区分所有法【団地建物所有者の団体】(強行規...

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Yes 区分所有法【団地建物所有者の団体】(強行規定)(抄訳)・・ 65 一団地内に数棟の建物があって、その団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含 む。)がそれらの建物の区分所有者の共有に属する場合には、それらの所有者(以下「団地建物所有 者」という。)は、全員で、その団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための 団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことがで きる。 ※:土地は一部の建物の区分所有者の共有に属する。北敷地と南敷地に各1棟の建物がある。 -p5- 数棟の建物 があるか 《第 65 条》意訳 66 条での準用及び読み替え規定で:一団地内に数棟の建物があって、 その団地内の土地又は附属施設が一部の建物の区分所有者の共有に属する場合には、それらの 所有者(団地建物所有者)は、全員で、その団地内の 土地等又は第 68 1 項各号に掲げる物 (a)の管理又は使用に関する団地建物所有者相互間の事項に対処するするための団体を構成し、 この法律に定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。 a :第 1 号の附属施設(集塵庫等、全員が共同で利用又は使用する物) -p6-の★ 参照 終り *3.【建物の附属物】(【資料-2-p10-参照) 建物の付属物とは、建物の「部分」と異なり建物と は別個独立のものである。その別個独立の物が、「建 物に附属し、効用上その建物と不可分の関係にあ る」場合に、その物は「建物の附属物」である。 *5.建物の【附属施設】(【資料-3-p11-参照) 稲本洋之助、鎌野邦樹著、「コンメンタール マンシ ョン区分所有法 2 版」、日本評論社、200427 頁は、「附属の建物と建物の附属物である。」と述べ ている。 a.広義の附属施設=附属の建物+狭義の附属施設 附属の建物とは=専有部分のある建物に附属する建 物をいう。“附属施設たる建物=集塵庫”が典型的 b.狭義の附属施設=駐車場、外灯、植栽が典型的 団地関係不成立 2号の対象物 フローチャート 始め No Yes No 土地等 団地関係 成立 1号の対象物 S S 土地が一部の建物の区分 所有者の共有に属する場合 *4.建物の部分(【資料-2-p10-参照) 建物の構成部分とみられるもの。 たとえば、庇、雨戸、建具。建物の部分に は、所有権は成立せず。全体としての建物 の上に1個の所有権が成立する、というの が原則である。 しかし、区分所有法1条は、その例外を定 めた。すなわち、1棟の建物の部分が、① 「構造上区分された」ものであり(構造上 の独立性) 、かつ、②「独立して住居、店舗、 事務所又は倉庫その他建物としての用途に 供することができるもの」(利用上の独立 性)である場合には、そのような各部分は、 所有権の目的(客体)とすることができる。 (我妻栄著、有泉亨補訂、「新訂物権法」、 岩波書店、198314 頁)。 *1 号:土地又は附属施設 にあっては土地の全部又 は附属施設の全部につき 所有者及びその持分の 3/4 以上の同意を要する。 同意あり 同意なし * 65 土地又は 附属施設は全員 の共有か 《特則:始め》 * 68 1 項の(意訳) -p8-参照 66 条において準用する第 30 1 項の規約を定めるには、 *2 号:専有部分のある建 物にあってはその全部に つき区分所有者及び議決 権の各 3/4 以上の多数によ る決議を要する 決議あり 決議なし

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Y e s

区分所有法【団地建物所有者の団体】(強行規定)(抄訳)・・

第 65 条 一団地内に数棟の建物があって、その団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含

む。)がそれらの建物の区分所有者の共有に属する場合には、それらの所有者(以下「団地建物所有

者」という。)は、全員で、その団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための

団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことがで

きる。

※:土地は一部の建物の区分所有者の共有に属する。北敷地と南敷地に各1棟の建物がある。

-p5-

数棟の建物

があるか

《第 65条》意訳 第 66 条での準用及び読み替え規定で:一団地内に数棟の建物があって、その団地内の土地又は附属施設が一部の建物の区分所有者の共有に属する場合には、それらの

所有者(団地建物所有者)は、全員で、その団地内の 土地等又は第 68条 1項各号に掲げる物(a)の管理又は使用に関する団地建物所有者相互間の事項に対処するするための団体を構成し、この法律に定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。

a :第 1号の附属施設(集塵庫等、全員が共同で利用又は使用する物) -p6-の★ 参照

終り

*3.【建物の附属物】(【資料-2】-p10-参照)建物の付属物とは、建物の「部分」と異なり建物と

は別個独立のものである。その別個独立の物が、「建

物に附属し、効用上その建物と不可分の関係にあ

る」場合に、その物は「建物の附属物」である。

*5.建物の【附属施設】(【資料-3】-p11-参照)稲本洋之助、鎌野邦樹著、「コンメンタール マンシ

ョン区分所有法 第 2 版」、日本評論社、2004、27頁は、「附属の建物と建物の附属物である。」と述べ

ている。

a.広義の附属施設=附属の建物+狭義の附属施設附属の建物とは=専有部分のある建物に附属する建物をいう。“附属施設たる建物=集塵庫”が典型的b.狭義の附属施設=駐車場、外灯、植栽が典型的

団地関係不成立

2号の対象物

フローチャート始め

No

Yes

No

土地等

団地関係 成立 1号の対象物

SS

土地が一部の建物の区分所有者の共有に属する場合

*4.建物の部分(【資料-2】-p10-参照)建物の構成部分とみられるもの。

たとえば、庇、雨戸、建具。建物の部分に

は、所有権は成立せず。全体としての建物

の上に1個の所有権が成立する、というの

が原則である。

しかし、区分所有法1条は、その例外を定

めた。すなわち、1棟の建物の部分が、①

「構造上区分された」ものであり(構造上

の独立性)、かつ、②「独立して住居、店舗、

事務所又は倉庫その他建物としての用途に

供することができるもの」(利用上の独立

性)である場合には、そのような各部分は、

所有権の目的(客体)とすることができる。

(我妻栄著、有泉亨補訂、「新訂物権法」、

岩波書店、1983、14頁)。

* 1号:土地又は附属施設にあっては土地の全部又

は附属施設の全部につき

所有者及びその持分の

3/4以上の同意を要する。同意あり 同意なし

* 第 65 条

土地又は附属施設は全員の共有か

《特則:始め》 *第 68条 1項の(意訳) -p8-参照第 66条において準用する第 30条 1項の規約を定めるには、

* 2号:専有部分のある建物にあってはその全部に

つき区分所有者及び議決

権の各 3/4以上の多数による決議を要する

決議あり 決議なし

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区分所有法【建物の区分所有に関する規定の準用】(←条文のままを掲載)・・(強行規定)

第 66条 第 7条、第 8条、第 17条から第 19条まで、第 25条、第 26条、第 28条、第 29条、第 30条第 1項及び第 3項から第 5項まで、第 31 条第 1 項並びに第 33 条から第 56 条の 7 までの規定(H20,12,1改正)は、前条の場合について準用する。この場合において、これらの規定(第 55条第 1項第 1号を除く。)中「区分所有者」とあるのは「第 65

条に規定する団地建物所有者」と、「管理組合法人」とあるのは「団地管理組合法人」と、第 7 条第 1項中「共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設」とあるのは「第 65 条に規定する場合における当該土地若しくは附属施設(以下「土地等」という。)」と、「区分所有権」とあるのは

「土地等に関する権利、建物又は区分所有権」と、第 17条、第 18条第 1項及び第 4項並びに第 19条中「共用部分」とあり、第 26条第 1項中「共用部分並びに第 21条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設」とあり、並びに第 29 条第 1 項中「建物並びにその敷地及び附属施設」とあるのは「土地等並びに第 68条の規定による規約により管理すべきものと定められた同条第 1項第 1号に掲げる土地及び附属施設並びに同項第 2号に掲げる建物の共用部分」と、第 17条第 2項、第 35条第 2項及び第 3項、第 40条並びに第 44条第 1項中「専有部分」とあるのは「建物又は専有部分」と、第 29条第 1項、第 38条、第 53条第 1項及び第 56条中「第 14条に定める」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)の持分の」と、第 30条第 1項及び第 46条第 2項中「建物又はその敷地若しくは附属施設」とあるのは「土地等又は第 68条第 1項各号に掲げる物」と、第 30条第 3項中「専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)」と

あるのは「建物若しくは専有部分若しくは土地等(土地等に関する権利を含む。)又は第 68条の規定による規約により管理すべきものと定められた同条第 1項第 1号に掲げる土地若しくは附属施設(これらに関する権利を含む。)若しくは同項第 2号に掲げる建物の共用部分」と、第 33条第 3項、第 35条第 4項及び第 44条第 2項中「建物内」とあるのは「団地内」と、第 35条第 5項中「第 61条第 5項、第 62条第 1項、第 68条第1項又は第 69条第 7項」とあるのは「第 69条第 1項又は第 70条第 1項」と、第 46条第 2項中「占有者」とあるのは「建物又は専有部分を占有する者で第 65条に規定する団地建物所有者でないもの」と、第 47条第 1項中「第 3条」とあるのは「第 65条」と、第 55条第 1項第 1号中「建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあっては、その共用部

分)」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)」と、同項第 2 号中「建物に専有部分が」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)が第 65条に規定する団地建物所有者の共有で」と読み替えるものとする。

★【読み替え部分】この場合において、これらの規定(第 55条第 1項第 1号を除く。)中、「区分所有者」とあるのは「団地建物所有者」と、第 30 条第 1項中「建物又はその敷地若しくは附属施設」とあるのは「土地等又は第 68条第 1項各号に掲げる物」と、読み替えるものとする。

《マンション法の解説 三訂版 著者:熊田裕之 発行者:一橋出版株式会社》

資料:団地の管理に関する規定

区分所有法は、団地の管理に関する規定を置くに際して、本法第 67 条と第 68 条を除いて、第1章「建物の区分所有」に関する規定を、一部読替えて団地の管理に準用する方法を採用しています。その

ため、一読しただけでは非常に分かりにくい条文となっています。

* 第 65条(団地)について準用される規定は、次のとおりです。①先取特権(第 7条)②特定継承人の責任(8条)③共用部分の変更・管理(17~19条)④管理者の選任・解任(25条)⑤管理者の権限(26条)⑥委任規定の準用(28条)⑦区分所有者の責任(29条)⑧規約・集会(30条 1項・3項~ 5項、31条 1項、33条~45条~56条の 7)⑨管理組合法人(47条~ 56条)

*1義務違反者に対する措置(57条~60条)と復旧及び立替え(61条~64条)は、団地関係にはまった適用されません(団地内の建物の立替え及び一括立替えについては第 69条・70条参照)

*2 第 66条に、【書面による決議】第 45条 2項は第 65条の場合に準用する。-p6-

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Yes

区分所有法【団地共用部分】・(強行規定)--- 下記の枠内に示す第 66条で準用する第 30条 1項参照第 67 条 一団地内の附属施設たる建物(第 1 条に規定する建物の部分を含む。)は、前条において準用する第 30 条第 1 項の規約により団地共用部分とすることができる。この場合においては、その旨の登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。

第 2項 一団地内の数棟の建物の全部を所有する者は、公正証書により、前項の規約を設定すること

ができる。

第 3項 第 11条第 1項本文及び第 3項並びに第 13条から第 15条までの規定は、団地共用部分に準用する。この場合において、第 11条第 1項本文中「区分所有者」とあるのは「第 65条に規定する団地建物所有者」と、第 14条第 1項及び第 15条中「専有部分」とあるのは「建物又は専有部分」と読み替えるものとする。

参考:共用部分の(【共有関係:第 11条】,【持分割合:第 14条】,【持分の処分:第 15条】)

-p7-

《第 65条の団地建物所有者の集会》 -p5-参照

終り

フローチャート

*単独で公正証書により、前項の規約を設定するこ

とができる。

(第 67条 2項)

始め

No 土地等は共有でない

1号:土地又は附属施設 *1附属施設たる建物を

団地共用部分と定める

同意あり 同意なし

団地関係成立

2号:専有部分のある建物

決議あり 決議なし

団地関係不成立

* 【共用部分の共有関係】第 11条第 1項 共用部分は区分所有者全員の共有に属する。(ただし書きは省略) 準用あり

第 2項 前項の規定は規約で別段の定めをすることを妨げない。(同上) 準用なし

第 3項 民法第 177条の規定は、共用部分には適用しない。

*1:第 68条 1項 1号:敷地棟ごとに共有者の 3/4で持分の 3/4以上の同意を要するa.附属施設たる建物(集塵庫)を団地共用部分とする(第 67条 1項)。b.団地建物所有者が共同で利用又は使用する目的で設計・施工された附属施設は団地管理

組合又は連絡協議会の管理範囲とする。(外周フェンス・植栽・車路・遊歩道・庭園等)

数棟の建物

の全部を所有

する者か 第 68条 1項:次の物につき第 66条において準用する第 30条 1項の規約を定めるには、

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Yes

注:一部の建物所有者の共有に属する土地又は附属施設(1 号)及び専有部分のある建物(2 号)について、規約により団地建物所有者全員の管理の対象とすることができるものとした。-p4-末尾参照。

区分所有法【規約の設定の特例】第 68条 次の物につき第 66条において準用する第 30条 1項の規約を定めるには、第 1号に掲げる土地又は附属施設にあっては当該土地の全部又は附属施設の全部につきそれぞれ共有者の 4分の 3以上でその持分の 4分の 3以上を有するものの同意、第 2号に掲げる建物にあってはその全部につきそれぞれ第 34 条の規定による集会における区分所有者及び議決権の各 4 分の3以上の多数による決議があることを要する。第 1号 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内の一部の建物の

所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地又は

附属施設(専有部分のある建物以外の建物の所有者のみの共用に属するものを除く。)

第 2号 当該団地内の専有部分のある建物

第 2項 第 31条第 2項の規定は、前項第 2号に掲げる建物の一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての同項の集会の決議に準用する。

-p8-

フローチャート

① 団地共用部分は、団地建物所有者全員の共有に属する。

(第 67条 3項で準用する第 11条 1項本文:共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。)② 附属施設たる建物の集塵庫(4棟)は団地共用部分たる旨登記できる。③ 通路・外灯・門・生垣等の附属施設は所有権の目的でなく登記できない。(尼崎登記所)

④ 自走式駐車場は登記できるが、建築基準法の規定を満たさず建物と見做されない。

⑤ 集会室等 13室は第 1条にいう建物の部分であり、団地共用部分たる旨の登記ができる。しかし、第 65 条や第 68 条 1 項にいう附属施設に該当せず“団地関係での核”となり得ない。

団地関係 成立

終り

《第 65条の団地建物所有者の集会》 -p5-参照

特則:始め

* 1号の対象物:附属施設たる建物(集塵庫)を団地共用部分とする旨共有者の“同意”を要する。

No

団地関係不成立

* 第1号については、先に団地関係成立ありきでない。

Yes

第 1項:次の物につき第 66条において準用する第 30条 1項の規約を定めるには、

No

第 1号に掲げる土地又は附属施設にあっては当該土地の全部又は附属施設の全部につき

それぞれ共有者の 3/4 以上でその持分の 3/4以上を有する者の“同意”を要する。

第 1号:一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内の一部

の建物の区分所有者の共有に属する場合にお

ける当該土地又は附属施設

Yes

1号の対象物 No

Yes

第 2号に掲げる建物にあってはその全部につきそれぞれ第 34 条の規定による集会における区分所有者及び議決権の各 3/4 以上の多数による決議があることを要する。

第 2号:当該団地内の専有部分のある建物

2号の対象物

同意あるか

決議あるか