トレーニングに関する医療機関および 治験依頼者へ...

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参考:GCPトレーニングが可能なe-learning ISEI-PJ ホームページへGO! GCPトレーニングに関する医療機関および 治験依頼者への実態調査 -ISEI-PJ- ~院内で行うトレーニングを無駄にしないために~ 実施医療機関/治験依頼者連携 治験の効率向上プロジェクト(ISEI-PJ) ○兵頭 紀子 1) 、浅妻 雅朗 2) 、岡田 正彦 3) 、小林 和子 4) 、小林 裕直 5) 、殿元 順子 6) 、中林 正祥 7) 松村 なるみ 8) 、南 千華子 9) 、森藤 由香 10) 1)関西医科大学附属病院、2)シミック株式会社、3)大阪共同治験ネットワーク、4)近畿大学病院、5)株式会社 新日本科学PPD、6)大阪国際がんセンター、 7)岡山大学病院、8)国立循環器病研究センター、9)大阪市立大学医学部附属病院、10)アルフレッサ ファーマ株式会社 【はじめに】 実施医療機関/治験依頼者連携 治験の 効率向上プロジェクト(ISEI-PJ)では、 実施医療機関と治験依頼者間での認識 のギャップを埋め治験の効率化に寄与 することを目的に、2012年4月より月 1回定期会合を行っている。 現在、ISEI-PJは医療機関:10名、 SMO:2名、NPO:3名、製薬企業: 7名、CRO:3名、その他:1名で活 動している。 【目的】 GCPトレーニング(以下、トレーニング)は、治験毎に治験依頼者が用 意したツールを用いて行われることが多く、重複受講が医療機関の負担 となっている。ISEI-PJでは、医療機関におけるトレーニングの実態と、 治験依頼者が医療機関に求めるトレーニングの内容、記録方法等につい て調査を行い、今後のあり方について検討したので報告する。 【方法】 2019年2月~3月に医療機関及び治験依頼者の各関係者 (いずれも1組織につき1名)に匿名条件下でWebアン ケートを実施した。 第19回 CRCと臨床試験のあり方を考える会議2019 in YOKOHAMA 演題名:GCPトレーニングに関する医療機関および 治験依頼者への実態調査 -ISEI-PJ- ~院内で行うトレーニングを無駄にしないために~ 属:関西医科大学附属病院 発表者:兵頭 紀子 実施医療機関 /治験依頼者連携 治験の効率向上プロジェクト (ISEI-PJ) 秋山琳(アストラゼネカ㈱)、浅妻雅朗(シミック㈱)、東敬宏(小野薬品工業㈱)、榎本恭子(天藤製薬㈱)、岡田正彦(大阪共同治験ネットワーク)、亀田和信(㈱ワンビシアーカイブズ)、 北澤悦子(ノバルティス ファーマ㈱)、小林和子(近畿大学病院)、 小林裕直(㈱新日本科学PPD)、 佐野敬子(パナソニック健康保険組合 松下記念病院)、 竹本哲史(アルフレッサ ファーマ㈱)、 谷口真理子(公益財団法人日本生命済生会日本生命病院)、田村祐子(㈱ビーグル)、殿元順子(大阪国際がんセンター)、 中林正祥(岡山大学病院)、長町亜耶(㈱リニカル)、兵頭紀子(関西医科大学附属病院)、松岡悦子(大阪市立大学医学部附属病院)、松村なるみ(国立循環器病研究センター)、南千華子(大阪市立大学医学部附属病院)、 森藤由香(アルフレッサ ファーマ㈱)、矢野雅也(小野薬品工業㈱)、山田真規子(大阪共同治験ネットワーク)、竹澤正行(関西医科大学附属病院)、信谷宗平(大阪共同治験ネットワーク)、松川智洋 サイト名 運営機関 費用 修了証の発行 対象GCP 相互認証 APRIN eラーニング プログラム (e APRIN) 一般財団法人 公正研究推進協会 有料 あり ICH-GCP E6(R2) 対応 TransCelerate ICR臨床研究入門 (ICRweb) 国立がん研究センター 無料 あり(有料) ICH-GCP E6(R2) 対応 TransCelerate 臨床試験のための e-Training center 日本医師会 治験促進センター 無料 あり ICH-GCP E6(R2) 対応 TransCelerate 本演題発表に関連して、開示すべきCOI関係にある企業等 はありません。 5.監査、規制当局査察等における指摘事項 非盲検調剤者のトレーニング記録がない。 治験に関与するスタッフは全てトレーニン グの受講が必要。(EMA査察 治験薬を調剤している者全員のトレーニン グ記録の提出を求められた。(依頼者監査 トレーニングを実施した記録がない 依頼者監査2.トレーニング受講対象者 ※治験国内管理人として 【結果】 回答数は医療機関47施設、治験依頼者49社であった。 医療機関のうち、トレーニングを実施しているのは 62%(29/47)であった。トレーニング記録の提示に より治験依頼者によるトレーニングを免除されることが 多いと回答した医療機関は59%(17/29)であった。 治験依頼者のすべての回答者が自社ツール以外でも受け 入れ可とするツールがあると回答した。その中でも TransCelerateのGCP Trainingが82%と最も多かった。 その他の結果については以下に示す。 ※試験にdelegateされる方 1.回答者所属内訳 3.保存/確認を必須としている記録 2.トレーニング受講対象者 ※治験国内管理人として 0 20 40 60 80 100 医療機関の長 臨床検査技師 放射線科技師 看護師 薬剤師 IRB委員 治験薬管理者 治験事務局員 CRC 治験分担医師 治験責任医師 % 医療機関 治験依頼者 ※試験にdelegateされる方 4.医療機関が利用するトレーニングツール 製薬企業 (内資系) 63.3% 製薬企業 (外資系) 20.4% CRO (外資系) 12.2% CRO (内資系) 4.1% 治験依頼者 大学病院 31.9% その他病院 27.7% 国立病院・ ナショナルセンター 25.5% 公立病院 12.8% クリニック・ 診療所 2.1% 医療機関 0 20 40 60 80 100 トレーニング資料 受講記録 受講証または 修了証 % 実施医療機関 治験依頼者:内資系 治験依頼者:外資系 【考察】 0 10 20 30 40 その他 大学病院が作成しているe-learning 製薬協のトレーニング資料 臨床試験のためのeTraining Center ICR-web eAPRIN(旧CITI Japan) 自施設または外部講師作成ツール ① 自社ツール以外のトレーニングでも治験依頼者により受け入れられる可能性があるが、 医療機関が実施したトレーニングは十分に活用されているとはいえない。 医療機関において適切なトレーニングの実施と記録の保存を行い、治験依頼者へ提 示することで、治験毎のトレーニングの重複受講が不要になり、医療機関の負担軽 減に繋がることが期待できる。 治験依頼者においても、医療機関でのトレーニング実施内容を確認し、そのトレー ニング記録を活用することで業務の効率化が図れるものと考える。 ② 監査、海外規制当局査察等において、治験薬調剤者のトレーニング受講を求められ ているが、試験にdelegateされている薬剤師の受講を必須としている医療機関は 28%と低かった。その他の治験にかかわる者のトレーニング実施率も低かったが、 EMA査察においては、すべてのスタッフのトレーニング受講を求められている。 受講対象者については、今後、各施設で検討の必要があると思われる。

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参考:GCPトレーニングが可能なe-learning

ISEI-PJ ホームページへGO!

GCPトレーニングに関する医療機関および治験依頼者への実態調査 -ISEI-PJ-

~院内で行うトレーニングを無駄にしないために~実施医療機関/治験依頼者連携 治験の効率向上プロジェクト(ISEI-PJ)

○兵頭 紀子1)、浅妻 雅朗2)、岡田 正彦3)、小林 和子4)、小林 裕直5)、殿元 順子6)、中林 正祥7)、松村 なるみ8)、南 千華子9)、森藤 由香10)

1)関西医科大学附属病院、2)シミック株式会社、3)大阪共同治験ネットワーク、4)近畿大学病院、5)株式会社 新日本科学PPD、6)大阪国際がんセンター、

7)岡山大学病院、8)国立循環器病研究センター、9)大阪市立大学医学部附属病院、10)アルフレッサ ファーマ株式会社

【はじめに】

実施医療機関/治験依頼者連携 治験の

効率向上プロジェクト(ISEI-PJ)では、

実施医療機関と治験依頼者間での認識

のギャップを埋め治験の効率化に寄与

することを目的に、2012年4月より月

1回定期会合を行っている。

現在、ISEI-PJは医療機関:10名、

SMO:2名、NPO:3名、製薬企業:

7名、CRO:3名、その他:1名で活

動している。

【目的】

GCPトレーニング(以下、トレーニング)は、治験毎に治験依頼者が用

意したツールを用いて行われることが多く、重複受講が医療機関の負担

となっている。ISEI-PJでは、医療機関におけるトレーニングの実態と、

治験依頼者が医療機関に求めるトレーニングの内容、記録方法等につい

て調査を行い、今後のあり方について検討したので報告する。

【方法】

2019年2月~3月に医療機関及び治験依頼者の各関係者

(いずれも1組織につき1名)に匿名条件下でWebアン

ケートを実施した。

第19回 CRCと臨床試験のあり方を考える会議2019in YOKOHAMA

演題名:GCPトレーニングに関する医療機関および

治験依頼者への実態調査 -ISEI-PJ-

~院内で行うトレーニングを無駄にしないために~

所 属:関西医科大学附属病院

発表者:兵頭 紀子

実施医療機関/治験依頼者連携 治験の効率向上プロジェクト (ISEI-PJ)

秋山琳(アストラゼネカ㈱)、浅妻雅朗(シミック㈱)、東敬宏(小野薬品工業㈱)、榎本恭子(天藤製薬㈱)、岡田正彦(大阪共同治験ネットワーク)、亀田和信(㈱ワンビシアーカイブズ)、 北澤悦子(ノバルティス ファーマ㈱)、小林和子(近畿大学病院)、小林裕直(㈱新日本科学PPD)、 佐野敬子(パナソニック健康保険組合 松下記念病院)、 竹本哲史(アルフレッサ ファーマ㈱)、 谷口真理子(公益財団法人日本生命済生会日本生命病院)、田村祐子(㈱ビーグル)、殿元順子(大阪国際がんセンター)、中林正祥(岡山大学病院)、長町亜耶(㈱リニカル)、兵頭紀子(関西医科大学附属病院)、松岡悦子(大阪市立大学医学部附属病院)、松村なるみ(国立循環器病研究センター)、南千華子(大阪市立大学医学部附属病院)、森藤由香(アルフレッサ ファーマ㈱)、矢野雅也(小野薬品工業㈱)、山田真規子(大阪共同治験ネットワーク)、竹澤正行(関西医科大学附属病院)、信谷宗平(大阪共同治験ネットワーク)、松川智洋

サイト名 運営機関 費用 修了証の発行 対象GCP 相互認証

APRIN eラーニングプログラム (e APRIN)

一般財団法人公正研究推進協会

有料 ありICH-GCP E6(R2)

対応TransCelerate

ICR臨床研究入門(ICRweb)

国立がん研究センター 無料 あり(有料)ICH-GCP E6(R2)

対応TransCelerate

臨床試験のためのe-Training center

日本医師会治験促進センター

無料 ありICH-GCP E6(R2)

対応TransCelerate

本演題発表に関連して、開示すべきCOI関係にある企業等

はありません。

5.監査、規制当局査察等における指摘事項

非盲検調剤者のトレーニング記録がない。

治験に関与するスタッフは全てトレーニン

グの受講が必要。(EMA査察 )

治験薬を調剤している者全員のトレーニン

グ記録の提出を求められた。(依頼者監査)

トレーニングを実施した記録がない。

(依頼者監査)

2.トレーニング受講対象者

※治験国内管理人として【結果】

回答数は医療機関47施設、治験依頼者49社であった。

医療機関のうち、トレーニングを実施しているのは

62%(29/47)であった。トレーニング記録の提示に

より治験依頼者によるトレーニングを免除されることが

多いと回答した医療機関は59%(17/29)であった。

治験依頼者のすべての回答者が自社ツール以外でも受け

入れ可とするツールがあると回答した。その中でも

TransCelerateのGCP Trainingが82%と最も多かった。

その他の結果については以下に示す。

※試験にdelegateされる方

1.回答者所属内訳

3.保存/確認を必須としている記録2.トレーニング受講対象者

※治験国内管理人として

0 20 40 60 80 100

医療機関の長

臨床検査技師

放射線科技師

看護師

薬剤師

IRB委員

治験薬管理者

治験事務局員

CRC

治験分担医師

治験責任医師

%

医療機関

治験依頼者

※試験にdelegateされる方

4.医療機関が利用するトレーニングツール

製薬企業(内資系)

63.3%

製薬企業(外資系)

20.4%

CRO※

(外資系)12.2%

CRO※

(内資系)4.1%

治験依頼者

大学病院31.9%

その他病院27.7%

国立病院・ナショナルセンター

25.5%

公立病院12.8%

クリニック・診療所2.1%

医療機関

0 20 40 60 80 100

トレーニング資料

受講記録

受講証または

修了証

%

実施医療機関

治験依頼者:内資系

治験依頼者:外資系

【考察】

0 10 20 30 40

その他

大学病院が作成しているe-learning

製薬協のトレーニング資料

臨床試験のためのeTraining Center

ICR-web

eAPRIN(旧CITI Japan)

自施設または外部講師作成ツール

① 自社ツール以外のトレーニングでも治験依頼者により受け入れられる可能性があるが、

医療機関が実施したトレーニングは十分に活用されているとはいえない。

医療機関において適切なトレーニングの実施と記録の保存を行い、治験依頼者へ提

示することで、治験毎のトレーニングの重複受講が不要になり、医療機関の負担軽

減に繋がることが期待できる。

治験依頼者においても、医療機関でのトレーニング実施内容を確認し、そのトレー

ニング記録を活用することで業務の効率化が図れるものと考える。

② 監査、海外規制当局査察等において、治験薬調剤者のトレーニング受講を求められ

ているが、試験にdelegateされている薬剤師の受講を必須としている医療機関は

28%と低かった。その他の治験にかかわる者のトレーニング実施率も低かったが、

EMA査察においては、すべてのスタッフのトレーニング受講を求められている。

受講対象者については、今後、各施設で検討の必要があると思われる。