地方都市 の空洞化 の進む 中心街 の再生事業 について地方都市 の空洞化...

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地方都市の空洞化の進む 中心街再生事業について 中心街再生事業について 経済産業省商務流通グループ中心市街地活性化室

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地方都市の空洞化の進む中心街の再生事業について中心街の再生事業について

経済産業省商務流通グループ中心市街地活性化室

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Ⅰ.地方都市の中心街の空洞化の要因と再生の方策(1)「不動産の所有と利用の分離」と「中心商店街区域」

地方都市の中心街、特に商業、サービス業が集積する区域(中心商店街区域)では、不動産所有権が細分化し、建物が老朽化する一方、不動産の所有と利用の分離(※)が進まず、共同利用の合意も形成できず、改築投資・再開発が停滞し、空き店舗・空き地が放置される等空洞化が進んでいる。

※不動産の所有と利用の分離とは、不動産の流動性を高め、有効利用を促進するため、土地・建物の利用権を、低未利用の所有者から利用能力の高い者に、定期借地借家・信託契約等により移転することをいう。 (P18参照)

○所有権が細分化し、共同利用も合意が形成できず、小規模不動産経営で改築資金の調達が困難→再開発が進まず、建物が老朽化○小規模な老朽化した店舗(兼住宅)がテナントのニーズに合わず、賃料も地価が高い頃の水準で高止まり→借り手がつかず、空き店舗が放置

*商店街空き店舗実態調査(H19); 空き店舗の所有者の75%が貸す意 大型空き店舗空き地等実態調査(H19)

空大型空き店舗

大型スーパーが撤退

空き店舗が発生

大型スーパーマーケット

公共施設

空き地

郊外移転郊外の大型ショッピングセンターに移転し、テナントとして出店

区分所有者が 一部営業継続で、再利用進まず。

店舗兼住居で、1Fに玄関、トイレ等があり貸せない

地主が賃料を下げないため新たなテナントが見つからない

廃業

廃業

<中心商店街区域>-所有と利用が一体-個々の商店主が自ら土地を所有し、店舗を建て、居住・営業

金融、居酒屋携帯販売等の雑居ビル化

商店主が営業をやめても、新たなテナントの入居が進まず、空いた状態が放置

シャッター通り

郊外に大型ショッピングセンターが進出

撤退

*商店街空き店舗実態調査(H19); 空き店舗の所有者の75%が貸す意思があるが、老朽化、改装が必要、店舗面積がニーズに不適合、高い賃料水準等の理由のため、借り手が見つからない。

大型空き店舗空き地等実態調査(H19)・全国の中心市街地に大型空き店舗214件、空き地102件が存在。・うち大型空き店舗34件,空き地11件は市町村が所有、借上等。このうち27件は、区分所有ビル等の権利関係の複雑さ、老朽化等で再利用方法が未定。

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○まちづくり会社(※)とは、広く中心市街地の活性化に関連する事業目的を持つ会社形態の組織をいう。

※中心市街地活性化法の「良好な市街地を形成するためのまちづくりの推進を図る事業活動を行うことを目的として設立された会社」「商工会、商工会議所又は中小企業者が出資している会社」、旧中心市街地活性化法の「認定構想推進事業者」(TMO) であった会社等が含まれうる。

○各地の先進事例

こうした中心商店街区域の空洞化に対し、地域がまちづくり会社を設立し、空き地・空き店舗等の不動産の所有と利用の分離を進め、空き店舗の再生や商業施設・住居等の整備をして区域を再生する事業を中心商店街区域の再生手法として以下で提示する。

Ⅰ . (2) まちづくり会社の活動による中心街の再生

○各地の先進事例

金沢市竪町商店街 商店街振興組合が空き店舗のテナント・リーシングを積極的に実施

長浜市(株)黒壁 まちづくり会社が空き店舗を集めて統一的に活用

高松市丸亀町商店街 まちづくり会社による所有と利用の分離型再開発

(株)まちづくり長野「ぱてぃお大門」(株)金沢商業活性化センター「プレーゴ」(株)ハイマート久留米「六角堂広場」

まちづくり会社が商店街隣接の空き地にテナントモールを整備

奥州市水沢クロス(株)「水沢メイプル」 大型空き店舗を利用権の一元化、改装と新規テナントのリーシングにより再生

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・個々の地権者から、不動産利用権を集約し、合同運用・建物収益に連動する地代の定期借地契約や信託契約を活用し、地権者のメリットを高め、利用権の提供を促進

Ⅱ . (1) 不動産の所有と利用の分離による中心商店街区域再生手法

・地域の市場環境需要等を把握し、収益性の確保された適正な投資規模と維持費用の商業住居等複合施設を整備。・周辺の街並みに調和した回遊性のある施設を建築・設計・デザイン。居住環境も併せて整備。・土地の売買をせず、初期費用を抑制 ・建物を区分所有せず、まちづくり会社が一括で所有

・近隣住民、通勤通学者等の地域の消費需要を踏まえた店揃えのコンパクトな商業・サービス業の集積を形成。

(1)基本的手法:まちづくり会社が、再生区域を設定し、以下の事業を実施する。

① 不動産の所有と利用の分離と利用権の集約

②空き店舗の改装・商業サービス業住居等複合施設の整備

③テナントの誘致と販売促進(テナントマネジメント)を実施

再生区域

地代(建物の収益に連動)

①不動産利用権の集約

中心市街地

複数の所有者の不動産を合同運用建物の収益に連動した地代・賃料の設定

空 空

大型空店舗

民事信託会社

/信託会社

(合同運用型土地信託)

定期借地

③テナントマネジメント②空き店舗改装商業等複合施設整備

再生区域中心市街地

住居

合同運用型土地信託合同運用型土地信託 まちづくり会社

商店街のコンパクト化(周辺店舗の移転、地元の新規開店、全国有力店の誘致)

商店街のコンパクト化(周辺店舗の移転、地元の新規開店、全国有力店の誘致)

不動産の所有と利用の分離不動産の所有と利用の分離地権者 テナント(周辺店舗、地元新規出店)テナント(全国チェーン店)

地域の需要の調査適正規模の施設整備

周辺店舗、新規開店等のテナント誘致・管理。誘客イベント、広告・宣伝等販促支援を実施。

建物の老朽化建物の老朽化

信託配当

賃料

合同運用型の定期借地・借家合同運用型の定期借地・借家

地方自治体

商店街振興組合地域関係者

支援

連携地代(建物の収益に連動)

不動産の共同運用建物改修・改築

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再生区域住居

Ⅱ . (2)不動産の所有と利用の分離による中心商店街区域再生手法

街並みイメージの統一

街並みイメージの統一

(2)補完的手法:

①不動産証券化による地域からの建物建築資金の調達

・まちづくり会社が商業等の複合施設を整備する資金を、コーポレートファイナンス型の担保や保証による間接融資ではなく、不動産証券化により地域から調達。地権者が不動産証券化で建物建設に投資することを可能にして土地利用権提供のメリットを向上

②街並みイメージの統一

・まちづくり会社が中心となり、地区計画、景観協定等の制度を活用し、区域の建物の外観、用途等のルールを決定。

建物の改築

地権者

SPC(特別目的会社)※地代(配当)

③テナントマネジメント

②商業等複合施設整備①不動産利用権集約

匿名組合出資

信託受益権

不動産証券化による地域からの建築資金の調達

信託受益権代金中心商店街再生ファンド

地域市民不動産所有者

デット

エクイティ

出資

信託受益権の売却

建築費のつなぎ融資

不動産の所有と利用の分離不動産の所有と利用の分離 信託配当信託会社

戦略補助金

まちづくり会社金融機関

統統

ノンリコースローン

街並みイメージ統一

※資産流動化法に基づく特定目的会社(TMK)とする方法もある。

賃料収入による投資の回収・再投資の実施

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Ⅲ.中心商店街区域再生のための国の支援策

*再生事業を実施するために必要な専門分野:市場調査、SC経営、不動産、建築、金融、法律、税務等

*米国、英国でも、全国的組織が地方都市中心部の再開発を支援。英国;ATCM、米国;ナショナルトラスト・メインストリートセンター

①不動産、金融等の専門家の全国ネットワーク(※)を構築し、紹介・派遣

※中心商店街区域再生支援ネットワーク:2008年11月より事業開始(http://www.machigenki.jp/)

*再生事業のノウハウを構築・蓄積、これを他の都市に普及*H20年度全国5都市で実施中*H21年度予算要求中

以下の公的支援により、各地域における再生事業の実施を支援

②まちづくり会社等の中心商店街区域の再生のための先行的な取組をパイロット事業として専門家の派遣と関連調査の実施により支援

③戦略補助金の重点支援(認定中心市街地活性化基本計画に基づく民間のハード・ソフト事業を補助)

平成21年度から、まちづくり会社の経営体制及び事業計画を国が特別に認定(※)し、戦略補助金を重点交付(予算要求中)

※現行中心市街地活性化法第40条第4項の特定民間事業計画の主務大臣認定を活用

空 空

空 大型空き店舗

再生区域※

中心市街地

商工会議所

地権者・建物所有者

地方自治体

中心市街地活性化基本計画

百貨店・大型SC

シャッター通り

商店街振興組合商業・サービス業者

専門知識、専門家提供

支援協力

経営体制・各種再生事業計画の大臣特別認定

出資

中心市街地活性化協議会

再生事業の実施再生事業の実施

出資

中心商店街再生ファンド

中心商店街区域再生支援ネットワーク

公的機関出資

(検討)

建物老朽化

不動産の有効活用を啓発普及

SPC

経営体制・事業遂行力強化

特別認定まちづくり会社

再生区域の設定

認定

戦略補助金(ハード1/2補助)

③戦略補助金の重点支援(認定中心市街地活性化基本計画に基づく民間のハ ド ソフト事業を補助)

※中心市街地に複数のまちづくり会社とその事業計画の特別認定が可能

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Ⅳ.中心商店街区域再生手法(詳細)

基本的手法① まちづくり会社による不動産利用権の集約化

基本的手法② まちづくり会社が空き店舗再生・商業住居複合施設整備

基本的手法③ まちづくり会社によるテナントマネジメント

補完的手法① 不動産証券化による地域からの資金調達

補完的手法② 街並みイメージの統一

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空空 空

再生区域

まちづくり会社が、合同運用型の定期借家・借地・信託等を活用して、不動産所有者のメリットを高めて、空き店舗・空き地の不動産の所有と利用を分離して、利用権を集める。

中心市街地

空 空

再生手法(基本的手法① ) :まちづくり会社による不動産利用権の集約化

1) まちづくり会社の不動産所有者等への働きかけによる所有と利用の分離;まちづくり会社が、不動産所有者等と個別に交渉し、合意が成立したものから利用権の提供を受けて、空き店舗等を再生し、新規テナントを導入する。

2)合同運用型の定期借地・借家・信託等による不動産集約化の加速:まちづくり会社が、定期借地・借家契約を、複数の所有者等と一括で結び、不動産の合同運用を

不動産の所有と利用の分離

地権者

②空き店舗改装

・商業住居等複合施設整備

地代(建物の収益性を反映)

①不動産利用権の集約①不動産利用権の集約③テナントマネジメント

匿名組合出資等

・合同運用型の定期借家(収益連動型賃料)

・定期借地(建物の収益を踏まえた地代)

・合同運用型の土地信託(信託会社活用)

SPC

民事信託会社/信託会社

(合同運用型の土地信託)

定期借地等(収益連動性ある地代)

;信託契約を用いる場合

括で結び、不動産の合同運用を行う。

3)このとき、売り上げ比例による借家賃料、建物の収益に連動する地代等の仕組みを導入。所有者等が信託会社への名義の変更を受け入れる場合は、合同運用型の信託(民事信託又は信託会社を活用)等

4)施設を整備するときは、不動産証券化の手法等により、地権者が建物に投資することを可能にして、土地利用権提供のメリットを高める(後掲)

合同運用型の定期借家合同運用型の定期借家

信託配当

まちづくり会社

合同運用型の定期借地合同運用型の定期借地

;定期借地、借家契約を用いる場合

合同運用型の信託合同運用型の信託

地代(建物の収益性を反映)

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再生区域

大型空き店舗

改築 住居空

改築

改築or改修

再生区域

建物再生・改修 改築建物再生・改修 改築

再生手法(基本的手法②):まちづくり会社が空き店舗再生・商業住居複合施設整備

1)地域の商圏・需要分析に基づく街のコンセプト及び施設規模・構成等の決定

商圏分析等により地域の商業施設・住居等の需要を把握し、これに基づき、建物の収益性を評価して、適切な資金計画を設定し、過剰投資とならない、賃料収入で投資が回収可能な適正な規模の施設を整備する。

2)街並みイメージの統一と周辺の商店街、広場等との一体性・回遊性のある施設の整備

まちづくり会社が、空き店舗を改装、又は老朽化した建物を取り壊し、複数の土地を共同利用して、地域の需要に適した規模、構成の商業、サービス、住居等の複合施設を整備する。

賃料

・再生区域の設定

・地域の商圏分析・需要の把握

・収益性に基づく施設規模・構成の決定

・実現可能な店舗配置計画を策定

地域資金 戦略補助金

地権者地方自治体 商店街振興組合地域関係者

建設資金調達

①不動産利用権集約化

まちづくり会社

支援

建物再生・改修、改築建物再生・改修、改築設の整備

施設の建設に当たっては、公共広場等も含め、周辺の街区との一体性、回遊性を高める。

3)建築デザイン・設計は街並みイメージの統一を図りつつ、周辺の商店街、広場等との一体性・視認性・回遊性を向上することに十分配慮(アーバンデザイン)。また、収益性の向上と将来の市場環境変化に備えて収益性の向上と建物のローコスト設計・汎用性多用途性を確保。

4)建物の利用権の一元化による管理

一元的なテナントマネジメントが行えるように、建設する商業施設等は、区分所有とせず、まちづくり会社が原則一括で所有し、一括管理。

不動産の所有と利用の分離不動産の所有と利用の分離

③テナントマネジメント

金融機関

SPC

賃料

内部留保再投資

②空き店舗改装・商業サービス業住居等複合施設整備

連携

配当

出資

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まちづくり会社が、商圏分析等のマーケットリサーチに基づき、新規テナントを周辺や全国から誘致し、地域の需要に即したコンパクトで個性的な商店街を再生。市場環境の変化や個店の営業状況に応じたテナントの入れ替えや、駐車場整備、顧客情報管理、イベント、広告・宣伝等の共同販売促進を実施する。

空 空

空 空

再生区域商店街のコンパクト化(商圏分析に基づく店舗の適正な配置)

再生区域

再生手法(基本的手法③):まちづくり会社によるテナントマネジメント

1)中心商店街区域のマーケットリサーチの実施

専門機関等を活用して、商圏の範

囲、消費需要の構造、他の商業施設との競合関係等を把握して、実現可能な、最も収益性が高い店舗誘致・配置計画を策定。

2)商店街区域の店舗・商業施設へのテナント・リーシング(誘致)

店舗誘致・配置計画に基づき テナ

②空き店舗改装、商業住居等施設整備

①不動産利用権集約化

③テナントマネジメント事業

・地域の商圏分析・消費構造の把握

・店舗・業種構成・配置計画

テナント誘致、商品展示指導、顧客管理

販売支援(広告、チラシ、ポイントカード等)

広場等を活用したイベント開催、広告・宣伝

不動産の所有と利用の分離不動産の所有と利用の分離

周辺の店の出店地元からの新規開業・出店全国有力店の誘致

周辺の店の出店地元からの新規開業・出店全国有力店の誘致

まちづくり会社

店舗誘致・配置計画に基づき、テナ

ント・リーシングの専門家を活用して、そのノウハウ、ネットワークを通じたリーシング活動を行う。

3)テナントマネジメント(テナント入れ替え、販売支援等)

まちづくり会社が、広告宣伝、イベント開催などの誘客・販売促進活動やテナントに対するサービス(顧客情報の提供やこれに基づく商品展示等の指導、共同販促など)を行う。

商店街振興組合

連携

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改築

再生区域

住居

再生区域

不動産の所有と利用の分離不動産の所有と利用の分離

まちづくり会社が、商業、サービス業、住居等の複合施設を整備するための建設資金を、コーポレートファイナンス

ではなく、不動産証券化等により、建物の収益性に基づき、地域から直接調達する。

空 空 空空

1)不動産証券化によって、建物の収益性に基づき小口で 地域から直接資金を調達。建物からの収益を土地所有者その他地域内の出資者へ還元。これにより、土地所有者等の不動産利用権提供のインセンティブを高める。

2)小規模で機動的な資金調達のため中心商店街区域の商業施設等に適した、以下のようなスキームを活用。

a.投資事業有限責任組合(プライベイト・エクイティ・ファンド)からの匿名組合出資b.信託受益権型のGK-TK方式c.現物譲渡型の特定目的会社(TMK)方式

再生手法(補完的手法①):不動産証券化による地域からの資金調達

地権者

SPC(特別目的会社)※

公的機関

地方銀行

地代(配当)

③テナントマネジメント事業

②空き店舗改装・商業等複合施設整備事業

①不動産利用権集約

匿名組合出資

信託受益権

出資不動産証券化による不動産の収益性に基づく地域からの資金調達

信託受益権代金

中心商店街再生ファンド

地域市民不動産所有者

デット

エクイティ

出資

債務保証

信託受益権の売却

建築費のつなぎ融資

信託配当

信託会社

※;資産流動化法に基づく特定目的会社(TMK)とする方法もある。金融機関

出資

匿名出資組合

まちづくり会社

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出資

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空 空

商店街再生区域 再生区域

ルールに適合した店舗に改築

街並みイメージの統一まちづくり会社が、景観協定、地区計画等の都市計画の提案及び実施管理

地方自治体建物外観・用途等の建物外観・用途等の

1)街並みイメージの統一・デザインの策定

中心商店街区域を、魅力的、個性的な空間とするため、まちづくり会社が、来街者、消費者や居住者のニーズを集め、区域関係者の意見を集約し、区域のコンセプト、理想のイメージ、具体的なデザインを策定。

2)街並みイメージ統一・維持のためのルールの策定

以下のうち適切な制度を活用し

まちづくり会社が、中心商店街区域の街並みイメージを統一するための活動を進め、個性的、魅力的な商店街を再生する。

再生手法(補完的手法②):街並みイメージの統一

②空き店舗改装・商業等複合施設整備

まちづくり会社

①不動産利用権集約化

景観協定・建築協定案策定及び実施管理、

まちづくりガイドラインデザインコード

地区計画案策定

・事業区域の設定

・区域の意見の集約

・地域の商圏分析と

店舗・業種構成・配置計画

街並みイメージ統一

地方自治体

コンセプト・イメージ・デザイン決定

ルール化

Ex.歴史的景観・建造物保持、癒し、快適等の空間イメージ、公的空間活用等

各種手法から選択

提案不動産の所有と利用の分離不動産の所有と利用の分離

建物外観・用途等の規制・ルールを設定建物外観・用途等の規制・ルールを設定

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以下のうち適切な制度を活用して、地方自治体等に提案し、その遵守を確保する活動を行う。・デザインコード等、区域の土地所有者等の紳士協定・まちづくりガイドライン・まちづくり条例・景観協定・建築協定・地区計画等(都市計画の一部)・伝統的建造物群保存地区指定

③テナントマネジメント

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Ⅴ.まちづくり会社の中心商店街区域再生事業のパターン

再生パターン1:小規模連鎖型開発による空き店舗・空き地再生

再生パターン3:大型店舗撤退後等の空き地の再生・整備

再生パターン2:所有と利用の分離型再開発による商業住居等複合施設の整備

中心市街地の再生手法を、空き地、空き店舗の発生状況、規模など、空洞化の状況に応じて、以下の5つのパターンの再生事業として示す。

再生パタ ン3:大型店舗撤退後等の空き地の再生 整備

再生パターン4:核店舗撤退後等の大型空き店舗再生・整備

再生パターン5:百貨店等とまちづくり会社が連携した商店街再生事業の実施

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まちづくり会社が、虫食い状態の商店街で、空き店舗の利用権を集めて、隣接する数店舗の利用権を得て開発可能な一定の面積となった土地に、順に小規模の商業・住居等施設を整備する。このとき、事前に区域の街並みイメージの統一ルールを定めて連鎖的に施設を整備して、区域全体を再生する。

空 空

空 空

再生区域

再生パターン1:小規模連鎖型開発による空き店舗・空き地再生

再生区域

住宅

中心商店街区域の、空き店舗が散在する状況に対して、複数の隣接する空き店舗の利用権を集約化して、施設を再生・整備して、虫食い状態を解消する。このとき、以下のような中心商店街区域に適した再生手法を実施する。

1)地域の商圏・需要分析に基づく街のコンセプト及び施設規模・構成等の決定。容積率を全て活用するのでは

空き店舗再生商業等複合施設

整備

空き店舗再生商業等複合施設

整備

街並みイメージ統一

②空き店舗改装・改築商業サービス業住居等施設整備

①不動産利用権集約化

商圏分析・需要の把握、収益性の確保される範囲の施設規模・構成、店舗配置、専門人材の確保 建築資金調達

不動産の所有と利用の分離不動産の所有と利用の分離

まちづくり会社

街並みイメージ統一

なく、適切な規模の商業施設の整備と、居住機能の回復を図る。

2)街並みイメージの統一を図りつつ、周辺の商店街、広場等との一体性・視認性・回遊性のある施設を整備、既存の建物の有効利用も含め収益性を踏まえた建築コストの抑制・管理

3)将来の市場環境の変化に対応できる汎用性・多用途性のある建物を設計

4)建物の利用権の一元化による管理

一元的なテナントマネジメントが行えるように、建設する商業施設等は、まちづくり会社が原則一括で所有・管理。

13

SPC

戦略補助金

不動産所有者

地代(配当)

専門知識の提供専門家の派遣 中心商店街区域再生支援ネットワーク

中心商店街再生ファンド

地域金融機関

商店街振興組合

連携

整備整備

特別認定

③テナントマネジメント(周辺店舗等誘致、イベント等販売促進)

周辺の店の出店地元からの新規開業・出店全国有力店の誘致

融資

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定期借地権付き分譲マンションX1

再生パターン2:所有と利用の分離型再開発による商業住居等複合施設の整備

X2 X1 まちづくり会社Y、X1 X2( 部共有)

地方の中心商店街区域の所有権が細分化された状況に適した以下のような再開発の手法を実施。

1)所有と利用の分離型の再開発(身の丈再開発);用地の確保は権利金なし、保証金なしの定期借地契約、都市再開発における権利変換は従前建物からの変換のみとするなど、地価を顕在化させずに、土地費を節約し初期投資を低減し、事業の収益性を向上。

2)市場ニーズに合致した適切な規模・構成の施設の整備;商圏分析・市場調査等で需要を把握し、過剰投資とならない、賃料収入で投資の回収・ファイナンスの償還可能な範 空

従前建物の床への権利返還

空き店舗、空き地のある複数の所有者がいる一団の広い土地に、まちづくり会社が商業、サービス業、住居等の複合施設を整備する。

百貨店大型店X1X2

市場調査に基づく適切な規模・構成の施設を整備空

空地X3

X1

X3定期借地権付き分譲マンション

ショッピングモール

商業施設

定期借地・信託で合同運用

駐車場

広場

X1、X2(一部共有)

③商業等複合施設整備

①不動産利用権集約事業

建物の収益性に基づく資金調達

投資 回収 ァイナ 償還可能な範囲の適正な規模と構成の商業、サービス業、住居等の複合施設を建築。

3)建築デザイン・設計は街並みイメージの統一を図りつつ、周辺の商店街、広場等との一体性・視認性・回遊性を向上することに十分配慮(アーバンデザイン)。また、収益性の向上と将来の市場環境変化に備えて収益性の向上と建物のローコスト設計・汎用性多用途性を確保。

4)建物の一元管理

建物は区分所有とせず、まちづくり会社が原則一括で所有(権利床は共有にする又は購入等)し、テナント管理。権利床が発生する場合も、これを共有とし、土地とともに、まちづくり会社に一括管理委託するなど、一体的な管理を可能とする。

③テナントマネジメント

X2 X3 X1X1 X2 X3 X1X1

・地域の商圏分析と需要の把握

・適切な店舗・業種構成・配置計画

適正な建設規模・資金計画

地代(配当)

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SPC

戦略補助金国

中心商店街再生ファンド

地域金融機関

商店街振興組合

連携

特別認定

不動産の所有と利用の分離・利用権の集約合同運用型土地信託、合同運用型定期借地(権利金なし、建物の収益を踏まえた地代)

不動産の所有と利用の分離・利用権の集約合同運用型土地信託、合同運用型定期借地(権利金なし、建物の収益を踏まえた地代)

不動産所有者

まちづくり会社

中心商店街区域再生支援ネットワーク

専門知識の提供

専門家の派遣

融資

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大型店が撤退した後等の広い空き地を、まちづくり会社が定期借地等で利用権を得て、商業施設等を整備する。

空 空

空 空

再生区域

再生パターン3:大型店舗撤退後等の空き地の再生整備

再生区域

住居

1)まちづくり会社が、中心商店街の大型空き店舗が撤退したなどの理由で発生した空き地を定期借地契約で借り上げる。

2)商圏分析・市場調査等で地域の商業施設等の床需要を把握し、建物の収益性を踏まえ、適切な資金計画を設定し、過剰投資とならない適正な規模・構成の施設を建築する。

3)その際、街並みイメージの統一を図りつつ、周辺の商店街、広場等との一体性・回遊性のある施設を整備。

市場調査に基づく適切な規模・構成の施設を整備

街並みイメージ統一

性 回遊性 ある施設を整備。

4)商業施設はまちづくり会社が原則一括で所有し、管理する。周辺商店、新規開店者等を誘致し、テナントマネジメントを実施する。

②空き店舗改装・改築商業サービス業住居等施設整備

①不動産利用権集約化

③テナントマネジメント

(周辺店舗等誘致、イベント等販売促進)

商圏分析・需要の把握、収益性の確保される範囲の施設規模・構成、店舗配置、専門人材の確保

建築資金調達

不動産の所有と利用の分離不動産の所有と利用の分離

まちづくり会社

街並みイメージ統一

15

SPC

戦略補助金

国不動産所有者

地代(配当)

専門知識の提供専門家の派遣

中心商店街区域再生支援ネットワーク

中心商店街再生ファンド

地域金融機関

連携

周辺の店の出店地元からの新規開業・出店全国有力店の誘致

周辺の店の出店地元からの新規開業・出店全国有力店の誘致

特別認定

商店街振興組合

Page 17: 地方都市 の空洞化 の進む 中心街 の再生事業 について地方都市 の空洞化 の進む 中心街 の再生事業 について 経済産業省商務流通 グループ

<新規テナント出店>

百貨店、スーパー

公共施設、住居

(5)民間再生企業による再開発

再生

まちづくり会社

再生パターン4:核店舗撤退後等の大型空き店舗再生・整備核店舗撤退後、長期間放置された大型空き店舗を、まちづくり会社が、専門家チームの建物の評価と再生計画作成の支援の下、再生・利用する。

1)大型空き店舗・空き地の所有者等(地方自治体を含む。)の要請を受けて、専門家チーム(弁護士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、建築士、商業コンサルタント等)が、大型空き店舗・空き地の資産価値、事業継続性などの事業性評価を実施。

2)評価結果に基づき、まちづくり会社が、専門家の支援を受けながら、再生事業計画を策定。

建物の利用権の一元化

用途変更・改装

核店舗が撤退し、歯抜け状態の大型店

新規核テナント 新規テナント

まちづくり会社によるテナントマネジメント

地下1階

1階

最上階

・・・新規テナント 公共施設(市民プラザ)

新規核テナント

商店街振興組合

※地方自治体が空き店舗を譲受け、借り上げ、テナント誘致その他再生への協力を実施する場合

連携

再生事業実施依頼

評価依頼

事業性評価(資産価値、事業継続性)建物再生計画の策定支援

(3)不動産利用権の一元化

(4)民間再生企業誘致(事業者公募・売却)

(5)新規テナント誘致

(4)建 物改修(用途変更等)

(2)再生事業計画策定

不動産の所有と利用の分離不動産の所有と利用の分離

専門家チームの派遣

大型空店舗・空地の所有者等地方自治体※

まちづくり会社3)まちづくり会社が、権利関係の整理を実施。不動産利用権を一元化。

4)-1 まちづくり会社が、必要に応じ建物を改修・改築して、新たなテナント等を導入。

4)-2 まちづくり会社が、一元化した利用権に基づき、現状有姿で又は改修して、開発事業者による企画提案を公募し、売却先を決定し、一括譲渡。

(このとき、選定基準に当該開発事業者の企画が中心商店街区域の再生に寄与するための各種の条件を付ける)。

16

SPC

戦略補助金

中心商店街再生ファンド

地域金融機関

特別認定

専門知識の提供専門家の派遣 中心商店街区域

再生支援ネットワーク

専門家チーム不動産鑑定士、弁護士、建築士、税理士、商業

資金調達

(建物の取り壊し又は改修)

(1)建物評価(資産価値評価・事業継続性評価)

携(イベント共催等)

融資

Page 18: 地方都市 の空洞化 の進む 中心街 の再生事業 について地方都市 の空洞化 の進む 中心街 の再生事業 について 経済産業省商務流通 グループ

再生パターン5:百貨店等とまちづくり会社が連携した商店街再生事業の実施

空空

百貨店大型ショッピングセンター

連携

街並みイメージ統一

百貨店・大型ショッピングセンターがまちづくり会社と連携し、百貨店の周辺の空き店舗の再生などの商店街再生事業を実施する。

1)まちづくり会社の組織運営・事業活動への参画・支援

・百貨店等がまちづくり会社に出資、人員派遣、ファンドへの共同出資

2)不動産利用権集約化・テナントマネジメント事業

・百貨店等が自ら周辺店舗・空き店舗を購入又は借り上げ、改装・改築

・百貨店等周辺の不動産の利用権集約化をまちづくり会社が支援(不動産所有者との調整等)

地代(配当)

まちづくり会社

商店街振興組合

百貨店大型ショッピングセンター

不動産の所有と利用の分離不動産の所有と利用の分離

再生区域 再生区域

空き店舗の改装

不動産所有者

まちづくり会社が利用権を集めた店舗に

百貨店等が全国有名店等を誘致

人材派遣、出資等で支援

(イベント共催等)

者との調整等)

・まちづくり会社が利用権を集約化した店舗へのテナント誘致及びテナントマネジメントの実施を百貨店等が支援又は受託

3)まちづくり会社と百貨店等が連携した共同販売促進活動・共同のイベント、広告宣伝

4)商業住居等複合施設整備事業

百貨店等の周辺の土地の利用権が集約化されたとき、百貨店等とまちづくり会社が共同で複合施設を整備。資金調達においても協力。

17

( )

連携

②空き店舗改装・商業サービス業住居等施設整備

・百貨店周辺の利用権を集約した空き店舗を改装

・百貨店等周辺の土地の利用権を集約化して、共同で複合施設を整備(再生パターン2参照)

①不動産利用権集約化

百貨店等の周辺の空き店舗の利用権を集め、百貨店等に一括リース又はテナントリーシングを委託。

(百貨店等が直接周辺店舗を借り集めるときに、まちづくり会社が斡旋。仲介等で連携)

③テナントマネジメント

百貨店等と連携して、周辺店舗等を誘致、イベント開催、イベント広場管理、共同の広告・宣伝等で販売促進。

商圏分析・需要の把握、収益性の確保される範囲の施設規模・構成、店舗配置、専門人材の確保

建築資金調達

まちづくり会社

街並みイメージ統一

SPC

戦略補助金

専門知識、専門家提供

中心商店街区域再生支援ネットワーク

中心商店街再生ファンド

地域金融機関

特別認定

Page 19: 地方都市 の空洞化 の進む 中心街 の再生事業 について地方都市 の空洞化 の進む 中心街 の再生事業 について 経済産業省商務流通 グループ

所有者地代

利用者

定期借地契約

自ら使用又は他者に賃貸

建物を建築所有

土地利用権

(参考)「不動産の所有と利用の分離」とは

不動産の所有と利用の分離とは、不動産の流動性を高め、有効利用を促進するため、土地・建物の利用権を、低未利用の所有者から利用能力の高い者に、定期借地借家・信託契約等により移転することをいう。

→所有と利用の分離が、戸建住宅、マンション、業務用地などで進展

H3 借地借家法制定 定期借地制度の創設

H12 資産流動化法等の改正→不動産証券化が本格化

地代・賃料等のキャッシュフローを証券化・小口化する手法が発展

・一般・住居用;50年以上(更地返還) ・建物譲渡特約付き;30年以上

・事業用;10年以上50年未満(H19改正後)

土地

建物

利用者(テナント)大手小売業、専門店、ホテルオフィス

信託銀行

SPC(特別目的会社)

建物管理委託

資金

証券発行 金融機関

投資家

定期借家契約

管理会社(プロパティマネジメント)

H16 信託業法の改正 H18信託法の改正

H12 資産流動化法等の改正 不動産証券化が本格化

SPC(特別目的会社)は、収益性向上と、倒産隔離性確保のため、資産の運営管理を外部専門会社に委託

信託受益権 土地

所有者※

建物

信託受益権

信託契約

土地・建物を信託

資金

→資産価値管理(アセットマネジメント)、施設運営管理(プロパティマネジメント)が専門化。特に、大型商業施設では有名ブランド店等の誘致(リーシング)、テナントの販売支援(テナントマネジメント)等の専門会社が発展

→企業の資産圧縮(オフバランス化)、都心(オフィス、ホテル、マンション等)、郊外 (大型商業施設、倉庫等)での建築資金の調達での活用が進展

<不動産マネジメントの専門分化(アンバンドリング)>

→信託銀行以外の信託会社が登場。自己信託等も新設され、所有と利用の分離、不動産証券化のための信託の活用範囲が拡大 18

※;所有者が、既存建物を流動化して資金調達する場合又は建設資金を調達する場合。

アセットマネジメント

委託