アカデミックでのS/MIMEメール普及に向けて ·...

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アカデミックでのS/MIMEメール普及に向けて ~新UPKI証明書発行サービスの現状とこれから~ 中村素典 / 国立情報学研究所 2017227, S/MIME普及シンポジウム2017

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アカデミックでのS/MIMEメール普及に向けて~新UPKI証明書発行サービスの現状とこれから~

中村素典 / 国立情報学研究所

2017年2月27日, S/MIME普及シンポジウム2017

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学術コンテンツ基盤

HPCI認証

学術認証フェデレーション

学術情報の公開・共有

国内回線全国100Gbps化と世界最速の400Gbps/1Tbpsへの対応 海外(米国・欧州・アジア)との高速接続 多様化するニーズに応えるSDNなどの最新ネットワーク技術の導入

クラウド活用支援

学術情報ネットワークの構築・運用

クラウド利活用促進による

大幅なIT経費削減・研究教育環境の高度化

学術情報流通と

オープンアクセスの推進

大学の機関リポジトリ拡充の推進

大学間連携支援

仕様統一したシステムによる

大学間連携、各種資源の相互利用の促進

クラウド支援サービス

SINET直結クラウド

セキュリティ強化

暗号技術活用による

情報の保護、安全な認証 ネットワーク機能連携による

サイバーアタック対策

電子証明書

無線LANローミング

超高速・高機能回線

アクセス回線共同調達

VPN

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2007年4月~2015年6月 大学等のドメインに対するOV組織認証サーバ証明書を無償にて発行 サーバ証明書発行・導入のための啓発・評価研究(第1期)プロジェクト

UPKIオープンドメイン証明書自動発行検証(第2期)プロジェクト

成果 337機関

360ドメイン

のべ発行枚数23734枚

2015年1月~ 「UPKI電子証明書発行サービス」を開始

クライアント証明書、コードサイン証明書の発行にも対応

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Issued

Valid

※2009年5月から2015年3月まで©2017 Motonori Nakamura/NII4

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業務の委任(→)により効率化

通常は商用認証局が行う証明書発行のための審査等をNIIや大学で分担して行うことで、信頼性を高めつつ、業務の効率化やコスト削減を実現する方法(NIIや大学は必要に応じて商用のルート認証局から監査を受ける)

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例:第2期プロジェクト(6年間)

学術スキーム導入による経費削減効果は,約2.2億円/年

セコムパスポートfor Web SR2.0の購入経費年額57,750円(自動更新)として計算30枚以上購入時には30,000円となるため,差額27,750円からバルク契約の削減経費を計算なお、セコムパスポートfor Web SR3.0の場合は年額59,400円(自動更新)

有効期間2年の証明書を23,734枚購入した場合の経費:2,741,277,000円=本プロジェクトの委託経費 : 80,000,000円+バルク契約による削減経費 :1,317,237,000円+学術スキーム導入による削減経費:1,344,040,000円

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サーバ証明書

従来のOV(Organization Validation)証明書だけでなく,より信頼性のレベルの高いEV(Extended Validation)発行への期待

クライアント証明書

現在各大学で個別に購入 or 独自に発行しているクライアント証明書発行への期待

ID/Password認証の限界

セキュアな認証方法の必要性

コードサイニング証明書 プログラム等に署名することで、利用者が警告を無視することなく利用可能 大学が提供するサービス(プログラム)、研究成果等の公開・配布

内容に誤りがないことを保証するものではないことに注意

クラウドサービスの信頼度 信頼度Ⅰ 信頼度Ⅱ 信頼度Ⅲ 信頼度Ⅳ

対応 認証レベル(LoA) Level1 Level2 Level3 Level4

機関が保有する情報の重要度

重要度Ⅰ

重要度Ⅱ

重要度Ⅲ

重要度Ⅳ

利用例:金沢大学

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2012年度末アンケート調査(着実な需要の伸び) クライアント証明書使用中:41機関

商用認証局から購入:10機関 独自CA構築・運用:31機関

クライアント証明書運用にかかる費用 JIPDEC JCAN証明書:初期8万円+1,000円/人・年

商用認証局から購入するともっと高価

独自CAを構築すると導入に約6千万+運用に約9百万/年(大規模大学での運用コスト例)

1万人規模の大学で導入すると1,000万円/年 単純に40倍すると、4億円/年 の経費が必要

この費用を大幅に圧縮 大学での本格活用をきっかけに民間での活用が進むことを期待(特にS/MIME)

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新サービス 旧プロジェクト

申請 機関の長から* 機関責任者から

費用 有償(定額) 無償

発行できる証明書 サーバ証明書クライアント証明書コード署名用証明書

サーバ証明書

ドメイン数 複数申請可能** 原則1つ

SINETへの加入 必須ではない 必須

署名アルゴリズム SHA-1 (2016/12まで)SHA-256

SHA-1

*:大学であれば,学長にあたる方**:機関が保持または管理するドメイン

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構成員数 年額(税別)1-200 ¥30,000

201-400 ¥40,000

401-600 ¥50,000

601-800 ¥60,000

801-1000 ¥70,000

1001-1200 ¥80,000

1201-1400 ¥90,000

1401-1600 ¥100,000

1601-1800 ¥110,000

1801以上 ¥120,000

追加/ドメイン ¥20,000

✓ 構成員数: 常勤の教員・研究者数(CiNiiと同基準)

✓ 年額には,OV証明書(1ドメイン分),

クライアント証明書,コード署名用証明書を含む

✓ 発行枚数に制限なし

✓ クライアント証明書とコード署名用証明書は当面無償

✓ ドメイン追加時には,1ドメインごとに追加ドメインの額をプラス

✓ 数年後に改訂予定

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2017年

1月

機関数 ドメイン数

12

400ドメイン

300機関

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のべ発行数

有効数

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15413枚

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クライアント証明書 コード署名用証明書

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のべ発行数

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クライアント証明書発行数 3087

S/MIME証明書(SHA-2) 1937 (約63%)

S/MIME証明書(SHA-1) 5

S/MIMEでない証明書(SHA-2) 1145 (約37%)

クライアント証明書発行機関数 37

10枚以上発行している機関:

北陸先端大

京都大

慶應大

J-PARCセンター

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署名

暗号化

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利用者

①依頼

利用管理者

登録担当者

②発行申請

③TSV投入

支援システム

or

利用管理者

⑤証明書(PKCS#12)

配付 orweb enroll

利用管理者

or

アクセスPIN配付者

④アクセスPINの通知

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NIIオープンフォーラム2016http://www.nii.ac.jp/csi/openforum2016/track/day2_4.htm

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Microsoft Office Outlook/Windows Live Mail

Mozilla Thunderbird

Apple Mail, iOSのメーラ

Becky!

Postbox

Shuriken

秀丸メール

Mew

Sylpheed (署名検証のみ?)

など

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Webメール / メールサーバ A-Cloud Mail (伊藤忠テクノソリューションズ) CommuniGate Pro (エアー) Gmailが対応するらしい

ゲートウェイ AntiPhishingMailGateway (デジタル・インフォメーション・テクノロジー)

秘文AE Email Gateway (日立ソリューションズ) HDE Secure Mail for S/MIME, HDE メールサービス(HDE)

パスワード共有 KIIS Whisper (関西情報センター)

メール配信 Cuenote FC (ユミルリンク) クライゼル (トライコーン)

https://jcan.jipdec.or.jp/app/smime.html より20 ©2017 Motonori Nakamura/NII

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常に署名をつけておくことが重要(署名ポリシの公開) SPFやDKIMのような、ポリシを公開する統一的手段がない

利用者に対する効果のわかりやすさ 署名がついていなくても気がつきにくい(警告が出ない)

相手の公開鍵(証明書)がないと暗号メールを送れない どうやって公開鍵(証明書)を入手するか

配送時のヘッダ書き換え、転送で壊れる メーリングリスト、メールの転送(Fromの改変)、ウィルス対策、フリーメールの宣伝

古い鍵を残しておかないと暗号化メールが読めなくなる 鍵は定期的な更新が必要

届いたメールは復号したままでも良いのでは(別の手段で守る)

21 ©2017 Motonori Nakamura/NII

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複数端末での鍵管理 同一の鍵を使うと、鍵の更新が面倒(?)

暗号化のためには、同一の鍵でないと面倒

WebメールサービスにおけるS/MIME対応 対応しているサービスが少ない

大手が対応すれば変わる?

クラウドサービス利用時の信頼性 秘密鍵の預託が必要

暗号メールが読まれてしまう可能性

署名メールが送信されてしまう可能性

送信ドメインのレピュテーションサービスとの連携 あくまでも成りすまし対策

署名が正しくても、フィッシングかもしれない

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http://go.zixcorp.com/GAME.html

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https://support.google.com/mail/answer/6330403

https://support.google.com/a/answer/6374496

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https://zixcorp.wistia.com/medias/jmz4yrssqa

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S/MIME運用ポリシーの策定、公開

個人(クライアント)証明書の発行・失効管理

組織的に安全な運用管理は可能か?

鍵の失効と保存(セキュリティと可用性)

暗号メールの受信後は別の手段で保護すれば、古い鍵の保持は不要になる

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ID管理 証明書認証局個人ID属性情報

発行申請(個人ID)

解凍パスフレーズ

鍵ペア、解凍パスフレーズ

生成

クライアント証明書(PKCS#12)ダウンロード

証明書発行管理

解凍パスフレーズ

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(IdP) (SP)

(プロビジョニング)

ユーザは学認で証明書発行管理システムにログインして、発行申請し、解凍パスフレーズを取得

認証局からクライアント証明書をダウンロードし、解凍パスフレーズを用いて証明書ストアにインストール

メールサーバにインストール

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証明書ストアサーバ

ID管理 証明書認証局発行申請(個人ID)

解凍パスフレーズ

鍵ペア、解凍パスフレーズ

生成

クライアント証明書(PKCS#12)

証明書発行管理

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ユーザは証明書を直接扱わない(安全、更新が容易)

問い合わせ(カードID)

PKCS#12

e解凍パスフレーズ

解凍フレーズ更新

カードPIN認証、更新

個人IDカードIDカードPIN初期解凍パスフレーズ

個人ID、カードID初期カードPINe解凍パスフレーズ

カードPIN送付

(カード内情報)カードID

初期解凍フレーズ

カードをセット、カードPIN入力

メールサーバにインストール

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現在の認証局の契約(セコムトラストシステムズ)は、2017年12月末日まで(3年間)

次期認証局調達に向けて準備中

証明書の有効期間は25か月のまま(短縮なし)

次期CAによる証明書発行は2018年1月開始予定

移行期間は2018年1月~2018年6月を予定

次期サービスへのご意見・ご要望がありましたらサービス窓口までお寄せください

[email protected]

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UPKI証明書発行サービスによるクライアント証明書普及促進

課題は大学のIDMシステムの整備と証明書自動発行連携

UPKIパス等による、クライアント証明書の安全な活用方法の促進

S/MIMEの普及に期待

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