テレワーク環境での『セキュリティ対策』のポイント!...<第一部> 「広がるテレワーク環境とセキュリティ対策の強化」 講師:トレンドマイクロ
北見道路における環境保全対策の実施について環境保全対策について報告する。...
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北見道路における環境保全対策の実施について
-植物重要種及びニホンザリガニの移植について-
網走開発建設部 北見道路事務所 ○齋藤 宏樹
小西 孝
藤岡 博之
まえがき
今般、公共工事の実施に当たっては、自然環境の保全が重要な課題となっている。
網走開発建設部北見道路事務所で行っている北見道路事業における自然環境の保全に
ついては、環境影響評価法に基づき自然環境の調査・影響予測・環境保全対策の検討・
評価を行い、平成 13 年 4 月に環境影響評価書を公告・縦覧している。その後も、平成
15 年度から有識者や地域代表者からなる「北見道路整備における環境保全対策を考え
る懇談会」を開催し、自然環境に対する影響の最小化、道路と自然の共生を図るべく、
各種の環境保全対策を検討・実施しながら工事を行っている。
本報告では、これらの北見道路事業における自然環境に係る環境保全対策の中から、
有識者の指導・助言を得ながら検討・実施している植物重要種及びニホンザリガニの
環境保全対策について報告する。
1 植物重要種の環境保全対策
1-1 環境保全対策の基本方針
北見道路事業における植物重要種の環境保
全対策については工事コスト等を踏まえつつ、
図-1 に示す生育環境への影響の回避・低減措
置を最優先に検討することとした。これまでに
多くの植物重要種の生育環境となる樹林地等
について、道路構造物による回避・低減措置と
して橋梁工の橋脚数や橋脚位置及びトンネル
工の延長の検討による生育環境の保全、法面造
成等に伴う地形改変の最小化による樹林改変
面積の最小化等が図られている。また、工事実
施前には工事予定地において植物重要種の確
認調査を行い、生育地の改変を極力回避・低減
するように工事計画(工事用道路や施工ヤード
等の位置)を検討している。このような影響の
回避・低減措置を検討した上で、なお、生育地
の改変が避けられない箇所の植物重要種につ
いては移植による環境保全対策を検討・実施す
Hiroki Saito,Takashi Konishi,Hiroyuki Fujioka
①回避措置 ・橋梁工やトンネル工等の採用
による生育環境の保全 ②低減措置 ・地形改変の最小化による樹林
改変面積の最小化 ③代償措置 ・自生種を用いた緑化を行うこ
とによる樹林環境の復元及び創出
④その他 ・移植(生育地近傍の類似環境
への移植)
図- 1 植物重要種に対する環境保全対策の基本方針:①~④は、各環境保全措置検討の優先順位を表す。
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ることとした。
1-2 環境保全対策としての移植の検討及び実施の状況
1-2-1 移植対象種
移植は平成 16 年度から実施しており、移植対象種は、現地確認調査で生育が確認さ
れた植物重要種である、キタミフクジュソウ、クリンソウ、エゾムグラ、トカチスグ
リ、ネムロブシダマの 5 種とし、さらに平成 17 年度には、イワカゲワラビ、ウスイロ
スゲ、アカンカサスゲの移植も行っている。
1-2-2 移植手法
移植手法は、各植物重要種の形態的特性を考慮
し、草本及び小さな木本(高さ約 30cm 未満)、大
きな木本(高さ約 30cm 以上)に分けて検討を行っ
た。
草本及び小さな木本の植物重要種の移植手法
は、図-2 に示す株移植とした。株移植とは、植
物の移植の際に最も一般的に利用されている手
法であり、スコップ等で 1~数株ごとに、地上部、
根、地下茎、走出枝等の植物個体(株)全体を含め
た形で土壌ごと掘り取ってバケツ等に移しかえ、
移植地に植え付ける移植手法である。
大きな木本の植物重要種の移植手法は、図-3
に示す伐り株移植 1)とした。伐り株移植とは、木
本の植物個体の地上部を高さ約 30cm 程度で伐採
し、スコップ等で伐り株を土壌ごと掘り取ってバ
ケツ等に移しかえ、移植地に植え付ける移植手法
であり、伐り株からの萌芽再生によって植物個体
の再成長が図られる。伐り株移植は、これまでに、
道路法面等の自生木本種を用いた緑化手法とし
て白滝丸瀬布道路事業等における実績があり、今
回の北見道路事業では、木本の植物重要種の移植
手法として初めて活用を試みるものである。
移植地は、生育地と植生及び土壌等の自然条件
が同様と考えられる生育地に隣接した樹林や沢
部等を基本とした。また、木本の植物重要種につ
いては、図-1 に示した環境保全対策の基本方針
③の「自生種を用いた緑化」にも活用可能なため、
道路法面等の緑化帯が完成するまでの間、仮植地
(耕作地跡)にも仮植することとした。
移植時期は、各工事箇所における施工スケジュールと調整を図りつつ、工事実施前
図-2 株移植の作業フロー
① 移植対象種の確認 ・改変区域内に位置する植物重要種を確認し、マーキングする(マーキング旗を立て
る)。
③ 運 搬 ・各種の移植地へ、バケツや移植ポットに入れたまま、土壌を崩さないように
移動する。
④ 移 植 ・移植地では、移植する土壌よりやや大きめの穴を掘る。
・穴に移植する土壌を入れ、隙間は穴を掘った際の土壌で埋め戻す。
・移植地では、草本種は 50cm 間隔程度、低木種は 2m 間隔程度に移植する土壌を
配置する。
地表面
20~30cm
20~30cm
バケツ 移植ポット
マーキング旗
地表面
25~35cm
25~35cm
② 掘り取り ・スコップ等を用いて、株の地下部を掘り取り、バケツや移植ポット等に入れる。
・地上部の生存株は、根元を中心に径及び深さ 20~30cm の土壌を掘り取る。
・地上部の枯死株は、マーキングを中心に径及び深さ 20~30cm の土壌を掘り取る。
図-3 伐り株移植の作業フロー
② 地上部の伐採及び掘り取り ・対象株の地上高 30cm 程度の箇所で、地上部を伐採する。
・スコップや根切りチェーンソーを用いて、根元を中心に径 30~35cm 程度、深さ
15~25cm 程度で根切りを行う。
・対象株の地下部を掘り取り、バケツ、移植ポット、トレー等に入れる。
③ 運 搬 ・移植地へ、バケツ、移植ポット、トレー等に入れたまま、土壌を崩さないように
移動する。
④ 移植または仮植 ・移植地(仮植地)では、移植する土壌よりやや大きめの穴を掘る。
・穴に移植する土壌を地表面から 5cm 程度深く入れ、地表面及び隙間は穴を掘っ
た際の土壌で埋め戻す。
・移植地(仮植地)では、萌芽再生したときの大きさを考慮しながらに配植する。
30~35cm
15~25cm
地上高 30cm 程度で伐り取る
トレーなど
35~40cm
20~30cm
地 表 面 か ら5cm 程度深く入れ、土壌を被せる。
地表面
地表面
マーキング旗
① 移植対象種の確認 ・改変区域内に位置する植物重要種を確認し、個体に直接マーキングする。
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で可能な限り植物個体への影響が少ない時期に設定することとした。
1-2-3 移植及びモニタリングの結果
北見道路事業においては、前段でも述べたが平成 16 年度より随時、工事着手前に複
数の植物重要種の移植を実施してきた。ここでは、平成 16 年度に移植または仮植され
た植物重要種の移植及びモニタリング(移植株の生育状況、生育高、開花や結実の有無
等を確認する調査)の結果について報告する。
移植対象種である、キタミフクジュソウ、クリンソウ、エゾムグラは草本の重要種、
トカチスグリ、ネムロブシダマは木本の重要種である。これらは、平成 16 年度に実施
された植物重要種確認調査(写真-1)により生育が確認されたものであり、各種の休眠
期にあたる平成 16 年 11 月に前述の移植手法に従い移植または仮植(写真-2~5)され
た。その後、各種の地上部成長期である春から秋に 2 回(平成 17 年 5 月及び 9 月)のモ
ニタリング調査を実施した(ネムロブシダマの仮植地移植個体は 9 月のみ実施)。
各種の移植及びモニタリングの結果は、表-1 に示すとおりである。移植を行った 5
種の植物重要種のうち、生育地に隣接した同様な生育環境に株移植を行ったキタミフ
クジュソウ(写真-6)、クリンソウ、エゾムグラ、トカチスグリ(写真-7)の 4 種につ
いては、移植した全ての株で生育が確認され、株移植による環境保全対策の有効性が
確認された。同じく、生育地に隣接した同様な生育環境に株移植を行ったネムロブシ
ダマ 1 株についても、生育が確認され、株移植による環境保全対策の有効性が確認さ
れた。仮植地に株移植及び伐り株移植を併用して仮植したネムロブシダマ(写真-8~
11)175 株については、168 株で生育が確認された。残る 7 株については、展葉も冬芽
の形成もみられず、枯死した可能性があるが、次年度以降の萌芽再生も考えられるた
め、次年度以降もモニタリングを継続していく必要がある。いずれにせよ、仮植地に
仮植された 175 株中 168 株 (全体の 96%)は活着し、生育が確認されていることから、
株移植及び伐り株移植による環境保全対策は有効であると考えられる。
写真-1~5 植物重要種の移植作業の状況:写真-1 は工事前の植物重要種確認調査の状況、写真-2 は移植前の移植対象種の確認作業状況、写真-3 は移植時の堀り取り作業の状況、写真-4 は移植時の運搬の状況、写真-5 は移植地における移植状況を表す。
写真-1 写真-2 写真-3
写真-4 写真-5
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表-1 平成 16 年度に移植された植物重要種の移植及びモニタリング結果
移植 株数
モニタリング 確認株数 移植対象種
移植 手法
移植地
H16.11 H17.5 H17.9
備考
キタミフクジュソウ 2 2 - 秋 季 は 休 眠 期 のため確認不可。
クリンソウ 1 1 1
エゾムグラ 7 7 7
トカチスグリ
株移植
1 1 1
生育地に隣接した同様な生育環境
1 - 1
ネムロブシダマ 株移植及び伐り株移植
仮植地 (耕作跡地)
175 - 168
春 季 は 葉 が 広 がら ず 確 認 不 可 。 7株 は 葉 ・ 冬 芽 無し。
写真-6~7 植物重要種の株移植 1 年後の状況:写真-6 はキタミフクジュソウの開花状況、写真-7 はトカチスグリの成長状況を表す。
写真-6 写真-7
写真-8~11 ネムロブシダマの伐り株移植の状況:写真-8 は移植前のマーキングの状況、写真-9 は地上部の伐採後に伐り株を掘り取った状況、写真-10 は仮植地への仮植状況、写真-11 は仮植 1 年後の萌芽再生状況を表す。
写真-8 写真-9
写真-10 写真-11
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1-3 今後の環境保全対策の検討課題
植物重要種の移植は、有識者の助言・指導を得ながら実施しているが、植物重要種
の移植事例は少なく、先駆的な事例として移植方法、移植地、移植時期等を検討しな
がら移植を実施している。したがって、移植後には移植個体の生育状況等の確認を目
的としたモニタリング調査を適宜実施し、環境保全対策としての移植の効果を検証し
ていくことが重要である。なお、移植後に異常が確認された場合は、有識者による技
術的な指導を受け、原因等の調査を行い、より良い環境保全対策を再検討していく予
定である。
2 ニホンザリガニの環境保全対策
2-1 環境保全対策の基本方針
北見道路事業におけるニホンザリガニの環境
保全対策については工事コスト等を踏まえつつ、
図-4 に示す生息環境への影響の回避・低減措置
を最優先に検討することとした。これまでに、多
くのニホンザリガニの生育環境となる小河川や
沢等について、道路構造物による回避・低減措置
として橋梁工やプレキャストアーチカルバート
工等の採用による生息環境の保全、法面造成等に
伴う地形改変の最小化による小河川や沢の改変
面積の最小化等が図られている。また、工事実施
前には工事予定地内の小河川や沢においてニホ
ンザリガニの確認調査を行い、生息沢の改変を極
力回避・低減するように工事計画(工事用道路や
施工ヤード等の位置)を検討している。このよう
な影響の回避・低減措置を検討した上で、なお、
工事実施中に一時的な影響が考えられる生息沢
については、移植による環境保全対策を検討・実
施することとした。
2-2 環境保全対策としての移植の検討及び実施の状況
2-2-1 移植対象沢
移植対象沢は、現地確認調査によりニホンザリガニの生息が確認され、平成 17 年度
に工事着手した 2沢(プレキャストアーチカルバート工を採用した A沢及び橋梁工を採
用した B 沢)とした。
2-2-2 移植手法
ニホンザリガニの移植手法は、図-5 に示すとおり、個体を捕獲し、工事による影
響のない沢の上流部に放流する方法とした。具体的には、①移植元となる工事予定地
①回避措置 ・橋梁工やプレキャストアーチ
カルバート工等の採用による生息環境の保全
②低減措置 ・地形改変の最小化による小河
川や沢の改変面積の最小化 ・沢底を改変しない構造の採用
による移動経路の確保 ・汚濁発生量の抑制、濁水の適
正処理等による小河川や沢の水質・水温への影響の低減
③代償措置 ・改変した生息沢周辺の樹林の
緑化による生息環境の復元及び創出
④その他 ・移植(工事箇所の上流部への
への移植)
図- 4 ニホンザリガニに対する環境保全対策の基本方針:①~④は、各環境保全措置検討の優先順位を表す。
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内の沢においてハンドネットや素手で石や落ち葉をめくることで個体を捕獲する、②
大きさの計測、雌雄の判別、写真撮影等を行い、バケツに収容する、③速やかに移植
先に移動し、バケツから 1 個体ずつ手でつかみ特定箇所に集中しないように分散させ
て放流することとした。
移植元と移植先の距離(移植範囲)の設定に
ついては、平成 16 年度に実施したニホンザリ
ガニ移動実態調査の結果、約 2.5 ヶ月の間に
上下流に 20~60m 移動していることが確認さ
れており、20~60m の範囲内の移動は一時的な
避難距離(移動可能距離)として考えられるた
め、移植範囲は移植元から上流部への約 60m
の範囲内とした。また、移植後にニホンザリ
ガニが移植先の上流部から工事予定地内に戻
ってくることがないように、移植先の最下端
の沢部にネットを張って移動を防止した。
移植時期は、工事前のニホンザリガニの活動期(5 月~10 月)2)とするが、親が孵化
して間もない稚エビを抱えていると想定される時期(7 月)は、移植による影響が生じ
る可能性があるため避けることとした。
2-2-3 移植及びモニタリングの結果
ここでは前段で述べた 2 沢で工事着手前に実施したニホンザリガニの移植結果と工
事中のモニタリング(個体の捕獲による個体数、雌雄の判別、体長、はさみの欠損、死
亡個体の有無等を確認する調査)の結果について報告する。
これら 2 沢については、プレキャストアーチカルバート工(A 沢)及び橋梁工(B 沢)
を採用することにより、沢を改変することなく、ニホンザリガニの生息環境を保全す
ることとしているが、工事中の個体の一時的避難を目的として移植を実施した。これ
ら 2 沢におけるニホンザリガニは、平成 16 年度に実施されたニホンザリガニ確認調査
(写真-12)により生息が確認されたものであり、本種の活動期で稚エビが孵化する前
の平成 17 年 6 月に前述の移植手法に従い、A 沢では約 20~40m 上流部に、B 沢では約
20~50m 上流部に移植 (写真-13~15)した。その後、本種の活動期にあたる平成 17
年 8 月、9 月、10 月にモニタリング調査(3 人×30 分の捕獲)を実施した。
移植及びモニタリングの結果は、表-2 に示すとおりである。A 沢では 6 月に 159
個体を移植し、移植先でのモニタリングでは 8 月に 72 個体、9 月に 76 個体、10 月に
72 個体が確認された。個体数を比較するため、移植前(H16 年度調査)、移植時、モニ
タリング時ともに「3 人×30 分」で捕獲したと想定して個体数を換算すると、平成 16
年度結果から、移植前にはもともと 36 個体が生息することになる。また、移植により
新たに 36 個体が追加されたことになる。移植後のモニタリングでは移植により追加さ
れた個体数分を含む個体数が毎回確認されいる。B 沢では 6 月に 76 個体を移植し、移
植地でのモニタリングでは、8 月に 64 個体、9 月に 34 個体、10 月に 32 個体が確認さ
図- 5 ニホンザリガニの移植手法の概念:移植は工事中の一時的な避難を目的として実施。
〈移動〉ニホンザリガニ
工事前
〈移動〉ニホンザリガニ
工事前
道路(予定 )
移植
約 60m の範囲内
橋 梁 工 や プ レ キ ャ ス ト
ア ー チ カ ル バ ー ト 工 の
採 用 に よ る 生 息 環 境 の
保全を最優先に検討。
移植先
移植元
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れた。A 沢と同様に「3 人×30 分」の作業量で換算すると、移植前にはもともと 17 個
体が生息しており、移植によりさらに 17 個体が追加されたことになる。移植後のモニ
タリング(3 人×30 分値)では、9 月及び 10 月に比べ 8 月に多くの個体が確認されてい
るが、8 月はニホンザリガニが最も活動(移動)する時期であり、生息密度が最も変動
する時期であるためと考えられる。いずれにせよ、移植後のモニタリング時には、移
植により追加された個体数分を含む個体数がほぼ毎回確認されている。また、両移植
先ともに今年生まれたと考えられる稚エビが確認されていること、死亡個体が確認さ
れていないこと、生息密度の指標となるはさみの欠損割合 3)も平成 16 年度の割合と同
等もしくは低く、生息密度が過密になり個体に負担をかけているという影響もみられ
ていないことから、移植後の経過としては良好な結果が得られていると考えられる。
表-2 ニホンザリガニの移植及びモニタリング結果
移植個体数(6 月) モニタリング時の確認個体数
(3 人×30 分) 生息沢
全数
(10 人×40 分)
換算値
(3 人×30 分値)
移植前
(H16) 8 月 9 月 10 月
A 沢 159 36 36 72 76 72
B 沢 76 17 17 64 34 32
写真-12~15 ニホンザリガニの移植作業の状況:写真-12 は工事前のニホンザリガニ確認調査の状況、写真-13 は移植時の移植元での捕獲状況、写真-14 は移植時の個体計測の状況、写真-15 は移植時の移植先での放流状況を表す。
写真-12 写真-13
写真-14 写真-15
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2-3 今後の環境保全対策の検討課題
ニホンザリガニの移植は、有識者の助言・指導を得ながら実施しているが、本種の
移植事例は少なく、先駆的な事例として移植方法、移植先、移植時期等を検討しなが
ら移植を実施している。したがって、移植後には移植個体の生息状況等の確認を目的
としたモニタリング調査を継続的に実施し、環境保全対策としての移植の効果を検証
していくことが重要である。なお、移植後に異常が確認された場合は、有識者による
技術的な指導を受け、原因等の調査を行い、より良い環境保全対策を再検討していく
予定である。
あとがき
北見道路事業では、平成 13 年 4 月に公告・縦覧された環境影響評価書及び「北見道
路整備における環境保全対策を考える懇談会」における環境保全対策の基本方針に従
って事業を推進しており、今回報告した植物重要種及びニホンザリガニの移植事例に
についても、環境保全対策としての有効性が確認された。また、移植を行った各種に
ついては、今後もモニタリング調査を適時継続するとともに、異常が確認された場合
は原因等の調査を行い、より良い環境保全対策を再検討して行くことが重要と考える。
なお、本報告の植物重要種及びニホンザリガニの調査、移植計画の立案、移植の実
施に際して、懇談会委員である斎藤新一郎環境林づくり研究所所長、鈴木淳志東京農
業大学生物産業学部教授から多大な助言・指導を賜った。ここに厚く感謝の意を表す
る。
参考文献
1) 斎藤新一郎.貴重な林床植物の道路法面への移植について-法面樹林帯のつく
り方および維持 管理方法-. 第 3 回野生生物と交通研究 発表会講演論文 集
(2000); p39-44
2) 川井唯史・三宅貞祥・浜野龍夫.分布南限のザリガニ CAMBAROIDES JAPONICUS (DE
HAAN, 1841)の個体数密度と再生産に関する研究.Reserches on Crustasea No.
19(1990); p55-61
3) 川井唯史・浜野龍夫・松浦修平. 北海道におけるニホンザリガニ Camnaroides
japonicus の鉗脚欠損状況.水産増殖 42(3)(1994a); p465-470
写真-16~18 ニホンザリガニのモニタリング作業の状況:写真-16 は捕獲状況、写真-17 及び 18 は捕獲個体の状況を表す。
写真-16 写真-17 写真-18