ネックテーパーと適合性 - CeramTec...Morse taper:from Stephen A. Morse in 1864 to...
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ネックテーパーと適合性外科医が考慮するべきこととは?
CeramTec Medical Products
Beyond comparison since 1974
人工股関節におけるモジュラー原理
現代の股関節置換術の基盤を成すのは、モジュラー構造である。このモジュラー構造、特に様々なネック長のステムと大腿骨ボールヘッドの組み合わせが、手術中の患者個々の状況に柔軟に対応していける手段として受け入れられている。モジュラー性により、外科医は患者本来の関節を最適な状態に再構築し、かつ最善の生物力学的状態を生み出すことが可能となる。また、モジュラー・テーパー固定により、メタルとセラミックのような異なる材質の連結も可能になる。テーパー・ロッキングは製造過程においても、実用段階においても使用可能であることが実証されている。さらに強みとなるのは、これが腐食防止作用のある高度の安定性を有していることである。再置換術の際には、メーカーの使用説明に従い、ロック固定を緩めて大腿骨ボールヘッドを置換することも可能である。
人工股関節におけるテーパー: 外科医が考慮するべきこととは?Leslie F. Scheuber, Sylvia Usbeck, Florence Petkow
CeraNews 2014年1号より抜粋2
3Beyond comparison since 1974 CeraNews 2014年1号より抜粋
テーパー固定の歴史
関節置換術において馴染みの深い存在である、大腿骨ボールヘッドとステム間のテーパー固定は1970年代初頭に、ビジネスパートナーであるSulzer AG (人工関節メーカー、スイス、WinterthurのZimmerの前身)とFeldmühle AG(セラミック・メーカー、ドイツ、 PlochingenのCeramTec GmbHの前身)の二社により開発された。
その目的は、セラミック大腿骨ボールヘッドとメタル・ステムの間に信頼性、耐久性を兼ね備えた固定状態を実現することであった。Dörre 氏ら1はセラミック・ボールヘッドとメタル・テーパー間の圧力嵌め連結(テーパー・ロッキング)を特に重視した:テーパー固定を伴う股関節置換術は1974年に初めて患者に対し行われた。このテーパー固定原理はスイス特許 (No. 1060601)によって保護された。
1990年代になると、統一テーパー (The Eurotaper)をInternational Organization for
Standardization (ISO, document ISO/TC150/SC4 N117)で規格化しようとの努力があったが、成功しなかった。
ステム・テーパーには未だに規格がない。インプラント・メーカーはそれぞれのスペックでテーパー使用を続けており(例:様々な12/14テーパー)、幾何学的形状、構造、表面特性などが異なっている (Fig. 1)。ネック長(s, m, l and xl) (Fig. 2) に関しても標準化されておらず、メーカーによって数ミリの差異がみられることもある。
4 CeraNews 2014年1号より抜粋
Ø 12.70 Ø 12.41Ø 12.51Ø 12.415°40‘0“
(5.66667°)5°40‘0“
(5.66667°)5°40‘30“(5.675°)
5°20‘0“(5.03333°)
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5°37‘46“(5.62944°)
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5°40‘0“(5.66667°)Ø 12.53 Ø 12.57 Ø 12.50 Ø 11.0
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12/14 XL12/14 L12/14 M12/14 S
Fig. 1: “12/14”と明示されているテーパー各種
Fig. 2: 様々な長さのネック
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Beyond comparison since 1974 5CeraNews 2014年1号より抜粋
Fig. 3a/3b: インプラント・テーパーの特徴
Fig. 4: 適合可能性についての一例:セラミック大腿骨ボールヘッドと適合可能であることを証明された二つのテーパー。双方とも名目上は同じ12/14テーパーとされている。
凹み:メタル・テーパーとセラミック大腿骨ボールヘッドとの衝突
略称 明細
TGP テーパーゲージ面
TGD テーパーゲージ径
TA テーパー角
TL テーパー長
TCR テーパー面取り部/半径
TSR テーパー表面粗さ
TS テーパー真直度
TR テーパー真円度
TGL テーパーゲージ長
TED テーパーエンド径
インプラント・テーパーの特色
テーパー固定は、ステム・テーパーと大腿骨ボールヘッドにあるテーパー(ドリル・ホール)から構成されている。 各テーパーはそれぞれの特性を備えている (Fig. 3a/3b)。例を挙げれば、テーパー角、径、真直度、真円度、表面特性等であり、いずれもコンポーネントとの組み合わせ精度において重要な要素である。テーパー・ロッキングを確実なものにするためには、大腿骨ボールヘッドとステム・テーパー間におけるテーパー固定の嵌合が非常に重要である。
適合性
特筆すべきであるのは、外科医が組み合わせて使用できるのは、インプラント・メーカーが適合可能である2とした置換術用ステムと大腿骨ボールヘッドに限られるということである。 インプラント・メーカーはステム・テーパー/大腿骨ボールヘッドの組み合わせ情報をリリースした上で、コンポーネントを病院に供給する責任を負っている。外科医は、使用説明書やその他記載物でメーカーが承認・提示している組み合わせの詳細に従わなければならない。
New Zealand Orthopaedic Association の調査によると、外科医の23%が過去5年間に不適合なコンポーネントを組み合わせたインプラントを行い、そのほとんどがTHA3におけるケースであったことが判明した。関節置換術コンポーネント (Fig. 4) 間での適合可能な組み合わせを遵守しない場合には、例えば、関節の幾何学的形状によるレッグ長への影響、軟部組織緊張や、さらには有害組織反応(偽腫瘍)を伴うメタル摩耗増大や早期のインプラント不具合等の臨床結果が出る可能性も排除できない。
メタアナリシスの結果、この問題に関する研究は不十分であることが分かっている。関節置換術コンポーネントと適合不十分なテーパー・ロッキングの力学的挙動に関する情報は、ラボの研究結果によって明らかになる可能性がある。
CeraNews 2014年1号より抜粋6 Beyond comparison since 1974
Beyond comparison since 1974 7CeraNews 2014年1号より抜粋
語彙集
Eurotaper (ユーロテーパー): 人工股関節においての標準規格を表す用語ではない。
テーパー: 円錐形あるいは円錐台形状をした機器
テーパー径/円錐形テーパー (例12/14あるいは10/12 等): 二つの径を持つ面の間の距離が特に定められておらず、最小テーパー径・最大テーパー径についても曖昧で不正確なサイズ定義を有するテーパーを、シンプルに説明したもの。
テーパー角: 軸方向に対する円錐の正確な傾斜角
テーパー径: 円錐形の一定の高さにおける正確な呼び径あるいはテスト径
大腿骨ボールヘッド最小限の定義: 例: 32 12/14 M 0 5° 46’ は、以下の数値を持つ大腿骨ボールヘッドを定義する:
⃝ボール径=32mm ⃝テーパー径: テーパー始まり=約12mm テーパー終わり=約14mm ⃝ネック長= M (中) ⃝テーパー角=5° 46’
インプラント・メーカーは、インプラント・タイプに対応して使用可能なセラミック大腿骨ボールヘッドを製造しなければならない。
真直度: この用語は、軸方向における円錐形表面上のすべてのラインの真っ直ぐさを表している。
真円度: この用語は、あらゆる断面周囲の丸さを表す。
表面粗さ╱構造: この用語は、機器表面の特性とパラメータを表す。
謝辞Wolfgang Zitzlaff, Tina Mirus, Ines Feistel (CeramTec GmbHデザイン部)の各氏の広範にわたる情熱的なサポートに対し、著者は感謝の意を表する。
参考文献1 Dörre E, Dawihl W, Altmeyer G. Dauerfestigkeit keramischer Hüftendo prothesen. Biomediz-
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追加参考文献Arregger Michel C. Product-Mismatch - What is Permitted? European and Materials 2009;17(1):8
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テイクホーム・メッセージ ∼ 覚えておいていただきたいこと ∼
• 統一の、標準化されたステム・テーパーは存在しません。
• �ステム・テーパーの多くが “Eurotaper 12/14” と呼ばれていますが、これは一般的なサイズ名称に過ぎず、他社メーカーの関節置換術コンポーネントとの適合性を示すものでもなければ、メーカーによるステム・テーパーのスペック情報を表したものでもありません。
• 従って、12/14 EurotaperあるいはStandard Taper 12/14といった名称について、メーカーに必ず確認してください!
• 大腿骨ボールヘッドとステム・テーパーが適合可能かどうかの確認は絶対に必要です!
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