トレプロスト 持続皮下投与療法 マニュアル · 6 はじめに 薬剤...

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トレプロスト ® 持続皮下投与療法 マニュアル トレプロスト ® 在宅持続皮下投与療法を行う 患者とその家族の皆様へ [監修] 東京大学医学部附属病院 重症心不全治療開発講座 / 循環器内科 特任准教授 波多野 先生 TOP-8200R

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トレプロスト®

持続皮下投与療法 マニュアルトレプロスト®の

在宅持続皮下投与療法を行う 患者とその家族の皆様へ

[監修]

東京大学医学部附属病院重症心不全治療開発講座 /循環器内科 特任准教授

波多野 将 先生

TOP-8200R版

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Contents

この冊子の使い方 3

トレプロスト持続皮下投与療法 4

在宅療法で特に注意しなければならないこと 5

用意する薬剤および用具について 6

使用済みのビン、シリンジ、注射針などの廃棄について 8

入院治療から在宅療法までの流れ 9

3はじめに

1

2

手洗い 11

作業台の消毒 12

10手洗いと消毒

START

Ⅰ.

体調の異変 55

留置針・チューブのトラブル 55

警報・警告が発生したときの処置 56

注入単位をµLに設定する(必要時) 62

連絡先 63

55緊急時の対応などⅣ.

13投与の準備と投与開始Ⅱ.

1

2

10

9

8

7

6

5

4

3

針刺し 14

薬剤のシリンジへの採取 16

シリンジとチューブの接続 20

ポンプの設定 22

シリンジのポンプへのセット 26

チューブと留置針の接続 28

注入開始 30

注入量変更 32

総注入量の確認 36

使用後のポンプの保管と使用済み用具の廃棄 37

1

2

7

6

5

4

3

治療をはじめる前に 41

注射部位の選択 42

注射部位の痛みと対策 44

注射部位の皮膚トラブルと対策 46

注射部位の感染 50

その他の副作用 51

治療を続けていくために 52

41副作用対策と自己管理Ⅲ.

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はじめに

3

はじめに

この冊子の使い方

 この冊子は、在宅療法を正しく安全に行えるように薬液の準備やポンプの操作方法などを図解しながら、できるだけ実際の手順に則して説明しています。 在宅療法開始後は、この冊子をいつでも見られるところに置いて活用していただくとともに、家族や介助をされる方にも読んでいただくようにしてください。

この冊子の目的1

 この冊子は、一般的な手順を掲載しています。医療機関によって手順が一部異なる場合がありますが、医師・看護師などの医療従事者の指示に従ってください。また、異なる箇所や注意すべき箇所は、この冊子に書き込んでください。 また、持続皮下投与療法は自己管理が大切ですので、注射部位の痛みや皮膚トラブル、日常生活における注意点をしっかりと確認し、医療従事者と相談しながらご自身にあった対処法を見つけていってください(41ページ「Ⅲ.副作用対策と自己管理」をご参照ください)。

医療従事者の指示に従い、わからないことは入院期間中に確認しておきましょう

2

 巻末に医療機関や在宅医療支援会社の連絡先を記載できるようにしています。この冊子を受け取られたら、予期せぬ事態に備えて連絡先を書きとめておきましょう。

連絡先を書きとめておきましょう3

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4

はじめに

 トレプロスト持続皮下投与療法では、留置針と呼ばれる針を皮下に刺し、そこからチューブで携帯型のポンプをつなぎます。ポンプから一定の速度で送り出された薬液は、チューブ、留置針を通り、持続的に皮下へ注入されます。

トレプロスト持続皮下投与療法

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5

 薬液の汚染や注射部位の感染予防のため、トレプロストの在宅持続皮下投与療法を行う際は、清潔な操作を心がけてください。清潔な操作を行うために、手洗いや作業台の消毒をていねいに行いましょう。また、薬液の調製やシリンジ、チューブおよび留置針の交換を行う際にも、常に清潔な操作に注意を払うようにしてください。

清潔な操作を心がけましょう1

トレプロストの取り扱いについては以下を守ってください。

• 調製後は72時間以内に投与を終了してください。

• 薬液交換時に、古い薬液に新しい薬液を追加しないでください。

• トレプロストの薬剤ビンは複数回使用します。使い始めたビンは30日以内に使用してください。

• 乳幼児、小児の手の届かないところで、直射日光や湿気を避け、清潔な場所に保管してください。

• 薬液が誤って皮膚についてしまった場合は、すぐに流水で十分に洗い流してください。異常がある場合には、医師に相談してください。

薬剤の取り扱い2

在宅療法で特に注意しなければならないこと

作業頻度の目安3

【注意】作業頻度は注入量によって異なりますので、必ず主治医に確認してください。

薬液の調製とポンプおよびシリンジの交換 3日に1回

チューブおよび留置針の交換 2~ 3日に1回

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6

はじめに

薬剤

 薬剤は次の4種類があります。

 トレプロスト®注射液20mg

 トレプロスト®注射液50mg

 トレプロスト®注射液100mg

 トレプロスト®注射液200mg

 使用する薬剤の種類および投与量は患者さんによって異なり、また病状によって変わることがあります。主治医の指示に従って使用してください。

トレプロスト®注射液(薬剤)

用意する薬剤および用具について

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携帯型ポンプ、留置針および衛生用品など

7

 株式会社トップ製のTOP-8200(型式番号TOP-8200R)を使用します。ポンプ本体に専用のシリンジを取り付けて使用します。ポンプは2台以上用意し、交互に使用します。電池は、単4アルカリ乾電池1本を使用します。

※本マニュアルは、型式番号TOP-8200Rのポンプを使用した場合について説明しています。

トップ携帯ポンプ用留置針(チューブとセットになっている)

トップシリンジ携帯シリンジポンプ専用

(採液用の注射針とセットになっている)

チューブ

留置針

留置針用カバー

接続キャップ保護カバー

単4アルカリ乾電池

ステンレストレイ

注射針用廃棄容器

ポンプ

手洗い用せっけん

ペーパータオルまたは清潔なタオル アルコール消毒綿

本マニュアルでは留置針用カバーは使用しません。

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はじめに

使用済みのビン、シリンジ、注射針などの廃棄について

 薬液の調製や用具の交換で使用済みとなった薬剤のビン、シリンジ、注射針などの医療用具および注射針用廃棄容器の廃棄方法は地域ごとに異なります。医療機関から指示された方法に従って処分してください。

• 薬剤のビン• シリンジ• 注射針(専用の廃棄容器に入れる)• チューブ• 留置針(専用の廃棄容器に入れる)

 次のものは家庭で廃棄してください。廃棄方法は自治体によって異なりますので、お住まいの自治体の方法に従って廃棄してください。

• アルコール消毒綿• シリンジなどを包装した袋• アルカリ乾電池

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9

入院治療から在宅療法までの流れ

 トレプロストによる肺動脈性肺高血圧症の治療は長期に及びます。入院下で治療を開始し、症状が安定した後に、自己投与方法のトレーニングを完了することにより、在宅療法に移行することができます。

※在宅療法では、在宅医療支援会社によるサポートも可能です。主治医に確認してください。

退院後、定期的に通院する

患者自らがトレプロスト持続皮下投与療法の自己管理が十分に可能で在宅療法が可能な状態にあると主治医が判断

清潔な操作、薬液の調製、携帯型ポンプの操作方法など自己投与方法をトレーニングし、習得する

入院加療により、症状が改善および安定し、在宅療法が可能な状態にあると主治医が判断

入院し、トレプロスト持続皮下投与療法を開始する

主治医と患者および家族などの介助者が在宅療法について話し合い、十分理解し、在宅療法を希望する場合

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1010

1 手洗い2 作業台の消毒

Ⅰ. 手洗いと消毒

準備するもの

【注意】● 作業場所は湿気や汚れの少ない専用の部屋などが望ましく、日常的によく清掃しておいてください。

● 作業中に埃が立たないようエアコンはあらかじめ止めてください。ペットを飼っている場合、少なくとも作業中はペットが入ってこないようにしてください。

● 作業台(テーブル・ステンレストレイなど)は作業専用のものを用意し、食べ物や飲み物を置かないようにしてください。

事前準備 ・爪を切る ・時計や指輪をはずす・長い髪は束ねる ・マスクを着用する・衣服の袖口は肘までしっかりとまくり上げる

ペーパータオルまたは清潔なタオル手洗い用せっけん

アルコール消毒綿 ステンレストレイ

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手洗いと消毒

1111

1 手洗い

手を洗います。1

流水でよく洗い流した後、ペーパータオルまたは清潔なタオルで拭きます。

2

【注意】洗い終わった手で蛇口を直接触らないようにしてください。

洗い終わった後は顔や髪の毛など、体や周囲のものに触れないように注意しましょう。

3

 手洗いは感染を防ぐために重要な作業ですので、せっけんを使い十分な流水で洗いましょう。

手や指の汚れを流水で流してから、せっけんをよく泡立てて手をもみ洗いします。

1

指先をもう片方の手のひらでもみ洗いします。

5

手の甲をもう片方の手のひらで洗います。

2

手首までよく洗います。

6

親指をもう片方の手で包んで洗います。

4

指と指を交差させ指の側面と付け根をよく洗います。

3

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1212

 作業台はアルコール消毒綿で、中心から外側へ、円を描くようにていねいに拭きます。2回拭いた後自然乾燥させます。 乾燥させるために、口で吹いたり、手であおいだりしないでください。

2 作業台の消毒

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投与の準備と投与開始

13

12345678910

針刺し薬剤のシリンジへの採取シリンジとチューブの接続ポンプの設定シリンジのポンプへのセットチューブと留置針の接続注入開始注入量変更総注入量の確認使用後のポンプの保管と使用済み用具の廃棄

準備するものあらかじめ手洗いと作業台の消毒をしてから始めましょう。

トレプロスト®注射液(薬剤)

Ⅱ. 投与の準備と投与開始

トップシリンジ携帯シリンジポンプ専用

(採液用の注射針とセットになっている)ポンプ

単4アルカリ乾電池 注射針用廃棄容器アルコール消毒綿

トップ携帯ポンプ用留置針(チューブとセットになっている)

チューブ

留置針

接続キャップ保護カバー

留置針用カバー

本マニュアルでは留置針用カバーは使用しません。

ステンレストレイ

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14

1

おなかなどの針を刺す部位を露出させます。針刺し部分をアルコール消毒綿でよく拭き自然乾燥させます。

針を刺す部位を消毒する

1 針刺し

【注意】● 消毒した部位に手が触れないように注意してください。

● 垂直に刺さないと針が曲がる可能性があります。

留置針を皮膚に穿せん

刺し

する3

(1) 利き手と反対の手で針刺し部位の皮膚をつまんで緊張させ、留置針を垂直に一気に押し込みます。

留置針の剥はく

離り し

紙を全てはがす2

固定テープの剥離紙を全てはがします。

※例示の画像では右手を利き手としています。

使用するもの留置針、アルコール消毒綿

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【注意】● 針の刺さりが不十分だと、留置針が浮いて針が曲がる可能性があります。

● 留置針がしっかりと刺さっていることを確認してから、つまんでいる手を離しましょう。

(3) 利き手と反対の手で、外針基(透明な部分)をしっかり押さえ、利き手で、留置針中央の青い部分をまっすぐ引き抜きます。一度上に引き、「カチッ」と音が鳴ったら、根元の細い筒の部分に持ち替えて抜くと安全です。

【注意】テープの固定が不十分だと、留置針が抜けてしまうおそれがあるので、しっかり固定されているか確認しましょう。

(2) 皮膚をつまんでいた手を離し、固定テープを皮膚に貼ります。

針(テフロン針)が皮下に留置されます。

外針基

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16

使用するもの

シリンジに針を取り付ける1

空気を必要な薬剤量(mL)の目盛りまで吸い込む2

シリンジと針の入った包装を開封し、シリンジと針を取り出します。半透明のキャップが付いたまま、針をシリンジの先にねじこみます。

2 薬剤のシリンジへの採取

【注意】針を取り付ける際シリンジの先端に手を触れないように注意してください。

シリンジの押お し こ

子(白い不透明なプラスチック部分)を一杯まで押しこみます。次に押子を引いて、必要な薬剤量(mL)の目盛り位置でとめます。

【注意】押子は末端の突き出した部分以外は手を触れないでください。

トレプロスト注射液の薬剤ビン、トップシリンジ(針、シリンジ)、アルコール消毒綿、ステンレストレイ(消毒済)

※これらの作業はステンレストレイの上で行ってください。

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薬剤のキャップを取りはずす3

薬剤のビンを固定し、キャップを取りはずします。

【注意】キャップをはずすと現れるゴム栓部分には手を触れないでください。

ゴム栓をアルコール消毒綿で消毒する4

ゴム栓(中央部の円の部分)をアルコール消毒綿で消毒し、自然乾燥させます。

針のキャップを抜く5

半透明のキャップをまっすぐ抜きます。キャップはそのまま作業台に置いておきます(後で使用します)。

【注意】針を手に刺さないよう、また針に触れないよう注意してください。

使用する薬剤のビンが2回目以降の場合はこの作業はありません。

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薬剤のビンを上にして薬剤をシリンジに移しとる7

薬剤のビンの底が上を向くように持ち、針が薬剤の中にあることを確認します。押子をゆっくりと元の位置に引いて、薬剤をシリンジに移します。

【注意】● 針を奥まで刺しすぎていると、薬剤ではなく空気を吸ってしまいますので、注意しましょう。

● 薬剤を泡立てないようにゆっくりと行ってください。

● 押子は末端の突き出した部分以外は手を触れないでください。

● 消毒したゴム栓や針に触れないよう注意してください。

薬剤のビンにシリンジの針を刺し入れる6

【注意】● 消毒したゴム栓に触れないよう注意してください。

● 針は垂直に刺し入れてください。● ゴム栓への刺し入れが2回目以降の場合、同じ箇所を避けて刺し入れてください。

シリンジを針が下になるように持ちます。薬剤を作業台の上にしっかり固定し、針をゴム栓中央部に垂直に刺し入れます。押子をゆっくり押して、中の空気を全部薬剤のビンの中に入れます。

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針にキャップを取り付ける9

【注意】シリンジ内に空気が残っている場合は、空気を押し出すようにしましょう。

キャップを針ですくい上げ、外れないように押し込みます。キャップを取り付けたシリンジは、そのまま作業台に置きます。

薬剤のビンから針を抜く8

薬剤のゴム栓が上を向くように戻してから、針を抜きます。薬剤ビンはそのまま置いておきます。

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薬剤を採取したシリンジの針を、半透明のキャップごとねじってはずします。針を外したシリンジは、清潔なトレイの上に置きます。

チューブ先端の青色の保護栓を、ねじってはずします。

薬剤を採取したシリンジの針をキャップごとはずす1

チューブの保護栓をはずす2

3 シリンジとチューブの接続

【注意】シリンジを接続する部分や接続キャップの内側に手が触れないよう注意してください。

【注意】チューブを接続する部分に手やトレイが触れないよう注意してください。

使用するもの薬剤を採取したシリンジ、チューブ、接続キャップ保護カバー、ステンレストレイ

※これらの作業はステンレストレイの上で行ってください。

チューブ

保護栓接続キャップ保護カバーロックリング

接続キャップ

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チューブの先端をシリンジの先にねじこんで接続し、接続部に緩みがないことを確認します。

チューブとシリンジを接続する3

手動でチューブに薬液を満たす操作(プライミング)を行う4

シリンジの押子を押し、チューブの先端から薬液が出るまで満たします。

接続キャップにカバーをする5

接続キャップ保護カバーに接続キャップをまっすぐ挿入し、ロックリングを時計回りに止まるまで回転させます。

【注意】留置針に接続する部分に手やトレイが触れないよう注意してください。

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4 ポンプの設定

ポンプに電池を入れる1

電池のプラス側(“+”のマーク

がある側)が奥に入るように、

電池を入れます。

電池カバーを取り付けた後、

硬貨などを使用して、カバーを

時計回りに回しロックします。

例示の画像は現在日時を2018年12月2日8:20に統一し、注入量を18.0µL/h(マイクロリットル/時間)に設定しています。

電源を入れる2

キーを2秒以上押します。

「ピー」という音や振動ととも

に電源が入り「動作インジケー

ター」が赤く点灯し、画面が表

示されます。

【注意】電池を入れてからボタン操作ができるまで(緑色の動作インジケーターが点滅するまで)、2~ 3分程度時間がかかる場合があります。

電源が入ると、自動的にセルフチェックが行われます。表示される画面で「閉塞圧設定」が「低」であることを確認してください。セルフチェックが終了すると、日時設定画面が表示されます。

赤色で点灯

ピーと鳴り、振動

動作インジケーター

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日時を設定する3

日時設定画面で キー

を押して設定したい項目を選択

し、 キーを押します。選択

枠が点滅したら、 キー

を押して日時を設定し、

キーを押します。設定後、“確定”

を選択し キーを押すと、待

機画面が表示されます。

待機画面で単位が「µL/h」であることを確認してください。「U/h」と表示されている場合は、62ページを参照して単位を「µL/h」に設定してください。

上下キー 数値入力時、項目の切り替えを行います。

決定キー 選択および設定された項目の決定を行います。

戻る/消音キー 前画面に戻ります。また、警告・警報音を止めます。

操作キーについて

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注入量を設定する4

(1)待機画面で を選択し、

キーを押します。

(2)MENU画面で“基礎注入”を

選択し、 キーを押します。

(3)パターン選択画面で“A”を

選択し、 キーを押します。

(4)パターンAの設定項目選択

画面で“設定”を選択し、

キーを押します。

トレプロストによる肺動脈性肺高血圧症の治療では、通常、複数のパターンを使用することはありません。

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(5)設定画面で キーを押す

と“●●.●µL/h”が点滅し

ます。

(7)設定したパターンと、24時間

の注入量が表示されること

を確認します。

(8)設定完了画面の表示後、パ

ターンAの設定項目選択画

面に戻ります。“セット”を選

択して キーを押し、待機

画面に戻ります。

(6) または キーで時間

当たりの注入量を設定し、

キーを押します。注入量の選

択枠の点滅が点灯に変わるこ

とを確認します。“確定”を選択

し、 キーを押します。

【注意】 注入量は医師の指示どおりに正しく設定してください。

【注意】 ● 現在セットされているパターンが待機画面に表示されます。● 待機画面に表示されたパターンおよび注入量が、正しく設定されているか確認してください。

0:00の注入量のみを設定することで、24時間一定の注入量が設定されます。

点滅

点灯

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26

5 シリンジのポンプへのセット

ポンプのドアロックレバーを

矢印の方向に移動させ、ドア

を開きます。

シリンジをセットする2

ポンプのドアを開く1

フランジ

(1)クラッチレバーをはずして上

にもちあげます。

(2)チューブを接続したシリンジ

のフランジを溝にはめこむ

ようにして、ポンプに取り付

けます。

(3)シリンジの押子にクラッチを押し当てると突起部が突出します。

【注意】 窓から目盛りが見やすくなるようにシリンジの向きを調節してからポンプに取り付けてください。

解錠ラベル

ドアロックレバー

クラッチレバー

ドアが解錠されると、オレンジ色の解錠ラベルが現れます。

押す

突起部 突起部が突出する

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ドアを閉め、ドアロックレバー

を矢印の方向に移動させ、ド

アをロックします。

ドアを閉める3

(4)突起部が突出した状態のままクラッチレバーを下ろし、シリンジの

押子をロックします。

【注意】 クラッチレバーが、シリンジの押子を完全に保持していることを確認してください。

クラッチレバー

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早送り(ポンプによるプライミング)を行う1

6 チューブと留置針の接続

(1)待機画面で マークを

選択し、 キーを押します。

(3)早送り中画面が表示され、早

送りが開始されます。

(2)早送り画面で“スタート”が選

択されていることを確認し、

キーを押します。

スタートせずに放置すると、10秒後に待機画面に戻ります。待機画面に戻った場合は、(1)から再度行います。

画面には早送りされた薬液量が表示されます。

【注意】薬液には触れないでください。

(4)チューブ先端の針先から薬液

が出てきたら“ストップ”が選

択されていることを確認し、

キーを押し早送りを停止し

ます。

【注意】シリンジの交換やドアを開けた場合は、必ずポンプでの早送りを行ってください。

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チューブと留置針を接続する2

(5)早送り画面で キーを押し

て、待機画面に戻ります。

【注意】無理に押し込もうとすると管が曲がる可能性があります。

(1)留置針をアルコール消毒綿で

消毒します。

(2)チューブ先端のロックリングを

反時計回りに回転させ、接続

キャップ保護カバーを外します。

接続キャップの●印と留置針

の固定テープの●印を合わせ

るように接続キャップを外針

基にまっすぐ挿入します。

(3)軽く押しこみながら、接続

キャップの●印を固定テープの

■まで時計回りに回転させ、接

続キャップを留置針本体に接続

します。

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7 注入開始

注入を開始する1

注入開始を確認する2

待機画面で を選択し、キーを押します。注入が開

始されます。

注入中画面が表示され、注入開

始と同時に が順次点灯し、

と が と

に変わり、動作インジケーターが緑に点滅することを

確認します。

薬液残量は自動認識されますので、残量設定は行いません。

【注意】注入開始時にはポンプの動作音を確認することを心がけてください。

緑色で点滅

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キーロックをかける3

(1)注入中画面にて、 キーを

押すと、ロック確認画面が表

示されます。

(2)“キーロック”を選択し、

キーを押すと、キーロックがか

かります。

注入開始時は自動でキーロックされませんので、この操作でキーロックをかける必要があります。

ロック確認画面で“戻る”を選択する、または7秒経過すると、キーロックがかからずに注入中画面に戻ります。注入中画面において30秒間キー操作が行われないと画面が消灯し、同時にキーロックがかかります。

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8 注入量変更

注入を停止する1

(1)いずれかのキーを押し、キー

ロック解除画面を表示します。

(2)“ロック解除"を選択し、

キーを押すと、キーロックが解

除されます。

(3)操作項目から、 を押し

て を選択し、 を押します。

(4)注入が停止し、操作項目の

と が とに変わったことを確認

します。

ここでは注入量を18.0µL/hから20.0µL/hに変更しています。

【注意】注入中は、注入量を変更することはできません。

画面が消えている場合は、いずれかのキーを押すと注入中画面が表示されます。

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33

(1)MENU画面で“基礎注入”を選

択し、 キーを押します。

(2)パターン選択画面で“A”を選択

し 、 キーを押します。

(3)パターンAの設定項目選択

画面で“設定”を選択し、

キーを押します。

(4)設定画面で キーを押すと

“●●.●µL/h”が点滅します。

注入量を設定する2

点滅

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(5) または キーで時間当

たりの注入量を設定し、

キーを押します。注入量の選

択枠の点滅が点灯に変わるこ

とを確認します。“確定”を選

択し、 キーを押します。

(6)設定したパターンと、24時間の

注入量が表示されることを確

認します。

(7)設定完了画面の表示後、パ

ターンAの設定項目選択画面

に戻ります。“セット”を選択し

て キーを押し、待機画面

に戻ります。

【注意】注入量は医師の指示どおりに正しく設定してください。

【注意】● 現在セットされているパターンが待機画面に表示されます。

● 待機画面に表示されたパターンおよび注入量が、正しく設定されているか確認してください。

点灯

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待機画面で を選択し、 キー

を押します。注入が開始されます。

注入中画面が表示され、注入開始と同時に が順次点灯し、 と が

と に変わり、動作インジケーターが緑に点滅することを確認します。

注入中画面にて、 キーを押すと、

ロック確認画面が表示されます。

“キーロック”を選択し、 キーを押す

と、キーロックがかかります。

注入を開始する3

注入開始を確認する4

キーロックをかける5

薬液残量は自動認識されますので、残量設定は行いません。

【注意】注入開始時にはポンプの動作音を確認することを心がけてください。

注入開始時は自動でキーロックされませんので、この操作でキーロックをかける必要があります。

“戻る”を選択する、またはロック確認画面表示後7秒経過すると、キーロックがかからずに注入中画面に戻ります。注入中画面において30秒間キー操作が行われないと画面が消灯し、同時にキーロックがかかります。

緑色で点滅

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9 総注入量の確認

(1)MENU画面で、 を押し

て、“ヒストリー”を選択し、

を押します。

(3)総注入量履歴画面が表示され

ます。

ヒストリー機能により、1日の総注入量履歴を確認できます。ヒストリー画面は、待機中でも、注入中でも表示できます。

(2)ヒストリー画面で、 を

押して、“ 総注入量”を選択し、

を押します。

● 総注入量に早送り量は含まれません。

● 注入中に電池を抜いてしまうと、その日の総注入量が正しく記録されません。

● その日の0時からの総注入量が表示されます。また、画面を

キーで送ることで、過去90日分の履歴を確認できます。

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10 使用後のポンプの保管と使用済み用具の廃棄

注入を停止する1

(1)いずれかのキーを押し、キー

ロック解除画面を表示します。

(2)“ロック解除"を選択し、

キーを押すと、キーロックが解

除されます。

(3)操作項目から、 を押し

て を選択し、 を押します。

(4)注入が停止し、操作項目の

と が とに変わったことを確認

します。

画面が消えている場合は、いずれかのキーを押すと注入中画面が表示されます。

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ポンプの保管3

【注意】● 長期間(1ヵ月以上)使用せずに保管する場合は、漏液による端子の破損を防ぐため、忘れずに電池を取り外してください。

● 電池を取り外すときは、必ず先に電源を切ってください(直接電池を取り外して電源を切った場合、内部異常アラームが鳴ることがありますが故障ではありません)。

使用を終了し、ポンプを保管する。

ポンプの電源を切る2

(1)MENU画面で、 を押し

て、“電源OFF”を選択し、 を

押します。

(3)画面が消灯し、電源が切れたこ

とを確認します。

【注意】注入中は電源を切ることはできません。

(2)電源OFFの選択画面で“YES”

を選択し、 を押します。

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薬剤の保管4

薬剤のビンに薬剤が残っている場合は、次回使用するので保管してください。

【注意】● トレプロストの薬剤ビンは複数回使用します。使い始めたビンは30日以内に使用してください(使い始めた日を薬剤ビンに記入しておきましょう)。

● 乳幼児、小児の手の届かないところで、直射日光や湿気を避け、清潔な場所に保管してください。

使用済み用具の廃棄5

以下の医療用具の廃棄方法は地域ごとに異なります。医療機関から指示された方法に従って処分してください。

 ● 薬剤のビン ● シリンジ ● 注射針(専用の廃棄容器に入れる) ● チューブ ● 留置針(専用の廃棄容器に入れる)

以下のものは家庭で廃棄してください。廃棄方法は自治体によって異なりますので、お住まいの自治体の方法に従ってください。 ● アルコール消毒綿 ● シリンジなどを包装した袋 ● アルカリ乾電池

【注意】注射針および留置針は専用の注射針用廃棄容器に入れて処理してください。

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副作用対策と自己管理

41

Ⅲ. 副作用対策と自己管理

1 治療をはじめる前に トレプロスト持続皮下投与療法は、入院して治療を開始しますが、主治医の判断と患者さんの意志によって、自宅でも治療を継続することができます。

 トレプロスト持続皮下投与療法を継続しながら、肺動脈性肺高血圧症とうまく付き合っていくためには、以下の3つのことが必要です。

病気と治療についてよく理解すること

● 主治医の先生の話を聞き、わからないこと、不安なことは相談しましょう。

この治療を受けるという意志をもつこと

● 治療をしてどうなりたいか、何をしたいかなど具体的な目標をもちましょう。

きちんと自己管理をすること

● トレプロスト持続皮下投与療法について正しい手順を身につけましょう。

● 日々の体調を知り、管理することも治療の一つです。体調の変化や生活について毎日観察をし、記録しましょう。気になることがあった場合には主治医に相談しましょう。

● 日常生活の中に治療をうまく組み込むことが大切です。生活の中での少しの工夫が継続の力になります。

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2 注射部位の選択 注射部位の選択は、自己注射が容易で、注射部位の観察がしやすく外用薬が使いやすい部位にしましょう。針を刺すのに適している場所は人によって異なります。ドライカテーテル法を試してみることも一つです。

 主治医や看護師などの医療従事者に相談し、ご自身で確認しながら、皮下投与を続けられる、自分に合った場所を探してみましょう、(留置針を刺す方法については14ページをご参照ください) 。

● 留置針を刺したときの痛みが比較的少ない

● 手が届く範囲で管理がしやすい

● 留置針を刺しているところや皮膚の状態が観察しやすい

● 介助者が留置針を刺す場合には、介助者が針を刺しやすい

● 座ったときにしわになる場所

● 赤くなっている場所

● 傷の周囲や傷跡が残っている場所

● 硬くなっている場所

● 膨らんでいる(むくんでいる)場所

● ベルトなどがあたる場所

● 汗をかきやすい場所

● 動きが多い場所

● 衣服の影響を受けやすい場所

留置針を刺す場所を判断するポイント

避けるべき場所

ドライカテーテル法

ドライカテーテル法とは、薬剤を投与する24~ 48時間前にあらかじめ留置針を刺しておく方法です。ドライカテーテル法は注射に適さない場所を判断する方法の一つであり、この状態で痛みを感じる場所は注射に適していない可能性があります。留置針を刺したときに強い痛みやしびれを感じたら、直ちに留置針を抜き、部位を変えましょう。

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注射部位の例

〈 正 面 〉

〈 背 面 〉

わき腹の下側

太もも

おなか

おしりの上側

二の腕の背中側

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3 注射部位の痛みと対策

 国内の治験においてトレプロストの持続皮下投与を受けた患者さん(31人)の全員に、注射部位の痛みや何らかの注射部位の反応(赤くなる、はれる、熱くなる、硬くなる、かゆくなるなど)が発現しました。

 トレプロストの注射部位の痛みに関しては、発現のしくみが明らかになっておらず、個人の感受性が大きく影響し、患者さんごとに有効な対策が異なると考えられています。そのため、医療従事者と相談しながら、ご自分に合った方法を見つけましょう。

 痛みについては以下のようなことがいわれています。

注射部位の痛みと注射部位の反応の発現状況(注射開始から12週間)

国内でトレプロストの持続皮下投与を受けた患者さん(31人)発現人数(%)

事象名 発現頻度

注射部位の痛み 31(100.0)

注射部位の反応

 注射部位が赤くなる 31(100.0)

 注射部位がはれる 31(100.0)

 注射部位が熱くなる 24(77.4)

 注射部位が硬くなる 10(32.3)

 注射部位がかゆくなる 6(19.4)

持田製薬社内資料(国内患者対象試験)

注射部位の痛みは個人によっても、また、注射部位によっても異なります。  注射部位は、個人によって、注射に適した部位と、痛みを鋭敏に感じたりして注射に適さない部位があります。

新たな部位に注射を開始してから2~ 5日が最も強く痛みを感じるという報告があります。

トレプロストの投与量が多くなるほど、注射部位の痛みが強くなるわけではないという報告があります。

注射部位の痛みと注射部位反応の発現頻度

痛みの対策

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自分の痛みのパターンを把握しましょう

痛みを把握する方法

● 鎮痛剤を使う 鎮痛剤の種類によって鎮痛効果が異なりますので、主治医と相談しながら主治医の指示どおりに使用してください。

● 冷やす、温める 留置針を刺した場所を保冷剤などで冷やしたり、携帯カイロなどで温めたりすると痛みが和らぐ場合があります。

● 留置針を刺す場所を変える

我慢できない痛みが続く場合は、留置針を刺す場所を変えてください。場所を変えるときには、ドライカテーテル法を試してみることも一つです(ドライカテーテル法については42ページをご参照ください)。

● その他一般に、痛みを積極的に管理しようとすることやさまざまな方法を試すこと、人と会話をすることなどが痛みを和らげる効果があるともいわれています。

 いつから痛み始めたか、どのくらいの強さの痛みか、どのくらい続いているかを記録しておくと対処しやすくなるでしょう。

 痛みの強さを把握する手段として、痛みを0から10の11段階に分け、痛みが全くないのを0、考えられるなかで最悪の痛みを10として評価する方法があります※。 ※痛みの程度 0…痛みなし 1~ 3…軽度の痛み 4~ 6…中等度の痛み 7~10…強い痛み

 痛みを記録することによって、「前に経験したくらいの痛み」か「今までで最も強い痛み」か、ご自身で判断することができます。

毎日の観察ポイントの例

何日目に痛みが発生したか

どれくらいの痛みか、昨日と比べてどうか

どんなことで痛みが強くなったか、どんなことで痛みが和らいだか

どの鎮痛剤で効果があったか

どの注射部位が痛くなったか

 痛みの程度をご自身で把握しておくと対処しやすくなります。“痛みの管理日誌”を使って、ご自分の痛みのパターンを知ることも一つの方法です(“痛みの管理日誌”については、52ページを

ご参照ください)。※痛みを必要以上に我慢することはありませんので、判断がつかない場合には主治医に相談してください。

● 痛みの対処にはさまざまな方法があります。

● 主治医や看護師と相談しながら、ご自分に合った方法を見つけましょう。

対処法

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4 注射部位の皮膚トラブルと対策 トレプロスト持続皮下投与を受ける患者さんでは、注射部位に赤みやかぶれなどがでることがあります。このマニュアルでは、これらを皮膚トラブルと呼んでいます。

 皮膚トラブルはトレプロストの薬剤そのものによる反応、針を刺すことで起こる血管の炎症、テープをはがしたときの刺激やテープの粘着剤による皮膚の炎症などさまざまな原因が考えられます。

 皮膚トラブルは放っておくと治るまでに時間がかかるだけではなく、治ってからも跡が残ることがあります。毎日、注射部位の皮膚の状態を観察し、皮膚トラブルが起きた場合は早めに主治医や看護師などの医療従事者に相談しましょう。また、皮膚トラブルを起こさないための予防的ケアも行いましょう。

赤くなる(発ほ っ

赤せき

)、腫れる 注射部位を変えたあとの数日間はトレプロストの薬剤による反応で、新たに留置した注射部位の周りの皮膚が赤くなったり、腫れたりすることがあります。 留置針の固定テープの補強やチューブの固定に使用しているテープによって赤みがでることもあります。

● トレプロストによる赤みや腫れの場合は、しばらくすると落ち着いてくる場合もあります。

● 留置針の固定テープの補強やチューブの固定に使用しているテープが原因の場合は、テープの種類を変えることや、テープをはがすときにゆっくりはがすことも効果的です。

● 注射部位を冷やしたり、温めたりすることもよいでしょう。

● 留置針を刺している場所が適していない可能性がありますので、刺す場所を変えるのもよいでしょう。

● 主治医に相談して軟膏や内服薬などの薬剤を使うことも可能です。

対処法

主な注射部位の反応と対処法

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硬くなる(硬こう

結けつ

) 注射部位の皮膚が硬くなること(硬結)があります。皮膚が硬くなることで注入ポンプの閉塞アラームの原因になることがあります(閉塞アラームについては56ページをご参照ください)。

かゆみ トレプロストの薬剤による反応で、注射部位にかゆみを感じることがあります。また、留置針の固定テープやその補強、チューブの固定に使用しているテープによってかゆみ(かぶれ)がでることもあります。

留置針の跡(色素沈着) 留置針の跡は、個人差はありますが消えないで残ることもあります。

● 皮膚の硬い部分が大きくなったり、閉塞アラームが頻繁に鳴ったりする場合は、注射部位を変更してください (注射部位の選択については42ページをご参照ください)。

● 主治医に相談して軟膏やクリームなどの薬剤を使うことも可能です。

● 主治医に相談して軟膏やクリームなどの薬剤を使うことも可能です。

● 留置針の固定テープの補強やチューブの固定に使用しているテープが原因の場合はテープの種類を変えることや、テープをはがすときに、ゆっくりはがすことも効果的です。

● 留置針の固定テープを貼る前に、皮膚保護剤などを使用することも効果的です。主治医や看護師に相談しましょう。

● 一度かゆみを感じてひっかいてしまうと湿疹ができ、さらにかゆみのためにひっかくという、かゆみの悪循環が起こってしまいます。ひっかかないようにしましょう。

● かゆみのある部位を冷やすことで効果がある場合もあります。

● かゆみが続く場合は、注射部位を変更してください。

● 主治医に相談して軟膏や内服薬などの薬剤を使うことも可能です。

対処法

対処法

対処法

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 日頃から皮膚のケアを行うことで、皮膚を健康に保ち、皮膚トラブルを起こしにくくすることができます。留置針を刺していないところ、留置針を抜いたところを含めた皮膚のケアをしておきましょう。次のようなことを注意してください。

皮膚トラブルの予防

 注射部位が圧迫されたり、擦れたりすると皮膚トラブルの原因になるので、注射部位は大切に扱ってください。注射部位を選択する際は動きが多い場所や衣服の影響を受けやすい場所などは避けてください (注射部位の選択については42ページをご参照く

ださい)。 紫外線も皮膚への刺激となるため、日焼けなどにも注意しましょう。 テープの糊が残っている場合には、消毒用エタノールや専用のリムーバーを用いて、こすらずに取ってください。

刺激を避けましょう

 皮膚には、汗や皮脂、古くなった角質などの分泌物や埃、ちりなど外部からの刺激があり、皮膚の新陳代謝のサイクルを妨げる原因になっています。皮膚を清潔に保つことは、皮膚トラブルの予防に有効です。

清潔に保ちましょう

 皮膚が乾燥すると皮膚トラブルを起こしやすくなるので、皮膚そのものの機能を保つために、保湿を心がけましょう。 保湿剤にはさまざまな種類がありますが、刺激のある成分は避け、肌になじみやすい成分を選びましょう。 テープを貼る前に保湿剤を塗りすぎるとテープがつきにくくなるので、塗りすぎには注意しましょう。

保湿を心がけましょう

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 皮膚トラブルは、早めの対処が大切です。皮膚の異常や皮膚トラブルに早く気付き、処置ができるよう、毎日注射部位を観察しましょう。

毎日、注射部位を観察しましょう

毎日の観察ポイントの例

注射部位の周りが赤くなったり腫れたりしていないか

  -赤みや腫れの範囲、大きさ

  -昨日と比べてどうか

注射部位が硬くなっていないか

  -硬くなっている範囲、大きさ

  -昨日と比べてどうか

かゆみやかぶれはないか

注射部位から膿のようなものが出ていないか

注射部位から異臭がしないか

その他、皮膚に変化はないか

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5 注射部位の感染

 次のような症状がある場合は、注射部位の感染の可能性があります。

注意する症状と対処法

 感染を起こさないために、薬剤やポンプの取り扱い、注射部位の管理にはふだんから細心の注意が必要です。以下のことに気をつけてください。

注射部位の感染予防

● 薬剤の調製に必要なものは、清潔な場所で保管しましょう。

● 薬剤の調製をするときには必ず手洗いをし、清潔な操作で行いましょう。

● 注射部位とその周囲は清潔に保ち、濡れたままの状態や蒸れた状態が続かないようにしましょう。

注射部位の赤みや腫れが長期間続いている

注射部位の痛みがかなり強く、長期間続いている

注射部位から膿が出ている

注射部位から出血している

● 留置針を抜き、注射部位を変えてください。

● 症状が続く場合は、医療機関に連絡し主治医の指示に従ってください。

対処法

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6 その他の副作用 トレプロストの投与中、特に増量中に、次のような副作用が現れることがあります。症状

が強い場合は、主治医に相談してください。

副作用 対処・注意すべきこと

頭痛症状が続く場合は主治医に相談してください。市販の鎮痛薬を服用する場合は主治医に確認してから服用してください。

下痢症状が続く場合は主治医に相談してください。市販の下痢止めを服用する場合は主治医に確認してから服用してください。

皮膚の赤み、ほてり 直射日光を避けてください。

あごの痛みやわらかい食事をとるようにしてください。冷たいものや熱いものは刺激になるので、適温にしてから食べるようにしてください。

むくみ、だるさ 症状が強い場合は、主治医に相談してください。

吐き気 症状が続く場合は、主治医に相談してください。

めまい、血圧低下急に立ち上がることを避け、しばらく安静にしてください。症状が続く場合は、主治医に相談してください。

足の底の痛み 症状が強い場合は、主治医に相談してください。

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使い方 まず、目標を立てましょう。どのような目標がよいか迷ったら、医療従事者に相談して一緒に目標を立てるようにしましょう。そして、痛みや皮膚の状態、肺高血圧症の症状について、毎日、具体的に記載しましょう。

 受診時には主治医や看護師に見せるようにしてください。

 ※観察ポイントについては本章の各項目(痛み44ページ、皮膚トラブル46ページ)をご参照ください。

 この日誌を活用し、ご自身・ご家族でトレプロストと上手に付き合う方法を見つけていきましょう。

7 治療を続けていくために 安全に、そして安心して治療を続けていくために、日常生活の中に治療をうまく組みこみ、

自己管理をしっかり行うことが大切です。

 病気の状態や今後の療養生活、治療について不安を感じたときには、抱え込まずに家族や

友人、主治医、看護師などご自分が信頼できる方に相談しましょう。

 日々の体調を知り、管理することも治療の一つです。体調の変化や生活について毎日

観察をし、記録しましょう。気になることがあった場合には主治医に相談しましょう。

 注射部位の痛みや赤み、腫れなどの注射部位の反応を管理し、よりよい日常生活

を送ることを目的として作成されています。

毎日の記録

記入見本

痛みの程度

(0~10)

くすり(飲みぐすり、塗りぐすり、貼りぐすりなど) 自分自身の記録肺高血圧症の症状、副作用、針やポンプ、薬のビンのことなど、気付いたことを書き留めておきましょう。(      )

注射部位の反応

□ 痛み □ 熱くなる□ 赤くなる □ かたくなる□ はれる□ その他  (          )

□ かゆみ

日付

日(月)

日(火)

日(水)

日(木)

日(金)

日(土)

日(日)

無有 (   回)

(      )

無有 (   回)

(      )

無有 (   回)

(      )

無有 (   回)

(      )

無有 (   回)

□ 痛み □ 熱くなる□ 赤くなる □ かたくなる□ はれる□ その他  (          )

□ かゆみ

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

□ 痛み □ 熱くなる□ 赤くなる □ かたくなる□ はれる□ その他  (          )

□ かゆみ

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

□ 痛み □ 熱くなる□ 赤くなる □ かたくなる□ はれる□ その他  (          )

□ かゆみ

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

□ 痛み □ 熱くなる□ 赤くなる □ かたくなる□ はれる□ その他  (          )

□ かゆみ

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

□ 痛み □ 熱くなる□ 赤くなる □ かたくなる□ はれる□ その他  (          )

□ かゆみ

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

□ 痛み □ 熱くなる□ 赤くなる □ かたくなる□ はれる□ その他  (          )

□ かゆみ

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

無有 (   回)

痛みの程度 くすりの効果0:痛みなし  1~3:軽度の痛み  4~6:中等度の痛み  7~10:強い痛み :効果あり :効果なし

●●●●○mg

血がにじんだ

44 2

■■■■○mg

冷やすと痛みが和らぐようだ。

今日は息切れがなく楽だった。

痛みは昨日より強い。

少し血がにじんでいたがすぐにおさまった。

予定どおり留置針交換。

閉塞アラームがなった。

留置針が折れ曲がっていたので、今日も交換した。

今日は痛みが強く、痛み止めのくすりもあまり効かなかった印象。

痛みは昨日よりまし。散歩に行ったが息切れは大丈夫だった。

今日で今のビンは終了。明日から新しいビンスタート。

2

65 2 3

46 2 3

47 2 2

38 2 2

59 2 3

210 2

3 4

その日に感じた痛みの程度の最大値を0~10の数値で記入してください。

:痛みなし:軽度の痛み:中等度の痛み:強い痛み

01~34~6

7~10

その日にみられた注射部位の反応をチェックしてください。

使用したくすりの名前を(   )内に記入してください。

肺高血圧症の症状、副作用、針やポンプ、薬のビンのことなど、気付いたことを書き留めておきましょう。

TREPROST DIARY トレプロストⓇ持続皮下投与療法を行う患者さんのための“痛みの管理日誌”

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 普段の外出だけではなく、緊急時や災害時に備えて、持ち物チェックリストを作っておく

と便利です。緊急連絡カードはいざというときにとても役立ちますので、必ず携帯するよう

にしましょう。

例)持ち物チェックリスト

持ち物 個数 備考

消毒などに必要なもの

タオル(ペーパータオルなど) 適宜

アルコール消毒綿 適宜

薬剤投与の準備に必要なもの

トレプロスト注射液のビン 1~2必要量に応じて開封済以外に未開封のものも用意

シリンジ・針 1

機器のセットに必要なもの

ポンプ(予備) 1

留置針・チューブ(予備) 1

電池(単4アルカリ) 1

廃棄に必要なもの

廃棄容器(注射針、留置針用) 1家庭用ゴミでは捨てられません。医療機関から指示された方法(専用の廃棄容器の指示を含む)に従って処分してください。 廃棄用の袋(使用済みとなった薬剤の

ビン、シリンジ、チューブ用)1

緊急時等に必要なもの

緊急連絡カード(または、緊急連絡先を記載したもの)

1

外出

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54

ポンプについて

ポンプは作動していますか

注入量は正しいですか µL/h

シリンジとチューブの接続部から薬液が漏れていませんか

薬液は減っていますか

電池の残量は十分ですか

注射部位について

留置針とチューブがしっかり接続されていますか

固定テープが濡れていませんか

固定テープがはがれていませんか

留置針が浮いていませんか

その他

次の薬剤交換日はいつですか

 正しく投与されているか、ポンプや注射部位を1日の中で何度か観察しましょう。

投与中の観察

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Ⅳ. 緊急時の対応など

緊急時の対応など

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留置針・チューブのトラブル 留置針やチューブにトラブルが生じ、一時的にトレプロストを投与できなくなっても、す

ぐに効果がなくなるわけではありません。あわてずに落ち着いて対処しましょう。対処し

きれない場合や心配なときは、主治医に連絡しましょう。なお、一時的にトレプロストの

投与を中断したからといって、自己判断でポンプの注入量を速めることは絶対にしない

でください。

トラブル 原因 対処

留置針が抜けた。 留置針またはチューブに強い力が加わった。

直ちに新たな留置針を刺し、投与を再開する。

チューブから薬液が漏れた。

チューブに強い力が加わった。

ポンプを停止する。直ちに新たなチューブを用意し、投与ルートの準備を行い、投与を再開する。

チューブの接続部がはずれた。 接続部がゆるんでいた。

ポンプを停止する。はずれた直後に発見し、清潔な状態であれば、アルコール消毒綿で接続部を消毒し、再度接続してもよい。清潔とはいえない場合は、新しいものに交換する。

体調の異変 以下のような体調の異変を感じたら、ポンプやチューブに原因がある場合もあります。

あわてずに原因を探してください。原因がわからない場合や、対処しても体調が改善しない

場合は、主治医に連絡してください。

体調の異変 原因 対処

顔が赤くなる顔が青くなる脈拍を強く感じるめまいがするふらつく

ポンプが停止している。 ポンプを始動する。

シリンジ内に薬液がない。 直ちに薬液を調製し、シリンジを交換する。

チューブが閉塞している。 チューブが折れ曲がっていれば元に戻し、チューブの閉塞状態を解除する。

留置針が抜けている。留置針を刺しなおす。

留置針が曲がっている。

ポンプの設定が間違っている。 設定をなおす。

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警報・警告が発生したときの処置

警報名および表示 警報音 処 置

名称:閉塞警報

表示:動作インジケーターが赤く

点滅します。

ブザー音あり:

警報音「ピ―――」が鳴動

します。

マナーモード:

振動「ブー、ブー、ブー」を

1分間隔で10回繰り返した

後、警報音「ピ―――」が

鳴動します。

閉塞アラームが鳴った場合に

は、閉塞の原因を取り除く必要

があります。閉塞の原因として

は、シリンジ、チューブ、ポンプ、留

置針の不具合や皮膚トラブルな

どが考えられますので、添付の

図1(閉塞アラームが鳴ったとき

のチェックポイント)、図2(閉塞

アラームが鳴ったときの対処方

法)および表1(閉塞アラームが

鳴ったときに考えられる原因)を

参考に、考えうる原因をチェック

した上で、閉塞の原因を取り除い

てください。

それぞれの原因を確認し対処を

行ってもアラームが鳴る場合に

は、ポンプの故障が考えられま

すので、在宅医療支援会社に連

絡をしてください。

● 警告チューブの折れ、針の詰まりなどによる閉塞が生じた場合、チューブの内圧が高くなっています。この状態で閉塞の原因を取り除くと、薬液が一時的に過大に注入されてしまいますので、留置針と接続部を外し、閉塞の原因を取り除いてください。

警報が発生したとき

※警報音は キーを押すことで消音できます。警報音を消しても、警報の原因が解除されていないと、2分後に再度警報音が発生します。

※警報発生中は、「動作インジケーター」が赤く点滅します。

※注入中に警報が発生すると、注入動作は停止します。

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図1:閉塞アラームが鳴ったときのチェックポイント

シリンジ

TOP-8200Rポンプ

チューブ

留置針

皮膚

警報名および表示 警報音 処 置

名称:ドアオープン警報

表示:動作インジケーターが赤く

点滅します。

ブザー音あり:

警報音「ピ―――」が鳴動

します。

マナーモード:

振動「ブー、ブー、ブー」を

1分間隔で10回繰り返した

後、警報音「ピ―――」が

鳴動します。

ドアが確実に閉じられているこ

とを確認してください。

ドアが確実に閉じられている

のにもかかわらず、再度この警

報が発生する場合は、ポンプの

故障が考えられますので、在宅

医療支援会社に連絡してくだ

さい。

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図2:閉塞アラームが鳴ったときの対処方法

留置針

皮膚

(注射部位)

留置針を抜き、針の状態・皮膚(注射部位)の状態を

確認してください。

針刺しの手順を再度確認し適した注射部位に留置針

を穿刺してください。

新しいシリンジに薬剤を準備し、セットしてください。

ポンプの故障が考えられます。

もう

1台のポンプと交換し、問題なく投与できている

のを確認したのち、在宅医療支援会社に連絡してく

ださい。

新しいチューブに交換し、手動でチューブに薬剤を満た

した後、ポンプによるプライミングを行ってください。

※チューブに血の塊や膿が確認された場合は、皮膚

(注射部位)・留置針の項目の対処も行ってください。

それでも閉塞アラームが鳴る場合はポンプに原因が

ある可能性があります。

待 機 画 面 に 戻 る

チューブ

シリンジ

ポンプ

待 機 画 面 に 戻 る

閉 塞 ア ラ ー ム が 鳴 る

待 機 画 面 に 戻 ら な い

シ リ ン ジ を ポ ン プ か ら は ず す

待 機 画 面 に 戻 ら な い

留 置 針 か ら チ ュ ー ブ を は ず し て 、 戻 る ボ タ ン を 押 す

シ リ ン ジ 内 の 薬 剤 の 有 無

ある

ない

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表1:閉塞アラームが鳴ったときに考えられる原因

原因

皮膚(注射部位)

投与によって皮膚に変化が生じた

・皮膚が硬くなっている

・腫れている、赤くなっている

適していない部位

・しわがある

・赤くなっている

・傷の周囲あるいは傷跡が残っている

・体の動きや衣服の影響を受けやすい

留置針

血の塊や膿で留置針が詰まっている

留置針が浮いて針が曲がっている

・斜めに刺している

・勢いよく刺せていない

・穿刺のときに皮膚をつまんだ際、皮膚を途中で離している

・留置針中央の青い部分を引き抜く際、留置針全体をしっかり押さえられていない

・固定テープが弱くなった

チューブ

血の塊や膿でチューブが詰まっている

チューブと留置針の接続が正しくできておらず、チューブの先端の針が曲がっている

チューブが折れている

シリンジ

シリンジに薬剤が入っていない

シリンジをポンプにセットする際、正しくセットできていない

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警報名および表示 警報音 処 置

名称:操作忘れ警報

表示:動作インジケーターが赤く

点滅します。

ブザー音あり:

警報音「ピ―――」が鳴動

します。

マナーモード:

振動「ブー、ブー、ブー」を

1分間隔で10回繰り返した

後、警報音「ピ―――」が

鳴動します。

待機状態で操作が3分以上行わ

れておりません。

長時間停止させるときは、電池

の消耗を防ぐために、電源を

OFFにしておいてください。

名称:内部故障

表示:動作インジケーターが赤く

点灯します。

警報音「ピ―――」が鳴動

します。

ポンプの故障です。(Er-00~ 99)

一度、電池を取り外して電源を切

ります。再度、電池を取り付けて

電源を入れてください。電池を入

れ直しても動作インジケーター

が赤く点灯している場合は、電池

を取り外した状態で赤いランプ

が消えるまで放置し、ポンプを完

全放電させます。完全放電後に

電池を取り付け、電源を入れてく

ださい。繰り返しこの警報が発

生する場合は、ポンプの故障が

考えられますので、在宅医療支

援会社に連絡してください。≪故障以外でも発生する可能性のある内部故障警報≫発生状況が以下に該当する場合は、故障ではありませんので、再起動してください。・Er-15操作キーが20秒以上押され続ける。・Er-162つ以上の操作キーが同時に4秒以上押され続ける。・Er-52~ 54周囲10cm以内に強い磁石がある。・Er-97電源OFF操作ではなく、直接電池が抜かれた。または、電池蓋が緩んでいる。

名称:電池切れ警報

表示:動作インジケーターが赤く

点滅します。

● 注意液晶画面は消灯します。

警報音「ピー、ピー、ピー」

が鳴動します。「電池の取り付け/取り外し」に

従って、新しい電池に交換してく

ださい。

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警告名および表示 警告音 処 置

名称:電池電圧低下警告

表示:動作インジケーターが赤く

点滅します。

警告音「ピピピッ」が鳴動

します。

ポンプを停止し、電源を切って

から、「電池の取り付け・取り外し

(22ページ、38ページ参照)」に

従って、新しい電池に交換して

ください。

● 警告この警告発生後、駆動時間は約30分程度です。警告から20分後に再警告します。

名称:残量低下警告

表示:動作インジケーターが赤く

点滅します。

ブザー音あり:

警告音「ピピピッ」が鳴動

します。

マナーモード:

振動「ブー、ブー、ブー」を

1分間隔で10回繰り返した

後、警告音「ピピピッ」が

鳴動します。

薬液残量に注意が必要です。シ

リンジ交換の準備をして下さい。

● 警告薬液残量が0.1~ 0.2mLになっています。警告から0.07mL送液後に再警告します。

名称:メンテナンス警告

表示:動作インジケーターが赤く

点滅します。

ブザー音あり:

警告音「ピピピッ」が鳴動

します。

マナーモード:

振動「ブー、ブー、ブー」を

1分間隔で10回繰り返した

後、警告音「ピピピッ」が

鳴動します。

予定された定期点検の時期に

なりました。在宅医療支援会社

に連絡をしてください。

警告が発生したとき

※警告音は キーを押すことで消音できます。※警告発生中は、「動作インジケーター」が赤く点滅します。※警告発生中は、注入動作は続いています。

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【注意】トレプロスト持続皮下投与療法では、µLの注入単位のみを使用します。ポンプの単位表示が“U”となっている場合のみ、この手順にしたがって“µL”に設定してください。

注入単位をµLに設定する(必要時)

(2)MENU画面で“単位切換”を

選択し、 キーを押します。

(3)単位切換画面で“µL”を選択し、

キーを押します。

(4)注入単位がµLに設定されます。設定完了画面表示後、MENU画面に

戻ります。

【注意】特殊設定モードでは、注入などの操作は行えません。

(5)MENU画面で“電源OFF”を選択し、 キーを押します。

(6)電源OFF確認画面で“YES”を選択し、 キーを押して電源を切り

ます。

特殊設定モードとなります。

(1)電源オフの状態から開始しま

す 。 キーを2秒以上押しま

す。TOPのロゴマーク表示中に

キーを2秒以上押します。

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連絡先

主治医

医師名

電話番号

医療機関名

住所

かかりつけ医

医師名

電話番号

医療機関名

住所

在宅医療支援会社

会社名

電話番号

住所

親族・介助者

氏名(1)

電話番号

住所

氏名(2)

電話番号

住所

本人

氏名

電話番号

住所

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2019年1月作成 2019.01 MA-1801-1 MS GMJ003

制 作: 持田製薬株式会社

協 力: 株式会社トップ セコム医療システム株式会社 株式会社ウィーズ