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インターネットガイドライン統合版 放送ガイドライン 2020

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インターネットガイドライン統合版

放送ガイドライン2020

はじめに

NHKは、取材・制作の基本姿勢を記した「放送ガイドライン」を作成し、視聴者に公表しています。今回の改訂は 4 回目となり、地上テレビ放送のインターネットでの常時同時配信・見逃し番組配信を今年 4 月から開始するのを前に、従来の「放送ガイドライン」と、 2015 年に公表した「インターネットガイドライン」を統合し、共通の指針としてまとめました。

放送が始まってから今年で 95 年になります。この間に、インターネットの浸透によって様々な情報が瞬時に行き交う時代となった一方で、不確かな情報の拡散や、お互いの “つながり”の希薄化がより深刻に受け止められるようになり、「意見の分極化」や「社会の分断」を懸念する声もあります。このような時代にあって、NHKは、放送を太い幹としつつ、インターネットも活用し、信頼される「情報の社会的基盤」としての役割を果たしていくとともに、創造性を大切にし、社会や人々の価値観の変化を捉えながら、常に新しいものに挑戦していくメディアでありたいと考えています。

そのためには、広く受信料で支えられる公共放送の原点に立って、自主・自律を堅持し、取材・制作の土台となる放送番組の編集の自由を自らの手で確保していくことが欠かせません。今回改訂した「放送ガイドライン 2020(インターネットガイドライン統合版)」は、放送に携わる一人ひとりが NHKの使命を十分に理解し、高い倫理観を持って日々の仕事にあたるための判断の指針として活用していきます。

本書の放送法の条文は、 2019 年 5 月に成立した改正放送法による

 目 次

1 自主・自律の堅持 …………………………………………………… 1❶ 表現の自由 …………………………………………………………… 1❷ 放送番組の編集 ……………………………………………………… 2❸ 自律の仕組み ………………………………………………………… 3❹ 自主的な取り組み …………………………………………………… 4

2 放送の基本的な姿勢………………………………………………… 5❶ 正確 …………………………………………………………………… 5❷ 公平・公正 …………………………………………………………… 5❸ 人権の尊重 …………………………………………………………… 5❹ 品位と節度 …………………………………………………………… 8

3 インターネットでの情報発信…………………………………… 9❶ NHKが提供できるコンテンツ …………………………………… 9❷ コンテンツ提供のルール ………………………………………… 10❸ インターネットサービスの品質管理 …………………………… 11❹ 共通の注意事項 …………………………………………………… 13❺ 外部サービスなどを利用した情報発信 ………………………… 13❻ 外部リンクの取り扱い …………………………………………… 14❼ インターネットを利用した番組の周知・広報 ………………… 14❽ 業務手段としてのインターネット利用 ………………………… 15

4 コンプライアンス〜法令やルールの順守〜………………… 17

5 取材・制作の基本ルール ……………………………………… 18❶ 企画・制作 ………………………………………………………… 18❷ 取材先との関係 …………………………………………………… 18❸ 取材源の秘匿 ……………………………………………………… 19

❹ 撮影・録音 ………………………………………………………… 19❺ 情報や資料・放送素材の適正な取り扱い ……………………… 20❻ 取材・制作の安全 ………………………………………………… 21❼ 出演者 ……………………………………………………………… 21❽ 未成年者の取材と番組出演 ……………………………………… 21❾ 見過ごしやすい違法行為に注意 ………………………………… 22❿ インターネットを利用した取材・制作の注意点 ……………… 22⓫ 放送での調査データの使用 ……………………………………… 23

6 表現……………………………………………………………………… 24❶ 放送のことば ……………………………………………………… 24❷ 外国の地名・人名の表記と読み方 ……………………………… 24❸ 映像表現 …………………………………………………………… 25

サブリミナル …………………………………………………… 25光点滅 …………………………………………………………… 25大画面化と映像酔い …………………………………………… 25

❹ 再現・CG ………………………………………………………… 26❺ 映像・音声の加工 ………………………………………………… 26❻ 資料映像 …………………………………………………………… 26❼ 音響効果 …………………………………………………………… 27❽ 文字情報 …………………………………………………………… 27

7 情報と宣伝・広告 ………………………………………………… 28❶ 広告放送の禁止 …………………………………………………… 28❷ 多様化する宣伝・広告に注意 …………………………………… 29❸ その他(登録商標、命名権、冠大会など) ……………………… 29

8 著作権…………………………………………………………………… 31❶ 番組と著作権 ……………………………………………………… 31❷ 権利処理 …………………………………………………………… 31❸ 引用・時事の事件の報道のための利用 ………………………… 31❹ 番組の部分使用 …………………………………………………… 32❺ NHKの番組と素材の外部展開 ………………………………… 33❻ 制作委託番組の著作権 …………………………………………… 33

9 利用者情報の取り扱い………………………………………… 34❶ 通信領域における個人情報・プライバシー保護 ……………… 34❷ 順守事項 …………………………………………………………… 35

10 国際放送……………………………………………………………… 37❶ 国際放送の目的・編集の基本方針 ……………………………… 37❷ 要請放送 …………………………………………………………… 38❸ インターネットでのコンテンツ提供 …………………………… 38

11 事件・事故 …………………………………………………………… 39❶ 犯罪報道の意義 …………………………………………………… 39❷ 実名と匿名 ………………………………………………………… 39❸ 容疑者・被告の人権と呼称 ……………………………………… 39❹ 裁判員制度 ………………………………………………………… 40❺ 少年事件 …………………………………………………………… 40❻ 映像 ………………………………………………………………… 41❼ メディアスクラム(集団的過熱取材) …………………………… 41❽ 被害者の人権 ……………………………………………………… 42❾ 誘拐報道 …………………………………………………………… 43

12 災害・非常事態…………………………………………………… 44(1)災害 …………………………………………………………………… 44

❶ 「防災・減災報道」は NHKの使命 ……………………………… 44❷ 災害報道の基本方針 ……………………………………………… 45❸ 地震・津波 ………………………………………………………… 45❹ 気象災害 …………………………………………………………… 46❺ 火山噴火 …………………………………………………………… 46

(2)感染症 ………………………………………………………………… 47(3)原子力事故 …………………………………………………………… 48

❶ 原子力事故の報道 ………………………………………………… 48❷ 重大事故 …………………………………………………………… 48

(4)国民保護法制 ………………………………………………………… 49

13 暮らしと社会 ……………………………………………………… 50❶ 家族 ………………………………………………………………… 50❷ 福祉 ………………………………………………………………… 50❸ 健康・医療 ………………………………………………………… 50❹ 科学技術 …………………………………………………………… 51❺ 食 …………………………………………………………………… 52❻ 教育・文化 ………………………………………………………… 52❼ 自然・環境 ………………………………………………………… 53❽ 営業の資格 ………………………………………………………… 53

14 政治・選挙・経済 世論調査……………………………… 54❶ 政治 ………………………………………………………………… 54❷ 選挙 ………………………………………………………………… 54❸ 経済 ………………………………………………………………… 55❹ 世論調査 …………………………………………………………… 56

15 国際・海外取材…………………………………………………… 57❶ 取材・制作の基本姿勢 …………………………………………… 57❷ 戦争・テロ報道 …………………………………………………… 57❸ 海外取材の安全 …………………………………………………… 58❹ 海外からのニュース・番組 ……………………………………… 58

16 取材・制作の委託 ………………………………………………… 59

❶ 番組制作の外部委託 ……………………………………………… 59❷ 業務委託の契約 …………………………………………………… 59

17 厳正な経理処理……………………………………………………… 60委嘱料… ………………………………………………………………… 60出演料… ………………………………………………………………… 60謝礼… …………………………………………………………………… 60

18 誠意ある対応………………………………………………………… 61

❶ 視聴者の声への対応 ……………………………………………… 61❷ 訂正放送 …………………………………………………………… 61❸ BPO(放送倫理・番組向上機構) ……………………………… 63

【資料編】 ……………………………………………………………………… 64

放送法(抜粋) ………………………………………………………………… 64NHK国内番組基準 …………………………………………………………… 70NHK国際番組基準 …………………………………………………………… 74NHK倫理・行動憲章 ………………………………………………………… 75NHK・民放連「放送倫理基本綱領」 ………………………………………… 77犯罪被害者等基本計画に対する共同声明 ………………………………… 78国民保護法制 関連規程(抜粋 条文は要約) …………………………… 79NHK個人情報保護方針 ……………………………………………………… 81報道・著述・学術研究分野の個人情報の保護について ………………… 82放送倫理・番組向上機構(BPO)規約(抜粋) …………………………… 85

索引 ……………………………………………………………………… 88

NHKは、公共放送として、憲法で保障された表現の自由のもと、正確で公平・公正な情報や豊かで良質な番組を幅広く提供し、健全な民主主義の発展と文化の向上に寄与する。

この役割を果たすため、報道機関として不偏不党の立場を守り、番組編集の自由を確保し、何人からも干渉されない。ニュースや番組が、外からの圧力や働きかけによって左右されてはならない。NHKは、放送の自主・自律を堅持する。

全役職員は、放送の自主・自律の堅持が信頼される公共放送の生命線であるとの認識に基づき、すべての業務にあたる。

日々の取材活動や番組制作はもとより、NHKの予算・事業計画の国会承認を得るなど、放送とは直接関係のない業務にあたっても、この基本的な立場は揺るがない。

本ガイドラインは、まさにこの自主的な取り組みによって、公共放送の生命線を守っていくためのよりどころである。日々の業務、研修を通じて、実践できるようにしなくてはならない。

❶表現の自由

日本国憲法 第21条(表現の自由)集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

… 放送法 第1条(目的)この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障する

こと。二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表

現の自由を確保すること。三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主

主義の発達に資するようにすること。

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自主・自律の堅持

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1 自主・自律の堅持

❷放送番組の編集

放送法の第 4 条は、NHKと民放に共通する番組準則だが、さらに、NHKにのみ追加される条文として第 81 条がある。

また、第 5 条(番組基準)の規定によって、放送局は、自ら放送番組の編集の基準を定め、これに従って放送番組の編集をしなければならない。NHKの国内番組基準の冒頭部分を記す。

放送法 第3条(放送番組編集の自由)放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。

放送法 第4条(国内放送等の放送番組の編集等)放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。一 公安及び善良な風俗を害しないこと。二 政治的に公平であること。三 報道は事実をまげないですること。四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を

明らかにすること。(以下略)

放送法 第81条(放送番組の編集等)協会は、国内基幹放送の放送番組の編集及び放送に当たつては、第 4 条第1 項に定めるところによるほか、次の各号の定めるところによらなければならない。一 豊かで、かつ、良い放送番組の放送を行うことによつて公衆の要望を満

たすとともに文化水準の向上に寄与するように、最大の努力を払うこと。二 全国向けの放送番組のほか、地方向けの放送番組を有するようにする

こと。三 我が国の過去の優れた文化の保存並びに新たな文化の育成及び普及に役

立つようにすること。(以下略)

自主・自律の堅持

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NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版2

❸自律の仕組み

放送法で定められた自律の仕組みとしては、このほか、放送法第 6 条(番組審議機関の設置)に基づく放送番組審議機関がある。

NHKは、国内放送に関わる「中央放送番組審議会」と地域ごとの 8 つの「地方放送番組審議会」、国際放送に関わる「国際放送番組審議会」を設けている。委員は各方面の学識経験者の中から選び、基本的に毎月 1 回審議会を開いて、審議内容をホームページなどで公開している。

番組基準や番組編集に関する基本計画を定めたり、変更したりする場合には、番組審議会に諮問している。番組審議会から答申や意見の申し出があった場合は、これを尊重して番組編成に反映させている。

また、NHKは、放送法の規定(第 27 条、第 39 条第 4 項)に基づいて、視聴者対応報告を毎月、会長から経営委員会に報告し、NHKホームページなどで公表している。

➡ 64 ページ 資料編「放送法(抜粋)」

NHK国内番組基準日本放送協会は、全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保し、豊かで、よい放送を行うことによって、公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くさなければならない。この自覚に基づき、日本放送協会は、その放送において、1 世界平和の理想の実現に寄与し、人類の幸福に貢献する2 基本的人権を尊重し、民主主義精神の徹底を図る3 教養、情操、道徳による人格の向上を図り、合理的精神を養うのに役立

つようにする4 わが国の過去のすぐれた文化の保存と新しい文化の育成・普及に貢献する5 公共放送としての権威と品位を保ち、公衆の期待と要望にそうものであ

ることを基本原則として、ここに、国内放送の放送番組の編集の基準を定める。

➡ 70 ページ 資料編「NHK国内番組基準」

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自主・自律の堅持

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❹自主的な取り組み

NHKは、放送法に定められた自律の仕組みに加えて、番組やサービスの向上を図るため、自主的に、番組考査や番組モニター評価、放送評価の調査などを実施している。

さらに、民放とともに「放送倫理・番組向上機構(BPO)」を作っている。BPOは、視聴者と放送局をつなぐ第三者機関で、視聴者から寄せられた放送に対する意見や苦情、放送倫理上の問題について、独立した立場で判断し、放送局に伝えることで、放送倫理を高めていくことを目的としている。

➡ 63 ページ 「18 誠意ある対応 ❸ BPO(放送倫理・番組向上機構)」

NHKは、表現の自由を守るため、今後とも、自律的な取り組みに力を尽くし、公共放送として、正確で公平・公正な情報や豊かで良質な番組を幅広く提供していく。

自主・自律の堅持

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※なお、ニュースや番組は、そのままインターネットで発信されることが通例となっている。「3 インターネットでの情報発信」も必ず参照すること。

❶正確

●NHKのニュースや番組は正確でなければならない。正確であるためには事実を正しく把握することが欠かせない。しかし、何が真実であるかを確かめることは容易ではなく、取材や制作のあらゆる段階で真実に迫ろうとする姿勢が求められる。

●ニュースや番組において簡潔でわかりやすい表現や言い回しは必要だが、わかりやすさのために、正確さを欠いてはならない。

●番組のねらいを強調するあまり事実をわい曲してはならない。●事実関係の誤りが明らかになった場合には、速やかに訂正する。

❷公平・公正

●NHKの放送は、視聴者にできる限り幅広い視点から情報を提供することを目指す。●意見が対立する問題を取り扱う場合には、原則として個々のニュースや番組の中で双方

の意見を伝える。仮に双方の意見を紹介できないときでも、異なる意見があることを伝え、同一のシリーズ内で紹介するなど、放送全体で公平性を確保するように努める。

●番組ではさまざまな意見や見方を反映できるように出演者は幅広く選ぶ。●社会的に弱い立場にある人たちの視点を忘れてはならない。●事実と意見は明確に区別されるべきである。●歴史的事件、事柄、事象について意見の対立があるものや、学問的に見解が対立し

ているものについては、多角的に検証したうえで放送する。●意見が対立して裁判や論争になっている問題については、できるだけ多角的に問題

点を明らかにするとともに、それぞれの立場を公平・公正に扱う。

❸人権の尊重

基本的人権の尊重は、憲法が掲げる最も重要な原則であり、放送でも優先されるべき原則である。人権を尊重し、不当に名誉を傷つけたり、プライバシーを侵害したりしないように、取材や制作のあらゆる過程で細心の注意を払う。

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放送の基本的な姿勢

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2 放送の基本的な姿勢

【名誉権】●「名誉権」とは、「個人や団体の社会的な評価を侵害されない権利」であり、放送の

内容が虚偽である場合や、公共性、公益性が認められない場合には、名誉権の侵害(名誉毀損)となることがある。

●名誉毀損となるかどうかは、次の 3 つの条件によって判断される。・公共の利害に関する事実であるか・公益を図る目的でなされるものか・内容が真実であるか、または、取材を尽くしており、真実と信じる相当の理由が

あるか放送で当事者の承諾なく名誉に関わる問題を取り上げる際には、これらの点を十分に検討し、不当に名誉を傷つけることのないように注意する。

【プライバシー】●プライバシー権とは、「私生活上の事柄をみだりに公開されない権利」であり、内

容が真実であっても、報道機関として必要な報道の範囲を超えた場合には、プライバシーを侵害することがある。

●プライバシーとして保護される私生活上の事柄とは、次の 4 つを満たしているものをいう。

日本国憲法 第11条(基本的人権の享有)国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

日本国憲法 第13条(個人の尊重、幸福追求権)すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

日本国憲法 第14条(法の下の平等)すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

(以下略)

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2放送の基本的な姿勢

・私生活上の事実または事実らしく受け取られるおそれのある事柄であること・一般人の感覚を基準とすれば本人が公開を欲しない事実であること・一般には未だ知られていない事実であること・公開されることによって本人が精神的苦痛を受けること

●プライバシーに該当する情報を公表(報道など)しても、直ちにプライバシー侵害となるものではなく、公表するだけの正当性があれば、適法とされる。

●放送で当事者の承諾なくプライバシーに関わる問題を取り上げる際には、・公共の利害に関する事実であるか、社会の正当な関心事に当たるか・公益を図る目的でなされるものか・報じられた者がどの程度の被害を受けるかなど諸事情を十分に検討し、プライバ

シーを不当に侵害しないように注意する。

【肖像権】●「肖像権」とは「何人もその承諾なしに、みだりにその容貌、姿態を撮影・公表され

ない権利」であり、当事者の承諾なしで撮影したり放送に使用したりすると、肖像権を侵害することがある。

●放送で当事者の承諾なしに撮影したり放送に使用したりする場合は、撮影される人(された人)の社会的地位、活動内容、撮影の場所、撮影の目的と必要性、撮影のしかたなどを総合的に判断して、報道機関として必要な報道の範囲を超えて、肖像権を不当に侵害しないように注意する。

➡ 19 ページ 「5 取材・制作の基本ルール ❹ 撮影・録音」

【差別】●人種、民族、皮膚の色、性別、言語、宗教、政治上その他の意見、出身国、社会的

出自、職業や財産の有無などを差別的に扱ってはならない。●差別は目につきにくいところで潜在的に行われたり、無意識に行われたりすること

が多く、どのような表現が差別に当たるかは番組全体の構成や文脈の中で判断する必要がある。

●人種や性別、職業、または障害などに理由もなく言及することは差別につながるおそれがあり、注意すべきである。

●人種、民族、国家、風俗や習慣、言語、宗教などについて、蔑視したり揶や ゆ

揄したりして、差別感を持たせるような表現はしない。

●病気や障害のある人を取り上げる場合は、本人や関係者の人権を十分に尊重し、同じ立場にある人たちを傷つけないように配慮する。

●難病や遺伝性の病気などの放送にあたっても、ことばによる表現はもちろん、映像

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放送の基本的な姿勢

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においても、差別やプライバシーなどの人権に十分に留意する必要がある。

【宗教】●信教の自由は憲法で保障された権利であり、放送で宗教上の信仰、教義、宗派を取

り上げる際には、正確かつ偏りなく伝えなければならない。●宗教上の行事やしきたりなどを戯画化したり揶

や ゆ

揄したりするような表現はしない。

❹品位と節度

●放送は、常に品位と節度を心がけ、視聴者に不快感や苦痛を与える内容、場面は避ける。

●法律を尊重し、犯罪行為や、法律で使用が認められていない麻薬などについて魅力的に表現したり、肯定的に取り上げたりしない。

●暴力や性などを取り上げる際には、青少年に及ぼす影響について慎重な配慮が求められる。

【暴力】●暴力的な行為は、どのような場合にも肯定したり正当化したりしない。●ドラマなどフィクションの世界であっても、過度の刺激的な描写や暗示、不適切な

ことばなどは避ける。●暴力場面を扱う場合には次の点に留意する。

・カメラワークや色彩、音響効果などで恐怖感や残酷さを必要以上に強調しない。・歴史ドラマや時代劇の中で、殺人、暴力、戦闘などが番組の本質的な要素である

場合でも、残忍な場面は慎重に扱う。

【性】●性の取り扱いや表現については、視聴者の意識など社会通念に照らして、品位を失

わないように細心の注意を払う。●番組で芸術性や事柄の実態を正確に伝える必要などから、性に関する表現や描写が

欠かせない場合でも、家庭に直接、映像と音声が届くという放送の特性に配慮する。青少年が視聴する時間帯などに十分留意する。

【懸賞】●報酬や賞品だけで視聴者をひきつけたり、必要以上に射幸心を刺激したりすること

のないようにする。

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2放送の基本的な姿勢

❶NHKが提供できるコンテンツ

●受信料制度で運営される NHKが、インターネットを通じてコンテンツ提供を行う趣旨は、放送によって果たそうとする役割の本質を変えない範囲で、主として、放送で伝える内容を補ったり、放送の成果物を一層活用したりするためである。NHKが、放送と無関係に、インターネットで提供すること自体を最終的な目標として、企画し、取材し、制作した、いわゆるインターネット独自コンテンツを提供することは認められていない。

●NHKがインターネットを通じて行うコンテンツ提供は、放送法第 20 条第 9 項に基づき、その内容を具体的に定めた「実施基準」を作成し、総務大臣の認可を受けたうえで、これに則り実施することになっている。具体的な業務内容や提供方法は、

「NHKインターネット活用業務実施基準」(以下「実施基準」という。)と各年度の「NHKインターネット活用業務実施計画」に従う。

提供するコンテンツは、以下の 2 つに大別される。

提供の方法は、放送法第 20 条第 2 項第 2 号に定められた一般利用者向け(B to C)と、同条第 2 項第 3 号に定められた事業者向け(B to B)に大別される。個別サービスと

「NHKインターネット活用業務実施基準」との対照表は P16 を参照のこと。

放送番組の提供●放送に先行する番組の提供は、番組の周知・広報のため、特に必要な場合に行うこ

とができる。

NHKインターネット活用業務実施基準https://www.nhk.or.jp/net-info/standards/NHKインターネット活用業務実施計画https://www.nhk.or.jp/net-info/plans/

・放送番組 ……… 同時配信、見逃し番組配信、NHKオンデマンドなどで発信される放送番組そのもの

・理解増進情報 … 動画、音声、静止画、ニュースや番組関連テキストなど

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3インターネットでの情報発信

3 インターネットでの情報発信

●放送後の番組の提供については、受信料制度を毀損しない範囲で行う。・地上テレビ番組のうち、「NHKプラス」の一部として提供するもののほか、以下

に該当するものとする。①広く一般に提供することに公益上の意義がある②番組・業務の周知のため、広く一般に提供することが必要③提供することが放送法上の努力義務の達成に資する④国内ラジオ放送、NHKワールド JAPANテレビ・ラジオの番組

理解増進情報の取り扱い●理解増進情報として提供できる情報は、「放送番組に対する理解の増進に資する

情報」(放送法第 20 条第 2 項)であって、以下のいずれかの類型に該当するものを指す。・放送番組を周知・広報するもの・放送番組等を再編集したもの・放送番組の内容を解説・補足するもの・放送番組のために収集した情報であって災害等の被害の軽減や予防に資するもの・既に放送した番組の一部を編集したもの、または番組のために収集した資料で

あって創作用素材として提供するもの・その他番組の視聴に関して参考となるべき情報

●理解増進情報は、いずれも「特定の放送番組に関連付けられた補助的な情報の範囲のもの」(実施基準第 5 条)とされている。

※本ガイドラインで「コンテンツ」とは、放送番組そのもののほか、映像・音声・静止画・テキスト・アプリケーションなど、インターネットを通じて提供することができる情報を指す。

※受信料の契約・収納、職員採用、経営広報、情報公開、調査・研究での利用、取材・番組制作上の投稿募集など、コンテンツ提供を直接の目的としないインターネット利用の取り扱いは、P15「3 インターネットでの情報発信 ❽ 業務手段としてのインターネット利用」を参照。

❷コンテンツ提供のルール

●NHKが受信料を財源としてインターネットで行う、あらゆるコンテンツサービスには、「NHKインターネットサービス利用規約」が適用される。これらのコンテンツサービスを提供する際には、利用者に対し、「NHKインターネットサービス利用

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インターネットでの情報発信

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規約」が適用される旨をわかりやすく表示し、説明を徹底しなくてはならない。また、各サービスで個別の利用条件を定める場合は、それらの利用条件だけでなく、NHKインターネットサービス利用規約が重ねて適用される旨を、分かりやすく表示し、説明を徹底しなくてはならない。

●NHKのインターネットサービスは、広く一般に利用できることが原則であり、特定の団体・企業・個人に限定したサービスは行わない。ただし、必要に応じて受信契約者に提供対象を限定したサービスを実施することは認められる場合がある。合理的な理由がないのに、特定の OS、特定のデバイス、特定のアプリケーションのみでしか利用できないサービスも実施しない。また、視覚、聴覚に障害がある人、高齢者、在留・訪日外国人などさまざまな利用者に合理的な配慮を行う。

公開期間●コンテンツの公開期間については、コンテンツの内容や利用者のニーズを踏まえ、

それぞれのニュースや番組などの編集方針に従って適切に判断する。

❸インターネットサービスの品質管理

●インターネットにおいても、NHKが発信する情報である限り、公共放送にふさわしい良質な情報であることが求められる。ニュースや番組が「NHKプラス」などのサービスによって、そのままインターネットで発信されることを踏まえ、インターネットで提供するコンテンツは、放送法・実施基準および「NHK国内・国際番組基準」・本ガイドラインを順守して制作する。

●インターネット上に掲載した情報やコンテンツは、放送と異なり、削除しない限り公開され続けるほか、削除しても、いったん拡散されると、ネット上から完全に消し去ることは容易ではない。また、放送では国内の限られた地域向けであっても、インターネットでは事実上、全世界への発信となる。したがって、コンテンツ掲載にあたっては、インターネット特有の配慮が必要である。

●すべてのコンテンツは、公開する前に必ず責任者である管理職がチェックし、内容の正確性や公平性、表現などに十分配慮して公開する。外部SNSなどで発信するコンテンツも同様である。

NHKインターネットサービス利用規約https://www.nhk.or.jp/toppage/rules/

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3インターネットでの情報発信

訂正●インターネットで発信した情報やコンテンツの内容に誤りがあった場合は、放送と

同様、速やかに正しい内容に訂正する。

公平・公正●インターネット上の情報は、世界中の誰でも閲覧できるものであり、翻訳精度の向

上に伴い、日本語のコンテンツが外国語に翻訳されて海外にも広く伝わる可能性が高まっている。また、外国語のコンテンツが日本語に翻訳され、国内にも広く伝わることもある。したがって、NHKがインターネットで発信する情報については、一層公平性に注意を払い、世界各国・地域の社会、文化、伝統などを尊重し、人種、宗教、風俗習慣などの違いについて配慮をしなければならない。

●原則として、視聴者が利用するサービスのまとまりの中で、「公平・公正」が担保されているように留意しなければならない。それが困難な場合でも、インターネットサービス全体で担保されていることが必要である。

人権への配慮●放送で実名報道した事件や事故についてインターネット上に掲載する場合は、人権

への配慮から掲載期間や映像使用の必要性などを適切に判断する。

安定的な提供●インターネットを利用する大多数の利用者が問題なくコンテンツを閲覧することが

できるよう、安定的な提供に努めなければならない。インターネット環境の進歩や多様化するデバイスにもできる限り対応する必要がある。

誤配信などの防止●インターネットのコンテンツは、放送と異なるシステムで発信するため、誤った情

報が伝わらないよう、十分な検証を経てサービスを実施する。

セキュリティの確保●サービスの実施にあたってはセキュリティに万全を期さなければならない。不正ア

クセスの防止をはじめ、NHKの意図しない情報が外部に流出したり、改ざんされたりすることや、サービスが停止することがないように特に対策を講じる。

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インターネットでの情報発信

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❹共通の注意事項

受信料財源業務に関する共通の注意事項・委託取引などの相手方事業者を不当に差別的に取り扱ったり、不当な義務を課した

りしないこと。・利用者からの意見・苦情などは、コールセンターなどで受け付け、迅速かつ適切に

対応すること。

インターネット活用業務全体に関する注意事項・毎年度実施計画を策定・公表し、これに則って実施すること。・実施計画の実施状況について、毎年度、インターネット活用業務の実施状況を少な

くとも 3 年ごとに評価する。評価結果に基づき必要があると認める場合には、業務改善のための措置を講ずる。

・実施計画の策定、実施状況の評価にあたっては、インターネット活用業務審査・評価委員会に、当該業務の公共性、市場競争への影響など、公共放送の業務としての適切性を確保する観点から見解を求め、これを尊重する。

・競合事業者などからの意見・苦情などは、インターネット活用業務審査・評価委員会に検討を求め、その結果を尊重して必要な措置を講じること。検討結果および措置は、ホームページに掲載して公表すること。

※その他の事項については、実施基準を参照。

❺外部サービスなどを利用した情報発信

基本的な考え方●NHKがインターネットを利用して直接コンテンツを提供するサービス(NHKオン

デマンドを除く)は、NHKドメインを利用し、かつ NHKが管理するサーバー内で行うことが原則である。一方で、現在のインターネット環境における SNS(ソーシャル・ネットワークサービス)や動画投稿サービス(本ガイドラインでこうした外部インターネットサービスを「外部サービスなど」と表記する。以下同じ)の普及度を考慮し、放送番組の周知・広報などのために、こうした外部サービスなども一定程度活用していく。ただし、その場合も本ガイドラインに掲げる基準を順守したうえで、適切に利用しなければならない。NHKが利用している外部サービスなどはNHKオンラインに一覧を掲載し明示する。

●公平・公正という公共放送の基本姿勢を堅持するため、NHK公式アカウントは、NHK以外のアカウントのフォローを行わない。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 13

3インターネットでの情報発信

●NHKが行う「放送法第 20 条第 2 項第 2 号の業務」のうち、受信料財源業務では「放送番組の提供」は民放が行う配信業務への協力(TVer・radiko)と大規模災害時の同時配信を除き、外部サービスなどでは実施しない。

「理解増進情報の提供」についても、原則として「放送番組の周知・広報」においてのみ外部サービスなどを利用する。なお、番組制作の手段として外部サービスなどを使用する場合は、P15「3 インターネットでの情報発信 ❽ 業務手段としてのインターネット利用」に分類される。

❻外部リンクの取り扱い

(1)外部リンク●リンクとは、当該リンクをクリックすることにより、利用者が URLを入力しなく

ても、あるホームページから他のホームページに移動することができる仕組みであり、インターネットでは広く用いられている手法である。本章では、このうち、NHKオンラインおよび NHKが管理運営する外部SNSなどから、第三者のホームページに対して張るリンクを「外部リンク」という。

(2)基本的な考え方●外部リンクは特定のホームページに利用者を誘導するために用いられるものである

から、NHKの編集意図に照らして、利用者を誘導する必要性が認められなければならない。よって、公共放送にふさわしい内容・態様で用いる。

(3)外部リンクが認められる場合の注意・順守事項●外部リンクが認められる場合でも、リンク先情報の発信主体を明らかにし、利用者

が外部サイトと NHKサイトを誤解しないよう、リンク先が「NHKの管理するページではないこと」を明示する。また、外部リンクは特定のホームページに利用者を誘導するものであるから、リンク先の内容などについて、ホームページ責任者が可能な限り確認しなければならない。リンク先がその内容を後で変更した場合は、張ったリンクを削除する必要が生じる場合がある。

❼インターネットを利用した番組の周知・広報

●インターネットを利用した番組の周知や広報においても、公共放送にふさわしい態様で行う。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版14

インターネットでの情報発信

3

❽業務手段としてのインターネット利用

●コンテンツ提供自体を目的とするものではなく、インターネットとは直接関係のない業務で、インターネットをその手段・道具として使うことがある。以下の場合には、それぞれその必要な限度で放送番組などを提供することが認められる(実施基準第 4 条の【注 1】参照)。あくまで、その業務の本来の目的に従って、客観的・実質的にも、業務手段であると受け取られるような程度・態様で行うことが重要である。

(1)経営広報、情報公開、受信料の契約・収納、職員採用での利用周知などの手段として、インターネットを利用する。

(2)調査・研究での利用インターネットを通じた調査の実施のほか、研究成果の公表のためにインターネッ

トを用いる場合などがこれに当たる。インターネットを利用する場合、研究上の必要性や科学的な合理性を十分確認し、個人情報の取り扱いに十分留意する。また、実施する上で放送番組などの提供が必要なときには、研究上の必要性を十分に確認したうえで行う。

(3)取材・番組制作での利用取材・番組制作の手段として、例えば、視聴者から寄せられた意見や映像を番組の

編集に活用したり、ニュース・番組の中で紹介するために、インターネットを通じて広く意見・映像の提供や番組参加を呼びかけたりすることなどがこれにあたる。双方向番組のように当該番組の放送中に実施する場合も含まれる。放送番組などの提供を伴う場合には、取材・制作のために必要な限度だという趣旨が客観的に明らかな形で実施することが求められる。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 15

3インターネットでの情報発信

コンテンツ分類

提供時期分類

業務分類

 B to C(2号)  B to B(3号)

放送番組

放送前配信

「番組の周知・広報のため」であって、「特に必要」なもの

・緊急災害等の 情報提供

・NHKワールドの 番組提供

・その他「公益上特に意義」の

 あるもの

※理解増進情報の範囲は B to C

(2号)と同じ

放送中配信

・地上テレビ(「NHKプラス」)、ラジオ第1・第2・FM、NHKワールドJAPANテレビ・ラジオの放送同時

・緊急災害等の国内テレビ・ハイブリッドキャストによる時差再生

放送後配信

・地上テレビ番組のうち、「NHKプラス」の一部として提供するもの

・上記のほか、地上テレビ番組であって、以下に該当するもの(受信料制度を毀損するおそれがある場合は不可)①広く一般に提供することに公益上の意

義がある②番組・業務の周知のため広く一般に提

供することが必要③提供することが放送法上の努力義務の

達成に資する・国内ラジオ放送、NHKワールドJAPAN

テレビ・ラジオの番組

理解増進情報

放送との前後不問

放送番組の理解増進に資する情報であって、次のいずれかに該当するもの(特定の放送番組に関連付けられた補助的なもの)・番組の周知・広報・番組等を再編集・番組の内容を解説・補足・「番組のために収集したもの」であって

「防災に資する」・クリエイティブ・ライブラリーの素材・その他番組視聴の参考情報

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版16

インターネットでの情報発信

3

●取材・制作にあたっては、法令に沿って行動するとともに、内部規程に従わなければならない。

●受信料で成り立つ公共放送で働く者として、高い職業倫理を持ち、自らの判断が社会のルールに照らして適切なのかを常に自問し、発言や行動を律する。

●業務中だけでなく、私生活上のことであっても、NHKの名誉や信用を損ねたり公共放送で働く者としてのモラルに反したりする発言や行動は厳に慎む。

●職務上知ることのできた機密やプライバシーなどの情報は、適正に管理する。自己の利益のために用いてはならない。

●企業の合併や経営統合、破綻など、業務上知り得た経営上の重要情報を基に株式などの取引を行うことは金融商品取引法で禁じられたインサイダー取引に当たり、決して行ってはならない。株価に影響を与えるような企業情報は事前に漏れないように厳重に管理する。株式などの取引にあたっては、NHKのインサイダー取引防止規程に従わなければならない。

●不正な金品などの授受は行わない。また、上司の許可なく業務に関する謝礼や品物を受け取ったり、慰労を受けたりしてはならない。外部業者などとの交際にあたっては、社会的な疑惑や不信を招くことのないよう慎重な判断と対応が求められる。

●取材や制作に関わるスタッフや業務委託先などとの契約を守る。労働法規および独占禁止法、いわゆる下請法(下請代金支払遅延等防止法)など、関係の法令を順守する。

●不正や、コンプライアンスに反する行為をしたり、するおそれのある事実を知ったりしたときは、すみやかに上司やコンプライアンス通報窓口に報告する。この場合、通報者に対して通報を理由とする不利益な取り扱いは一切しない。

●コンプライアンス上の重大な問題が発生したときは、迅速で的確な対応を組織的に行い、解決と再発防止にあたる。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 17

コンプライアンス

〜法令やルールの順守〜

4

4 コンプライアンス〜法令やルールの順守〜

❶企画・制作

●番組の提案にあたっては、企画の独創性や視点の新しさ、社会的な意義などを明確にする。提案の内容について担当者の間で議論を尽くし、制作にあたっては共通の認識を持つことが大切である。

●番組のジャンルを問わず、構成や演出など、全般にわたって幅広く目配りするとともに、題材や出演者の選び方に偏りがないように注意する。

●報道番組やドキュメンタリー、情報番組などでは、正確な取材に基づいて真実や問題の本質に迫ることが大切である。虚構や真実でない事柄が含まれていないか冷静な視線で見極めようとする姿勢が求められる。

●取材過程で提案段階と事情が異なることが判明したり、状況が変わったりした場合は、当初の提案に固執せず、新たな事情や状況に即して制作を進める。

●事実の再現の枠をはみ出して、事実のねつ造につながるいわゆる「やらせ」などは行わない。

●取材や出演の承諾を得るにあたっては、出演者や直接の取材対象者に本人への影響について説明するだけでなく、その家族をはじめ関係者に及ぼす影響についても、できるだけ説明するように努める。

●撮影・録音した素材のどの部分を使うかの判断は NHKが行う。編集にあたっては、全体の趣旨を的確に伝えるように努める。事実をゆがめたり、誤解を与えたりするようなことがあってはならない。

●番組の制作および編成について責任や権限を持たない者は、責任や権限を持つ者の許可なく個々の番組の制作に関与してはならない。

●編集段階や放送前の試写にあたっては、原則として部外者が立ち会ってはならない。ただし、出演者や学識経験者などの専門家から助言を受ける場合や、番組の広報を目的とした記者などに対する試写については、所属の部長など責任者の許可を得て行う。インターネットで発信するコンテンツも同様とする。

❷取材先との関係

●取材相手には誠実に接し、互いの信頼を大切にしなければならない。取材される側の人権を尊重し、相手の立場に立って考えることが大切である。

●取材相手との関係においては、常に放送倫理や公平・公正な放送を意識し、節度あ

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版18

取材・制作の基本ルール

5

5 取材・制作の基本ルール

る距離を保たなければならない。国民の知る権利や公共の利益のために密着取材が必要な場合であっても、相手の利益を図ったり、癒着と受け止められる行動を取ったりしてはならない。

●取材にあたっては、番組および取材の意図を事前に十分説明し、理解を得る。取材後の状況の変化によって番組のねらいを変更した場合にも、取材相手に十分に説明する。

●取材相手から取材に応じるための条件を出された場合、その条件を受け入れることができなければ、その旨をはっきり伝えなければならない。

❸取材源の秘匿

●取材源の秘匿は、報道機関が長い時間をかけて培ってきた職業倫理の 1 つである。●重要な情報は、時により提供者や取材協力者の名前を秘すことを条件にしなければ

入手できないことがあり、秘匿を条件に得た情報の取材源は第三者に明かしてはならない。この保証がなければ、取材相手は真実を話さなくなり、真実の究明によって国民の知る権利に応えることができなくなることを常に忘れてはならない。

❹撮影・録音

●映像と音声は、ニュースや番組において欠かせない要素であり、撮影・録音は国民の知る権利や公共の利益などを追求する立場からモラルと節度を守って積極的に行う。一方で、個人の肖像権やプライバシーなどを尊重する心構えも必要である。

●インタビューは、実名報道の原則に則り、取材相手の権利保護が必要と判断される場合を除き、本人と特定される映像、いわゆる「顔出し」を基本とする。

●取材の相手が撮影や録音を明確に拒否している場合は、原則として撮影や録音は行わない。

●不特定多数の人がいて個別に明確な承諾を得るのが難しい場所では、腕章を着用したり、撮影することを呼びかけたりするなど、NHKが撮影をしていることが周囲の人にわかるように配慮する。

●居宅や病院内など、よりプライバシーが尊重される場所では、原則として個人の姿を承諾なしに撮影しない。

●大多数の人が羞恥心を抱くような表情や姿を放送しないように注意しなければならない。

●ロボットカメラの映像や一般の人から提供を受けた映像を使用する場合も十分配慮する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 19

5取材・制作の基本ルール

●取材相手の承諾がなくても、次のような場合には、所属の部長の許可のもとに撮影や録音を行う場合がある。・取材相手の承諾なしの撮影・録音以外に反社会的な行為を取材できず、かつ、こ

れを放送することが公共の利益に照らして必要なとき。・事件などの取材で、その時点では撮影や録音について取材相手の承諾を得るこ

とが難しいと判断し、かつ、その後の事件の進展などによって条件が整った段階で、これを放送することが公共の利益にかなうと判断したとき。

❺情報や資料・放送素材の適正な取り扱い

個人情報などの適正な取り扱い ➡ 34 ページ 「9 利用者情報の取り扱い」も参照●「個人情報の保護に関する法律」では「報道」「著述」「学術研究」の目的で個人情報

を取り扱う場合、個人情報取扱事業者の義務などを定めた規定の適用を除外している。その一方で、これらの適用除外分野についても自ら必要な措置を講じるように求めており、NHKは、報道の自由、表現の自由、学問の自由を堅持していく立場で個人情報を適正に取り扱うことにしている。

●番組で視聴者から手紙やファックス、電子メールを募ったり、インターネット上で投稿フォームなどを使用して情報を募集したりする際には、使用の目的を明確にする。放送終了後は厳重に管理し、必要がなくなったときには適切な方法で廃棄する。必要のない個人情報は収集しない。

目的外使用の禁止●放送素材(放送済み素材と未放送素材を含む)や取材情報、台本・構成表などの番

組関連資料は、放送目的以外に使用しないことが原則である。裁判所や捜査当局などからの要求であっても、提出すればその後の報道や取材に影響を招くおそれがあるため、原則として避ける。

漏えい・紛失の防止●取材情報や番組関連資料、放送素材を誤って外部に漏えいすると、情報提供者や取

材対象者、出演者などとの信頼関係、ひいては公共放送への信頼を損なうことになる。こうした機密情報や個人情報を取り扱う際は注意事項を順守し、漏えいの予防に力を尽くす。

●機密情報や個人情報を電子メールや通信回線などを使ってやり取りする際には、関係者以外に誤送信したり、外部の第三者に閲覧される状態で保管したりしないように、万全の注意を払う。やむを得ずメールを使用するときは、誤送信しないよう相

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版20

取材・制作の基本ルール

5

手のアドレスを繰り返し確認するとともに、添付ファイルで送信する場合は必ずパスワード設定や暗号化処理などを行う。

●借用した資料は、紛失や盗難などのないように保管し、貸し主の指示した方法に従って丁寧に取り扱う。また、使用後は速やかに返却する。

❻取材・制作の安全

●出演者や取材協力者、および取材・制作担当者の安全の確保に十分配慮する。●危険を伴うことが予想される取材・制作については、安全管理者を置いて、安全に

関する判断や情報の伝達などを行い、事故や被害の防止にあたる。●災害地域や紛争地域などでは、あらかじめ緊急避難ルートや連絡手段、医療の確保

など具体的な安全対策を立てておく。●航空取材においては航空法に従った安全な飛行を守るとともに、災害時の救助作業

や市民生活の妨げにならないよう、飛行時の騒音にも細心の注意を払う。●無人機(ドローン)を NHKの業務のために使用する場合は、機体を落下させて人的

な被害などを出さないよう、使用する国の法令の有無に関わらず NHKの内部ルールに従い、安全に配慮しながら実施する。

❼出演者

●番組編成や放送番組そのものの多様性の確保に向けて、常に新しい出演者を探す努力をするとともに、公共放送としての公平・公正を保つためにも、特定の人に偏ることのないように幅広く人選する。

●外部の出演者であっても、NHKの放送番組である限り、番組の中での言動については NHKが責任を負う。出演者に差別的な発言や他人の名誉を損なうような発言などがあった場合、おわびや訂正などの措置を取る。

❽未成年者の取材と番組出演

●未成年者の取材や番組への出演にあたっては、本人だけでなく、必要に応じて保護者に、その趣旨や内容を説明し承諾を得る。

●未成年者に対しては、取材や出演が不利益にならないように十分配慮するとともに、精神的な圧迫や不安を与えないように注意する。

●番組の収録やロケを行う場合、未成年者については、労働基準法や児童福祉法などの法令に従って、収録時間やスケジュールなどを決める。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 21

5取材・制作の基本ルール

❾見過ごしやすい違法行為に注意

●法律違反の行為を番組の中で不用意に取り上げることにより、その違法行為を是認したと誤解されないように注意する。

❿インターネットを利用した取材・制作の注意点

●取材・制作において、インターネットは膨大な情報の中から必要な情報を手軽に素早く探し出すことができ、視聴者参加の演出手法としても用いられている。しかし、ネット上には根拠のはっきりしない情報や虚偽の情報もある。インターネットが広く普及した今日にあっても、当事者に直接話を聞くことが取材・制作の基本であり、ホームページやメール、外部SNSなどに安易に頼ってはならない。ネット上にある映像や情報を放送に利用する場合は、裏付け取材をするなど、真偽の判断を必ず行う。

●メールのやり取りだけでは取材相手の言葉に含まれるニュアンスが伝わりにくい。例えば、同じ「否定」であっても、「完全否定」なのか、「今はまだ言えない」という意味での否定なのかなど、相手の表情や声で感触をつかめることも多く、直接話を聞く努力を怠ってはならない。

●メールや外部SNSなどを利用した取材や出演交渉は、過程が記録に残ることを念頭に置いて対応する。取材や出演交渉で自治体などの公的機関の担当者とメールでやり取りした場合、相手の手元に残るメールは行政文書となり、第三者から公開請求されることがある。

●ネット上に公開されていても、動画や写真、音楽、地図などは著作物であり、ツイッターやブログ、フェイスブックなどの書き込みも著作物となり得る。これらを放送で使用する場合は、原則として著作権者から許諾を得る。掲示板などに寄せられた書き込みについては、ホームページなどの運営者でなく、書き込んだ人が著作権者となるので注意する。(「引用」や「時事の事件の報道のための利用」を除く)

➡ 31 ページ 「8 著作権 ❸ 引用・時事の事件の報道のための利用」●インターネットの新しいサービスを紹介するときは、利便性だけでなく、その裏側

に潜む危険性にも目を配る。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版22

取材・制作の基本ルール

5

⓫放送での調査データの使用

●ニュースや番組の中で、調査データを引用・紹介する場合は、調査データの内容や調査方法などをよく吟味したうえで、視聴者に誤解を与えることのないよう、適正にデータを使用する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 23

5取材・制作の基本ルール

❶放送のことば

●放送のことばは、正確さと同時にわかりやすさが基本である。難解なことばや専門用語、一般的でない外来語などは避けるか、できるだけ言いかえるようにする。専門知識を持たない視聴者にも理解できるよう、配慮しなければならない。

●人権、人格、名誉を傷つけ、差別感や侮蔑感を与えるおそれのあることばや表現を用いてはならない。

●地域文化の多様性を尊重するため、必要に応じて方言の活用を図る。●日本人の姓名のローマ字表記については、 2020 年度から、原則として「姓―名」の

順で表記することにする。ただし、「名―姓」の表記で活動している出演者などの場合はその限りではない。

●放送の用字・用語・発音は、『NHK 漢字表記辞典』『NHK ことばのハンドブック』および『NHK 日本語発音アクセント辞典』に準拠する。

❷外国の地名・人名の表記と読み方

●外国の国名や地名・人名、政治体制、国旗や国歌、国境などを扱う場合は、正確を期すとともに、最新の状況を把握し、適切に表現するように努める。

●外国語、外来語や外国の地名・人名などの表記は、それぞれのことばが日本語として、どの程度定着しているかを考慮し、・原音とは異なる慣用が熟しているものは、慣用の形を尊重する。・慣用が熟していないものは、なるべく原音に近く書き表す。

〈韓国と北朝鮮の地名・人名など〉●韓国と北朝鮮の地名・人名・企業名などは、原則としてカタカナで表記し、原音読

みとする。必要に応じて、カタカナ表記の後に漢字表記をかっこに入れて付ける。表記にあたっては、NHKが放送で使う用字・用語のルールに準拠する。

●在日韓国・朝鮮人の人名も同様とする。ただし、本人の意思を尊重して、漢字で表記し日本語読みを使用することがある。また、次のような場合は、漢字で表記して、日本語読み、または原音読みにすることがある。・日本の公的機関などが発表した場合は、原則としてそれに準拠する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版24

6表現

6 表現

・著名な作家、学者、芸能人、音楽家など、その名前での活動が社会的に広く知られている場合は、これを尊重する。

・ニュースや番組の趣旨や内容などから、状況に応じて NHKの判断で対応することがある。

〈中国・台湾の地名・人名など〉●中国・台湾の地名・人名などは、原則として、漢字で表記し日本語読みとする。台

北は「たいほく」である。ただし、ハルビンなどカタカナ表記が定着しているものはカタカナ表記とし、上海(シャンハイ)、青島(チンタオ)など原音読みが定着しているものは、原音読みとする。

●カタカナ表記や原音読みの取り扱いについては、今後も検討を重ねる。

❸映像表現

●映像による表現は時として、ことば以上に強い力を持つ。撮影や編集にあたっては、プライバシーなどへの配慮とともに、過度の不安感や嫌悪感を与えないようにする。

【サブリミナル】●いわゆるサブリミナル技法のように通常の状態では知覚、識別できない表現技法で

視聴者の潜在意識に働きかける放送はしてはならない。

【光点滅】●アニメーションなどの映像手法については、NHKと日本民間放送連盟が身体への

影響に配慮して共通のガイドラインを定め、次の点に注意するように求めている。・映像や光の点滅は、原則として 1 秒問に 3 回を超える使用を避け、「鮮やかな赤」

の点滅は特に慎重に扱う。・コントラストの強い画面の反転や急激な場面転換は、原則として 1 秒間に 3 回を

超えて使用しない。・規則的なパターン模様が、画面の大部分を占めることを避ける。

【大画面化と映像酔い】●映像酔い(いわゆるモーションシックネス)は、映像を見ることによって視覚と体

の感覚のバランスが崩れ、乗り物酔いと同じく、頭痛、めまい、おう吐などが起きることである。テレビ画面の大型化に伴い、視野に占める画面の割合が大きくなれ

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 25

表現

6

ばなるほど、発症しやすい。不安定な “揺れる映像”については、安易な使用を行ってはならない。細心の注意を払い、長時間の使用や多用を避けるなどの配慮が必要である。

❹再現・CG

●過去の出来事を再構成する「再現」には、丹念な取材と検証の積み重ねが欠かせない。制作者の意図を映像化するためのさまざまな表現の可能性が存在すると同時に、誇張やゆがめられた事実が入り込む危険性も潜んでいることに注意しなければならない。

●使用にあたっては、再現であることがわかるように努め、過剰な演出に陥らないように注意する。

●デジタル技術を駆使したコンピューターグラフィックスは、実写映像と区別のつかないまでに精巧なものとなり、合成や置き換えなどの加工も容易に行うことが可能になった。これまで困難だった映像表現を可能にする一方で、使い方を誤ると視聴者に誤解を与えるおそれがある。使用にあたっては番組の性格を十分考慮し、視聴者の誤解を招かないよう注意することが必要である。必要に応じて「再現映像」

「CG」などのことわりを表示する。

❺映像・音声の加工

●ニュースや報道番組で映像・音声を加工する場合は、実名報道の原則とプライバシーなど取材相手の権利保護の両面から、その必要性を吟味する。

●インタビューの音声を加工した場合は、加工していることを表示する。

❻資料映像

●ニュースや番組の中で過去に撮影した資料映像を使用する場合には、新たに撮影した映像と誤解されないように表示などでわかるようにする。

●社会的に否定的な問題として受け止められるニュースなどでは、そのニュースに直接関係のない人や建物などの資料映像は、原則として使用しない。住宅の表札、企業名などが書かれた看板やポスターなどの文字情報には特に注意が必要である。

●過去の犯罪で有罪の判決を受けた人でも、すでに刑期や執行猶予期間を終えている場合には、事件当時の映像の使用は、事件の持つ社会的な意味などを総合的に検討し判断する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版26

6表現

❼音響効果

●番組に効果音や音楽を使用する場合は、その番組の内容にふさわしいかどうかを考慮する。また、過剰にならないように注意する。

●ニュースについては、原則として素材にない効果音を加えて内容を強調しない。

❽文字情報

●放送において、字幕などの文字情報は、映像や音声とともに重要な要素であり、正確を期さなければならない。1 字の違いでも全く意味が異なってしまう場合もあるので、十分チェックする。

●特に、ナレーションや発言などの内容を文字情報で補完して表示する場合は、一部だけを過度に強調したり、極端に簡略化したりすると、視聴者に内容が正確に伝わらないおそれがあるので注意が必要である。

●ニュースや番組の表題・見出しについては、全体的な内容から外れていたり、視聴者の誤解を招くような表示になったりしないように吟味して決める。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 27

表現

6

❶広告放送の禁止

●放送法は NHKに対し、広告放送を禁止している。これは、NHKが受信料に基盤を置く公共放送であり、特定の団体や企業、個人の利害に左右されず、不偏不党の立場で公平・公正な放送を行うためである。

●企業名や営業上の商品名・サービス名・ロゴマークなど(この章では以下「企業名など」とする)を放送できるのは、番組編集上必要で、広告目的ではない場合である。

●インターネット業務においても、他人の営業についての広告は行ってはならない。また、NHKが特定の商品などを推奨したり広告活動を行ったりしているとの誤認を生じさせたりしないよう注意する。

●放送やインターネットサービスで企業名などを使う場合には、・本質的に必要なのか、その他の表現に置き換えることはできないのか・視聴者の理解を助けることになるか・ライバル企業などから見て、著しく不公平でないか・構成や演出上やむを得ないかといった点を判断の基準にする。ただし、その場合でも、企業名などの出し方や出す回数を工夫するなど、宣伝・広告と受け取られることのないようにする。

●「企業に利用されている」という疑いを持たれるような表現や演出は避ける。人気商品や流行を社会現象として扱う際にも注意が必要である。

●デパートなど催し物の会場は必要な情報として、また、広く知られたテーマパークや観光施設などは地名に準ずるものとして、使用しても差し支えない。ただし、その場合でも、視聴者のわかりやすさが損なわれない限り、 1 つのニュースや番組の中では繰り返しを避けて、抑制的に使用する。

放送法 第83条(広告放送の禁止)協会は、他人の営業に関する広告の放送をしてはならない。2 前項の規定は、放送番組編集上必要であって、かつ、他人の営業に関す

る広告のためにするものでないと認められる場合において、著作者又は営業者の氏名又は名称等を放送することを妨げるものではない。

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情報と宣伝・広告

7

7 情報と宣伝・広告

●テレビ CMや雑誌広告のキャッチコピーなどの安易な使用は避け、使用する際には宣伝にならないように十分配慮する。

●放送前後の番組の内容が、常識的な範囲を超えて企業の宣伝に利用され、あたかもNHKが積極的に宣伝・広告に協力しているかのような誤解を与えることのないよう適切に対処する。

●ネット上の特定のホームページに利用者を誘導することは、他人の営業に対する広告・宣伝につながるおそれがあることに配慮する。

❷多様化する宣伝・広告に注意

●インターネット上にはさまざまな広告や宣伝が溢れているが、一見して広告や宣伝とわからないものに対して利用者が不快な印象を持つこともある。よく確認しないまま放送などで取り上げると、NHKも広告や宣伝に加担している印象を与えたり、こうした手法への理解不足を指摘されたりする可能性があるため注意する。

●ネット上に「バナー広告」が掲載されていることがある。ホームページなどを放送で紹介する際には、画面に広告が入らないよう注意する。

●インターネットの外部サービスなどを利用する場合に外部サービスに広告が表示される場合は、NHKが広告掲載の主体であると誤解されたり、広告効果を助長したりすることがないようにする。

❸その他

登録商標●自身の商品やサービスを示すものとして、商標法の定めに従って特許庁に登録の手

続きを済ませた名称や図形などの標章を「登録商標」という。●登録商標は企業の営利活動との結びつきが強いものも存在するため、使用にあたっ

ては、商品名やサービス名と同様に、登録商標の呼称や表示が特定企業の商品やサービスの宣伝につながるおそれがないか注意する。

地域団体商標制度●「地域団体商標制度」は、地域ブランドを適切に保護することを目的に、「○○りん

ご」「○○牛」「○○織」(○○は地域の名称)などの広く知られた商品やサービス(役務)について、協同組合、商工会、NPO法人などが「地域団体商標」として登録することを認める制度である。特定の企業や個人の宣伝・広告に直結するとは考えにくく、放送では一般名として扱ってよい。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 29

7情報と宣伝・広告

命名権●スポンサー企業が、スポーツ施設や会館、道路、橋などの維持管理費や運営費を負

担する見返りに、企業名などを施設の名称として使用するのが命名権(ネーミングライツ)ビジネスである。

●施設の名称である以上、放送に使用することはやむを得ないが、名前の一部に企業名などが含まれているため、ニュースや番組の中では繰り返しを避けて、抑制的に使用する。企業名のない元々の施設名が広く定着している場合などに、個別のケースとして、施設側の理解を得てネーミングライツによらない名称を使う判断をすることもある。

冠大会●スポーツの大会にスポンサーの企業名などをかぶせた「冠大会」についても、ニュー

スや番組の中では繰り返しを避けて、抑制的に使用する。ただし、企業名などを除いた大会名が定着している場合には、企業名などを除いた名称を使うこともある。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版30

情報と宣伝・広告

7

❶番組と著作権

●番組は 2 つの点で著作権と関わる。ひとつは、番組制作にあたって、さまざまな他人の著作物を使用する点であり、もうひとつは、制作された番組自体が著作物となり、NHKが著作権を持つ点である。これが、番組が「著作権のかたまり」といわれる理由である。

●番組に出演してもらう場合や著作物を使用する場合などは、出演者や著作権者などの許諾を得るための権利処理を確実に行わなければならない。

❷権利処理

●権利処理すべき対象は、出演者や取材先以外にも、番組のために委嘱した音楽や脚本、CG、アニメーション、および既成の文芸・美術作品、写真など多岐にわたる。許諾を得るべき相手の把握に漏れがないように細心の注意を払わなければならない。

❸引用・時事の事件の報道のための利用

●著作権法では、例外的に著作権者の許諾なしに著作物を使用することができる場合が定められている。このうち、放送と関係が深いものとして「引用」と「時事の事件の報道のための利用」がある。

【引用】

●引用については、次のような点に関して十分に注意する。・引用する著作物が公表されていること・番組の中で著作物を引用する必然性があること

著作権法 第32条(引用)公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 31

著作権

8

8 著作権

・引用部分が番組のほかの部分とはっきり区別されていること・番組が主で、引用する著作物が従であるという主従関係が明白であること・引用する著作物が必要最小限の範囲に限られていること・引用する著作物を改変しないこと・原則として、引用する著作物の出所を明示すること

●最近は、主従関係や「必要最小限かどうか」などの個々の要素にとらわれず、「慣行に合致」や「正当な範囲内」を、諸事情を広く考慮して総合的に判断することで、より柔軟に判断しようとする裁判例が増えている。

【時事の事件の報道のための利用】

●「時事の事件」とは、最近起こった出来事であって、ニュース性があると判断されるものとされている。

●「時事の事件の報道」のために利用できる著作物とは、・事件の主題となっている著作物・ニュースの取材過程で使用せざるをえない著作物であり、具体的には、・美術館で絵画が盗まれたり破られたりした事件を伝えるニュースや番組の中で使

用する、その絵画の映像・スポーツ大会の開幕を伝えるニュースの入場行進の音楽などが考えられている。利用する場合は、原則として出所を明示する。

❹番組の部分使用

●ある番組の一部分を別の番組などに再使用(部分使用)する際、その部分に第三者の権利が含まれている場合は、当初の番組とは異なる目的に使用することになるため、NHKの制作した番組であっても、あらためて出演者をはじめとする権利者の許諾を得なければならない。

著作権法 第41…条(時事の事件の報道のための利用)写真、映画、放送その他の方法によって時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴って利用することができる。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版32

著作権

8

●番組の部分使用にあたっては、権利者に対して事前許諾を得ることが大原則であるが、出演者(実演家)、原作、脚本、構成台本については、権利者団体との間で権利処理についてのさまざまな取り決めがあるため、それぞれのルールに則った迅速で適切な権利処理を行う必要がある。

❺NHKの番組と素材の外部展開

●NHKが保有する番組や素材については、それを利用したいという視聴者や外部からのニーズに応え、関連団体を通じてさまざまな形での二次展開を行っている。出版や映像・音声商品、キャラクター商品などの番組関連商品のほか、CS、CATV、VOD(ビデオ・オン・デマンド)への番組提供、放送権の海外販売などが含まれる。

●これらの外部展開の目的は、・NHKが蓄積してきた番組などを社会に還元するとともに、視聴者への多角的な

サービスを実現する・得られる副次収入を視聴者の負担の抑制につなげるということにある。

❻制作委託番組の著作権

●NHKまたは関連団体が番組制作会社に委託する番組については、番組の企画立案の主体がいずれかによって著作権の帰属を定める。

➡ 59 ページ 「16 取材・制作の委託 ❶ 番組制作の外部委託」●番組制作会社が企画立案した番組については NHKと番組制作会社が著作権を共有

し、権利収入が生じた場合、その配分を番組制作会社に対して行う。●NHKまたは関連団体が企画立案し、その制作統括の下に制作される番組について

は、NHKが著作権を有する。ただし、制作過程における番組制作会社の特別の寄与が見込まれる場合には、その寄与を勘案し、権料収入が生じたとき番組制作会社に対して配分を行う。▶放送番組の制作に関する番組制作会社との取引基準(http://www.nhk.or.jp/kikakubosyuu/ に掲載)

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 33

著作権

8

❶通信領域における個人情報・プライバシー保護

●インターネットによる「通信」でコンテンツを提供する際には、通信履歴(閲覧・視聴履歴)など、利用者に関するさまざまな情報を取得することが可能である。こうした履歴は、ただちに個人情報には当たらなくても、オンライン識別子を付与され、他の情報と照合されることによって容易に個人の特定やプライバシーの侵害につながるおそれがあり、その取扱いをめぐって世界的に関心が高まっている。

●NHKは、関係諸法令だけでなく、判例や業界の自主基準なども踏まえて、自律的判断に基づき利用者情報を適切に取り扱うこととし、受信料を財源として行うインターネットを通じたあらゆるコンテンツサービスに適用される「NHKインターネットサービス利用規約」を作成・公表している。この中では、NHKが取得する利用者情報の種類、取得方法、利用目的、利用方法、保存、セキュリティなどに関する原則を定め、取得した個人情報については、本人の同意がない限り他の利用者情報と照合せず、他の利用者情報と容易に照合できない状態で管理することを誓約している。また、個別のサービスが「インターネットサービス利用規約」の規程にない業務を行う場合は、独自の利用条件や利用規約を規定して利用者にわかりやすく明示し、その利用目的・利用方法などの定めが「インターネットサービス利用規約」と重ねて適用されることについて、利用者の同意を得る必要がある。

他のコンテンツ事業と連携する際の注意点●番組編成上のマーケティングなどに用いる視聴・利用履歴などの計測データは、

サービス改善などにとって重要なものである。しかし、マーケティング会社や他のコンテンツ事業者などと情報連携をすると、共通のオンライン識別子がつけられ、NHKの知らないところで「個人情報化」したり、広告目的で利用されたりすることがあり得る。このような事態を避けるためにも、利用者情報が豊かになるからといって、安易に連携を行ってはならない。

NHKインターネットサービス利用規約https://www.nhk.or.jp/toppage/rules/

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版34

9利用者情報の取り扱い

9 利用者情報の取り扱い

❷順守事項

(1)利用目的の特定および目的外利用の禁止利用者情報を取得する場合は、利用目的をサービス実施に必要な範囲に限定し、特

定しなければならない。取得した情報は、目的外の利用をしてはならず、公共放送にふさわしい方法で利用しなければならない。

(2)取得する情報の範囲・保有期間利用者情報を取得する際には、目的達成のために必要な最小限の情報にとどめる。

保有期間についても同様である。また、必要のなくなった情報は速やかに消去する。

(3)利用者の意思の尊重利用者の意思を尊重し、また、情報が取得されることを望まない利用者に対しても

十分配慮しなければならない。情報の取得に際しては、原則として、利用目的を明示して、利用者の同意を得なければならない。また、担当者は、利用者から取得している情報の種類や取り扱いなどに関して問い合わせがあった場合には、適切に対応する。

未成年者から個人情報を取得する場合は、未成年者が理解できる平易な表現で利用目的を明示する。未成年者に個人情報の入力を求める際には保護者の了解を得るように促すことが望ましい。

(4)公正性・透明性の確保情報の取得は適正な方法で行う。取得の目的や使い方、取得範囲、保有期間などに

ついては、必ず情報の取得に先立ち、利用者にわかりやすい方法・内容で明示しなければならない。例えば、子ども向けサイトについては子ども自身が理解できることばで、外国人向けサイトであれば当該外国語で、目的の明示、同意などの仕組みを設ける。また、子ども向けサイトについては取得する情報内容に応じて、保護者の同意を得なければならない。

利用者が「利用規約」を十分理解したうえで同意するか否か決定できるようにする。同意するかどうかの意思確認ページは、デザインやインターフェースが利用者にとってわかりやすいものとする。

【利用規約の変更】利用規約を変更する際には、変更後の規約を明示したうえで十分な移行期間を設けるなど、既

存の利用者に配慮する。取得する情報の内容・範囲、取り扱いなどを変更する際には、必ず変更後の内容に対する同意を得る。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 35

9利用者情報の取り扱い

【第三者提供】原則として、利用者情報は第三者(関連団体を含む)には提供しない。また、利用者情報につ

いて情報処理などの業務委託をする場合であっても、取得する前に必ずその旨を明示する。外部の研究所などと共同研究などをする場合も同様とする。なお、インターネットサービスの提供に伴い、利用者情報を取得する場合には、業務委託に伴う第三者提供をする旨について、NHKインターネットサービス利用規約に明記されているので、NHKインターネットサービス利用規約が適用される旨を明示していれば、必ずしも、個々のサービスごとに記載する必要はない。

(5)安全管理措置取得した情報は、紛失や漏えいを防ぐため、その性質に沿って必要かつ適切な安全

管理措置を取る。個人情報の取り扱いについては、NHKの規程・基準・ガイドラインに従って厳重に管理する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版36

9利用者情報の取り扱い

❶国際放送の目的・編集の基本方針

●NHKの国際放送(テレビ・ラジオ)は、大きく分けて、①外国人に向けた放送と、②在外邦人・海外旅行者に向けた放送の 2 つからなっている。

●国際放送の目的は、外国に対して日本の現状や重要な政策などを正しく伝え、日本に対する理解を深めて国際交流の促進を図ることである。また、海外での政情不安や自然災害の際、その地域に滞在する日本人に安全情報などを伝えるほか、海外で暮らす日本人に適切な娯楽を提供することも目的としている。

●国際放送の番組の制作は、「NHK国際番組基準」に従って実施する。番組の編集にあたっては人権を尊重し、自由と民主主義とを基調とする。また、内外のニュースを迅速かつ客観的に報道するとともに、日本の重要な政策および国際問題に対する公的見解ならびに日本の世論の動向を正しく伝える。報道番組については、ニュースは事実を客観的に取り扱い、真実を伝える。解説・論調は、公正な批判と見解のもとに、日本の立場を鮮明にする。報道番組として、日本の世論を正しく反映するように努める。インフォメーション番組については、広く日本や世界の実情を紹介して、日本や世界に対する正しい認識を培う。また、娯楽番組については、品位のある健全な娯楽を提供する。

➡ 74 ページ 資料編「NHK 国際番組基準」●必要に応じて「NHK国内番組基準」を準用する。●放送の対象となる国や地域の社会、文化、伝統などを尊重し、人種、宗教、風俗習

慣などの違いについては、慎重な配慮をする。●国際的な紛争や各国間の利害が対立する問題などを取り上げる場合は、関係国の主

張や国情などを客観的に伝えるとともに、日本の立場や世論の動向などを考慮して取り扱う。

●広域的な災害が予想される時は、必要な情報を速やかに伝え、被害の拡大を防ぐ。在外邦人向けの海外津波情報は、気象庁が発表する津波監視情報などでマグニチュード 7.6 以上の地震を基準として対応する。

●企業名や商品名については、伝えることが海外の視聴者の理解を助ける上で必要と考えられる場合、広告として受け取られないよう節度を保ったうえで使用する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 37

10国際放送

10 国際放送

❷要請放送

●要請放送は、総務大臣が放送法第 65 条に基づき、NHKに対して、放送する区域や事項を指定して国際放送を行うよう「要請」できるものである。 かつての「命令放送」の制度が、放送法の改正によって 2008(平成 20)年から「要請放送」となった。

●放送法では、「総務大臣は、前項の要請をする場合には、協会の放送番組の編集の自由に配慮しなければならない」と規定されている。

●要請があれば、NHKは、その重みを受け止めて趣旨内容に応じて判断する。 仮に要請が NHKの番組編集の自由に抵触するおそれがある場合には、要請に応じないこともある。

❸インターネットでのコンテンツ提供

●NHKは、 テレビは日本語と英語、ラジオは 18 言語で海外向けに国際放送を実施している。2000(平成 12)年にラジオ国際放送「ラジオ日本」でインターネットを通したニュースの放送同時配信とオンデマンド提供を始めた。それから現在まで、NHKワールド JAPANとラジオ日本の放送番組のインターネット配信は、国際放送サービスの柱の 1 つとして実施している。

●国際放送(テレビ・ラジオ)の同時配信は、「インターネットサービス実施計画」に基づき国際放送局が実施する。

●国際放送に関わるホームページの編集は、「国際番組基準」および「放送ガイドライン」に従う。

放送法 第81条(放送番組の編集等)4 協会は、邦人向け国際放送若しくは邦人向け協会国際衛星放送の放送番

組の編集及び放送又は外国放送事業者に提供する邦人向けの放送番組の編集に当たつては、海外同胞向けの適切な報道番組及び娯楽番組を有するようにしなければならない。

5 協会は、外国人向け国際放送若しくは外国人向け協会国際衛星放送の放送番組の編集及び放送又は外国放送事業者に提供する外国人向けの放送番組の編集に当たつては、我が国の文化、産業その他の事情を紹介して我が国に対する正しい認識を培い、及び普及すること等によつて国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資するようにしなければならない。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版38

10国際放送

❶犯罪報道の意義

●犯罪報道の意義は、安全で秩序ある社会の実現に寄与することにある。社会にどんな危険が存在しているのかを伝えることで、視聴者が危険を回避することが可能になる。また、法の不備や捜査当局・行政の対応の遅れが被害を拡大させている場合もあり、報道によって法の整備や捜査当局などの取り組みを促す効果も期待できる。

❷実名と匿名

●事件・事故の報道は、真相や背景に迫り国民の知る権利に応えるため、実名報道が原則である。最近は被害者側の意向を受けて、警察当局が被害者や関係者の名前を匿名で発表するケースが増えているが、実名で報道するか匿名で報道するかは、事件や事故の内容と背景、関係者の事情などを十分に検討したうえで、NHKの責任において判断する。

● 2005(平成 17)年に定められた犯罪被害者支援のための政府の基本計画に「被害者の実名を発表するかどうかの判断を警察に委ねる」ことが盛り込まれた。これに対して、NHKが加盟している日本新聞協会と日本民間放送連盟は、「匿名発表では、被害者やその周辺取材が困難になり、警察に都合の悪いことが隠される恐れもある。客観的な取材、検証、報道で、国民の知る権利に応えるという使命を果たすため、被害者の発表は実名でなければならない」などとして、共同で反対の声明を発表した。

➡ 78 ページ 資料編「犯罪被害者等基本計画に対する共同声明」

❸容疑者・被告の人権と呼称

●逮捕されたり起訴されたりした人物も、有罪が確定するまでは法律的には無罪と推定される。このため、逮捕段階や裁判中は犯人と決めつけるような報道はしない。

●NHKは 1984(昭和 59)年から他社に先駆けて犯罪報道での名前の「呼び捨て」を原則としてやめ、「肩書」のほかに「容疑者」「被告」などの呼称をつけて放送している。人権尊重の立場を重視するとともに、活字メディアに比べて、放送が視聴者の感情

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 39

11事件・事故

11 事件・事故

や心理に強く訴えるという特性を考慮した結果によるものである。ニュースの内容によっては「肩書」と「容疑者」の使い分けなど判断が難しいケースもあるが、人権を尊重して不公平な取り扱いとならないように配慮する。

❹裁判員制度

● 2009(平成 21)年の裁判員制度の開始に伴い、事件報道にあたっては、裁判員となる可能性のある視聴者に過度の予断を与えないためにも、容疑について断定的な表現を避けるなどの注意が必要である。

●NHKは独自に裁判員制度に関する「取材・放送ガイドライン」を作成し、取材・放送にあたって次のことを基本としている。・容疑者や被告を犯人と決めつける報道をしない。・情報の出所をできる限り明示する。・容疑者や被告側の供述や主張をできる限り取材・放送する。・専門家のコメントは犯人と断定した言い方にならないように注意する。・ニュースタイトルや字幕スーパーの表現、映像の使用・編集にも細心の注意を

払う。●裁判員制度開始にあたって、日本新聞協会は取材・報道の指針を示している。

❺少年事件

●事件当時 20 歳未満の容疑者については、少年法第 61 条の趣旨を尊重し、原則として本人が特定されないように匿名で報道する。映像などについても、本人が特定されないように細心の注意をする。

●少年審判や刑事裁判の途中で成人になっても、事件当時に少年ならば、同じように原則として匿名で報道する。

●警察庁は、少年が凶悪事件を起こして逃走中で、犯行を繰り返すおそれが強く、社会に大きな不安を与えていて、ほかに捜査の方法がない場合には、写真などを公開することができるという方針を明らかにしている。また、日本新聞協会は、容疑者の少年が逃走中で、放火や殺人など凶悪事件を重ねることが明らかに予想されるなど、少年の保護よりも社会的利益を守ることを優先すべき特殊な場合は、例外として名前や写真を掲載することを打ち出している。NHKは日本新聞協会の方針を踏まえ、差し迫った危険があるかどうかなどを総合的に判断して実名で報道するかどうかを決めることにしている。

●いじめや校内暴力などの事件が学校内にとどまらず地域や社会の問題となる場合

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版40

11事件・事故

や、学校の指導に重大な責任があるときなどは、学校名を報道することもある。●事件の背景を知るうえで必要な第三者への周辺取材を行う場合は、容疑者の少年の

名前を出さないように努めるなど、取材についても細心の注意を払う。●少年法第 61 条の趣旨は「更生の機会を閉ざさない」ことであり、すでに更生に向

かった事例を紹介する番組などでは、本人や家族の承諾を得るなど人権に配慮したうえで、顔や実名を出すかどうか慎重に判断する。

●外国で少年として扱われる年齢はさまざまで、国によっては、番組やニュースに20 歳未満の容疑者などの顔や実名が出ている場合がある。番組やニュースのねらい・趣旨を伝えるため不可欠と判断したときは、そのまま放送することができる。ただし、日本の少年法と著しく均衡を欠くことがないように取り扱いに十分注意する。

❻映像

●容疑者の人権に配慮し、手錠をかけられた映像は原則として使用しない。●容疑者の顔写真については、必要以上に繰り返し使うなどの乱用を避ける。●事件と直接関係がない容疑者の家族などの映像は使用に際して慎重に判断する。●捜索などでは、事件と関係のない人や周囲の建物などを撮影しないように注意する。●罪を犯した人でも、すでに刑期や執行猶予期間を終えている場合には事件当時の映

像の扱いに十分注意する。●事件や事故、災害などでは、死者の尊厳や遺族の心情を傷つける遺体の映像は、原

則として使用しない。

❼メディアスクラム(集団的過熱取材)

●事件や事故のときに、メディアの取材が過熱・集中して、関係者のプライバシーや市民の平穏な生活が侵害されているという批判の声が高まり、 2001(平成 13)年に日本新聞協会の編集委員会が「集団的過熱取材に関する見解」を、また、日本民間放送連盟も「集団的過熱取材問題への対応について」を発表し、連携して対策を進めてきた。NHKもメディアへの信頼に関わる問題として取り組んでおり、行き過ぎた取材によるメディアスクラムが起きないように努力している。

●日本新聞協会編集委員会の見解では、メディアスクラムとは、「大きな事件、事故の当事者やその関係者のもとへ多数のメディアが殺到することで、当事者や関係者のプライバシーを不当に侵害し、社会生活を妨げ、あるいは多大な苦痛を与える状況を作り出してしまう取材」と定義し、次の点を守るように求めている。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 41

11事件・事故

・いやがる当事者や関係者を集団で強引に包囲した状態での取材は行うべきではない。相手が小学生や幼児の場合は、取材方法に特段の配慮を要する。

・通夜や葬儀、遺体搬送などを取材する場合、遺族や関係者の心情を踏みにじらないように十分配慮するとともに、服装や態度などにも留意する。

・住宅街や学校、病院など、静穏が求められる場所における取材では、取材車の駐車方法も含め、近隣の交通や静穏を阻害しないように留意する。

●「見解」では、メディアスクラムが発生した場合には、社ごとの取材者数を抑えることや、取材する場所・時間の限定、質問者を限った共同取材や代表取材などを対策として掲げている。メディアスクラムの調整には記者クラブ、各地域の報道責任者会などが当たるが、現場レベルで解決できない場合に備え、NHKを含む新聞・通信各社の横断的な組織として日本新聞協会に「集団的過熱取材対策小委員会」が設けられている。

●なお、「見解」では、対象が有名人や公的な人物で、取材テーマに公共性がある場合には、一般の人とは区別して考えるとしている。

❽被害者の人権

●被害者の人権は、加害者の人権に比べて守られていなかったという批判、反省があり、 2004(平成 16)年に犯罪被害者等基本法が作られるなど、犯罪や事故の被害者の権利を守る動きが広がっている。

●犯罪被害者等基本法では、「被害者の多くは、その権利が尊重されてきたとは言い難い」「直接の被害にとどまらず、その後も副次的な被害に苦しめられることも少なくなかった」

「犯罪被害者の権利利益が保護される社会の実現に向け、新たな一歩を踏み出さなければならない」と述べている。

●報道のあり方についても、取材方法に被害者の心情を無視したところがあったのではないかとの反省がある。過熱した取材や報道、無神経な言葉遣いなどによって被害者を苦しめることがないように努めなければならない。また、現場に駆けつける家族を遮るような取材はしないなど、十分配慮しなければならない。

●被害者の写真や映像についても、使用にあたっては不必要な繰り返しを避けるなどの配慮が必要である。

●暴力団が関係する事件や性犯罪などで、被害者の安全や 2 次被害のおそれなどを検

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版42

11事件・事故

討して匿名報道にする場合には、映像についても被害者が特定されないように注意する。

❾誘拐報道

●人質を取って身代金を要求するなどの誘拐事件については、人質の生命の安全を第一に考え、取材や報道にあたらなければならない。

●東京で 1960(昭和 35)年に起きた “雅樹ちゃん事件”では、被害者が殺害され、逮捕後、犯人が「報道によって追い詰められた」と供述した。この反省から、被害者の生命の安全を最優先にして報道の自由を自ら制限することもやむを得ないとして、報道各社は、自主的に取材や報道を自制する誘拐報道協定を結ぶこととなった。

●誘拐報道協定の締結は警察が申し入れるが、実際に協定を結ぶかどうかは NHKをはじめ、報道各社が独自に協定の必要性を判断しなければならない。

●この協定は、あくまで警察側が誘拐事件の捜査状況を報道機関に詳しく伝えることを前提条件とし、報道各社は、協定が必要以上に報道規制につながることのないように、警察に対して捜査情報の全面的な提供を求めていかなければならない。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 43

11事件・事故

●地震・津波・台風などの災害、人命や国民生活に重大な影響を及ぼす非常事態が起きたとき、NHKの放送を視聴する人々は正確で迅速な情報を求めている。公共放送として期待に応え、正確でわかりやすい情報をより早く伝えるため、取材と報道に全力をあげる。

●被害や影響を軽減するために必要に応じて視聴者にさまざまな注意喚起を行う。●災害・非常事態の報道にあたっても、放送の自主・自律を貫く。

(1)災害

❶「防災・減災報道」はNHKの使命

●NHKは災害対策基本法で、電気、ガス、通信などの公益事業とともに、指定公共機関に指定され、放送を通じて防災に寄与する責務がある。放送法も、災害の被害軽減に役立つ放送を義務付けている。

●「防災・減災報道」は NHKの使命であり、その重みを認識して万一に備え、災害時には、人々の命と暮らしを守るための情報発信に全力を尽くす。

●災害時だけでなく日ごろから防災の課題を積極的に取り上げ、安全な社会づくりに寄与するとともに、人々に防災知識が広がるように努める。

災害対策基本法… 第 6条(指定公共機関及び指定地方公共機関の責務)

2 指定公共機関及び指定地方公共機関は、その業務の公共性又は公益性にかんがみ、それぞれその業務を通じて、防災に寄与しなければならない。

… 放送法 第108条(災害の場合の放送)基幹放送事業者は、国内基幹放送等を行うに当たり、暴風、豪雨、洪水、地震、大規模な火事その他による災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、その発生を予防し、又はその被害を軽減するために役立つ放送をするようにしなければならない。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版44

災害・非常事態

12

12 災害・非常事態

❷災害報道の基本方針

●災害発生時やそのおそれがあるとき、本部は全国の視聴者に向けて「防災・減災報道」を行う。地域の各放送局は、災害の危険が切迫している時など状況に応じて、地域の視聴者が必要とする情報を、テレビ、ラジオ、データ放送、ホームページ、スマートフォンのアプリなど、デジタルを含めたさまざまなメディアを活用してきめ細かく伝える。

●気象警報など視聴者に直ちに伝えるべき情報は、テレビは文字スーパーなどで、ラジオは音声の上のせなどで速報する。大津波警報・津波警報が発表された場合などには緊急警報放送を行う。

●災害対策基本法に基づく避難指示や避難勧告は、地域放送でできる限り速報する。また、地域防災計画に基づく避難準備情報も、状況に応じて伝え、高齢者や体の不自由な人の避難や防災に役立てる。

●災害が発生したあとは、被害の状況をいち早く伝え、行政機関、医療機関、ボランティアを含めた広範な救援に役立つよう努める。

●相当な被害や影響が生じたときは、状況に応じて、本部と各放送局は、テレビやラジオで「ライフライン放送」を行い、被災者の生活支援に必要な情報を伝える。

●被災地での取材は、大切な人や家、仕事を失い、深く傷ついた被災者の気持ちを第一に考えて、プライバシーなどに十分に配慮する。

●被災者の置かれた状況を継続的に取り上げ、生活の再建を支えるとともに、復興に向けた長期的な支援を促す。

●災害の取材・制作にあたっては安全に十分留意する。

❸地震・津波

●NHKは、震度 3 以上で全国放送(テレビは文字スーパー、ラジオは音声の上のせ)

… 緊急警報放送大災害のおそれがあるときに、放送局から特別な信号を送ることで、専用の受信設備が内蔵されたテレビやラジオでは、スイッチが自動的に入り、緊急時の放送が受信できる。実施基準は次のとおり。・津波(大津波)警報が発表された場合・災害対策基本法に基づいて都道府県知事などから要請を受けた場合NHKでは 1985(昭和 60)年から全国運用を行っている。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 45

12災害・非常事態

で伝え、震度 6 弱以上になると通常番組を中断して臨時ニュースを伝える。ただし、状況によっては震度 5 強や 5 弱などでもニュースを特設する場合がある。気象庁から「緊急地震速報」が発表された場合、全自動のシステムによりテレビは強い揺れが予想される地域を地図と文字で表示し、ラジオは自動音声で読み上げる。

●大きな揺れが観測され、津波のおそれがある場合は、津波からの避難の呼びかけを最優先にする。大津波警報と津波警報が発表された場合、通常番組を中断して緊急警報放送を開始する。アナウンサーは強い口調で避難を呼びかけ、ロボットカメラの映像や気象庁が発表する情報などを活用し、避難を強く促す。津波注意報でもニュースに切り替える場合がある。

●地震は日本国内のどこでも発生するおそれがあるが、過去に繰り返し発生している大地震については、国が特別措置法を制定して、対策を強化、推進している。想定されている大地震には、南海トラフ巨大地震、首都直下地震などがある。NHKは、東日本大震災の経験も踏まえ、いかなる災害にも対応できるよう放送設備や体制の強化を重点的に進めている。

❹気象災害

●NHKは特別警報や気象警報が発表された場合、テレビとラジオで速報する。特別警報は、重大な災害が起こるおそれが著しく大きいとき、または何らかの災害がすでに発生している可能性が極めて高いときに発表されるもので、大雨・大雪・暴風・暴風雪・高潮・波浪の 6 種類がある。記録的短時間大雨情報、土砂災害警戒情報、竜巻注意情報、氾濫危険情報、氾濫警戒情報も地域放送で速報する。

●台風が日本に接近したり上陸したりするおそれがあるときは、状況に応じて、テレビとラジオで特設ニュースを放送する。すでに風雨が強まっている地域の様子や被害状況、これから接近する地域の対応や備え、それに防災上警戒すべき点などをきめ細かく伝える。

●局地的な豪雨は事前の予測が難しく、住民の避難の遅れにつながりやすい。雨が強まっている地域があれば、重点的に警戒を呼びかける。

❺火山噴火

● 2014(平成 26)年の御嶽山噴火を教訓に、気象庁は登山者や周辺の住民に対して噴火したことを端的にいち早く伝え、身を守る行動を取るよう呼びかける「噴火速報」の運用を開始した。気象庁が噴火速報を発表した場合、テレビとラジオで速報する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版46

災害・非常事態

12

●気象庁は活火山を対象に、居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生したか、発生すると予想される場合に「噴火警報」を、火口周辺から居住地域の近くまで影響を及ぼす噴火が発生したか、発生すると予想される場合に「火口周辺警報」を発表する。気象庁が警報を発表した場合、テレビとラジオで速報する。

●火山の噴火は、突然始まって急激に活発化することがあり、爆発的噴火や火砕流、溶岩流、火山ガスなどさまざまな現象が起きる。場合によっては、周辺住民が迅速な避難を求められ、避難生活が長期化することもある。さまざまな事態を想定して、防災に役立つ放送を行う。

(2)感染症●新型インフルエンザやエボラ出血熱、多剤耐性菌による院内感染などの感染症、さ

らに鳥インフルエンザ、口こうていえき

蹄疫をはじめとする動物の伝染病を取材する機会が多くなっている。こうした報道では、正確な情報を迅速に伝えることが、被害を最小限に抑えて社会的混乱を防ぐことにつながり、NHKは公共放送として大きな役割を担っている。

●取材にあたっては、取材者の安全を確保すると同時に、取材によって感染を広げないようにしなければならない。そのためには、事前に、病原性(毒性)や感染力の強さ、潜伏期間や感染のしかたなど病原体の性質を十分に把握し、必要に応じて専門家にアドバイスを求めて取材計画を立てる。取材の際はマスクを装着するなど状況に応じて対策を取る。

●取材にあたって、病原体の性質が明らかになっていない時点では、症状のある人への対面取材は原則として行わず、電話による取材などを検討する。病院など施設の管理者や行政当局から安全上の要請や指示がある場合は原則としてそれに従う。

●海外の感染症流行地での取材については、計画段階で必要性を十分検討し、取材する場合には、事前に専門家に留意点を確認する。

●放送では、感染した人への差別・偏見を生まないように表現には細心の注意を払う。ヒトの感染症はもちろんのこと、口

こうていえき

蹄疫など家畜の伝染病でも、関係施設を実名にするか匿名にするかは、感染拡大の抑止、プライバシー、風評被害などの観点から慎重に影響を見極め、NHKとして的確に判断する。

●感染症が広がり続けている場合、節目ごとに可能な限り複数の専門家に取材し、先行きについての見方なども伝えていく。

●NHKは、2013(平成 25)年に施行された新型インフルエンザ等対策特別措置法(第 2条 6 号)で指定公共機関となっている。公共放送として迅速な報道を出し続ける責務があり、NHKの「行動計画」や「取材マニュアル」に基づいて対応や放送を行う。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 47

12災害・非常事態

(3)原子力事故

❶原子力事故の報道

●原子力発電所や原子力施設での事故は、人間の五感で直接とらえられない「放射性物質・放射線」が脅威となることから、正確な情報を迅速に、しかもわかりやすく伝える必要がある。

●事故施設周辺の取材は、放射線量を測るポケット線量計を携行するなど、安全に十分留意する。

❷重大事故

●重大事故が起きた場合、原子力災害対策特別措置法(原災法)に沿って、取材・放送を行う。

●原災法は、1999(平成 11)年に茨城県東海村で起きた臨界事故をきっかけに施行され、原子力の重大事故の際には、国が主導的に対応することが定められた。また、全国の原子力施設の周辺にオフサイトセンターを設置することになった。

●しかし、2011(平成 23)年の東京電力福島第一原子力発電所の事故では、オフサイトセンターは機能せず、放射性物質は、当時の指針で想定していた原発の半径 10キロ圏より広い範囲に放出された。このため、事故後作られた新しい国の原子力災害対策の指針では、事故に備えて事前に対策をとる範囲が半径 30 キロ圏に広げられ、緊急事態の区分も見直された。

… 原災法 第10条(施設敷地緊急事態)原災法第 10 条では、原子力施設の敷地境界での放射線量が一定の基準を超えたり、原子炉の水位が下がり非常用炉心冷却装置が作動したりした場合に、原子力事業者は国や自治体に通報しなければならないとしている。いわば「注意報」に当たり、NHKは、直ちに放送で速報する。

… 原災法 第15条(全面緊急事態)原災法第 15 条は、事態がさらに拡大した場合に、内閣総理大臣は「原子力緊急事態」を宣言するとしている。いわば「警報」に当たり、大事故や災害になる可能性が高い。NHKは、直ちに放送で速報するとともに、津波警報に準じて、

「屋内退避・避難」「飲食物摂取制限」など必要な措置、注意事項を伝える。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版48

災害・非常事態

12

●原子力事故は事態が時々刻々と変化していくため、放射性物質の外部への放出、住民の避難あるいは屋内退避の勧告・指示といった情報は、できる限りリアルタイムで伝える。

●避難や屋内退避が勧告・指示された区域に立ち入っての取材は、原則として行わない。

(4)国民保護法制●国民保護法によって、NHKは、他国からの武力攻撃など有事の際の指定公共機関

として、警報(解除を含む)、避難の指示(解除を含む)、緊急通報の 3 つの情報を放送する責務を担っている。

●警報は、国の対策本部長(内閣総理大臣)が発令し、東京の放送センターに連絡が入る。また、避難の指示と緊急通報は、都道府県知事が発令し、当該の放送局に連絡が入る。

●有事に際しても、あくまで NHKがみずからの編集判断で取材や放送にあたることに何ら変わりはない。国民の生命や財産に直結する情報を素早く的確に伝えることで、報道機関としての役割を果たし、公共放送に対する国民の期待に応える。

●緊急情報の放送は、簡潔でわかりやすいことが重要である。内容が過大な分量だったり、理解しにくかったりすれば、迅速で的確な放送の障害になるおそれがあるので注意する。

● 3 つの緊急情報のうち、特に、住民の避難に関する都道府県知事の指示については詳細にわたることも予想される。総務省消防庁が作成した都道府県国民保護モデル計画は、「伝えるべき避難の指示の内容の正確さを損なわない限度において、その放送の方法については、放送事業者の自主的な判断にゆだねることとする」と記述している。

… 国民保護法 第7条2 国及び地方公共団体は、放送事業者である指定公共機関及び指定地方公

共機関が実施する国民の保護のための措置については、その言論その他表現の自由に特に配慮しなければならない。

… 衆参両院の特別委員会の附帯決議放送事業者である指定公共機関及び指定地方公共機関が実施する国民の保護のための措置については、放送の自律を保証することにより、言論その他表現の自由が確保されるよう特段の配慮を行うこと。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 49

12災害・非常事態

❶家族

●家族の形や家族をめぐる考え方は多様化している。結婚という形式にとらわれない男女、あるいは離婚、死別などの事情で父親か母親だけの子どもも増えており、そうした家庭への配慮は欠かせない。

●家族や親族といっても立場や考え方が異なる場合もあり、家族関係の取材や放送にあたっては、状況に十分配慮する。家族の中に未成年者がいる場合は、より慎重な姿勢が必要である。

❷福祉

●社会的支援を必要とする人への認識を高め、思いやりのある市民社会の成熟を図ることは、福祉の向上のために欠かせない。

●障害者や高齢者、貧困状態にある人、LGBTなど性的少数者、外国人など、福祉の課題は多様化している。さまざまな社会的支援を必要とする人たちへの理解を深め、誰もが人格と個性を尊重し支えあう社会の実現のために、さらに社会参加の壁を無くしていくことが求められている。ニュースや番組を通して、すべての人々が

「ともに生きる社会」の実現に向けた課題を伝え、ともに考えていく機会とすることが大切である。

●「障害」とは、個人の心身に生じた問題という考え方から、社会的な環境や周囲の対応との相互作用によって生じる問題という考え方に変わってきている。障害者に関わる問題を取材する際には、個人の問題としてだけではなく、多角的に検討することが必要である。

●取材にあたっては、本人の尊厳や家族の心情を考慮し、人権を損なうことのないように十分配慮する。

❸健康・医療

●健康や医療に関する情報は視聴者の関心が高く、最新の情報をわかりやすく伝える必要がある。専門家の解説や難しい専門用語についてはわかりやすい表現に言いかえたり、説明を加えたりして、視聴者の要望に応える。

●最新の治療法や新薬については評価が定まるまで時間がかかる場合があり、多方

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版50

暮らしと社会

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13 暮らしと社会

面の取材を通じてその有効性や問題点、条件など正確な情報を伝えるように心がける。病気に悩む人々は、切実な思いで放送を見たリ、聴いたりしているので、それらの人々に十分配慮し、誤解のない表現でわかりやすく伝える。

●病気の中には不適切な病名で患者が傷つけられるとして、病気の呼称が変更される場合がある。病名の扱いや症状の解説にあたっては、患者を傷つけないように最新の情報に気を配り、患者に配慮した表現を心がける。

●医学番組には、患者や家族が相談を寄せてくることがある。そこには個人の健康状態や病名などプライバシーに関わる情報が含まれているので、情報の取り扱いについては十分な注意と配慮が必要であることを番組の担当者の間で確認しておく。また、相談の手紙やメールなどは放送後、厳重に管理し、必要が無くなった時には適切な方法で廃棄する。

●不妊治療や再生医療、遺伝子治療、クローン技術の応用などの先端医療は、患者や家族に大きな恩恵をもたらす可能性がある。その一方で、確立されていない技術の危うさや倫理の問題も抱えている。患者のプライバシーが公になれば、周囲から思わぬ誤解を招くこともあるので、患者や家族のプライバシーに配慮しつつ、先端医療の問題点を伝えるように心がける。

●一般に健康によいと称して売られている健康食品やサプリメントは、「特定保健用食品」など一部を除いて、病気の症状の改善など効能をうたうことは法律で禁じられている。栄養成分などの紹介にあたっては断定的な表現や誇張を避ける。

●健康食品の表示に関連する法律は、薬機法(旧薬事法)、食品表示法、景品表示法など多岐にわたっている。健康食品をめぐっては、国民生活センターなどへの相談や苦情、法令違反も見られ、慎重に扱う必要がある。

●ダイエットは、生活習慣病の予防という視点から扱い、痩そうしん

身願望をあおるようなことはしない。

❹科学技術

●科学技術を扱うニュースや番組では、最新の技術の動向をその持つ意味や背景とともにわかりやすく伝える必要がある。

●議論が分かれる学説についてその時点での最新の成果を伝える場合、多角的な視点で取材を行い適切に放送する。また、特定の技術の利用について賛否の分かれる問題についても、双方の立場を公平に伝えることで視聴者の判断に役立つようにする。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 51

13暮らしと社会

●遺伝情報や指紋など個人が特定される情報をニュースや番組で取り上げる場合は、プライバシーを損なったり、悪用されたりしないように注意する。

●安全上の理由で外部からの入室が制限されている施設(原子力関連施設、高度病原細菌の研究施設など)での取材は、その施設の安全管理責任者と十分協議して行う。

❺食

●食中毒や食品偽装など、食の安全に関する情報について視聴者の関心は極めて高い。このため、正確な情報を迅速に伝える必要がある。情報を適切に伝えないと、買い控えなどいわゆる風評被害につながるおそれがある。科学的な見地から多角的に取材し、不安をあおることがないように、安心情報も含め、冷静に伝えることが大切である。

●放送では、消費者が安心して食品を選べるように「食」の知識の普及に努める。また、食を支える生産者や産地の実情にも触れながら、消費者と生産者の関わりや、食を取り巻く環境にも目を向ける必要がある。

●農業には食料生産以外にも、環境や景観、水源を守り、レクリエーションや教育にも役立つなど多面的機能があることが指摘されている。こうした農業の多面的な機能も念頭に置く。

❻教育・文化

【教育】●学校をはじめ教育現場の課題は多様化・複雑化している。学校や塾などの取材・放

送にあたっては、現象面を追うだけでなく、その背景を多角的に探る努力が必要である。

●教育現場で取材や撮影をする場合は、ニュースや番組の趣旨および撮影内容を管理者に説明し承諾を得る。必要に応じて保護者にも趣旨などを説明し承諾を得る。

●児童や生徒の人権を尊重し、取材や撮影が不利益にならないように十分配慮するとともに、精神的な圧迫や不安を与えないように注意する。

●取材にあたっては学校行事や学習計画を妨げることのないように計画的に行う。

【文化・文化財】●過去の優れた文化の保存や新たな文化の育成、普及に努める。●古典芸能については一部の芸能や流派、流儀のみを取り上げることがないように

する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版52

暮らしと社会

13

●国宝や重要文化財などの文化財の撮影や中継にあたっては、傷を付けるなどして文化財としての価値を損なうことがないようにしなければならない。特に中継の場合には、設営や撤収の際にも管理者の立ち会いを求めるなど、慎重に作業を進めることが重要である。

●絵画や古文書などの文化財を撮影する際には、照明光の熱や紫外線・赤外線による影響を十分考慮する。一度劣化したものは復元できないので、細心の注意を払う。

❼自然・環境

●取材にあたっては、自然環境を傷つけたり、破壊したりすることのないように細心の注意を払う。

●野外で取材・撮影・中継などを行う場所を選定する際は、動植物が取材対象ではない場合も、周辺に生息する貴重な動植物の繁殖などに悪影響が出ないよう生息状況の確認に努め、天然記念物や絶滅危惧種などが生息している場合には研究者などの助言を得る。

●国立・国定公園などでの撮影、天然記念物などの希少動植物の撮影に際しては、許可を必要とする場合があるので注意する。外国の場合は、その国の法令や慣習に従い、監督官庁の許可を得て、その指示を守る。

●絶滅のおそれのある種など貴重な動植物の撮影や編集にあたっては、繁殖地や生育地の場所が特定できないように十分に配慮する。

●外来種の植物の種子などを持ち込んで生態系を破壊することのないように細心の注意を払う。

❽営業の資格

●特定のサービスや職業では、営業にあたって法律で定められた特別の資格が必要となることがある。取材対象の人が資格を持っているかどうか確認するなど十分な取材を行う。例えば、マッサージは、医師以外の人が「業」として行う場合、「あん摩マッサージ指圧師」という国の資格が必要である。また、「業」として報酬を得て金融業者や家賃滞納者と交渉することなども必要な資格がなければできない行為であり、注意が必要である。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 53

13暮らしと社会

❶政治

●政治上の諸問題の扱いは、あくまでも公平・公正、自主・自律を貫き、何人からの圧力や働きかけにも左右されることなく、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝える。

●政治的な対立が大きくなればなるほど、視聴者の意見の幅も大きくなるので、報道は事実に即した表現に徹し、個人的な見解や、特定の主義・主張に偏っていると受け取られるような表現は慎む。

●討論番組などでは、番組の編成や構成、出演者の選定に慎重を期し、特定の意見を促したり、そのように操作していると見られたりしないように番組全体としてバランスの取れた視点を示す。

❷選挙

●選挙関係のニュースや番組の放送、選挙結果の速報などは、正確な取材と公正な判断によって自主的に行い、公職選挙法の趣旨に従って選挙の公正を損なわないようにする。

●選挙情勢や現地報告などを扱う場合は、事実を的確に把握して分析し、表現にも十分に注意を払う。

●開票速報では、開票状況や出口調査などのデータを冷静に分析し、正確で迅速な当確判定を行うとともに、視聴者や有権者の関心に応える放送をする。

●候補者名の順番や映像の扱いなどの具体的な問題については、一貫性をもって対応する。

●選挙時期が迫っているとき、立候補予定者や立候補が予想される人は、選挙期間の前であっても、原則として選挙とは無関係の番組で取り上げない。選挙の応援をする学者・文化人や芸能人などの番組出演は、政治的公平性に疑念を持たれないように配慮する。

●投票終了前の選挙違反のニュースは、候補者の当落に微妙な影響を与えるので、候補者の名前や政党名の扱いなどについて慎重に検討する。

●インターネットで選挙に関する情報を扱う場合は、放送と同様に、放送法の原則や公職選挙法に趣旨に従って選挙の公正を損なわないようにする。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版54

政治・選挙・経済 世論調査

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14 政治・選挙・経済 世論調査

政見・経歴放送●政見放送や経歴放送については、公職選挙法の規定に従って実施する。

公職選挙法では、・ 衆議院選挙と参議院比例代表選挙は「政党の政見放送」・ 参議院選挙区選挙と都道府県知事選挙は「個人の政見放送」を行うことになって

いる。

❸経済

●経済報道に対する視聴者のニーズは、政府や日銀などの経済政策だけではなく、グローバル化が進む中での企業の経営戦略や、最新の商品や技術、サービスに関する情報、食の安全に関する情報など、ますます幅広くなっている。日々の暮らしに密接に関わる問題だけに、正確な情報を迅速、公平に、しかもわかりやすく伝えることが大切である。

経営破綻●企業の経営破綻については「倒産」という用語を避け、「会社更生法(あるいは民事再

生法)の適用を申請しました」などと具体的な手続きで表現する。状況に応じて「経営が破綻し」や「自力での再建を断念し」という表現を付け加えることもある。ただし、全体の件数などを取り上げる際は、「先月の倒産件数」などの形で使う場合がある。

金融機関の破綻●金融機関の経営破綻については、預金の取り付け騒ぎや、ほかの金融機関への波及

などを考え、一般企業の経営破綻より一段と慎重な対応が必要になる。

インサイダー取引●取材した情報が、局内の第三者や知人、家族などを通じてインサイダー取引に悪用

されるリスクも常に念頭に置き、情報の扱いには細心の注意を払う。

企業・商品情報●NHKは放送法で広告放送を禁止されている。ニュースや番組で企業や商品を取り

扱う際は、企業名や営業上の商品名・サービス名・ロゴマークを放送に出す必要があるのかを十分に検討する。新商品や新しい技術開発などを取り上げるときには、企業側の説明に十分な整合性や裏付けがあるのかをできる限り検証する。

➡ 28 ページ 「7 情報と宣伝・広告」

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 55

政治・選挙・経済 世論調査

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❹世論調査

●NHKの世論調査の結果は、社会的・政治的動向に大きな影響を与えることもあるので、調査は科学的で正確なものでなければならない。放送上の取り扱いも厳密であることを必要とする。

●NHKの世論調査は、・母集団(調査したい対象全体)から回答者を無作為に抽出するなど、回答者に偏

りがない・一定水準以上の有効率(調査回答率)を確保している・すべての回答者を同一の条件で調査しているなどの条件を満たしていなければならない。

●世論調査の結果をニュースや番組で取り上げる場合には、以下の事柄(「調査の概要」)を音声または画面で伝えなければならない。・調査期間・調査方法(面接か電話かなど)・調査対象者(全国の有権者 3,600 人、○○県の 16 歳以上の男女 1,800 人など)・調査有効数(率)

●質問や回答の選択肢が変われば結果が異なる可能性があるため、ニュースや番組の中で質問を簡略化して伝える場合には、質問意図を視聴者が誤解することのないように注意しなければならない。

●回答者を無作為に抽出していない調査は世論調査とはいえないので、例えば、「アンケート」、「インターネット調査」などと表現する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版56

政治・選挙・経済 世論調査

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❶取材・制作の基本姿勢

●国際平和や各国国民との相互理解、友好・親善の促進に貢献するため、最新の国際情勢や各国の実情などについて、正確で客観的な情報を多角的に伝える。

●環境や資源・エネルギー、貧困や感染症など、国境を越えたグローバルな課題について、幅広い視点から情報を提供する。

●大規模な災害や事件・事故について、迅速で的確な緊急報道にあたる。●特定の人種、民族、宗教、文化、価値観などについて伝える際は、人間の尊厳と基

本的人権を十分尊重し、視聴者が正しい理解を得られるようにする。●各国の利害が対立する問題については、一方に偏ることなく、関係国の主張や国

情、背景などを公平かつ客観的に伝える。●海外取材の際には、現地の法律や宗教、慣習などを十分に尊重する。●国によっては取材活動に制限を加えようとする場合もあるが、言論・表現の自由や

編集の自由の確保に努める。

❷戦争・テロ報道

●戦争報道にあたっては、一方に偏らない公平・公正な姿勢を保ち、視聴者に正確で客観的な情報を提供する。

●戦況をめぐる情報は、情報源によって大きく異なり、情報操作も頻繁に行われるため、情報の出所を明記して報道する。当局の監視や検閲の下で行われた取材は、その旨を明示する。また、その後の情報に基づき、報道内容を検証する。

●テロの報道にあたっては、テロが生まれる背景や、テロを無くすために何が必要なのかなどもきめ細かく伝える。

●専門家にコメントを求める際は、人選が特定の立場に偏らないように配慮する。●戦場やテロ現場の映像については、慎重に判断して扱いを決める。遺体の映像は、

人間の尊厳や遺族などの感情も尊重し極めて慎重に扱う。捕虜の映像は、人権に十分配慮し必要最小限にとどめる。

●従軍取材は、安全確保を大前提とし、取材の必要性や取材対象について慎重に検討したうえで判断する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 57

15国際・海外取材

15 国際・海外取材

❸海外取材の安全

●取材にあたっては、人命の尊重と安全の確保がすべてに優先する。また、放送内容によって取材対象に危害が及ぶおそれがないように十分に配慮する。

●一定の危険が予測される状況での取材にあたっては、現地と国内の双方に安全管理者を置く。双方で安全に関わる情報の収集に全力をあげるとともに、衛星電話などの通信手段を必ず確保して密接に連絡を取り合う。危険が増すおそれがあるときは、直ちに安全のための措置を講じ、場合によっては取材者を撤収させる。

●危険地での取材担当者は、事前に専門機関の安全研修を受けるなど、安全確保のための知識と方法を身につけておく。

●戦争取材など危険地での取材で、外部スタッフに業務を依頼する場合は、取材の手法や安全の確保の手段などについて、現地や国内の安全管理者が可能な限りの情報を集めて慎重に判断する。

❹海外からのニュース・番組

●海外の放送局が制作したニュースや番組は、日本の視聴者に理解できるように、必要に応じて適切な解説や文字情報を加えて、きめ細かく伝える工夫をする。

●残虐なシーンや性表現など、国内で放送することがふさわしくない映像が含まれている場合には、適切な編集を行う。

●外国で少年として扱われる年齢はさまざまで、国によっては、番組やニュースに20 歳未満の容疑者などの顔や実名が出ている場合がある。番組やニュースのねらい・趣旨を伝えるため不可欠と判断したときは、そのまま放送することができる。ただし、日本の少年法と著しく均衡を欠くことがないように取り扱いに十分注意する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版58

15国際・海外取材

❶番組制作の外部委託

●NHKは効率的な業務推進などを図るため関連団体に番組制作を委託しており、さらに、外部の制作ノウハウを取り入れて視聴者の幅広い要望に応える多彩な番組を放送するため、番組制作会社にも制作を委託している。

●番組制作会社は、公共放送を支えるうえで欠かせないパートナーになっている。番組制作会社と NHKおよび関連団体は、番組企画についての競争を一層進めるとともに、番組制作の過程を通じて、互いのノウハウを共有しあうことで競争的共存関係を深め、公共放送にふさわしい質の高い多様なコンテンツを確保していく。

●番組制作会社が制作した番組であっても、放送に関する責任は NHKにある。NHKおよび関連団体の制作責任者は、的確に制作過程の管理を行い、完成した番組の内容をチェックする。

●ニュース・番組制作関連業務などの委託については、これまでの実績や専門性などを検討したうえで、所属の部局長の許可を得て行う。

●番組制作会社や事業者、または個人に委託する業務の例は次のとおりである。プロデューサー、アシスタントプロデューサー、ディレクター、アシスタントディレクター、フロアディレクター、映像取材、リサーチャー・コーディネーター、通訳・翻訳、映像編集、音響効果などポストプロダクションに関わる業務、ニュース制作・送出業務、テロップ作成業務、CG制作、ホームページ制作、脚本・構成台本委嘱、テーマ音楽など作詞・作曲委嘱、音源制作、デザインの作成など

❷業務委託の契約

●番組制作を番組制作会社に委託する場合や、ニュース・番組制作関連業務を番組制作会社や事業者、または個人に委託する場合は、放送ガイドラインや「NHK国内番組基準」「NHK国際番組基準」などを守ることを確認する。委託にあたっては、法令などを順守し、委託する契約条件や業務内容などを適正に記載した契約を結ぶ。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 59

16取材・制作の委託

16 取材・制作の委託

●視聴者が負担する受信料の重みを自覚し、受信料が公金であるという意識を常に念頭に置かなければならない。

●経費の使用にあたっては、公私のけじめを明確にし、経済性・効率性を心がけるとともに、適正で迅速な事務処理を行う。公序良俗や社会常識に反する経費の使用は認められない。

●物品の代金などの支払いは、手続きに則り、金融機関を通じ正しく処理する。特に委嘱料や出演料などについては、次のような点に留意する。

【委嘱料】●脚本・構成台本、作詞・作曲などの委嘱を行う場合は、必要性や契約額の妥当性を

吟味したうえで事前に専門の委員会の承認を受ける。支払いに際しては、所属の部長を含め複数で、成果物(現物)を確認する。

●美術や衣装のコーディネート、監修、指導、考証などの業務についても、専門の委員会の審査を受け、効率的な運用と厳正で透明性のある経理処理を行う。

【出演料】●出演料は、出演内容の実態に基づき、収録後(生放送の場合は放送後)速やかに支

払う。●一般の方や出演内容などによっては、出演料ではなく記念品とする場合や、その他

の対応を取る場合もあり、番組の構成や趣旨に基づいて適切に判断する。

【謝礼】●日々のニュース取材の中では、通常、取材相手に謝礼金を渡すことはない。取材や

番組制作のため特に負担をかけた場合などは、範囲で謝品・謝礼金を渡すこともあるが、必ず上司の承認を得る。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版60

厳正な経理処理

17

17 厳正な経理処理

❶視聴者の声への対応

●公共放送である NHKは、視聴者によって支えられており、視聴者との結びつきが極めて大切である。ニュース・番組に対する問い合わせや意見、苦情などには誠意を持ってできるだけ迅速に対応する。批判や苦情も含め、視聴者の声は「豊かで良い放送」を実現するための糧である。

●寄せられた内容によっては、上司や責任者に報告し、上司や責任者が中心になって適切に対応する。

●番組の企画・制作や編成にあたっては、視聴者の要望や反響に加え、NHKが行う各種の調査の結果なども考慮しながら検討する。

●視聴者から寄せられた苦情や要望などへの対応結果は、経営委員会に報告することが放送法によって義務づけられている。内部規程に従って的確な対応を行う。

●視聴者から寄せられた手紙や電子メール、電話による要望や苦情、意見などは、本来の目的以外で使用しないように厳重に管理する。また、個人情報の管理にも万全を期する。

❷訂正放送

●放送法第 9 条に基づいて、内容の訂正や取り消しを放送する場合を「訂正放送」と言う。訂正放送の請求を受けた場合は、NHK内部の手順に従って調査を進め、訂正や取り消しの放送が必要と判断された場合には、 2 日以内に適切な放送枠で訂正

放送法 第27条(苦情処理)協会は、その業務に関して申出のあつた苦情その他の意見については、適切かつ迅速にこれを処理しなければならない。

… 放送法 第39条(経営委員会の運営)4 会長は、 3 箇月に 1 回以上、自己の職務の執行の状況並びに第 27 条

の苦情その他の意見及びその処理の結果の概要を経営委員会に報告しなければならない。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 61

誠意ある対応

18

18 誠意ある対応

放送を行う。

● 1996(平成 8)年、NHK総合テレビの番組で紹介した離婚経験者の男性の元妻から、「番組の内容に誤りがあり、真実でない放送によって、名誉やプライバシーを傷つけられた」として、NHKに対して訂正放送や損害賠償などを求める裁判が起こされた。

●このうち、訂正放送について最高裁判所は、 2004(平成 16)年 11 月 25 日、「放送法の訂正放送の規定は、他からの関与を排除して表現の自由を保障する放送法の理念からすれば、放送局が自律的に訂正放送を行うことを国民全体への義務として定めたものと解釈すべきであり、被害者が裁判を通じて訂正放送を求める権利を認めてはいない」という初めての判断を示した。

●一方、放送による名誉毀損などについては、東京高等裁判所が元妻の主張を認め、真実でない放送が行われたとして、NHKに損害賠償の支払いを命じ、最高裁で確定した。これを受けて NHKは、放送法に従って、自主的に訂正放送を行うべきとの判断に至り、最高裁判決翌日の総合テレビの同じ番組の中で、「女性の名誉を傷つける結果となったことをおわびし、訂正する」などと伝えた。

●最高裁は、放送法に基づく訂正放送を裁判で求める権利を否定したが、放送による名誉棄損などが成立した場合に、民放 723 条に基づく「謝罪放送」が認められるかどうかについては、判断していない。今後の司法判断を待たなくてはならない。

放送法 第9条(訂正放送等)放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によって、その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあった日から3 箇月以内に請求があったときは、放送事業者は、遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から 2 日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。2 放送事業者がその放送について真実でない事項を発見したときも、前項

と同様とする。3 前二項の規定は、民法の規定による損害賠償の請求を妨げるものでは

ない。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版62

18誠意ある対応

❸BPO(放送倫理・番組向上機構)

●視聴者からの苦情に対しては、NHKが自主的に対応するのが大原則だが、放送への信頼をより確かなものにするため、NHKは民放と共同で、2003(平成 15)年、すでに設置されていた放送界独自の 2 つの第三者機関を発展させ、「放送倫理・番組向上機構(BPO)」を設立した。

●BPOは、視聴者と放送局をつなぐ第三者機関として、視聴者から寄せられた放送に対する意見や苦情、放送倫理上の問題に対し、独立した立場で判断し、放送局に伝えることで、放送倫理を高めていくことを目的としている。

●BPOには、「放送倫理検証委員会」「放送と人権等権利に関する委員会」「放送と青少年に関する委員会」の 3 つの委員会があり、放送をめぐる視聴者からの意見や苦情を受け付けて審理をしたり、放送倫理・番組向上のための審議をしたりしている。放送局に再発防止策の提出を求めることもできる。

●「放送倫理検証委員会」は、関西テレビによる「発掘!あるある大事典Ⅱ」のねつ造問題を受けて、BPOの機能を強化して再発防止を図るため、 2007(平成 19)年に設立された。放送番組の向上のための審議をして「意見」を公表するとともに、虚偽の内容により、視聴者に著しい誤解を与えた疑いのある番組が放送された場合、放送倫理上問題があったか否かを調査・審理して「勧告」や「見解」を公表する。

●「放送と人権等権利に関する委員会」(略称 放送人権委員会)は、個人からの苦情申し立てを受けて、放送による権利侵害があったかどうかを審査し、「勧告」または「見解」を公表する。また、放送と人権についての「要望」や「声明」などを公表することもある。このほか、仲介・あっせんも行い、当事者間の話し合いでは解決できなかった問題を、第三者の立場で判断して解決につなげようと努めている。

●「放送と青少年に関する委員会」(略称 青少年委員会)は、青少年に対する放送のあり方や、放送が青少年に与える影響に関して、視聴者から寄せられた意見を基に審議を行っている。その結果は、必要に応じて「見解」として公表し、放送局に自主的な改善を要請している。

●表現や報道の自由に対する外部からの不当な介入を防ぐ意味からも、BPOの活動を尊重し、周知に努めるとともに、BPOに寄せられる意見や苦情に対しても謙虚に受け止め、誠実に対応する。

BPO放送倫理検証委員会 https://www.bpo.gr.jp/?page_id=799BPO放送人権委員会 https://www.bpo.gr.jp/?page_id=950BPO青少年委員会 https://www.bpo.gr.jp/?page_id=958

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 63

誠意ある対応

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 放送法(抜粋)[施行 昭和25年 6月 1日  最終改正交付 令和元年6月 5日]

(目的)… 第 1条 この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、

その健全な発達を図ることを目的とする。一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由

を確保すること。三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発

達に資するようにすること。

(放送番組編集の自由)… 第 3条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又

は規律されることがない。

(国内放送等の放送番組の編集等)… 第 4条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編

集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。一 公安及び善良な風俗を害しないこと。二 政治的に公平であること。三 報道は事実をまげないですること。四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかに

すること。

(番組基準)… 第 5条 放送事業者は、放送番組の種別(教養番組、教育番組、報道番組、娯楽番組等の区

分をいう。以下同じ。)及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準(以下「番組基準」という。)を定め、これに従つて放送番組の編集をしなければならない。

2 放送事業者は、国内放送等について前項の規定により番組基準を定めた場合には、総務省令で定めるところにより、これを公表しなければならない。これを変更した場合も、同様とする。

(放送番組審議機関)… 第 6条 放送事業者は、放送番組の適正を図るため、放送番組審議機関(以下「審議機関」と

いう。)を置くものとする。2 審議機関は、放送事業者の諮問に応じ、放送番組の適正を図るため必要な事項を審議するほか、これに関し、放送事業者に対して意見を述べることができる。

3 放送事業者は、番組基準及び放送番組の編集に関する基本計画を定め、又はこれを

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版64

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変更しようとするときは、審議機関に諮問しなければならない。4 放送事業者は、審議機関が第2項の規定により諮問に応じて答申し、又は意見を述べた事項があるときは、これを尊重して必要な措置をしなければならない。

5 放送事業者は、総務省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を審議機関に報告しなければならない。

一 前項の規定により講じた措置の内容二 第9条第 1項の規定による訂正又は取消しの放送の実施状況三 放送番組に関して申出のあつた苦情その他の意見の概要6 放送事業者は、審議機関からの答申又は意見を放送番組に反映させるようにするため審議機関の機能の活用に努めるとともに、総務省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を公表しなければならない。

一 審議機関が放送事業者の諮問に応じてした答申又は放送事業者に対して述べた意見の内容その他審議機関の議事の概要

二 第四項の規定により講じた措置の内容

(訂正放送等)… 第 9条 放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によつて、その放送により権

利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあつた日から3箇月以内に請求があつたときは、放送事業者は、遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から2日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。

2 放送事業者がその放送について真実でない事項を発見したときも、前項と同様とする。

3 前 2項の規定は、民法(明治29年法律第89号)の規定による損害賠償の請求を妨げるものではない。

(放送番組の保存)… 第 10条 放送事業者は、当該放送番組の放送後3箇月間(前条第1項の規定による訂正又は

取消しの放送の請求があつた放送について、その請求に係る事案が3箇月を超えて継続する場合は、 6箇月を超えない範囲内において当該事案が継続する期間)は、政令で定めるところにより、放送番組の内容を放送後において審議機関又は同条の規定による訂正若しくは取消しの放送の関係者が視聴その他の方法により確認することができるように放送番組を保存しなければならない。

(目的)… 第 15条 協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、

かつ、良い放送番組による国内基幹放送(国内放送である基幹放送をいう。以下同じ。)を行うとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送及び協会国際衛星放送を行うことを目的とする。

(業務)… 第 20条 協会は、第 15条の目的を達成するため、次の業務を行う。

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一 次に掲げる放送による国内基幹放送(特定地上基幹放送局を用いて行われるものに限る。)を行うこと。

イ 中波放送ロ 超短波放送ハ テレビジョン放送

二 テレビジョン放送による国内基幹放送(電波法の規定により協会以外の者が受けた免許に係る基幹放送局を用いて行われる衛星基幹放送に限る。)を行うこと。

三 放送及びその受信の進歩発達に必要な調査研究を行うこと。四 邦人向け国際放送及び外国人向け国際放送を行うこと。五 邦人向け協会国際衛星放送及び外国人向け協会国際衛星放送を行うこと。2 協会は、前項の業務のほか、第15条の目的を達成するため、次の業務を行うことができる。

二 協会が放送した又は放送する放送番組及びその編集上必要な資料その他の協会が放送した又は放送する放送番組に対する理解の増進に資する情報(これらを編集したものを含む。次号において「放送番組等」という。)を電気通信回線を通じて一般の利用に供すること(放送に該当するものを除く。)。

三 放送番組等を、放送番組を電気通信回線を通じて一般の利用に供する事業を行う者(放送事業者及び外国放送事業者を除く。)に提供すること(協会のテレビジョン放送による国内基幹放送の全ての放送番組を当該国内基幹放送と同時に提供することを除く。)。

(苦情処理)… 第 27条 協会は、その業務に関して申出のあつた苦情その他の意見については、適切かつ迅

速にこれを処理しなければならない。

(経営委員会の設置)… 第 28条 協会に経営委員会を置く。

(委員の権限等)… 第 32条 委員は、この法律又はこの法律に基づく命令に別段の定めがある場合を除き、個別

の放送番組の編集その他の協会の業務を執行することができない。2 委員は、個別の放送番組の編集について、第3条の規定に抵触する行為をしてはならない。

(経営委員会の運営)… 第 39条 経営委員会は、委員長が招集する。

4 会長は、 3箇月に 1回以上、自己の職務の執行の状況並びに第27条の苦情その他の意見及びその処理の結果の概要を経営委員会に報告しなければならない。

5 会長は、経営委員会の要求があつたときは、経営委員会に出席し、経営委員会が求めた事項について説明をしなければならない。

(国際放送の実施の要請等)第65条 総務大臣は、協会に対し、放送区域、放送事項(邦人の生命、身体及び財産の保護

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に係る事項、国の重要な政策に係る事項、国の文化、伝統及び社会経済に係る重要事項その他の国の重要事項に係るものに限る。)その他必要な事項を指定して国際放送又は協会国際衛星放送を行うことを要請することができる。

2 総務大臣は、前項の要請をする場合には、協会の放送番組の編集の自由に配慮しなければならない。

3 協会は、総務大臣から第1項の要請があつたときは、これに応じるよう努めるものとする。

(放送に関する研究)… 第 66条 総務大臣は、放送及びその受信の進歩発達を図るため必要と認めるときは、協会に

対し、事項を定めてその研究を命ずることができる。2 前項の規定によつて行われた研究の成果は、放送事業の発達その他公共の利益になるように利用されなければならない。

(国際放送等の費用負担)… 第 67条 第 65 条第 1項の要請に応じて協会が行う国際放送又は協会国際衛星放送に要する

費用及び前条第 1項の命令を受けて協会が行う研究に要する費用は、国の負担とする。

2 第 65条第 1項の要請及び前条第1項の命令は、前項の規定により国が負担する金額が国会の議決を経た予算の金額を超えない範囲内でしなければならない。

(放送番組の編集等)… 第 81条 協会は、国内基幹放送の放送番組の編集及び放送に当たつては、第4条第 1項に

定めるところによるほか、次の各号の定めるところによらなければならない。一 豊かで、かつ、良い放送番組の放送を行うことによつて公衆の要望を満たすとと

もに文化水準の向上に寄与するように、最大の努力を払うこと。二 全国向けの放送番組のほか、地方向けの放送番組を有するようにすること。三 我が国の過去の優れた文化の保存並びに新たな文化の育成及び普及に役立つよう

にすること。2 協会は、公衆の要望を知るため、定期的に、科学的な世論調査を行い、かつ、その結果を公表しなければならない。

3 第 106条第 1項の規定は協会の中波放送及び超短波放送の放送番組の編集について、第107条の規定は中波放送及び超短波放送を行う場合における協会について準用する。

4 協会は、邦人向け国際放送若しくは邦人向け協会国際衛星放送の放送番組の編集及び放送又は外国放送事業者に提供する邦人向けの放送番組の編集に当たつては、海外同胞向けの適切な報道番組及び娯楽番組を有するようにしなければならない。

5 協会は、外国人向け国際放送若しくは外国人向け協会国際衛星放送の放送番組の編集及び放送又は外国放送事業者に提供する外国人向けの放送番組の編集に当たつては、我が国の文化、産業その他の事情を紹介して我が国に対する正しい認識を培い、及び普及すること等によつて国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資するようにしなければならない。

6 第 5条第 1項、第 6条、第 8条から第11条まで、第13条、第 110条、第

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174条及び第 175条の規定は、協会が外国の放送局を用いて国際放送又は協会国際衛星放送を行う場合について準用する。

(放送番組審議会)… 第 82条 協会は、第 6条第 1項(前条第6項において準用する場合を含む。)の審議機関と

して、国内基幹放送に係る中央放送番組審議会(以下「中央審議会」という。)及び地方放送番組審議会(以下「地方審議会」という。)並びに国際放送及び協会国際衛星放送(以下この条において「国際放送等」という。)に係る国際放送番組審議会(以下「国際審議会」という。)を置くものとする。

2 地方審議会は、政令で定める地域ごとに置くものとする。3 中央審議会は委員15人以上、地方審議会は委員7人以上、国際審議会は委員10人以上をもつて組織する。

4 中央審議会及び国際審議会の委員は、学識経験を有する者のうちから、経営委員会の同意を得て、会長が委嘱する。

5 地方審議会の委員は、学識経験を有する者であつて、当該地方審議会に係る第2項に規定する地域に住所を有するもののうちから、会長が委嘱する。

6 第 6条第 2項(前条第6項において準用する場合を含む。第8項において同じ。)の規定により協会の諮問に応じて審議する事項は、中央審議会にあつては国内基幹放送に係る第6条第 3項に規定するもの及び全国向けの放送番組に係るもの、地方審議会にあつては第2項に規定する地域向けの放送番組に係るもの、国際審議会にあつては国際放送等に係る同条第3項に規定するもの及び国際放送等の放送番組に係るものとする。

7 協会は、第2項に規定する地域向けの放送番組の編集及び放送に関する計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、地方審議会に諮問しなければならない。

8 第 6条第 2項の規定により協会に対して意見を述べることができる事項は、中央審議会及び地方審議会にあつては国内基幹放送の放送番組に係るもの、国際審議会にあつては国際放送等の放送番組に係るものとする。

(広告放送の禁止)… 第 83条 協会は、他人の営業に関する広告の放送をしてはならない。

2 前項の規定は、放送番組編集上必要であつて、かつ、他人の営業に関する広告のためにするものでないと認められる場合において、著作者又は営業者の氏名又は名称等を放送することを妨げるものではない。

(国内基幹放送等の放送番組の編集等)第106条 基幹放送事業者は、テレビジョン放送による国内基幹放送及び内外基幹放送(内外

放送である基幹放送をいう。)(以下「国内基幹放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、特別な事業計画によるものを除くほか、教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け、放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない。

2 基幹放送事業者は、国内基幹放送等の教育番組の編集及び放送に当たつては、その放送の対象とする者が明確で、内容がその者に有益適切であり、組織的かつ継続的であるようにするとともに、その放送の計画及び内容をあらかじめ公衆が知ること

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ができるようにしなければならない。この場合において、当該番組が学校向けのものであるときは、その内容が学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するようにしなければならない。

(災害の場合の放送)第108条 基幹放送事業者は、国内基幹放送等を行うに当たり、暴風、豪雨、洪水、地震、大

規模な火事その他による災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、その発生を予防し、又はその被害を軽減するために役立つ放送をするようにしなければならない。

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 NHK国内番組基準[制定 昭和34年 7月 21日  改正 平成10年 5月 26日]

日本放送協会は、全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保し、豊かで、よい放送を行うことによって、公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くさなければならない。この自覚に基づき、日本放送協会は、その放送において、

1 世界平和の理想の実現に寄与し、人類の幸福に貢献する2 基本的人権を尊重し、民主主義精神の徹底を図る3 教養、情操、道徳による人格の向上を図り、合理的精神を養うのに役立つようにする4 わが国の過去のすぐれた文化の保存と新しい文化の育成・普及に貢献する5 公共放送としての権威と品位を保ち、公衆の期待と要望にそうものであることを基本原則として、ここに、国内放送の放送番組の編集の基準を定める。

第1章 放送番組一般の基準

第1項 人権・人格・名誉1 人権を守り、人格を尊重する。2 個人や団体の名誉を傷つけたり、信用をそこなうような放送はしない。3 職業を差別的に取り扱わない。

第2項 人種・民族・国際関係1 人種的、民族的偏見を持たせるような放送はしない。2 国際親善を妨げるような放送はしない。

第3項 宗教 宗教に関する放送は、信仰の自由を尊重し、公正に取り扱う。

第4項 政治・経済1 政治上の諸問題は、公正に取り扱う。2 公職選挙法に基づく政見放送および経歴放送については、法律に従って実施する。3 経済上の諸問題で、一般に重大な影響を与えるおそれのあるものについては、特に慎重を期する。

第5項 論争・裁判1 意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱う。

2 現在、裁判にかかっている事件については、正しい法的措置を妨げるような取り扱いをしない。

第6項 社会生活1 国民生活を安らかにすることにつとめ、また、相互扶助の精神を高めるようにする。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版70

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2 公安および公益をみだすような放送はしない。3 暴力行為は、どのような場合にも是認しない。

第7項 地域文化 地域の多様性を尊重し、地域文化の創造に役立つ放送を行う。

第8項 家庭 結婚はまじめに取り扱い、家庭生活を尊重する。

第9項 風俗1 人命を軽視したり、自殺を賛美したりしない。2 性に関する問題は、まじめに、品位を失わないように取り扱う。3 不健全な男女関係を魅力的に取り扱ったり、肯定するような表現はしない。

第10項 犯罪1 犯罪については、法律を尊重し、犯人を魅力的に表現したり、犯罪行為を是認するような取り扱いはしない。

2 犯罪の手段や経過などについては、必要以上に詳細な描写をしない。3 とばくまたはそれに類似の行為を是認したり、魅力ある行為として描写したりしない。4 医療以外の麻薬の使用は、悪癖としてのほかは取り上げない。

第11項 表現1 わかりやすい表現を用い、正しいことばの普及につとめる。2 放送のことばは、原則として、共通語によるものとし、必要により方言を用いる。3 下品なことばづかいはできるだけ避け、また、卑わいなことばや動作による表現はしない。4 人心に恐怖や不安または不快の念を起こさせるような表現はしない。5 残虐な行為や肉体の苦痛を詳細に描写したり、誇大に暗示したりしない。6 通常知覚できない技法で、潜在意識に働きかける表現はしない。7 アニメーション等の映像手法による身体への影響に配慮する。8 放送の内容や表現については、受信者の生活時間との関係を十分に考慮する。9 ニュース、臨時ニュース、公示事項、気象通報などの放送形式を劇中の効果などに用いるときは、事実と混同されることのないように慎重に取り扱う。

第12項 広告1 営業広告または売名的宣伝を目的とする放送は、いっさい行わない。2 放送中に、特定の団体名または個人名あるいは職業、商号および商品名が含まれる場合は、それが、その放送の本質的要素であるかどうか、または演出上やむをえないものかどうかを公正に判断して、その取り扱いを決定する。

第13項 懸賞1 報酬や賞品だけで受信者をひきつけたり、必要以上に射幸心を刺激することのないようにする。

2 懸賞番組については、応募者または参加者のすべてが、公正な審査により、技能に応じて賞

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が受けられるように配慮する。3 作品の募集にあたっては、その優劣を判断する基準と賞品の内容とを明らかに公表する。

第14項 訂正 放送が事実と相違していることが明らかになったときは、すみやかに取り消し、または訂正する。

第2章 各種放送番組の基準…第1項 教養番組1 一般的教養の向上を図り、文化水準を高めることを旨とする。2 大多数の要望ばかりでなく、あらゆる階層の要望も満たすようにつとめる。3 社会的関心を高め、また、生活文化についての知識を深めるようにつとめる。4 学術研究の発表その他専門にわたる放送に関しては、その学術上の権威と重要性を尊重し、取り扱いは、一般に認められている倫理と専門的な標準に従う。

第2項 教育番組1 放送の対象を明確にし、番組の内容がその対象にとって、有益適切であるようにつとめる。2 教育効果を高めるため、組織的かつ継続的であるようにする。3 放送を通じて、教育の機会均等のために努力する。

第3項 学校放送番組1 学校教育の基本方針に基づいて実施し、放送でなくては与えられない学習効果をあげるようにつとめる。

2 各学年の生徒の学習態度や心身の発達段階に応ずるように配慮する。3 教師の学習指導法などの改善・向上に寄与するようにつとめる。

第4項 児童向け番組1 児童に与える影響を考慮し、豊かな情操と健全な精神を養うようにつとめる。2 児童がまねることによって害になる放送や児童に主旨が誤解されやすい放送はしない。3 児童に異常な恐怖を与えるような表現はしない。4 児童に害を与える迷信は、取り扱わない。

第5項 報道番組1 言論の自由を維持し、真実を報道する。2 ニュースは、事実を客観的に取り扱い、ゆがめたり、隠したり、また、せん動的な表現はしない。

3 ニュースの中に特定の意見をはさむときは、事実と意見とが明らかに区別されるように表現する。

4 災害などの緊急事態に際しては、すすんで情報を提供して、人命を守り、災害の予防と拡大防止に寄与するようにつとめる。

5 ニュース解説または論評は、ニュースと明確に区別されるように取り扱う。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版72

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第6項 スポーツ番組1 健全なスポーツ精神のかん養と体位の向上に役立つようにつとめる。2 アマチュアスポーツの取り扱いは、その目的と精神を尊重し、特に少年選手については慎重にする。

第7項 芸能番組1 すぐれた芸能を取り上げ、情操を豊かにするようにつとめる。2 古典芸能の保存と各種の芸能の育成に役立つようにつとめる。3 放送の特性を生かした新しい芸術分野を開拓する。4 芸術作品の放送については、その芸術性を尊重し、取り扱いは、良識に基づいて慎重に行う。

第8項 娯楽番組1 家庭を明るくし、生活内容を豊かにするような健全な娯楽を提供する。2 身体的欠陥などにふれなければならないときは、特に慎重に取り扱う。3 方言や地方特有の風俗を扱うときは、その地方の人々に反感や不快の念を与えないように配慮する。

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 NHK国際番組基準[制定 昭和34年 7月 21日  改正 平成23年 6月 30日]

日本放送協会は、放送法の定めるところにより、わが国を代表する国際放送機関としての自覚のもとに、外国人向けおよび邦人向け国際放送および協会国際衛星放送を通じて、諸外国のわが国にたいする理解を深め、国際間の文化および経済交流の発展に資し、ひいては国際親善と人類の福祉に貢献するとともに、邦人に適切な報道および娯楽を提供するため、次のとおり外国人向けおよび邦人向け国際放送および協会国際衛星放送の放送番組の編集の基準を定める。

第1章 一般基準

1 編集にあたっては人権を尊重し、自由と民主主義とを基調とする。2 内外のニュースを迅速かつ客観的に報道するとともに、わが国の重要な政策および国際問題にたいする公的見解ならびにわが国の世論の動向を正しく伝える。

3 外国人向け国際放送および協会国際衛星放送(以下「外国人向け放送」という。)にあっては、ひろくわが国の文化、産業等の実情を紹介する。

4 邦人向け国際放送および協会国際衛星放送(以下「邦人向け放送」という。)にあっては、邦人に適切な情報と安らぎを与える。

5 放送番組の編集にあたっては、「国内番組基準」の「第1章放送番組一般の基準」を準用する。ただし、外国人向け放送については、第4項の 2、第 6項の 1、第 7項、第 11項の 2、第14項を、邦人向け放送については、第4項の 2、第 7項、第 14項をのぞく。

第2章 番組編成の基準

1 各種放送番組の相互の調和を保つよう努める。2 それぞれの地域の政体・民族・宗教・風俗習慣などの特殊性を考慮する。

第3章 各種放送番組の基準

第1項 報道番組1 ニュースは、事実を客観的に取り扱い、真実を伝える。2 解説・論調は、公正な批判と見解のもとに、わが国の立場を鮮明にする。3 わが国の世論を正しく反映するようにつとめる。

第2項 インフォメーション番組政治・経済・社会・文化・芸能・科学・観光など、ひろくわが国や世界の実情を紹介して、わ

が国や世界にたいする正しい認識をつちかうことを旨とする。

第3項 娯楽番組品位のある健全な娯楽を提供する。

第4章 訂 正放送が事実と相違していることが明らかになったときは、すみやかに取り消し、または訂正

する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版74

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 NHK倫理・行動憲章[制定 平成16年9月30日  改定 平成20年10月15日]

NHKは、公共放送として自主自律を堅持し、健全な民主主義の発展と文化の向上に役立つ、豊かで良い放送を行うことを使命としています。私たちは、その使命と社会的責任を深く自覚し、次のことを行動の基本に掲げ、職務を誠実に遂行します。

○公共放送の使命を貫きます。○視聴者のみなさまの信頼を大切にします。○受信料の重みを認識して業務を行います。○コンプライアンスを徹底します。○活力あるより良い職場環境を追求します。

行動指針 [改定 平成23年4月1日][改定 平成27年4月1日]

○公共放送の使命を貫きます。◆いかなる圧力や働きかけにも左右されることなく、みずからの責任において、ニュースや番組の取材・制作・編集を行います。

◆放送の公平・公正を保ち、幅広い視点から情報を提供します。◆正確な放送を行い、事実をゆがめたり、誤解を招いたりする放送は行いません。事実との相違が明らかになったときは、速やかに訂正します。

◆人権、人格を尊重する放送を行います。◆取材相手には誠実に接します。◆取材源の秘匿を貫きます。◆暴力、俗悪、差別などを排除し、青少年の健全な育成に努めます。◆高齢者や障害者などに十分配慮した、人にやさしい放送に取り組みます。◆大きな災害が発生したときやそのおそれがあるときは、人命や財産を守るために全力を尽くします。

◆文化の担い手、情報の発信拠点として地域に貢献します。◆著作者や出演者の権利を尊重します。

○視聴者のみなさまの信頼を大切にします。◆受信料制度の理解促進に努め、公平に負担していただけるよう全力で取り組みます。◆お問い合わせには、迅速、ていねいにこたえます。ご意見、ご要望は真

しんし

摯に受け止め、番組

NHKの全役職員は、本憲章を順守し、その徹底を図ります。会長・役員および各組織の長は、本憲章に反する事態が発生したときは、迅速に調査と原因究明にあたり、再発防止に努めるとともに、社会への説明責任を果たします

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 75

資料編

制作や事業活動に生かします。◆NHK情報公開基準にのっとり、事業全般にわたる情報をわかりやすく、積極的に公開します。

○受信料の重みを認識して業務を行います。◆NHKの主たる財源が受信料であることを深く認識し、経済性・効率性に留意した業務運営に努めます。

◆関係法令や経理規程にのっとり、適正な経理処理を行います。◆外部との取り引きにあたっては、透明性の確保に努めます。

○コンプライアンスを徹底します。◆行動や判断を常に自問し、法令・社会のルール、内部規程の順守を徹底します。◆公私の区別を徹底し誠実に職務を遂行します。私生活でも公共放送の信用を損なう行為をしません。

◆職務上知ることのできた情報を個人の利益のために利用しません。インサイダー取引は決して行いません。

◆職務上知ることのできた機密や個人情報は、適正な取り扱いを徹底し、漏ろうえい

洩しないよう厳重に管理します。

◆ITは効率的な業務運営やより豊かな視聴者サービスのために活用し、インターネットの私的利用や不適切なアクセスなどの行為は決して行いません。

◆暴力団など、社会の秩序や安全に脅威を与える団体や個人からの、不当な要求には一切応じず、常に毅

きぜん

然とした態度で臨みます。◆不正な金品などの授受は行いません。◆不正を知ったときは、上司に報告するか、定められた窓口に通報します。

○活力あるより良い職場環境を追求します。◆創造性を重んじ、活発な議論の行われる風通しの良い職場を追求します。◆人権、人格を尊重し、誰もが十分に能力を発揮できる規律ある職場を目指します。◆不当な差別やハラスメントなどを行いません。◆業務のあらゆる場面において安全管理を徹底します。◆職場の省エネ・省資源、廃棄物削減など、環境保全に向けて行動します。◆常に業務の点検を怠らず、課題の改善に取り組みます。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版76

資料編

 NHK・民放連「放送倫理基本綱領」[制定 平成8年 9月 19日]

日本放送協会と日本民間放送連盟は、各放送局の放送基準の根本にある理念を確認し、放送に期待されている使命を達成する決意を新たにするために、この放送倫理基本綱領を定めた。

放送は、その活動を通じて、福祉の増進、文化の向上、教育・教養の進展、産業・経済の繁栄に役立ち、平和な社会の実現に寄与することを使命とする。放送は、民主主義の精神にのっとり、放送の公共性を重んじ、法と秩序を守り、基本的人権を

尊重し、国民の知る権利に応えて、言論・表現の自由を守る。

放送は、いまや国民にとって最も身近なメディアであり、その社会的影響力はきわめて大きい。われわれは、このことを自覚し、放送が国民生活、とりわけ児童・青少年および家庭に与える影響を考慮して、新しい世代の育成に貢献するとともに、社会生活に役立つ情報と健全な娯楽を提供し、国民の生活を豊かにするようつとめる。

放送は、意見の分かれている問題については、できる限り多くの角度から論点を明らかにし、公正を保持しなければならない。放送は、適正な言葉と映像を用いると同時に、品位ある表現を心掛けるようつとめる。また、

万一、誤った表現があった場合、過ちをあらためることを恐れてはならない。

報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない。放送人は、放送に対する視聴者・国民の信頼を得るために、何者にも侵されない自主的・自律的な姿勢を堅持し、取材・制作の過程を適正に保つことにつとめる。さらに、民間放送の場合は、その経営基盤を支える広告の内容が、真実を伝え、視聴者に役立

つものであるように細心の注意をはらうことも、民間放送の視聴者に対する重要な責務である。

放送に携わるすべての人々が、この放送倫理基本綱領を尊重し、遵守することによってはじめて、放送は、その使命を達成するとともに、視聴者・国民に信頼され、かつ愛されることになると確信する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 77

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 犯罪被害者等基本計画に対する共同声明[平成17年 12月 27日]社団法人 日本新聞協会

社団法人 日本民間放送連盟

犯罪被害者等基本法の施行を受けた犯罪被害者等基本計画が27日、策定された。わが国では、これまで犯罪被害者の権利が顧みられることは少なく、十分な支援も受けてこられなかった。この基本計画は、遅まきながら、犯罪被害者のための総合的施策のスタート台となるもので、私たちも評価する。

ただ、その中で、被害者名の発表を実名でするか匿名でするかを警察が判断するとしている項目については、容認できない。匿名発表では、被害者やその周辺取材が困難になり、警察に都合の悪いことが隠される恐れもある。私たちは、正確で客観的な取材、検証、報道で、国民の知る権利に応えるという使命を果たすため、被害者の発表は実名でなければならないと考える。

実名発表はただちに実名報道を意味しない。私たちは、被害者への配慮を優先に実名報道か匿名報道かを自律的に判断し、その結果生じる責任は正面から引き受ける。これまでもそう努めてきたし、今後も最大限の努力をしたいと考えている。私たちはこれまで、この被害者名発表に関する項目に異議を唱えて改善を求めてきたが、それは、被害者対策と国民の知る権利という、いずれも大切な公益をいたずらに対立させるのではなく、調和させる道があると信じたからである。私たちの再三の求めが容れられなかったのは極めて残念で、ここに改めて遺憾の意を表明する。

基本計画の策定にあたった内閣府の犯罪被害者等基本計画検討会で、この項目への私たちの危惧に対し、警察側構成員は「従来の私どもの考え方を何ら変更するものではない」と答えている。計画にこの項目が盛り込まれたとしても匿名発表が現在以上に増えることはない。そう確約したものと、私たちは受け止める。警察現場で、この項目が恣意的に運用されることのないよう、私たちは国民とともに厳しく監視したい。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版78

資料編

 国民保護法制 関連規程(抜粋 条文は要約)

武力事態対処法(抜粋)

第2条第7号指定公共機関独立行政法人、日本銀行、日本赤十字社、日本放送協会その他の公共的機関及び電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、政令で定めるものをいう。

第6条指定公共機関は、国及び地方公共団体その他の機関と相互に協力し、武力攻撃事態等への対処に関し、その業務について、必要な措置を実施する責務を有する。

法第2条第 7号の政令で定める公共的機関及び公益的事業を営む法人は、次のとおりとする。 17 日本放送協会

国民保護法(抜粋)

第3条第3項指定公共機関及び指定地方公共機関は、武力攻撃事態等においては、この法律で定めるところにより、その業務について、国民の保護のための措置を実施する責務を有する。

第3条第4項国、地方公共団体並びに指定公共機関及び指定地方公共機関は、国民の保護のための措置を実施するに当たっては、相互に連携協力し、その的確かつ迅速な実施に万全を期さなければならない。

第7条第2項国及び地方公共団体は、放送事業者である指定公共機関及び指定地方公共機関が実施する国民の保護のための措置については、その言論その他表現の自由に特に配慮しなければならない。

第36条第1項指定公共機関は、基本方針に基づき、その業務に関し、国民の保護に関する業務計画を作成しなければならない。

第36条第3項1 当該指定公共機関又は指定地方公共機関が実施する国民の保護のための措置の内容及び実

施方法に関する事項2 国民の保護のための措置を実施するための体制に関する事項3 国民の保護のための措置の実施に関する関係機関との連携に関する事項

武力事態対処法施行令第3条

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 79

資料編

4 前 3号に掲げるもののほか、国民の保護のための措置の実施に関し必要な事項

第36条第4項指定公共機関及び指定地方公共機関は、それぞれその国民の保護に関する業務計画を作成したときは、速やかに、指定公共機関にあっては当該指定公共機関を所管する指定行政機関の長を経由して内閣総理大臣に、指定地方公共機関にあっては当該指定地方公共機関を指定した都道府県知事に報告しなければならない。この場合において、内閣総理大臣又は都道府県知事は、当該指定公共機関又は指定地方公共機関に対し、必要な助言をすることができる。

第50条、第57条、第101条放送事業者である指定公共機関及び指定地方公共機関は、それぞれその国民の保護に関する業務計画で定めるところにより、速やかに、警報の内容、避難指示等の内容、緊急通報の内容を放送しなければならない。

NHK国民保護業務計画(抜粋)[制定 平成18年 2月 28日  改正 平成28年 5月 31日]

第3章 国民の保護のための措置の実施

第1節 警報等の内容の放送第1 総務大臣から、警報またはその解除の通知を受けたときは、速やかに、その内容を、原

則として全国向けに放送する。第2 都道府県知事から、避難の指示もしくはその解除または緊急通報の通知を受けたとき

は、速やかに、その内容を当該都道府県の区域向けに放送するとともに、必要に応じその他の区域向けまたは全国向けに放送する。ただし、当該通知を受けた避難の指示の内容は、視聴者に迅速かつ的確に伝達されるよう、その正確性を損なわない範囲で、要約し、またはその表現を変更しもしくは簡潔にして、放送することを妨げない。

第3 前二項の規定による放送を行う場合において、当該放送の内容を含む放送番組の配列(編成)、放送系統、放送区域その他の放送の実施方法は、武力攻撃事態等の状況に即して、これを自主的に決定する。

第4 第 1項および第2項の規定による放送を行うに当たっては、高齢者、視聴覚障害者、外国人等への情報伝達にも配慮する。

第4章 関係機関との連携

第5節 安否情報等の収集への協力総務大臣、地方公共団体の長その他の関係機関から、当該機関の行う被災情報または安否情報の収集に協力するよう要請があったときは、当該要請に係る被災情報または安否情報を保有している場合は、個人情報その他第三者の権利利益の保護に十分な配慮を行いつつ、特段の支障のない範囲で、提供その他の協力を行う。ただし、当該要請に係る被災情報または安否情報が取材・報道を目的として取得しまたは保有しているものである場合は、原則として、提供による協力は行わないものとする。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版80

資料編

 NHK個人情報保護方針[制定 平成17年 2月 8日  改正 2019年 12月 24日]

日本放送協会(以下「NHK」という。)は、受信料によって支えられる公共放送機関として、視聴者の皆様の個人情報の重要性と、個人情報が個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることを深く認識しています。視聴者の皆様の個人情報を慎重かつ適正に取り扱うことは、NHKの重要な責務です。現在、個人情報のデジタル化によって多様な個人情報が瞬時かつ大量に、そしてグローバルに

伝播する環境が出現しています。また、個人情報を提供する個人の意識が高まり、その権利利益の保護がより求められるようになっています。公共放送の使命達成のためにより適正に個人情報を取り扱うことを目的に、以下の基本方針を定め、個人情報の保護に取り組んでいくことを宣言します。

1… 個人情報保護に関するコンプライアンス(法令遵守)個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)を

はじめとする個人情報に関する法令およびその他の規範を遵守するとともに、NHK内の規程に準拠して個人情報を適正に取り扱います。そのため、NHKの業務として個人情報を取り扱う者に対して、必要な教育を実施します。なお、個人番号をその内容に含む個人情報(以下「特定個人情報」という。)については、一般

法である個人情報保護法に定められる措置の特例として、より厳格な保護措置が、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号。以下「番号法」という。)で規定されています。NHKは、番号法その他関連する法令等に基づき、個人番号および特定個人情報に関する基本方針および取扱規程等を定め、個人番号および特定個人情報の保護に取り組んでいきます。

2… 個人情報保護施策の実施個人情報の利用を適正に行うための措置をとるとともに、個人情報の盗難、改ざんおよび漏洩

等によるプライバシーその他の権利の侵害を防止するため、適切な安全管理措置を講じます。個人情報の利用にあたっては、NHKが報道目的など個人情報保護法第76条第 1項に該当す

る目的で個人情報を取り扱う場合は、別に「報道・著述・学術研究分野に係る個人情報保護規程」を定め、また、それ以外の目的で個人情報を取り扱う場合は、別に「NHK個人情報保護規程」を定め、それぞれの規程に則って個人情報を適正に取り扱います。

3… 個人情報保護体制の整備個人情報の適切な管理を行うため、個人情報保護に関する管理者、責任者、担当者を配置し

ます。

4… 個人情報の取扱いに関する苦情等への対応個人情報の取扱いに関して寄せられた苦情や視聴者ご本人からの開示等の求めについては、全

国の放送局などで受け付け、迅速かつ適切に対応します。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 81

資料編

報道・著述・学術研究分野の個人情報の保護について

放 送 総 局 長

個人情報については、今日の情報化の進展や個人の権利意識の高まりの中で、一層慎重な取扱いが求められています。「個人情報の保護に関する法律」(平成17年 4月 1日全面施行)では、「報道」、「著述」、「学術研究」の目的で個人情報を取り扱う場合、個人情報取扱事業者の義務等を定めた規定の適用が除外されていますが、その一方でこれらの適用除外分野についても個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な措置を自ら講じて公表するよう努めなければならないとされています。もとより適用除外とされた「報道」、「著述」、「学術研究」の分野については、報道の自由、表

現の自由、学問の自由を堅持していく観点から、NHKが保有する個人情報は自主的、自律的にこれを適切に扱うべきことは言うまでもありません。NHKは、この基本的立場と社会的背景を踏まえ、NHKの取り扱う「報道」、「著述」、「学術

研究」分野の個人情報の保護について以下の規程を定めましたので、これに則り適切に取り扱います。

報道・著述・学術研究分野に係る個人情報保護規程 [改正 2019年 3月 12日]

(目的)… 第 1条 この規程は、NHK個人情報保護方針に基づき、NHKが次の各号に掲げる者として当

該各号に掲げる目的で個人情報を取り扱う場合について、その取扱いを自主的かつ適正に行うために必要な事項を定めることを目的とする。なお、この規程で使用する用語の定義は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)(以下「個人情報保護法」という。)第2条に規定するところによる。(1) 報道機関 報道の用に供する目的(2) 著述を業として行う者 著述の用に供する目的(3) 学術研究を目的とする機関もしくは団体またはそれらに属する者 学術研究の

用に供する目的

(従業者の義務)… 第 2条 NHKの組織内にあって直接間接にNHKの指揮監督を受けてNHKの業務に従事して

いる者(雇用関係にある職員、契約職員(雇用型、委託型)、スタッフ就業規則で定義するスタッフ、嘱託および派遣労働者のほか、役員等を含む。以下「従業者」という。)は、前条に規定する場合は、この規程に基づき、個人情報(本規程においては、前条各号に掲げる目的で取り扱う個人情報をいう。以下同じ。)を適正に取り扱わなければならない。

(適正な取扱い)… 第 3条 個人情報は、第1条の目的の範囲を超えて取り扱ってはならない。

(安全管理措置)… 第 4条 個人データ(本規程においては、第1条各号に掲げる目的で取り扱う個人情報に関す

報道・著述・学術研究分野の個人情報の保護について

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版82

資料編

る個人データ(個人情報保護法第2条第 6項に規定する個人データをいう。)をいう。以下同じ。)の漏えい、滅失またはき損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置(以下「安全管理措置」という。)を講じる。

(管理責任者)… 第 5条 個人データの安全管理措置については、部局長をその責任者とする。

(安全管理措置として講じる事項)… 第 6条 個人データについては、次に掲げる安全管理措置により、適切に管理を行う。

(1) 個人データの記録された物を保管する場所への出入りの管理(当該出入りを行うことに必要な権限を有する者の範囲の限定を含む。)

(2) 個人データに係るアクセスを行うための電子計算機の利用の管理(3) 第 1号の場所からの個人データの記録された物の持出しの管理(当該持出しの

方法の限定を含む。)(4) 個人データに係るアクセスの管理(アクセス権限者の限定、アクセス権限者の

確認、当該アクセス記録の保管を含む。)(5) 個人データの記録された物の紛失、盗難およびき損を防止するために必要な措置(6) 個人データに係る電気通信回線を通じた不正なアクセスを防止するために必要

な措置3 前項の区分を含む、個人情報の安全管理措置については、本規程によるほか、別に定めるところによる。

(従業者の監督)… 第 7条 従業者に個人データを取り扱わせるにあたっては、当該個人データの安全管理が図ら

れるよう、必要かつ適切な監督を行う。2 前項の監督を行うにあたっては、従業者を対象に、個人データの取扱いに係る従業者間の責任の分担および個人データの適正な取扱いについて、当該個人データの安全管理が図られるために必要な研修その他の啓発を行う。

(委託先の選定)… 第 8条 個人データの取扱いの全部または一部を委託する場合(個人データの取得を伴う業務

を委託する場合を含む。以下同じ。)は、その取扱いを適正かつ確実に行うことができると認められる者の中から委託先を選定するための基準を定め、当該基準に従って委託先を選定する。

(委託先の監督)… 第 9条 個人データの取扱いの全部または一部を委託する場合は、その取扱いを委託した個人

データの安全管理が図られるよう、委託先に対する必要かつ適切な監督を行う。2 委託先に対して前項の監督を行うにあたっては、委託先との契約において、次に掲げる事項を適正かつ明確に定めるとともに、定期的に、社会経済情勢の変化、安全管理のための措置の実施の状況等を勘案しつつ、当該契約の内容について見直しを行う。(1) 委託先がその取扱いを委託された個人データの漏えい、滅失またはき損の防止

のために講じる必要かつ適切な措置の内容

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 83

資料編

(2) NHKおよび委託先の責任に関する事項(委託先がその取扱いを委託された個人データの取扱いに関して知り得た秘密を漏らしてはならない旨を含む。)

(3) 委託先がその取扱いを委託された個人データの取扱いの全部または一部を再委託する場合における当該再委託に関する事項(当該委託先が、その取扱いを適正かつ確実に行うことができると認められる者の中から再委託先を選定するための基準を定め、当該基準に従って再委託先を選定する旨および当該再委託先に対する必要かつ適切な監督を行う旨を含む。)

(4) 契約終了時の個人データの取扱いに関する事項(5) 契約の内容を遵守しなかった場合の措置に関する事項

(個人情報保護管理者の選任)第10条 会長は、NHKにおけるこの規程の実施および運用に関する責任と権限を持つ者とし

て、役員等の中から個人情報保護管理者を指名する。

(個人情報保護責任者の選任)第11条 個人情報保護管理者は、本部各部局および各放送局におけるこの規程の実施および運

用に関する責任と権限を持つ者として、安全管理措置の責任者である各部局長を、個人情報保護責任者に指名する。個人情報保護責任者は、個人情報のセキュリティ対策、苦情への対応など本規程を実施する。

(個人情報保護担当者の選任)第12条 個人情報保護責任者は、所管する部局および放送局において適宜、個人情報のセキュ

リティ対策、苦情への対応など本規程を実施する個人情報保護担当者を指名する。

(苦情への対応)第13条 個人情報の取扱いに関する苦情については、次に掲げる場所で受け付ける。

(1) ふれあいセンター(2) NHK放送センター(3) 全国の放送局

2 受け付けた苦情に対しては、内容に応じ、該当する部局の個人情報保護責任者の責任において、迅速かつ適切に対応する。

(NHK個人情報保護規程の準用)第14条 監査および漏えい時の対応については、NHK個人情報保護規程第50条(監査の実

施)および第51条(漏えい等に関する対応)を準用する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版84

資料編

 放送倫理・番組向上機構(BPO)規約(抜粋)[制定 平成15年 7月 1日  改正 平成29年 3月 3日]

第1章 総   則

(目的)第3条 本機構は、放送事業の公共性と社会的影響の重大性に鑑み、言論と表現の自由を確保

しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理上の問題に対し、自主的に、独立した第三者の立場から迅速・的確に対応し、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与することを目的とする。

(事業)第4条 本機構は、前条の目的を達成するため、「評議員会」ならびに「放送倫理検証委員会」

「放送と人権等権利に関する委員会」および「放送と青少年に関する委員会」をおき、これを維持・運営し、次の事業を行う。(1) 評議員会

ア . 第 5章に定めるところによる。(2) 放送倫理検証委員会

ア . 放送倫理を高め、放送番組の質を向上させるため、放送番組の取材・制作のあり方や番組内容などに関する問題の審議

イ . 虚偽の疑いがある番組が放送されたことにより、視聴者に著しい誤解を与えた疑いがあると判断した場合に、放送倫理上の問題があったか否かの調査および審理

ウ . 前号の調査および審理に基づく勧告または見解の通知および公表エ . 前号の勧告または見解の一部として、放送事業者に対する再発防止計画提出

の要請オ . 前号に基づいて提出された再発防止計画およびその実施状況についての意見

の通知および公表カ . その他本機構の目的を達成するために必要な事項

(3) 放送と人権等権利に関する委員会ア . 個別の放送番組に関する放送法令または番組基準に係わる重大な苦情、特に

人権等の権利侵害に関する苦情(苦情申立人と放送事業者との話し合いが相容れない状況にあり、かつ、司法に基づき係争中でないもの)の審理

イ . 前号の審理に基づく苦情申立人および被申立人(放送事業者)への勧告または見解の提示

ウ . 前号の審理に基づく勧告または見解の構成員への報告および公表エ . その他本機構の目的を達成するために必要な事項

(4) 放送と青少年に関する委員会ア . 放送と青少年に関する視聴者の意見の把握および審議イ . 前号の審議に基づく見解の構成員への報告および公表ウ . 視聴者からの意見の構成員および関係団体への報告エ . 大学等研究機関と協力しての、放送と青少年に関する調査研究オ . その他本機構の目的を達成するために必要な事項

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 85

資料編

2 放送倫理検証委員会、放送と人権等権利に関する委員会および放送と青少年に関する委員会において、同一の放送番組を取り扱う場合、互いに連携して、必要な措置を講ずる。

第6章 放送倫理検証委員会

(委員会の目的)第23条 放送倫理検証委員会は、第4条第 1項第 2号に定める事業を行うほか、必要に応じ

て構成員に対し、第3条に定める目的達成のため、放送番組や放送倫理のあり方についての提言を行う。

(委員の構成)第24条 放送倫理検証委員会は、評議員会が有識者(放送事業者の役職員を除く)の中から選

任する8名以上 10名以内の委員で構成する。

(委員長および委員長代行)第25条 放送倫理検証委員会に委員長1名および委員長代行2名をおく。

2 委員長は、委員の互選により決定する。委員長代行は、委員の中から委員長が指名する。3 委員長は、放送倫理検証委員会を代表し、放送倫理検証委員会を主宰する。4 委員長は、放送倫理検証員会を招集し、その議長となる。5 委員長代行は、委員長を補佐し、委員長を欠くときまたは委員長に事故あるときは、その職務を代行する

(任期)第26条 委員の任期は3年とする。ただし、再任を妨げない。

(委員会の開催)第27条 放送倫理検証委員会の開催は、原則として毎月1回とする。また、必要に応じ委員長

が招集する。2 放送倫理検証委員会の運営方法は、別途定める規則による。

第7章 放送と人権等権利に関する委員会

(委員会の目的)第28条 放送と人権等権利に関する委員会(以下「放送人権委員会」という)は、第4条第 1項

第 3号に定める事業を行うほか、必要に応じて構成員に対し、第3条に定める目的達成のため、放送と人権についての提言を行う。

(委員の構成)第29条 放送人権委員会は、評議員会が有識者(放送事業者の役職員を除く)の中から選任す

る7名以上 10名以内の委員で構成する。

(委員長および委員長代行)第30条 放送人権委員会に委員長1名および委員長代行2名をおく。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版86

資料編

2 委員長は、委員の互選により決定する。委員長代行は、委員の中から委員長が指名する。3 委員長は、放送人権委員会を代表し、放送人権委員会を主宰する。4 委員長は、放送人権委員会を招集し、その議長となる。5 委員長代行は、委員長を補佐し、委員長を欠くときまたは委員長に事故あるときは、その職務を代行する

(任期)第31条 委員の任期は3年とする。ただし、再任を妨げない。

(委員会の開催)第32条 放送人権委員会は、必要のつど、委員長が招集する。

2 放送人権委員会の運営方法は、別途定める規則による。

第8章 放送と青少年に関する委員会

(委員会の目的)第33条 放送と青少年に関する委員会(以下「青少年委員会」という)は、第4条第 1項第 4号

に定める事業を行うほか、第3条に定める目的達成のため、審議の結果等を公表することを通して、視聴者と放送事業者を結ぶ回路として機能する。

(委員の構成)第34条 青少年委員会は、評議員会が有識者(放送事業者の役職員を除く)の中から選任する

6名以上 8名以内の委員で構成する。

(委員長および副委員長)第35条 青少年委員会に委員長1名および副委員長1名をおく。

2 委員長は、委員の互選により決定する。副委員長は、委員の中から委員長が指名する。3 委員長は、青少年委員会を代表し、青少年委員会を主宰する。4 委員長は、青少年委員会を招集し、その議長となる。5 副委員長は、委員長を補佐し、委員長を欠くときまたは委員長に事故あるときは、その職務を代行する

(任期)第36条 委員の任期は3年とする。再任を妨げない。

(委員会の開催)第37条 青少年委員会の開催は、原則として毎月1回とする。ただし、委員長が必要と認めた

ときは臨時に開催する。2 青少年委員会の運営方法は、別途定める規則による。

(議事)第38条 青少年委員会の議事の結果は、速やかに構成員に通知する。

2 議事の要旨は、放送事業者および青少年関係機関等に配布するとともに、公表する。

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 87

資料編

アアニメーション…………… 25, 31, 71アンケート………………………… 56委嘱 委嘱料………… 31, 59, 60, 68遺体………………………… 41, 42, 57委託 委託業務…………13, 17, 33, 36, 59, 82, 83, 84遺伝情報…………………………… 52医療…………………21, 45, 50, 51, 71インサイダー取引………… 17, 55, 76インターネット活用業務実施基準…………………………………………9インターネット活用業務実施計画…………………………………………9インターネットサービス利用規約………………………… 10, 11, 34, 36インターネット調査……………… 56インフルエンザ…………………… 47引用…………………… 22, 23, 31, 32映像酔い(モーションシックネス)……………………………………… 25エボラ出血熱……………………… 47大津波警報…………………… 45, 46オフサイトセンター……………… 48音響効果…………………… 8, 27, 59

カ外国の地名・人名………………… 24

開票速報…………………………… 54外部リンク………………………… 14学説………………………………… 51家族…………… 18, 41, 42, 50, 51, 55環境……………… 12, 13, 50, 52, 53,

57, 75, 76, 81韓国と北朝鮮の地名・人名……… 24感染症………………………… 47, 57冠大会……………………………… 30企業名………… 24, 26, 28, 30, 37, 55希少動植物………………………… 53基本的人権…… 3, 5, 6, 57, 70, 77, 85キャッチコピー…………………… 29教育……… 52, 64, 68, 69, 72, 77, 81緊急警報放送………………… 45, 46緊急地震速報……………………… 46苦情…………… 4, 13, 51, 61, 63, 65,

66, 81, 84, 85経営破綻…………………………… 55健康食品…………………………… 51懸賞……………………………… 8, 71原子力災害対策特別措置法 原災法……………………………………… 48原子力事故…………………… 48, 49公共の利益(公益)…………… 6, 7, 10, 16, 44, 71, 78, 79公開期間…………………………… 11効果音……………………………… 27航空取材…………………………… 21広告……28, 29, 34, 37, 55, 68, 71, 77公職選挙法………………… 54, 55, 70口こうていえき

蹄疫……………………………… 47広報………… 9, 10, 13, 14, 15, 16, 18高齢者………………11, 45, 50, 75, 80

88 NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版

索 引

索 引

コーディネーター………………… 59国際番組基準………11, 37, 38, 59, 74国際放送…………… 3, 37, 38, 65, 66,

67, 68, 74国内番組基準…… 2, 3, 37, 59, 70, 74国民保護法…………………… 49, 79呼称………………………… 29, 39, 51個人情報……… 15, 20, 34, 35, 36, 61,

76, 80, 81, 82, 83, 84個人情報保護法…………… 81, 82, 83誤送信……………………………… 20国旗 国家 国境…………… 24, 57古典芸能……………………… 52, 73コンテンツ…… 9, 10, 11, 12, 13, 15,

16, 18, 34, 38, 59コンプライアンス…… 17, 75, 76, 81

サ災害対策基本法……………… 44, 45再現…………………………… 18, 26再使用(部分使用) ……………… 32裁判員制度………………………… 40サブリミナル……………………… 25差別……………… 6, 7, 8, 13, 21, 24,

47, 70, 75, 76CM ………………………………… 29CG ………………………… 26, 31, 59時事の事件の報道………… 22, 31, 32試写………………………………… 18自主・自律………………… 1, 44, 54地震・津波…………………… 44, 45自然・環境………………………… 53

実名……………… 12, 19, 26, 39, 40, 41, 47, 58, 78

指定公共機関………44, 47, 49, 79, 80写真…………… 22, 31, 32, 40, 41, 42謝礼…………………………… 17, 60宗教………… 7, 8, 12, 37, 57, 70, 74取材源の秘匿………………… 19, 75出演者………… 5, 18, 20, 21, 24, 31,

32, 33, 54, 75出演料……………………………… 60障害 障害者… 7, 11, 49, 50, 75, 80肖像権…………………………… 7, 19承諾なしの撮影…………………… 20少年事件 少年法………… 40, 41, 58商品名………………28, 29, 37, 55, 71資料映像…………………………… 26知る権利……………… 19, 39, 77, 78新型インフルエンザ……………… 47新型インフルエンザ等対策特別措置法……………………………………… 47人権 人権の尊重……… 3, 5, 6, 7, 8, 12, 18, 24, 37, 39, 40, 41, 42, 50, 52, 57, 63, 70, 74, 75, 76, 77, 85, 86, 87

新薬………………………………… 50性………………………… 8, 42, 58, 71政見・経歴放送…………………… 55セキュリティ……………… 12, 34, 84選挙………………………… 54, 55, 70戦争…………………………… 57, 58先端医療…………………………… 51宣伝…………………… 28, 29, 55, 71線量計……………………………… 48

NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版 89

資料編

タダイエット………………………… 51大画面化…………………………… 25第三者提供………………………… 36代表取材…………………………… 42多剤耐性菌………………………… 47地域団体商標 地域ブランド…… 29地名・人名…………………… 24, 25中国・台湾の地名・人名………… 25著作権………………… 22, 31, 32, 33著作権法……………………… 31, 32ツイッター………………………… 22津波警報…………………… 45, 46, 48訂正…5, 12, 21, 61, 62, 65, 72, 74, 75訂正放送…………………… 61, 62, 65出口調査…………………………… 54手錠………………………………… 41テロ…………………………… 57, 59伝染病……………………………… 47倒産………………………………… 55動植物の撮影……………………… 53登録商標…………………………… 29討論番組…………………………… 54匿名…………………39, 40, 43, 47, 78鳥インフルエンザ………………… 47取引基準…………………………… 33ドローン 無人機………………… 21

ナ2 次被害 …………………………… 42

ネーミングライツ(命名権) …… 30

ハバナー広告………………………… 29犯罪 犯罪行為………………… 8, 26, 39, 42, 71, 78犯罪被害者等基本法………… 42, 78BPO(放送倫理・番組向上機構)……………………………… 4, 63, 85光点滅……………………………… 25表現の自由…… 1, 3, 4, 20, 49, 57, 62,

64, 70, 77, 79, 82, 85報道の自由…………… 20, 43, 63, 82VOD(ビデオ・オン・デマンド)……………………………………… 33風評被害……………………… 47, 52フェイスブック…………………… 22不偏不党……………… 1, 3, 28, 64, 70プライバシー… 5, 6, 7, 8, 17, 19, 25,

26, 34, 41, 45, 47, 51, 52, 62, 81ブログ……………………………… 22噴火…………………………… 46, 47文化財の撮影……………………… 53方言………………………… 24, 71, 73放送と人権等権利に関する委員会……………………………… 63, 85, 86放送と青少年に関する委員会………………………… 63, 85, 86, 87放送番組審議会………………… 3, 68放送倫理検証委員会……… 63, 85, 86暴力…………… 8, 40, 42, 71, 75, 76

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索 引

法令順守(コンプライアンス)………………………… 17, 75, 76, 81ホームページ………… 3, 13, 14, 22, 29, 38, 45, 59

ママッサージ………………………… 53麻薬……………………………… 8, 71未成年者…………………… 21, 35, 50無人機 ドローン………………… 21命名権(ネーミングライツ) …… 30名誉 名誉棄損 名誉権……………… 5, 6, 17, 21, 24, 62, 70メール………………… 20, 22, 51, 61メディアスクラム…………… 41, 42モーションシックネス…………… 25目的外使用………………………… 20文字情報…………………… 26, 27, 58

ヤやらせ……………………………… 18誘拐報道…………………………… 43揺れる映像………………………… 26要請放送…………………………… 38世論調査…………………… 54, 56, 67

ラライフライン放送………………… 45

理解増進情報…………… 9, 10, 14, 16利用者情報…………… 20, 34, 35, 36ロゴマーク…………………… 28, 55

ワ腕章の着用………………………… 19

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