第1章 エネルギー転換部門 - env-13- 第1章 エネルギー転換部門 ・ エネルギー転換部門は、電気事業者、ガス事業者、熱供給事業者を対象とする。
二輪事業本部事業企画部 杉岡浩一 60年で1億台 MBF CATS ......Honda...
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MBF「ホンダ・スーパーカブ60年で1億台:世界で愛される秘密」Honda 二輪事業本部 事業企画部CATS(Category Activity Taskforce Supervisor) 杉岡 浩一
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<スピーカーのプロフィール>
<講演内容>
1.スーパーカブの概要 by 杉岡 浩一・NHK「おはよう日本」で特集された、スーパーカブ1億台突破のニュース番組紹介⇒YouTubeで検索できないため、参考にNIKKEIの企業遺産(2017/10/25)を掲載
*片平さん紹介: Hondaにはこの会の立ち上がりから、大塚紀元さんを始めお世話になっていて、今回参加メンバーの鈴木雅城さんの紹介なので、直ぐに快諾頂けると思ったら、なかなか返事が来ない! さぞ社内ではOBを含め「俺を差し置いて・・・」ともめてるのかと思ったら、「私一人が全てを語って良いのか」と杉岡さんが悩まれて、結局3人で対応して頂くことに。
【主講演者】 杉岡 浩一
㈱本田技術研究所 二輪R&Dセンター上席研究員デザイン開発室 室長
兼 クリエイティブダイレクター生年月日: 1963年 6月17日出身校: 横浜国立大学 教育学部 、
桑沢デザイン研究所経 歴: 1989年入社1998年~2003年: ホンダR&Dヨーロッパ
ローマ駐在
本田技研工業(株) 二輪事業本部 事業企画部 主任技師CATS(Category Activity Taskforce Supervisor)生年月日:1958年6月(スーパーカブの誕生と同じ)1982年:岡山大学 工学部卒、本田技研工業(株)入社
⇒ (株)本田技術研究所 朝霞研究所配属以後、一貫して小型二輪車の研究開発に携わる
2008年: タイ駐在、アジア地域本部の商品企画責任者2015年: 帰国後 本田技研工業(株)二輪事業企画部
EV・スクーター・カブ・小型MCの商品企画推進責任者1億台記念となった最新のスーパーカブシリーズも担当
【サブ講演者①】 川和 聡
【サブ講演者②】 早瀬 峻一 本田技研工業(株) 二輪事業本部 事業企画部 主任 役職: CL(Category Leader)カブ・中低排気量MC(モーターサイクル)の商品戦略、企画担当、今回の1億台、60周年にまつわる一連の活動の企画、まとめ
すぎおか こういち
かわわ さとし
はやせ しゅんいち
原点の理想を追いかけ1億台 進化するホンダ「カブ」
MBF「ホンダ・スーパーカブ60年で1億台:世界で愛される秘密」Honda 二輪事業本部 事業企画部CATS(Category Activity Taskforce Supervisor) 杉岡 浩一
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2.1億台60周年を機にした活動 by 早瀬 峻一・自己紹介: 10年前に中途採用でHondaに入社。以前の会社でも中国で働いていたが、入社後もずっと中国で
やっていて、最近役員報告を終えて、やっとカブから解放されたと思ったら、広報部の方(60歳)から「イベント企画をやらないか」と声をかけられ、迷った末引き受けた次第。
・なぜいまカブをPRしたのか◆おもて面: Hondaブランドへの危機感◆うら面: 日本人へのエール
■ 過去の訴求例
大学の専攻が中国の歴史だったこともあり、まずは過去の訴求例を調査
①1963年 ナイセストピープルキャンペーン(米、日) ②1960年代 女性誌への広告(日本) ③1964年 アカデミー賞の授賞式に1分半のCMを2本流した(1億円)
・Hondaブランドとカブ: 「Hondaと言えば?」⇒「バイク、カブ」
・ブランドに対する役割 = カブ:知る⇒好きになってもらえる素材
ファン
ユーザー
潜在顧客
一般
アンチ
無関心知る
理解する
好きになる
人に勧める
メディアなど
ステークホルダーとして関わってもらう
Hondaの課題
力点を「知ってもらう」活動に置く
ブランドに対する役割
MBF「ホンダ・スーパーカブ60年で1億台:世界で愛される秘密」Honda 二輪事業本部 事業企画部CATS(Category Activity Taskforce Supervisor) 杉岡 浩一
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2.1億台60周年を機にした活動~続き■ 知ってもらう:例
◆ 1億台達成記念式典(17年10月19日) ※「タンデムスタイル」17年12月号 スーパーカブ特別編より ◆ 2017年東京モーターショー(10月23日~)
◆ 2017 カフェカブミーティング青山(11月4,5日)
◆ トミカ(玩具)◆ GU コラボTシャツ
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2.1億台60周年を機にした活動~続き■ 知ってもらう:例
◆ 話題作家へのインタビュー記事をHondaの「クルマ」ユーザーへ配布 ◆ 小説、コミックス
◆ Love Cub Snap (Web) *車輪がつながっている
◆ マルマンコラボ スケッチブック
MBF「ホンダ・スーパーカブ60年で1億台:世界で愛される秘密」Honda 二輪事業本部 事業企画部CATS(Category Activity Taskforce Supervisor) 杉岡 浩一
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■ 企画スタート時・悩み: 関わる部門、ヒトが多い。 リーディングなんて・・・
「Hondaと言えば?」⇒「バイク、カブ」 ここまではOK。でもその先は?
合わさる要素を軸にしたストーリー
「日本生まれのコンセプトが世界に受容」
「変身してご主人のために尽くす____モノ」
① 伝える「ストーリー」の決定スーパーカブとは何か
バイク=売りモノ、乗りモノ ・・・ カブは?世の中が求めているのは何か
仮説: ジャパンパッシングへの恐れ
② 一連の活動「旗印」の作成
“カブロク”
⇒ 社内外で「一連の」活動として認識
■ 日本人へのエール
・世界で受け入れられるためには・・・優れたコンセプトを有したまま
現場でその土地に暮らす人のために変化させ提供する
・Honda HPより「Hondaスーパーカブ:1億人に愛される理由」の動画紹介
MBF「ホンダ・スーパーカブ60年で1億台:世界で愛される秘密」Honda 二輪事業本部 事業企画部CATS(Category Activity Taskforce Supervisor) 杉岡 浩一
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思想さえしっかりしていれば技術開発そのものはそう難しいものではない。技術はあくまでも末端のことであり、思想こそが技術を生む母体だ。
3.カブ・ブランドの芯① : ハード by 杉岡 浩一■ カブに息づく本田宗一郎の設計思想
<カブが人から愛され続ける理由>
・ カブに息づく本田宗一郎の設計思想
・ 車体パッケージングの妙
・ 数値が裏付けるカブの優秀性
・ カブへの“想い”
前傾エンジン
低床バックボーンフレーム
大径ホイール
普遍の基本構成
1958年のスーパーカブ以来、60年間変わらぬ基本
あくまで人間さまが買ってくれる品物をつくり出すこと、より人間に奉仕する品物をいかにつくるかがわれわれの課題であるべきだ。
人間尊重の思想が貫かれている
鞍型シート
・走行風から乗員を守る・泥はねから乗員を守る・エンジンの熱気から乗員を守る
・走行風を整流してエンジンに導く
*意外と知られていませんが、カブの場合、レッグシールドを外して走るとむしろエンジンは冷えなくなります
<鞍型シートの理由>・坐骨をしっかり支えるシート幅・身長の低い方の足つきも考慮・乗り降りをスムースに
レッグシールド
座骨幅12~15cm
31cm
14cm
MBF「ホンダ・スーパーカブ60年で1億台:世界で愛される秘密」Honda 二輪事業本部 事業企画部CATS(Category Activity Taskforce Supervisor) 杉岡 浩一
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3.カブ・ブランドの芯① : ハード~続き■ 車体パッケージングの妙
縦一列に配置によるマス集中化
カブ車両重量96kg(50)99kg(110)
≒
ライダー55kg(JM50)
燃料タンク5kg
エンジン25kg
バッテリー2kg
高さを抑えた「エンジン全高」
机とほぼ同じ高さの「荷台」
下半身を雨風から守る「レッグシールド」
フロントタイヤ17インチ
リヤタイヤ17インチ
フロントホイールリアホイール エンジン
ヒップポイント
グリップ
ステップ
Cubのゴールデントライアングル
MBF「ホンダ・スーパーカブ60年で1億台:世界で愛される秘密」Honda 二輪事業本部 事業企画部CATS(Category Activity Taskforce Supervisor) 杉岡 浩一
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3.カブ・ブランドの芯① : ハード~続き■ 数値が裏付けるカブの優秀性
小型スクーター並みの寝かし込みやすさ
ロール慣性
左右バンクさせやすさの指標
ヨー慣性
向きの変えやすさの指標
小型スクーターやスポーツバイク並みの向きの変えやすさ
ホイール慣性とステアリング慣性
の関係
ステアリングフィールに大き
く影響
スポーツバイクに近いハンドリングフィール
バイクの重心とエンジンの位置関係
車体挙動に強く影響
スポーツバイク並みの操縦感、安定感
■ カブへの“想い”
発明はすべて、苦しまぎれの智恵だ。アイデアは、苦しんでいる人のみに与えられている特典である。
カブはこれからも 原点をわすれず走り続けます
それはみんな過去のことなんだ。俺が知りたいのは未来なんだ。
MBF「ホンダ・スーパーカブ60年で1億台:世界で愛される秘密」Honda 二輪事業本部 事業企画部CATS(Category Activity Taskforce Supervisor) 杉岡 浩一
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4.カブ・ブランドの芯② : デザイン by 川和 聡■ この中で最新モデルは?(どれも同じに見える?)
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4.カブ・ブランドの芯② : デザイン by 川和 聡■ この中で最新モデルは?(どれも同じに見える?) ⇒ 正解は・・・
よほどのカブマニアでないとまず分からない
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4.カブ・ブランドの芯② : デザイン~続き■ 世界で愛されるカブのデザインバリエーション
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4.カブ・ブランドの芯② : デザイン~続き■ 日本のカブ: 初代(1958年)⇒ 現行モデル(スーパーカブ110&50)
初代スーパーカブ スーパーカブ50
■ 世界のカブ: 現地最適のデザイン
タイのスーパーカブ
ブラジルのスーパーカブ
◆ブラジルでは手荷物が収納できるようにリアタイヤの径を小さくしてスペースを確保
◆ タイではスポーティーなデザインが好まれる
スーパーカブ110
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4.カブ・ブランドの芯② : デザイン~続き■ 世界のカブ: 驚くような使われ方
完成された基本レイアウト
重い荷物も かさばる荷物も
家族みんなで
MBF「ホンダ・スーパーカブ60年で1億台:世界で愛される秘密」Honda 二輪事業本部 事業企画部CATS(Category Activity Taskforce Supervisor) 杉岡 浩一
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4.カブ・ブランドの芯② : デザイン~続き■ スーパーカブは2014年に「立体商標」が商標登録された
・立体商標=特徴的な看板やイメージキャラクターお菓子や飲料水の容器など立体的形状の創造物に対し認められる商標権のこと(日本では1997年から)
・商標権=一般的に「商標権」は文字や記号・図形など平面的形状に対してのみ有効*商標権は、多くの人がこの形は誰が見てもアレだよねという大枠で認められているので、模倣しにくい。
一方、製品個々の意匠権はディテールを少し変えただけでも権利侵害を逃れられることが多い。
<立体商標の例>
■ ディテールに込めたデザイナーの想い・デザイナーの思想によってディテールは異なる・変えるものと変えないもの(2面性)を持つ・しかし「人々の役に立ちたい」という想いは不変
■ 2015 東京モーターショー出展車
EV-Cub Concept Super Cub Concept
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杉岡: 予定通り、と言うか各自熱くなって時間をオーバーしましたが、想いは伝わったことと思います。
片平: カタチというか思想を活かしたもの、人間で言うと体幹をよくここまで鍛え抜いたなあ、という感想。基本を守り磨き抜く、ここ
までやるのは本当に凄いブランドだ。ベトナムには以前何回か滝口さん(現地法人社長)に誘われた。その時聞いた話が、
ベトナムでカブが愛された(ベトナムではバイクの事を「ホンダ」と呼ぶ)理由。ベトナム戦争で皆がラオスに逃げる時、300kgの
家財道具を積んで壊れずに逃げられたのはHondaだけ。滝口さんはホーチミンが焼けて一番最後の飛行機で戻った。
Q: 海外で売っているスーパーカブのデザインは誰が?
A: そのエリアのデザイン部門がやっている。時には世界コンペをやることもあるが、基本は現地。生産も現地で。
Q: 立体商標をとることで、実質的にはどういうメリットが?
A: 大体こういうデザイン、で登録されるので、他社は真似とかやりにくい。
Q: 日本やアメリカでバイクが売れなくなっているように、今売れているアジアでも同様にならない?また新しい時代に対応してカブもどう変わる?
A: ASEAN諸国は先進国と違い、経済構造が異なる。一億総中流ではなく、全ての人が四輪に手が届くわけではない。また気候も温暖だし、まだまだ伸びると考えている。
Q: 現在の日本市場は所有より共有の方向。シェアリングも考えている?
A: 電動バイクはさいたま市とシェアリングをトライしている。ガソリン車は乗り手のクセがついたり、メンテも必要だが、EVはシェアリングと親和性が高い。
片平: 電動アシスト自転車に子どもを前後に乗せてたりしているが、その辺りはどう考えている?
A: 自転車以上、原付バイク以下の部分は考えていく必要あるが、色々法規もあるので・・・。片平: 未来のセカンドジェネレーションカブを是非考えてもらいたい。
Q: スーパーカブのデザインは今後も維持するのか、それとも大幅に変えるのか?
A: この先大幅に変えるとかの議論もあるが、必要のないところは無理に変える必要はない。確かに電動化したら今のカタチが最適か?とかの議論はあるが、人々の生活に寄り添う限り、大幅に変わることはないと思う。
Q: 統一された構造で世界中のニーズに応えられるわけは?
A: 基本的には人間が使うものだから。しかし地域によってニーズは異なるので、現地の関係部門がデザインする。片平: 今の話は僕なりにいい話だと。ブランドは一つの生態系。アジアの各地で愛されるのは、Hondaの人の人間力だと思う。
現地のスタッフもよりHonda人になって行く。宗一郎の思想を超えて、インナーマッスル(体幹)になっている。
<Q & A/Comment>