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ロシアNIS調査月報201211月号 119 -ロシアビジネス 近鉄エクスプレスの現法、トリヤッチに事務所 伊勢湾海運がペテルブルグ事務所新設 GMOクラウド、ロシアに現法 北海道がサハリンにアンテナショップ 秋田港にウラジオストク便が初入港 自動車部品輸送で三河・ウラジオ航路開設 マツダソラーズ設立記念式典が開催 日本郵船、ロシア物流会社に出資 三菱東京UFJのウラジオストク出張所が開設 コマツ、ロシア極東の人材育成に協力 武田薬品のロシア医薬品生産工場が完成 日立ソリューションズ、ロシアでソフト発売 明治HD系、ロシアで製薬販売提携 鳥取県、新潟市等がハバロフスク見本市出展 エネ庁長官がウラジオストクLNG覚書署名 NISビジネス JBIC、カザフ製油所近代化で融資 住友商事、ウクライナでトヨタ製プリウス納入 センコーとカザフ国鉄が物流分野で業務提携 カネボウ化粧品がアゼルバイジャンに進出 ロシアNIS貿易会の活動 中央アジア3カ国合同定時総会を開催 日本モンゴル経済委員会第40回定時総会 東シベリアにて自転車普及事業を実施 ウラジオストクAPEC関連インフラ調査 第19回日本カザフ経済委員会定時総会 南部鉄器等岩手県産品対ロ輸出促進事業 仙台でロシアビジネスセミナーを実施 カザフスタンから原子力専門家を招聘 カムチャッカでビジネス案件現地協議 日本原子力セミナーをカザフで開催 ジャパンエクスポ事前調査を実施 業界のその他の動き 玄葉外相、枝野経産相が第一副首相と会談 原子力機構がカザフで安全研究協力 今月のピックアップ エーザイが見るロシア医薬品市場の特徴 近鉄エクスプレスの現法、トリヤッチに事務所 株式会社近鉄エクスプレス(KWE)のロシア現地法人、KINTETSU WORLD EXPRESS (RUS) が8月1日にサマラ州トリヤッチに駐在員事務所を開設した。 同社のロシア拠点としては、モスクワ本社、シェレメチェヴォ空港事務所(モス クワ州)、サンクトペテルブルグ事務所に続く4拠点目となる。 伊勢湾海運がペテルブルグ事務所新設 『日刊工業新聞』(2012.8.14)は、伊勢湾海運株式会社がサンクトペテルブル グ市に駐在事務所を開設したと報じた。同社はこれまでドイツ現地法人がロシア を担当してきたが、現地の通関や輸送に関する情報を提供できる拠点が必要と判 断した。 GMOクラウド、ロシアに現法 インターネットソリューション開発・運用のGMOクラウド株式会社は、8月 2012年8-9月の動き

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ロシアNIS調査月報2012年11月号 119

2012年8-

9月の動き

ロシアビジネス

近鉄エクスプレスの現法、トリヤッチに事務所

伊勢湾海運がペテルブルグ事務所新設

GMOクラウド、ロシアに現法

北海道がサハリンにアンテナショップ

秋田港にウラジオストク便が初入港

自動車部品輸送で三河・ウラジオ航路開設

マツダソラーズ設立記念式典が開催

日本郵船、ロシア物流会社に出資

三菱東京UFJのウラジオストク出張所が開設

コマツ、ロシア極東の人材育成に協力

武田薬品のロシア医薬品生産工場が完成

日立ソリューションズ、ロシアでソフト発売

明治HD系、ロシアで製薬販売提携

鳥取県、新潟市等がハバロフスク見本市出展

エネ庁長官がウラジオストクLNG覚書署名

NISビジネス JBIC、カザフ製油所近代化で融資

住友商事、ウクライナでトヨタ製プリウス納入

センコーとカザフ国鉄が物流分野で業務提携

カネボウ化粧品がアゼルバイジャンに進出

ロシアNIS貿易会の活動 中央アジア3カ国合同定時総会を開催

日本モンゴル経済委員会第40回定時総会

東シベリアにて自転車普及事業を実施

ウラジオストクAPEC関連インフラ調査

第19回日本カザフ経済委員会定時総会

南部鉄器等岩手県産品対ロ輸出促進事業

仙台でロシアビジネスセミナーを実施

カザフスタンから原子力専門家を招聘

カムチャッカでビジネス案件現地協議

日本原子力セミナーをカザフで開催

ジャパンエクスポ事前調査を実施

業界のその他の動き 玄葉外相、枝野経産相が第一副首相と会談

原子力機構がカザフで安全研究協力

今月のピックアップ エーザイが見るロシア医薬品市場の特徴

近鉄エクスプレスの現法、トリヤッチに事務所

株式会社近鉄エクスプレス(KWE)のロシア現地法人、KINTETSU WORLD

EXPRESS (RUS) が8月1日にサマラ州トリヤッチに駐在員事務所を開設した。

同社のロシア拠点としては、モスクワ本社、シェレメチェヴォ空港事務所(モス

クワ州)、サンクトペテルブルグ事務所に続く4拠点目となる。

伊勢湾海運がペテルブルグ事務所新設

『日刊工業新聞』(2012.8.14)は、伊勢湾海運株式会社がサンクトペテルブル

グ市に駐在事務所を開設したと報じた。同社はこれまでドイツ現地法人がロシア

を担当してきたが、現地の通関や輸送に関する情報を提供できる拠点が必要と判

断した。

GMOクラウド、ロシアに現法

インターネットソリューション開発・運用のGMOクラウド株式会社は、8月

2012年8-9月の動き

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ロシアNIS調査月報2012年11月号 120

業界トピックス

27日の取締役会において、連結子会社GMO GlobalSign Pte.Ltd.(本店:シンガポ

ール)の出資によるGMO GlobalSign Russia LLC(仮称。所在地はモスクワ)の

設立を決議した。資本金は800万ルーブル(約2,000万円)。電子認証サービスの

市場拡大が見込まれるロシア周辺地域の営業拠点とする。

北海道がサハリンにアンテナショップ

『日本経済新聞』(2012.8.16)等によると、北海道は8月24日からサハリン州

ユジノサハリンスクに道産品のアンテナショップを開設した。10月末まで北海道

経済産業局と共同で設けられたユジノサハリンスクの2つの大型商業施設の食

品売り場に道内17社が出店し、ゼリーやラーメン、昆布しょうゆ、道産米等を販

売している。

秋田港にウラジオストク便が初入港

『朝日新聞』『読売新聞』(2012.8.15)等によると、秋田港とウラジオストク港

を結ぶ韓国の海運会社「長錦商船」の定期コンテナ船が8月14日に秋田港に初入

港した。韓国・釜山港までの従来の航路をウラジオストク港まで延伸。新航路で

は、新潟など国内港に寄港後、釜山経由で1週間かけてウラジオストクに向かう。

自動車部品輸送で三河・ウラジオ航路開設

愛知県は8月28日、三河港とウラジオストク港を結ぶ新規コンテナ航路を開設

すると発表した。トヨタ自動車が三井物産とソラーズ社の合弁にて計画している

自動車組立工場への出荷用に、同県田原工場で製造した部品をコンテナに詰めて、

ウラジオストクの組立工場へ運ぶための航路である。

マツダソラーズ設立記念式典が開催

マツダ株式会社は9月6日、ロシア自動車大手ソラーズと合弁でウラジオスト

ク市に設立した生産会社、MAZDA SOLLERS Manufacturing Rusの工場の設立記

念式典を開催した。同式典には、ロシアからはプーチン大統領、シュヴァロフ第

一副首相、ミクルシェフスキー沿海地方知事、日本からは枝野幸男・経済産業大

臣、原田親仁・駐ロシア日本国特命全権大使ら要人が来賓として迎えられ、マツ

ダの山内孝・代表取締役会長社長兼CEO、およびソラーズ社のシュヴェツォフ

CEOほか、両社の関係者らも含めた約200名が列席した。合弁会社の工場では「マ

ツダCX-5」および「新型Mazda6」の2車種を生産。2012年10月に車両組立ライ

ンのみで操業開始し、立ち上がり時の生産能力は年間約5万台となる。合弁会社

の概要は以下の通り。

■ 会社名:MAZDA SOLLERS Manufacturing Rus

■ 所在地:ウラジオストク市

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ロシアNIS調査月報2012年11月号 121

2012年8-

9月の動き

■ 代 表:アレクサンダー・コルチュック

■ 投資額:250億円(100億ルーブル)

■ 出資比率:マツダ株式会社50%、ソラーズ社50%

■ 従業員数:約3,000人

日本郵船、ロシア物流会社に出資

日本郵船株式会社は9月20日、ロシアの完成車輸入販売 大手であるROLFグ

ループ傘下の物流会社、ROLF SCSに出資する合弁契約を締結したことを発表し

た。同月19日にモスクワで行われたセレモニーには、ROLFグループのイーゴリ・

サリータCEOおよび日本郵船の工藤泰三・代表取締役社長らが出席。日本郵船は

ROLFグループと共同で総合的な輸送サービスを顧客に提供していく。ROLF

SCSの概要は以下の通り。

■ 出資比率:日本郵船51%、ROLFグループ49%

■ 資本金:9億3,000万ルーブル(約22億円)

■ 本社所在地:モスクワ市

■ 事業内容:①完成車の内陸輸送、②モスクワ、サンクトペテルブルグにお

ける完成車内陸ターミナルオペレーション、③サンクトペテル

ブルグ港、ザルビノ港におけるターミナルオペレーション、④

完成車の納品前点検・補修・部品補給サービス、通関手配等の

付加価値サービス

三菱東京UFJのウラジオストク出張所が開設

株式会社三菱東京UFJ銀行のロシア現地法人であるユーラシア三菱東京UFJ銀

行は9月24日、ウラジオストク出張所を開設し、同日から業務を開始した。三菱

MAZDA SOLLERS Manufacturing Rus開所式(右より、シュヴァロフ第1副首相、プーチン大

統領、シュヴェツォフSollers CEO、山内孝 マツダ社長兼CEO、ミルクシェフスキー沿海地方

知事、通訳、枝野幸雄経済産業大臣、コルニュチュックMAZDA SOLLERS Manufacturing

Rus CEO、原田親仁駐ロシア日本国特命全権大使)。マツダ国内広報部提供。

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ロシアNIS調査月報2012年11月号 122

業界トピックス

東京UFJ銀行は1992年に邦銀として初めてロシアに進出。2006年11月にはモスク

ワ市にユーラシア三菱東京UFJ銀行を設立し、2008年4月にはサンクトペテルブ

ルグ駐在員事務所を開設している。ウラジオストク出張所は同行の3カ所目のロ

シア拠点となる。なお、三菱東京UFJ銀行は9月8日、ロシア沿海地方政府と業

務提携に関する覚書を締結しており、セミナーの共同開催などを通じてロシア極

東に進出をめざす日本企業を支援する。

コマツ、ロシア極東の人材育成に協力

コマツは9月7日、ロシアの極東連邦大学との間で、ロシア極東における建

設・鉱山・道路機械分野における人材育成のため協力を行うことで正式に合意書

を締結したことを発表した。同大学のエンジニアリング・スクールへの建設道路

機械ラボラトリ用研修設備機材の無償貸与、コマツの技術者による建設機械特別

講座の設置、同大学講師の日本およびヤロスラヴリのコマツの工場・トレーニン

グセンタでの研修受け入れ等を行う予定である。

武田薬品のロシア医薬品生産工場が完成

武田薬品株式会社は9月12日、ヤロスラヴリ州に建設していた医薬品の生産工

場が完成したことを発表した。本格稼動は2014年を予定している。同工場の概要

は以下の通り。

■ 所在地:ヤロスラヴリ州

■ 総工費:7,500万ユーロ

■ 床面積:2万4,000㎡

■ 生産品目:ロシアにおいてニーズが高い主力製品(脳・末梢循環障害改善

剤、心血管疾患予防剤、骨粗鬆症治療剤)

■ 採用人員:管理者および技術者を約200人採用予定

■ 生産能力:アンプル製剤9,000万本、固形製剤20億錠以上(年間)

日立ソリューションズ、ロシアでソフト発売

株式会社日立ソリューションズは9月28日、ロシアのITサービスプロバイダー、

Sibintek社と代理店契約を結び、地理情報システム(GIS)データをPDF化して活

用できる「GeoPDFソリューション」の販売を開始すると発表した。「GeoPDF」

は同社が提携する米国TerraGoテクノロジーズが開発したソフトウエアで、PDF

上に地理情報を保持させることが可能。安全保障、危機管理、地図配信、石油な

どの資源開発・インフラ保守といったさまざまな分野で活用されている。

明治HD系、ロシアで製薬販売提携

『日本経済新聞』(2012.9.10)は、明治ホールディングスの製薬子会社、Meiji

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ロシアNIS調査月報2012年11月号 123

2012年8-

9月の動き

Seikaファルマ株式会社が主力製品の抗生物質「メイアクト」のロシアでの販売

等に関して、現地の製薬会社、アールファルマ(モスクワ市)と提携したと報じ

た。製品はスペインの子会社、テデック・メイジ・ファルマから出荷する。

鳥取県、新潟市等がハバロフスク見本市出展

ハバロフスクで9月20~23日にかけて開催された総合見本市「第14回ハバロフ

スク国際見本市」に鳥取県、新潟市、日本政府観光局などが出展し、二十世紀梨

や製菓などの地元産品や観光地をPRした。

エネ庁長官がウラジオストクLNG覚書署名

高原一郎資源エネルギー庁長官は9月8日、APEC首脳会合開催中のウラジオ

ストクで野田首相とプーチン大統領の立会いの下、ガスプロムのミレル社長との

間でウラジオストクLNGプロジェクトに関する覚書に署名した。覚書ではLNG

プロジェクトに関する双方の今後の協力体制について合意。ガスプロムが2012

年末までに投資決定の準備を終了し、その結果により、ガスプロムと日本企業が

プロジェクトの参加可能条件や事業体制について協議することを確認した。

JBIC、カザフ製油所近代化で融資

株式会社国際協力銀行(JBIC)は8月8日、カザフスタン国営石油・ガス公社、

カズムナイガスの子会社で、石油精製や石油製品の製造・販売事業を行なってい

るアティラウ社との間で、融資金額1億7,850万ドルを限度とするバイヤーズ・

クレジット(輸出金融)の貸付契約を締結した。同融資は三菱東京UFJ銀行との

協調融資によるもので、同行融資部分には日本貿易保険(NEXI)による貿易代

金貸付保険が付保される。協調融資総額は2億9,750万ドル。アティラウ社が運

営・管理を行なっているアティラウ製油所の近代化プロジェクトの一環として、

丸紅を通じ流動接触分解装置を主体としたプラント設備を購入するために必要

な資金を供与する。

住友商事、ウクライナでトヨタ製プリウス納入

住友商事株式会社は8月29日、ウクライナで使用されている警察車両の更新プ

ロジェクトに関し、ウクライナ環境投資庁(SEIA)傘下のDERZHEKOINVEST

社(所在地:キエフ市)との間で、警察車両仕様のプリウス約1,200台を納入す

る契約を締結した。契約金額は約3,400万ドル。同案件は、独立行政法人 新エネ

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ロシアNIS調査月報2012年11月号 124

業界トピックス

ルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とSEIAが交わしたグリーン投資スキー

ムに関する契約に基づいて実施される。 新技術を搭載したトヨタ自動車製プリ

ウスを警察車両として現行車両と入れ替えることにより、大幅に燃費効率を向上

させ、二酸化炭素排出を7割程度削減することが可能になる。

センコーとカザフ国鉄が物流分野で業務提携

物流大手のセンコー株式会社は8月31日、カザフスタン国鉄(KTZ)と同国の

国内物流と国際輸送を含めた物流事業全般で協力することを目的に、業務提携に

向けた覚書を締結した。両社はカザフスタンを経由する日本、韓国、中国から中

央アジア諸国、ロシア、欧州へのトランジット輸送の拡大に向け、物流システム

や関連施設の開発、先端ITの活用、競争力のある輸送ルートの開発など、物流業

務全般で相互協力する。センコーは東アジア〜欧州間の貨物輸送にKTZが一部区

間の運行を担う「チャイナ・ランド・ブリッジ(CLB)」を用いている。

カネボウ化粧品がアゼルバイジャンに進出

株式会社カネボウ化粧品は9月より、ロシアの現地法人「カネボウコスメティ

ックスロシア」を通じ、アゼルバイジャンで販売を開始した。高級化粧品専門店

を中心に、同社の 高級化粧品ブランド「SENSAI」による「スーパープレステ

ージ戦略」を深耕する。

中央アジア3カ国合同定時総会を開催

当会が事務局を務める日本ウズベキスタン、日本アゼルバイジャン、日本トル

クメニスタンの各経済委員会の平成24年度合同定時総会(第14回日本アゼルバイ

ジャン経済委員会定時総会、第19回日本ウズベキスタン経済委員会定時総会、第

19回日本トルクメニスタン経済委員会定時総会)が8月6日、如水会館で開催さ

れた。同総会では、日本ウズベキスタン経済委員会会長に、関山護・丸紅㈱代表

取締役副社長執行役員が就任、日本トルクメニスタン経済委員会および日本アゼ

ルバイジャン経済委員会会長には、小林洋一・伊藤忠商事㈱代表取締役副社長執

行役員が再任された。

日本モンゴル経済委員会第40回定時総会

当会が事務局を務める日本モンゴル経済委員会の第40回定時総会が8月6日、

東京・如水会館で開催された。同総会では、小林洋一・伊藤忠商事㈱代表取締役

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ロシアNIS調査月報2012年11月号 125

2012年8-

9月の動き

副社長が会長に再任された他、平成24年度事業計画・予算等が採択された。8月

現在、日モ経済委員会の会員は商社、メーカー他10社で構成されている。

東シベリアにて自転車普及事業を実施

当会は平成24年度財団法人JKAの競輪補助事業の一環である「ロシアおよび

CIS諸国での自転車文化および自転車競技の普及事業・現地プレゼンテーション」

を行うため、自転車文化に詳しい絹代氏およびチンギス・トゥグートフ氏、当会

から高橋浩ロシアNIS経済研究所副所長を8月6日~12日にイルクーツク州お

よびブリャート共和国に派遣した。ロシアの重要な観光資源であるバイカル湖を

かかえる両地方は観光型の特別経済区に指定されており、7日にはイルクーツク

市内のホテル、8日にはイルクーツク州側のバイカル湖畔で開催されたロシア教

育科学省青年庁主催の青年イベント「バイカル-2020」、10日にはブリャート共

和国ウラン・ウデ市の東シベリア文化芸術アカデミーにおいて、観光産業振興に

おける自転車の役割を強調したDVDの上映会・プレゼンテーションを行った。

ウラジオストクAPEC関連インフラ調査

平成24年度国庫補助事業・極東・東シベリア等ビジネス案件事業化推進事業の

一環として、当会の齋藤大輔ロシアNIS経済研究所研究主任が8月6~13日にか

けてウラジオストクとその郊外を訪問。APEC関連インフラ整備とカジノタウン

計画の進捗状況につき、現地政府関係者、現地企業、ジャーナリスト等よりヒア

リングを行うとともに、カジノタウンの現場を視察した。

第19回日本カザフ経済委員会定時総会

ロシアNIS貿易会が事務局を務める日本カザフスタン経済委員会の平成24年

度第19回定時総会が8月20日、如水会館にて開催された。同総会では、日本カザ

フスタン経済委員会会長に、中原秀人・三菱商事㈱代表取締役副社長執行役員が

就任した。

南部鉄器等岩手県産品対ロ輸出促進事業

平成24年度国庫補助事業ビジネスマッチング・コンサルティング事業の一環と

して、南部鉄器をはじめとする岩手県産品の対ロ輸出を促進するため、8月下旬

に盛岡市で開催された「いわて食の大商談会2012」に、ウラジオストクを中心に

ロシア極東で日本製食品を幅広く販売するエイラン社の幹部を招聘した。その結

果、同社はウラジオストクで新たに開店した 大級のショッピングセンターのテ

ィーショップにおける南部鉄器の展示・試験販売、さらに数種類の岩手産食品の

輸入を検討することになった。

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ロシアNIS調査月報2012年11月号 126

業界トピックス

仙台でロシアビジネスセミナーを実施

平成24年度財団法人JKAの競輪補助事業として、宮城県仙台市において8月29

日、ロシアビジネスセミナー「中堅・中小企業のロシアビジネスの可能性」を開

催した。同セミナーではロシアビジネスのコンサルタントの鐡尾安夫氏による講

演等の後、約40名の参加者による活発な質疑応答が行われた。

カザフスタンから原子力専門家を招聘

平成24年度電特原子力関連産業人材育成支援事業・第1回招聘研修事業として、

カザフスタン原子力庁、カザトムプロム、カザフスタン原子力協会他から8名を

9月1~7日まで招聘し、経済産業省および資源エネルギー庁、福島第2原子力

発電所、日本原子力研究開発機構等の関係機関を訪問した他、カザフスタン側か

らもプレゼンテーションを行った。

カムチャッカでビジネス案件現地協議

平成24年度国庫補助事業・極東・東シベリア等ビジネス案件事業化推進事業に

おけるビジネス案件評価事業現地協議のために、当会の高橋浩ロシアNIS経済研

究所副所長および橋之爪理佳・業務部職員の2名が9月11~13日にカムチャッカ

地方を訪問した。同地方は日本でカムチャッカ地方のプロジェクトを紹介するプ

レゼンテーションを計画しており、これらプロジェクトについての協議等を行っ

た。

日本原子力セミナーをカザフで開催

平成24年度 電特原子力関連産業人材育成支援事業・専門家派遣事業の一環と

して、当会の輪島実樹ロシアNIS経済研究所次長、中馬瑞貴同研究員、専門家3

名ならびに通訳を9月24~27日、カザフスタンのパヴロダル市、アスタナ市に派

遣した。25日にはパヴロダル市で開催されたイノベーション・スクールの分科会

のひとつとして日本原子力セミナー「震災後の日本の原子力とイノベーション」

を開催。カザフスタン国立原子力センター核物理研究所アスタナ事務所において

も同セミナーを実施した。26日はアスタナ市で本事業のカウンターパートである

カザフスタン原子力庁を訪問。パヴロダルで開催したセミナーの報告、10月開催

予定の第2回招聘事業への協力を依頼した。

ジャパンエクスポ事前調査を実施

平成24年度国庫補助事業ビジネスマッチング・コンサルティング事業の一環と

して、9月24~30日にかけて、当会の原真澄・業務部次長がモスクワを訪問した。

「食」・「住環境」・「産業・技術」・「カルチャー」に関わる日本の製品・技術・サ

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ロシアNIS調査月報2012年11月号 127

2012年8-

9月の動き

ービス等を紹介するJapan Expo in Russia 2012(11月28~29日開催)のための準備

であり、同実行委員会のメンバーも同行。会場となるモスクワ・エクスポセンタ

ーとの打ち合わせ、ロシア商工会議所、アポーラ・ラシーイー(「ロシアの柱」。

ロシアの中小企業団体)へのロシア企業向け案内や会場への招致等の協力依頼の

ほか、ジェトロ・モスクワ事務所、ジャパンクラブ事務局を訪問し、在モスクワ

の日本の組織にも協力を呼びかけた。

玄葉外相、枝野経産相が第一副首相と会談

玄葉光一郎外務大臣は9月5日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会

議出席のため訪問中のウラジオストクにおいて、シュヴァロフ第一副首相と会談。

日ロ経済関係について、ロシアの進めるイノベーション・近代化を支持すること

で極東・シベリア開発における両国の協力が現実になるだろうと述べるとともに、

日ロ経済関係の成功事例を積み重ねてロシア市場への日本企業の信任・信頼を高

めていくことの重要性を指摘した。また、翌日には枝野幸男経済産業大臣が同副

首相と会談。ロシア極東地域に進出する自動車メーカー等の製造企業に対し、部

品を輸入する際の関税優遇やシベリア鉄道などを活用した物流面での支援策等

について協議を行った。

原子力機構がカザフで安全研究協力

独立行政法人日本原子力機構は8月9日、カザフスタン原子力技術安全センタ

ーとの間で、「高温ガス炉の安全研究協力に関する実施取決め」に基づき、安全

研究協力を開始したことを発表した。原子力機構はカザフスタンにおける高温ガ

ス炉の安全設計方針、安全評価方針、規格・基準の確立をサポートする。

エーザイが見るロシア医薬品市場の特徴

エーザイ株式会社は6月、抗てんかん剤「Zonegran」(一般名:ゾニザミド)

の成人部分てんかん発作の併用療法に関する販売承認を、ロシア規制当局から取

得したと発表した。同社がロシアで販売承認を取得したのは初めてである。2007

年10月にモスクワに欧州法人の駐在員事務所設立し、自社製品の申請登録作業を

進めているエーザイは、他の治療剤などについても販売承認を申請中とのこと。

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ロシアNIS調査月報2012年11月号 128

業界トピックス

今号では、モスクワ駐在員事務所のガラブルダ所長より、ロシアの医薬品市場の

動向やWTO加盟後の展望についてご寄稿いただいたので、それを紹介する。な

お、本記事作成に当たっては、エーザイ・ガバメントリレーション部・欧州担当

の東(あずま)美恵課長より、取材のアレンジならびに原文(英語)の翻訳など

のサポートをいただいた。この場を借りて御礼申し上げたい。

* * * * *

ロシア医薬品市場の概要 ロシアの医薬品市場は2005年以降、急速に成長して

おり、市場規模は工場出荷価格で約165億ドル(2011年、『IMS Health』)に達し

た。成長の引き金となったのは、2005年に導入した約1,300万人を支給対象とし

た公的薬剤給付制度(DLO)である(2011年の対象患者は約400万人)。また、国

民の健康への関心の高まりを背景にした市販薬市場における需要の伸びも大き

な要因であるが、さらに現在、総額約16億ドル、約8万人の患者をカバーする7

種の特定疾病に対するサポートプログラムの導入が挙げられる。

2009~2010年にかけて、ロシア連邦保健省は同国の医薬品産業の発展を示した

国家構想「Pharma 2020」を発表した。同構想は、ロシア医薬品市場における国

産品売上シェアを、2020年までに50%に引き上げることを目標として掲げ、高度

なジェネリック医薬品と先発医薬品の生産を促進するための戦略を示している。

具体的には、国内製薬企業の生産力向上の支援、外資系製薬企業によるロシア国

内での生産ラインの確立、ロシア国内の製薬クラスター形成による外資の誘致、

国内研究機関と外資の協力による技術移転の促進、研究者の育成などを通して、

ロシア製薬産業の技術力、新薬開発力を高めるとしている。その結果、2010~2012

年にかけて複数の多国籍製薬企業が「Pharma 2020」戦略に対応するため、ロシ

アでの生産開始とともに政府の研究・開発プロジェクトに参加することになった。

2010~2011年には、連邦法「薬の循環(On the circulation of drugs)」および「健

康の保護に関する法律(Law about Health protection)」など、製薬関連の法律が整

備された。しかしながら、2010年からは医薬品の承認取得・販売がロシアで実施

された臨床試験に通ったものしか認められないことになり、市場に混乱をもたら

した。

2012年5月、スクヴォルツォヴァ保健大臣は、国民健康保険の強制加入、治療

だけでない予防の重視、医療サービスおよび高性能の医薬品に関わる規制のより

よい整備、医薬品保険制度の導入などを 優先課題とし、2014年には特定地域に

おいて試験的なプロジェクトを実施し、2015~2016年には全国で導入すると発表

した。

ロシアの医薬品市場は今後も2ケタ成長が期待されているが、2011~2016年の

成長率が10%以上で継続するには、通貨の安定性、継続的な消費者の需要、そし

て新しい医療保険制度の導入が求められる。

他国市場との相違点 ロシアの医薬品市場は未成熟な市場である。飛躍的な成

Page 11: KWE KINTETSU WORLD EXPRESS (RUS)db2.rotobo.or.jp/members/all_pdf/m201211No.24ksi.pdfRus CEO、原田親仁駐ロシア日本国特命全権大使)。マツダ国内広報部提供。

ロシアNIS調査月報2012年11月号 129

2012年8-

9月の動き

長は2005年から始まり、その間、公的薬剤給付制度(DLO)、約5万~6万人が

罹患する7種の特定疾病(HIV、結核など)に対するプログラム、その他の資金

調達プログラムが導入された。しかし国民の大半はまだ保険償還の恩恵にあずか

っていない。病院での治療(入院)では、限定されてはいるものの、医薬品は無

料で提供されているが、医薬品の売り上げのうち、市販薬が約70%を占めている。

ロシアの医薬品市場の規模は世界第11位であるにもかかわらず、国民1人当た

りの医薬品への平均支出額は110ドル(ロシアは工場出荷価格。『IMS Health 2011』)

と、フランス(640ドル)、ドイツ(490ドル)、英国(340ドル)など他の西欧諸

国のそれをはるかに下回っている。なお、薬価制度は2010年に導入されたばかり

であり、必須医薬品リストにある567品目のみ対象となっている。

日本企業のプレゼンス 日本企業は、欧州系企業に比べて、ロシア医薬品市場

への参入が遅れていた。欧州系企業の多くは1993~1998年にロシアに現地法人を

設立した。ソ連時代から参入している企業もある。

また、日本企業は参入するに当たって、共同マーケティングや共同開発、ある

いはライセンスイン(他社が持つ特許権やノウハウ等に対し、対価を支払って自

社に導入すること)といった戦略をとることが多く、直接的に参入する欧米企業

に後れをとりがちである。これらが日本企業のロシア製薬業界におけるプレゼン

スの低さの要因ではないかと思われる。

WTO加盟の影響 ロシアのWTO加盟は、ロシア国内製薬企業および外資系企

業の両者に相互協力の機会を提供し、医薬品市場の発展に大きな影響を与えるだ

ろう。WTO加盟を前提とした貿易障壁の削減のよい例として、2011年10月に医

薬品の輸入ライセンスが廃止されたことが挙げられる。また、今後は医薬品の輸

入関税が15%から6.5%(商品群によって違いはあるが)への引き下げが予定さ

れており、将来的には5%にまで下げることを検討している。

現在、ロシア医薬品市場に占める輸入医薬品のシェアは約75%であり、WTO

加盟は国内産業にさらに深刻な影響を与えると考えられる。しかし、国内メーカ

ーにとっては、自社の競争力を高め、製品の品質を向上させる契機ともなり、長

期的には外国製品の価格の低下につながるだろう。なお、WTO加盟によってロ

シア政府が薬事制度など法律を改正する際には、事前にドラフトを公表し、産業

側の意見を聞くことが義務づけられる。産業界にとっては、法改正の議論に積極

的に参加する機会を得ると同時に、その義務を負うことになる。

WTO加盟は市場(サービスを含めた)における貿易のみならず、知的財産権

の保護にも影響を与える。われわれはすでにWHOのTRIPS協定(知的財産権の

貿易関連の協定)の条項について協議している。TRIPS協定の一部はロシアの法

律に反映されており、連邦法である「On the circulation of drugs(医薬品の流通)」

に組み込まれている。これは、申請者が提供する医薬品の前臨床および臨床試験

Page 12: KWE KINTETSU WORLD EXPRESS (RUS)db2.rotobo.or.jp/members/all_pdf/m201211No.24ksi.pdfRus CEO、原田親仁駐ロシア日本国特命全権大使)。マツダ国内広報部提供。

ロシアNIS調査月報2012年11月号 130

業界トピックス

結果に関する情報を、知的財産権を有しない製造業者へ開示すること、申請者以

外の者が商業目的や地方行政府への登録のために使用することを禁じている。ロ

シアの法律では、データ保護期間は6年間とされており、WTOに加盟したロシ

アではすでに知的財産権保護が認められている。

(構成:芳地 隆之)

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