Janus Green超 生 体 染 色の電子顕微...

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  • 578. 685

    Janus Green超 生 体 染 色 の 電 子 顕 微 鏡 的 研 究

    第2編

    新 ら しい脱水処 理 に ともな う超生 体 染色固定色 素 の態度

    並 びにJanus Green B顆 粒 の電子 顕微 鏡的研 究

    岡山大学医学部病理学教室(指 導:妹 尾左知丸教授)

    専 攻生  佐 々 木 博 一

    〔昭和35年10月10日 受稿〕

    第1編1)に おいてJanus Green B顆 粒に 沃度カ

    リ水銀を作用 させ,更 に(NH4)2Sx溶 液で処理す

    ることににより超生体染色(以 下超生染 と省略)顆 粒

    はアルコールに不溶性の硫化水銀 に置換 させ電子顕

    微鏡下に超生染像を観察す ることに成功 した.

    この方法によつて妹 尾の方法2) 3)の 兎 角脱水処理

    で失なわれ易い色素は,失 なわれるにとな く完全に

    最後まで切片に残 り電子顕微鏡的 に観察出来,そ れ

    によつてJanus Green Bはmitochondriaを 特 異

    的に染めるとい う妹尾の説は確実 に証明せ られた.

    しかしながら硫化水銀に置換す ることは光学的観

    察ではJsnus Green B顆 粒の 原色調を変 じ,又 そ

    の反応が極めて強烈なためにその晶出物質は不規則

    なmassと して現 われ色素 が果 して細胞小器官内部

    の如何な る部位 に親 和性を有す るかの追求が困難で

    あつた.又 染色 色 素 の密度, (NH4)2 Sx溶 液の濃

    度及び反 応 程 度等 の条 件 に よ つ て は染色 された

    mitochondriaの 構造が 壊 れ る憾がある.

    そこで著者は更にJanus Green B顆 粒の元の形

    を出来るだけ保存 して電子顕微鏡γに確実にとらえ

    る目的で,沃 度カ リ水銀で固定 された色素を多硫化

    アンモンにさらす ことな く脱水処理法を変えて,ア

    ルコール溶性の色素沈着物の溶出を防 ぎこれを電子

    顕微鏡下に観察することを試 みた.

    種々の溶媒を用いて沈澱物の可溶性を しらべ又脱

    水,包 埋の条件を充す方法を種 々工夫 して次 に述べ

    る方法で 目的 を達成 し, Janus Green Bの 作用を

    受けてmitochondriaが 如何に変 化す るかを追求 し

    その染色過程 を も 略 々 明らかにし得 たので報告す

    る.

    実 験 材 料 及 び 実 験 方 法

    実験 材 料 は 健 康成 熟 大黒 鼠 の 骨髄 細 胞を 使 用 した.

    第1編 に述 べ た と同 様 な 方 法 で骨 髄 細 胞 を0.1%

    Janus Green B(Bayer)Hanks氏 液 で 超生 染 した

    後,細 胞を 洗 滌後 第1編 に述 べ た沃 度 カ リ水 銀 液 と

    2%オ ス ミウム酸 液 の混 合 液 で固 定 し,次 に 述べ る

    順 序 で脱 水 処理 を 行 い包 埋 した もの を超 薄 切片 と し

    て観 察 した.

    脱 水操 作:

    1) 50% alcoholで5分 宛 液 を とり かえ て2回 処

    2) 50% alcohol:無 水etherを1:5の 混合 液

    で5分 宛2回 処 理

    3)無 水alcohol:無 水etherを1:10の 混合 液

    で3分 宛2回 処 理

    4)無 水alcohol:無 水etherを1:15の 混 合液

    で3分 宛2回 処理

    5)無 水etherに 移 し5分 宛 液 を と りか え3~

    5回 処理

    6) monomer-ether, 30分 宛2回

    7) monomer, 10分 宛3回

    8) 重 合 用monomer以 下 の操 作 は 第1編 の もの

    と同 じ

    尚,無 水 エ ーテ ル は市 販 の エー テ ル に多 量 の無 水

    硫 酸 銅 を 入れ て振盪 し一昼 夜 褐 色 デ シ ケー ターに 入

    れ て 保存 した ものを 使 用 し,試 料 の脱 水処 理 操 作 は

    全 て 懸垂 吊床 を作 つ て行 つ た.

    そ の他 の 操作 及 び超薄 切,観 察 に要 した器 具機 械

    類 は全 て第1編 に述 べ た もの と岡様 で あ る.

  • 1800 佐 々 木 博 一

    実 験 成 績

    先づ予備実 験 として, 0.1% Janus Green B液

    1ccに 充分量の沃度 カ リ水銀 液 を 加 え て水に不溶

    の色素錯塩 の沈澱物 を作 り,こ れを 水で洗滌,乾 燥

    した ものにつ いて次の実験を行つ た.

    各種%の アル コールと水の混合液を作 り,こ の中

    に上記 沈澱物を入れ るとアル コール濃度が70%以 上

    にな ると色 素は液中に溶け,無 水アルコール中では

    殆 んど完全に溶 ける. 50%以 下のアルコールでは色

    素の沈澱物 は溶液に とけない.

    又無水アル コール と無水 ェーテル との混合液に対

    しては1:5の 液 には沈澱物 は溶解せず,こ れ以上

    にアル コールの濃度が上昇す ると少 し宛溶けるよう

    にな る.

    これ らの結果か らすれば脱水は50%以 下の アル コ

    ール水溶液, 10%以 下のアル コールエーテル溶液を

    用いて行え ば安全に色素の溶出を防ぎ得る.著 者は

    このよ うな理論から上記の方法で脱水を行つた.

    にの脱水操作を通 して色素の沈澱物 はよ くその原

    色調を変化す ることな く又 包埋に用いるmethacry

    lateに も溶解せず保存 された.

    次 に上記の 脱 水 方 法 によつて細胞 のorganellae

    の構造 が歪 まないかどうかを しらべた.

    即 ち超生染を施 さない正常の細胞を上記の方法で

    固定.脱 水.包 埋 し超薄切片 にして電子顕微鏡下に

    観察す ると細胞 の微細構造 は極めてよ く保 存されて

    いる(写 真1).

    次 に3~5分 上記の方法 で超生染 された細胞を固

    定 ・脱水 ・包 埋 しその切片を普通顕微鏡下 に観察す

    ると,明 るい 緑 色 に染 ま つ た棍棒 状 乃 至球状の

    mitochtndriaが 認め ら れ る.そ の超薄切片 とした

    ものを電子顕微鏡下 に観察すると, mitochondriaが

    特異な像 と して現われ る.即 ち各mitochtndriaは

    その濃度を増 しているが,そ の中に顆粒状 に特に黒

    く現 われてい る部 分 が あ り,又 あ るmitochondria

    は一部 に円形乃至楕円形の明 るい部分を示 している,

    この明 るい部分は明 らかに二重の壁 によつて囲まれ

    ている(写 真2).

    この像を拡大 して詳細 に観察す ると,色 素の入つ

    てい ると思われる暗い部 分ではmiteochondriaの 内

    部構造 が,壊 れて不明になつているが明る く見え る

    部分にはcriatae様 構造がはつきり認められ る(写

    真3).明 る く見 える部 分 は はつきり二重膜構造で

    囲まれてい るにとがよ くわか る.

    このmitcchondriaの 染色 状 態 を 見 ると, Janue

    Green Bはmitochondria全 体に一様に侵入するが

    一 部に色素に親和性のない物質が分離 してこの部が

    淡明 に現われるもの と思 われ る.又 平等に暗 く見え

    る中に特に黒染す る色素顆粒が分布 している,に れ

    を見 ると特に色素に親和性の強い物質が分離してい

    るように思われ る.こ れらがcristaeと どのような

    関係にあるのかは不明である.

    次 に極 めて短時間(約1~2分)の 染色でmito

    chondrisが 漸や く染ま りかけ た時 期 に固定 したも

    の について見 ると写真4に 示す如 く, mitodhondria

    の中色素 に親和性 の弱い と思われる物質の遊離は既

    に起つておりmitochondriaの 極 に円形 乃至球形に

    認められ る.

    この中には勿論criataeは 認 められるが,暗 く現

    われて来ている部分に もcristaeは 認 められる.そ

    してここには未だ暗顆粒 は現われていないので上記

    の黒 色顆粒が生ず る過程は不明である.

    更 に写真2, 3に 示 したと同 様 の操作を行つた細

    胞でその種 々の部分 に認 め られたmitochondriaの

    種 々相を見 ると写真5~10に 示す如 く細胞により又

    mitochondriaに よりその染色度は極めてまちまちで

    ある.そ して弱 く染まつた ものか ら過剰の染色状態

    にあ るものを追つて行 くと色素の侵入状態をある程

    度まで把握 出来る,即 ち写 真6で はJanus Green B

    親和性の滴状物の遊離を極めてはつきりと認め得ら

    れ る.そ して にれらではmitochondriaの 内部構造

    はcriataeは 認め られない.

    写真7で は膨化 したmitochondriaの 周 囲にこの

    暗顆粒が認め られ,こ れ らはcriataeの 成分が色素

    と凝集 して滴状化 したのではないかと思われ るよう

    な像を呈 して いる.

    写真8で はcristaeの 周囲に小 さい電子密度の高

    いdropletの 発生の初期を思 わせ るような像が見 ら

    れる.に れらの間に著 し く濃 く染まつたmitochon

    driaが 認め られ る.

    写真9で は過 染 され たmitochondriaの 両極 に

    不 染 性 の部 分 が あ りそ の一 端の ものでは内部に

    criataeの 存在 がはつき り認 め られ る.し かし黒 く

    染 まつた所には も早 や内部構造は認められない.写

    真10に 示すmitochondriaも 同 じく濃染 しているが

    これでは限界 膜 が やや黒 く現われ, crietae様構造

    と思われ るものが濃染 してい る.

    これらの像を綜合 して考 案す ると, mitochondria

    は色素の侵入 によつて色素に親和性のない物質がそ

  • Janus Green超 生体染色の電子顕微鏡的研究 1801

    の一 部分に分 離 され て現 われ る.

    そ して他の 部分 は 暗 く現 わ れ るが,何 れ の 部 分 に

    も初期にはcriatae構 造 が認 め られ る.

    更 に色素親 和 性の 部 分 で はそ の 内 部構 造 が 壊 れ更

    に色素 に強 い親 和性 を もつ もの が黒 色 のdropletと

    して遊 離 して 来 る.こ れ ら はcristaeの 或 る成分 か

    ら出来 るよ うに思 わ れ るが詳 細 は 不明 であ る.

    尚,好 中球,好 酸 球 の特 殊 顆 粒,小 胞 体等 のmito

    chondria以 外の顆 粒 又 は 構 造 物 は何 れ も染 め られ

    ておらずその ま まの形 で認 め られ る.

    しか し細胞 に よつ て は 全 くmitochondriaの 染 ま

    つて いない もの もあ り,又1個 の細 胞 の 中 で も不染

    性のmitochondriaが 認 め られ る こ とは 第1編1)に

    観察 した所見 と全 く同様 であ つ た.

    総 括 並 び に 考 察

    Janus Green B顆 粒 の 重 金 属 錯 化 合物 は アル コ

    ールに不安定 な ことは 既 に 知 られ て い る1)-4).し か

    るにエーテル に対 して は 全 く安 定 して い る事実 か ら,

    無水 エーテル の吸 湿性 の あ る こ と及 び僅 かな が ら脱

    水的作用 のあ るこ と5)-7)に 着 目 し,こ れ を用 い た新

    らしい脱 水操作 を 試 みた.

    先 づ固定 され た色素 に アル コール の 濃 度 と アル コ

    ール とエーテ ル との混 合 比 率 の安 定 限界 を検 討 し,

    上記の如 き脱 水 系 列を 考 案 した.

    この方法 で色 素 顆粒 の 溶 出を 起 す こ とな く細 胞 の

    微細 構 造 を 損 す る こ と も な く又,包 埋 に 用 いた

    methscrylateに も溶解 せ ず 超 生 染色 素 を そ の まま

    の形で 電子顕 微鏡 下 に極 めて よ く観 察 す る こ とが出

    来た.

    従来超 生染 色 素の 固 定 が 困 難 で あ り2) 8)-14)又 よ

    く固定 されて もその 後 の操 作 に よ り 不安 定 な こ とか

    ら,色 素 と細 胞 のorganellaeと の 関 係 につ い て 充

    分な観察 が 出来な い ま ま漠 然 と した知 識 に よつ て 推

    論,仮 説14-16)が な されて い た.

    ここに著者 の創 案 に よつ て 実験 上 の 隘 路 を打 開 す

    ることが出来 る と共 に,こ れ に 附随 した未 解 決 の 諸

    問題に解決 の手 が か りが 得 られ た.

    従来Janus Green Bはmitochondriaを 選 択 的

    に染色す る もの と考え ら れ て い た が15) 18), Lazarow

    & Cooperstein17) 18)はmitochondriaを 特 異 的 に 染

    色するので は な く, mitochondriaに 存 在 す るCyto

    chrome C-Cytochrome Oxidase系 の 作 用 に よつ て

    色素 は酸 化型 に保 た れ,そ の 他 の細 胞 質 で は速 やか

    に還元 されて 還元 型 の 無 色 にな る とい う仮 説 を 提 唱

    し,現 在 この 説を支 持 され て い る よ うであ る19).

    しか し本編 にお け る実験 結果 は前 編 の もの と同 じ

    く再 び彼 の 説 を決 定 的 に否 定 す る もの であ つ た.更

    に こ の 方 法 を 適 用 し て 明 ら か に され た こ とは,

    Janus Green Bがmitochondria内 に 入 つ て 行 く

    過程 で あ る.上 述 の如 く色 素 はmitochondriaに 入

    る と色 素 親和 性 の物 質 と結 合 して 非親 和 性 の物 質 を

    分 離 し,至 にcristae構 造 を 破 壊 して しま うよ うに

    働 く, Janus Green Bは 強力 な 細 胞 毒 であ りそ の

    作 用 に よつ てmitochondriaの 機 能 が殆 ん ど停 止 し

    て しま うこ とは よ く知 られ て い る が,恐 ら くそ の作

    用は 内部 構 造 の 化学 的,形 態学 的な破 壊 にあ る もの

    と考 え ら れ る.コ ロ イ ド性 内 容 の3層 えの 分離 と

    cristaeの 崩 壊 が こ こで観 察 出 来 た 確 実な 結 果 であ

    つ た.

    何 故mitochondriaの み にJanus Green Bが 親

    和 性 を有 す るか に つ い て の 機 序 は 不 明 で あ る が,

    mitochondriaの 脂 質 とJanus Green Bが そ の極

    性 に おい て 著 し く似通 つ た状 態 の もので あ るこ とは

    想 像 にか た くな い.そ れ ら の 脂 質 はmitochondria

    の特 殊 性 を示 す と同時 に,恐 ら く特殊 な構 造 と機能

    に関係 の あ る もの で あ ろ う.

    超 生 染 に よ るmitochondriaの 破 壊 の過 程 とmito

    chondriaの 機 能低 下 の 関 係 を 追求 して 行 けば どこ

    に どの よ うな 機能 があ るのか 或 い は はつ き り とつ か

    まえ る ことが 出 来 るか も知れ な いが これ は将 来 に残

    され た 問題 で あ る.

    更 にJanus Green Bに よつ てmitochondriaは 特

    異 的 に染 め られ る が,全 て の細 胞 のmitochondria

    が染 め られ るわ けで は な く又 同 じ作 用時 間 に おい て

    も種 々の 染 色程 度 の もの が認 め られ る.こ れ ら は色

    素 と細 胞 との接 触 の程 度,個 々の 細 胞表 面 に おけ る

    色 素 の濃 度 の差 異 等 に もよ るであ ろ うが,あ る細 胞

    で は非 常 に染 ま り 難 い と い う よ うな こ とは恐 ら く

    mitochondriaの 分 化 によ る変 化 と も一 定 の関 係 が

    あ るよ うに も思 わ れ る.こ の 問題 も又今 後 に残 され

    た 問題 で あ る.

    結 論

    1)著 者 はJanus Green B顆 粒 に よるmitochon

    driaの 染 色 過程 を 追 求 す る 目的で,色 素 の 固定 ・脱

    水.包 埋 を通 じて 色素 を 保存 しそ の ま ま電子 顕 微 鏡

    的 に観 察 す る方 法 を考 案 した.

    この 方 法 に よつ て種 々の染 色 時 間で 骨髄 細 胞 を 染

    色 し, mitochondriaに 色 素 が 侵 入 して行 く過程 を

  • 1802 佐 々 木 博 一

    追求 して,色 素の侵入によつて如何 にmitochondria

    の構造が破壊 されて行 くかを電子顕 微鏡下 に観察 す

    ることに成功 した.

    2)方 法 においては妹尾 らのJanus Green B超

    生染像の固定法を利用 して,脱 水 ・包埋方法 を変え

    50%ア ル コールか らアルコール,エ ーテルに細胞を

    移 し脱水 して包埋する方法を新 ら しく考案 した.

    3) Janus Green Bのmitochondria染 色過程は

    先 づ色素 によつてmitochondria内 の色素親和性物

    質 と非親和性成分 の分離を招来 し,つ いで親和性部

    分のcristae構 造の 破 壊 を起 し,暗 色の部分に更 に

    高度の色素親和性物質の小滴状物の出現を来す.

    即 ちJanus Green Bの 侵入によりmitochondria

    は終局的に3つ の成分 に分離 され,構 造の破壞を来

    し,最 後 には これらは一様 に暗い塊状物に化して行

    くとい うことである.

    稿を終るに際 し終始御懇篤なる御指導並びに御校

    閲を賜わつた岡山大学医学部妹尾左知丸教授並びに

    鳥取大学農学部津村巌教授に深甚な る謝意を表いま

    す.

    併せて不断の御教示 と御援助をいただいた岡山大

    学医学部病理学教室員各位に深謝 し,又 御厚意ある

    御援助をいただいた同医学部電子顕微鏡室黒田,林,

    片 山各技官に対 し衷心 より謝意を表します.

    文 献

    1) 佐 々木 博 一:岡 山 医 学 会 雑 誌,(第1編), 1960.

    2) Seno, S., Haba, K., Maki, T. & Nakamoto,

    T.: Aeta Haem. Jap., 21, 332, 1958.

    3) 中 本 孝:岡 山 医 学 会 雑 誌, 71, 757, 1959.

    4) 真 木 照 雄: ibid. 70, 4637, 1958.

    5) 児 玉 桂 三 他:生 物 学 ハ ン ドブ ッ ク,技 報 堂,東

    京, 1953.

    6) 渡 辺 又 治 郎:薬 学 雑 誌, 54, 524, 1934.

    7) 小 竹 無 二 雄:有 機 化 学(上), p. 120,共 立 社,

    東 京, 1937.

    8) Golovine, E.: Zeitechr. f. Wiss. Mikro., 19,

    176, 1902.

    9) Gross, W.: Ziegler. Beitrag. f. path. Anat.,

    51, 528, 1911.

    10) Me Junkin, F. A.: Amer. J. Path., 1, 305,

    1925.

    11) Parat, M. et al: Comptes Rendes de la Societe

    de Biologie. II. 315, 1925.

    12) PBterfi, T.: Methodik d. Biologie. Bd. I.

    Morphologie, p. 485, Berlin, 1928.

    13) 佐 口 栄:医 学 と生物 学, 4, 551, 1943.

    14) 塚本 茂;十 全 会 雑誌, 37, 925, 1918.

    15) Bensley, R. R.: Trans. Chicago Path. Soc.

    8, 78, 1910.

    16) Michaelis, L.: A. f. Mikroskop. Anat., 56,

    558, 1899.

    17) Lazarow, A. & Cooperstein, S. J.: Exp. Cell

    Res., 5, 56, 1953.

    18) Lazarow, A. & Cooperstein, S. J.: J. Histo

    chem. & Cytochem., 1, 234, 1653.

    19) Brachet, Y.: Biochemical Cytology. p. 58,

    Academic Press Inc. New York, 1957.

    第2編 附 図 説 明

    1.ラ ッ ト骨 髄 好酸 球 を 超生 染 しない で 沃度 カ ジ水 銀 液 と2%オ ス ミウ ム酸液 の 等 量混 合液 で 固定 後, 50%

    アル コー ル,ア ル コー ル,エ ー テル 混合 液,エ ー テル 等 に て 脱 水 処 理 した も の.細 胞 の微 細 構造 は極め てよ

    く保 持 され て い る. (×18000)

    2.骨 髄 好 中球, Janus Green B超 生 染 を 施 し これを 写 真1の 場 合 と同様 に 固定,脱 水 処 理 した もの. mito

    chondria(M)は 均質 にelectron denseと な り,限 界 膜 及 びcristaeが 残 つ て い るが,所 々に点状 の電子密

    度 の 高 い斑 紋 を 認 め る, (×16000)

    3.写 真2の 拡 大像. (×28000) mitochondriaの 本 来 の 外形 は 認 め られ る.暗 い部 分 では 内部 構造が壊れ て

    不 明 にな つ て い るが 明 る く見 え る部 分に は ク リス タ様構 造 が は つ き り認 め られ る.(↑ 印)

    4.骨 髄 好 中 球,超 生 染 を 短 時 間(約1~2分)の 染 色 し, mitochondriaが 染色 初 期に 固定 した もの.

    (×45000) mitochondriaの 色 素に 親和 性 の 弱 い と思 わ れ る物 質 の 遊 離 が 起 り その 極に 円形 乃至楕 円形に認 め

    られ る.こ の 中 に は勿 論 ク リス タは 認 め られ るが,暗 く現 わ れ て 来 て い る部 分 に も ク リス タは認 められ る.

    (↑ 印)

  • Janus Green超 生 体 染 色 の電 子 顕 微 鏡 的研 究 1803

    5.写 真2の 細 胞 と同 様 に処 理 した 細胞 . mitochondriaの 電子 密 度 の 増強 と共 に ク リス タの 像 が やや 不 明瞭

    とな り,僅 か に 濃 淡像 が 認 め られ る.

    6. Janus Green B親 和 性 の滴 状 物 の遊 離 を 明 瞭 に認 め られ る.(↑ 印)

    7.膨 化 したmitochondriaの 周囲 に 暗 顆 粒 が認 め られ色 素 と凝 集 してdropletに 見られ る.(↑ 印)

    8.ク リス タ周囲 に 小 さい電 子 密度 の 高 いdropletの 発 生 初 期 と思 わ れ る像,(↑ 印)

    9.過 染 され たmitochondriaの 両 極 に不 染性 の 部 分が あ りそ の一 端 に は ク リス タの 存在 が 明 瞭 に認 め られ

    る.(↑ 印)

    10.濃 染 したmitochondriaで 内 部 構造 は 不 明 瞭 で あ るが,限 界 膜が やや 黒 く現 われ,ク リス タ様 構造 と思

    われ るもの が濃 く染 ま つ てい る.(↑ 印)

    Electronmicroscopic Studies on the Cells Supravitally-stained

    with Janns Green B

    Part 2. Observation on the Cells Dehydrated by Applying a

    New Method for the Retaining of the Dye Granules

    By

    Hiroichi SASAKIDepartment of Pathology, Okayama University Medical School.

    (Director: Satimaru SENO)

    The author's own divice, as mentioned in part I, a method of substitution of the dye potassium mercuric iodide complex formed in the supravitally stained cells with mercuric sulfide complex, gave a good result to retain the dye granules in situe, revealing the selective staining of mitochondria with Janus green B.

    But the granules appeared too opaque to see the detailed inner structure of mitochondria.Then, the author tried to retaine the potassium mercuric iodide dye complex through the

    dehydration process by using a specific dehydration media for electron microscopy.In vitro experiment on the precipitants, the mercuric potassium iodide dye complexes,

    proved that this complex is dissolved easily in pure ethanol, but is not dissolved in 50% ethanol. On the author hand, the complex is not dissolved in ethyl-ether , but dissolved ether-ethanol mixture (1.1). The test done by lowering the ethanol contents in ether proved that the dye does not dissolved in the ether containing 20% ethanol.

    On the basis of these observations the author tried to retain the complex through dehydration and succeeded in observing the mercuric-dye complex in the cells under electron microscope by making the sections from the cells dehydrated through 50% alcohol , ether containing 10% of pure ethanol and then pure ether, imbibed with ether-methacrylate monomer and methacrylatemonomer , and embedded in mathacrylate by the aid of benzoyl peroxide.

    The electron microscope observation on the cells stained supravitally with Janus green B, fixed by the method deviced by SENO, dehydrated and embedded by the method just mentioned, proved that the minute structure of the cells are kept as well as in those fixed with 1% osmic acid and dehydrated by the routine method.

    In the series of observation on the cells treated with Janus green B in the different period of staining, the processes of the invasion of dye into mitochondria and the deformation of the inner structure have bean traced. After a short period of staining, the dye has acted as scarecely to increase the opacity of mitochondria but a marked change in they structure occured by the ring formation at one end of mitochondria. More deeply stained ones the appear very dark but in the dark area some opaque droplets are recognized. In this case, too, the less opaque pole were seen at the end of mitochondria , in which the structure of cristae were observed. These observations show that by the action of dye element of mitochondria seems to be segregated into 3 parts, less affine, modercetely affine and strong affine elements to me dye, with the destruction of the inner structure.

  • 1804 佐 々 木 博 一

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  • Janus Green超 生 体染色の電 子顕微鏡的研究 1805

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  • 1806 佐 々 木 博 一

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