています。

IRCAMには音楽に対して様々な科学的見地で研究する特別な組織があります。物理学(音響学と力学)、音声処理、コンピューターサイエンス、認知心理学、もちろん音楽学などを音楽的見地で研究しています。ここでの研究はテーマごとにスペシャリストを集めた特別な研究チームでおこなわれます。各チームはその研究成果を論文、ソフトウェア開発、ライセンス契約、共同作業、講演など様々な形で発表していきます。

現在、IRCAMではHugues Vinetの監督下に、90におよぶ人間(研究者、エンジニア、大学院生、音楽専門家および運営スタッフなど)が研究と開発に携わっています。

John Cage (1912-1992)http://johncage.org/プリペアドピアノは80年以上前に、作曲家John Cageによって開発された楽器です。ピアノ弦にネジ、消しゴム、コインを挟み込むなどのモディファイによって生まれたこの楽器は、通常のピアノとは異なる特別な音色を持っています。その響は弦に挟み込む素材によって異なるため、アコースティックのシンセサイザー・サンプラーとも言えます。

もともとJohn Cageはピアノを打楽器アンサンブルの代替えとしてこの楽器を考案しましたが、この発明以降、この楽器は彼の作品とともに進化し、様々な音色を生み出していきました。Imaginary Landscape I(心像風景第1番 - 1939)では、アシスタントによって弦をリアルタイムに変化させ、Second Construction in Metal(構造第2番 - 1940)では、ネジとコルクボードを挟み込んだ音色を奏でました。そして3ヶ月後、初のプリペアドピアノのソロワーク:Bacchanale(バッカナール - 1940)を発表しました。

この楽器は1人の指揮者によって制御されたパーカッション楽団とイメージすることもできます。この技術革新によって、幾つかの鍵盤にプリパレーションを施すことで幅広いサウンドを生み出し、主にソロ演奏時の表現に格段に広げることになりました。

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1 画面切替ボタン設定画面:Edit、Effectsおよび Settingsの切替をします。

2 ハイライトキーオンにした場合、MIDIノートで入力した箇所のプリパレーションがハイライト表示されます。どのプリパレーションが鳴っているのを確認する際に便利です。

3 パラメーターリンクオンにした場合、各鍵盤のレイヤーコントロールがリンクします。音量やチューニングを一括調節する際に便利です。

4 ランダマイズボタンレイヤー1または2、あるいはその両方のプリパレーションをランダマイズ設定します。

5 プリセット(Presets)メニュー» Preset 1/2

レイヤー1または2を一括設定するためのプリセットを選ぶためのメニューです。

» Preset 1+2レイヤー1と2を一括設定するためのプリセットを選ぶためのメニューです。

6 音色選択 - レイヤー1レイヤー1のプリパレーションの選択に使用します。

7 コントロール - レイヤー1» 音量 レイヤー1の音量調節をします。» チューニング

レイヤー1の音程を調節します。(±24半音)

8 オクターブダウン(◀︎)プリパレーション設定の表示領域を一オクターブ下げる際に使用します。

9 オクターブアップ(▶︎)プリパレーション設定の表示領域を一オクターブ上げる際に使用します。

10 音色選択 - レイヤー2レイヤー2のプリパレーションの選択に使用します。

11 コントロール - レイヤー2» 音量 レイヤー2の音量調節をします。» チューニング

レイヤー2の音程を調節します。(±24半音)

12 Keyプリパレーションの設定に対するノート名を表示します。

IRCAM Prepared Pianoは2つのレイヤーを装備し、88鍵の範囲でノートごとにプリパレーションを最大で2つ設定することができます。プリセットメニューを使用することで、すべてのキーまたはレイヤーを一括設定することが可能です。

ご注意:IRCAM Prepared Pianoは10,000以上のサンプルを同時に扱いますので、その分CPUパワーとメモリを消費します。

1画面切替

3パラメーターリンク

6レイヤー1音色選択

8オクターブダウン

10レイヤー2音色選択

7レイヤー1コントロール

11レイヤー2コントロール

12キー

2 ハイライトキー

9 オクターブアップ

4 ランダマイズスイッチ

5 プリセット選択

操作画面 - エディット(Edit)ページ

7

1 Delay(ディレイ)» オン・オフボタン» Mix(ミックス)

原音とエフェクト音のバランス調節使用します。» Time(タイム)

ディレイタイムを設定します。» Feedback(フィードバック)

フィードバック量(リピート数)の調節をします。» Cutoff(カットオフ)

ディレイ音にかかるフィルターのカットオフ周波数を設定します。

» Spread(スプレッド)ディレイ効果のステレオの広がりを調節します。

2 Reverb(リバーブ)» オン・オフボタン» Mix(ミックス)

原音とエフェクト音のバランス調節使用します。» Size(サイズ)

リバーブのルームサイズ(4〜50m)を設定します。» Decay(ディケイ)

リバーブ効果の残響時間を設定します。» Low Decay(ローディケイ)

低域の残響時間を調節します。» Low XOver(ロークロスオーバー)

Low Decayが作用する周波数帯域の調節に使用します。» High Decay(ハイディケイ)

高域の残響時間を調節します。» High XOver

High Decayが作用する周波数帯域の調節に使用します。

2リバーブ

1ディレイ

操作画面 - エフェクト(Effects)ページ

8

1 MIc(マイク)» オン・オフボタン

マイクのオン・オフをします。» Level(音量)» Mic 1(DPAマイクロフォン)

クローズポジションのマイクロフォンです。» Mic 2(Shoepsマイクロフォン)

プレイヤー視点のマイクロフォンポジションです。

2 Global Parameters» Release Vol.(リリースボリューム)

リリースサンプルの音量を調節します。» Resonance Vol.(レゾナンスボリューム)

ペダルを踏んだ際の共鳴音の量を設定します。

» Tone(トーン)ピアノ音色全体の明るさを調節する際に使用します。

» Global Tune(グローバルチューン)ピアノ全体の音程調節に使用します。

3 Amplitude (アンプリチュード)» プリパレーションメニュー

アンプリチュード調節対象のプリパレーションを選択します。

» ADSR一般的なADSRパラメーターで、プリパレーションのアンプリチュードエンベロープを調節します。

4 ダイナミクス» Dynamics(ダイナミクス)

ピアノ全体のダイナミクス(ベロシティによる強弱幅)を調節します。

» Vel. Curve(ベロシティカーブ)演奏スタイルに合わせたベロシティ感度の調節をする際に使用します。

» Una Corda CC(ウナコルダCC)ウナコルダペダルを使用する際のMIDI CCを設定します。(ウナコルダは2または3弦に適用したプリパレーションのみに作用します。)

» Sostenuto CC(ソステヌートCC)ソステヌートペダルを使用する際のMIDI CCを設定します。

5 Bar Hits(バーヒッツ)» プリパレーションの選択

ピアノのC-1〜G#-1ノートの金属バーを特別な方法で収録しました。これらのバーを手(hands)、スティック

(sticks)またはマレット(mallets)で叩いた音を選ぶことができます。

» 再生ボタン(スピーカーアイコン)プリパレーションの試聴に使用します。

» Extra Length CC1 / CC2 (エクストラレングスCC)

ピアノ弦をかき鳴らす際ためのMIDI CCを設定します。プリペアドピアノでよく用いられる使用していないパートの弦をかき鳴らす奏法をおこなう際に使用します。

1マイク

3アンプリチュード

4ダイナミクス

5 バーヒッツ

2 グルーバルパラメーター

操作画面 - 設定(Settings)ページ

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IRCAM Prepared Piano演奏テクニック

メモ:実際の楽器と同様に特定の効果やプリパレーションをIRCAM Prepared Pianoのすべての音域で扱うことはできません。例えば、ネジのプリパレーションは低音のノートで選ぶことはできません。これはピアノの構造上、低音域には1つの弦しか張られていないため、ネジを挟み込むことが不可能であるからです。*ここでは演奏テクニックと記載していますが、音色(プリパレーション)の解説とご理解ください。

通常の演奏テクニックSustain と None Sustainは通常のピアノ音色です。弦は打鍵によるハンマーアクションで振動し、発音します。この音色ではウナコルダとフォルテペダルを使用することが可能です。弦振動に作用する物体(プリパレーション)はありません。

Noneはプリパレーションはもちろんのこと、ハンマーアクションを含めた音を発生する要素が一切ありません。従って、打鍵をしても音は出ません。この設定は、ミスタッチを防いたり、あるいはGyorgy Ligetiのエチュード:Touches bloquées(リゲティの練習曲 第3番:妨げられた打鍵)を演奏するのに適しています。(冗談です...)

拡張テクニック打弦(弦を叩く)Mallets(マレット):ビブラフォンのマレットを弦をたたくテクニックです。一般的なハンマーアクションによる発音に似ていますが、より柔らかい音色が特徴です。

Wooden Stick(スティック):木製のドラムスティックで弦をたたくテクニックです。アタックが強く短い、ダルシマーに似た音色が特徴です。プレッシャー操作でフォルテペダルを操作できます。

Stick Rebound(スティックリバウンド):通常のスティックのプリパレーションと基本は同じテクニックですが、弦をたたいた後にスティックが弦を上を跳ねます。

Muted Stick Rebound(スティック リバウンド ミュート):スティックリバウンドと同じテクニックですが、ミュートした弦をたたきます。(ミュートの項目を参照).

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IRCAM Prepared Piano演奏テクニック[続き]

撥弦(指による弦のかき鳴し、爪弾き)Pizz.(ピチカート):弦をピックで、1つの弦(ノート)を弾きます。この結果、ギターのような音色を出すことが可能で、このテクニックは、Georg Crumb(ジョージ クラム)の Makrokosmos(マクロコスモス)や Gerard Pesson(ジェラール ペソン)の器楽合奏曲 Rescousse(器楽合奏のための)などに代表される一般的に広く用いられる手法です。

Scratch(スクラッチ):爪で弦を引っ掻く手法です。このテクニックによって、倍音に満ちた音色を出すことができます。このテクニックは通常、他の手法と組合わせます。Horatiu Radulescu(ホラチウ ラドゥレスク)の Clepsydra(for 16 players with sound icons/16人の演奏家とサウンドアイコンのため)でこの奏法を確認できます。

持続音(サスティンの効いたサウンド)Bow(弓):バイオリンの弓で 2-3本の弦を擦りながら、1つの音程を構成します。こうして持続したサウンドが発生します。このサウンドは弓を切り返す時の音色変化が特徴的です。音色の変化は弓の松脂の量や位置によっても発生する場合があります。

Ebow(イーボウ):エレキギターでサスティンを電磁的に引き伸す機器を使用したテクニックです。電気によって発生した磁界によって、ピアノ線の振動を持続させることで、サスティンが続く音色を生み出します。アタックがマスキングされた音色が特徴です。

その他の弦演奏テクニックHarmonics(ハーモニクス):通常のハーモニックスは、弦(ピアノ線)の中間点を指で触れることで弦振動が制限され、オクターブ上の音として発生します。倍音のピッチは指の位置によって決定づけられます。この場合では、鍵盤を普通に打鍵で演奏をし、弦振動を指でコントロールして発生させます。ハーモニックスは、弦に作用するポイントを変更することで、音程を変更可能で、この音源ではすべての弦のハーモニックスを再現することができます。デチューンボタンをダブルクリックすることで、特別なデジタルコードで演奏をすることも可能です。このテクニックはソロ楽曲、例えばGeorg Crumb(ジョージ クラム)の作品のような演奏に適しています。

また、Marc-Andre Dalbavie(マーク=アンドレ ダルバヴィ)によるJ.S.バッハのContrapunctus XIX(コントラプンクトゥス XIX)でも、このテクニックを確認することができます。

このプリパレーションは通常、一般的なハンマーで弦をたたく演奏を利用します。場合によって、何かの物体を弦に置く手法を用いる際にも適用する場合があります。このようなプリパレーションを施す場合、実際のピアノはいくつかのノートにまたがっておこなわれますが、IRCAM Prepared Pianoはノートごとに施すことができます。

物体を弦の間に挟む場合、通常は3本弦のキー:ミドルベース(F1)以上の鍵盤に対して施します。1弦と2弦の間に1つの物体、2弦と3弦の間にもう1つの物体を挟む場合もあります。

IRCAM Prepared Pianoでは、低音域:1本弦(F0 以下)または2本弦(F#0 - E1)のキーに対しても、物体や演奏テクニックを適用することができます。ウナコルダペダルを操作した場合のみ、2弦と3弦のプリパレーションが有効になります。これはオルガンテクニックのラインを弾く際に、このペダル操作が機能することを意味します。

弦上に物体を置いたテクニックPaper(紙):丸めた紙を弦の上に置いたテクニックです。低音域のエコー効果を生み出す場合があります。

Aluminium foil(アルミ箔):アルミ箔を弦の上に平らに敷いたテクニックです。この手法によって、非常に長くかつ特徴的で金属的な振動が得られます。金属のコインを置いた際の効果に良く似ています。最初にこの方法が使用された作品はGeorg Crumb

(ジョージ クラム)のMakrokosmos I(マクロコスモス第1集)となります。

iPhone(アイフォン):iPhoneを弦の上に横置きしたテクニックです。この手法を用いることで、金属的なダンピング効果と弦の上で弾む効果が得られます。iPhone をピアノ線の間に挟んだ効果ではありません。

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ミュート(Mutes):指をブリッジ付近でおさえて、弦振動を制限したテクニックです。この類のプリパレーションには、弦の間に布やフエルト、ウィンドウシールド(ゴム)を用いる場合もあります。いずれの方法も振動を抑えることで、音色の時間に作用する効果を生み出します。このテクニックを学ぶには、Michaël Levinas(ミカエル レヴィナス)の作品を確認することをおすすめします。

弦で物体を挟んだテクニックRubber(ラバー):消しゴムを用いたプリパレーションです。深い低音のゴングに似たサウンドを生み出すことができます。これを用いた最初の楽曲はJohn Cage(ジョン ケージ)の Amores(アモーレス)で、3つのノートをゴムミュートした“打鍵の妨げ”効果を創り、他のプリパレーションの共鳴の強調に利用しました。

Half Spring-type Clothespin(洗濯バサミ):バネタイプの木製洗濯バサミを使用したプリパレーションです。固い木材の洗濯バサミを使用した場合、ゴングに似た特性の音色になります。IRCAM Prepared Pianoでは柔らかい木材の洗濯バサミを使用し、より鈍い、ダンピングされた音色を得ています。この手法は、しばしゴムミュートのプリパレーションと併用されます。また、この手法ではしばし、響板に接するように設置します。これによって強く短いアタック効果を生み出します。IRCAM Prepared PianoではClothes PinとEraserの2つのプリパレーションを同時に設定することで、その効果を得るできます。

Screw / Bolt(ネジ):ネジまたはボルトは最も一般的なプリパレーションです。ネジの様々な形状;長さや厚み、頭の大きさや形など、全ての要素が弦振動に影響し、音色のキャラクターを特徴づけます。

この手法は様々な音色を造り出す際の基礎として用いられます。そのサウンドは豊かな倍音共鳴が特徴で、ゴングタイプの音色です。ノートを強く弾いた際は、細かなバイブレーションが加えられます。

すべてのケージの作品には最低でも1つのネジが使用されています。Prelude for Meditation(瞑想への前奏曲)では4つの音符で演奏されています。全てのノートはボルトによるプリパレーションを施した音色を通常のピアノのサウンドに加えられ、その効果をハッキリと確認できます。Daughters of the Lonesome Island(孤島の娘たち)では、39鍵にプリパレーションが施されています。ほとんどのノートにはネジが使用され、その豊かな音色はガムランのアンサンブルをイメージさせます。このようにこのテクニックは様々な場面に応じて活用できます。

Screw / Bolt + Loose Nut(ボルトとナット):前出の手法と同じくネジを使用したテクニックです。この方法では、ナットを緩く装着したボルトを使用し、演奏をした際に、ナットの振動(バズ)音を加わります。このプリパレーションはJohn Cage(ジョン ケージ)の Amores(アモーレス)で確認できます。2つのノートはナットを装着したボルトのプリパレーションが施されています。この作品はまた、ケージが施したプリパレーションを要約した楽曲としても知られ、プリペアドピアの演奏を知るのに良い題材です。

IRCAM Prepared Piano演奏テクニック[続き]

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Coins(コイン):コインを弦の間に挟んだ手法です。1弦と3弦の上、2弦の下に設置したこのプリパレーションは音色を豊かにし、柔らかいゴングのようなサウンドを得ることができます。時には非常に滑らかなバイブレーション効果が加わります。この音色は、ネジを使用したテクニックよりもまるいのが特徴です。John Cage(ジョン ケージ)のA Room(部屋)の低域のノートはこの手法を知るのに最も良い例と言えます。この作品ではネジのプリパレーションと組合わせて使用されていますので、比較例としても最適です。

効果音Glass Slide(グラス スライド):ガラス製のボトルネックを弦の上のスライドさせたテクニックです。グリッサンドアップとダウンが用意されています。グリッサンドダウンはダンパーから離れるようにグラスバーを動かします。

Bar Hits(バーヒッツ):ピアノの響板上の金属フレームをたたくテクニックです。手、ドラムスティック、マレットの3つの奏法が用意されています。これらのサンプルは、一番低いベースノート:A-1 よりも下の音程で演奏することができます。Jacky Terrasson(ジャッキー テラソン)の Caravan(アルバム Mirror に収録)では手によるフレームをたたくインプロビゼーションが収録されています。ビデオ(http://www.youtube.com/watch?v=RxTi9lJSHyY)の 2:35 の箇所で確認できる演奏を IRCAM Prepared Piano でも奏でることができます。

Extra Length(エクストラ レングス):ピックで弦をブリッジとチューニングピンの間でスライドさせたテクニックです。この一般的ではない両手を使用したポリフォニックの奏法をIRCAM Prepared Pianoで再現するために2つのパラメーターが用意されています。

IRCAM Prepared Piano演奏テクニック[続き]

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Presets

IPP - All All Mics

IPP - All DPA Mics

IPP - All Shoeps Mics

IPP - Bow

IPP - ClothesPin

IPP - Coins

IPP - Ebow

IPP - Eraser

IPP - Glass Slide

IPP - Harmonics

IPP - Mutes

IPP - Phone

IPP - Piano

IPP - Scratch

IPP - Screw and Nut

IPP - Screw

IPP - Sustain

Preparations

Sustain 音域 A-1 〜 C7

Sustain Pick音域 A-1 〜 C7

Sustain Mallet

音域 A-1 〜 D5

Sustain Stick 音域 A-1 〜 C7

Sustain Stick rebound音域 F1 〜 C#6

Mutes音域 A-1 〜 C7

Mutes Pick音域 A-1 〜 C7

Mutes Mallet音域 A-1 〜 C7

Mutes Stick音域 A-1 〜 C7

Mutes Stick rebound 音域 A-1 〜 C7

Harmonics 音域 A-1 〜 F5

Harmonics Pick音域 A-1 〜 F5

Harmonics Mallets音域 A-1 〜 F5

Harmonics Stick音域 A-1 〜 F5

Eraser音域 A-1 〜 G4

プリセットとプリパレーションリスト

14

Eraser Pick

音域 A-1 〜 G4

Eraser mallet

音域 A-1 〜 G4

Eraser Stick

音域 A-1 〜 G4

iPhone

from A-1 to B6

iPhone Pick

音域 A-1 〜 G4

iPhone mallet

音域 A-1 〜 G4

iPhone Stick

音域 A-1 〜 G4

Coins

音域 F1 〜 D#5

Coins Pick

音域 A-1 〜 G4

Coins mallet

音域 A-1 〜 G4

Coins Stick

音域 A-1 〜 G4

Clothes pin音域 A-1 〜 C7

Clothes pin Pick

音域 A-1 〜 G4

Clothes pin mallet

音域 A-1 〜 G4

Clothes pin Stick

音域 A-1 〜 G4

Screw

音域 A-1 〜 C7

Screw Pick

音域 A-1 〜 G4

Screw mallet

音域 A-1 〜 G4

プリセットとプリパレーションリスト[続き]

15

Screw Stick

音域 A-1 〜 G4

Screw+Nut音域 A-1 〜 C7

Screw+Nut Pick

音域 A-1 〜 G4

Screw+Nut mallet

音域 A-1 〜 G4

Screw+Nut Stick

音域 A-1 〜 G4

Bow音域 A-1 〜 C7

Ebow

音域 A-1 〜 C7

Scratch

音域 A-1 〜 E1

Glass Slide Up

音域 E2 〜 F5

Glass Slide Down

音域 E2 〜 F5

Aluminum Foil

音域 A-1 〜 F6

Paper音域 A-1 〜 A#5

プリセットとプリパレーションリスト[続き]

16

リンク

UVIホームページ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . uvi.net/

サウンドバンクインストールガイド . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . installing_uvi_soundbanks_jp.pdf

UVI Workstationユーザーマニュアル. . . . . . . . . . . . . . . . . . . UVIworkstation_UserManual_jp.pdf

登録済み製品の確認とダウンロード. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . uvi.net/my-products

FAQ(良くあるご質問とその回答) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . uvi.net/faq

チュートリアルとデモビデオ. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . youtube.com/

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UVI プロデュースドキュメント / 技術解説

Yan MareszNicolas Mondon

Nathaniel ReevesKai Tomita

John Cage プリセットKevin Guilhaumou

ソフトウェアとスクリプトOlivier TristanRemy Muller

Arnaud Sicard @ Acousticsamples

GUIデザインNathaniel Reeves

グラフィックデザインAnthony Hak

Nathaniel Reeves

謝辞Frederic Roussau

Hugues VinetNate Lindley

クレジットと謝辞