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JPEC レポート 1 平成 27 10 13 IMOSOx規制強化による船舶用燃料への影響(2) 現在 世界的な海洋汚染の防止には、 IMO (国 際海事機関、International Maritime Organization国際連合の専門機関の一つ)が 中心となって取り組んでいる。 IMOは、 1983年に発効した国際条約を核とし て、船舶から排出される大気汚染物質の排出規 制に関しての関係規則を2005年に発効し、 10が経過している。規制発効後は、段階的に排出 規制値は引き下げられており、世界的に高硫黄 船舶用燃料を低硫黄化する動きが活発化してい る。 20151月からは、ECA海域(Emission Control Areas)では一段と厳しい規制値が適用 されている。また、世界の一般海域でも2020 年(または2025年)以降には規制値が大幅に 引き下げられる予定である。なお、 ECA海域とは、マルポール条約 附属書Ⅵで適用され た船舶からの大気汚染物質の規制海域をいう。 前編では、船舶のIMOによるSOx規制の概要および当該規制の対応法のひとつである 低硫黄燃料について報告した。後編では、船舶用排ガス浄化システムの商品化動向、 SOx 規制にともなうアジア主要国の対応動向およびLNG燃料船の動向を報告する。なお、項 番号および表・図番号は、前篇の続き番号で記載する。 4 排ガス洗浄システムの動向 船舶用の排ガス洗浄システム(Exhaust Gas Cleaning SystemEGCS)は、既に欧 州を中心に開発ならびに船舶への搭載が進んでいる。EGCSには種々の方式があるが、 現在 船舶に設置されている大半は、湿式スクラバー(Scrubber、洗浄塔)を用いたシ ステムである。 下記に欧州、米国および日本メーカーの最近の商品化動向を報告する。 2 2 2 0 0 0 1 1 1 5 5 5 1 1 1 8 8 8 4 排ガス浄化システムの動向 1 4-1 海外メーカーの動向 2 4-2 日本メーカーの動向 3 5 舶用燃料油のアジア地区の動向 4 5-1 シンガポールの動向 5 5-2 韓国の動向 6 5-3 香港の動向 7 5-4 中国の動向 7 5-5 日本の動向 8 6 LNG 燃料船に関する動向 10 6-1 欧州の動向 10 6-2 アジア(日本を除く)の動向 12 6-3 日本の動向 12 7 まとめ 13

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平成 27年 10月 13日

IMOのSOx規制強化による船舶用燃料への影響(2)

現在 世界的な海洋汚染の防止には、IMO(国

際海事機関、International Maritime

Organization、国際連合の専門機関の一つ)が

中心となって取り組んでいる。

IMOは、1983年に発効した国際条約を核とし

て、船舶から排出される大気汚染物質の排出規

制に関しての関係規則を2005年に発効し、10年

が経過している。規制発効後は、段階的に排出

規制値は引き下げられており、世界的に高硫黄

船舶用燃料を低硫黄化する動きが活発化してい

る。

2015年1月からは、ECA海域(Emission

Control Areas)では一段と厳しい規制値が適用

されている。また、世界の一般海域でも2020

年(または2025年)以降には規制値が大幅に

引き下げられる予定である。なお、ECA海域とは、マルポール条約 附属書Ⅵで適用され

た船舶からの大気汚染物質の規制海域をいう。

前編では、船舶のIMOによるSOx規制の概要および当該規制の対応法のひとつである

低硫黄燃料について報告した。後編では、船舶用排ガス浄化システムの商品化動向、SOx

規制にともなうアジア主要国の対応動向およびLNG燃料船の動向を報告する。なお、項

番号および表・図番号は、前篇の続き番号で記載する。

4 排ガス洗浄システムの動向

船舶用の排ガス洗浄システム(Exhaust Gas Cleaning System:EGCS)は、既に欧

州を中心に開発ならびに船舶への搭載が進んでいる。EGCSには種々の方式があるが、

現在 船舶に設置されている大半は、湿式スクラバー(Scrubber、洗浄塔)を用いたシ

ステムである。

下記に欧州、米国および日本メーカーの最近の商品化動向を報告する。

JJJPPPEEECCC レレレポポポーーートトト 222000111555 年年年度度度 第第第 111888 回回回

4 排ガス浄化システムの動向 1

4-1 海外メーカーの動向 2

4-2 日本メーカーの動向 3

5 舶用燃料油のアジア地区の動向 4

5-1 シンガポールの動向 5

5-2 韓国の動向 6

5-3 香港の動向 7

5-4 中国の動向 7

5-5 日本の動向 8

6 LNG燃料船に関する動向 10

6-1 欧州の動向 10

6-2 アジア(日本を除く)の動向 12

6-3 日本の動向 12

7 まとめ 13

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4-1 海外メーカーの動向

MAN Diesel & Turbo社(ドイツ、以下MAN社と略)は、舶用主機に用いられる低速2

Stroke Diesel Engineでは世界シェア80%超(含むライセンス生産)世界第1位である。

また、中速4 Stroke Diesel Engineを含めると大型ディーゼルエンジンの生産量で50%以

上を占める世界最大のメーカーである。また、MAN社は、船舶用補機、発電用タービン

などを取扱う産業用機械メーカーでもある。

MAN 社は、船舶用機器などの幅広い機械製品の販売を世界展開しているAlfa Laval社

(スウェーデン)と組み、船舶用脱硫装置も手掛けている。Alfa Laval社は、SOxスクラバーシ

ステム 「PureSOx」を使用することにより、全てのエンジンタイプにおいてSOx除去率98%以

上が達成できるとしている。

Wärtsilä社(バルチラ、フィンランド)は、舶用主機に用いられる低速2 Stroke Diesel

Engineの世界第2位、また中速4 Stroke Diesel Engineでは世界第1位のメーカーである。

同社は、船舶用スクラバーの設置も積極的に推進しており、HP上でシステム設置の多数の具

体例を紹介している。同社では、ハイブリッド式、オープンループ式およびクローズドルー

プ式スクラバーの3種類(詳細は前篇P7、8参照)のシステムを取扱っている。

同社 HP上では、システム設置の多数の具体例を紹介しており、投資回収試算結果を

示す(図9参照)。なお、この試算は、舶用残渣油の価格差 5種類($250~$1,000)、主

機(10MW×1基)+補機エンジン(0.5MW×3基)使用および投資金額300万米ドルの条

件において、投資資金を何年間で回収できるかをプロットしたものである。

投資回収年数

年間燃料消費量 (単位:トン)

投資回収年

年間燃料消費量(単位:トン)

図 9 Wärtsilä社の投資回収試算

(WärtsiläのHPより)

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Belco Technologies社(DuPontの子会社、米国)は、「DuPont Marine Scrubber」の展開

を行っている。同社は、製油所や工場での排ガス洗浄システムで40年以上の実績があり、SOx

およびPM除去で規制を満足できるとしている。同社でも、ハイブリッド式、オープンループ

式およびクローズドループ式スクラバーの3種類のシステムを取扱っている。

Clean Marine社は、Torvald Klaveness

Group(ノルウェーの世界的な海運会社)の

関連会社で、排ガス洗浄を専門に取扱う会社

である。

同社は、価格競争力のある船舶用排ガスス

クラバーの供給会社として世界的にも認め

られており、ハイブリッド式およびオープン

ループ式スクラバーの2種類のシステムを取

扱っている(図10参照)。同社システムは、

アジアでも韓国および中国などの船舶に搭

載される予定になっている。

4-2 日本メーカーの動向

2014年2月 日本海事協会(ClassNK)は、共同研究体制(川崎汽船、三菱重工業、三

菱化工機およびジャパン マリンユナイテッド)で、「国産舶用SOxスクラバーの開発及び

実船搭載に関する研究開発」を行うことを発表した。

同共同研究では、三菱重工業お

よび三菱化工機が開発した排ガ

ス洗浄システム(ハイブリッド

SOxスクラバーシステム)を大型

自動車運搬船に搭載し、研究を行

うものである(図11参照)。

同スクラバーは、モジュラーデ

ザイン(スクラバー本体および洗

浄水処理装置などをコンテナユ

ニット化)を採用しており、新

造船だけでなく既存船への設置

も容易な構造になっているため、

図 9 Wärtsilä社の投資回収 試算結果

(出所:Wärtsilä HPより)

図 10 Clean Marine社のスクラバーシステム

(出所:Clean MarineのHPより)

図 11 ハイブリッド SOxスクラバーシステム

(出所:三菱化工機のHPより)

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ECA海域および一般海域での今後の規制強化にも対応できる方式である。

2014年4月 富士電機は、船舶向け排ガス浄化装置を発売すると発表した。同社では、販

売する湿式スクラバーは、ハイブリッド式を採用しており、SOx除去率は98%を達成し、

業界最小のコンパクト設計が特長としている。投資回収に関しては、2014年3月時点の燃

料価格を使用し、95,000DWT相当バルカー(ばら積み貨物船)の燃料消費量で試算した

場合、コスト回収期間は3年以内と報告されている。

2014年12月 日本郵船、株式会社MTIおよび日本海事協会(Class NK)は、南洋理工大

学および Sembcorp Marine Technology(両者ともシンガポール)と共同研究(2020年ま

たは2025年以降の一般海域におけるSOx排出規制に適合する排ガス洗浄システムおよび

その搭載技術)を行うことに合意したと発表した。

本研究は、Singapore Maritime Instituteによる補助金助成対象および日本海事協会の

「業界要望による共同研究」として採択され、シンガポールと日本が協力して実施する本

格的な共同研究として期待されている。従来のECA海域対応の排ガス洗浄システムと比較

して、運用の簡素化を図るとともに、コスト低減、CO2削減を目指すとしている。また、

新造船だけでなく既存船への搭載も視野に入れ、あらゆる船型にも対応できるようにシス

テムの簡素化や小型化など搭載技術の更なる高度化に取組むとしている。

5 船舶用燃料油のアジア地区の動向

船舶用燃料油は、地域や各国の需給状況および規制状況などにより大きく影響を受ける

グローバル商品である。また、世界の石油製品消費量に占める割合も大きい。

米国EIA(エネルギー情報局)のInternational Energy Statisticsのデータによれば、

2012年 世界のバンカー燃料油の消費量は、残渣油約304万BPDおよび石油製品総量約546

万BPDである。2012年 世界の全石油製品消費量は9,034万BPDであり、バンカー燃料は

約6.0%となっている。

2012年 アジア大平洋地域でのバンカー燃料は、残渣油が約134万BPDおよび石油製品

総量が約219万BPDとなっている。同地域の全石油製品消費量は約2,991万BPDであり、

バンカー燃料は約7.3%と世界平均より大きな割合を占めている。なお、現在 同地域では、

ECA海域を抱えていないため、残渣油の消費割合が多く(世界:約57%、同地域:約61%)

なっている(図12、図13参照)。

前篇で記載したようにECA海域では、2015年1月から船舶燃料の硫黄分が0.1%引き下げ

られた。また、一般海域でも2020年または2025年には、規制強化も行われる予定である。

なお、アジア大平洋地域には欧米などと異なり、一般海域よりも厳しいECA規制のよう

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な、複数の国に適用される船舶からの大気汚染を規制する域内基準がない。しかしながら、

IMO加盟国であればマルポール条約 付属書Ⅵに従わなければならない。

このため、残渣油比率の高いアジア大平洋地域の船舶用燃料油の需要は、今後の規制強

化により欧米以上に大きな影響が出てくると考えられる。このような環境変化の最中であ

る同地域のバンカー動向をまとめた。

5-1 シンガポールの動向

2014年 シンガポールでは、船舶用燃料が約4,200万トン強販売された(表5参照)。

同国は、アジア大平洋地域の船舶用燃料の約42%が取引きされている。また、2012年時

点で同国は、世界最大の舶用燃料供給基地でもあり、現在も舶用残渣油では世界最大の

供給国である。

2012年8月からの北米ECA海域の規制強化に伴い、同年9月 Shell Trading Marine

Fuels は、シンガポールで舶用残渣油のLSFO RMG 380(Low Sulfur Fuel Oil、硫黄

分1.0%以下)の販売を開始した。また、翌2013年からは、複数グレードの低硫黄燃料

が販売された。

シンガポールでは、2014年11月からLSMGO(Low Sulfur Marine Gas Oil、硫黄分

0.1%以下)の販売量が増え始め、2015年に入ってからは毎月6万トン以上の出荷が行わ

れている。一方、低硫黄残渣油LSFO(硫黄分1.0%以下)は、2014年10月までは月間4

万トン前後の販売量だったが、その後は急激に減少し、2015年前半には月間販売量が数

百トンになっている。

アジア大平洋

舶用燃料油

需要量

219.3万BPD

(2012年)

図 12 アジア大平洋地域の舶用燃料需要量

(JPEC作成)

アジア大平洋

舶用残渣油

需要量

134.7万BPD

(2012年)

図 13 アジア大平洋地域の残渣油需要量

(JPEC作成)

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2015年1月からのECA海域の規制強化により、シンガポールから欧米に就航する船舶

に関しては、LSFOからほとんどがLSMGOに切り替わったと考えられる。

項目\年 2011 2012 2013 2014 2015上期

MGO 157 145 118 102 48MDO 1 0 0 0 0MFO 180 164 125 95 75 34MFO 380 3,412 3,369 3,207 3,181 1,607MFO 500 558 623 766 811 425LSMGO N.A. N.A. 19 29 40LSFO 180 N.A. N.A. 0 0 0LSFO 380 N.A. N.A. 54 41 1LSFO 500 N.A. N.A. 2 0 0Others 24 7 7 2 1Total 4,315 4,269 4,268 4,242 2,156

5-2 韓国の動向

2012年6月 SK EnergyとGS Caltexは、1年半遅れで北米ECA海域(2010年から硫

黄分1%以下)に対応する低硫黄燃料油の供給を開始している。2013年初頭 両社の供給

量は、月間3万~3.5万トンと報告されている。

2015年春 SK Energyは、硫黄分0.1%以下の舶用残渣油ULSFOをRotterdam港(オ

ランダ)および韓国内で販売しており、シンガポールでも同年7月から販売開始してい

る。供給製品は、ISO8217 RME180規格相当品であり、代表性状は硫黄分0.087%、動

粘度20~30mm2/sec(50℃)と報じられている。

2013年4月 S-Oilは、Onsan製油所(精製能力:66.9万BPD)から北米のECA海域に

適合する舶用低硫黄燃料の供給を開始したと報じられていたが、規制強化後の状況は不

明である。

また、S-OilのOnsan製油所にある「The Bunker C Oil Cracking Center」は、バン

カーC重油の分解装置と脱硫装置で構成されており、状況に応じた稼働が可能である。

2014年6月時点の情報では、同社のバンカー燃料の月間販売量は、韓国内で約70万トン、

シンガポールなどのマーケットで16万~20万トンである。

(出所:シンガポール港湾局 統計)

表 5 シンガポールでの船舶用燃料の販売実績 (万トン)

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5-3 香港の動向

香港は、中国復帰後も特別行政区として機能しており、船舶燃料油の販売量は、中国

に追い越され3位に低下している(図12参照)。2012年 米国EIAのデータによれば、

香港のバンカー燃料の販売量は、残渣油712万トンおよび船舶燃料油総量1,427万トンと

なっており、中国本土の残渣油860万トンおよび船舶燃料油総量1,569万トンとほぼ同じ

販売量となっている。なお香港は、石油製品を生産していないため、燃料油は全て輸入

により供給されている。

Chimbusco Pan Nation Holdings(香港で最大の船舶燃料供給会社)は、年間250万

トン(日量約6,850トン)以上の船舶燃料油を香港で供給していると報じられている。

同社は、ECA規制強化に対応するため、硫黄分1.0%燃料をシンガポールから輸入し2012

年9月から供給を開始していたが、現在の状況に関しては情報が無い。

2012年 香港の燃料油貯蔵タンク能力は45.3万トンあり、ExxonMobilの所有する同

タンク能力31万トンの内の25万~26万トン分は、Chimbuscoにリースされており、ま

たSinopecが10万トン、Chevronが4.3万トンを所有と報告されている。

5-4 中国の動向

China Marine Bunker (PetroChinaの子会社、

中国最大の船舶燃料供給会社)は、中国の主要港に

30社以上の子会社や事務所を持ち、各地の合計で119

万トンの製品タンクを保有している。また同社は、海

外展開にも積極的で、欧米など世界の主要各港で、子

会社または合弁会社を持ち供給体制を確立している。

Sinopec Fuel Oil Sales (Sinopec、中国石油化工

集団の子会社)が船舶燃料の販売を行っている。同社

のバンカー重油販売当初は、月間販売量が1万トン程

度であったが、バンカー重油の販売港湾を増やすこと

で、2011年7月には月間販売量が20万トンまで増加し

たと報告している(図14参照)。

2015年5月 Sinopec およびBPは、BP Sinopec

Marine Fuels(シンガポール、50/50の合弁会社)を

設立したと発表した。今後、両社の既存の供給ネット

ワークを土台にして、更に世界の舶用燃料マーケット

で事業拡大を図る計画である。具体的には、シンガ 図14 Sinopecのバンカー供給港

(出所:SinopecのHPより)

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ポールでのバンカリングに加え、UAE、欧州および中国の主要港でも同事業を行う計

画である。

5-5 日本の動向

日本は、アジア太平洋地域において石油の大量消費国である。BP統計によると、同域

内の中国、インドおよび韓国などの消費量の伸びにより、域内全体の消費量(2000年 約

2,123万BPD ⇒ 2014年 約3,086万BPD)は徐々に拡大してきている。一方、日本は、

1999年をピークに消費が減少(2000年 554万BPD ⇒ 2014年 約430万BPD)し、日本

の域内比率も低下(2000年 約26% ⇒ 2014年 約14%)している。日本の石油製品需要

量は、今後も大きな減少が予想されており、さらに域内での割合も低下していくと考え

られている。

日本の舶用燃料油において、C重油は主に中型~大型ディーゼル機関および船舶用ボ

イラー用燃料として使用される。内航および外航海運を合わせたC重油需要が、マルポ

ール条約 付属書Ⅵの規制値変更の場合に影響を受けることになる(表6参照)。

2008年 2009年 2010年 2011年 2012年

内航海運

軽 油 3.2 2.8 2.7 2.6 2.4

A重油 18.0 16.3 17.4 16.7 17.3

B重油 0.4 0.3 0.3 0.3 0.3

C重油 44.5 41.7 42.8 42.4 43.3

外航海運 A重油 1.5 1.0 0.9 0.9 1.2

(国内給油) C重油 60.2 49.4 53.5 50.5 50.1

(出所:国土交通省「輸送機関別国内エネルギー消費量の推移」)

2012年 石油製品需要実績では、軽油は3,339万kℓ (57.4万BPD)、A重油は1,376

万kℓ (23.6万BPD)、一般用B・C重油(電力用C重油を除く)が863万kℓ (14.8万

BPD)である。このデータから、同年度の日本の石油製品需要に占める海運向け製品割

合は、軽油0.4%、A重油7.8%、B・C重油63%となり、B・C重油に関しては非常に大き

な比率となっている。同年度の電力用C重油の製品需要は、参考値であるが1,975万kℓ

(33.9万BPD)である。

2015年4月 経済産業省の石油製品需要想定検討会(燃料油ワーキンググループ)か

ら出された「平成27~31年度 石油製品需要見直し(案)」では、平成31年度(2019

年)の需要見通しにおいて一般用B・C重油 524万kℓ としており、平成24年度からの7

年間でB・C重油は39%減となっている。但し、電力用C重油(低硫黄燃料を含む)の製

品需要に関しては、現状では予測困難ということで検討から除外されている。

表 6 日本の海運業界のエネルギー消費量推移 (千BPD)

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4月-6月 7月-9月 10月-12月 1月-3月 4月-6月韓国 89,400 203,392 98,832 149,774 46,038

中国 20,813 0 0 0 0

A重油 韓国 23,996 36,146 18,800 12,176 6,022

韓国 197,353 246,219 254,127 231,389 258,028

中国 0 0 0 44,797 30,543

タイ 36,230 0 43,950 81,933 32,241

シンガポール 52,435 0 0 10,038 170,888

マレーシア 765,103 744,211 613,927 952,162 583,145

インドネシア 0 88,655 68,616 0 0

アジア合計 1,051,121 1,079,085 980,620 1,320,319 1,074,845

アジア以外 145,505 29,906 0 28,598 0

合計 1,196,626 1,108,991 980,620 1,348,917 1,074,845

2014年 2015年

B・C重油

軽油

製品名 輸入国名

2014年度下期および2015年度上期の合計を、表6の2012年度の日本の海運のエネル

ギー消費量と比較してみると、軽油は海運約2,400BPDに対して輸入は約8,600BPD、

A重油の合計は海運約17,300BPDに対して輸入は約1,300BPD、B・C重油では海運約

94,000BPDに対して輸入は約78,000BPDとなっている(表7参照)。

2015年1月-3月 4月-6月 7月-9月 10月-12月 1月-3月

韓国 269,215 100,002 245,865 152,746 73,226

中国 51,164 0 148,235 78,098 0

台湾 0 0 0 156,667 94,249

香港 368,605 556,409 546,754 466,883 435,625

ベトナム 0 81,896 40,600 0 0

シンガポール 769,921 133,873 241,021 375,726 590,348

アジア合計 1,598,176 872,180 1,222,475 1,240,120 1,238,748

世界合計 2,359,837 1,676,263 2,211,431 1,966,226 2,589,213

韓国 29,116 18,457 18,210 24,410 62,814

中国 11,400 0 11,268 41,968 37,773

シンガポール 53,609 21,617 104,478 130,546 85,500

アジア合計 105,625 56,098 133,956 220,081 192,793

世界合計 121,693 70,715 151,319 237,769 215,706

韓国 45,602 65,003 60,003 88,554 55,003

中国 54,391 118,145 138,591 172,501 33,074

香港 204,058 171,431 135,945 131,084 138,910

タイ 18,841 34,156 22,130 14,712 21,370

シンガポール 83,058 191,114 50,490 223,819 34,374

アジア合計 387,109 548,693 400,139 643,453 278,661

世界合計 1,357,839 1,459,442 1,305,066 1,603,527 1,078,242

2014年

B・C重油

製品名 輸入国名

軽油

A重油

表 8 日本のアジア向け石油製品の輸出実績(単位:kℓ)

表 7 日本の石油製品輸入実績 (単位:kℓ)

(出所:経済産業省 資源・エネルギー統計)

(出所:経済産業省「平成26年 資源・エネルギー統計年報(石油)」)

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2014年4月~2015年3月までの日本からアジア地域への輸出実績を合計すると、軽油は

約79,000 BPD、A重油は約10,400 BPD、B・C重油は約32,000 BPDとなっている。輸出

先としては、香港およびシンガポールが大きな割合を占めている(表8参照)。

6 LNG燃料船に関する動向

LNG燃料船は、すでに北欧でフェリーおよびクルーズ船を中心に約50隻(LNGタン

カーを除く)が運航されている。今後、自動車運搬船などの他用途船にも拡大されるこ

とが見込まれている。

LNGは、SOxだけでなくNOxおよびCO2削減効果も期待されているため、今後 ECA

海域を中心にLNG燃料船の急増も考えられる。以下に欧州、アジアおよび日本の動向を

報告する。

6-1 欧州の動向

バルト海周辺の主要港湾当局で構成される団体である Baltic Ports Organaization

(BPO)は、9ヶ国45港湾が参加している(図15参照)。

BPOは、EUの経済的支援

を得ながらLNG燃料船導入

およびLNGバンカー燃料供

給基地設置を推進している。

現在推進中の「LNG in Baltic

Sea Ports」プロジェクトでは、

第一期として2014年末まで

に主要エリアのCopenhagen、

Helsinki、Tallinnなど7港で

LNG基地を建設する各種検

討を実施した。

さらに第二期として、2014

年1月~2015年末までの予定

で 5港の追加検討を実施して

いる。当面の目標として、

LNGバンカー燃料供給基地

を11ヶ所設置するとしている。

2015年6月末 エストニアで

は、Tallinn(首都)近郊の

Muuga港で小規模LNGバン 図 15 バルト海沿岸のBPO参加港

(出所:BPOのHPより)

Risavika

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カリング基地の建設許可が下り、2,000万ユーロ以上を投資して2017年の初めに完成の予

定である。

欧州で最も取組みが進んでいるノルウェーでは、2000年にLNG燃料船(フェリー)が

初就航し、2007年以降 同燃料船の建造が急速に進んでいる。これは同国政府が国際公約

(ヨーテボリ議定書)遵守のため、LNG燃料船を建造する時 政策的バックアップ(建造

費の最大8割を補助)をしているためである。また、2015年6月 Skangas社(ノルウェー)

の発表では、同国最初のLNGバンカリング基地が北海に面したRisavika港に完成し、ク

ルーズ船などへの供給を開始している。

2013年1月 Viking Line社(フ

ィンランド)は、LNGを燃料とす

るフェリーでは世界最大クラスの

「Viking Grace」(総トン数:

57,565トン)を就航させ、主にバ

ルト海で運航させている(写真1

参照)。なお同船の主機は、Dual

Fuel Engine (Wärtsilä社製 4基)

を搭載している。また同年3月 同

社は、LNG補給船も運用開始させ

ている。

Antwarp港(ベルギー)では、Ship to Shipおよび Truck to ShipによりLNG燃料

船に Bunkeringをしているが、2016年までにBunkering Stationを建設する予定であ

る。

Rotterdam港(オランダ)では、LNG燃料船の供給促進で動いており、全てのタイプ

の船舶にLNGバンカリングが可能としている。

2015年 9月 Gazpromneft Shipping(ロシア)は、サンクトペテルブルクの国際会議

で、LNG燃料船が 2017 年までには 140隻、2030年までには 3,700隻まで増える予測が

あるとした。同社は、2017年からロシアのバルト海沿岸でLNGバンカー燃料の供給を

開始すると発表した。

2015年 5月 Shell は、Teesport港(英国)において、Saudi Basic Industries(SABIC)

の用船 2隻に英国初のLNG燃料供給を行った。今回のLNG供給は、仮設供給設備で行

ったもので、SABICは 2015年後半には自社設備を完成させる予定である。

写真 1 LNG燃料フェリーViking Grace

(出所:Viking LineのHPより)

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6-2 アジア(日本を除く)の動向

中国運輸省は、環境汚染対策として内航船をLNG燃料船にする計画をしており、2015

年末までに2%以上、2020年までに10%以上としている。船舶数としては、2015年は2,000

隻、2020年では10,000隻に相当する。しかし、現在 燃料油価が大幅に低下していること、

価格の高いLNG燃料使用時のインセンティブが不明確なこと等の状況から達成は難しい

とみられている。しかし、2015年末までに100隻、2016年末までに合計1,000隻が就航す

るとの見方もあり、着実にLNG燃料船は増加すると予測される。

2014年5月 China Gas Holdings(中国) は、宜都市(湖北省)でLNG燃料船用のLNG

バンカリング設備を開設している。同年10月 同社は、重慶市でも同設備を開設している。

2014年末 ENN Energy Holdings(香港)は、張家港(江蘇省蘇州市)でLNGバンカ

リングを行っている。また同社は、舟山市(上海港への入口)においても同設備を2016

年3月完成予定で建設を進めている。

2013年 韓国では、Truck To Ship方式でLNGバンカリングを行っている。また、2017

年完成予定で、Tongyeong港にLNGバンカーターミナルを建設している。さらに、Busan

新港でのLNGバンカリング設備設置を2018年までに完成予定と報じられている。また、

Incheon、GwangyangおよびBoryeong各港にも建設する予定である。

世界の三大造船会社(現代重工業、サムスン重工業、大宇造船海洋)を抱える韓国で

は、2025年までの新造船の約7割がDual Fuel Engine(2元燃料使用可能エンジン)を積

んだ船になる可能性があるため、受注シェアの拡大にもつながると考えている。

シンガポールでは、同国港湾局がLNGバンカリングの試行プログラムを検討している。

現在は、参加企業の選定作業を行っており、2017年の早い時期から実施予定である。

6-3 日本の動向

日本では、世界でも最も高いLNG価格が背景にあるため、LNGタンカーを除いてLNG

燃料船の導入は進んでいなかった。

2015年8月 国内第一号のLNG燃

料船(日本郵船のタグボート、272

トン)が建造された(写真 2参照)。

なお、同LNG燃料船は、経済産業省

および国土交通省の平成 25~27年

度「省エネルギー型ロジスティクス

等推進事業費補助金(革新的省エネ

ルギー型海上輸送システム実証事

業)」の補助対象事業として採択され

写真 2 LNG燃料船「魁」

(出所:日本郵船のHPより)

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支援を受けているほか、日本海事協会からも共同研究対象事業として支援を受けている。

同LNG燃料船には、東京ガスが横浜港でLNGを供給(Truck to Ship)する。なお、

同船は、Dual Fuel Engine(新潟原動機製)方式で、LNGと重油の双方を燃料として使

用できる主機を採用している。同LNG燃料船は、主にLNGを燃料に運航され、重油使

用時と比較して SOxを約 100%、CO2を約 30%およびNOxを約 80%削減することが見

込まれている。

2014年5月 日本郵船は、GDF SUEZ Energy社(イギリス)および三菱商事とLNG燃

料供給事業で基本合意し、欧州でのLNG燃料の販売およびLNG燃料供給船を建造すると

発表されている。

2014年7月 日本郵船は、LNG燃料船への供給を目的とした世界初の大型LNG燃料供給

船(積載量:5,100m3)の建造契約を韓進重工業(韓国)と締結したと発表した。2016

年 同船竣工後は、Zeebrugge港(ベルギー)を拠点にLNGの供給を行う予定である。

2010年 川崎汽船は、LNG燃料船開発プロジェクトチームを立ち上げた。同社は、川崎

重工業およびノルウェー船級協会(DNV)と共同で自動車運搬船の開発検討に着手した。

7 まとめ

今回の調査では、2020年以降に予定される世界の一般海域での船舶燃料低硫黄化(硫

黄分3.5%以下 ⇒ 0.5%以下)を視野に、今年1月からのECA規制強化の影響などを中

心に情報収集した。

2015年1月からのECA規制強化では、硫黄分0.1%以下の船舶用残渣油の供給が遅れ、

低粘度のLSMGOに切り替えた船舶が多く、エンジン燃料供給系のトラブルが出ている

との一部報告が見られた。しかしながら、全体としては大きな問題の発生は無くスムー

ズに移行したようである。最近は、ECA海域対応の船舶用残渣油も複数提案・販売され

ているので、今後の動向を注視する必要がある。

IMO規制強化の対応策として、低硫黄燃料の使用、排ガス洗浄システムの採用および

LNG燃料の採用が主要な方法である。排ガス洗浄システムに関しては、Wärtsilä社の

HPで多数の搭載実績が確認できる。多くのメーカーは、IMO認証を取得した洗浄シス

テムの販売を行っており、システムの信頼性は十分に高まっていると考えられる。レト

ロフィットの場合、投資回収期間も大型船舶では5年前後と言われており、当面はECA

海域で運航する船舶を中心に導入が進むと考えられる。船舶への搭載工事期間の長さが

課題になっていたが、最近の造船景気低迷が同期間短縮の追い風になる可能性もある。

2020年以降に予定される一般海域での規制強化に関しての対策は、船舶運航会社が決

定する事項である。当面は、特にECA海域では低硫黄燃料の使用拡大が予測される。ま

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た、スクラバー搭載船が順次増加してくる数年後には、経済性から高硫黄燃料油に再び

戻ることが予測されている。さらに、各港湾でのLNG供給体制が整備されてくる2025

年頃からはLNG燃料船の増加が見込まれる。

石油業界では、アジア地域において製油所の新設または増強計画が多数あり、近年 余

剰留出油が舶用燃料マーケットに供給されていると言われている。

日本では、B・C重油生産量は年々減少(2000年度 3,136万kℓ ⇒ 2013年度 2,189万

kℓ )しているが、製油所の重油脱硫装置や間接脱硫装置の設備能力はある程度のレベ

ルを維持している。1980年前後に建設された脱硫率が80%以下の重油脱硫装置であって

も、原料重油の硫黄分を下げることで基材製造は技術的には可能と考えられる。ただし、

船舶用燃料は国際商品であり、色々な要素が複雑に絡み合って需給や価格に影響を与え

ているため、継続的に幅広い情報収集と分析が必要と考えられる。

≪参考≫

DML HDME MGO RME RMG RMG RMG RMK

S 0.05% S 0.10% S 0.5% - S 0.10% 50 - 180 380380

S 1.5%

380

S

3.5%

500

China Hong Kong ○ ○ ○ ○

○ ○ ○

Malaysia Tnajung Pelepas ○ ○

Bangkok ○

Koh Si Chang ○

Laem Chabang ○

Sri Racha ○

Antwerp ○ ○ ○

Rotterdam ○ ○ ○

Canada St John's ○ ○

Fos/Marseille ○ ○ ○

Le Havre ○

Augusta ○ ○

Genoa ○ ○ ○

Trecate ○ ○

Norway Bergen ○ ○

Southampton ○ ○ ○ ○

Portsmouth ○ ○ ○ ○

Los Angels ○

Baytown, TX ○

Bayonne, NJ ○

USA

Italy

UK

Benelux

Thailand

France

Singapore

DMA

Residual Marine Fuel OilMarine Distillate Fuel

国名 港名\製品名

Premium etc

参考表 1 ExxonMobil社の舶用燃料油の主要供給港と販売油種

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国 名 項 目 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年

Residual Fuel Oil 584 791 625 533 551

Distillate Fuel Oil 2,772 2,816 2,993 3,192 3,447

Total Consumption 7,697 8,070 8,938 9,504 10,175

RFO for Bunkering 145 171 151 159 157

Total for Bunkering 194 234 275 232 302

Residual Fuel Oil 112 120 168 133 125

Distillate Fuel Oil 54 105 113 92 77

Total Consumption 315 384 431 384 354

RFO for Bunkering 105 121 167 121 130

Total for Bunkering 210 295 345 295 276

Residual Fuel Oil 543 420 394 439 550

Distillate Fuel Oil 925 841 842 821 825

Total Consumption 4,770 4,363 4,429 4,442 4,695

RFO for Bunkering 92 84 80 74 72

Total for Bunkering 96 87 82 76 74

Residual Fuel Oil 332 321 321 278 269

Distillate Fuel Oil 388 386 399 393 405

Total Consumption 2,142 2,189 2,269 2,259 2,322

RFO for Bunkering 149 135 143 143 142

Total for Bunkering 169 153 162 160 158

Residual Fuel Oil 46 30 16 34 33

Distillate Fuel Oil 198 181 182 197 186

Total Consumption 568 611 631 675 670

RFO for Bunkering 1 0 0 3 1

Total for Bunkering 46 46 52 57 54

Residual Fuel Oil 619 719 769 815 797

Distillate Fuel Oil 62 113 74 72 68

Total Consumption 1,003 1,024 1,149 1,216 1,225

RFO for Bunkering 540 635 716 759 752

Total for Bunkering 692 771 866 917 922

Residual Fuel Oil 63 60 60 57 56

Distillate Fuel Oil 300 319 319 348 362

Total Consumption 1,002 1,059 1,074 1,110 1,152

RFO for Bunkering 0 27 25 19 14

Total for Bunkering 0 99 102 101 97

Residual Fuel Oil 3,216 3,308 3,142 3,050 3,115

Distillate Fuel Oil 7,301 7,484 7,809 8,147 8,613

Total Consumption 25,319 25,728 27,482 28,403 29,759

RFO for Bunkering 1,094 1,236 1,346 1,342 1,347

Total for Bunkering 1,702 1,889 2,119 2,066 2,193

中国

香港

シンガポール

タイ

アジア太平洋地域

合計

(出典:米国EIA「International Energy Statistics」、Total Cons.にはBunker含まずLPGは含む)

日本

韓国

マレーシア

参考表 2 アジア主要国の石油消費量 (千BPD)

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国 名 項 目 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年

Total Oil Supply 4,039 4,075 4,371 4,389 4,459 4,543Refined Petro. Prod. 7,069 8,209 8,737 9,298 9,879 NADistillate Fuel Oil 2,741 2,922 3,052 3,209 3,465 NAResidual Fuel Oil 317 351 386 321 285 NATotal Oil Supply 0 0 0 0 0 0Refined Petro. Prod. 0 0 0 0 0 NADistillate Fuel Oil 0 0 0 0 0 NAResidual Fuel Oil 0 0 0 0 0 NATotal Oil Supply 875 874 965 996 990 982Refined Petro. Prod. 3,226 3,837 4,219 4,356 4,505 NADistillate Fuel Oil 1,298 1,508 1,579 1,692 1,870 NAResidual Fuel Oil 323 375 368 348 275 NATotal Oil Supply 1,065 1,053 1,042 1,022 989 939Refined Petro. Prod. 935 941 992 975 947 NADistillate Fuel Oil 261 54 290 324 343 NAResidual Fuel Oil 173 316 192 161 155 NATotal Oil Supply 134 137 143 137 128 138Refined Petro. Prod. 4,136 3,863 3,857 3,658 3,645 3,686Distillate Fuel Oil 1,135 1,036 1,020 962 925 979Residual Fuel Oil 513 423 388 398 461 383Total Oil Supply 42 55 59 60 75 79Refined Petro. Prod. 2,535 2,476 2,537 2,685 2,790 2,697Distillate Fuel Oil 731 726 744 811 854 822Residual Fuel Oil 405 337 341 337 281 216Total Oil Supply 771 734 741 676 696 670Refined Petro. Prod. 650 525 470 508 561 NADistillate Fuel Oil 188 190 166 180 202 NAResidual Fuel Oil 37 28 12 17 37 NATotal Oil Supply 24 21 20 20 20 20Refined Petro. Prod. 1,116 1,110 878 938 1,099 NADistillate Fuel Oil 306 309 220 232 291 NAResidual Fuel Oil 126 142 87 96 99 NATotal Oil Supply 407 429 390 383 404 419Refined Petro. Prod. 837 1,013 1,152 1,132 1,197 NADistillate Fuel Oil 363 388 404 406 442 NA

Residual Fuel Oil 131 132 118 115 121 NA

Total Oil Supply 8,754 8,799 9,165 9,029 9,117 9,051Refined Petro. Prod. 22,739 24,390 25,209 25,873 26,972 NADistillate Fuel Oil 7,716 7,842 8,221 8,561 9,177 NA

Residual Fuel Oil 2,362 2,382 2,143 2,050 1,974 NA

出典:米国EIA「International Energy Statistics」

Total Oil Supply:Crude Oil, Natural Gas Plant Liquids, and Other Liquids

Refined Petro. Prod.:Motor Gasoline, Jet Fuel, Kerosene, Distillate Fuel Oil,

      Residual Fuel Oil, LPGs, Other Products

マレーシア

シンガポール

タイ

アジア太平洋地区合計

中国

香港

インド

インドネシア

日本

韓国

参考表 3 アジア主要国の石油生産量 (千BPD)

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本資料は、一般財団法人 石油エネルギー技術センターの情報探査で得られた情報を、整理、

分析したものです。無断転載、複製を禁止します。本資料に関するお問い合わせは

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次回のJPECレポート(2015年度 第19回)は「メキシコの石油産業の動向」を予定して

います。