ECMOカニューレ · 2019-07-04 · dlc導入施設に対して •カニューレ挿入時にはいずれかの画像診断 装置を使用して行う(装置の限定はない)
気切カニューレ離脱方法の多施設RCTCapping...
Transcript of 気切カニューレ離脱方法の多施設RCTCapping...
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気切カニューレ離脱方法の多施設RCT
N Eng J Med 2020; 383: 1009-1017.
東京慈恵会医科大学附属病院 集中治療部
池田 拓海 / 浅野 健吾
"REDECAP trial"
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Introduction
•人工呼吸器管理を受ける患者の約15%はいずれかの治療期間で気管切開術を施行されている。
Crit Care 2018;22:195.
Am J Respir Crit Care Med 2013;188:220- 30.
•しかし、気切カニューレからの離脱準備(decannulation readiness)に関する研究は限られる。
•とくにdecannulationの可否評価方法について調査研究や単施設研究などに基づいて施設間・臨床医間で異なっており、大規模RCTで検証された方法はない。
Otolaryngol Head Neck Surg 2013;148:6-20. Ann Intensive Care 2018;8:37. Respir Care 2009;54: 1658-64.
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Capping trial?・慣例的に広く用いられている評価方法のひとつとして、capping trialがある。
Otolaryngol Head Neck Surg 2013;148:6-20. Ann Intensive Care 2018;8:37. Respir Care 2009;54: 1658-64.
・Protocol化して用いることでdecannulation成功に関して高い特異度・陽性的中率を有するという報告もあるが、
Laryngoscope 2014;124:1794-800.
一方で、例えクリアできなくてもdecannulationできる症例があることが示唆されてきた。
Med Intensiva 2012;36: 531-9. Laryngoscope 2014;124:1794-800.
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スペインの2つのICUで行われた観察研究
ICUで気管切開を受けた患者151人について調査
気管切開を受けた理由により⓵人工呼吸器離脱(以下、MV離脱)の長期化(Group 1)⓶意識障害 or 自力での分泌物対応困難(Group 2)の2群に分類
MV: mevhanical ventilation
それぞれの群でTime to decannulationへの関連因子を調査
吸痰頻度?
Med Intensiva 2012;36: 531-9.
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代替の評価方法のひとつとして、気道分泌の吸痰頻度測定も選択肢となりうることを示唆
両群ともに、8時間以内での吸喀回数がTime to decannulation短縮と関連していた
Med Intensiva 2012;36: 531-9.
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vs.Capping trial 吸痰頻度
そこで、今回
を検証する多施設RCTが行われた
P:ICUで気管切開術を受け、その後MV離脱が出来た患者で
I :吸痰頻度によるdecannulation判断は
C:Capping trialによるdecannulation判断とくらべて
O:Time-to-decannulationを短縮するか
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Trial design and oversight・スペインの5つのICUで行われたopen-label RCT
・各施設の倫理委員会と各施設が所属する自治体の保健省がProtocolを承認(マドリード州、カタルーニャ州、カスティーリャ・ラ・マンチャ州)
・患者本人または代理人から同意を取得・Fisher and Paykel Healthcareが原稿の執筆支援に費用提供あり。設計・実施・出版に関する決定への関与なし。
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<Inclusion criteria> ・ICUで初回の気管切開術を施行され、・24時間連続してMV離脱ができた患者
※気管切開の適応理由は以下のように分類できた
1)MVの長期化(>21日のMV)
2)離脱の長期化(3回以上の離脱失敗 or 初回SBTから7日以上経過)
3)意識障害(GCSのM < 6点)
4)呼吸分泌物の管理能力の欠如:
・呼吸分泌物の蓄積のために2回以上抜管に失敗した患者
・SBTはクリアしたが吸引頻度が≧3回/h or ≧8回/8hのため抜管不可
5) Airway control のために気管切開が必要な患者
SBT: spontaneous breathing trial
Patient population
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<Exclusion criteria>・意識障害(GCSのM < 6点)
・重度の嚥下機能障害
・気道開通障害
・神経筋疾患(ICU-acquired weakness除く)・気管切開下での長期airway controlが必要・18歳未満・退院前死亡が予測される患者
※嚥下機能障害:drink test ± 内視鏡によって評価※気道開通障害:occlusion test ± 内視鏡によって評価※退院前死亡予測:Sabadell score >2点と定義
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Sabadell score
0点 予後がいい
1点 6か月以上の予後は難しく、ICU再入室の制限なし
2点 6か月未満の予後は難しく、ICU再入室の余地がある
3点 入院中の死が予想される、ICU再入室は推奨されない
Crit Care. 2006;10(6):R179.
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Methods
• Patient Population◆Baseline characteristic
年齢、性、BMI、
APACHE Ⅱ(入院して24時間以内につける)、
併存疾患(the Charlson comorbidity index)、
最初の診断
※看護記録、カルテ、病理結果、電子モニター、医療面接から抜粋
APACHE Ⅱ: the Acute Physiology and Choronic Health Evaluation
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Methods
• Patient Population◆気管切開時に関する変数
気管切開の指標、気管切開の方法、カニューレの種類、
APACHE Ⅱ score
◆ランダム化された際の変数
APACHE Ⅱ score、嚥下テストの試験、吸痰頻度
◆退院までの変数
抜管の日時、抜管の条件を満たした時期、感染の合併、
weaning・抜管・キャップ装着テストの失敗、抜管の遅れ、
ICU再入室、ICU・院内滞在日数、ICU・院内死亡
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Weaning / decannulation protocols
MV離脱準備完了
Drink test
Occlusion test
気管切開
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Weaning / decannulation protocols
MV離脱準備完了
Drink test
Occlusion test
気管切開
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Weaning / decannulation protocols
◆Weaning可能かの判断のため日々チェックすること
疾患からの回復具合
呼吸状態 PaO2/FiO
2 >150 mmHg、PEEP ≦8 cmH
2O、
動脈血pH ≧7.32
臨床状態 心電図上、心筋梗塞の所見なし、
血管作動性薬剤やドパミンの必要なし
(
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Weaning / decannulation protocols
Drink test
Occlusion test
Weaning、MV離脱
キャップ装着テスト群 介入群
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Weaning / decannulation protocols
Drink test
Occlusion test
Weaning、MV離脱
キャップ装着テスト群 介入群
誤嚥リスクが高くないか
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MVからの離脱準備完了後、カフ脱気して50mLの水を嚥下(1)正常(10秒未満で5回以下の嚥下)
(2)異常(10秒以上で5回より多い回数の嚥下)
(3)重度の嚥下障害(検査中に誤嚥がみられる、または唾液や咽頭
分泌物の誤嚥を臨床的に確認され正式な嚥下検査も不適切な状態)
Drink test が(1)正常(かつ適切と判断されたら)
Drink test ×(2)か(3) だったら
MV離脱後、経口摂取開始 MV離脱後、経腸栄養継続
Drink test
MV離脱後に改めてDrink testを評価
Arch Gastroenterol 2007; 44:227–229.
Chest 2010; 137:1278–1282.
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Weaning / decannulation protocols
Drink test
Occlusion test
Weaning、MV離脱
キャップ装着テスト群 介入群
気道閉塞がないか
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Occlusion testカニューレの開口部を気管カフで5分間閉塞
心拍数、呼吸数、血圧に異常があったら気管支鏡検査で確認
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Weaning / decannulation protocols
Drink test
Occlusion test
Weaning、MV離脱
キャップ装着テスト群 介入群
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Weaning、MV離脱
方法 自発呼吸トライアルをTチューブで間欠的に行う
頻度 2日に1回
合間 2時間はassist-control(休息のため)
中止 担当医が以下のサインを認めたら
呼吸数 >35 /分持続、SaO2 180 mmHg or
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Weaning、MV離脱
離脱 12時間以上の自発呼吸を連続して2日間持続
その後 持続的にTチューブを用いる
カフはしぼめておく(自発呼吸のある間のみ)
気管分泌物を慎重に吸引する
Intensive Care Med 2013; 39:1063–1070
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共通事項
・カフのない有窓性の内筒を用いる
・カニューレは試験中は交換しない
・BMI >45 kg/m2や解剖学的異常のある極端な肥満患者
はプロトコールからはずれて水平方向に極端に長い
気管カニューレを用いる(安全のため)
Weaning / decannulation protocols
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Weaning / decannulation protocols
キャップ装着テスト群 介入群
キャップ装着テストで離脱を決める
吸痰頻度で離脱を決める
間欠的な
高流量酸素療法
持続的な
高流量酸素療法
Weaning、MV離脱
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連続12時間、吸痰が4時間に1回以下 を満たしたら気管カニューレ離脱
失敗したらどんな理由でも24時間はキャップを外す
Laryngoscope 2014; 124:1794– 1800.◆capping failureの分類
溜まった肺の分泌物の除去が必要と看護師が判断したとき
coarse crackle聴取、気管カニューレ周囲気道内の視認できる分泌物
繰り返しでないと気道から効率的で自発的な咳が不可能
胃や上気道の分泌物の誤嚥疑い
気道閉塞による二次的な急性呼吸窮迫
酸素飽和度の悪化(SpO2 ≦92%)
FiO2 ≧0.4あるいはFiO
2のベースより0.10以上の増加
Weaning / decannulation protocols
キャップ装着テスト群
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◆注意
肺炎や他の肺感染症の除外・確定診断のための喀痰検体の採取や喀痰細胞診が必要な場合は、失敗とはみなさい
キャップ装着テストに何度も失敗する患者のカニューレ離脱の決定は吸引頻度に基づく
キャップ装着テストに失敗すると高流量酸素療法が再開され、テストは翌日まではトライできない(最低12時間)
Weaning / decannulation protocols
キャップ装着テスト群
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連続24時間、吸痰が8時間に2回以下 を満たしたら気管カニューレ離脱
キャップは装着しない
Weaning / decannulation protocols
介入群
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気管支上でのcoarse crackleの聴取
気管カニューレ周囲の気道内の視認できる分泌物
繰り返しでないと気道から効率的で自発的な咳が不可能
胃や上気道の分泌物の誤嚥疑い
気道閉塞による二次的な急性呼吸窮迫
酸素飽和度の悪化(SpO2 ≦92%)
Respir Care. 2010 Jun;55(6):758-64.
※肺炎や他の肺感染症の除外・確定診断のための喀痰検体の採取や喀痰細胞診が必要になったかどうかは吸引のタイミングには含めなかった
吸引(aspiration)を行う基準
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⓵吸引前にFiO2を一時的に1.0にする。
⓶内筒を取り除く。
⓷cleaed and openな吸引を気切カニューレを介して行う。
各吸引手技の前に、吸引チューブを吸引カニューレにつける前に吸引チューブの先端を閉じることで陰圧を確認する。
吸引圧は150 mmHg未満に設定する。
用手換気は認められなかった。
吸引手技
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まず、浅いところの吸引を行った。
∵大体の場合、呼吸分泌物はカニューレにたまるため、内筒を抜くことで取り除くことができる。
深いところの吸引は浅いところの吸引後に吸引の指標が残っていた場合に行った。
吸引時間は浅いところでも深いところでも15秒以内。
すべての場合において滅菌操作が推奨された。
生理食塩水の吸入はルーチーンでは行われなかった。
吸引手技
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呼吸分泌物は臨床的に水性(watery)か硬い(thick)に分類した。
量はMuco-Safe®吸引器で測定された。
吸引手技
Muco-Safe®吸引器
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Weaning / decannulation protocols
キャップ装着テスト群 介入群
キャップ装着テストで離脱を決める
吸痰頻度で離脱を決める
間欠的な
高流量酸素療法
持続的な
高流量酸素療法
Weaning、MV離脱
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どちらの群も気切チューブを介して高流量酸素を投与
◆違い
キャップ装着テスト群
キャップが装着されていないときのみの間欠的投与
介入群
decannulationまで継続投与
高流量酸素療法
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初期設定 30 L/min、持続的
追加 5 L/minずつあげられる
最高量 60 L/min
温度の初期設定 37℃
(患者により暑いとの訴えがない限り)
FIO2
SpO2 92-95%となるように調整
※キャップ装着テスト中は通常の酸素投与
目標 酸素飽和度で92-95%
高流量酸素療法
OptiflowTM, Fisher&Payker
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Weaning / decannulation protocols
気切カニューレ離脱
キャップ装着テスト群 介入群
キャップ装着テストで離脱を決める
吸痰頻度で離脱を決める
間欠的な
高流量酸素療法
持続的な
高流量酸素療法
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毎週、離脱できていない患者について、その理由を解析し、以下のように分類
・咳反射が弱い(カフがしぼんでいる状態でpeak cough flow
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以下の理由でも、decannulationは遅れうるものと定めていた。
・侵襲的な診断・治療の処置の結果を待っている患者
・神経学的に悪化のリスクがある
・GCSの運動(M)が5-6の間を変動している患者
・常にM6であるがGCSの合計点が8-13の患者
気切カニューレ離脱
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ICU退室後の離脱は8時間以内の吸痰が4回未満であることが24時間連続して続いたときに認められた。
このトライアルに参加したすべての施設は病棟で気管切開を受けた患者を管理する多職種からなるチームを持っていた。
気切カニューレがある間に一般床へ退室となったすべての患者は集中治療チームと専門看護師でfollow upを行った。
気切カニューレ離脱
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両グループとも同じ医療・看護・呼吸療法のスタッフで行われ(調査者を除く)、同じ医療行為を受けた。
参加した臨床医に研究グループを盲検化することはできなかった
このバイアスを除くため、調査者は臨床的な決定には参加しなかった。
また、統計解析は盲検化して行った
人工呼吸器からのweaning後8時間以内の対象患者はコールセンターの乱数ジェネレーターを用いて隠して割り当てられた
Weaning / decannulation protocols
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Outcome
・Primary outcome:"Time to decannulation"
=「MV離脱成功」〜「実際にカニューレ離脱」
※「MV離脱成功」の定義:24時間連続して離脱成功したタイミング
※ Intention-to-treat解析
・Secondary outcomes:
decannulation failure、weaning failure呼吸器感染症・敗血症・多臓器不全の発生
ICU・院内滞在日数、ICU再入室ICU・院内死亡
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Sample size
Primary outcomeの"Time to decannulation"に関して、
・Control群での平均値 13日(SD: ±11日)
・両側検定、検出力 80%、αエラー 5%・15%の脱落を考慮
・両群間で3日の差を検出Intensive Care Med 2013;39:Suppl 2:S406. ab- stract.
とした場合、サンプルサイズは両側で330人
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Statistical analysis その他
・"Time to decannulation"についてKaplan-Meier曲線およびlog-rank検定を用いて比較。
・decannulationできなかった患者も含めて解析され、退院・死亡・あるいは試験から脱落した時点で修正された。
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・時間事象における信頼区間の結果は中央値の線形関数の統計的推論を用いた。
Psychol Methods 2002;7:370-83.
・NewcombeとWilsonのhybrid scoreを中間評価を計算するために用いた。
Stat Med 1998;17:873-90.
・両側検定の有意水準は0.05と設定した。
・統計解析にはSPSS version 13.0(SPSS)を使用した。
Statistical analysis その他
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Results
期間:2016年5月-2018年5月
気管切開した779人について審査
138人はweaningせず
661人を登録
86人 weaning前に死亡53人 転院
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Results
661人を登録
331人を除外
330人をランダム化割り付け
201人 意識不明7人 重度の嚥下機能障害5人 気道の合併症16人 慢性的な神経筋疾患32人 Sabadell score 3点59人 耳鼻咽喉科の外科的介入11人 informed consentをうけとれず
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Results
330人をランダム化割り付け
161人がキャップ装着テスト 160人が吸引頻度
各8人ずつ除外
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Results人口統計学的・臨床的特性は同じ
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Results人口統計学的・臨床的特性は同じ
年齢は57〜59歳男性が約7割APACHE Ⅱ score (ICU入室時) は11点前後気切前のMV期間は13日
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Results人口統計学的・臨床的特性は同じ
気管切開の適応理由は・MVからのweaning遅延が4割・MV>21日が2割弱・意識障害が25%
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Results人口統計学的・臨床的特性は同じ
・78%の患者でPDT・解剖学的理由により、両群あわせて5人 の患者でprotocol外のカニューラ使用
PDT: percutaneous trachostomy
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Results人口統計学的・臨床的特性は同じ
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Results人口統計学的・臨床的特性は同じ
BMI>25が75%心疾患、神経疾患がそれぞれ2割COPDは1割
Medicalが8割、Surgicalが5割強、外傷2割
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Results人口統計学的・臨床的特性は同じ
ランダム化時点で
・3割以上が嚥下障害(軽症・中等症)・8時間以内の吸痰回数は2回程度
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<APACHE Ⅱ>・ICU入室時:11点・気管切開時:7〜8点・MV離脱時:6点
<MV期間>〜気切 :約13日〜24時間MV離脱:約25日
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Medicalの内訳:呼吸関連の障害:呼吸器感染、ARDSがそれぞれ10〜15%呼吸以外の障害:神経障害が5割、心疾患が3〜4割
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Traumaの大部分で外傷性脳損傷を伴う手術は緊急手術が大部分
脳外手術が4割を占める
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Results• Primary outcome ="Time to decannulation"
介入群(吸痰頻度)で離脱までの期間が有意に短かった
※ Control群 (キャップ装着) のうち12人
試験に複数回失敗
→criteriaに従わない形で離脱→離脱成功
(Intention-to-treat解析)
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Results
Control群(n=30) Intervention群(n=51)
治療処置のため 12人 16人
検査処置のため 9人 15人
意識レベルの変動 6人 11人
その他 3人 9人
decannulationの基準を満たすも、以下の理由により離脱が遅れた症例あり
decannulation criteriaを満たした日に基づいて解析すると、
Cntrol群: 12 days(IQR 7~12) vs. 介入群: 4 days(IQR 3~8)
→Absolute difference 8 days (95%CI 5~10)
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Results• Primary outcome ="Time to decannulation"
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Results• Primary outcome ="Time to decannulation"
80日間まで追跡し、それ以降は打ち切りキャップ装着テスト群 1人は83日、1人は319日に離脱
介入群 1人は142日に離脱
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Results 各施設ごとの内訳
1施設のn数が突出しており影響大だが、他の施設でも概ね同様の結果(赤線:有意差あり)
• Primary outcome ="Time to decannulation"
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Results
• Secondary outcome
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Results
• Secondary outcome
weaning失敗 27人(16.8)vs 11人(6.5) 差 10.3肺炎 16人(9.9) vs 7人(4.1) 差 5.8気管支炎 47人(29.2)vs 32人(18.9) 差 10.3滞在日数(院内)の中央値 62人 vs 48人 差 14
において有意差あり(decannlation failureには有意差なし)
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Results• Secondary outcome
weaning失敗:ランダム化して7日以内のMV再開
キャッピング失敗:キャップを外す
20日までに約7割で
capping failure発生
それに引き続く形で
weaning failureや感染↑
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Results
• Secondary outcomeweaning失敗の理由 →人工呼吸器の再開
キャップ装着群 介入群
呼吸性アシドーシス( pCO2 >45 mmHgでpH
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Results
• Secondary outcomeキャップ装着テスト失敗の理由 全118人 →キャップを外す
キャップ装着群 介入群
溜まった肺の分泌物の除去が必要
と看護師が判断
95人
(80.5%)
NA
酸素飽和度の悪化( SpO2 ≦92%)
FiO2 ≧0.4あるいはFiO
2のベースより0.10以上の増加
23人
(19.5%)
NA
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Results
• Secondary outcome感染エピソード(肺炎、気管支炎、敗血症、感染による多臓器不全)については退院まで追跡した。
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Results
• Expolatory outcome
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Results
• Expolatory outcome
ICU退室前の離脱 104人(64.6)vs 139人(82.2) 差 -17.7滞在期間の中央値 ランダム化後の入院期間 37人 vs 23人 差 14 ICU退室後の入院期間 27人 vs 16人 差 11
において有意差あり
離脱の6〜8割がICU滞在中に行われている!!
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Discussionの記載
吸痰頻度による評価(+連続的な高流量酸素)の方が、キャップ装着テストによる評価(+間欠的な高流量酸素)よりも、再挿入を増やすことなくTime-to-decannulationを短縮することができた。
そのもっともらしい理由としては、キャップ装着テストが不必要に負荷の高い試験であることがあげられる。
今回のControl群(キャップ装着テスト群)において、capping failureにより失敗した患者の比率が高いことがそれを反映しているといえる。
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Discussionの記載
Capping failureに引き続く形で感染症増加やweaning failure(MV再開)が起きているようにも見て取れる。
Control群(キャップ装着テスト群)におけるdecannulationの遅れは、それに続く一連の臨床所見の増悪にも関与している可能性がある。
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キャップ装着テストを行う場合、protocol上では通常以下のことが求められている。・気管カニューレのサイズを小さくする・カフを脱気する・穴あきカニューレ・カフ無しのカニューレに変更
今回の試験では可能な限り両群で同じ気管切開チューブを使用する方針としていた。
Discussionの記載
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結果として73.3 %が少なくとも1回(12人の患者は複数回)のcapping failureを経験
※結果的にプロトコール外で離脱成功
キャップ装着テストの成功のためには、、、
呼吸機能の予備能が限られている患者でも過度な人工呼吸器の負荷に打ち勝てることが必要
Discussionの記載
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吸痰頻度群は、より持続的な高流量酸素療法を受けたことによる恩恵があったのかもしれない。
37℃に加湿した酸素を30 L/分投与することで線毛の輸送能を強化され、気切チューブのある患者の吸引回数を減らす可能性がある。
Head Neck 2017;39:2481-7.
50 L/分以上の高流量酸素療法でわずかなPEEP提供、酸素化改善、呼吸数減少の効果がある。
Ann Intensive Care 2019;9:114.
Discussionの記載
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過去の主観的な指標に基づくprotocol下でのdecannulationでは、2〜5 %の確率で再挿入となっていた。
Crit Care 2008;12:R26.Aust Crit Care 2009;22:8-15.
今回の再挿入はキャップ装着テスト群2.4 %、吸痰頻度群5.6%であり、上と同等であった。しかしながら、過去の研究では56-88%でしかdecannulationが行われないようなpopulationを対象としている。
BMC Anesthesiol 2018;18:65.Laryngoscope 2014;124:1794-800.
今回は95.2%がdecannulationに至っている。しかも多くの場合、ICU在室中に行われている。これらの要素は神経集中治療を要する患者の割合や、施設の状況により異なってくる。比較には注意が必要である。
Discussionの記載
-
キャップ装着テスト群より吸痰頻度群で感染の割合が少なかった。この差が起きた機序は不明であるが、重要な知見である。
考えうる要因
侵襲的気道デバイスの期間が短くできたから?
高流量酸素療法をより長く行えた効果?
Discussionの記載
-
• Limitation⓵両群のprotocolで定められた吸痰頻度のルール は、過去の研究に基づいて定められている。
⓶高流量酸素の使用時間の差が結果にどこまで
関与しているかは不明である。
⓷実際に臨床を行うチームへの盲検化はできて
いない。
※研究関係者は臨床的な決定には不参加だが、この
バイアスが部分的に影響した可能性を否定できない。
Discussionの記載
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Editorial
● アメリカでは患者は急性期後施設で人工呼吸器からのweaningや離脱を行う。(この研究が行われたのはスペイン)
● 看護師や呼吸療法士の患者に対する割合が異なる。→この結果がより広く適用されるには長期療養型施設 で再現される必要がある。
● 介入群では高流量酸素療法を受けた期間が長い。→高温で湿気のある高流量酸素は吸痰回数を減らしう る。どの程度トライアルの結果に関与するかは不明。
● 標準的な治療で明らかな害がないという状況で、より積極的なプロトコールを適応することは臨床の抵抗・惰性に打ち勝つ挑戦となる。
-
Editorial
● この挑戦は価値のあるものである。● この研究は慢性的な重症疾患のある患者の治療の改善の
基礎となる証拠を打ち立てるという重要な一歩を進んだ。
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私見
❖ Editorialでのアメリカにおける状況と同様、慈恵でも気管切開の離脱は一般床で行われることが多い(割合や方法は不明)。
❖ 一般床で行うと、ICUに比べ患者の変化や血液ガスの評価がしづらくなるため、一見すると離脱失敗の割合は少なくなるかもしれない。しかし、その場合合併症が増える可能性もある。
❖ 我々のpracticeで同じように安全にできるかはまだ検証が必要であるが、不必要な入院滞在や気管切開期間が減らせる可能性は魅力的である。
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私見
❖ また、感染症の増加についてもその理由は不明である。❖ むしろ、高流量酸素療法は組織の酸素ラジカル化などと
考えると悪そうな気もする。❖ 感染が増えたメカニズムは何か?本当に増えるのか?
(再現性はあるのか?)について、今後の研究を待ちたい。
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私見
❖ 今週、気管切開をされる患者さんが増えます。その方々がどのように離脱していくかをICU内で診ていくことは難しいかもしれないが、病棟に帰ったあとも、気切管理をされている方々はいらっしゃると思うので、その方々にお話を聞くことができたらいいなと思いました。