RTD CKD rtd ckd dengn datartd ckd dengn datartd ckd dengn data
プライマリ・ケア外来レクチャー...
Transcript of プライマリ・ケア外来レクチャー...
プライマリ・ケア外来レクチャー 慢性腎臓病(CKD) 2019/3/20 長州総合診療プログラム 山口県立総合医療センターへき地医療支援部 横田啓
出典: 「エビデンスに基づく CKD診療ガイドライン2018」 日本腎臓学会 UpToDate (2019年2月時点)
CKDの診断
CKDはどのように診断されるか?
①②のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続 ①尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害が明らか 特に0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿) ②GFR < 60 mL/分/1.73m2
[なし1]
成⼈の8⼈に1⼈(1330万⼈)がCKD⽇本では・・・
CKDの重症度は どのように評価するか?
原因(Cause)、 腎機能(GFR)、 蛋白尿・アルブミン尿(Albuminuria) に基づくCGA分類で評価する[A1]
3
1
2
4
3
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
1.CKDの定義,診断,重症度分類
表 2 CKDの重症度分類原疾患 蛋白尿区分 A1 A2 A3
糖尿病 尿アルブミン定量(mg/日)
尿アルブミン/Cr 比(mg/gCr)
正常 微量アルブミン尿 顕性アルブミン尿
30未満 30~299 300 以上
高血圧腎炎多発性囊胞腎移植腎不明その他
尿蛋白定量(g/日)尿蛋白/Cr 比(g/gCr)
正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿
0.15 未満 0.15~0.49 0.50 以上
GFR区分(mL/分/1.73 m2)
G1 正常または高値 ≧90
G2 正常または軽度低下 60~89
G3a 軽度~中等度低下 45~59
G3b 中等度~高度低下 30~44
G4 高度低下 15~29
G5 末期腎不全(ESKD) <15
重症度は原疾患・GFR区分・蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する.CKDの重症度は死亡,末期腎不全,心血管死亡発症のリスクを緑 のステージを基準に,黄 ,オレンジ ,赤 の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する. (KDIGO CKD guideline 2012 を日本人用に改変)
コラム❶
蛋白尿と血尿 蛋白尿とは,尿中に蛋白が検出された状態を指す.健康人でも尿中にわずかな蛋白が出ているが,1日 150 mg
以上持続的に排泄されている場合を蛋白尿と呼び,腎臓の糸球体,尿細管および尿路の障害が考えられる. しかし,蛋白尿は病気でなくても尿中に出現することがあり,激しい運動をした後,発熱の後,ストレスのかかったとき,起立したときにも一過性に陽性となることがある.これを生理的蛋白尿といい,病的な蛋白尿とは区別している. 尿試験紙法では尿蛋白を検出しており,正確には尿蛋白あるいは尿蛋白反応陽性と記載すべきである.尿試験紙法では,Bence Jones蛋白や L鎖などでは偽陰性となり,アルカリ尿では偽陽性となる.微量アルブミン尿も検出感度以下であるため,試験紙法では評価できない.
尿中に赤血球が排出される状態を血尿という.健常人でも尿沈渣を 400倍視野で観察すると 2~3個の赤血球は認められるが,5個以上は異常であり,顕微鏡的血尿と呼ばれる.血尿の程度が強くなり,尿 1 L中に血液が1~2 mL以上含まれると,肉眼的血尿となる. 試験紙法では尿潜血反応を調べるが,尿潜血反応が陽性であっても必ずしも血尿とはいえない.溶血に伴うヘモグロビン尿や,横紋筋融解症に伴うミオグロビン尿で尿潜血反応は偽陽性となる.またアスコルビン酸や試験紙の劣化により偽陰性を示す.正確には尿試験紙法による結果は尿潜血,あるいは尿潜血反応陽性と記載すべきであるが,実際には偽陰性や偽陽性はそれほど多くないため,「CKD診療ガイド」ではわかりやすさを優先して「血尿」という記述に統一している.
CKD1215責PDF.indd 3 2015/01/06 14:43:55
ー日本腎臓学会CKD診療ガイド2012より引用
蛋白尿原疾患
GFR
3
1
2
4
3
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
1.CKDの定義,診断,重症度分類
表 2 CKDの重症度分類原疾患 蛋白尿区分 A1 A2 A3
糖尿病 尿アルブミン定量(mg/日)
尿アルブミン/Cr 比(mg/gCr)
正常 微量アルブミン尿 顕性アルブミン尿
30未満 30~299 300 以上
高血圧腎炎多発性囊胞腎移植腎不明その他
尿蛋白定量(g/日)尿蛋白/Cr 比(g/gCr)
正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿
0.15 未満 0.15~0.49 0.50 以上
GFR区分(mL/分/1.73 m2)
G1 正常または高値 ≧90
G2 正常または軽度低下 60~89
G3a 軽度~中等度低下 45~59
G3b 中等度~高度低下 30~44
G4 高度低下 15~29
G5 末期腎不全(ESKD) <15
重症度は原疾患・GFR区分・蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する.CKDの重症度は死亡,末期腎不全,心血管死亡発症のリスクを緑 のステージを基準に,黄 ,オレンジ ,赤 の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する. (KDIGO CKD guideline 2012 を日本人用に改変)
コラム❶
蛋白尿と血尿 蛋白尿とは,尿中に蛋白が検出された状態を指す.健康人でも尿中にわずかな蛋白が出ているが,1日 150 mg
以上持続的に排泄されている場合を蛋白尿と呼び,腎臓の糸球体,尿細管および尿路の障害が考えられる. しかし,蛋白尿は病気でなくても尿中に出現することがあり,激しい運動をした後,発熱の後,ストレスのかかったとき,起立したときにも一過性に陽性となることがある.これを生理的蛋白尿といい,病的な蛋白尿とは区別している. 尿試験紙法では尿蛋白を検出しており,正確には尿蛋白あるいは尿蛋白反応陽性と記載すべきである.尿試験紙法では,Bence Jones蛋白や L鎖などでは偽陰性となり,アルカリ尿では偽陽性となる.微量アルブミン尿も検出感度以下であるため,試験紙法では評価できない.
尿中に赤血球が排出される状態を血尿という.健常人でも尿沈渣を 400倍視野で観察すると 2~3個の赤血球は認められるが,5個以上は異常であり,顕微鏡的血尿と呼ばれる.血尿の程度が強くなり,尿 1 L中に血液が1~2 mL以上含まれると,肉眼的血尿となる. 試験紙法では尿潜血反応を調べるが,尿潜血反応が陽性であっても必ずしも血尿とはいえない.溶血に伴うヘモグロビン尿や,横紋筋融解症に伴うミオグロビン尿で尿潜血反応は偽陽性となる.またアスコルビン酸や試験紙の劣化により偽陰性を示す.正確には尿試験紙法による結果は尿潜血,あるいは尿潜血反応陽性と記載すべきであるが,実際には偽陰性や偽陽性はそれほど多くないため,「CKD診療ガイド」ではわかりやすさを優先して「血尿」という記述に統一している.
CKD1215責PDF.indd 3 2015/01/06 14:43:55
ー日本腎臓学会CKD診療ガイド2012より引用
60点 切ったらじいさん(G3) CKD
3
1
2
4
3
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
1.CKDの定義,診断,重症度分類
表 2 CKDの重症度分類原疾患 蛋白尿区分 A1 A2 A3
糖尿病 尿アルブミン定量(mg/日)
尿アルブミン/Cr 比(mg/gCr)
正常 微量アルブミン尿 顕性アルブミン尿
30未満 30~299 300 以上
高血圧腎炎多発性囊胞腎移植腎不明その他
尿蛋白定量(g/日)尿蛋白/Cr 比(g/gCr)
正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿
0.15 未満 0.15~0.49 0.50 以上
GFR区分(mL/分/1.73 m2)
G1 正常または高値 ≧90
G2 正常または軽度低下 60~89
G3a 軽度~中等度低下 45~59
G3b 中等度~高度低下 30~44
G4 高度低下 15~29
G5 末期腎不全(ESKD) <15
重症度は原疾患・GFR区分・蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する.CKDの重症度は死亡,末期腎不全,心血管死亡発症のリスクを緑 のステージを基準に,黄 ,オレンジ ,赤 の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する. (KDIGO CKD guideline 2012 を日本人用に改変)
コラム❶
蛋白尿と血尿 蛋白尿とは,尿中に蛋白が検出された状態を指す.健康人でも尿中にわずかな蛋白が出ているが,1日 150 mg
以上持続的に排泄されている場合を蛋白尿と呼び,腎臓の糸球体,尿細管および尿路の障害が考えられる. しかし,蛋白尿は病気でなくても尿中に出現することがあり,激しい運動をした後,発熱の後,ストレスのかかったとき,起立したときにも一過性に陽性となることがある.これを生理的蛋白尿といい,病的な蛋白尿とは区別している. 尿試験紙法では尿蛋白を検出しており,正確には尿蛋白あるいは尿蛋白反応陽性と記載すべきである.尿試験紙法では,Bence Jones蛋白や L鎖などでは偽陰性となり,アルカリ尿では偽陽性となる.微量アルブミン尿も検出感度以下であるため,試験紙法では評価できない.
尿中に赤血球が排出される状態を血尿という.健常人でも尿沈渣を 400倍視野で観察すると 2~3個の赤血球は認められるが,5個以上は異常であり,顕微鏡的血尿と呼ばれる.血尿の程度が強くなり,尿 1 L中に血液が1~2 mL以上含まれると,肉眼的血尿となる. 試験紙法では尿潜血反応を調べるが,尿潜血反応が陽性であっても必ずしも血尿とはいえない.溶血に伴うヘモグロビン尿や,横紋筋融解症に伴うミオグロビン尿で尿潜血反応は偽陽性となる.またアスコルビン酸や試験紙の劣化により偽陰性を示す.正確には尿試験紙法による結果は尿潜血,あるいは尿潜血反応陽性と記載すべきであるが,実際には偽陰性や偽陽性はそれほど多くないため,「CKD診療ガイド」ではわかりやすさを優先して「血尿」という記述に統一している.
CKD1215責PDF.indd 3 2015/01/06 14:43:55
ー日本腎臓学会CKD診療ガイド2012より引用
じいさん(G3)が ステージ進めば 半分に
3
1
2
4
3
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
1.CKDの定義,診断,重症度分類
表 2 CKDの重症度分類原疾患 蛋白尿区分 A1 A2 A3
糖尿病 尿アルブミン定量(mg/日)
尿アルブミン/Cr 比(mg/gCr)
正常 微量アルブミン尿 顕性アルブミン尿
30未満 30~299 300 以上
高血圧腎炎多発性囊胞腎移植腎不明その他
尿蛋白定量(g/日)尿蛋白/Cr 比(g/gCr)
正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿
0.15 未満 0.15~0.49 0.50 以上
GFR区分(mL/分/1.73 m2)
G1 正常または高値 ≧90
G2 正常または軽度低下 60~89
G3a 軽度~中等度低下 45~59
G3b 中等度~高度低下 30~44
G4 高度低下 15~29
G5 末期腎不全(ESKD) <15
重症度は原疾患・GFR区分・蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する.CKDの重症度は死亡,末期腎不全,心血管死亡発症のリスクを緑 のステージを基準に,黄 ,オレンジ ,赤 の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する. (KDIGO CKD guideline 2012 を日本人用に改変)
コラム❶
蛋白尿と血尿 蛋白尿とは,尿中に蛋白が検出された状態を指す.健康人でも尿中にわずかな蛋白が出ているが,1日 150 mg
以上持続的に排泄されている場合を蛋白尿と呼び,腎臓の糸球体,尿細管および尿路の障害が考えられる. しかし,蛋白尿は病気でなくても尿中に出現することがあり,激しい運動をした後,発熱の後,ストレスのかかったとき,起立したときにも一過性に陽性となることがある.これを生理的蛋白尿といい,病的な蛋白尿とは区別している. 尿試験紙法では尿蛋白を検出しており,正確には尿蛋白あるいは尿蛋白反応陽性と記載すべきである.尿試験紙法では,Bence Jones蛋白や L鎖などでは偽陰性となり,アルカリ尿では偽陽性となる.微量アルブミン尿も検出感度以下であるため,試験紙法では評価できない.
尿中に赤血球が排出される状態を血尿という.健常人でも尿沈渣を 400倍視野で観察すると 2~3個の赤血球は認められるが,5個以上は異常であり,顕微鏡的血尿と呼ばれる.血尿の程度が強くなり,尿 1 L中に血液が1~2 mL以上含まれると,肉眼的血尿となる. 試験紙法では尿潜血反応を調べるが,尿潜血反応が陽性であっても必ずしも血尿とはいえない.溶血に伴うヘモグロビン尿や,横紋筋融解症に伴うミオグロビン尿で尿潜血反応は偽陽性となる.またアスコルビン酸や試験紙の劣化により偽陰性を示す.正確には尿試験紙法による結果は尿潜血,あるいは尿潜血反応陽性と記載すべきであるが,実際には偽陰性や偽陽性はそれほど多くないため,「CKD診療ガイド」ではわかりやすさを優先して「血尿」という記述に統一している.
CKD1215責PDF.indd 3 2015/01/06 14:43:55
ー日本腎臓学会CKD診療ガイド2012より引用
じいさん(G3)は 幅が広くて 半分に
3
1
2
4
3
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
1.CKDの定義,診断,重症度分類
表 2 CKDの重症度分類原疾患 蛋白尿区分 A1 A2 A3
糖尿病 尿アルブミン定量(mg/日)
尿アルブミン/Cr 比(mg/gCr)
正常 微量アルブミン尿 顕性アルブミン尿
30未満 30~299 300 以上
高血圧腎炎多発性囊胞腎移植腎不明その他
尿蛋白定量(g/日)尿蛋白/Cr 比(g/gCr)
正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿
0.15 未満 0.15~0.49 0.50 以上
GFR区分(mL/分/1.73 m2)
G1 正常または高値 ≧90
G2 正常または軽度低下 60~89
G3a 軽度~中等度低下 45~59
G3b 中等度~高度低下 30~44
G4 高度低下 15~29
G5 末期腎不全(ESKD) <15
重症度は原疾患・GFR区分・蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する.CKDの重症度は死亡,末期腎不全,心血管死亡発症のリスクを緑 のステージを基準に,黄 ,オレンジ ,赤 の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する. (KDIGO CKD guideline 2012 を日本人用に改変)
コラム❶
蛋白尿と血尿 蛋白尿とは,尿中に蛋白が検出された状態を指す.健康人でも尿中にわずかな蛋白が出ているが,1日 150 mg
以上持続的に排泄されている場合を蛋白尿と呼び,腎臓の糸球体,尿細管および尿路の障害が考えられる. しかし,蛋白尿は病気でなくても尿中に出現することがあり,激しい運動をした後,発熱の後,ストレスのかかったとき,起立したときにも一過性に陽性となることがある.これを生理的蛋白尿といい,病的な蛋白尿とは区別している. 尿試験紙法では尿蛋白を検出しており,正確には尿蛋白あるいは尿蛋白反応陽性と記載すべきである.尿試験紙法では,Bence Jones蛋白や L鎖などでは偽陰性となり,アルカリ尿では偽陽性となる.微量アルブミン尿も検出感度以下であるため,試験紙法では評価できない.
尿中に赤血球が排出される状態を血尿という.健常人でも尿沈渣を 400倍視野で観察すると 2~3個の赤血球は認められるが,5個以上は異常であり,顕微鏡的血尿と呼ばれる.血尿の程度が強くなり,尿 1 L中に血液が1~2 mL以上含まれると,肉眼的血尿となる. 試験紙法では尿潜血反応を調べるが,尿潜血反応が陽性であっても必ずしも血尿とはいえない.溶血に伴うヘモグロビン尿や,横紋筋融解症に伴うミオグロビン尿で尿潜血反応は偽陽性となる.またアスコルビン酸や試験紙の劣化により偽陰性を示す.正確には尿試験紙法による結果は尿潜血,あるいは尿潜血反応陽性と記載すべきであるが,実際には偽陰性や偽陽性はそれほど多くないため,「CKD診療ガイド」ではわかりやすさを優先して「血尿」という記述に統一している.
CKD1215責PDF.indd 3 2015/01/06 14:43:55
ー日本腎臓学会CKD診療ガイド2012より引用
尿検査 しないと散々(30-300) アルブミン
3
1
2
4
3
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
1.CKDの定義,診断,重症度分類
表 2 CKDの重症度分類原疾患 蛋白尿区分 A1 A2 A3
糖尿病 尿アルブミン定量(mg/日)
尿アルブミン/Cr 比(mg/gCr)
正常 微量アルブミン尿 顕性アルブミン尿
30未満 30~299 300 以上
高血圧腎炎多発性囊胞腎移植腎不明その他
尿蛋白定量(g/日)尿蛋白/Cr 比(g/gCr)
正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿
0.15 未満 0.15~0.49 0.50 以上
GFR区分(mL/分/1.73 m2)
G1 正常または高値 ≧90
G2 正常または軽度低下 60~89
G3a 軽度~中等度低下 45~59
G3b 中等度~高度低下 30~44
G4 高度低下 15~29
G5 末期腎不全(ESKD) <15
重症度は原疾患・GFR区分・蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する.CKDの重症度は死亡,末期腎不全,心血管死亡発症のリスクを緑 のステージを基準に,黄 ,オレンジ ,赤 の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する. (KDIGO CKD guideline 2012 を日本人用に改変)
コラム❶
蛋白尿と血尿 蛋白尿とは,尿中に蛋白が検出された状態を指す.健康人でも尿中にわずかな蛋白が出ているが,1日 150 mg
以上持続的に排泄されている場合を蛋白尿と呼び,腎臓の糸球体,尿細管および尿路の障害が考えられる. しかし,蛋白尿は病気でなくても尿中に出現することがあり,激しい運動をした後,発熱の後,ストレスのかかったとき,起立したときにも一過性に陽性となることがある.これを生理的蛋白尿といい,病的な蛋白尿とは区別している. 尿試験紙法では尿蛋白を検出しており,正確には尿蛋白あるいは尿蛋白反応陽性と記載すべきである.尿試験紙法では,Bence Jones蛋白や L鎖などでは偽陰性となり,アルカリ尿では偽陽性となる.微量アルブミン尿も検出感度以下であるため,試験紙法では評価できない.
尿中に赤血球が排出される状態を血尿という.健常人でも尿沈渣を 400倍視野で観察すると 2~3個の赤血球は認められるが,5個以上は異常であり,顕微鏡的血尿と呼ばれる.血尿の程度が強くなり,尿 1 L中に血液が1~2 mL以上含まれると,肉眼的血尿となる. 試験紙法では尿潜血反応を調べるが,尿潜血反応が陽性であっても必ずしも血尿とはいえない.溶血に伴うヘモグロビン尿や,横紋筋融解症に伴うミオグロビン尿で尿潜血反応は偽陽性となる.またアスコルビン酸や試験紙の劣化により偽陰性を示す.正確には尿試験紙法による結果は尿潜血,あるいは尿潜血反応陽性と記載すべきであるが,実際には偽陰性や偽陽性はそれほど多くないため,「CKD診療ガイド」ではわかりやすさを優先して「血尿」という記述に統一している.
CKD1215責PDF.indd 3 2015/01/06 14:43:55
ー日本腎臓学会CKD診療ガイド2012より引用
蛋白尿 以後,ご自由に(150-500) 測って良し
3
1
2
4
3
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
1.CKDの定義,診断,重症度分類
表 2 CKDの重症度分類原疾患 蛋白尿区分 A1 A2 A3
糖尿病 尿アルブミン定量(mg/日)
尿アルブミン/Cr 比(mg/gCr)
正常 微量アルブミン尿 顕性アルブミン尿
30未満 30~299 300 以上
高血圧腎炎多発性囊胞腎移植腎不明その他
尿蛋白定量(g/日)尿蛋白/Cr 比(g/gCr)
正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿
0.15 未満 0.15~0.49 0.50 以上
GFR区分(mL/分/1.73 m2)
G1 正常または高値 ≧90
G2 正常または軽度低下 60~89
G3a 軽度~中等度低下 45~59
G3b 中等度~高度低下 30~44
G4 高度低下 15~29
G5 末期腎不全(ESKD) <15
重症度は原疾患・GFR区分・蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する.CKDの重症度は死亡,末期腎不全,心血管死亡発症のリスクを緑 のステージを基準に,黄 ,オレンジ ,赤 の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する. (KDIGO CKD guideline 2012 を日本人用に改変)
コラム❶
蛋白尿と血尿 蛋白尿とは,尿中に蛋白が検出された状態を指す.健康人でも尿中にわずかな蛋白が出ているが,1日 150 mg
以上持続的に排泄されている場合を蛋白尿と呼び,腎臓の糸球体,尿細管および尿路の障害が考えられる. しかし,蛋白尿は病気でなくても尿中に出現することがあり,激しい運動をした後,発熱の後,ストレスのかかったとき,起立したときにも一過性に陽性となることがある.これを生理的蛋白尿といい,病的な蛋白尿とは区別している. 尿試験紙法では尿蛋白を検出しており,正確には尿蛋白あるいは尿蛋白反応陽性と記載すべきである.尿試験紙法では,Bence Jones蛋白や L鎖などでは偽陰性となり,アルカリ尿では偽陽性となる.微量アルブミン尿も検出感度以下であるため,試験紙法では評価できない.
尿中に赤血球が排出される状態を血尿という.健常人でも尿沈渣を 400倍視野で観察すると 2~3個の赤血球は認められるが,5個以上は異常であり,顕微鏡的血尿と呼ばれる.血尿の程度が強くなり,尿 1 L中に血液が1~2 mL以上含まれると,肉眼的血尿となる. 試験紙法では尿潜血反応を調べるが,尿潜血反応が陽性であっても必ずしも血尿とはいえない.溶血に伴うヘモグロビン尿や,横紋筋融解症に伴うミオグロビン尿で尿潜血反応は偽陽性となる.またアスコルビン酸や試験紙の劣化により偽陰性を示す.正確には尿試験紙法による結果は尿潜血,あるいは尿潜血反応陽性と記載すべきであるが,実際には偽陰性や偽陽性はそれほど多くないため,「CKD診療ガイド」ではわかりやすさを優先して「血尿」という記述に統一している.
CKD1215責PDF.indd 3 2015/01/06 14:43:55
ー日本腎臓学会CKD診療ガイド2012より引用
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン20184
gCr以上をA3(高度蛋白尿)とする.尿試験紙法での尿蛋白定性評価は,-をA1,±をA2,1+以上をA3とするが g,尿蛋白定性検査は濃縮尿や希釈尿の影響を強く受けるため,定量の結果で評価することが望ましい. CKDにはIgA腎症やループス腎炎など腎臓専門医
による治療を要する腎疾患が含まれるため,蛋白尿と血尿を両方認めるCKD患者は腎臓専門医もしくは地域の専門医療機関に紹介する.またGFR 45
mL/分/1.73 m2未満(G3b~G5)または蛋白尿区分A3では腎臓専門医・専門医療機関に紹介する.40歳未満やA2区分ではGFR 45~59 mL/分/1.73 m2
表3 かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準原疾患 蛋白尿区分 A1 A2 A3
糖尿病 尿アルブミン定量(mg/日)尿アルブミン/Cr比(mg/gCr)
正常 微量アルブミン尿 顕性アルブミン尿
30未満 30~299 300以上
高血圧腎炎多発性囊胞腎その他
尿蛋白定量(g/日)尿蛋白/Cr比(g/gCr)
正常(-)
軽度蛋白尿(±)
高度蛋白尿(+~)
0.15未満 0.15~0.49 0.50以上
GFR区分(mL/分/1.73 m2)
G1 正常または高値 ≧90 血尿+なら紹介,蛋白尿のみならば生活指導・診療継続 紹介
G2 正常または軽度低下 60~89 血尿+なら紹介,蛋白尿のみならば生活指導・診療継続 紹介
G3a 軽度~中等度低下 45~59 40歳未満は紹介,40歳以上は生活指導・診療継続 紹介 紹介
G3b 中等度~高度低下 30~44 紹介 紹介 紹介G4 高度低下 15~29 紹介 紹介 紹介G5 末期腎不全 <15 紹介 紹介 紹介
上記以外に,3カ月以内に30%以上の腎機能の悪化を認める場合は速やかに紹介.上記基準ならびに地域の状況等を考慮し,かかりつけ医が紹介を判断し,かかりつけ医と専門医・専門医療機関で逆紹介や併診等の受診形態を検討する.
(作成:日本腎臓学会,監修:日本医師会)
1)血尿,蛋白尿,腎機能低下の原因精査2) 進展抑制目的の治療強化 (治療抵抗性の蛋白尿(顕性アルブミン尿),腎機能低下,高血圧に対する治療の見直し,二次性高血圧の鑑別など)
3)保存期腎不全の管理,腎代替療法の導入
腎臓専門医・専門医療機関への紹介目的(原疾患を問わない)
1) 腎臓内科医・専門医療機関の紹介基準に当てはまる場合で,原疾患に糖尿病がある場合にはさらに糖尿病専門医・専門医療機関への紹介を考慮する.
2) それ以外でも以下の場合には糖尿病専門医・専門医療機関への紹介を考慮する. ① 糖尿病治療方針の決定に専門的知識(3カ月以上の治療でもHbA1cの目標値に達しない,薬剤選択,食事運
動療法指導など)を要する場合 ② 糖尿病合併症(網膜症,神経障害,冠動脈疾患,脳血管疾患,末梢動脈疾患など)発症のハイリスク者 (血糖・血圧・脂質・体重等の難治例)である場合
③上記糖尿病合併症を発症している場合 なお,詳細は「糖尿病治療ガイド」を参照のこと
原疾患に糖尿病がある場合
作成:日本腎臓学会 監修:日本医師会
かかりつけ医から腎臓専門医・ 専門医療機関への紹介基準
蛋白尿 血尿かぶれば 紹介を
尿蛋白1+以上の健診受診者は 医療機関への受診が推奨されるか?
• 尿蛋白1+以上の受診者は末期腎不全に至るリスクのみならず、心血管イベントや総死亡のリスクも高い
→リスクを軽減できる可能性があるため、 医療機関への受診が推奨される[C1]
65歳以上の健診受診者でeGFR 45未満の 場合、医療機関への受診が推奨されるか?
• 65歳以上であってもeGFRが45より低値であるほど総死亡および末期腎不全の リスクが上昇
→医療機関への受診を強く推奨[B1]
メタボリック健診においてアルブミン尿・蛋白尿検査は推奨されるか?
• メタボリック健診において全死亡、心血管イベント、腎機能低下のハイリスクであるため、アルブミン尿・蛋白尿検査を行うことを推奨[C1]
生活習慣
CKD患者に禁煙は推奨されるか?
• CKD患者には禁煙が推奨される[B1]
CKD患者の睡眠時無呼吸症候群に対する治療は推奨されるか?
• CKD患者の睡眠時無呼吸症候群に対して治療するよう提案する[D2]
CKD 患者にワクチン接種は 推奨されるか?
• CKD患者に肺炎球菌ワクチンおよびインフルエンザワクチンを接種するよう提案[C2]
【ACIP】(United States Advisory Committee on Immunization Practices)
• プレベナー+ニューモバックスの接種を推奨 【KDIGO】(Kidney Disease/ Improving Global Outcome)
• 進行するリスクの高いCKDステージG4,5でB型肝炎ワクチンを推奨
栄養
CKD患者診療に管理栄養士の 介入は推奨されるか?
• CKDのステージ進行を抑制するために、管理栄養士が介入することを推奨[C1]
【UpToDate】 • 低栄養に注意し、体重、血清アルブミンを定期的に測定し、30-35kcal/kg/日を摂取 – UpToDate ”Overview of the management of chronic kidney disease in adults”
CKD の進行を抑制するためにたんぱく質 摂取量を制限することは推奨されるか?
• 画一的な指導は不適切であり,個々の患者の病態やリスク,アドヒアランスなどを総合的に判断し,専門医と管理栄養士を含む医療チームの管理の下でたんぱく質摂取量を制限することを推奨[B1]
• 高齢者では一定のたんぱく質摂取を確保 【UpToDate】 • eGFR<60→たんぱく質0.8g/kg/日
– UpToDate ”Overview of the management of chronic kidney disease in adults”
CKD患者の血清K値を 管理することは推奨されるか?
• 総死亡、CVDの発症を抑制するため血清K値を管理するよう提案
• 具体的目標としては、血清K値4.0mEq/L以上、5.5mEq/L未満でリスクが低下する[C2]
カリウムは 5.5まで 許容しよう
CKD患者の予後改善のために食塩摂取量を 制限することは推奨されるか?
• 高血圧・尿蛋白の抑制とCVD予防のため,6 g/日未満の食塩摂取制限を推奨
• 過度の減塩は害となる可能性があるため,3 gを目安として個々の症例に応じて下限を設定
[C1]
減塩は 塩を風味に 置き換える
CKD患者の代謝性アシドーシスに対する 介入は腎不全進行抑制のために推奨されるか?
• 炭酸水素Naによる代謝性アシドーシスへの介入は腎機能低下を抑制するため推奨
• 具体的には,HCO3-濃度が 21 mmol/L を下回った時点で介入を検討
[B1]
血液ガスを測定しなくても • AG = Na ー Cl ー HCO3-
• Na ー Cl = AG + HCO3-
→(正常値)12 + 24 = 36 • 外来に来られる人でAG上昇は考えにくい • Na ー Cl の変化は HCO3-の変化を反映 • Na ー Cl < 32 で HCO3- < 20に相当
塩引いて(NaーCl) 酸に(32)重曹 飲みましょう
例)炭酸水素ナトリウム 1.5~3g/日、分3
高血圧・心血管合併症
高血圧患者において血圧管理は CKDの発症を抑制するか?
• 血圧管理はCKD発症抑制に有用である可能性があり,行うよう提案
• 夜間・早朝の血圧上昇の抑制など,血圧の日内変動も考慮した管理はより有用である可能性がある
[C2]
高血圧を伴うCKD患者(G3~5)に130/80 mmHg未満への降圧療法は推奨されるか?
• DM 合併:130/80 mmHg 未満を提案 • DM 非合併:蛋白尿 A1 は 140/90 mmHg 未満、A2,3は130/80mmHg未満を提案 [C2]
【UpToDate】(ACC/AHA) • 診察室血圧 125-130/<80mmHg • 家庭血圧 120-125/<80mmHg
– UpToDate “Goal blood pressure in adults with hypertension”
75歳以上の高齢CKD患者(G3~5)に 150/90 mmHg未満への降圧療法は推奨されるか? • 150/90 mmHg 未満に維持することを推奨 • 起立性低血圧などの有害事象がなく,忍容性があると判断されれば140/90 mmHg未満に血圧を維持することを推奨
• 収縮期血圧110 mmHg未満への降圧による有益性は示されておらず,すべてのCKDステージにおいて収縮期血圧110 mmHg 未満へは降圧しないよう提案 [C2]
【UpToDate】 • 75歳以降+併存症またはDBP<55-60mg→診察室SBP135-140mmHg、家庭SBP130-135mmHg
• 重度フレイル・認知症・生命予後が短い・施設入所中の高齢者→血圧目標は定めずゴールを個別化 – UpToDate “Goal blood pressure in adults with hypertension”
高血圧を伴う CKD 患者に 推奨される降圧薬は何か?
• DM合併CKDのすべてのA区分およびDM非合併CKDのA2,A3区分でACE阻害薬とARBを推奨
• DM 非合併 CKD の A1 区分で ACE 阻害薬,ARB,Ca 拮抗薬,サイアザイド系利尿薬を推奨
[B1]
DMか 蛋白尿に RAS阻害 なければ 他の薬でOK
高血圧を伴う CKD 患者に 推奨される降圧薬は何か?
• CKD ステージ G4,G5 では ACE 阻害薬,ARB による重篤な腎機能悪化や高 K 血症に十分注意し,これらの副作用出現時には速やかに減量・中止し[B1],Ca 拮抗薬へ変更することを推奨 [C1]
• 75 歳以上の高齢者の CKD ステージ G4,G5 では,脱水や虚血に対する脆弱性を考慮し,Ca 拮抗薬を推奨 [C1]
AKI 高カリ注意 RAS阻害
体重と 血圧みながら 利尿薬 RAS阻害薬 マメに調整
G4-5 後期高齢 CCB
CVD を伴う CKD 患者(G3b~5)に推奨される降圧薬は何か?
• 冠動脈疾患合併:ACE 阻害薬,ARB を提案 [C2]
• 心不全(HFrEF)合併:ACE 阻害薬,ARB を提案 [C2]
• 体液過剰による症状を認めた場合:利尿薬使用を提案 [Dなし]
• RA 系阻害薬による重篤な腎機能悪化や高 K 血症に十分注意し,少量からの開始を推奨 [Dなし]
腎硬化症・腎動脈狭窄症
高血圧を伴う腎硬化症による CKD に厳格な降圧は推奨されるか?
• 高血圧を伴う腎硬化症によるCKDにおいて,収縮期血圧120 mmHg未満への厳格な降圧は,急性腎障害(AKI)のリスクがあるため行わないよう提案
• 降圧目標としては,140/90 mmHg 未満への降圧を提案
[C2]
腎硬化 血圧下げ過ぎ ご用心 120より 低いと心配
腎動脈狭窄症を伴う CKD に 推奨される降圧薬は何か?
• 片惻性腎動脈狭窄を伴うCKDに対しRA系阻害薬はそのほかの降圧薬に比して降圧効果に優れ,死亡,CVD発症,腎機能低下を抑制する可能性があり,使用することを提案
• ただしAKI 発現のリスクがあるため,少量より開始し血清 Cr を投与開始から 2 週間を目安に確認しつつ注意深く用量を調節
• 両側性腎動脈狭窄が疑われる際は原則として使用しない
[C2]
腎動脈狭窄症を疑う CKD に 推奨される画像検査は何か?
• スクリーニング検査として腎動脈超音波をまず行い,次のステップとして単純MRアンギオグラフィを行うよう提案 [C2]
動脈硬化性腎動脈狭窄症を伴う CKDへ血行再建術は推奨されるか? • 動脈硬化性腎動脈狭窄症を伴うCKDに対する血行再建術は,腎障害進行抑制やCVD発症のリスクを減少させないため,血行再建術に伴う合併症のリスクを考慮し,行わないよう提案 [B2]
腎性貧血
腎性貧血を伴う CKD 患者でのESA 治療における適切な Hb 目標値は?
• 保存期CKD患者のESA治療における目標Hbは11g/dL以上13g/dL未満を提案
• 75歳以上の高齢CKD患者ではHb9g/dL以上も許容
【UpToDate】 • Hb10-11.5g/dLを推奨
– UpToDate “Treatment of anemia in nondialysis chronic kidney disease”
貧血を有するCKD患者のうち鉄欠乏状態にあるものに,鉄剤投与は推奨されるか?
• 貧血を有する CKD 患者に対して鉄欠乏状態であれば,鉄剤の投与を提案 [B2]
• フェリチン<100μg/L または トランスフェリン飽和度(Fe/TIBC)<20%
【UpToDate】フェリチン<500μg/Lかつ トランスフェリン飽和度(Fe/TIBC)<30%
– UpToDate “Treatment of iron deficiency in nondialysis CKD patients”
ESA 使う前に 便潜血 フェリチン・トランスフェリン飽和度
CKD-MBD
高リン血症を伴う保存期CKD患者に おいてリン吸着薬は推奨されるか?
• 高リン血症を伴う保存期CKD患者において,死亡を減らす可能性があるので,リン吸着薬の使用を考慮しても良い [C2]
【UpToDate】 • P > 4.5mg/dL→リン制限→リン吸着薬 • P > 6.0mg/dL→リン制限+リン吸着薬
– UpToDate ”Management of hyperphosphatemia in chronic kidney disease”
高リン血症を伴う保存期 CKD患者において,Ca 非含有リン吸着薬は推奨されるか?
• 高リン血症を伴う保存期CKD患者に対する治療において,Ca非含有リン吸着薬はCa含有リン吸着薬に比べて,死亡,血管石灰化進行を抑制する効果を持っている可能性があることから,使用を考慮しても良い [C2]
カルシウム リンを忘れず 測りましょう
保存期 CKD 患者において,活性型ビタミン D 製剤の投与は推奨されるか? • 保存期CKD患者において,活性型ビタミンD製剤はPTH値を低下させ,尿蛋白抑制効果が期待されるため,投与を考慮してもよい[B2]
【UpToDate】intact PTH>150-200pg/mL が高P血症の治療後も持続するときに考慮
– UpToDate ”Management of secondary hyperparathyroidism in adult nondialysis patients with chronic kidney disease”
• 適応は患者毎に検討し,少量から慎重に開始 • 高 Ca 血症,腎機能の悪化がみられた場合は速やかに減量・中止
ビタミンD 高カルシウムに ご用心 定期的に 採血フォロー
骨粗鬆症を伴う保存期 CKD 患者において骨粗鬆症に対する薬物治療は推奨されるか? • 骨粗鬆症を伴う保存期CKD患者において,骨粗鬆症に対する薬物治療は骨折リスクを減らす可能性があり,ビタミン D 製剤,ビスホスホネート,選択的エストロゲン受容体調節薬,PTH 製剤,抗 RANKL 抗体などによる薬物治療を行うことを提案 [D2]
• 薬物の効果や副作用が異なるため,十分注意 【UpToDate】eGFR<30→ビスホスホネート は原則使用せず、専門医に相談
– UpToDate “Osteoporosis in patients with chronic kidney disease: Management”
脂質・尿酸値異常
CKD患者に脂質低下療法は 推奨されるか?
• 脂質異常症のあるCKD患者へのスタチンは,CVD イベント発症ならびに再発を抑制し,尿蛋白,腎機能悪化を抑制する可能性があり,行うことを提案 [B2]
【UpToDate】アトルバスタチン→肝代謝のため用量調整不要、蛋白尿・腎機能低下抑制効果
– UpToDate ”Lipid management in patients with nondialysis chronic kidney disease”
• 脂質異常症のあるCKD 患者へのフィブラートは,中~高度腎障害患者では慎重投与もしくは禁忌であり注意を要する [Dなし]
CKD 患者に尿酸低下療法は 推奨されるか?
• 高尿酸血症を有するCKD患者に対する尿酸低下療法は腎機能悪化を抑制し,尿蛋白を改善する可能性があり,行うことを提案[C2]
フェブキソスタットはアロプリノノールより総死亡を増加させる
N Engl J Med 2018;387;1200
糖尿病合併CKD
N Engl J Med 2016;375;323
SGLT2阻害薬は顕性アルブミン尿、Cr倍化、腎代替療法を減少させる
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームの 診断基準
内臓脂肪の蓄積:ウエスト周囲径 男性 ≧ 85 cm 女性 ≧ 90 cm + 3項目のうちいずれか2項目以上 • 血糖値:空腹時血糖 ≧ 110mg/dL • 血圧:収縮期血圧≧130 mmHg または 拡張期血圧≧85 mmHg
• 脂質:中性脂肪≧150 mg/dL または HDL-C < 40mg/dL
– 日本内科学会雑誌 94:188,2005
CKD患者においてメタボリックシンドローム(MetS)は,死亡,CVD,ESKD,CKD 進行のリスクか?
• MetS は,死亡,CVD,ESKD,CKD 進行のリスクとなる可能性がある[Cなし]
肥満・MetS を伴う CKD 患者に 運動療法は推奨されるか?
• 運動療法はCKD患者の減量および最高酸素摂取量の改善に有効.適応・運動量は,患者背景を考慮して判断することを提案 [C2]
妊娠
CKD 患者の妊娠は合併症(妊娠高血圧腎症,早産,胎児死亡など)のリスクが高いか?
• CKD重症度分類のGFR区分ステージG1から妊娠合併症(妊娠高血圧腎症,早産,胎児死亡など)のリスクは上昇し,進行するほどさらにそのリスクは高まる [C1]
CKD 患者の妊娠時において 推奨される降圧薬は何か?
• CKD患者に限らず,妊娠中に使用できる降圧薬は,メチルドパ,ラベタロール,ヒドララジンであり,妊娠 20 週以降であれば徐放性ニフェジピンが使用できる
• 妊娠が判明した時点で ACE 阻害薬,ARB は使用しない
[D2]
高齢者CKD
日常臨床において 75 歳以上の高齢 CKD 患者に対する薬剤使用でとくに注意すべき薬剤はあるか?
• 75歳以上の高齢CKD患者において代謝・排泄が低下しており,投与される機会の多い RA 系阻害薬や利尿薬,ビタミン D 製剤などの用量調節,NSAIDs,SU剤,SGLT2阻害薬などに注意が必要である.
• またポリファーマシーを避けるために,お薬手帳を確認することを提案する
[D2]
いつも見る お薬手帳に 助けられ
透析療法を適切に準備するには,どの時期に腎臓専門医に紹介すべきか?
• 透析導入前に腎臓専門医を受診することで,移植や透析療法の選択への影響,透析導入時のバスキュラーアクセス作成率の上昇や,透析導入後の早期死亡が減少する可能性
• →少なくとも CKD ステージ G4 になった段階で腎臓専門医,もしくは専門医療機関に紹介することを提案 [C2]
腎障害の進展を抑制し,透析導入を遅延させるためにCKDステージG3b以降の患者に多職種による患者教育が推奨されるか?
• 腎臓専門医と専門看護師によるチーム医療は透析導入を遅延する可能性があり,CKDステージ G3b 以降の患者に対する多職種によるチーム医療を行うことを提案[C2]
CKD患者の管理 ABCアプローチ
• ARB/ACEI • Access • Acid-Base • BP/Fluid • CKD-MBD(mineral and bone disorder)
• Diet/DM • Erythropoiesis • Electrolytes
• Exercise • GFR slope • Heart • Immunization • Lipid • PAD • Smoking • Social • UA
ー聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科教授 柴垣有吾先生 より(一部改変)
へき地CKD診療支援サービス • 山口のへき地で腎臓内科への紹介が困難な時にはいつでも気軽にご相談ください
• 電話 0835-22-4411 (山口県立総合医療センターへき地医療支援部 横田)
• Eメール • Web会議での遠隔診療