チェンジナット - THK...A17-8 効率と推力およびトルク...

30
νΣϯδφοτ ૯߹Χλϩά Aɹղઆ BɹαϙʔτϒοΫʢผʣ ....................................................... A17-2 νΣϯδφοτͷಛ ........................ A17-2 ߏ‚ͱಛ........................................ A17-2 ‚ ઐ༻సͷಛ.............................. A17-3 ڧߴ ‚ѥԖ߹ ................................. A17-3 બఆͷϙΠϯτ.................................... A17-5 νΣϯδφοτͷબఆ ........................ A17-5 ͱਪΑͼτϧΫ .................... A17-8 ن ............................................... A17-8 ๏ਤɾ๏ද DCMAܗɺDCMBܗ............................ A17-10 ܭͷϙΠϯτ.................................... A17-12 Ί ............................................... A17-12 ................................................... A17-12 ....................................................... A17-13 ݺͼܗ............................................... A17-14 ݺ‚ͼܗ൪ͷߏ.............................. A17-14 औѻͷҙ............................ A17-15 ....................................................... B17-2 νΣϯδφοτͷಛ ........................ B17-2 ߏ‚ͱಛ........................................ B17-2 ‚ ઐ༻సͷಛ.............................. B17-3 ڧߴ ‚ѥԖ߹ ................................. B17-3 બఆͷϙΠϯτ.................................... B17-5 νΣϯδφοτͷબఆ ........................ B17-5 ‚ બఆܭ........................................ B17-8 ͱਪΑͼτϧΫ .................... B17-9 ‚ ਪܭ........................................ B17-9 ‚ τϧΫܭ..................................... B17-9 औखॱͱϝϯςφϯε .................... B17-10 ................................................... B17-10 ....................................................... B17-11 ݺͼܗ............................................... B17-12 ݺ‚ͼܗ൪ͷߏ.............................. B17-12 औѻͷҙ............................ B17-13 A17-1 512J

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チェンジナット総合カタログ

A 製品解説 B サポートブック(別冊)

特長 ....................................................... A17-2チェンジナットの特長 ........................ A17-2 · 構造と特長 ........................................ A17-2 · 専用転造軸の特長 .............................. A17-3 · 高強度亜鉛合金 ................................. A17-3

選定のポイント.................................... A17-5チェンジナットの選定 ........................ A17-5効率と推力およびトルク .................... A17-8精度規格 ............................................... A17-8

寸法図・寸法表DCMA形、DCMB形 ............................ A17-10

設計のポイント.................................... A17-12はめあい ............................................... A17-12取付け ................................................... A17-12潤滑 ....................................................... A17-13

呼び形番 ............................................... A17-14 · 呼び形番の構成例 .............................. A17-14

取扱い上の注意事項 ............................ A17-15

特長 ....................................................... B17-2チェンジナットの特長 ........................ B17-2 · 構造と特長 ........................................ B17-2 · 専用転造軸の特長 .............................. B17-3 · 高強度亜鉛合金 ................................. B17-3

選定のポイント.................................... B17-5チェンジナットの選定 ........................ B17-5 · 選定計算例 ........................................ B17-8効率と推力およびトルク .................... B17-9 · 推力計算例 ........................................ B17-9 · トルク計算例 ..................................... B17-9

取付手順とメンテナンス .................... B17-10取付け ................................................... B17-10潤滑 ....................................................... B17-11

呼び形番 ............................................... B17-12 · 呼び形番の構成例 .............................. B17-12

取扱い上の注意事項 ............................ B17-13

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チェンジナットの特長

DCMA形

DCMB形

構造と特長 チェンジナットDCMA形/DCMB形は、機械加工で容易に得られないリード角45のチェンジナットです。直線運動を回転運動に、回転運動を直線運動に高い効率で転換することができ、リードが大きいため低速回転で早送り機構をつくるのに最適です。チェンジナットに組合わせる多条スクリュー軸は冷間転造によって成形されています。歯形の表面硬度は250HV以上に加工硬化し、しかも鏡面仕上げとなっているので、チェンジナットとの組合わせによる動きが極めてスムーズで耐摩耗性に優れています。なおDCMA40形、DCMB40形以上は切削スクリュー軸に組合わされます。 ミニチュアチェンジナットは含油プラスチックにより成形したもので、耐摩耗性があり、特に無給油での潤滑性能が優れています。しかも、その性能を長時間保持できるためメンテナンスフリー化が可能です。

チェンジナット 特長

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チェンジナット

専用転造軸の特長 チェンジナットには、長さが規格化された専用の転造軸が用意されています。

【耐摩耗性の向上】 冷間転造により軸の歯形を成形しているため、歯面の表面は250HV以上に加工硬化し、しかもなめらかな鏡面仕上げとなっているので耐摩耗性に優れています。チェンジナットの組合わせによる動きも極めてスムーズです。

【機械的特性の向上】 転造された軸の歯面の内部組織は、ファイバーフローが歯形の輪郭に沿って生じ、歯元部の組織が極めて密となり疲れ強さが増加しています。

【軸端支持部の追加工】 転造された軸のため、軸端の支持軸受部などの追加工は、旋削・フライス加工で容易に行うことができます。

高強度亜鉛合金 チェンジナットに用いられる高強度亜鉛合金は、耐焼付性、耐摩耗性および耐荷重性に優れた材料です。その機械的性質、物理的性質、耐摩耗性は、下記の通りです。 ※ 下記値は目安値であり、保証値ではありません。

【機械的性質】 表1

項  目 内  容

引張強さ 275~314 N/mm 2

引張耐力(0.2%) 216~245 N/mm 2

圧縮強さ 539~686 N/mm 2

圧縮耐力(0.2%) 294~343 N/mm 2

疲れ強さ 132 N/mm 2 ×10 7 (シェンク式曲げ試験)

シャルピー衝撃値 0.098~0.49 N・m/mm 2

伸び 1~5 %

硬さ 120~145 HV

特長チェンジナットの特長

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【物理的性質】 表2

項  目 内  容

比重 6.8

比熱 460 J/(kg・K)

溶融点 390 ℃

熱膨張係数 24×10 -6

【耐摩耗性】

距離(km)

リン青銅2種

青銅3種

THK高強度亜鉛合金

黄銅3種

摩耗量(mg)

80

60

40

20

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

図1  高強度亜鉛合金の耐摩耗性

表3  〈試験条件:アムスラー式摩耗試験機〉

項  目 内  容

試験片回転数 185 min -1

荷重 392 N

潤滑剤 ダイナモ油

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チェンジナット

チェンジナットの選定 【動的許容トルクTと動的許容推力F】 動的許容トルク(T)、動的許容推力(F)とは軸受の歯面に作用する接触面圧が9.8N/mm 2 となるときのトルク、推力を示します。この値はチェンジナットの強度の目安として使用します。

【pV値】 すべり軸受では接触面圧(p)とすべり速度(V)の積であるpV値を使用できるかどうかの目安とします。チェンジナットの選定の目安として 図1 のpV値をご参照ください。なおこのpV値は潤滑条件によっても変わります。

● f S :安全係数 チェンジナットに作用する荷重を計算する場合には物体の重量、運動速度によって変化する慣性力の影響などを正確に求める必要があります。一般的に往復または回転運動する機械では、常時繰返される起動停止時の衝撃などのすべてを正確に求めることは容易ではありません。従って実際の荷重が得られない場合は、経験的に得られた 表1 の安全係数(f S )を考慮して軸受を選定する必要があります。

すべり速度 V (m/min)

面圧 p(N/mm2 )

10 7 5

3

2

1 0.7 0.5

0.3

0.2

1 2 3 5 7 10 20 30 50 70 100

図1   pV値

表1   安全係数(f S )

荷 重 の 種 類 f S の下限

使用頻度の少ない静荷重のとき 1~2

一般的な一方向荷重のとき 2~3

振動・衝撃を伴う荷重のとき 4以上

チェンジナット 選定のポイント

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● f T :温度係数 チェンジナットの温度が常温の範囲をこえると、耐焼付性および素材の強度が減少してくるので、 図2 の温度係数を動的許容トルク(T)、動的許容推力(F)に乗ずる必要があります。 注) ミニチュアチェンジナットの場合、60℃以下でご使用ください。

以上より、チェンジナットを選定する場合に、強度上からつぎの式を満足させる必要があります。 動的許容トルク(T)

fT•T PT

fS

動的許容推力(F)

fT•F PF

fS

f S : 安全係数 ( A17-5 表1 参照) f T : 温度係数 ( 図2 参照) T : 動的許容トルク (N・m) P T : 負荷トルク (N・m) F : 動的許容推力 (N) P F : 軸方向荷重 (N)

使用温度(℃)

温度係数 fT

‒20 0

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

20 40 60 80 100 120

図2   温度係数

● 表面硬さと耐摩耗性 軸の硬さはチェンジナットの耐摩耗性に大きく影響します。 図3 のように硬さが250HV以下になると摩耗が多くなります。また表面粗さはRa0.8以下が望まれます。 専用転造軸は、転造の加工硬化により表面硬さは250HV以上、表面粗さはRa0.2以下に仕上げられているので耐摩耗性に優れています。

相手硬度(HV)

摩耗量(mm)

1.1

1.0

0.9

0.8

100 200 300 400 500 600 700

0.7

0.6

0.5

図3   表面硬さと耐摩耗性

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チェンジナット

【接触面圧pの算出】 pの値はつぎのように求めます。

● 軸方向荷重が作用している場合

PF

F p = 9.8

p :軸方向荷重(P F N)による歯面の接触面圧 (N/mm 2 ) F :動的許容推力 (N) P F :軸方向荷重 (N)

● トルクが負荷している場合

p = 9.8PT

T p :負荷トルク(P T N・m)が加わった時の歯面の接触面圧 (N/mm 2 ) T :動的許容トルク (N・m) P T :負荷トルク (N・m)

【歯面すべり速度Vの算出】 Vの値はつぎのように求められます。

2• π•Do•n

103 V =

V :すべり速度 (m/min) Do :有効径(寸法表参照) (mm) n :毎分回転数 (min -1 )

n = S

R 10-3

S :送り速度 (m/min) R :リード (mm)

選定のポイントチェンジナットの選定

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効率と推力およびトルク チェンジナットの摩擦係数()の目安は0.1~0.2程度となります。摩擦係数が0.1~0.2のときの効率()は 表2 のようになります。 ※ 摩擦係数は潤滑や取付条件によって上記値を超える可能性がありますので、参考としてください。

表2   摩擦係数と効率 摩擦係数() 0.1 0.15 0.2 効  率() 0.82 0.74 0.67

トルクを与えると発生する推力は次式により求められます。

Fa =2•π•η•T/R 10–3

Fa :発生推力 (N) T :トルク(入力) (N・m) R :リード (mm)

また逆に推力を与えた場合の発生トルクは次式により求められます。

T =η•Fa•R 10–3/2π T :発生トルク (N・m) Fa :推力(入力) (N) R :リード (mm)

精度規格 表3  DCMA形、DCMB形用多条転造スクリュー軸の精度 単位:mm

軸記号 転造軸 精 度 T 注)

単一ピッチ誤差(最大) 0.025 累積ピッチ誤差(最大) 0.2/300

注) 記号(T)はスクリュー軸の加工方法を表します。

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チェンジナット

選定のポイント効率と推力およびトルク

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A17-10 各種ダウンロードはテクニカルサイトで呼び形番を検索してください https://tech.thk.com

DCMA形、DCMB形

チェンジナット 外形寸法 チェンジナット寸法 スクリュー軸

呼び形番 注1) 外径

呼び形番 注1)

D 許容差 長さ フランジ径 H B PCD r F d h9 L D 1

DCMB 8T 注2) 15 0 ‒0.1

16 28 4 3.4 21 0.8 ̶ ̶ CT 8T DCMB 12T 注2) 20 25 36 5 4.5 27 1 ̶ ̶ CT 12T DCMA 15T 22 0

‒0.052

15 44 6 5.4 31 1.5 4.5 1.5 CT 15T DCMB 15T 30 DCMA 17T 28 15 51 7 6.6 38 1.5 4.5 1.5 CT 17T DCMB 17T 35 DCMA 20T 32

0 ‒0.062

20 56 7 6.6 42 1.5 6.5 2 CT 20T DCMB 20T 40 DCMA 25T 36 25 61 8 6.6 47 2 8.5 2 CT 25T DCMB 25T 50 DCMA 30T 44 28 76 10 9 58 2 9 2 CT 30T DCMB 30T 56 DCMA 35T 52

0 ‒0.074

30 84 10 9 66 2.5 10 3 CT 35T DCMB 35T 60 ★ DCMA 40 58 35 98 12 11 76 2.5 11.5 3 ☆ CT 40 ★ DCMB 40 70 ★ DCMA 45 64 37 104 12 11 80 2.5 12.5 3 ☆ CT 45 ★ DCMB 45 75 ★ DCMA 50 68 40 109 12 11 85 2.5 14 3 ☆ CT 50 ★ DCMB 50 80 注1) チェンジナット(DCMB8T形、DCMB12T形は除く)とスクリュー軸の呼び形番に付くT記号は転造を表します。

それぞれ単体でのご購入が可能で、その場合は A17-11 の呼び形番の構成例をご参照ください。なお、チェンジナットとスクリュー軸をセットでご発注になる場合は、形番構成の末尾にのみT記号をご指示ください(→下記の呼び形番の構成例を参照)。

注2) ミニチュアチェンジナットDCMB8T形、DCMB12T形の材料は含油プラスチックを使用しています。(外径の寸法許容差は特殊となります。)

注3) 動的許容トルク(T)、動的許容推力(F)は、スクリューの歯面の接触面が9.8N/mm 2 となるときの数値を示します。 最大軸方向荷重(停止時、動作時にかかわらず)は動的許容推力以下とし、 A17-5 表1 の安全係数を考慮して選定する必要があります。

注4) フランジの静的許容荷重(P)とは、右図のような負荷に対するフランジの強度を示します。 ☆印:スクリュー軸は受注製作品です。 ★印:スクリュー軸とチェンジナットは受注製作品のため、軸とナットとのセット販売のみとなります。

1本のスクリュー軸に組合わされるナットの個数

チェンジナットの呼び形番

スクリュー軸全長(mm表示)

スクリュー軸の加工方法の区別(転造軸を表す)

チェンジナットとスクリュー軸の組合わせの場合

2 DCMA20 +1500L T

呼び形番の構成例

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チェンジナット

L F H

3-φ dr

4-φ B

PCD φD1 φ Drφ Doφ Dkφ D

単位:mm

多条スクリュー軸詳細 標準軸長 最大軸長 動的許容 動的許容 フランジの 質 量 トルク 推力 静的許容荷重 チェンジ スクリュー 外径 有効径 谷径 リード リード角 条数 T 注3) F 注3) P 注4) ナット 軸 D k D 0 D r R Z N・m N N g kg/m 9 7.6 6.2 24 (45) 6 500 1000 3.24 863 1800 5 0.36 13.3 11.5 9.7 36 (45) 7 500,1000 1500 12.7 1370 2800 10 0.82 15.8 13.7 11.6 44.4 (45) 8 500,1000 1500 16.7 2300 13800 60 1.2 32.4 4610 85 17.8 15.7 13.6 50 (45) 9 500,1000 1500 20.6 2600 28100 95 1.5 48 6080 140 21.2 18.7 16.2 60 (45) 9 500,1000,1500 3000 40.2 4170 34600 135 2.6 79.4 8330 210 25.6 23.1 20.6 73.3 (45) 11 500,1000,1500 3000 74.5 6370 38500 175 3.3 148 12700 280 31.9 29.4 26.9 93.3 (45) 14 500,1000,2000 4000 130 8090 55400 290 5.3 269 16200 465 34.1 31.1 28.1 97.7 (45) 11 500,1000,2000 4000 144 9260 84500 425 5.8 287 18500 670 44 38.18 33.3 119.9 (45) 12 500,1000,2000 ̶ 381 20000 85200 715 9 763 40000 1065 47 41.37 36.4 129.9 (45) 13 1000,2000,3000 ̶ 474 22900 115000 820 10.6 960 46600 1270 52 47.73 42.9 149.9 (45) 15 1000,2000,3000 ̶ 681 28500 108000 925 14 1360 57100 1375

フランジ

ナット スクリュー軸

P P

チェンジナット の呼び形番

チェンジナットのみ

スクリュー軸の呼び形番

スクリュー軸全長(mm表示)

スクリュー軸の 加工方法の区別 (転造軸を表す)

スクリュー軸

DCMA20T CT20 T +1500L

● ● 呼び形番の構成例

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はめあい チェンジナットの外径とハウジングとのはめあいは、すきまばめを推奨します。 ハウジング内径公差:G7

取付け 【ハウジング口元面取りについて】 チェンジナットのフランジ付け根部分は強度を増すため、すみがR形状となっています。このためハウジング内径の口元部に面取りを設けてください。

C面取り

図1

表1  ハウジング口元面取り 単位:mm

呼び形番 口元の面取り C

(最小) DCMA DCMB

8 1.2

12 1.5

15

2 17

20

25 2.5

30

35

3 40

45

50

チェンジナット 設計のポイント

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チェンジナット

潤滑 チェンジナットは潤滑油・グリースが塗布されていない状態で納入しますので、軸受取り付け後に適量の潤滑油・グリースを供給する必要があります。 潤滑方法につきましては、使用条件より選定してください。

【油潤滑】 チェンジナットの潤滑には油潤滑を推奨します。その方法は、油浴潤滑または滴下潤滑が有効です。油浴潤滑は、高速、重荷重あるいは外部より熱の伝達を受ける厳しい条件に適し、チェンジナットの冷却も行われるので最適な方法です。滴下潤滑は、中速または低速で、中軽荷重に適しています。潤滑油は使用条件により 表2 のように選択してください。

表2   潤滑油の選定

使用条件 潤滑油の種類

低速・高負荷・高温 粘度の高い摺動面用油またはタービン油

高速・低負荷・低温 粘度の低い摺動面用油またはタービン油

【グリース潤滑】 使用頻度の少ない低速送りの場合、軸にグリースを定期的に手塗りするかチェンジナットの給脂穴を使用して潤滑することができます。使用グリースはリチウム石けん基グリース2号を推奨します。

【ミニチュアチェンジナットの初期潤滑】 ミニチュアチェンジナットの材料は含油プラスチックですので無潤滑にて使用できます。初期潤滑を行う場合には、油潤滑またはグリース潤滑を行ってください。ただし極圧剤を大量に添加した潤滑剤は使用に適していません。

設計のポイント潤滑

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呼び形番の構成例 呼び形番は各形番の特長により構成が異なりますので、対応の呼び形番の構成例をご参照ください。

【チェンジナット】 ● DCMA形, DCMB形, CT形

チェンジナット の呼び形番

チェンジナットのみ

スクリュー軸の呼び形番

スクリュー軸全長(mm表示)

スクリュー軸の 加工方法の区別 (転造軸を表す)

スクリュー軸

DCMA20T CT20 T +1500L

● ●

1本のスクリュー軸に 組合わされるナットの個数

チェンジナット の呼び形番

スクリュー軸全長 (mm表示)

スクリュー軸の加工方法の区別(転造軸を表す)

チェンジナットと スクリュー軸の組合わせ

2 DCMA20 +1500L T ●

チェンジナット 呼び形番

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チェンジナット

【取扱い】 (1) チェンジナットを落下させたり、叩いたりしないでください。けがや破損の原因となります。

また、衝撃を与えた場合、外観に破損が見られなくとも機能が損失する可能性があります。 (2) 製品を扱う場合は、必要に応じて保護手袋、安全靴等を着用して安全を確保してください。

【使用上の注意】 (1) 切り粉やクーラントなど異物の流入のないようご注意ください。破損の原因となります。 (2) 切り粉、クーラント、腐食性のある溶剤、水などが製品内部に流入するような環境下で使用され

る場合は、ジャバラまたはカバー等により製品への流入を避けてください。 (3) 切り粉などの異物が付着した場合は、洗浄した後、潤滑剤を再封入してください。 (4) 製品に位置決め部品(ピン、キー等)を無理に打ち込まないでください。摺動面に圧痕が生じ機能

を損失する原因となります。 (5) スクリュー軸の支持部とチェンジナットの芯違いや倒れがあると極端に寿命が短くなる場合が

ありますので、取付部品、組付精度には十分ご注意ください。 (6) 縦軸に使用される場合は、落下防止の安全機構を追加する等の対処をしてください。 (7) チェンジナットの使用に際しては、LMガイドやボールスプラインなどの案内要素を設けて使用

してください。破損の要因となります。 (8) 取付部材の剛性および精度が不足すると、軸受の荷重が局部的に集中し、軸受性能が著しく低下

します。したがって、ハウジングやベースの剛性・精度、固定用ボルトの強度について十分検討ください。

【潤滑】 (1) 防錆油をよく拭き取り、潤滑剤を封入してからお使いください。 (2) 性状の異なる潤滑剤を混合しての使用は避けてください。増ちょう剤が同種類のグリースでも、

添加剤などが異なることにより、お互いに悪影響を及ぼす恐れがあります。 (3) 常に振動が作用する箇所、クリーンルーム、真空、低温・高温など特殊環境下でされる場合は、仕

様・環境に適したグリースをご使用ください。 (4) 製品を潤滑する場合には、内部にグリースが入るよう慣らしストロークを数度おこなってくだ

さい。 (5) 温度によりグリースのちょう度は変化します。ちょう度の変化によってチェンジナットのトル

クも変化しますのでご注意ください。 (6) 給脂後はグリースの攪拌抵抗によりチェンジナットの回転トルクが増大する可能性があります。

必ず慣らし運転をおこない、グリースを十分なじませてから、機械の運転をおこなってください。 (7) 給脂直後は余分なグリースが周囲に飛び散る可能性がありますので、必要に応じて拭き取って

ご使用ください。 (8) グリースは使用時間とともに性状は劣化し潤滑性能は低下しますので、使用頻度に応じたグ

リース点検と補給が必要です。 (9) 使用条件や使用環境により給脂間隔が異なります。最終的な給脂間隔・量は実機にて設定願います。

チェンジナット 取扱い上の注意事項

512J

Page 16: チェンジナット - THK...A17-8 効率と推力およびトルク チェンジナットの摩擦係数( )の目安は0.1~0.2程度となります。摩擦係数が0.1~0.2のときの効

A17-16

(10) 油潤滑にて使用される場合、チェンジナットの取付姿勢によっては潤滑油が行き渡らないことがありますので、設計時に十分ご検討ください。

(11) ミニチュアチェンジナットの材料は含油プラスチックですので無潤滑にて使用できます。初期潤滑をおこなう場合には、油潤滑またはグリース潤滑をおこなってください。ただし、極圧剤を大量に添加した潤滑剤は使用に適していません。

【保管】 チェンジナットは、弊社の梱包および荷姿で、高温、低温、多湿を避け、水平な状態で室内に保管してください。

【廃棄】 製品は産業廃棄物として適切な廃棄処置をおこなってください。

512J

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チェンジナット総合カタログ

特長 ....................................................... B17-2チェンジナットの特長 ........................ B17-2 · 構造と特長 ........................................ B17-2 · 専用転造軸の特長 .............................. B17-3 · 高強度亜鉛合金 ................................. B17-3

選定のポイント.................................... B17-5チェンジナットの選定 ........................ B17-5 · 選定計算例 ........................................ B17-8効率と推力およびトルク .................... B17-9 · 推力計算例 ........................................ B17-9 · トルク計算例 ..................................... B17-9

取付手順とメンテナンス .................... B17-10取付け ................................................... B17-10潤滑 ....................................................... B17-11

呼び形番 ............................................... B17-12 · 呼び形番の構成例 .............................. B17-12

取扱い上の注意事項 ............................ B17-13

特長 ....................................................... A17-2チェンジナットの特長 ........................ A17-2 · 構造と特長 ........................................ A17-2 · 専用転造軸の特長 .............................. A17-3 · 高強度亜鉛合金 ................................. A17-3

選定のポイント.................................... A17-5チェンジナットの選定 ........................ A17-5効率と推力およびトルク .................... A17-8精度規格 ............................................... A17-8

寸法図・寸法表DCMA形、DCMB形 ............................ A17-10

設計のポイント.................................... A17-12はめあい ............................................... A17-12取付け ................................................... A17-12潤滑 ....................................................... A17-13

呼び形番 ............................................... A17-14 · 呼び形番の構成例 .............................. A17-14

取扱い上の注意事項 ............................ A17-15

B サポートブック A 製品解説(別冊)

B17-1

512J

Page 18: チェンジナット - THK...A17-8 効率と推力およびトルク チェンジナットの摩擦係数( )の目安は0.1~0.2程度となります。摩擦係数が0.1~0.2のときの効

B17-2

チェンジナットの特長

DCMA形

DCMB形

構造と特長 チェンジナットDCMA形/DCMB形は、機械加工で容易に得られないリード角45のチェンジナットです。直線運動を回転運動に、回転運動を直線運動に高い効率で転換することができ、リードが大きいため低速回転で早送り機構をつくるのに最適です。チェンジナットに組合わせる多条スクリュー軸は冷間転造によって成形されています。歯形の表面硬度は250HV以上に加工硬化し、しかも鏡面仕上げとなっているので、チェンジナットとの組合わせによる動きが極めてスムーズで耐摩耗性に優れています。なおDCMA40形、DCMB40形以上は切削スクリュー軸に組合わされます。 ミニチュアチェンジナットは含油プラスチックにより成形したもので、耐摩耗性があり、特に無給油での潤滑性能が優れています。しかも、その性能を長時間保持できるためメンテナンスフリー化が可能です。

チェンジナット 特長

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Page 19: チェンジナット - THK...A17-8 効率と推力およびトルク チェンジナットの摩擦係数( )の目安は0.1~0.2程度となります。摩擦係数が0.1~0.2のときの効

B17-3

チェンジナット

専用転造軸の特長 チェンジナットには、長さが規格化された専用の転造軸が用意されています。

【耐摩耗性の向上】 冷間転造により軸の歯形を成形しているため、歯面の表面は250HV以上に加工硬化し、しかもなめらかな鏡面仕上げとなっているので耐摩耗性に優れています。チェンジナットの組合わせによる動きも極めてスムーズです。

【機械的特性の向上】 転造された軸の歯面の内部組織は、ファイバーフローが歯形の輪郭に沿って生じ、歯元部の組織が極めて密となり疲れ強さが増加しています。

【軸端支持部の追加工】 転造された軸のため、軸端の支持軸受部などの追加工は、旋削・フライス加工で容易に行うことができます。

高強度亜鉛合金 チェンジナットに用いられる高強度亜鉛合金は、耐焼付性、耐摩耗性および耐荷重性に優れた材料です。その機械的性質、物理的性質、耐摩耗性は、下記の通りです。 ※ 下記値は目安値であり、保証値ではありません。

【機械的性質】 表1

項  目 内  容

引張強さ 275~314 N/mm 2

引張耐力(0.2%) 216~245 N/mm 2

圧縮強さ 539~686 N/mm 2

圧縮耐力(0.2%) 294~343 N/mm 2

疲れ強さ 132 N/mm 2 ×10 7 (シェンク式曲げ試験)

シャルピー衝撃値 0.098~0.49 N・m/mm 2

伸び 1~5 %

硬さ 120~145 HV

特長チェンジナットの特長

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B17-4

【物理的性質】 表2

項  目 内  容

比重 6.8

比熱 460 J/(kg・K)

溶融点 390 ℃

熱膨張係数 24×10 -6

【耐摩耗性】

距離(km)

リン青銅2種

青銅3種

THK高強度亜鉛合金

黄銅3種

摩耗量(mg)

80

60

40

20

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

図1  高強度亜鉛合金の耐摩耗性

表3  〈試験条件:アムスラー式摩耗試験機〉

項  目 内  容

試験片回転数 185 min -1

荷重 392 N

潤滑剤 ダイナモ油

512J

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B17-5

チェンジナット

チェンジナットの選定 【動的許容トルクTと動的許容推力F】 動的許容トルク(T)、動的許容推力(F)とは軸受の歯面に作用する接触面圧が9.8N/mm 2 となるときのトルク、推力を示します。この値はチェンジナットの強度の目安として使用します。

【pV値】 すべり軸受では接触面圧(p)とすべり速度(V)の積であるpV値を使用できるかどうかの目安とします。チェンジナットの選定の目安として 図1 のpV値をご参照ください。なおこのpV値は潤滑条件によっても変わります。

● f S :安全係数 チェンジナットに作用する荷重を計算する場合には物体の重量、運動速度によって変化する慣性力の影響などを正確に求める必要があります。一般的に往復または回転運動する機械では、常時繰返される起動停止時の衝撃などのすべてを正確に求めることは容易ではありません。従って実際の荷重が得られない場合は、経験的に得られた 表1 の安全係数(f S )を考慮して軸受を選定する必要があります。

すべり速度 V (m/min)

面圧 p(N/mm2 )

10 7 5

3

2

1 0.7 0.5

0.3

0.2

1 2 3 5 7 10 20 30 50 70 100

図1   pV値

表1   安全係数(f S )

荷 重 の 種 類 f S の下限

使用頻度の少ない静荷重のとき 1~2

一般的な一方向荷重のとき 2~3

振動・衝撃を伴う荷重のとき 4以上

チェンジナット 選定のポイント

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Page 22: チェンジナット - THK...A17-8 効率と推力およびトルク チェンジナットの摩擦係数( )の目安は0.1~0.2程度となります。摩擦係数が0.1~0.2のときの効

B17-6

● f T :温度係数 チェンジナットの温度が常温の範囲をこえると、耐焼付性および素材の強度が減少してくるので、 図2 の温度係数を動的許容トルク(T)、動的許容推力(F)に乗ずる必要があります。 注) ミニチュアチェンジナットの場合、60℃以下でご使用ください。

以上より、チェンジナットを選定する場合に、強度上からつぎの式を満足させる必要があります。 動的許容トルク(T)

fT•T PT

fS

動的許容推力(F)

fT•F PF

fS

f S : 安全係数 ( B17-5 表1 参照) f T : 温度係数 ( 図2 参照) T : 動的許容トルク (N・m) P T : 負荷トルク (N・m) F : 動的許容推力 (N) P F : 軸方向荷重 (N)

使用温度(℃)

温度係数 fT

‒20 0

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

20 40 60 80 100 120

図2   温度係数

● 表面硬さと耐摩耗性 軸の硬さはチェンジナットの耐摩耗性に大きく影響します。 図3 のように硬さが250HV以下になると摩耗が多くなります。また表面粗さはRa0.8以下が望まれます。 専用転造軸は、転造の加工硬化により表面硬さは250HV以上、表面粗さはRa0.2以下に仕上げられているので耐摩耗性に優れています。

相手硬度(HV)

摩耗量(mm)

1.1

1.0

0.9

0.8

100 200 300 400 500 600 700

0.7

0.6

0.5

図3   表面硬さと耐摩耗性

512J

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B17-7

チェンジナット

【接触面圧pの算出】 pの値はつぎのように求めます。

● 軸方向荷重が作用している場合

PF

F p = 9.8

p :軸方向荷重(P F N)による歯面の接触面圧 (N/mm 2 ) F :動的許容推力 (N) P F :軸方向荷重 (N)

● トルクが負荷している場合

p = 9.8PT

T p :負荷トルク(P T N・m)が加わった時の歯面の接触面圧 (N/mm 2 ) T :動的許容トルク (N・m) P T :負荷トルク (N・m)

【歯面すべり速度Vの算出】 Vの値はつぎのように求められます。

2• π•Do•n

103 V =

V :すべり速度 (m/min) Do :有効径(寸法表参照) (mm) n :毎分回転数 (min -1 )

n = S

R 10-3

S :送り速度 (m/min) R :リード (mm)

選定のポイントチェンジナットの選定

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B17-8

選定計算例 チェンジナットDCMB形を使用して振動を伴う軸方向荷重P F =1760Nを負荷しながら、送り速度S=10m/minで運動する場合のチェンジナットを選定します。 pV値について検討します。 まず、DCMB25T形(動的許容推力F=12700N)を仮に選定します。 接触面圧(p)を求めます。

1760 12700

PF F

p = × 9.8 = × 9.8 ≒ 1.36 N/mm2

すべり速度(V)を求めます。送り速度S=10m/minで動かすためにスクリュー軸の毎分回転数(n)は、以下となります。

n = = ≒ 136min‒1 S R × 10‒3

10 73.3×10‒3

V = = ≒ 14.0 m/min 2•π•Do•n 103

2 × π × 23.1×136 103

pV値グラフ( B17-5 図1 参照)からpの値1.36N/mm 2 に対してVは16m/min以下であれば異常摩耗は発生しないと判断されます。

つぎに動的許容推力(F)に対する安全係数(f S )を求めます。 使用条件から、温度係数 f T =1負荷荷重 P F =1760 N のため、以下となります。

fS ≦ = = 7.2fT•F

PF 1 12700 1760

荷重の種類からf S は4以上あれば強度的に満足するのでDCMB25T形を選定します。

512J

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B17-9

チェンジナット

効率と推力およびトルク チェンジナットの摩擦係数()の目安は0.1~0.2程度となります。摩擦係数が0.1~0.2のときの効率()は 表2 のようになります。 ※ 摩擦係数は潤滑や取付条件によって上記値を超える可能性がありますので、参考としてください。

表2   摩擦係数と効率 摩擦係数() 0.1 0.15 0.2 効  率() 0.82 0.74 0.67

トルクを与えると発生する推力は次式により求められます。

Fa =2•π•η•T/R 10–3

Fa :発生推力 (N) T :トルク(入力) (N・m) R :リード (mm)

また逆に推力を与えた場合の発生トルクは次式により求められます。

T =η•Fa•R 10–3/2π T :発生トルク (N・m) Fa :推力(入力) (N) R :リード (mm)

推力計算例 チェンジナットDCMB20T形において、トルクT=19.6N・mを与えたとき、発生する推力を求めます。 発生推力(Fa)の計算は、=0.2とすると 表2 より効率=0.67となります。

( ) 2×π×0.67×19.6

60 × 10-3 Fa = 2•π•η•T/ R×10-3 = ≒1370 N

トルク計算例 チェンジナットDCMB20T形において推力Fa=980Nのとき、発生するトルクを求めます。 発生トルク(T)の計算は、=0.2とすると 表2 より効率=0.67となります。

T = = = 6.27 N•m 2π

η•Fa•R×10-3 2π

0.67×980×60×10-3

選定のポイント効率と推力およびトルク

512J

Page 26: チェンジナット - THK...A17-8 効率と推力およびトルク チェンジナットの摩擦係数( )の目安は0.1~0.2程度となります。摩擦係数が0.1~0.2のときの効

B17-10

取付け 【ハウジング口元面取りについて】 チェンジナットのフランジ付け根部分は強度を増すため、すみがR形状となっています。このためハウジング内径の口元部に面取りを設けてください。

C面取り

図1

表1  ハウジング口元面取り 単位:mm

呼び形番 口元の面取り C

(最小) DCMA DCMB

8 1.2

12 1.5

15

2 17

20

25 2.5

30

35

3 40

45

50

チェンジナット 取付手順とメンテナンス

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Page 27: チェンジナット - THK...A17-8 効率と推力およびトルク チェンジナットの摩擦係数( )の目安は0.1~0.2程度となります。摩擦係数が0.1~0.2のときの効

B17-11

チェンジナット

潤滑 チェンジナットは潤滑油・グリースが塗布されていない状態で納入しますので、軸受取り付け後に適量の潤滑油・グリースを供給する必要があります。 潤滑方法につきましては、使用条件より選定してください。

【油潤滑】 チェンジナットの潤滑には油潤滑を推奨します。その方法は、油浴潤滑または滴下潤滑が有効です。油浴潤滑は、高速、重荷重あるいは外部より熱の伝達を受ける厳しい条件に適し、チェンジナットの冷却も行われるので最適な方法です。滴下潤滑は、中速または低速で、中軽荷重に適しています。潤滑油は使用条件により 表2 のように選択してください。

表2   潤滑油の選定

使用条件 潤滑油の種類

低速・高負荷・高温 粘度の高い摺動面用油またはタービン油

高速・低負荷・低温 粘度の低い摺動面用油またはタービン油

【グリース潤滑】 使用頻度の少ない低速送りの場合、軸にグリースを定期的に手塗りするかチェンジナットの給脂穴を使用して潤滑することができます。使用グリースはリチウム石けん基グリース2号を推奨します。

【ミニチュアチェンジナットの初期潤滑】 ミニチュアチェンジナットの材料は含油プラスチックですので無潤滑にて使用できます。初期潤滑を行う場合には、油潤滑またはグリース潤滑を行ってください。ただし極圧剤を大量に添加した潤滑剤は使用に適していません。

取付手順とメンテナンス潤滑

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B17-12

呼び形番の構成例 呼び形番は各形番の特長により構成が異なりますので、対応の呼び形番の構成例をご参照ください。

【チェンジナット】 ● DCMA形, DCMB形, CT形

チェンジナット の呼び形番

チェンジナットのみ

スクリュー軸の呼び形番

スクリュー軸全長(mm表示)

スクリュー軸の 加工方法の区別 (転造軸を表す)

スクリュー軸

DCMA20T CT20 T +1500L

● ●

1本のスクリュー軸に 組合わされるナットの個数

チェンジナット の呼び形番

スクリュー軸全長 (mm表示)

スクリュー軸の加工方法の区別(転造軸を表す)

チェンジナットと スクリュー軸の組合わせ

2 DCMA20 +1500L T ●

チェンジナット 呼び形番

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B17-13

チェンジナット

【取扱い】 (1) チェンジナットを落下させたり、叩いたりしないでください。けがや破損の原因となります。

また、衝撃を与えた場合、外観に破損が見られなくとも機能が損失する可能性があります。 (2) 製品を扱う場合は、必要に応じて保護手袋、安全靴等を着用して安全を確保してください。

【使用上の注意】 (1) 切り粉やクーラントなど異物の流入のないようご注意ください。破損の原因となります。 (2) 切り粉、クーラント、腐食性のある溶剤、水などが製品内部に流入するような環境下で使用され

る場合は、ジャバラまたはカバー等により製品への流入を避けてください。 (3) 切り粉などの異物が付着した場合は、洗浄した後、潤滑剤を再封入してください。 (4) 製品に位置決め部品(ピン、キー等)を無理に打ち込まないでください。摺動面に圧痕が生じ機能

を損失する原因となります。 (5) スクリュー軸の支持部とチェンジナットの芯違いや倒れがあると極端に寿命が短くなる場合が

ありますので、取付部品、組付精度には十分ご注意ください。 (6) 縦軸に使用される場合は、落下防止の安全機構を追加する等の対処をしてください。 (7) チェンジナットの使用に際しては、LMガイドやボールスプラインなどの案内要素を設けて使用

してください。破損の要因となります。 (8) 取付部材の剛性および精度が不足すると、軸受の荷重が局部的に集中し、軸受性能が著しく低下

します。したがって、ハウジングやベースの剛性・精度、固定用ボルトの強度について十分検討ください。

【潤滑】 (1) 防錆油をよく拭き取り、潤滑剤を封入してからお使いください。 (2) 性状の異なる潤滑剤を混合しての使用は避けてください。増ちょう剤が同種類のグリースでも、

添加剤などが異なることにより、お互いに悪影響を及ぼす恐れがあります。 (3) 常に振動が作用する箇所、クリーンルーム、真空、低温・高温など特殊環境下でされる場合は、仕

様・環境に適したグリースをご使用ください。 (4) 製品を潤滑する場合には、内部にグリースが入るよう慣らしストロークを数度おこなってくだ

さい。 (5) 温度によりグリースのちょう度は変化します。ちょう度の変化によってチェンジナットのトル

クも変化しますのでご注意ください。 (6) 給脂後はグリースの攪拌抵抗によりチェンジナットの回転トルクが増大する可能性があります。

必ず慣らし運転をおこない、グリースを十分なじませてから、機械の運転をおこなってください。 (7) 給脂直後は余分なグリースが周囲に飛び散る可能性がありますので、必要に応じて拭き取って

ご使用ください。 (8) グリースは使用時間とともに性状は劣化し潤滑性能は低下しますので、使用頻度に応じたグ

リース点検と補給が必要です。 (9) 使用条件や使用環境により給脂間隔が異なります。最終的な給脂間隔・量は実機にて設定願います。

チェンジナット 取扱い上の注意事項

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Page 30: チェンジナット - THK...A17-8 効率と推力およびトルク チェンジナットの摩擦係数( )の目安は0.1~0.2程度となります。摩擦係数が0.1~0.2のときの効

B17-14

(10) 油潤滑にて使用される場合、チェンジナットの取付姿勢によっては潤滑油が行き渡らないことがありますので、設計時に十分ご検討ください。

(11) ミニチュアチェンジナットの材料は含油プラスチックですので無潤滑にて使用できます。初期潤滑をおこなう場合には、油潤滑またはグリース潤滑をおこなってください。ただし、極圧剤を大量に添加した潤滑剤は使用に適していません。

【保管】 チェンジナットは、弊社の梱包および荷姿で、高温、低温、多湿を避け、水平な状態で室内に保管してください。

【廃棄】 製品は産業廃棄物として適切な廃棄処置をおこなってください。

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