デジタル・ガバメント実現のための グランドデザインについて ·...

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デジタル・ガバメント実現のための グランドデザインについて (討議用) 令和2212内閣官房IT総合戦略室 参考資料2 令和2212日第10回デジタル・ガバメント分科会資料

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デジタル・ガバメント実現のためのグランドデザインについて

(討議用)

令和2年2月12日内閣官房IT総合戦略室

参考資料2令和2年2月12日 第10回デジタル・ガバメント分科会資料

1

2030年の行政サービスのあり方

デジタル技術を活用し、国民一人一人のための

行政サービス

デジタル・ガバメント実現のためのグランドデザイン構成案

2030年の社会・技術を念頭に、国民一人一人のための行政サービスのあり方と、それを支える政府情報システム・データ整備の方向性をまとめる。

1

検討の経緯・背景

2030年の社会・技術動向

現状と課題

少子高齢化グローバル化デジタル前提

・・・生活に溶け込む

提供主体を意識しない脱・申請主義

・・・

対応の方向性

デジタル時代の行政を支えるシステム・データ整備の方向性

アナログ時代の慣習不十分な業務見直し縦割りでのシステム化

・・・

海外動向

主要国のデジタルガバメント戦略

政府情報システム・データ整備等の基本的考え方

施策:xxxxxxxxxxxx

コンセプト

アクション

アクション

アクション

施策:xxxxxxxxxxxx

アクション

アクション

施策:xxxxxxxxxxxx

コンセプト

アクション

アクション

アクション

参照

実現方策

22030年の行政で発生するであろうギャップ

将来のグローバル化、ダイバーシティ化によってニーズ自体が多様化してくる。同時に、超高齢化により公共を担う職員数の減、税収低下などリソースは減少。

人口減少や高齢化する社会を、デジタル技術でサポートすることで、一人一人に寄り添った、より豊かな社会にしていく仕組みが求められている。

2

(現状)平均的な利用者増に対する提供者視点の

サービス

将来の増加分(個人のQoLを向上させる利用者視点の

サービス)

サービスコスト

将来の減少分(超高齢化による職員数や税収減)

リソース

ギャップ

現状のコスト&リソース

ギャップを埋める必要がある

・公共の基盤となる行政のデジタル化・新たな担い手との協働(民間、NPO、市民) 等

32030年に実現する行政サービス像

時間や場所の制限のある「窓口」から、個人に合わせてインターフェースを選べる「マルチチャネル化」

利用者発の「申請主義」から、ライフイベントを起点に国と自治体が一貫性のあるサービスを提供し自動的に必要な手続が進む「ノンストップ化」

提供主体や制度ごとの「縦割り」から、データやルールを標準化し、提供元を意識せずサービスを受けることができる「シンプル化」

3

企業

国 自治体通知

申請

データ連携により自動的に手続、対象者に通知

使い慣れたインターフェースで確認

自動手続 例外処理等

圧倒的な手続効率化とスピードアップ

迅速な例外処理とその分析による改善

手続や審査に用いるデータやルールを標準化

4一律のマイナスイメージから、一人一人に寄り添った対応に

デジタルデバイドから「デジタルサポート」への発想の転換によって、リテラシーの格差をなくす。

リスクが少しでもあれば一律禁止の考え方から、リスクとバリューに応じた対応や、「オプトイン」で利用者自身が選択できるセキュリティ対応に転換

4

デジタルデバイド

「デジタルサポート」

認識・表示技術で人によるサービスと同等以上の使い易さ

デジタル化による便益(障がい者支援、逆デバイド)

アクセスの

一律禁止

リスクと価値に応じた対応

個人の価値観に応じた選択(オプトイン)

セキュリティリスクの発想転換リテラシー対応の発想転換

5

2030年の社会の前提 温暖化の影響で災害が頻発、国土強靭化のハードインフラの整備に加えて、官民での

柔軟なデータ連携による減災ネットワークの確立が必要

デジタル・ガバメントの役割(2030) 防災・減災に必要な官民の静的・動的データの仮想的な統合やAIによる解析により、

災害予測・復旧対応の精度・速度を高め、安心安全な社会の実現に貢献

デジタル時代の行政サービス実現イメージ(防災/減災)

2020-25 2025-30• デジタル3原則による効率化(例:生産性改善、UI/UX改善)

• 国民生活の質の向上/付加価値の創造(例:命を守る、雇用を支える)

• 避難等周知方法のUI/UX多様化• 災害時ネット情報提供のBCPインフラの整備

• 被災状況のリアルタイム把握(人身、物資、家屋等)、復旧対応の迅速化

• データを活用した防災・減災対策 蓄積画像等の解析による災害リスク再検討、災害に強いまちづくり

VRなど感覚的に分かりやすい防災訓練・広報

地域経済・サプライチェーン影響を含めた被災状況の把握と復旧対応

目指すもの

5

6

2030年の社会の前提 全世代で起業・兼業・副業が一般化。様々な働き方が浸透・雇用形態や収入源も複雑化。

ITを利活用した小規模事業主も経済活動の主要な担い手。

デジタル・ガバメントの役割(2030) 働き方の多様化・就労環境変化に伴う行政手続コスト軽減 事業規模に限らずデジタル上で経済活動を行うための仕組み(与信・決済・契約等)を、官

民データ連携によるデジタル上の信用メカニズムが下支え

デジタル時代の行政サービス実現イメージ(創業/事業運営/働き方)

2020ー2025 2025ー2030• デジタル3原則による効率化(例:生産性改善、UI/UX改善)

• 国民生活の質の向上/付加価値の創造(例:命を守る、雇用を支える)

創業、事業運営(企業目線)

• 起業手続のオンライン・ワンストップ化

• 事業運営に伴う行政手続等のワンストップ・ワンスオンリー化

• 従業員のイベント(採用・退職等)に係る事業主手続のワンストップ・ワンスオンリー化

• 事業活動(決済・与信・契約等)におけるデータ活用と自動化

• 事業規模を問わず企業間連携・オープンイノベーションを創発

• 書面上のチェックではなく実態のチェックをデジタル上で簡易に実現

採用・退職等(個人目線)

• 就労に伴う定期的な手続のワンストップ・ワンスオンリー化

• 個人の選択に基づき、収納・決済・契約・就労履歴などの連携・活用

目指すもの

6

7

2030年の社会の前提 超高齢化社会。少子化・核家族化の影響から、家族・縁者と疎遠な死亡者数が増加 デジタル上で管理している財産が増え、被相続財産の把握が一層困難に

デジタル・ガバメントの役割(2030) 死亡時の法定手続のデジタル化・ワンストップ化 デジタルを含めた被相続財産の把握や、法定相続人の確定を支援

デジタル時代の行政サービス実現イメージ(死亡/相続)

2020-2025 2025-2030• デジタル3原則による効率化(例:生産性改善、UI/UX改善)

• 国民生活の質の向上/付加価値の創造(例:命を守る、雇用を支える)

• 被相続人死亡時のワンストップ申請による手続の効率化・簡素化 法定届出のワンストップ化 民間の死亡時手続ポータルの実現と

ワンストップ化• 法定相続人リストや被相続財産リスト(登記物件)の半自動化

• 法定相続人の確定支援• 民間を含めた被相続財産の確定• 相続財産に係る法定手続ワンストップ化(相続人と相続財産が決まると、ワンストップで変更・売却・納税処理等の手続を行ってくれる)

• 民間での手続もワンストップ化(名義変更、財産処理、財産管理・運用等を含めた民間サービスと連携)

目指すもの

7

8

8

国民一人一人のための行政

サービス

①ユーザー体験

志向

③政府情報システムのクラウド化・共通部品化

④政府の

スマート化

②データ

ファースト

デジタル・ガバメントを支えるシステム・データ整備等の基本原則

縦割り・こま切れ・提供者目線での行政サービスから、国民一人一人のための行政サービスに転換

実現のためのシステム・データ整備等の4つの基本原則①ユーザー体験志向、②データファースト

③政府情報システムのクラウド化・共通部品化、④政府のスマート化

一人一人に寄り添ったインターフェース、APIにより民間サービスと一体提供

行政の保有する社会基盤データ(ベースレジストリ)の整備とデータ活用のエコシステム

日常生活と継ぎ目のない行政サービス提供主体を意識しない行政サービス困っている人の手元に届く行政サービス

システムの在り方データ活用の在り方

調達・開発手法、人材育成の考え方も変革、行政内部もデジタル化

クラウド活用・API連携による共通部品化と次世代セキュリティ環境で迅速性・効率性・安全性を鼎立

9①ユーザー体験志向

9

ペルソナ活用によるUI/UXの多様化、使い易さ向上

API活用による民間サービスとの融合

デザインシステムの活用とブロック化

マーケティングの活用と継続的なサービス改善

UI/UXは付随的なものではなくデジタル・サービスの主役。

一方で「利用者の声」は多様化しており、万人向けのUI/UXは存在しない。

ペルソナを活用した「利用者」の解像度の高度化、民間サービスと融合した個人に適したUI/UX提供、行政サービスの検索性の向上と継続的なUI/UXの改善など、「サービス設計12箇条」の実践と方法論の確立を進める。

10ユーザー体験志向を実現するエコシステム

10

ペルソナ活用

民間サービスとの融合

デザインシステムの活用

マーケティング活用

行政サービスのAPI化、APIカタログの整備

行政サービスのカタログ整備

(サービス・カタログ)

開発しやすい組合せやすい

統一感あり探しやすい

最低限のUIを備えた行政システム上でサービスを提供

利用者が使い慣れたアプリ等でサービスを提供

継続的なUI/UXの改善

継続的なUI/UXの改善

11

課題認識• 従来は平均的な利用者を想定し、単一的なユーザインターフェイスを提供• 一方で、「万人向けに使い易いUI/UXは存在しない」は大前提• 誰をターゲットとするかが大事だが、「高齢者」では広すぎる(「お年寄りはスマホを使え

ない」などのバイアスがかかったユーザー像が一般化)• マス層である高齢者について、画一的な利用者増から踏み込んだペルソナ設定とそれ

に基づいたUI/UX設計が必要

取組の方向性1.行政機関等窓口業務へのペルソナ適用、認識技術・自動転記機能の導入検討ペルソナを適用したUX設計の試行、併せて、自動転記等のデジタル技術により申請書に

記入することなく申請等が行えるような仕組みの検討2.ペルソナ活用に関するガイドライン等の整備行政サービス設計におけるペルソナ活用や認識技術・自動転記機能の活用によるUX向

上策に関する知見を、ガイドライン等として取りまとめ

①-ⅰ)ペルソナ活用によるUI/UXの多様化、使い易さ向上

11

12

課題認識• 利用者が日常的に使用しているスマートフォンやアプリのUI/UXを活用することで、総合

的に利用者の満足度の高いサービス提供を進めたい• 行政が提供するAPIの存在が認識されておらず活用されにくい、APIの検索性が低いた

め、利用にあたってのハードルが高い等の課題あり• 複数のAPIを組み合わせてサービスを提供する場合にAPI毎のルールが揃っていないこ

とが多く、サービスとしての管理ができない

取組の方向性1.APIカタログの整備

APIの検索性・認識性を向上させるため、政府内のAPIを調査し、政府全体のAPIに関する各種情報を集積し情報提供を行うAPIカタログの整備を行う。また、APIの評価を行うAPI成熟度モデルを整備し、その評価結果の公開を行う。2.APIハブの整備

APIを効率的に活用できるように、APIハブの在り方についての検討、整備を行う。3.API利用促進のためのルール整備

APIの利用ルールに関するガイドとモデル規約等を整備する。

①-ⅱ)API活用による民間サービスとの融合

12

13

課題認識• 民間サービスとの融合を進める一方で、最低限のUIを備えた行政システムは必要• 先進国の行政機関のWebサイトは、コンテンツとデザインを切り離した「デザインシステ

ム」の考え方を取り入れ、統一感のあるUI/UXを担保• 組織横断で使えるサービス分類(「サービス・カタログ」)を整備、検索性の向上、関連

するサービス間の連携を促進

取組の方向性1.デザインシステムに関するガイドラインの整備先進各国の活用状況を参考に、行政機関で取り入れていくための基本的な考え方等の

ガイドを整備。2.サービス・カタログの整備と活用促進個人向け、法人向けの行政サービス・カタログを整備し、政府情報システムにおける利

用の推進を図る。

①-ⅲ) デザインシステムの活用とブロック化

13

14

課題認識• 有用なサービスや制度があっても想定利用者に伝わりにくい(適切な広報の不足)• サービス開始後の改善活動がなされない• 改善のために必要となるKPIが設定されていない

取組の方向性1.マーケティングガイドの整備行政サービスのマーケティングを推進するためのマーケティングガイド及びその際のSNS

利用に関する考え方を整理し、ガイドライン等の整備を行う。2.ユーザー体験志向でのKPI検討と透明性の向上先進各国の取組状況を参考に、ユーザー体験志向での行政サービスのKPI設定の考え

方を整理し、ガイドライン等の整備を行う。システム更改等においては、当該ガイドラインに準拠したKPI設定及び実績データの取得に取り組む。「ITダッシュボード」の見直しを行い、これらのKPIの一元的な公開を進める。

①-ⅳ)マーケティングの活用と継続的なサービス改善

14

15②データファースト

15

ベース・レジストリの整備

データ品質指標の策定と評価の実施

政府情報システムのデータ・マネジメントの体系整備

行政内でのデータ共有・活用に係るルールの検討

社会全体がデータ活用を進める中、行政もデータを用いたサービス・業務を実現

行政機関は、行政サービスや社会活動の基本となるデータ(ベース・レジストリ)を保有、デジタル社会の新たな基盤を担う役割が期待されている。

長期にわたり、業務の流れの中で、安価に安定的に収集・活用できる持続可能なデータのエコシステムが重要

16行政データのあるべきエコシステム

16

行政保有データ

ベース・レジストリ

活用

収集

蓄積

公開

申請・届出センサーデータ

オープンデータWebサイトデータカタログAPIカタログ

データ標準(推奨データセット)(共通語彙基盤)(行政―多連携標準)

データ品質指標データ共有・活用ルール

設計

データ分析AI利用

組織内のデータ・マネジメント体系

組織・体制 データ品質 データアーキテクチャ

データ基盤

メタデータ管理

ドキュメント

・・・

17

課題認識• 行政の保有する社会基盤データ(ベース・レジストリ)とは、行政機関等が管理し、多くの

行政サービスや社会活動で参照される社会の基本情報• 海外では、個人、法人、地理空間、不動産、インフラ、証明・資格等の情報がベース・レジ

ストリと定義され、最重要プロジェクトとして整備が進められている。• ベース・レジストリ整備が遅れれば、データ収集でコストと時間を浪費し、ワンスオンリー

やスマートシティは実現できない

取組の方向性1.ベース・レジストリの基本方針とロードマップの作成ベース・レジストリの要件、優先課題、推進方策等について整理、基本方針等を策定

2.ワンスオンリー推進のためのベース・レジストリの整備

行政サービスデータ連携モデルを拡充。法人に関するベース・レジストリのデータ品質や公開方法に関する見直しのためロードマップを作成3.ワンスオンリー実現のためのガイドライン等の整備ワンスオンリー実現のためのベース・レジストリ整備・活用のためのガイドを整備する。

4.地図・地理情報ベース・レジストリの整備地図・地理情報ベース・レジストリ整備について検討、ロードマップを策定

②-ⅰ)ベース・レジストリの整備

17

18

課題認識• データクレンジングを手作業で実施しているためミスが発生する可能性• 手作業によるデータクレンジングにより多大なコストが発生• クレンジングにかかる時間が大きくなり、遅延が発生する可能性

取組の方向性1.データ品質指標ガイドブック公開

データの正確性、再利用性、最新性などに関する簡易なデータ品質指標の策定を行い、ガイドブックとして公開。欧米や民間のデータマーケットでの品質指標検討の状況を踏まえ、データ品質指標の詳細化を実施2.データ品質指標実証実験結果の公開ベース・レジストリ候補となるデータを中心に、データ品質指標を用いた試行評価を実施

②-ⅱ)データ品質指標の策定と評価の実施

18

19

課題認識• データエコシステムに関する政府・組織内のガバナンスが取れていない• データ設計が出来ていないため構造がバラバラ• データ活用を見据えたデータ収集が出来ていない• データ/データベースの一元化/集約化/共有化が出来ておらず、サイロ化状態• レガシー(メインフレーム等)時代のデータベース構造から脱却できていないシステムも

ある• データ品質維持に必要となる多大な運用費• データ構造を維持するための実効的なベンダーロックイン

取組の方向性1.データ・マネジメント体系の整備とデジタル・ガバメント推進標準ガイドラインの改定

データガバナンス(組織、体制)、データ品質、データアーキテクチャ、データプラットフォーム、メタデータ/レジストリ、ドキュメント、データ設計・開発、運用、利活用、監査等に関する体系(方針、規約)を策定し、政府のガイドラインに反映させる。各府省が管理するデータ(IT資源)の所在やメタデータの府省横断的な管理の在り方に

ついて検討、必要な整備を行う。その際、既存のオープンデータカタログや今後整備を進めるAPIカタログとの連携方策を整理。

②-ⅲ)政府情報システムのデータ・マネジメントの体系整備

19

20

課題認識• 情報ソース毎にルールが異なるためルールに関する調整コストが発生• サービス提供後にも一部情報ソースの提供条件変更を常に確認するためのコストが

発生• 行政機関毎にオープンデータのルールが異なる可能性がある• 知的財産権(画像等)の取り扱いに関する統一的な方式が定まっていない

取組の方向性1.データ利活用ルールの検討

データ利活用ルールの在り方を検討するとともに、ルール変更時の通知方法についてAPIハブの検討と合わせて検討。

②-ⅳ)行政内でのデータ共有・活用に係るルールの検討

20

21③政府情報システムのクラウド化・共通部品化

21

クラウド活用の本格化

政府情報システムの共通部品化

認証機能の利活用の高度化

利便性と両立するセキュリティ強化

政府情報システムのITモダナイゼーション

安全性と両立する形でクラウド・バイ・デフォルトを推進。

クラウド活用・API連携を前提としたビルディング・ブロック型のアーキテクチャ採用を具体化。

最新の技術動向を踏まえ、利便性と両立するセキュリティの在り方を検討。

22クラウド・バイ・デフォルトを基にした次世代アーキテクチャ

システムを個別に用意するのではなく、APIの組み合わせと共通部品の活用で個別のサービス提供を実現し、アジャイル開発やDevSecOpsに寄与

利便性を保ちながら、クラウド活用や働き方の多様化に対応するため、ネットワーク接続を前提に利用者やデバイスを正確に特定、常に監視・確認する次世代のネットワークセキュリティ環境を構築

22

府省庁の端末 タブレット 個人所有の端末

セキュリティインシデントの

状況

利用者・デバイスの状況(認証等)

・・・

常時セキュリティ診断・対応ネットワークアーキテクチャ

共通部品α

API

共通部品β

API

共通部品γ

API

パソコン スマートフォン

アクセス制御

職員等 企業等 国民等

個別サービスA 個別サービスB 個別サービスC 個別サービスD

クラウド X クラウド Y データセンター

※ポリシーに基づくリアルタイム判断

利用者環境

23

課題認識• 「クラウド利用基本方針(2018年6月)」により、対象業務や取り扱う情報を明確化した上で

クラウドサービスを選択するための基本的なプロセスを提示。• 今後は、クラウドサービス上でのシステム構築・保守・運用等の段階でパブリック・クラウド

の利点を生かしていく視点や、適切なセキュリティ水準が確保された信頼できるクラウドの選択・利用環境が不可欠

• 同時に、クラウドサービスを効率的・効果的に利用する具体的案件の形成、クラウド化の進め方に関する知見の蓄積と共有が必要

• クラウド化の進展に伴い、府省・組織間のネットワークの在り方も抜本的な見直しが必要

取組の方向性1.パブリック・クラウド利用に関するガイドライン等の充実・改訂

パブリック・クラウドの活用方法の進化や、安全性評価制度の活用に向けて、利用に係る基本方針の充実・改訂の検討を行い、取りまとめを行う。2.クラウド安全性評価の整備と活用

「政府調達に係るクラウドサービスの安全性評価制度」の検討に基づき、クラウドサービス導入のための情報セキュリティ原則の策定や実践例の収集を進める。3.第二期政府共通PF上の稼働とサービスの継続的改善、ノウハウの蓄積と活用第二期政府共通PFの稼働を開始するとともに、各府省システムの移行支援、移行したシステムのクラ

ウドネイティブ対応について継続的に改善を行う。4.政府共通PFとネットワーク接続形態の一元的検討インターネットや政府共通ネットワークへの接続形態について一元的な検討を行う。

③-ⅰ)クラウド活用の本格化

23

24

課題認識• クラウド環境を利用し、政府のシステム整備において、様々な共通機能や個別機能を

部品化して、ビルディング・ブロックとして組み合わせるソフトウェア・アーキテクチャの採用を検討すべき

• これまでの政府情報システムは様々な機能を密接に構築、柔軟性がなく、改修の度に肥大化、複雑さを増す構造

• デジタル技術の進化や社会・制度の変化に機敏に対応するために、政府で共通的に必要とされる機能を共通部品として整備し、各府省が各部品をAPIで呼び出して利用できる環境に変革していくことが必要

取組の方向性1.政府情報システムの共通部品化の基本方針の検討共通部品化すべき業務の類型や整備の進め方に関する基本的な方針の策定

2.デジタル・ガバメントで必要とされている共通的な機能に関する先行的な取組・決済(入金・支払・口座の実在確認)機能・手数料支払いに関する政府システム間の接続機能・行政機関から国民等への通知機能・自治体・政府機関への問い合わせ対応機能

③-ⅱ)政府情報システムの共通部品化

24

25

課題認識• 認証機能はセキュリティ上の要諦。電子申請等を行う国民・企業等についてリスク評価

に応じた本人確認手法の導入を進めてきたが、行政機関の職員等に関する認証機能に関しては未整理

• 国民・企業等の認証について、政府内のリスク評価レベル感の統一や、電子申請等を行った場合の証跡確保の方法等の具体化が重要

取組の方向性1.職員認証の統合的な見直しと導入

身分証の確認、入退館システム・基盤システム・業務システムでの認証機能の全体統合に関する検討2・本人ガイドに基づくリスク評価手法の具体化と共有

政府情報システムが対応する個々の業務のリスク評価の結果を事例として収集し、以下の論点を念頭に、行政機関でリスク評価結果を共有するための仕組みを整備3.承諾等の証跡確保の実装に関するガイドライン等の整備

本人確認として電子認証や電子署名を利用している場合の承認等の証跡確保の実装に関するガイドラインの検討

③-ⅲ)認証機能の利活用の高度化

25

26

課題認識• セキュリティポリシーは統一化されたが、導入するセキュリティ機能は個別に判断しており、

政府全体でのセキュリティインシデント対応に課題あり• クラウドサービスを前提としたネットワークセキュリティ設計になっていない• 物理的ネットワーク構成の境界でセキュリティを確保しているため、セキュリティが現場の

人に依存• 利便性を無視した技術セキュリティ対策は、シャドーITを拡大し、結果としてセキュリティが

確保できない

取組の方向性1.セキュリティ機能のプロファイルの検討

政府情報セキュリティ統一基準の具体化としてのセキュリティ機能のプロファイルの管理スキームの検討2.多段的セキュリティインシデント統合管理機能の検討

各府省の利用者及びデバイスのリソース、インシデントが、各組織及び政府全体で管理するための多段的セキュリティインシデント管理機能の導入の検討3.常時セキュリティ診断・対応ネットワークアーキテクチャの検討

次世代のクラウドサービスを前提としたネットワークセキュリティ設計の検討。利用者・デバイス等を特定し、常にセキュリティ状況を診断しながら、利用可能サービスを判断し、利用可能にする常時セキュリティ・診断対応ネットワークアーキテクチャを検討

③-ⅳ)利便性と両立するセキュリティ強化

26

27(参考)利便性と両立するセキュリティ強化

横断的ダッシュボード

A省ダッシュボード

A省基盤システム

収集

端末等の資産情報、

セキュリティ情報

B省基盤システム

セキュリティ機能

収集 反映

B省ダッシュボード

端末等の資産情報、

セキュリティ情報セキュリティ機能

収集 反映

収集 反映 収集 反映

多段的セキュリティインシデント統合管理構成イメージ

非信頼ゾーン

常時セキュリティ診断・対応ネットワークアーキテクチャ構成イメージ

アクセス制御

リソース(システム、データ、アプリ等)

信頼ゾーン

利用者・デバイスの状況、セキュリティの状況により動的に判断

27

28

課題認識• 当初構築から10年以上経過し、肥大化、老朽化、ブラックボックス化によりレガシー化

したものも少なくない。レガシー化の結果として、コストやセキュリティリスク増加、変更対応力や品質の低下、継続性への不安などのリスクが発生。システムを再構築して短期間で再度のレガシー化が発生するケースも散見。

• 自前主義からの脱却・クラウド活用、共通部品化など、小規模で自己完結的なシステム機能を組み合わせたアーキテクチャ選択により、変化に強く、効率的に改修・運用できるあり方を目指す

• デジタル・ガバメントの先進各国では、継続的な定量評価やアーキテクチャに従った政府情報システムの可視化を進め、移行性や拡張性を確保することも行われている

取組の方向性1.政府情報システムのITモダナイゼーション目標の検討レガシー化したシステムのITモダナイゼーションの進め方に関する基本的な考え方を策

定、それに基づき、ITモダナイゼーションが必要なシステムのライフサイクルを踏まえ、次期更改もしくは、継続的な改善におけるITモダナイゼーション手法を検討する。2.アーキテクチャやモデリング手法の導入

政府情報システムを可視化するためのアーキテクチャ適用やモデリング手法に関するガイドブックを整備

③-ⅴ)政府情報システムのITモダナイゼーション

28

29④政府のスマート化

29

政府情報システムの調達・開発・運用手法の見直し

新しい開発手法の導入によるデジタル化の加速

横断的なデジタル人材の育成と政府の実施体制の整備

Society5.0時代のガバメントへの転換

新たなシステム・データ整備の考え方に合わせて、調達・開発手法や人材育成の考え方もアップデート

国際的な枠組みへの参加による互換性確保、グローバルな視点での技術動向、デジタル時代に対応した法制度整備の動向なども認識し、対応を進めていく

30調達・開発手法と人材・実施体制のアップデート

30

新たな調達手法を実現する人材・体制

戦略担当 実装・運用担当 行政担当 官民コラボ人材

新たな調達/開発/運用手法 結果(アウトカム)評価の重視

技術的

対話

アジャイル

&DevSecOps

インプットアクティ

ビティ

アウト

プット

アウト

カム

イン

パクト

現行評価時点 結果評価

クラウドに対応した調達

社会変化、技術変化に合わせて進化できる仕組みを目指す

・・・

グローバルな視点・国際的な枠組みへの参加・貢献・国際的な相互互換性(インターオペラビリティ)・最新の技術動向(陳腐化する技術含む)・デジタル時代に対応した法制度整備 等

31

課題認識• 競争入札を原則とし、定められたプロセス遵守の手順自体の重視が、調達の本来目的

に対して成果が得られない場合がありえる(発注者が仕様書策定時点で想定しうるサービス・業務要件で考え得る最大限の仕様を作成、応札事業者はその内容から想定される最大の作業を見込んだ見積もり提示。結果、仮に交渉ベースで調整した場合の価格から何倍にも高騰)

• クラウドサービス等の新たな利用形態、契約形態に対応できない

取組の方向性1.事業者との技術的対話を取り入れた調達プロセスの導入

発注者と事業者が調達プロセスの中で対話を行い、発注者が技術提案の改善・再提出を求め、事業者から技術提案の改善や価格の交渉を行える仕組みを試行的に開始。政府全体で技術的対話を取り入れた調達プロセスを効果的に実施できるように必要なガイドライン等の整備を行う。2.クラウドサービスを効果的に活用できる調達手法の確立

政府全体でクラウドサービスを効果的に活用するための調達手法についてガイドライン等の整備を行う。3.新たな調達プロセスの普及と促進

新たな調達プロセスや手法を普及、促進するために、「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」の改定を随時行うとともに、新しい調達プロセスを円滑に実施・導入が進むよう必要な普及策を講ずる。

④-ⅰ)政府情報システムの調達・開発・運用手法の見直し

31

32

課題認識• 社会環境・業務を取り巻く環境変化が早く、行政サービスのリリースに迅速性が求めら

れている。従来型のウォーターフォール型の開発手法だけでは、業務に対するニーズ変化に対応できない

• 業務やサービスの性質に応じて、アジャイル開発、ローコーディングツール、オープンソースといった迅速性に優れた新たな手法やツール導入が有効

取組の方向性1.確実なアジャイル開発を実施するためのガイドライン等の整備

アジャイル開発は、柔軟性はあるものの、納期や品質管理、仕様調整など難易度の高い手法であるところ、アジャイル開発の事例や留意点等について取りまとめ、政府のガイドラインに反映2.ローコーディングツール活用に関するガイドライン等の整備

ローコーディングツールのユースケース具体化、導入事例や手法についてガイドライン等として取りまとめ横展開を図る3.オープンソース利用に関するガイドライン等の整備

オープンソースの市場動向及び政府における導入事例等について調査の上、政府において採用すべき「オープンソース」の基準や効果、利用時の留意点等について、ガイドライン等として取りまとめる

④-ⅱ)新しい開発手法の導入によるデジタル化の加速

32

33

課題認識• デジタル・ガバメントを取り巻く環境は近年大きく変貌。政府のIT人材に求められる素養や

スキル、専門性等を継続して見直しつつ、中長期的に育成・採用を進める考え方の整理とそれに沿った育成・採用の具体化が必要

• サービスデザインやデータ分析など新たな専門分野に対応する専門人材・チームがない• 組織横断的なデジタル・サービスやシステムを維持継続していく組織の在り方について検

討が必要• デジタル人材キャリアパスを選択していくためのモチベーションが低い

取組の方向性1.政府内IT人材のスキルセットの整備、統合的研修制度の拡充デジタル・ガバメント実現のための人材像を設定の上、専門性やスキルを明確化政府内IT人材を対象とする研修範囲について再構築を行う。

2.デザイン専門家チーム、データ専門家チームの設置検討デジタル・ガバメント技術検討会議にデザインTF(仮称)を設置し、順次拡大を図る。また、ベース・レジストリに関する支援を行うためのチーム設置を検討専門チームへの参画による経験の蓄積と共通を可能にし、モチベーションアップを図る。

3.デジタル・ガバメントを推進する専門組織の検討デジタル・ガバメント推進を継続的に実施していくための組織の在り方について取りまとめ

④-ⅲ)横断的なデジタル人材の育成と政府の実施体制の整備

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34新たなデジタル化業務と人材育成のイメージ

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職員の育成(中長期・層の厚さ)

民間等からの採用(短期・多様性)

内製(スピード感重視)

外注(外部の知見・協業重視)

データ活用型行政(データ整備・AIによる分析)

業務と一体となった開発・運用(アジャイル開発・DevSecOps)

政府横断型プロジェクト・一元的なプロジェクト管理の実施、

事業者とのコミュミケーション(大規模システムの運用・刷新)

サービスデザイン型行政

(業務分析・改善、ペルソナ分析、UI/UX設計)

先進技術のPoC・検証、ノウハウ蓄積

(ラボ機能、CoEチーム)

政府のIT人材に求められる専門性やスキルの多様化と、対応のスピード感を踏まえた人材育成・採用や内製・外部委託の戦略的な使い分けが必要

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課題認識• デジタル環境での先進国・途上国のギャップ解消が進む中、グローバルな視点での

社会変化・技術変化への感度向上が必要• 足元では、デジタル技術を取り入れた政府の働き方改革の必要性

取組の方向性1.Society5.0の国際的な枠組みへの参画と貢献例えばAI、データ標準、サービスデザイン思考の活用などいわゆる人間中心のデジタ

ル技術活用について、国際的な取り組みと我が国との相互運用性(インターオペラビリティ)を確保するとともに、テーマに応じて我が国の情報発信や他国との協働を推進2.政府情報システムでのAIやスマートコントラクト導入に関する調査政府情報システムでAIを使用する際に考慮するべき論点や、スマートコントラクトを使

用する上での課題の調査研究・解決策等の検討を行う3.デジタル時代における法制度整備に関する課題の整理デジタル時代における制度に関し、国際的な取り組み動向と国内の課題を整理する

4.効率的・効果的なテレワークの推進、デジタル技術の活用による生産性向上

④-ⅳ)Society5.0時代のガバメントへの転換

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36まとめ

20世紀から21世紀への変化をとらえ、世界各国は既にここに書かれたビジョンを一部実現し、2030年までには全体像を完成させようとしている

「できない」「理想論である」といいながら、日本は多くの改革を先送りしてきた。そうした中で、デジタル・ガバメントに先進的な各国は一歩足を踏み出しており、その結果として日本は様々な国際比較ランキングで上位を維持することが出来ていない

世界の厳しい現実を見て、どうすれば改革が図れるのか真剣に取り組まなければならないタイミングに来ており、今取り組みを開始しなければ間に合わない。

人口減少・少子高齢化による「縮む社会」を消極的に受け入れるのではなく、デジタル・ガバメントにより、より豊かな社会に転換する契機とすべく、政府全体で強い意志を持った改革が必要。(「できない」のであれば、対案を以って異なるアプローチで改革を行う必要がある)

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