ルネ・シャールの <アフォリズムの詩>について...- 52 - - 53 -ルネ・シャールの<アフォリズムの詩>について リズムにも通じている。
SIXP37 1CBL P4-5 · 台にした未公開のドラマ『Unchained』(1955年)...
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『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990年)にフィー
チュアされてリバイバル・ヒットしたライチャス・ブラ
ザーズ(1964年に全米4位)のイタリア語ヴァージョ
ンであるが、曲自体のルーツはもっと古く、監獄を舞
台にした未公開のドラマ『Unchained』(1955年)
のためにアレックス・ノースが作曲、ハイ・ザレットが作
詞し、ガーシュウィンの『ポーギーとベス』初演にも
主演した名優・歌手トッド・ダンカンが歌って、アカデ
ミー賞主題歌賞にノミネートされた曲が原点であ
る。ただし、受賞したのは『別働隊』(1950年)の「モ
ナ・リサ(リザ)」だった。「モナ・リサ」は#14同様ナット
がカヴァーしてヒットさせたことでも知られている曲
であった。この曲に続く#16もナットが歌詞を付けて
ヒットさせている。深読みすると、#14#15#16は
偉大な歌手=ナットをリスペクトして彼の曲やリンク
する曲を続けた、ヒネリを効かせた構成になってい
るわけである。
■16.スマイル ナットの名唱でも知られているこの曲は、『タイム
レス』のエンディングを飾ったチャールズ・チャップリ
ンの名曲で、名作『モダン・タイムス』(1936年)の
ためにチャップリン自身が作曲した。イル・ディー
ヴォ公演に先駆けて2018年2月に実現したソロ公
演でセブが披露してくれたが、同じ年に二つの
ヴァージョンでこの名曲を満喫出来たのは大きな
収穫だった。今から思えば、あのセブの披露は『タ
イムレス』と続くこのツアーのためのシークレット・
プレビューだったのかも。
■17.キングダム・カム [セバスチャン・ソロ] 「スマイル」からこの曲に続くあたりは、セブのソロ
公演を思い出させてくれて、これまたいい感じの流れ
だ。セブことセバスチャンのソロは自身のアルバム
『ウィ・カム・ヒア・トゥ・ラヴ』(2017年)のリードソングと
なったおなじみのスピリチュアルなブルース・ロック
曲。アルバムを出したばかりのソロ公演時に比べて、
何度も聴きなおしているからか、今回のツアーでは
オーディエンスにも浸透していたようで、手拍子も
ピッタリだ。
■18.この素晴らしき世界(ケ・ボニート・エス・ビビール) イル・ディーヴォが満を持して『タイムレス』でレ
コーディングした名曲。スーザン・ボイルら、様々な
アーティストが取り上げている。もちろん、オリジナ
ルはルイ・アームストロングが1967年に発表して
以来スタンダードになっており、ルイのレコーディン
グをテーマ曲に使用した名作『グッドモーニング、ベ
トナム』(1987年)では、DJに扮したロビン・ウィリ
アムズにより“偉大なサッチモ(ルイの愛称)”の曲と
して紹介され、悲惨な戦争のシーンの鎮魂の意味
を込めた映画史上に記録されるべきメッセージを
伝えた。そのルイの曲をイル・ディーヴォはスペイ
ン語で歌い、時代や国籍を越えたこの名曲の普遍
的なテーマを伝えてくれる。
■19.故ふるさと
郷 2011年の東日本大震災の被害者に鎮魂を込め
て日本語によって歌われた。2012年のジャパン・ツ
アー以来、我が国の公演では欠かせない曲で、4人
の美しく清楚な歌声は真摯な気持ちにさせてくれ
る。常に鎮魂の思いが込めて歌われているが、今回
は#18「この素晴らしき世界」に続けて歌われたこ
とで、一つの人生讃歌的な意味合いも生まれてい
て、ますますこの曲は日本人に欠かせなくなった。
■20.追憶(トワ・エ・モワ) 名曲・名唱揃いの『タイムレス』の中でもことのほか
感動的なこの曲は、ファンの間でも非常に評価が高
く、イル・ディーヴォの4人やスタッフもその評価を意
識して、アルバムでは中盤にフィーチュアしていたこ
の曲をライヴ・パフォーマンスのクライマックスに持っ
てきた。イル・ディーヴォとは縁が深いバーブラ・ストラ
イサンドが主演映画『追憶』(1973年)のために歌い
アカデミー賞主題歌賞に輝いた名曲がオリジナル。
オーケストラ、ライティング、シンプルな舞台美術も含
めて、今回のライヴの中でもパーフェクトの一曲。
■21.オールウェイズ・ラヴ・ユー(シエンプレ・テ・アマーレ) #20「追憶」と表裏一体的なインパクトを持つ
この名曲は、世紀の歌姫ホイットニー・ヒューストン
が初主演した映画『ボディガード』(1992年)で切
なく歌って全米No.1など世界的な大ヒットになっ
た名曲だが、この曲自体もルーツは古くカントリー
の女王ドリー・パートンによる1974年のヒット曲が
オリジナル。イル・ディーヴォのヴァージョンは『グレ
イテスト・ヒッツ』に初収録された。感傷的にさせる
曲であり、実際セブのアカペラで胸がジーンとして
いたら、デイヴィッドがあたたかなヴォーカルを加え
ながらお茶目に絡んできて、パフォーマンスは面白
い効果を生んでいた。
■22.衣装をつけろ[デイヴィッド・ソロ] 「やっと歌う声になったと思う」と謙遜するコメン
トを出しているデイヴィッドだが、とんでもない、彼
のヴォーカルはすごすぎる。ソロ・アルバムを出すべ
きだ。前ツアーにおける「誰も寝てはならぬ」もすご
かったが、今回はエンリコ・カルーソーの歴史的なレ
コーディングを筆頭に数多くの名録音があるルッ
ジェーロ・レオンカヴァッロ作曲のオペラ『道化師』
の中で、道化一座のカニオが歌うあまりにも有名な
アリアを披露した。あのクイーンの名曲「It 's a
Hard Life」では、フレディが歌う冒頭のメロディに
も引用されている。
■23.愛なき人生 デイヴィッドのソロを受けて最後の締め括りの
パートからアンコールは、クライマックスにふさわし
く、イル・ディーヴォの全キャリアにおいて欠かせな
い4曲をフィーチュア。トップを飾るこの曲は、アル
バム『オールウェイズ』(2006年)で初紹介されて
以来、ライヴ・パフォーマンスに欠かせないメランコ
リックなラテン・ポップス。ラテン系のカルロス・ゴメ
スにスウェーデンのヒットメイカー、デヴィッド・ク
ルーガーとパー・マグヌソンが組んだオリジナル曲
ながら、既にラテン・クラシックの風格を感じさせる
名 曲で、ダンサ ーをフィーチュアした楽しいパ
フォーマンスになっている。
■24.サムホエア ミュージカルの金字塔『ウエスト・サイド物語』
(1957年ブロードウェイ初演、1961年映画化)から
生まれた名曲の一つで、日本ではパナソニック
「VIERA」のCMやテレビ神奈川『 洋楽天国
TUESDAY』のテーマ曲に使われたこともあり絶大
な人気を誇っている。『オールウェイズ』に初収録さ
れた他、バーブラ・ストライサンドとの共演ヴァージョ
ンもある。
■25.アンブレイク・マイ・ハート(レグレサ・ア・ミ) まさに、イル・ディーヴォの原点的名曲。デビュー・
アルバム『イル・ディーヴォ』(2004年)にフィー
チュアされた名曲で、「MAMA」に続いてシングル
化もされた。オリジナルはイル・ディーヴォとは縁が
深いR&Bディーヴァ、トニ・ブラクストンによる
1996年の大ヒット曲で、イル・ディーヴォのマネー
ジメントをしていたサイモン・コーウェルが直々に作
者ダイアン・ウォーレンから権利を購入してスペイ
ン語でレコーディングされた。
■26.マイ・ウェイ これも『イル・ディーヴォ』より。クロード・フランソ
ワ1967年のフレンチ・ポップスがルーツで、フラン
ク・シナトラやエルヴィス・プレスリーを筆頭に数々
の名録音が生まれている曲だ。ポップスの名曲をク
ラシック・テイストで表現するコンセプトで登場した
イル・ディーヴォの立ち位置を示すには分かりやす
い選曲。極上のディナー=イル・ディーヴォのライヴ
の締め括りにふさわしい。
2019年4月11日 村岡裕司/YUJI MURAOKA
本作ではBDのチャプター順に楽曲解説を掲載しております。