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IMRAD形式による レポート作成の基礎 田所聖志 2015615日(月) 資源政策コース初年次ゼミ

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IMRAD形式による レポート作成の基礎

田所聖志

2015年6月15日(月) 資源政策コース初年次ゼミ

自分の考えを相手に分かりやすく伝える論理

• なにを

• どうやって調べ

• なにが分かり

• どう考えたか

IMRAD形式

みなさんの一生を通じ,大抵のレポート,報告書,論文,プレゼンテーションのたぐいは,この形式を応用すれば対応できるはずだ.

Introduction Materials & Methods Results Discussion & Conclusion

Title

Introduction

Materials and Methods

Results

Discussion Conclusion

レポートの構成

(1) 表題(タイトル,学籍番号,氏名,日付等)

(2) 序論 Introduction

(3) 材料と方法 Materials and Methods

(4) 結果 Results

(5) 考察と結論 Discussion and Conclusion

(6) 参考文献 References

レポートの構成(表題)

• タイトル • 学籍番号 • 氏名 • 日付

など

• タイトルは、内容を反映させたものをつける

表題は、最も重要なパートである.

レポートの構成(序論)

(2) 序論(主なレポート内容の説明)

・取り上げる問題,話題はなにか

・取りあげる対象はなにか

・その問題の背景はどのようなものか

・その問題を取り上げた動機は何か

レポートの構成(材料と方法)

(3)材料と方法

・レポート作成者はその問題についてどのよ

うな調査・研究を試みたか

・必要に応じ、取りあげた対象の説明をする.

(4) 結果(調べた内容)

•調査・研究によって明らかになった

事実を述べる.

通常,レポートでは個人的な感想を

記述しないので注意すること

レポートの構成(結果)

事実とは何か

・ ジョージ・ワシントンは米国の最も偉大な大統領であった.

・ ジョージ・ワシントンは米国の初代の大統領であった.

事実とは証拠を挙げて裏づけすることのできるもの

意見というのは,何事かについてある人が下す判断. ほかの人はその判断に同意するかもしれないし,同意しないかもしれない.

どちらが事実でどちらが意見?

(5) 考察(調べて分かった事実についての吟味)

•調査・研究によって得られた結果を,客観的に

(第三者の立場に立って)見直す.

•結果を他の研究と比較したり,関連づけたりする.

•それにもとづいて自分自身の見解(主張)を組み

立てる.

課題の内容によっては省略することもある.

レポートの構成(考察)

レポートの構成(結論)

(5) 結論(レポート内容のまとめ)

•考察の内容を簡潔に列挙してまとめる.

•それにもとづいて、序論で述べた問題,

話題に対する自分自身の見解を述べる。

•残っている問題点の指摘.

レポートの構成(参考文献)

(6) 参考文献

・レポートを作成する上で,使用したデータや

人の意見,主張などがあれば,そのデータ

主張などが記載されていた本,論文などの

情報源を参考文献として挙げる.

・著者名,出版年,本(論文)のタイトル,

雑誌名,号・巻,ページ数,出版社,URLなど

注意する点

(1)文体は統一する

である調,ですます調を混同して使用しない

(2)自分が入手した情報を活かして書く

同じ体験をしても,同じ説明を受けても

書き手によってレポートの内容は異なるはず

レポートの書き方(よくある失敗例)

男鹿半島は,秋田県西部にある日本海に突き出た

半島である. 半島部の大半が男鹿市に属する.西部

に男鹿三山,中央部に寒風山がそびえる.また,半島

の南東部の海岸を中心に断崖が続いている.半島の付

け根には八郎潟がある.

オリエンテーション当日は○○に行き,□□の観察を

行った.この場所では,化石を採取することができた.

レポートの書き方(よくある失敗例)

次に,○○へ移動し,□□を行った.ここで見られる

地層は,△△年前の地層である.

オリエンテーションを通じて,いままで,知らなかった

ことを,多く知ることが出来た.大変有意義な地質巡検

ができ,とても勉強になったと思う.

実際に,行っていない人でも 書けてしまう内容!

実習レポートのポイント ・基本は5W1H Who 誰が What 何を When いつ Where どこで Why どうして How どのようにして 行ったのか

・実習レポートなどの場合

現場に行った者でなければ得られない情報や

観察結果について記述する.

メモを取る!

課題:秋田県内の自然環境について自由に論じなさい. 白神山地が貴重である理由と私たちのすべき対処

白神山地は、世界最大級規模のブナ天然林があるため、1993年に世界自然遺産に登録された。以後、白神山地では、

エコツーリズムも盛んになった。だが、大規模なブナ天然林が白神山地にある理由は、あまり知られていない。なぜ、白神山地には広大なブナ天然林があるのだろうか。また、私たちは、白神山地をどのように扱う必要があるだろうか。 日本国内の山地の植生の成立背景に関する初学者向けの文献[小泉 1998]を用い、ブナ天然林の成立経緯を調べた。そ

のうえで、国際地質科学連合による地質年代層序表を参照し、地質年代を最新のものに改めた[cf. IUGS 2013]。

タイトル

序論

材料と方法

ブナは、3000万年前の古第三紀に、温暖な極北地域に生

まれた植物群に含まれる植物である。その後、気候の寒冷化により、針葉樹林が北方にとどまって亜寒帯林として分離独立するなど、これらの植物は種類ごとに分かれて分布するようになった。ブナ林は、現在の日本、ヨーロッパ、アメリカ東部のみに分布した。そして、260万年前から始まる第四紀に大陸氷河が発達し、ブナ林は大きな被害を受けた。3地域の中で日本のブナ林は最も被害が少なかった。日本には大きな山岳地帯がないため、大陸氷河が発達しなかったからである。その結果、広大なブナ天然林が日本の山々に残された。 その日本のブナ天然林も、(…以下略)

結果

白神山地のブナ林が貴重である理由は、3000万年前から

の姿を維持する広大なブナ林であるという点にある。こうした正確な理由が知られていないため、白神山地は、世界自然遺産という名前のみが謳われる観光対象となる場合さえある。また、指定地域以外で伐採が継続されるという事態すら生じている。以上の点から、私たちは、白神山地を含む北東北のブナ林が貴重である理由を広く周知する努力をさらに進める必要がある。 [参考文献] 小泉武栄 1998 『山の自然学』岩波新書。 国際地質科学連合(International Union of Geological Sciences:

IUGS) 2013 “International Chronostratigraphic Chart v2013/01”. (http://www.stratigraphy.org/ICSchart/ChronostratChart2013-01.pdf 2015年6月10日閲覧)。

議論・結論

参考文献 • レポート全般について 小笠原喜康 2009 『新版 大学生のためのレポート・論文術』講談社.

• 日本語の文章について 本多勝一 1982 『日本語の作文技術』朝日文庫.

• 英語での研究・調査・レポート作成について Booth, W.C., Colomb, G.G. and Williams J. M. 1995 The Craft of

Research. Chicago and London: The University of Chicago Press.

• 思考について 森博嗣 2013 『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良い

のか』新潮新書.

参考となるウェブサイト • レポート・プレゼンテーション(立教大学)

– Master of Writing https://www.rikkyo.ac.jp/aboutus/philosophy/activism/CDSHE/journal/leaflet/

– Master of Presentation https://www.rikkyo.ac.jp/aboutus/philosophy/activism/CDSHE/journal/leaflet_presentation/

• 情報検索(秋田大学付属図書館) http://www.lib.akita-u.ac.jp/contents1/kensaku1.htm

レポート課題

• 研究室訪問でインタビューした先生の研究内容と地下資源開発のプロセスとの関係性について、自由に論じなさい.

• このレポート課題には,「あなた自身の見解を述べなさい」という指示が隠されている.

・ ・ ・

A4用紙のワークシートを作ろう!

表題 はじめに インタビューの様子 要旨

地下資源開発のプロセスと先生の研究の関係

おわりに 質問への答え(1)

1 2

3 4 5 参考文献 6

・ ・ ・

A4用紙のワークシートを作ろう!

表題 はじめに インタビューの様子 要旨

地下資源開発のプロセスと先生の研究の関係

おわりに 質問への答え(1)

1 2

3 4 5 参考文献 6

考察 結果

結論 参考文献

・200字~400字 ・最初に書くとよい場合もある ・何度も書き直す

対象と方法 序論 表題 ・作業タイトル ↓ ・本タイトル

・質問の数に応じて作成

自分の考えを相手に分かりやすく伝える論理

• なにを

• どうやって調べ

• なにが分かり

• どう考えたか

IMRAD形式

みなさんの一生を通じ,大抵のレポート,報告書,論文,プレゼンテーションのたぐいは,この形式を応用すれば対応できるはずだ.

Introduction Materials & Methods Results Discussion & Conclusion

資源学実習のレポート 今回学んだ内容を駆使してレポートを作成すること.

剽窃(plagiarism)はしないこと.