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「総合学力研究会」(事務局:ベネッセ 教育研究開発センター)は、これまでの 調査を通して、「教科学力」「学びの基礎 力」ならびに「社会的実践力(生きる力)」 の3つの力をバランスよく総合学力とし て育成していくことの大切さを検証する とともに、この総合学力を伸ばすために は、教師の指導力、家庭の教育力、なら びに学校の経営力が総合教育力とし て発揮されることが重要であるこ とを示してきました。今回の「学 力向上のための基本調査2006」 は、PISA 型「読解力」の向上に寄与する 総合教育力の在り方を探ることに焦点を 当て、「読解力」向上の取り組みの指針の 提供を目指したものです。今回の中間報 告では、これまでの調査結果の分析の概 要をご報告します。 ベネッセ教育研究開発センター Benesse Educational Research & Development Center 中間報告 学力向上のための 基本調査 2006 0.調査概要 1.「学力向上のための基本調査 2006」における基本仮説の構造 2.「読解力向上に関する取り組み」の構造モデル 3.「読解力」の測定-問題と解答状況 4.「読解力」と教科学力との関係 5.「読解力」と「学びの基礎力」との関係 6.「読解力」と「社会的実践力(生きる力)」との関係 Topics1.「読解力」と読書指導との関係 7.「読解力」向上につながる教師の働きかけ Topics2.ICT の活用と「読解力」との関係 Topics3.「読解力」向上につながる「学び合う集団の形成」 8.「読解力」向上を支える学校経営基盤の整備 9.「読解力」を高める家庭における豊かな働きかけ 10.学校と保護者との連携の大切さ 11.「総合教育力」構築の大切さ 「読解力」向上への提言 10 か条 資料編 Benesse Corporation

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「総合学力研究会」(事務局:ベネッセ教育研究開発センター)は、これまでの調査を通して、「教科学力」「学びの基礎力」ならびに「社会的実践力(生きる力)」の3つの力をバランスよく総合学力として育成していくことの大切さを検証するとともに、この総合学力を伸ばすためには、教師の指導力、家庭の教育力、ならびに学校の経営力が総合教育力として発揮されることが重要であることを示してきました。今回の「学力向上のための基本調査2006」

は、PISA型「読解力」の向上に寄与する総合教育力の在り方を探ることに焦点を当て、「読解力」向上の取り組みの指針の提供を目指したものです。今回の中間報告では、これまでの調査結果の分析の概要をご報告します。

「読解力」を高める教師の指導・家庭での

働きかけ・学校経営の在り方を探る

ベネッセ教育研究開発センターBenesse Educational Research & Development Center

中間報告

学力向上のための基本調査2006

0.調査概要

1.「学力向上のための基本調査2006」における基本仮説の構造

2.「読解力向上に関する取り組み」の構造モデル

3.「読解力」の測定-問題と解答状況

4.「読解力」と教科学力との関係

5.「読解力」と「学びの基礎力」との関係

6.「読解力」と「社会的実践力(生きる力)」との関係

Topics1.「読解力」と読書指導との関係

7.「読解力」向上につながる教師の働きかけ

Topics2.ICTの活用と「読解力」との関係

Topics3.「読解力」向上につながる「学び合う集団の形成」

8.「読解力」向上を支える学校経営基盤の整備

9.「読解力」を高める家庭における豊かな働きかけ

10.学校と保護者との連携の大切さ

11.「総合教育力」構築の大切さ

「読解力」向上への提言10か条

資料編

Benesse Corporation

―「読解力」向上への総合教育力の発揮に向けて―

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2

「学力向上のための基本調査 2006」概要

1 調査のねらい

 [A]児童・生徒対象の「総合学力調査(「読解力」含む)」、[B]校長・教師対象の「学力向上への取り組み状

況調査」および、保護者対象の「教育意識調査」を通して、「読解力」の向上に向けての「総合教育力(教師の指導

力、家庭の教育力、学校の経営力)」の在り方を探る。

3 調査主体

●中間報告書における分析上の指標等について

 「総合学力研究会」 監修:大阪教育大学教授  田中 博之 大阪市立大学大学院助教授 木原 俊行

              大阪教育大学助教授 大野 裕己

           事務局:ベネッセ教育研究開発センター学校教育調査室

1)「読解力」スコア(P.6~P.20)

<教師と子ども間のクロス集計対象および集計単位について>

●「読解力」調査問題における通過率(「読解力」スコア)は、学年によってバラつきがあるため、同一尺度で比較できるように、すべて偏差値換算して表示した。

この中間報告書では、教師の取り組み状況と児童生徒の学力や学習意識とのクロス集計に際して、以下のような集計単位・対象を採用している。 ●小5生;教師個人の取り組み状況スコアとその担任クラスにおける子どもの学力および学習意識スコアの平均(学級担任×クラス子ども平均) ●中2生;学年担任団(複数)の取り組み状況スコアの平均と、その学年全体における子どもの学力および学習意識スコアの平均(学年団教師平均×学年子ども平均)

●学力の3群の分類に際しては、学力スコアの偏差値換算で、60以上を「上位群(約15%)」、40~59を「中位群(約70%)」、40未満を「下位群(約15%)」として設定。学力の5群(L1~L5)の分類の場合は、上位から7%、24%、38%、24%、7%の割合でL5からL1を設定した。

●教師・校長・保護者の各教育力における3群の分類に際しては、該当する項目の回答状況をもとに算出した総合スコアを偏差値換算し、60以上を「上位群」、40~59を「中位群」、40未満を「下位群」として設定。なお、児童生徒の自己評価による「学級力」の3群分類もこれに準ずる。

2)各種学力の3群・5群分類(P.6~P.10) 3)各種教育力の3群分類(P.12~P.18)

◎ 本調査に先立つ「学力向上のための基本調査2003、2004」に関する内容は、下記URLを参照ください。

Benesse教育研究開発センター  http://benesse.jp/berd/index.shtml

2 調査の構造

[A] 総合学力調査 (児童・生徒)

[B] 取組状況調査 (校長・教師)

(1) 取り組みの効果検証

学校の教育力の違いによる影響を探る。

対象;校長、教諭 計約1,500名 時期;平成18年2月中旬~3月初旬 方法;学校通しによる自記式アンケート ※学力向上フロンティア校(小中計163校、  約300名)は「取り組み状況調査」のみに回答。

対象;小5生、中2生 計約5,700名 (小学校41校、中学校30校) 時期;平成18年2月中旬~3月初旬 方法;学校での学力調査&アンケート実施

対象;児童生徒の保護者     計約4,100名 時期;平成18年2月中旬~    3月初旬 方法;学校通しによる自記式

家庭の教育力の違いによる影響を探る。

[C] 教育意識調査 (保護者)

子どもによる学校の取り組みの評価。 保護者による学校の取り組みの評価。

学校評価 (2)

〈調査領域・内容〉 ①学習到達度調査(国・算/数) ②「読解力」調査(PISA型) ③学習意識調査(+授業評価)

〈調査領域・内容〉 ①学校経営の実施状況(総論) ②学力向上の取り組み状況 (「読解力」向上含む) ③学力向上施策の成果と課題 ④「食育」「ICT」への取り組み状況

〈調査領域・内容〉 ①学校経営・教育への満足度 ②家庭での教育の実践状況 ③学校での諸取り組みの成果認識

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総   合  学

 力

「学力向上のための基本調査2006」における3つの基本仮説

「学びの基礎力」

(A)豊かな基礎体験

(D) 学びを律する力

(B) 学びに向かう力

(C) 自ら学ぶ力

「教科学力」

(2) 知識・理解

(1)関心・意欲・態度

(3) 思考・判断

(4) 技能・表現

「社会的実践力」

(Ⅳ)自己成長力

(Ⅰ) 問題解決力

(Ⅱ) 社会参画力

(Ⅲ) 豊かな心

「読解力」

(Ⅰ) 認識力

(Ⅱ) 思考力

(Ⅲ) 表出力

基本仮説① 「読解力」は、「認識力」、「思考力」「表出力」を含む  複合的な力である。

「読解力」は、「教科学力」 「学びの基礎力」及び 「社会的実践力」の合成学力  として発現する。

基本仮説②

基本仮説③ 「読解力」は、「総合学力」と同様、教師・学校・家庭の総合的な働きかけのもとに育成される。

●上記モデルに関する補足説明

①「読解力」を構成する3つの要素(認識力・思考力・表出力)については、平成17年12月に文部科学省が示した「読解力向上プログラム」(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku/siryo/05122201/014/005.htm)における「PISA型読解力」の定義等を参考に、本調査の基本仮説として操作的に定義しています。②「教科学力」「学びの基礎力」「社会的実践力」からなる「総合学力モデル」の考え方、および「総合学力」をバランスよく育成する上での「総合教育力モデル」の考え方については、Bene s s e 教育研究開発センター HP(http://benesse.jp/berd/index.shtml)に掲載の「学力向上のための基本調査2003」報告書、並びに同「基本調査2004」中間報告書をご参照ください。なお、これまでの調査を通して使用してきた「総合学力モデル」における「生きる力」の名称は、今回の「学力向上のための基本調査2006」より「社会的実践力」と変更していますが、構成要素の概念自体に変更はありません。

本調査では、先行する「学力向上のための基本調査2003」で検証した「総合学力モデル」を踏まえ、「総合学力」を

構成する「教科学力」「学びの基礎力」および「社会的実践力」の合成学力(バロメーター)として「読解力」を捉えるとと

もに、その育成に際しては同「基本調査2004」で検証した「総合教育力モデル」に沿った総合的な取り組みが不可欠

であるとする基本仮説に基づいて調査の設計を行った。

1

「学力向上のための基本調査2006」における基本仮説の構造

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「総合学力」を育む「総合教育力」充実に  

読解活動の 3つのフェーズ

(Ⅲ) 日常の 学習指導 における 教育技術 向上

(FAN)

(Ⅱ) 読解力向上に 関わる教育環境 の整備・充実

(FAN+MORE)

(Ⅰ) 読解力向上を

支える学校基盤の マネジメント

(MORE)

「家庭の教育力(DIP)」の充実・強化 「教師の指導力(FAN)」  

(Ⅳ) 家庭における 豊かな働きかけ

(DIP)

(イ)多様なテキストとの出合い A. 文章全般(連続型)    物語、解説、議論、指示、記録 etc.

B. 資料全般(非連続型)    図・グラフ、表、地図、絵、写真 etc.

C. Live資料(実物・現物)

多様な内容/幅広い範疇

(ロ)読 解    

(認識力)

読む力 視る力 聴く力

Ⅲーa

各教科での多彩な情報活用の取り組み

学校教育活動全般を   

①知識・ 語彙拡大

②視野の 拡大

③論拠や 裏づけ

④課題解決 活動

⑤イメージ 化と操作

⑥ICTの 有効活用

Ⅱーa

豊かな素材に触れる環境の整備・充実(Ⅰーbに準ずる)

①学校図書 館の活用

②公共施設 の活用

③ICTの 充実活用

④言語環境 の整備

Ⅰーb Ⅰーc教育資源・環境の有効利用

①学校図書 館の活用

②公共施設 の活用

③ICTの 充実活用

④言語環境 の整備

教育課程の整備   

①全体計画 の策定

②評価基準 の作成

Ⅱーb

読解力育成を支える豊かな教育カリ    

Ⅰーa 基本方針の設定と共通理解の推進

①各教科で の基本的指導

②読書活動 NIE活動

③課題探求 活動

Ⅲーb問題意識や意欲の喚起

①ゆさぶり 発問

②主体的 な読み

③学習の 必然性

④活動の 目的意識

Ⅲーc学び合う集団の形成

①モラール の向上

②思考の 練り上げ

③相互理解 ・尊重

④健全な 人間関係

〈P.18〉

〈P.11~13・15・16〉

〈P.14〉

〈P.17〉

①育成の基本方針 ②現状・課   題

2

上図では、本調査における基本仮説③に関する「読解力向上の総合的な働きかけ」の項目を、「教師の日常的指導」

「教育課程・環境の整備・充実」「学校経営基盤」の観点から3層に構造化したモデル仮説を示す。まず第3層目(Ⅲ)

では、日常の学習指導における個々の教師から子どもへの直接的な働きかけに関するものを、子どもの読解活動の3

つのフェーズ(「(イ)多様なテキストとの出合い」「(ロ)読解活動のプロセス」「(ハ)実生活の問題状況での主体的行動」)

に沿って整理し、総合教育力モデルの「FAN」に相当するものとして設定した。

次の第2層目(Ⅱ)では、教師個人の属人的な指導ではなく、豊かな教育カリキュラムの整備や諸活動の場の設定等

の学校全体としての組織的な取り組みに関するものを取り上げ、総合教育力モデルの「FAN」および「MORE」の双方 →

「読解力向上に関する取り組み」の構造モデル

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 向けたグランドデザインの構築と実践

 の充実・強化 「学校の経営力(MORE)」の充実・強化

(Ⅳ) 家庭における 豊かな働きかけ

(DIP)

(ハ)実生活の問題状況での

   主体的行動

  活 動 の プ ロ セ ス

(思考力)

理解力 論理力 吟味力

(表出力)

書く力 話す力 示す力

Ⅲーg

読解活動へと誘う 強化因子の付与

  通して展開される教師の総合的な働きかけ

Ⅰーd  ・充実

③具体的 指導方法

④教科・ 総合の連携

推進組織・協力体制の充実

①推進組織 の設置

②研修・ 授業研究

③教師の 資質向上

④保護者・ 地域との連携

⑤学級経営の在り方

Ⅱーc

実社会への適用の場や機会の設定

①総合的学習 ②各種 コンクール

③家庭での 活動

④地域への 発信

  キュラムの整備・充実

④グループ 協働活動

⑤ディベート 討論活動

⑥メディア 表現活動

⑦職場体験 キャリア教育

Ⅲーd基本スキル指導と演習

①基本的 法則指導

②論理的 思考訓練

③表現活動 の指導

④国語科の 指導適用

Ⅲーe適切な課題・教材の開発

①知的好奇 心喚起

②意思決定 の要請

③複数解あ る課題

④リアリティ ある課題

Ⅲー fモニタリングスキルの育成

①メタ認知 力育成

②振り返り 活動

③見通しと めやす

①必然性の 自覚

②挑戦意欲 の喚起

③効用・意 義の実感

④実社会の 壁経験

〈P.18〉

③教育目標の設定 ④共通認識の促進   題の把握

3

の性格を持つものとして設定している。最後の第1層目(Ⅰ)では、学校全体としての「読解力」向上の働きかけを支

える学校教育基盤の経営方針や運営に関わるものを総合教育力モデルにおける「MORE」の観点から整理している。

また、第3層の左右には、総合教育力モデルにおける「DIP」の観点から、「読解力」の向上に際する「家庭における豊

かな働きかけ」に関する項目を配置している。なお、本調査では、上記の構造モデルに沿う形で教師・校長・保護者

への調査項目を設計し、基本仮説の検証を目指している。(総合教育力モデルの詳細については、「調査概要」ページ

下のURLを参照してください。)

※上図中に示したページ番号は、該当する調査結果等の本中間報告書における掲載ページを示します。

前ページに示した「基本仮説③」について、「読解力向上プログラム」

(平成17年 文部科学省)を参考に、学校を中心とした「読解力」向上

に関わる諸取り組みを構造化したモデルを下図に示す。

「読解力向上に関する取り組み」の構造モデル

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4

「読解力」測定の問題作成に当たっては、OECDの PISAの調査で出題された「読解力」の問題に準拠したものになるよう配慮した。(PISA型の「読解力(Reading Literacy)」は、「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」と定義されている(文部科学省HPhttp://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku/siryo/05122201.htm参照)。ここでの「読解力」とは、我が国の国語教育等で従来用いられていた「読解」ないしは「読解力」という語の意味するところとは大きく異なっていることに注意したい。)各問題は、PISAの問題に準じて「情報の取り出し」「解釈」「熟考・評価」の観点に対応した設問で構成し、観点別に結果が集計できるようにした。今回の調査では、小5生と中2生に対して、すべて共通の問題を出題し、学年による解答傾向の違いを測定できるようにした。

「読解力」の測定-問題と解答状況

「読解力」測定の問題構成

問題

出 題 内 容

野菜の値上がりを報じる新聞記事の内容を読み取り、適切なタイトルをつけ、記事中の表現形式を

批判的に評価して自分の考えを述べさせる。

料理のレシピを書いた文から情報を読み取り、さらに内容を批判的な観点から(料理の失敗を防ぐ

ために)改善させる。

米の生産量と耕地面積の推移を示すグラフとその説明文から、情報を読み取り、テキストに記され

ている根拠に基づいて特定期間の米の生産量が増加した理由を述べさせる。

道順を示した地図から情報を読み取るとともに、不適切な道順の説明文を地図に基づいて正しいも

のに修正させる。

問題の例

上記の「1」の実際の問題を以下に示す。

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5

解答の状況

図表3-1 通過率の分布図表3-1は、今回の問題に対する通過率を小5生と中2生で対比して示したものである。いずれも、80%~90%でピークとなっている(平均通過率は、小5生:71.0%、中 2生:79.9%であり、小5生→中2生で8.9%の伸びを示している(図表3-2))。90%以上の通過率の合計割合は、小5生に比べて中2生で3.5倍程度に増えており、小5生→中2生の間での子どもの成長を示している。(※図表3-1中の「~●%」は●%未満を示す。)

0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

小5生

中2生

0%

0.5

0.6

~10%

0.6

0.4

~20%

1.3

0.7

~30%

2.7

1.4

~40%

1.9

1.1

~50%

6.5

2.8

~60%

13.3

6.5

~70%

19.5

12.9

~80%

14.2

11.2

~90%

28.4

31.9

100%

2.7

12.0

~100%

8.4

18.5

小5生

中2生

通過率帯

構成割合(%)

図表3-2 問題の設問別解答状況

1

2

3

3

4

4

1

1

2

3

4

1

2

3

1

2

2

表の読み取り

文章の読み取り

文脈に即したタイトル付け(タイトル)

文脈に即したタイトル付け(理由)

文脈に即した表の工夫(工夫)

文脈に即した表の工夫(理由)

表の読み取りと量の計算(たまねぎ)

表の読み取りと量の計算(じゃがいも)

文章の読み取り

文章の読み取り

文章の工夫・改善

グラフの読み取りと計算

グラフの解釈

グラフの理由の記述

地図の読み取り

地図を用いた道順の説明(どこ)

地図を用いた道順の説明(どのように)

62.5

74.8

12.3

80.2

85.8

5.6

73.9

94.0

91.8

88.0

65.2

72.3

66.0

79.6

17.2

54.5

70.2

31.8

87.1

80.3

86.8

75.0

73.4

71.0

82.3

96.0

92.2

88.1

74.5

77.2

82.7

90.5

41.6

64.5

76.3

54.5

92.3

84.9

94.4

84.0

82.0

79.9

8.9

8.5

2.0

0.4

0.2

9.3

4.9

16.7

11.0

24.4

10.0

6.1

22.7

5.2

4.6

7.6

9.0

8.6

1.0

1.9

2.7

4.0

8.6

9.6

0.7

0.6

0.6

1.5

9.8

3.9

4.0

9.7

1.4

3.3

4.0

5.2

1.5

1.7

4.2

5.5

9.5

10.3

1.0

0.8

1.1

1.7

12.8

4.4

4.1

6.9

1.4

2.7

3.1

5.6

0.4

0.5

-0.2

1.4

1.5

0.9

0.7

0.3

0.3

0.5

0.2

3.0

0.5

0.1

-2.8

0.0

-0.6

-0.9

72.7

79.8

7.1

小 問

大 問

1

2

3

4

問題番号

出 題 内 容

出題の観点 通過率 無解答率

情報の

取り出し

解  釈

小5生

中2生

小5生

中2生

熟 考・

評 価

小5生平均

中2生平均

中2生平均と小5生平均との差

中ー小 中ー小

小5生→中2生で、「情報の取り出し」の伸びに比べて、「解釈」「熟考・評価」の伸びは小さい。

解答状況を詳細に見ると(図表3-2)、「情報の取り出し」の伸びが12.3ポイントであるのに対して、「解釈」「熟考・評価」は、それぞれ、5.6ポイント、7.1ポイントと相対的に小さく、「考える力」の育成に課題があることを示唆している。また、無解答率は、全体としてPISAの結果ほど高くはないが、中2生のほうが小5生よりもやや高い結果を示していることに注意したい。

「読解力」の測定ー問題と解答状況

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6

下の図表は、小5生について、「読解力」のスコアと、国語全体ならびに各観点別の成績との関係(図表4-1)、および、同様に算数全体ならびに各観点別の成績との関係(図表4-2)を示している。

「読解力」と、国語や算数(数学)の教科学力との間には正の相関がある。

「読解力」と教科学力との関係

図表4-1「読解力」と国語の成績との関係 <小5生>「読解力」のスコアと、国語ならびに算数の成績とは、ともに正の相関関係が認められ、「読解力」は、国語のみならず算数の学力とも密接な関係があることを示唆している。

観点別の相関をみると、国語では、「読む力」との相関が最も強く、「話す力・聞く力」との相関が最も弱いことがわかる(ただし、国語の学力到達度調査では、「話す力・聞く力」の観点の出題は、音声の聞き取りに基づく出題となっており、「話す力」の観点を直接測定するものではないことに注意)。他の観点も、相関係数(-1 ≦r≦1)で、0.6程度の相関を示している。

算数では、「数量や図形についての表現・処理」との相関が最も強く、「数学的な考え方」との相関がやや弱いという結果になっているが、後者についても、0.6程度の相関係数となっている。

以上のことは、「読解力」の向上は国語や算数の教科学力の育成とは無関係ではないことを示している。しかし、同時に、相関係数が0.6程度であることから、「読解力」向上のためには必ずしも現行の教科の指導に還元できない指導要素もあることがうかがえる(例えば、「学級力」の育成など)。

中2生についても、同様な傾向を示しているが、国語、数学ともに「読解力」との相関がやや弱くなる傾向がある(国語:0.65、数学:0.62)。「読解力」との相関が最も強い観点は、国語、数学ともに小5生の場合と同じである。「読解力」との相関は、数学に比べて国語のほうが相対的に強くなっている。

30.0

40.0

50.0

60.0

「読解力」スコア(偏差値)

下位群 中位群 上位群

34.9

51.6

57.7

国語全体 話す力・聞く力   書く力 読む力 言語についての知識・理解

下位群・中位群・上位群は、それぞれ、国語全体または各観点別の成績を偏差値換算した場合の、偏差値40未満、40以上60未満、60以上に該当する子どものグループを示す。「-」印は、該当なしを表す。下記も同様。

国語全体

話す力・聞く力  

書く力

読む力

言語についての知識・理解

「読解力」スコア(偏差値)

下位群

34.9

42.7

37.4

35.7

38.6

中位群

51.6

49.6

50.3

52.1

50.9

上位群

57.7

53.7

55.5

56.6

「読解力」と の相関係数

0.68

0.31

0.58

0.63

0.60

国語全体&観点別成績群

図表4-2「読解力」と算数の成績との関係 <小5生>

30.0

40.0

50.0

60.0

「読解力」スコア(偏差値)

下位群 中位群 上位群

37.1

51.1

57.6

算数全体  数学的な考え方 数量や図形についての表現・処理 数量や図形についての知識・理解

算数全体 

数学的な考え方

数量や図形についての表現・処理

数量や図形についての知識・理解

下位群

37.1

40.5

38.7

39.1

中位群

51.1

50.8

50.9

51.7

上位群

57.6

56.8

57.1

57.5

0.69

0.59

0.66

0.64

算数全体&観点別成績群

「読解力」と の相関係数

「読解力」スコア(偏差値)

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「学びの基礎力」について見た「読解力」上位層の特徴的プロフィール

7

図表5-1「読解力」と「学びの基礎力」各項目との関係

設 問 群 小5生 中2生

「読解力」スコア(偏差値)

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

50.4

48.0

50.5

46.6

51.3

47.5

51.1

47.4

50.7

44.6

50.5

46.9

50.6

45.4

51.5

48.3

52.4

47.6

52.1

47.6

51.1

44.1

51.0

47.9

51.6

47.4

50.9

47.4

51.7

47.1

50.3

47.9

50.5

47.3

51.4

47.8

51.0

48.2

50.5

48.7

50.2

48.9

50.5

46.4

51.3

49.1

52.2

47.7

51.6

48.3

51.3

46.2

50.7

48.9

52.4

47.5

50.7

48.0

51.4

47.3

自分の考えや気持ちを理解してくれる友

だちがいる。

家族は自分のことを気にかけてくれてい

ると思う。

学校の先生は、自分のことを認めてくれ

ていると思う。

学習していて、おもしろい、楽しいと思

うことがある。

学習して身につけた知識は、いずれ仕事

や生活の中で役に立つと思う。

努力すれば、自分もたいていのことはで

きると思う。

ものごとを最後までやりとげて、うれし

かった事がある。

自分で勉強の計画を立てている。

授業で習ったことはそのままおぼえるのではなく、その理由や考え方も一緒に理解しようとしている。 授業で習ったことを、自分なりにわかり

やすくまとめている。

宿題はきちんとやっている。

興味を持ったことを、自分から進んで勉

強している。

わからないことはそのままにせず、わか

るまで努力している。

人の話は最後まで、きちんと聞いている。

熱心に授業を受けている。

豊かな基礎体験

学びに向かう力

自ら学ぶ力 学びを律する力

図表5-2「読解力」と「学びの基礎力」との関係

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

高↑  「読解力」スコア   ↓低

中2生 小5生

L1 L2 L3 L4 L5

低←  「学びの基礎力」のレベル   →高

「読解力」と「学びの基礎力」との関係

図表5-1の設問は、「学びの基礎力」4領域に関わる設問のうち、「読解力」との間の相関が顕著な項目を抽出したものである。各項目で「とてもあてはまる」および「まああてはまる」と回答した者を「肯定群」、「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」と回答した者を「否定群」として分類し、両群の「読解力」スコアを比較している。右の図表5-2は、子ども各人について下表のすべての設問の回答スコアの合計を5つの段階にレベル分けし、そのレベルと「読解力」スコアとの関係を示したものである。下表に表れている各設問の「読解力」スコアへの寄与が累積的に積み上がっていることが見て取れる。(この結果は、前回報告した教科学力と「学びの基礎力」との関係と同様である。)

「学びの基礎力」が高い子どもほど「読解力」が高い。

豊かな基礎体験

学びに向かう力

自ら学ぶ力

学びを律する力

①家族や友人、教師との良好な信頼関係ができている。②知的好奇心や感性が豊かで、学習の楽しさやおもしろさを感じている。③学習の役立ちや大切さを積極的に認めている。④物事をやり遂げた経験や喜びを味わっている。⑤繰り返しだけでなく、関連させて覚えるという方略も取り入れている。⑥学習の計画やめあてを持って取り組んでいる。⑦家庭での学習時間を確保し、宿題をきちんとやっている。⑧分からない事はそのままにせず、分かるまでがんばっている。⑨学校の授業を大切にしている。

※上に見たプロフィールは、教科学力上位層に対するものと同じであり、「学びの基礎力」は、教科学力だけでなく、「読解力」向上についても共通した基盤となっていると考えられる。

「学びの基礎力」のレベルは、左の表にある設問の回答スコア合計に基づき、上位から7%、24%、38%、24%、7%の割合に準ずる形でL5から L1の 5段階を設定している。次ページの「社会的実践力」についても同様。

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8

「読解力」と「社会的実践力」との関係

図表6-1 「読解力」と「社会的実践力」各項目との関係 

群 「読解力」スコア(偏差値)

小5生 中2生 設 問

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

52.0

47.2

52.1

47.6

52.2

48.3

52.0

48.1

51.8

48.2

52.1

47.8

51.3

47.4

51.8

48.3

51.3

47.1

51.1

48.3

51.9

47.3

51.7

45.9

50.5

49.7

50.5

45.4

51.5

47.9

51.9

47.4

52.1

47.6

51.8

48.5

51.7

48.6

52.3

48.7

52.3

48.1

50.9

48.4

51.4

49.0

51.1

46.9

50.9

48.9

51.9

46.1

51.0

48.8

51.3

46.9

50.4

44.4

51.5

48.3

調べてわかったことをもとに、考えをま

とめることができる。

筋道を立てて、ものごとを考えることが

できる。

さまざまな角度からものごとを考えるこ

とができる。

自分の意見や考えを相手にわかりやすく

伝えることができる。

筋道のはっきりとしたわかりやすい文章

を書くことができる。

調べたことを、コンピュータを使ってまと

めたり、発表したりすることができる。

テレビのニュースや新聞などを見て、世

の中のできごとをよく知っている。

社会で問題になっていることについて、

どうすればよいかを考えたことがある。

自分がやらなければならないことは、責

任を持ってやりぬくことができる。

むずかしいことでも、失敗をおそれない

で取り組んでいる。

自分とちがう意見も大切にしている。

自分の意見や考えの誤りに気づいた時に

は素直に取り下げることができる。

どんな仕事が自分に適しているのかを知

っている。

自分の力をできるだけ伸ばしたいと思う。

自分は、周りの人から認められていると

思う。

問題解決力

社会参画力

豊かな心

自己成長力

図表6-2「読解力」と「社会的実践力」との関係 

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

高↑  「読解力」スコア   ↓低

L1 L2 L3 L4 L5

低←  「社会的実践力」のレベル   →高

中2生 小5生

前ページと同様に「社会的実践力」の自己評価と「読解力」スコアとの関係を見たものが下の表とグラフである。

「社会的実践力」が高い子どもほど「読解力」が高い。

※上で見たプロフィールは、「学びの基礎力」の場合と同様に、教科学力上位層に対するものとの共通点が多く見出される。

中2生では、L4→L5で、「読解力」スコアの低下が見られるが、全体として「学びの基礎力」の場合と同様な関係が見られる。

今回の報告では、「学びの基礎力」「社会的実践力」と教科学力との関係の報告は省いていますが、これらの詳細については、ベネッセ教育研究開発センターのWebサイトに掲載されているものを参照してください。

「社会的実践力」について見た「読解力」上位層の特徴的プロフィール

問題解決力

社会参画力

豊かな心

自己成長力

①筋道を立てて、かつ、多角的に物事を考え、自分なりの意見を持っている。

②調べたことや考えたことを適切な手段で表現している。③社会に対する関心が高く、自分なりの貢献の在り方を考えている。④自分に与えられた課題は、きちんと責任を持ってやり遂げている。⑤難しいことにも失敗を恐れず挑戦する積極性を持っている。⑥自分と異なる意見も尊重し、協調しながら物事に取り組んでいる。⑦自分の誤りに気付いたときには素直に訂正する柔軟性がある。⑧自分の力を伸ばしたいという意志と目標を持っている。

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9

「読解力」は読書の量が増えても頭打ちになる傾向があり、子どもたちの読書指導に改善の余地がう

かがえる。

図表1から、小5生、中2生ともに、1ヶ月に読む本の数は1~3冊の子どもが最も多いことがわかる。1冊も本を読んでいな

い子どもが小5生で約1割、中2生では約3割となっており、中学になると小学校時代よりも本を読まなくなる傾向を示してい

る(図表1中の数値の合計が100%にならないのは、無回答ならびに100冊以上の記入のあった子どもは除外しているため)。

図表2は、読む本のジャンルについて、「1.よく読む」「2.ときどき読む」「3.あまり読まない」「4.まったく読まない」の4

件法で問うた設問の回答結果を示したものである(「1.よく読む」「2.ときどき読む」についてのみ表示)。小5生、中2生ともに、

「小説や物語・紀行文・随筆・童話などの文学の本」を読む割合が最も高くなっているが、次いで割合が高いのは、小5生では

「歴史や偉人の伝記の本」であるのに対して、中2生では「音楽や美術、演劇など芸術に関する本」となっており、小5生→中2生

の読書傾向の変化が見てとれる。この読書傾向の変化は、子どもの成長に伴う必然的な変化の側面も考えられるが、「自然科学

や技術に関す本」や「産業に関する本」などでの小5生と中2生の間の大きな違いは、理科離れや社会への関心の希薄化を反映し

ている可能性もある。子どもの視野を広げさせ、自然・社会・人間に関する幅広い知識や関心を培っていくことは、高い「読

解力」を達成していくためにも大切であり、そのためにも、「文学」関係に偏りがちな今の読書傾向から、多様な分野の本(や情

報源)にも興味を持たせ目を向けさせるような指導が求められていると考えられる。図表3は、「読解力」が読書の量が増えても伸びず、

1ヶ月に4~5冊程度のところで頭打ちになっている状

態を示している。もとより「読解力」は読書の量のみに

規定されるものではない。しかし、OECDのPISA調

査から、国立教育政策研究所の有元秀文総括研究官が、

読書時間と「読解力」の関係について、日本と「読解力」

世界一のフィンランドとの結果を比較分析した結果に

よると、フィンランドの子どもの場合、読書時間が多

くなるほど「読解力」の成績が高まる関係があるのに対

し、日本の子どもは、読書時間が多くなっても「読解

力」は頭打ちになっている傾向が示されており、今回

の結果は、これに相通じるものと考えられる。

日本の子どもたちの読書の在り方に改善の余地があ

ることを端的に示すものと言えよう。(上記のフィンランドと日本の子どもの比較分析の詳細について

は国立教育政策研究所有元秀文総括研究官のHPを参照。)

0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0小5生

中2生

0冊 1~3冊 4~5冊 6~9冊 10~14冊 15冊以上

11.7

37.5

53.6

19.8

7.7

2.5 2.4 2.4

10.8 9.7

28.9

8.3

構成比率(%)

本のジャンル

小5生(%) 中2生(%)

1.よく読む

2.ときどき読む

計 1.よく読む

2.ときどき読む

小説や物語・紀行文・随筆・童話などの文学の本

歴史や偉人の伝記の本

政治や経済、法律などの社会科学に関する本

自然科学や技術に関する本

哲学や宗教に関する本

社会問題・時事問題を扱った本

農業・工業・商業・通信や貿易など産業に関する本

音楽や美術、演劇など芸術に関する本

その他

31.9

14.0

1.6

8.4

1.1

2.4

3.8

7.0

9.9

32.8

25.1

6.6

19.4

4.9

8.8

12.4

17.3

7.4

64.7

39.1

8.2

27.8

6.0

11.2

16.2

24.3

17.4

35.9

4.1

1.1

2.6

1.0

1.7

1.1

5.0

5.3

21.0

10.7

3.4

7.7

3.7

5.5

2.4

12.0

3.5

56.9

14.8

4.5

10.3

4.7

7.2

3.5

16.9

8.9

(複数回答)図表1「最近の1ヶ月」の読書量の分布 図表2 読む本のジャンル

0冊 1~3冊 4~5冊 6~9冊 10~14冊 15冊以上

中2生

小5生

「読解力」スコア(偏差値)

「最近の1ヶ月」の読書量

45.0

47.0

49.0

51.0

53.0

55.0

図表3 読書量と「読解力」との関係

1 「読解力」と読書指導との関係

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10

多様な分野の本を幅広く読んでいる子どもほど「読解力」が高い傾向がある。

図表4は、前ページの図表2に示す読書のジャ

ンルについて、各ジャンルの回答合計に基づき、

上位から7%、24%、38%、24%、7%の割合に準ず

る形でL5からL1の5つのレベルを設定し、「読

解力」スコアとの関係を見たものである。このレ

ベルが高い子どもほど、多様なジャンルの本を

幅広く読んでいる子どもに相当している。図表

からわかるように、レベルが高くなるとスコア

の伸びはやや鈍化するものの、読書の多様性レ

ベルが高くなるほど「読解力」スコアが高くなる

傾向を示している。前ページで触れたように「幅

広い読書」の大切さを実証している。

L1 L2 L3 L4 L5

「読解力」スコア(偏差値)

低←     読書の多様性レベル      →高

45.0

47.0

49.0

51.0

53.0

55.0

中2生

小5生

図表4 読書の多様性レベルと「読解力」との関係

適切な読み方や読んだ内容の活用の指導が「読解力」を高める。

図表5は、前ページの図表3に示したものを、

中2生について、「読んだ本や調べた資料を要約

したり、自分の意見を書いたり発表したりする」、

および、「教科書や読んだ本の文章を、根拠や理

由を示しながら批評し合う」という2つの読書

(読解)指導を受けた経験の有無で分けて見たも

のである。

読書量は増えても「読解力」は頭打ちという傾

向は変らないものの、当該の読書指導の経験の

肯定群は、否定群に比べて、どの読書量の段階

でも「読解力」スコアが高くなっており、とくに

「6冊以上」は、両群の格差が最も開いている。

このことは、本は読み放しにするのではなく、

適切な読書指導を行うことの重要性を示している。

言うまでもなく、ここで読書指導としてあげ

た取り組みは、その例にすぎない。「読解力」の

向上につながる読書指導は、これら以外にも豊

かに構想してくことが可能だろう(今回の調査に

おいて設定した「読解力向上のための取り組み」

の項目参照(巻末資料編))。

現在、「朝の読書タイム」などで「ただひたすら

読む」ことをコンセプトにした読書活動に取り組

む学校も多い。今回の結果は、必ずしもこの活

動自体を性急に改めることを求めるものではな

く、学習活動全体の中で、適切に読書指導が組

み込まれることの必要性を示唆しているもので

あることを付記しておきたい。

0冊 1~3冊 4~5冊 6冊以上

否定群

肯定群

「読解力」スコア(偏差値)

「最近の1ヶ月」の読書量

45.0

47.0

49.0

51.0

53.0

55.0

48.7

46.7

52.8

50.0

51.9

50.4

51.0

46.8

図表5 読書指導を受けた経験の有無と「読解力」との関係 <中2生>

1(つづき)

肯定群:下記の2つの問をいずれも「とてもあてはまる」「まああてはまる」と肯定的に回答している子ども

否定群:下記の2つの問をいずれも「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」と否定的に回答している子ども

問14-4「読んだ本や調べた資料を要約したり、自分の意見を書いたり発表したりする。」

問14-5「教科書や読んだ本の文章を、根拠や理由を示しながら批評し合う。」

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11

「読解力」向上につながる教師の働きかけ

「教師の日常的な学習指導(Ⅲ)」に関する回答状況と「読解力」スコアとの関係

上記の各グラフは、前述P.2~3の「読解力向上に関する取り組み」の構造モデルに示した「(Ⅲ)日常の学習指導における教育技術の状況」を問う設問の中から各カテゴリーの特徴を示す項目を抽出し示している。各項目の回答状況によって教師を4群に分類した上で、

各群教師が担当するクラスの「読解力」スコア(平均偏差値)を比較している。(なお、中学教師については、第2学年担当教師団各人の回答状況と中2生全体の「読解力」スコアとの比較を行っている。)また、グラフ中にマーカーが表示されていないものは、

該当する項目の回答数が「0」であることを意味している。(後述の図表7-5・図表8-1もこれに準ずる)

1

問6-12 新聞や雑誌記事等の幅広い素材を用いて、現代的な課題や社会事象を含めた知識や語彙を豊かにさせる工夫をしている。

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

「読解力」スコア(偏差値)

中2生

小5生

1)「多彩な情報活用の取り組み(Ⅲーa)」に関する項目

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

問6-20 文章や資料を読ませる際は、何のために読むのか、読んでどうするのかを子どもたちにいつも意識させるようにしている。

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

2)「問題意識や意欲の喚起(Ⅲーb)」に関する項目

中2生

小5生 「読解力」スコア(偏差値)

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

問6-21 クラス全体として協力して成し遂げるような課題やテーマを用意するなど、クラスのモラール向上を心がけている。

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

中2生

小5生

3)「学び合う集団の形成(Ⅲーc)」に関する項目

「読解力」スコア(偏差値)

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

問7-13 国語科でなされている「読解指導」の内容や方法を、他の教科指導でも応用・適用する。

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

中2生

小5生

4)「基本スキルの指導と演習(Ⅲーd)」に関する項目

「読解力」スコア(偏差値)

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

問7-16 子どもたちの知的好奇心を刺激し、挑戦意欲を喚起するような素材や課題、教材を開発し、授業を構成する。

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

5)「適切な課題や教材の開発(Ⅲーe)」に関する項目

中2生

小5生 「読解力」スコア(偏差値)

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

問7-20 学習活動を行った後や、テストの見直しの際に、その時の自分の行動や考えを振り返らせたり、理由を思い返らせたりする。

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

6)「モニタリングのスキル育成(Ⅲーf)」に関する項目

中2生

小5生

「読解力」スコア(偏差値)

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

問6-19 話すこと、読むこと、書くことの必然性やリアリティを高めるような教材や学習の場を計画的に用意している。

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

7)「読解へと誘う強化因子の付与(Ⅲーg)」に関する項目

中2生

小5生

「読解力」スコア(偏差値)

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

図表7-1「教師の日常的な学習指導状況」と子どもの「読解力」スコアのクロス

「読解力」向上に関わる「日常的な学習指導の状況」を問う項目について積極的に肯定している教師が担当した子どもほど、「読解力」スコアが高くなる傾向が見受けられる。

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12

「教師の日常的な学習指導(Ⅲ)」に関するスコアと「読解力」スコアとの関係2

図表7-2「日常的学習指導」カテゴリーと「読解力」スコアのクロス

小学校においては、「問題意識や意欲の喚起」など「読解力」向上に関わる「日常的な学習指導」に関する各カテゴリースコアが高い教師が担当した子どもほど、「読解力」スコアが高くなる傾向が見受けられる。

各教科での多彩な情報活用(Ⅲ-a) 問題意識や意欲 の喚起(Ⅲ-b) 学び合う集団の 形成(Ⅲ-c) 読解の基本スキルの指導(Ⅲ-d) 適切な課題や教材の開発(Ⅲ-e) モニタリングスキルの育成(Ⅲ-f) 読解活動への誘い(強化)(Ⅲ-g) 「日常的な学習指導」総合スコア(Ⅲ)

小5生 中2生 小5生 中2生 小5生 中2生 小5生 中2生 小5生 中2生 小5生 中2生 小5生 中2生 小5生 中2生

47.5 48.8 45.4 52.5 46.9 56.3 50.6 48.6 50.3 49.5 48.5 51.0 48.3 47.4 47.2 50.0

50.4 48.5 50.3 47.7 50.3 46.9 48.7 49.8 49.2 48.6 49.2 49.7 50.0 50.0 49.4 48.3

51.3 54.1 54.5 55.9 52.4 50.4 55.3 53.5 53.7 55.9 55.6 50.3 52.5 52.8 55.4 55.9

3.8 5.3 9.0 3.4 5.4 -5.9 4.7 4.9 3.4 6.5 7.1 -0.7 4.2 5.5 8.1 5.9

カテゴリー 下位群 中位群 上位群 上位-下位 教師分類

「読解力」スコア

データの読み取り

上記の図表7-2からは、「読解力」向上に関する「日常の学習指導状況」の各カテゴリースコアで教師を上・中・下位の3群に分類した時、小5生ではほとんどのカテゴリーにおいて、各群教師が担当する子どもの「読解力」スコアは上位群>中位群>下位群となり、「日常の学習指導状況」と子どもの「読解力」スコアとの間にはおおむね正の相関関係があることがうかがえる。しかし、中2生では、「学び合う集団の形成(Ⅲ-c)」等

のように上位群と下位群のスコアに逆転が見られるなど、積極的な正の相関関係はうかがえない。ただ、中2生においても「多彩な情報活用(Ⅲ-a)」や

「読解の基本スキルの指導(Ⅲ-d)」「読解活動への誘い(Ⅲ-g)」などでは緩やかながらも正の相関関係が見受けられ、これらのカテゴリーは学年(発達段階)に関わらず重要な育成の視点であると考えられる。逆に、「学び合う集団の形成(Ⅲ-c)」や「モニタリング

スキルの育成(Ⅲ-f)」などは、小5生で有意な正の相関が見られる反面、中2生では負の相関の傾向も見られることから、上位群と下位群の差異が相対的に大きい「問題意識や意欲の喚起(Ⅲ-b)」を含めて、これらの3項目は小学生段階においてより重視すべき視点であると推察される。図表7-3は、図表7-2の「日常的な学習指導」総合ス

コア(Ⅲ)と「読解力」との関係をグラフにしたものである。小5生については、図表7-2に示す「読解力」向上の日常的な取り組みを総合的に行っている教師が担当する子どもほど、「読解力」スコアが高くなる傾向が明らかである。

<註>左表では、前述の「読解力向上に関する取り組み」

構造モデルに示した「(Ⅲ)日常の学習指導における教育技術の状況」を構成するⅢ-aからⅢ-gまでの各カテゴリーに属する設問に対する各教師の回答状況を数値化し、その合計スコアによって教師を上位・中位・下位の3群に分類した上で、各群教師が担当しているクラスの「読解力」スコア(平均偏差値)を比較している。なお、各設問の回答状況は「とてもあてはまる;4」

「まああてはまる;3」「あまりあてはまらない;2」「まったくあてはまらない;1」として数値化し、カテゴリー毎に集計のうえ、偏差値換算を行い、40未満を下位群、40~60を中位群、60超を上位群として分類している。各カテゴリーに属する項目については、巻末資料

編を参照。

図表7-3「学習指導」総合スコアと「読解力」の関係

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

下位群 中位群

「学習指導」総合スコア(Ⅲ)による教師の分類

上位群

「読解力」スコア(偏差値)

中2生

小5生

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13

「日常的な学習指導(Ⅲ)」における3領域のパターンと「読解力」との関係3

パターン 情報活用の取り組み 総合的働きかけ 読解活動への誘い

     小5生      中2生

A 〇 〇 〇 58.1 55.3

B 〇 〇 × 51.8 44.3

C 〇 × 〇 46.5 46.4

D × 〇 〇 48.2 41.5

E 〇 × × 48.7 46.1

F × 〇 × 49.7 67.4

G × × 〇 46.1 56.9

H × × × 47.5 49.0

「読解力」スコア(偏差値)

小5生 中2生

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0図表7-4「日常的学習指導」のパターン「読解力」スコアとの関係

小学校においては、「多彩な情報活用の取り組み」「学校教育活動全般に展開される総合的働きかけ」「読解活動への誘い」の各スコアがともに高い教師が担当した子どもは、そうでない子どもに比べて「読解力」スコアが高くなる傾向が見受けられる。前ページの  では、教師の「日常的な学習指導(Ⅲ)」における8つのカテゴリースコアと子どもの「読解力」の関

係について探り、小学校においては学習指導状況と「読解力」との間に正の相関関係が見出された。ここでは、前述の「読解力向上に関する取り組み」構造モデルに示したように、Ⅲ-aからⅢ-gの8つのカテゴリ

ーを「各教科での多彩な情報活用の取り組み(Ⅲ-a)」、「学校教育活動全般を通して展開される教師の総合的な働きかけ(Ⅲ-b~Ⅲ-f)」および「読解活動へと誘う強化因子の付与(Ⅲ-g)」の3領域に分類し、教師における各領域の総合スコアの高低のパターンによって、子どもの「読解力」スコアにどのような違いが見られるかを探った。

データの読み取り

図表7-4は、教師の「情報活用の取り組み」、「総合的働きかけ」「読解活動への誘い」の各合成スコアについて、当該教師全体の平均値以上を「○」、平均値未満を「×」として、その組み合わせによって教師を8つのパターンに分類した上で、各教師が担当する子どもの「読解力」スコアを比較したものである。小5生においては、「情報活用の取り組み」「総合的働きかけ」「読解活動への誘い」の3つの領域スコアがともに

「○」となるパターンAで子どもの「読解力」スコアは最も高く、3つの領域に対するバランスのとれた働きかけが重要であることがうかがえる。また、「情報活用の取り組み」と「読解活動への誘い」が同一のパターンとなる場合、「総合的な働きかけ」が高いケースほど、「読解力」スコアは高くなる傾向がはっきりと表れており、その影響度の強さがうかがえる。一方、中2生においては、パターンFやパターンGといったイレギュラーなケースが見られ、明確な傾向は確認できず、詳細の分析・考察は最終報告書での課題としたい。※なお、「情報活用の取り組み」「総合的働きかけ」「読解活動への誘い」の各領域に関する合成スコアの算出に際しては、「読解力」スコアとの間に相対的に強い正の相関関係を示す項目を各学年で抽出している。・小5生;「情報活用」;問6ー12、「総合的働きかけ」;問6ー20・問6ー21・問7ー3・問7ー13・問7ー15・問7ー16・問7ー20、「読

解活動への誘い」;問7ー22 (計9項目)・中2生;「情報活用」;問6ー15、「総合的働きかけ」;問6ー17・問7ー3・問7ー11・問7ー14・問7ー20、

「読解活動への誘い」;問7ー24 (計7項目)

2

「読解力」向上につながる教師の働きかけ

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14

「教育環境の整備・充実(Ⅱ)」に関するスコアと「読解力」スコアとの関係4

問8-14 インターネットの利用環境やパソコンのコンテンツの充実に努めている。

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

「読解力」スコア(偏差値)

1)「豊かな素材に触れる環境整備(Ⅱーa)」に関する項目

中2生

小5生

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

問6-3 各教科の学習指導において、課題探究型の活動を取り入れている。

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

「読解力」スコア(偏差値)

2)「豊かな教育カリキュラムの整備(Ⅱーb)」に関する項目

中2生

小5生

30.0

35.0

40.0

45.0

50.0

55.0

問6-4 各教科の学習指導において、グループでの協働や話し合い、交流等の要素を取り入れている。

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

「読解力」スコア(偏差値)

3)「豊かな教育カリキュラムの整備(Ⅱーb)」に関する項目

中2生

小5生

30.0

35.0

40.0

45.0

50.0

55.0

問6-10 学校で学んだことを、家庭や身の回りの事象に応用したり、試したりするような課題や機会を用意している。

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

「読解力」スコア(偏差値)

4)「実社会への適用の場・機会設定(Ⅱーc)」に関する項目

中2生

小5生

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

豊かな素材に触れる環境整備(Ⅱ-a) 豊かな教育カリキュラムの整備(Ⅱ-b) 実社会への適用の場・機会設定(Ⅱ-c) 教育環境の整備 総合スコア(Ⅱ)

小5生 中2生 小5生 中2生 小5生 中2生 小5生 中2生

48.6 45.1 52.4 49.5 48.5 50.9 49.1 47.9

49.7 49.4 48.2 48.9 50.6 48.5 51.1 50.1

55.2 58.5 54.2 53.4 50.2 53.8 54.8 51.8

6.6 13.4 1.8 3.9 1.7 2.9 5.7 3.9

カテゴリー 下位群 中位群 上位群 上位-下位 教師分類

「読解力」スコア

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

下位群 中位群

「教育環境整備」総合スコア(Ⅱ)による教師の分類

上位群

「読解力」スコア(偏差値)

中2生

小5生

図表7-5「校内外の教育環境の整備・充実状況」と子どもの「読解力」スコアのクロス

図表7-6「教育環境の整備」カテゴリーと「読解力」スコアのクロス 図表7-7「教育環境の整備」総合スコアと「読解力」の関係

「読解力」向上に関わる「教育環境の整備・充実」に関するスコアが高い教師が担当した子どもほど、「読解力」スコアが高くなる傾向が見受けられる。

データの読み取り

右上の図表7-7に示すように、「教育環境の整備状況」全体で見ると、「教育環境の整備状況」と子どもの「読解力」スコアとの間には両学年ともに正の相関関係があることがうかがえる。図表7-6でカテゴリー別の詳細を見ると、「豊かな素材に触れる環境の整備(Ⅱ-a)」では、両学年ともに相対的に強い正の相関関係がうかがえ、このカテゴリーに関わる項目が子どもの「読解力」スコアに対してより大きな影響を及ぼしていることがうかがえる。このことは、前述の「教師の日常的な学習指導(Ⅲ)」に関するスコアと「読解力」の関係で見たように、「Ⅱ-a」の下位概念となる「各教科での多彩な情報活用(Ⅲ-a)」において相対的に強い正の相関関係が見受けられたこととも矛盾しない。また、中2生では、「Ⅱ-b」の下位概念の一つである「読解の基本スキルの指導(Ⅲ-d)」における正の相関関係の存在が認められており、「豊かな教育カリキュラムの整備(Ⅱ-b)」における緩やかな正の相関関係はそのことを反映したものと考えられる。

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15

小学校においては、ICTを教材提示や思考支援、表現活動に積極的に取り入れている教師が担当す

るクラスの子どもほど、「読解力」スコアが高くなる傾向が見られる。

図表1では、前述の「教師の日常的な学習指導(Ⅲ)」の下位領域「各教科での多彩な情報活用の取り組み(Ⅲ-a)」の中の「⑥ICTの有効活用」に関する3項目について、「とてもあてはまる」および「まああてはまる」と回答した教師を「肯定群」、「あまりあてはまらない」および「まったくあてはまらない」とした教師を「否定群」として分類し、各群教師の担当する子どもの「読解力」スコア(偏差値)を比較している。

「ICTの有効活用」の効用は、「他のメディアによる情報活用の充実した取り組み」を前提に発揮される。

「ICTの有効利用」について、肯定・否定両群の教師が担当する子どもの「読解力」スコアを比較したところ、両学年ともに3項目全てで肯定群>否定群という結果が見られ、特に中2生では両群の差は統計的に全て有意となった。また、図表2のグラフに示すように、中2生では中位群のスコアが最も高くなるが、「ICTの有効活用」総合スコアと「読解力」スコアとの間の相関係数(0.25)からはゆるやかな正の相関関係が認められ、小5生でも教師の「ICTの有効活用」への取り組みと「読解力」との間に正の相関関係がうかがえることから、学年によって程度の差はあるものの学習指導におけるICTの活用は子どもの「読解力」向上に対しても有効であるといえる。

前述のように、学習指導における「ICTの有効活用」は子どもの「読解力」スコアとの間に正の相関関係を示したものの、それは決して強い相関とは言えない。先行する「学力向上のための基本調査2004」では、ICTの活用状況と教科学力との間に正の相関関係があることを検証したが、その効用はしっかりとした「学習指導」が計画され、実践されているという前提のもとに初めて発揮されるということも合わせて検証された。すなわち、しっかりとした「学習指導」の計画・実践のないところでは、いくらICTを活用してもその本来の効用は見込めないというものであった。(詳細については、Benesse教育研究開発センターHPに掲載の「学力向上のための基本調査2004」中間報告書参照)そこで、図表3では、基本調査2004の知見を踏まえ、小5生

担当教師における「ICTの有効活用の状況」と「ICT以外の多彩な情報活用の取り組み状況」の高低のパターンによって、子どもの「読解力」スコアがどの程度異なるかを比較している。その結果、「読解力」スコアが最も高いのは、「多彩な情報活

用スコア」および「ICT有効活用スコア」が共に平均以上のパターンAとなり、共に平均未満のパターンDが最も低くなった。また、「ICTの有効活用」は積極的に行っているが、ICT以外

の「多彩な情報活用の取り組み」が十分でないパターンCでは、「読解力」スコアは平均(50.0)に満たない。以上の結果からは、「ICTの活用」が「読解力」向上に有効とな

るためには、単にICTを用いるのではなく、「新聞や雑誌記事等の幅広い素材の活用」「文学作品だけでなく科学雑誌や実用書などの多様なジャンルの読書促進」「自らの主張や考えの根拠を様々な資料から見出す活動」等といった充実した情報活用の実践と相まっていることが重要であることがうかがえる。

問3ー9

問4ー3

問4ー4

設問番号 設 問 項 目 群 小5生 中2生

「読解力」スコア

教科書や板書では伝えにくい内容を、パソコン等による映像を用いるなどして、分かりやすく提示するようにしている。

IT機器を情報の収集・分析や思考のツールとして取り入れて、課題探究の過程で積極的に活用させている。

調べたり、考えたりしたことを、パソコン等を使って他者に効果的に伝える方法を指導している。

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

50.5

49.6

50.1

49.8

50.1

49.9

50.6

49.6

52.4

48.5

51.2

49.3

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

下位群 中位群 「ICTの有効活用(Ⅲ-a)」のスコアによる教師の分類

上位群

「読解力」スコア(偏差値)

中2生

小5生

図表1「ICTの有効活用」と「読解力」スコアのクロス 図表2「ICTの有効活用」と「読解力」の関係

上記図表2では、左表に示す3項目の総合スコア(ICTの有効活用の取り組み度)によって教師を3群に分類し、各群教師の担当する子どもの「読解力」スコアを比較している。

パターン 多彩な情報活用スコア ICT有効活用スコア 「読解力」スコア

A 〇 〇 52.3

B 〇 × 51.7

C × 〇 48.9

D × × 48.6

45.0

50.0

55.0

「読解力」スコア(偏差値)

図表3「多彩な情報活用の取り組み」×「ICT有効活用」と「読解力」の関係(小5生)

※上記図表3に示す「多彩な情報活用スコア」は、巻末資料編「読解力向上に関する取り組み」の「各教科での多彩な情報活用の取り組み(Ⅲ-a)」に属する5項目の合計スコアを基に、平均値以上を「○」、平均値未満を「×」として表示している。また、「ICT有効活用スコア」は、前述図表1に示す3項目の合計スコアから同様の手順で「○」「×」を設定している。なお、下段の「読解力」スコアでは、上記の「○」「×」の組み合わ

せから小5担当教師を4パターンに分類し、各パターンの教師が担当するクラスの「読解力」平均スコアを示している。

2 ICTの活用と「読解力」との関係

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16

小学校においては、「学び合う集団の形成」に積極的に取り組んでいる教師が担当するクラスの子ど

もほど、「読解力」スコアが高くなる傾向が見られる。

「学級力」の高いクラスで学ぶ子どもほど、「読解力」スコアは高くなる傾向が見受けられる。

さて、2000年に実施されたOECDの「生徒の学習到達度調査(PISA)」においては、クラスのモラールや人間関係等から測定される「学級雰囲気指標」は「読解力」に関連しており、学び合う集団としての学級の雰囲気の良さと「読解力」のスコアの間には正の相関関係が存在することが示されており、前述の小5生の傾向と一致する。[詳細は、「生きるための知識と技能 OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」(国立教育政策研究所,2002,ぎょうせい)を参照]そこで、視点を変え、図表3に示す「学級力」という新たな概念を導入し、子どもが自分のクラスの雰囲気をどのように捉えているかという認識と、その子どもの「読解力」スコアの関係を探ってみた。

「学び合う集団の形成」について、肯定・否定両群の教師が担当する子どもの「読解力」スコアを比較したところ、小5生では4項目全てで肯定群>否定群という結果が見られ、その差は統計的に全て有意となった。また、図表2のグラフに示すように小5生では教師の「学び合う集団形成」への取り組みと「読解力」との間に正の相関関係が認められた。一方、中2生では逆転現象が生じており、両者の間にはゆるやかな負の相関関係が認められた。しかし、この結果から中学校では「学び合う集団の形成」の働きかけは意味がないと判断することは妥当といえるだろうか。小学校におけるクラス担任制と中学校における教科担任制という学習指導体制の違いに加え、今回のデータ分析においては、小5生では「担任教師(個人)×担任クラスの子ども」としたのに対して、中2生では「学年団教師(複数)×2年生生徒全員」という単位でクロスをとっており、上記のデータには教師個人の働きかけの影響度を正しく反映できていない可能性は否めない。

3 「読解力」向上につながる「学び合う集団の形成」

問6ー21

問6ー22

問6ー23

問6ー24

設問番号 設 問 項 目 群 小5生 中2生

「読解力」スコア

クラス全体として協力して成し遂げるような課題やテーマを用意するなど、クラスのモラール向上を心がけている。

教科指導や総合学習等で、グループでの協働や交流活動を計画的に行うなど、集団思考を促し、思考を深めていく指導を行っている。

互いの個性や考え、能力の違いを理解し、尊重し、認め合うようなクラスの雰囲気を作り上げるように努めている。

クラス内での話し合いや発表の機会を積極的に設けるとともに、ふだんから何でも話し合える人間関係を築くように努めている。

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

肯定

否定

50.7

48.9

50.5

49.3

50.5

46.4

50.5

47.9

50.0

50.4

49.2

54.9

50.0

52.3

49.8

51.6

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

下位群 中位群 「学び合う集団形成(Ⅲ-c)」のスコアによる教師の分類

上位群

「読解力」スコア(偏差値)

中2生

小5生

図表1「学び合う集団の形成」と「読解力」スコアのクロス 図表2「学び合う集団の形成(Ⅲーc)」と「読解力」の関係

上記図表2では、左表に示す4項目の総合スコア(学び合う集団形成への取り組み度)によって教師を3群に分類し、各群教師の担当する子どもの「読解力」スコアを比較している。

図表3は、「学び合う集団」としての学級特性を「A.目標達成力」「B.創造的対話力」「C.協調維持力」および「D.規律遵守力」の4観点(各観点はさらに4項目からなる)から捉え、それらの合成スコアを以って「学級力」と定義するモデルを示す。(各項目の詳細は巻末資料参照)また、図表4は、各項目について、小5生が自分のクラスにどの程度あてはまるかを4段階で自己評価した結果を数値化し、

その合成スコアと「読解力」スコアの関係を示している。その結果、4つの各観点ともに「読解力」スコアとの間には明確な正の相関関係が認められた。また、データの提示は割愛するが、中2生においても、4観点ともに「読解力」スコアとの間には、小5生には及ばないものの

正の相関関係が見受けられ、学年により、程度の差はあるものの「学び合う集団の形成」は「読解力」の向上に関連していると言えることが明らかになった。今後、さらに、「教科学力」や「学びの基礎力」「社会的実践力」との関連についても明らかにするとともに、「学び合う集団の形成」がどのように理由で「読解力」向上に関わってくるのか等についても最終報告書の中で明らかにしていきたい。

A.目標達成力 B.創造的対話力

C.協調維持力 学級力

D.規律遵守力

① 目標設定力 ② 役割遂行力 ③ 改革志向力 ④ 学級評価力

① 明るい雰囲気 ② 支え合う関係 ③ 関係修復力 ④ 認め合う心

① つながり発言力 ② 他者意見の尊重 ③ 内容評価力 ④ 新規提案力

① 学習規律の遵守 ② 生活規律の遵守 ③ 学級ルールの遂行 ④ 社会規範の遵守

「読解力」スコア(偏差値)

下位群 中位群 上位群 40.0

45.0

50.0

55.0

60.0A.目標達成力 B.創造的対話力   C.協調維持力 D.規律遵守力 学級力全体

学級力スコアによる子どもの分類

図表3「学級力」を構成する4つの力(モデル案) 図表4「学級力」と「読解力」の関係(小5生)

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17

「学校経営基盤の整備・充実(Ⅰ)」に関するスコアと「読解力」スコアとの関係「読解力」向上に関わる「学校経営基盤のマネジメント」に関するスコアが高い学校の子どもほど、「読解力」スコア

が高くなる傾向が見受けられる。

問8-3 「読解力」育成を、自校の「目指す子ども像」や重点目標に組み込んでいる。

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

「読解力」スコア(偏差値)

1)「基本方針の設定と共通理解促進(Ⅰーa)」に関する項目

中2生

小5生

問8-13 公共の図書館や博物館、美術館などの文化施設の活用を促している。

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

2)「教育資源・環境の有効活用(Ⅰーb)」に関する項目

中2生

小5生 「読解力」スコア(偏差値)

問8-18 「総合的な学習の時間」や各教科での課題探究型の学習を充実させている。

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

3)「教育課程の整備・充実(Ⅰーc)」に関する項目

中2生

小5生 「読解力」スコア(偏差値)

問8-9 「読解力」育成の指導力向上のために、校内研修や授業研究の機会を設定している。

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

4)「推進組織・協力体制の充実(Ⅰーd)」に関する項目

中2生

小5生 「読解力」スコア(偏差値)

基本方針の設定と共通理解促進(Ⅰ-a) 教育資源・環境の有効活用(Ⅰ-b) 教育課程の整備・充実(Ⅰ-c) 推進組織・協力体制の充実(Ⅰ-d)「学校経営基盤整備」総合スコア(Ⅰ)

小5生 中2生 小5生 中2生 小5生 中2生 小5生 中2生 小5生 中2生

50.2 46.9 48.6 45.1 49.0 46.4 55.3 49.2 47.4 46.9

49.4 49.1 49.7 49.4 49.7 49.5 48.7 48.5 50.1 48.9

55.8 54.9 55.2 58.5 57.6 60.5 55.8 57.6 58.1 57.6

5.6 8.0 6.6 13.4 8.6 14.1 0.5 8.4 10.7 10.7

カテゴリー 下位群 中位群 上位群 上位-下位 教師分類

「読解力」スコア

下位群 中位群

「学校経営基盤整備」総合スコア(Ⅰ)による教師の分類

上位群

「読解力」スコア(偏差値)

中2生

小5生

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

図表8-1「学校経営基盤のマネジメント状況」と子どもの「読解力」スコアのクロス

図表8-2「学校経営基盤」カテゴリーと「読解力」スコアのクロス 図表8-3「学校経営基盤整備」総合スコアと「読解力」の関係

データの読み取り

上記図表8-2に示すように、「読解力」向上を下支えする学校の経営基盤のマネジメントに関する各カテゴリーのスコアとその学校の子どもの「読解力」スコアとの間にはおおむね正の相関関係があることがうかがえ、中2生においてその傾向はより顕著に見受けられる。特に、中学では「教育課程の整備・充実(Ⅰ-c)」において上位群と下位群間の差異が最も大きく、小学校に比べて相対的に強い正の相関関係があることがうかがえる。また、「Ⅰ-c」の項目の中でも、「読解力向上に向けての具体的指導」に関わる諸項目で小学校に比べてその傾向が著しく、小学校とは異なる中学校ならではの「読解力」向上の在り方を探る上での重要な視点を示していると考えられる。

「読解力」向上を支える学校経営基盤の整備

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18

「読解力」を高める家庭における豊かな働きかけ

「家庭における豊かな働きかけ(Ⅳ)」に関するスコアと「読解力」スコアとの関係「家庭における豊かな働きかけ」に関するスコアが高い保護者の子どもほど、「読解力」スコアが高くなる傾向が見受けられる。

問4-19 ふだんから本や事典類にふれさせるようにしている。

40.0

45.0

50.0

55.0

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

「読解力」スコア(偏差値)

1)「学習の構えの形成(Discipline)」に関する項目

中2生

小5生

問5-18 子どもといっしょに本を読んだり、読んだ本の感想を話し合ったりしている。

40.0

45.0

50.0

55.0

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

3)「豊かな体験活動(Interaction)」に関する項目

中2生

小5生

「読解力」スコア(偏差値)

問5-9 興味・関心のあることを自分で調べたり、勉強するようにすすめている。

40.0

45.0

50.0

55.0

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

2)「自主性の尊重(Interaction)」に関する項目

中2生

小5生

「読解力」スコア(偏差値)

問6-7 教養を身に付けたり資格を取るために学習や習い事をしている。

40.0

45.0

50.0

55.0

まったく あてはまらない

あまり あてはまらない

まあ あてはまる

とても あてはまる

4)「教育への関心(Participation)」に関する項目

中2生

小5生

「読解力」スコア(偏差値)

図表9-1「家庭における働きかけの状況」と子どもの「読解力」スコアのクロス

データの読み取り

図表9-3に示すように、家庭における豊かな働きかけに関する総合スコアと子どもの「読解力」スコアとの間には両学年ともに正の相関関係があることがうかがえる。具体的項目としては、図表9-1に示すように、「ふだんから本や事典類にふれさせるようにしている。」「興味・関心のあることを自分で調べたり、勉強するようにすすめている。」「子どもといっしょに本を読んだり、読んだ本の感想を話し合ったりしている。」といった家庭における豊かな働きかけが子どもの「読解力」向上と関連していることがわかる。また、図表9-2に示すように「学びへの参画(Participation)」のカテゴリースコアを両学年ともに、上位群と下位群での差異が最も大きく、前述のような「直接的な働きかけ」だけでなく、保護者自身の生き様が子どもに与える影響の重要性を示している。

しつけ

(Discipline)

家庭での交流・支援

(Interaction)

学びへの参画

(Participation)

家庭の教育力

総合スコア(Ⅳ)

小5生

中2生

小5生

中2生

小5生

中2生

小5生

中2生

48.1

48.1

47.9

47.9

47.8

47.0

47.7

47.3

50.2

50.4

50.2

50.5

50.1

50.2

50.1

50.4

51.1

50.1

51.1

49.9

52.2

51.7

51.7

50.7

3.0

2.0

3.2

2.0

4.5

4.7

3.9

3.3

カテゴリー 下位群 中位群 上位群 上位-下位 保護者分類

「読解力」スコア

下位群 中位群

「家庭の教育力」総合スコアによる保護者の分類

上位群

「読解力」スコア(偏差値)

中2生

小5生

40.0

45.0

50.0

55.0

図表9-2「家庭の教育力」カテゴリーと「読解力」スコアのクロス 図表9-3「家庭の教育力」総合スコアと「読解力」の関係

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19

学校と保護者との連携の大切さ

「読解力」の向上に関係する学習活動や指導を、学校あるいは家庭でのみ経験して

いる子どもに比べて、学校と家庭の双方で経験している子どもの「読解力」のスコア

は高い。このことは、前回報告した「学びの基礎力」や教科学力の場合についてと同様であり、学校と家庭が連携して子どもを育てることの大切さを改めて浮き彫りにしている。

学  年

小5生

中2生

パターン

パターン構成比(%)

家庭での活動

「読解力」スコア (偏差値)

学校での活動・指導

新聞に書かれていることについて家族と話す

新聞記事の内容について考えたり話したりする

×

×

×

×

×

×

×

×

25.6

17.7

17.8

39.0

12.2

25.9

9.2

52.6

51.5

50.2

50.8

48.8

51.8

51.2

50.1

49.0

46.0 48.0 50.0 52.0

図表10-1 家庭・学校での活動パターンと「読解力」との関係(1)

図表10-1は、「新聞に書かれていることについて家族と話す」という家庭での活動と、「新聞記事の内容について考えたり話したりする」という学校での指導・活動についての子どもの回答のパターンによる「読解力」スコアの違いを見たものである。小5生、中2生の双方とも、どちらも経験しているパターンAで「読解力」スコアが最も高く、どちらも経験していないパターンDで最も「読解力」スコアが低くなっている。

学  年

小5生

中2生

パターン

パターン構成比(%)

家庭での活動 学校での活動・指導

家族が自分の意見や考えをよく聞いてくれる

自分たちの発表や意見を大切にしてくれる授業が多い

×

×

×

×

×

×

×

×

57.8

13.5

15.4

13.3

46.4

15.6

18.5

19.5

51.8

48.0

48.9

46.2

51.8

49.2

50.5

46.0

「読解力」スコア (偏差値)

46.0 48.0 50.0 52.0

図表10-2 家庭・学校での活動パターンと「読解力」との関係(2)

図表10-2は、同様に「家族が自分の意見や考えをよく聞いてくれる」という家庭での活動と、「自分たちの発表や意見を大切にしてくれる授業が多い」という学校での指導・活動についての子どもの回答のパターンによる「読解力」スコアの違いを見たものである。小5生、中2生の双方とも、どちらも肯定しているパターンAで「読解力」スコアが最も高く、どちらも肯定していないパターンDで最も「読解力」スコアが低くなっている。図表10-1の場合と比べて、パターンAとパターンDの格差は大きく、子どもの意見が尊重され家族や教師と豊かなコミュニケーションがなされる環境の大切さを示唆していると考えられる。

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20

「総合教育力」構築の大切さ

パターン 教師の指導力

家庭の教育力(DIP) 学校の経営力 小5生 中2生

A 〇 〇 〇 54.2 52.5

B 〇 〇 × 51.3 54.5

C 〇 × 〇 51.1 50.9

D × 〇 〇 52.0 53.3

E 〇 × × 48.0 51.3

F × 〇 × 50.4 49.4

G × × 〇 50.0 49.8

H × × × 49.0 48.4

高↑   「読解力」スコア(偏差値)   ↓低

小5生

中2生

45.0

50.0

55.0

60.0

図表11-1「総合教育力」のパターンと「読解力」との関係

先に、家庭や学校での活動・指導の経験のパターンによる子どもの「読解力」スコアの違いを見たが、家庭の教育力(DIP)、教師の指導力、および学校の経営力のそれぞれの高低のパターンによって、子どもの「読解力」の違いを調べたものが下のグラフである。

小5生では、教師の指導力、保護者の働きかけ、学校の経営力がともに高いパター

ンの子どもの「読解力」は、そうでない子どもと比べて高い。

データの読み取り

図表11-1は、教師の指導力、家庭の教育力(DIP)、学校の経営力の各総合スコアの平均以上(○)・平均未満(×)によって子どもを8つのパターンにグルーピングし、それぞれのグループに属する子どもの「読解力」スコア(偏差値)をグラフにしたものである。上表での教師の指導力ならびに学校の経営力の平均以上(○)・平均未満(×)の判定は、今回の調査で「読解力」向上のための取り組み項目として新たに設定した設問のスコアに基づいている(巻末の資料編を参照)。

小5生では、教師の指導力、家庭の教育力、学校の経営力の3つがともに高いパターンAで最も子どもの「読解力」スコアが高くなっている。中2生では、パターンBが最も高いというややイレギュラーな結果を示しているが、3つがともに低いパターンHが最も低い「読解力」スコアとなっている。また、小5生では、教師の指導力と家庭の教育力が同一のパターン(例えば、AとB、CとEなど)では、例外なく、学校の経営力が高いほうが「読解力」スコアが高くなっており、学校の経営力の果たす役割の大切さを示唆していると考えられる。

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21

 「読解力」の向上には、教科学力だけでなく、「学びの基礎力」と「社会的実践力」を含めた、

子どもの総合学力を高めることが必要である。

 「読解力」の向上のためには、読解の基本的指導、論理的思考の訓練・演習、表現活動の指

導という3つの指導法を、各学校の実態に応じてバランスよく実施することが大切である。

 文学だけでなく、自然、社会、人間に関する多様なジャンルの本や資料を、幅広く読ませる

ことが「読解力」の向上につながる。

 特に、新聞や雑誌記事などの素材を用いて、現代的な課題や社会事象について知識や語彙を

豊かにさせることが大切である。

 各教科及び総合的な学習の時間で、課題探究型の学習を充実させることが、子どもの「読解

力」向上につながる。

 文章や資料を読ませる際には、何のために読むのか、そして、読んでどうするのかといった、

読解の目的や活用についても考えさせることが大切である。

 読んだことについてグループで討論させたり、批評会や話し合いによる表現・交流活動など

を通して、考えを互いに高め合える「学び合う集団」を形成することが大切である。

 ICTを多彩な情報活用と組み合わせて、教材提示や思考支援、そして、表現活動に取り入れ

ることが、「読解力」の向上につながる。

 子どもの「読解力」向上のためには、学校と家庭が連携して、豊かな取り組みや働きかけを

行うことが必要である。

 学校での「読解力」向上のための基盤整備を含めた総合教育力の向上が、子どもの「読解力」

向上につながる。

1

2

3

4

5

6

7

8

9

1010

「読解力」向上への提言10か条「読解力」向上のための視点は多数考えられるが、今回の調査を通して改めて重要性が明らかになったのは、特に

以下の諸点である。

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注)・「設問のカテゴリー」欄に示した記号や番号は、前掲(P.2~P.3)の「読解力向上に関する取り組みの構造モデル」内の項目との対応を示す。・回答結果の欄に示す数値は各設問に対する回答割合(%)を示すが、無回答や無効回答の割合は省略している(従って合計数値は100%とならない)。

22

資料編

有効回答件数:小学校教師717名、中学校教師532名

設 問

小学校教師(%) 中学校教師(%) 1

とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

4 まったくあてはまらない

とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

まったくあてはまらない

Ⅱ-b

豊かな教育 カリキュラムの整備・充実

Ⅱ-c

実社会への 適用の場や 機会の設定

Ⅲ-a

各教科での 多彩な情報 活用の取り組み

Ⅲ-b

問題意識や 意欲の喚起

Ⅲ-c

学び合う 集団の形成

①各教科での基本的指導

②読書活動 ③課題探究活動

④グループ協働活動

⑤ディベート・討論活動

⑥メディア表現活動

⑦職場体験・キャリア教育 ①総合的な学習

②各種コンクール

③家庭での活動

④地域への発信

①知識・語彙の拡大

②視野・関心の拡大

③論拠や裏づけ探し

④自らの課題解決活動

⑤イメージ化と操作活動

①ゆさぶり発問

②主体的な読み指導

③学習の必然性up

④活動の目的理解・意識化 ①モラールの向上

②思考の練り上げ

③相互理解・相互尊重

④健全な人間関係構築

各教科において、「思考・表現」の指導の在り方や意義が明確にされ、それに沿った指導がなされている。 各教科で「必読書」や「参考図書」を設定するなど、子どもたちの読書習慣を培い、主体的な読書を促す取り組みを行っている。 各教科の学習指導において、課題探究型の活動を取り入れている。 各教科の学習指導において、グループでの協働や話し合い、交流等の要素を取り入れている。 各教科の学習指導において、ディベートや討論活動を取り入れている。 各教科の学習指導において、コンピュータやビデオ、ポスター等多様なメディアを用いて、自分の考えを表現する活動を取り入れている。 職場体験や社会人講師による講話等を行い、勤労観やキャリア意識を養う活動を取り入れている。 総合学習等において、実社会や日常生活に関わるテーマや題材を扱い、実際の場面で体験・実感する機会を取り入れている。 各種のコンクールへの応募を促したり、学習の成果を保護者や地域社会に向けて発信するような場や機会を意図的に用意したりしている。 学校で学んだことを、家庭や身の回りの事象に応用したり、試したりするような課題や機会を用意している。 学習の成果を地域社会に向けて発信したり、地域社会の抱える課題への解決提言を目標としたプロジェクト学習を取り入れたりしている。 新聞や雑誌記事等の幅広い素材を用いて、現代的な課題や社会事象を含めた知識や語彙を豊かにさせる工夫をしている。 読書に際しては、文学作品だけでなく、科学雑誌や実用書など多様なジャンルや形態の書物にも親しむように促している。 自らの主張や考えを裏付けるための証拠や根拠を探す目的で書物や文献、資料などを活用するといった活動を取り入れている。 与えられた課題や自分で設定した課題を解決するために、書物や文献、資料を活用するといった活動を取り入れている。 新たな事物や事象、抽象的な概念を授業で扱う時は、具体的にイメージできる物を提示したり、操作的な活動を取り入れるようにしている。 子どもの固定したイメージや既得の知識をゆさぶる発問や教材を用意して、子ども達を「思考」に誘う授業を行っている。 書かれたことを無条件に受け容れるだけでなく、その内容や論旨を評価・吟味して、批判的に読むというような指導を取り入れている。 話すこと、読むこと、書くことの必然性やリアリティを高めるような教材や学習の場を計画的に用意している。 文章や資料を読ませる際は、何のために読むのか、読んでどうするのかを子どもたちにいつも意識させるようにしている。 クラス全体として協力して成し遂げるような課題やテーマを用意するなど、クラスのモラール向上を心がけている。 教科指導や総合学習等で、グループでの協働や交流活動を計画的に行うなど、集団思考を促し、思考を深めていく指導を行っている。 互いの個性や考え、能力の違いを理解し、尊重し、認め合うようなクラスの雰囲気を作り上げるように努めている。 クラス内での話し合いや発表の機会を積極的に設けるとともに、ふだんから何でも話し合える人間関係を築くように努めている。

問6-1

問6-2

問6-3

問6-4

問6-5

問6-6

問6-7

問6-8

問6-9

問6-10

問6-11

問6-12

問6-13

問6-14

問6-15

問6-16

問6-17

問6-18

問6-19

問6-20

問6-21

問6-22

問6-23

問6-24

11.0

21.1

19.7

31.4

8.1

12.7

8.9

21.9

23.8

11.7

8.2

5.4

16.6

12.7

21.5

28.2

22.5

4.5

15.2

13.4

27.5

26.2

40.9

43.8

55.4

39.7

59.1

56.8

45.3

49.9

30.8

53.7

54.3

53.7

36.0

44.8

52.9

49.9

60.0

60.0

57.7

32.5

57.7

59.6

55.2

58.7

53.0

49.7

29.3

32.5

17.7

8.6

39.6

31.7

40.9

18.8

17.0

30.7

45.3

43.2

25.7

31.9

14.1

8.5

16.3

54.3

23.2

22.6

13.0

11.3

2.4

2.5

1.4

3.8

0.7

0.3

3.9

2.5

15.8

1.8

1.5

0.7

6.4

3.1

1.4

2.1

1.1

0.1

0.1

5.3

0.4

1.0

0.3

0.1

0.0

0.1

13.3

18.4

18.0

25.6

7.1

12.4

51.5

43.2

35.9

11.5

12.2

12.2

12.6

12.0

18.4

18.4

16.7

4.5

11.7

10.2

25.8

26.5

33.8

30.6

52.8

34.0

53.9

58.3

39.1

47.6

38.7

44.0

46.4

39.7

36.7

46.8

47.0

42.3

53.0

53.8

56.2

32.9

54.5

50.2

55.1

60.9

58.5

57.3

30.6

38.2

24.6

14.3

45.3

35.3

7.9

10.3

15.0

44.4

39.7

35.9

34.6

40.4

23.7

24.1

23.9

54.9

30.5

36.1

16.2

10.5

5.8

10.2

0.9

7.5

1.3

0.2

6.6

3.2

0.6

0.9

0.9

2.6

9.0

2.4

3.4

3.0

2.6

1.5

1.1

5.5

1.7

1.7

0.9

0.0

0.0

0.2

設問のカテゴリー

設問番号

「読解力向上に関する取り組み①」に関する設問と回答結果(「教師対象調査」より)1

Page 25: ベネッセ教育研究開発センター Benesse Educational Research & … · 会 ↑ 「 ↓

23

「読解力向上に関する取り組み②」に関する設問と回答結果(「教師対象調査」より)2有効回答件数:小学校教師717名、中学校教師532名

設問のカテゴリー 設 問

小学校教師(%) 中学校教師(%) 1

とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

4 まったくあてはまらない

1 とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

まったくあてはまらない

設問番号

Ⅲ-d

基本スキル 指導と演習

Ⅲ-e

適切な課題・教材の開発

Ⅲ-f

モニタリングスキルの育成

Ⅲ-g

読解活動へと誘う強化因子の付与

①読解の基本的指導

文章や資料の読み取り、意見や考えのまとめ方、表現の仕方等の基本的なスキルやポイントを整理し、子どもに体系的に指導する。 文章や資料に示された内容を、わかりやすい表現や自分のことばに置き換えてみるように促す。 文章や資料に示された内容を、図式化したり、わかりやすい表現や自分のことばに置き換えてみるように促す。 授業中のノートのとり方や整理の仕方、ノートを活用した予習・復習の方法を説明し、適宜ノート指導をする。 教科指導において、具体的な事例から一般的な結論を考察させたり、一般的な結論を具体的な事例に当てはめて考えさせる。 教科指導において、多くの資料や素材から一つの結論を導き出したり、限られた資料や素材から色々な考えや意見をふくらませたりする。 教科指導や総合学習等で、問題解決の場面や課題を導入し、問題解決の一連のプロセスを子どもにたどらせる。 教科指導や総合的学習において、自分の経験や知識から、予想を立てさせたり、自分なりの解釈をさせたりする。 同じテーマや題材について書かれた複数の文章を比較させ、共通点や相違点を整理させたり、自分の意見をまとめさせたりする。 文章や資料に書かれたことについて、その客観性や妥当性、論理性といった観点から評価・吟味しながら読み解かせる。 社説や小論文のような論理的な文章をモデルとして示し、その構造や展開、形態等を模倣したり、参考にしたりして、文章を書かせる。 意見や考えを表現させるときは、その根拠を明らかにしたり、適切な事例を用いたりして、文章を書かせたり、発表させたりする。 読み手や聞き手を意識して、相手が納得するように文章を書かせたり、発表させたりする。 毎時の授業に、意見を書く、まとめる、論ずる等の活動の時間を計画的に組み込む。 国語科でなされている「読解指導」の内容や方法を、他の教科指導でも応用・適用する。 子どもたちの知的好奇心を刺激し、挑戦意欲を喚起するような素材や課題、教材を開発し、授業を構成する。 子どもたちから多様な意見や考え方を引き出し、解決に向けて意思決定が求められるような課題や教材を開発する。 多様な意見や考え方、解決の仕方が考えられるような課題や教材を開発する。 話すこと、読むこと、書くことの必然性やリアリティを高めるような教材や学習の場を計画的に用意している。 自分の学習活動や思考の状況を内省させたり、心の動きを文章で表現させたりする。 学習活動を行った後や、テストの見直しの際に、その時の自分の行動や考えを振り返らせたり、理由を思い返らせたりする。 問題を解くに当たって、どのような答えが求められているのか、どのようにすれば解けそうかといった見通しやめやすを持たせる。 課題を読み解く活動の結果に対して、適切な助言や評価、賞賛等を与え、子どもたちに更なる挑戦意欲を喚起させる。 日常生活や身の回りの事象や課題を題材にし、それらの課題を解決する活動を通して、学習活動の有効性を実感させる場を用意する。 実社会における現実的な課題解決の場面を通して、課題解決における必要十分条件を実感させたり、自分の取り組みを見直させたりする。

②論理的思考の訓練・演習

③表現活動の指導

④国語科での指導の適用

①知的好奇心・意欲の喚起 ②意思決定を求める課題

③複数の解がある課題

④リアリティある課題

①メタ認知力の育成

②ふり返りの活動

③解決への見通しとめやす ①必然性の自覚

②挑戦意欲の喚起

③効用・意義の実感

問7-1

問7-8

問7-9

問7-15

問7-2

問7-3

問7-4

問7-5

問7-6

問7-7

問7-10

問7-11

問7-12

問7-14

問7-13

問7-16

問7-17

問7-18

問6-19

問7-19

問7-20

問7-21

問7-22

問7-23

問7-24

16.0

18.0

25.5

22.0

14.1

13.9

20.9

26.9

9.3

5.3

4.2

19.4

24.0

13.9

15.3

22.5

18.3

17.7

15.2

15.9

15.9

23.6

27.1

14.9

7.8

61.1

58.3

54.5

56.2

55.8

58.2

56.9

58.3

46.7

39.9

28.9

60.4

60.5

43.4

51.7

57.5

58.7

55.0

57.7

51.7

49.8

59.4

59.1

58.7

47.3

18.0

17.2

14.2

15.9

25.1

22.6

17.0

9.6

33.3

44.1

48.1

14.1

10.2

34.6

25.0

15.3

17.9

21.9

23.2

25.8

27.5

11.7

9.2

21.5

36.8

0.4

1.8

0.8

1.1

0.6

0.8

0.6

0.6

5.7

5.7

13.8

1.5

0.8

3.2

2.6

0.6

0.8

1.1

0.4

2.1

2.8

1.1

0.6

0.7

3.9

13.2

15.4

18.0

21.6

20.9

15.6

16.9

20.1

8.1

6.4

6.4

16.9

17.7

9.0

5.5

28.2

19.7

20.3

11.7

11.7

20.5

20.3

22.4

15.2

9.0

57.0

52.4

52.4

48.9

53.0

53.0

58.1

56.8

40.2

35.0

25.2

52.4

51.9

32.7

25.6

56.2

50.6

48.1

54.5

41.5

44.7

53.9

58.5

52.8

47.2

26.5

27.3

24.8

24.6

22.9

28.4

21.6

19.4

42.7

50.0

52.1

25.9

25.2

46.2

53.9

13.9

25.9

28.4

30.5

40.0

30.1

22.0

16.4

28.2

37.2

1.9

2.8

3.0

3.9

1.7

1.7

1.9

2.1

6.8

6.6

13.5

3.2

3.4

10.2

11.3

0.4

2.3

1.7

1.7

4.9

3.8

2.3

1.3

1.7

4.5

注)・「Ⅲ-e.適切な課題・教材の開発」の「④リアリティある課題」に対応する設問は、前ページに示した「Ⅲ-b.問題意識や意欲の喚起」の「③学習の必然性UP」と同じ設問を用いている。・前掲の構造モデルでは「Ⅲ-g.読解活動へと誘う強化因子の付与」の下位項目として「④実社会の壁」を設定しているが、今回の調査項目としては割愛している。

資料編

資 料 編

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注)・「Ⅰ-b.教育資源や教育環境の整備・活用」に関わる設問は、「Ⅱ-a.豊かな素材に触れる環境の整備・充実」と共通の設問として設定。

24

「読解力向上に関する取り組み③」に関する設問と回答結果(「校長対象調査」より)3有効回答件数:小学校校長124名、中学校校長94名

設 問

小学校校長(%) 中学校校長(%) 1

とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

4 まったくあてはまらない

とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

まったくあてはまらない

Ⅰ-a

基本方針の 設定と共通 理解の推進

Ⅰ-b

教育資源や 教育環境の 整備・活用 (Ⅱ-aと共通)

Ⅰ-c

教育課程の 整備・充実

Ⅰ-d

校内組織や 協力体制の 充実・強化

その他

①育成基本方針の明示

②現状・課題の把握

③教育重点目標の設定

④学力観の共通認識

⑤学級経営の共通認識

①学校図書館の充実・活用 ②公共文化施設の有効活用 ③ICT環境の充実・活用

④校内の言語環境の整備

「読解力」育成・向上を学校全体の方針として教職員に提示している。

自校の子どもの「読解力」の現状について把握している。 「読解力」育成を、自校の「目指す子ども像」や重点目標に組み込んでいる。 「読解力」育成のために求められる学力観について、校内で共通理解を図っている。 「読解力」が育ちやすい学級経営のあり方や子どもへの接し方についての共通理解を図っている。 学校図書館の充実に努め、授業での活用や家庭での読書を促している。 公共の図書館や博物館、美術館などの文化施設の活用を促している。 インターネットの利用環境やパソコンのコンテンツの充実に努めている。 教師の日常の授業での言葉遣いや話す・聞くルールを定め、校内の言語環境の精錬を図っている。 「読解力」向上のために各教科や総合的な学習の時間、特別活動における指導内容や方法を明らかにしている。 「読解力」育成をテーマとした全体カリキュラムを作成している。 子どもの発達段階に応じた「読解力」の達成目標と評価基準を作成している。 「総合的な学習の時間」や各教科での課題探究型の学習を充実させている。 朝読書やNIE活動において、要約・紹介するなどの「読解力」向上につながるような活動を工夫している。 パソコンや紙などいろいろなメディアで自分の作品や考えを表現する活動を重視している。 作品や発表内容について相互に建設的な批判を伴う深い批評をし合うことを重視している。 デイベートや討論を通して、グループとしての意見を練り上げていくような集団思考力の育成を図っている。 職場体験など、実社会に触れさせる体験的学習を重視している。 「総合的な学習の時間」などで、学習の成果を地域社会に向けて発信する機会を創っている。 教科間の連携や、各教科と総合的な学習の時間、情報教育などの相互の連携を図っている。

「読解力」向上のための推進組織を設けている。 「読解力」育成の指導力向上のために、校内研修や授業研究の機会を設定している。 小・中学校で「読解力」について情報交換や系統的な指導について協議する機会を設けている。 教師に対して読書や研究論文の作成を奨励するなど教師自身の「読解力」向上を促している。 保護者に対して、「読解力」向上のために家庭でできる支援を求めている。 朝礼などで子どもの考える力を刺激するような講話をこころがけている。

①全体計画の策定

③各種学習指導法の導入

②研修・授業研究の機会

②達成目標・評価基準策定

④教科や総合学習間の連携 ①推進組織の  設置

③教師の資質向上

④保護者との連携

問8-1

問8-2

問8-3

問8-5

問8-6

問8-12

問8-13

問8-14

問8-15

問8-7

問8-17

問8-20

問8-18

問8-19

問8-21

問8-22

問8-23

問8-24

問8-25

問8-8

問8-4

問8-9

問8-10

問8-16

問8-11

問8-26

16.1

11.3

9.7

8.1

8.1

37.9

9.7

11.3

21.0

6.5

1.6

3.2

21.8

23.4

12.9

6.5

4.0

10.5

21.8

8.1

5.6

10.5

2.4

10.5

2.4

31.5

46.0

50.0

38.7

42.7

41.1

51.6

47.6

58.9

54.8

35.5

15.3

21.8

58.9

49.2

53.2

33.1

50.8

28.2

44.4

58.1

21.8

37.9

14.5

43.5

33.1

49.2

37.1

36.3

46.8

45.2

44.4

4.8

35.5

22.6

18.5

50.8

61.3

61.3

14.5

21.0

29.0

53.2

36.3

42.7

27.4

28.2

61.3

41.9

47.6

37.1

49.2

13.7

0.0

0.8

2.4

2.4

2.4

0.8

3.2

3.2

1.6

3.2

16.9

8.9

0.0

2.4

0.8

3.2

3.2

13.7

2.4

1.6

9.7

5.6

31.5

4.8

11.3

0.8

12.8

7.4

6.4

5.3

4.3

22.3

2.1

10.6

7.4

5.3

1.1

2.1

21.3

22.3

11.7

4.3

4.3

50.0

23.4

7.4

2.1

2.1

2.1

13.8

1.1

22.3

36.2

42.6

33.0

24.5

22.3

64.9

36.2

56.4

39.4

26.6

9.6

19.1

47.9

42.6

41.5

24.5

37.2

43.6

47.9

40.4

16.0

23.4

13.8

26.6

12.8

52.1

44.7

45.7

51.1

59.6

63.8

10.6

50.0

26.6

46.8

55.3

62.8

56.4

27.7

27.7

41.5

59.6

50.0

4.3

22.3

47.9

63.8

57.4

58.5

48.9

67.0

22.3

5.3

3.2

8.5

9.6

7.4

0.0

9.6

4.3

4.3

10.6

24.5

20.2

1.1

5.3

3.2

9.6

6.4

0.0

4.3

2.1

17.0

14.9

23.4

8.5

17.0

0.0

設問のカテゴリー

設問番号

Page 27: ベネッセ教育研究開発センター Benesse Educational Research & … · 会 ↑ 「 ↓

25

「家庭における取り組み」に関する設問と回答結果(「保護者対象調査」より抜粋)4有効回答件数:小学校保護者1,811名、中学校保護者3,061名

学校への関心

教育への関心

保護者の学び

設 問

小学校保護者(%) 中学校保護者(%)

とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

まったくあてはまらない

1 とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

まったくあてはまらない

しつけ (Discipline)

家庭での 交流・支援 (Interaction)

学びへの 参画

(Participation)

基本的生活 習慣形成

学習の構え の形成

社会性育成

自主性の尊重

豊かな 体験活動

早寝早起きなど、規則正しい生活をするように言っている。

テレビを見る時間やゲームをする時間を制限している。

宿題は、必ずやり終えるように言っている。 むずかしい問題でも、投げ出さないでじっくり考えるように言っている。

ふだんから計画的に学習するように言っている。 人が言うことや本に書いていることをうのみにしないで、自分でよく調べたり考えたりするように言っている。

ふだんから本や事典類にふれさせるようにしている。 相手の立場を尊重し、自分と違う考え方も大事にするように言っている。 子どもが意欲を示したことは年齢に関係なく挑戦させている。

子どもの意見や判断を尊重している。 興味・関心のあることを自分で調べたり、勉強するようにすすめている。 子どものよいところをできるだけ認めて自信を持たせるようにしている。 将来の夢の実現のために、今どんなことをすることが大切なのかいっしょに考えるようにしている。 教科の学習が、将来どのように役立つのかいっしょに考えている。 子どもといっしょに本を読んだり、読んだ本の感想を話し合ったりしている。

新聞に書かれていることについて、子どもとよく話をする。

子どもといっしょに、美術館や博物館に行ったことがある。 子どもといっしょにパソコンを使ったり、インターネットで何かを調べたりする。 子どもと話をするときは、できるだけ正しい言葉遣いをこころがけている。

食事中に子どもと色々な話をするようにしている。

学校通信や学級通信にはいつも目を通すようにしている。 教育に関する講演会などにはできるだけ参加するようにしている。 教養を身に付けたり資格を取るために学習や習い事をしている。

問4-1

問4-3

問4-9

問4-10

問4-12

問4-17

問4-19

問4-6

問4-11

問5-4

問5-9

問5-10

問5-7

問5-8

問5-18

問5-19

問5-22

問5-23

問5-13

問9-6

問6-1

問6-6

問6-7

40.9

22.4

61.9

39.7

22.7

18.0

21.9

35.6

30.5

17.6

21.6

34.3

22.4

12.5

10.3

12.8

22.5

23.1

12.6

35.8

58.1

6.1

11.5

49.1

42.4

31.6

49.0

49.5

47.9

45.2

54.0

51.4

67.7

54.1

55.0

42.9

40.9

33.2

37.6

39.0

35.9

46.7

41.1

34.6

26.4

22.2

8.9

30.5

5.5

9.8

25.7

31.5

30.3

9.4

17.0

13.7

22.4

9.3

32.0

43.4

48.4

41.4

25.9

26.7

37.2

6.9

6.0

42.6

30.9

0.6

4.0

0.4

0.6

1.4

1.9

2.0

0.4

0.2

0.2

1.0

0.4

1.9

2.5

7.1

7.4

11.6

13.6

2.7

0.9

0.7

24.0

34.4

33.1

14.0

44.9

28.2

26.3

18.1

16.1

34.1

28.1

18.7

18.9

31.7

24.9

10.2

8.8

11.7

18.7

20.0

10.8

37.1

49.3

7.9

10.5

53.9

40.0

40.4

51.3

52.0

46.6

40.8

56.0

49.9

68.2

52.4

56.3

49.9

41.3

25.1

40.8

38.9

38.2

45.7

37.6

39.3

28.1

24.5

10.5

36.8

11.5

16.8

18.1

31.8

37.8

7.9

19.5

11.5

24.9

10.0

22.4

43.3

52.1

39.4

30.0

26.9

38.3

7.1

8.9

42.1

31.6

1.4

7.7

2.0

1.8

2.1

2.1

3.7

0.7

0.9

0.2

2.0

0.5

1.5

3.8

12.4

6.3

10.9

13.5

3.3

0.5

1.4

20.6

32.0

設問のカテゴリー

設問番号

注)・「しつけ」「家庭での交流・支援」「学びへの参画」の考え方は、「学力向上のための基本調査2004」における「家庭の教育力(DIPモデル)」を参照。

資料編

資 料 編

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26

「学びの基礎力」に関する設問と回答結果(「学習意識調査」より抜粋)5有効回答件数:小学5年生2,632名、中学2年生3,061名

設問のカテゴリー 設 問

小学5年生(%) 中学2年生(%) 1

とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

4 まったくあてはまらない

とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

まったくあてはまらない

設問番号

豊かな 基礎体験

学びに向かう力

自ら学ぶ力

学びを律する力

メディア体験 パソコンやインターネットをする。

自分の考えや気持ちを理解してくれる友だちがいる。

家族は自分のことを気にかけてくれていると思う。

学校の先生は、自分のことを認めてくれていると思う。

ふだんから「ふしぎだな」「なぜだろう」と感じることが多い。

学習していて、おもしろい、楽しいと思うことがある。 学習して身につけた知識は、いずれ仕事や生活の中で役に立つと思う。

社会や人のために役に立つ人間になりたいと思う。

自分の力をできるだけ伸ばしたいと思う。

努力をすれば、自分もたいていのことはできると思う。 ものごとをやりとげた時のよろこびを、味わったことがある。

自分は、まわりの人から認められていると思う。 黒板に書かれなくても、大事なことはノートに書きとめている。

新しく習ったことは、何度もくり返して練習している。 授業で習ったことを、自分なりにわかりやすくまとめている。 授業で習ったことはそのまま覚えるのではなく、その理由や考え方もいっしょに理解しようとしている。

授業で習ったことをふだんの生活と結びつけて考えている。

自分で学習の計画を立てている。

宿題はきちんとやっている。

興味を持ったことを、自分から進んで学習している。

目標に向けて、ふだんからこつこつ学習している。 わからないことはそのままにせず、わかるまで努力している。

人の話は最後まで、きちんと聞いている。

熱心に授業を受けている。

学校に行くのは楽しい。

他者との 支えあい

感じ取る力

学習動機

自己効力感

学習スキル

学習定着の 方略

学習計画力

自宅学習習慣

問1-4

問5-1

問5-2

問5-3

問5-4

問5-5

問5-6

問5-7

問5-8

問5-9

問5-10

問5-13

問9-1

問9-2

問9-3

問9-4

問9-5

問7-1

問9-6

問9-7

問7-2

問7-3

問5-11

問7-4

問5-12

7.8

45.5

53.2

19.7

29.4

31.4

56.4

45.2

62.2

47.9

63.1

10.0

17.2

11.6

19.3

17.1

14.4

16.9

57.6

28.7

18.3

22.6

19.9

16.3

36.9

11.2

41.1

35.3

47.8

38.5

40.9

32.3

39.5

28.8

38.9

26.4

48.6

36.5

35.1

36.4

33.8

37.7

37.2

26.3

39.8

36.1

39.3

55.0

47.6

36.2

28.9

10.7

9.1

24.1

24.1

19.4

8.7

11.5

6.6

10.0

7.2

30.0

34.0

41.0

32.1

35.8

35.8

32.0

11.4

22.4

32.4

29.0

20.9

28.2

18.6

50.0

2.1

1.7

7.6

7.2

7.3

2.1

2.9

1.3

2.5

2.6

10.7

11.9

11.9

11.6

12.6

11.5

13.3

3.0

7.1

12.4

8.5

3.4

7.2

7.4

13.6

42.6

35.2

11.4

25.2

18.6

31.3

39.2

59.6

38.0

54.1

5.7

14.7

4.9

15.3

14.2

5.8

10.3

34.1

23.1

7.0

12.3

19.9

16.9

33.0

17.1

45.8

49.8

51.1

39.7

44.7

42.7

42.8

33.0

45.6

33.6

47.1

38.6

26.9

36.2

36.7

21.9

29.1

40.1

36.8

23.8

37.5

53.6

48.9

40.9

28.8

9.8

11.2

28.9

29.3

26.8

20.0

14.4

5.9

13.7

9.8

37.3

34.2

53.1

34.7

37.0

50.1

42.2

20.0

31.0

48.7

39.0

23.0

26.4

18.5

38.2

1.7

3.6

8.0

5.4

9.7

5.7

3.2

1.0

2.2

2.2

9.2

12.2

14.7

13.3

11.6

21.6

18.0

5.5

8.7

19.9

10.6

3.2

7.3

7.4

学習継続力

授業を受ける 姿勢

その他

注)・設問番号および表現は、中学2年生対象の設問を示す。小学5年生対象の設問では番号・表現が若干異なる(以下も同様)。

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27

「社会的実践力」に関する設問と回答結果(「学習意識調査」より抜粋)6有効回答件数:小学5年生2,632名、中学2年生3,061名

設問のカテゴリー 設 問

小学5年生(%) 中学2年生(%) 1

とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

まったくあてはまらない

1 とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

まったくあてはまらない

設問番号

問題解決力

社会 参画力

豊かな心

自己成長力

情報収集力 コンピュータやビデオ、本、カメラのそれぞれの良さを生かして情報を集めることができる。

調べてわかったことをもとに、考えをまとめることができる。

筋道を立てて、ものごとを考えることができる。

さまざまな角度からものごとを考えることができる。

自分の意見や考えを相手にわかりやすく伝えることができる。

筋道のはっきりとしたわかりやすい文章を書くことができる。 調べたことを、コンピュータを使ってまとめたり、発表したりすることができる。 テレビのニュースや新聞などで、最近の社会のできごとをよく知っている。 社会で問題になっていることについて、どうすればよいかを考えたことがある。 自分がやらなければならないことは、責任を持ってやりぬくことができる。

むずかしいことでも、失敗をおそれないで取り組んでいる。

いつも新しいアイディアを考えたり、工夫したりしている。

自分と違う意見も尊重している。 相手を傷つけずに相手の考えや行いの間違いに気づかせてあげることができる。

反対されても自分の意見をはっきり主張することができる。 自分の意見や考えの誤りに気づいた時には素直に認め取り下げることができる。

どんな職業や進路が自分に適しているのかを知っている。

将来かなえてみたい夢がある。 将来つきたい仕事や夢をかなえるために具体的な努力をしている。

論理的思考力

表現力

社会対応力

責任感

挑戦心

創造的態度

他者尊重

自己主張

適性の認識

将来への夢

自己実現 への努力

問6-1

問6-2

問6-3

問6-4

問6-5

問6-6

問6-7

問6-8

問6-9

問6-10

問6-11

問6-12

問6-13

問6-14

問6-16

問6-17

問6-15

問6-18

問6-19

19.0

15.7

9.3

8.2

10.2

6.3

16.9

23.9

17.7

22.8

19.6

18.5

17.5

11.7

24.5

20.9

20.0

66.0

36.5

43.7

44.3

44.5

37.3

40.0

43.8

36.6

43.0

32.3

47.9

42.8

37.0

41.7

41.7

46.6

28.8

29.6

16.3

30.2

28.3

33.5

38.0

44.8

40.1

41.3

32.1

25.8

34.4

24.0

30.7

36.3

31.3

35.7

22.6

33.0

36.6

9.6

22.9

8.5

5.9

7.4

8.9

9.3

8.1

12.4

5.9

14.7

4.2

6.3

7.4

8.5

10.0

5.8

16.3

13.1

7.2

9.8

18.4

11.6

9.7

8.0

6.9

4.4

12.3

17.8

12.4

22.7

12.6

13.3

16.5

12.3

19.5

24.8

15.6

49.8

19.4

45.7

45.9

44.3

37.0

36.9

32.6

33.1

46.0

30.8

51.4

42.3

32.9

50.0

39.7

34.5

45.6

26.9

21.3

30.1

29.3

35.9

39.8

46.9

47.3

52.5

41.2

29.8

41.4

22.2

39.3

44.9

27.8

39.7

37.5

24.2

40.4

18.2

35.1

6.3

6.2

5.7

7.7

8.7

10.0

12.8

5.4

14.7

3.1

5.3

8.5

5.1

7.8

7.9

4.9

16.4

10.1

14.9

資料編

資 料 編

注)・これまでの調査を通して用いてきた「生きる力」という名称は、今回の調査から「社会的実践力」に変更している。

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28

「家庭や学校での働きかけ」に関する設問と回答結果(「学習意識調査」より抜粋)7有効回答件数:小学5年生2,632名、中学2年生3,061名

設問のカテゴリー 設 問

小学5年生(%) 中学2年生(%) 1

とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

4 まったくあてはまらない

とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

まったくあてはまらない

設問番号

家庭での 働きかけ

教師の学習 指導

豊かな体験 活動

新聞に書かれていることについて家族と話す。

家族から世の中のふしぎな話や感動するような話を聞く。

家族といっしょに工作や料理などをする。 習い事やスポーツ、学習などで自分が立てた目標を達成できるように家族が応援してくれる。

家族が自分の意見や考えをよく聞いてくれる。 自分や家族の問題について家族とじっくり話し合ったことがある。

早寝早起きなど、規則正しく生活するように、言われている。

人が話しているときはしっかり聞くように、言われている。

ふだんから計画的に学習をするように、言われている。 常識と思っていることでも本当に正しいかどうか自分でよく考えてみるように言われている。

自分の意見や考えをはっきり主張するように言われている。

相手の気持ちになって考えてみるように言われている。

コンピュータ、ビデオなどを授業で使う。 調べたり考えたことを確かめたり実現させるために社会で実際に活動する。

授業や学級活動を熱心にやってくれる先生が多い。

自分たちの発表や意見を大切にしてくれる授業が多い。 読んだ本や調べた資料の要約をしたり、自分の意見を書いたり発表したりする。 実験や観察をする前に、「こうなるだろう」という仮説を立て、結果と照らし合わせて考える。

新聞記事の内容について考えたり、話し合ったりする。

テーマを決めて、詳しく調べたり、深く考えたりする。 ゲスト・ティーチャーなどから、学習や活動についての感想やアドバイスをもらう。 授業で習ったことが生活や社会ではどのように生かされ役立っているかについて話し合う。 黒板に書かれたことや教科書の要点だけでなく、自分自身で調べたことや考えたことをノートに書いたりレポートにする。 お互いの発表内容や作品、活動の進め方について、きちんと批評し合う。

家族の 支え合い

生活・学習 習慣の形成

社会性の 育成

授業の 土台づくり

問12-1

問12-2

問12-3

問12-4

問12-5

問12-6

問13-1

問13-2

問13-3

問13-4

問13-5

問13-6

問14-14

問14-16

問15-1

問15-5

問14-4

問14-6

問14-8

問14-10

問14-1

問14-2

問14-7

問14-12

12.5

14.4

23.1

39.7

35.5

19.6

47.1

48.7

39.5

25.4

29.1

42.4

29.6

4.9

32.9

28.5

21.9

44.0

12.1

25.2

12.7

10.7

19.3

19.1

30.3

26.7

32.4

29.4

35.2

31.7

34.0

29.5

30.3

31.6

28.8

26.9

43.4

20.1

49.3

44.1

35.4

34.9

31.2

37.1

41.3

39.4

35.9

39.0

32.6

35.9

28.2

19.2

19.6

32.6

12.8

15.7

20.3

28.0

26.9

17.6

20.3

42.4

14.1

21.1

30.1

15.9

39.3

28.4

34.6

37.9

33.7

31.8

24.0

21.9

15.0

10.9

9.0

15.2

5.6

5.3

8.9

14.1

14.1

9.6

5.5

28.2

3.2

5.3

11.7

4.6

16.2

8.3

10.8

10.9

10.1

8.8

9.0

9.7

10.1

27.6

24.7

15.9

33.0

33.1

37.2

15.8

22.7

31.6

25.5

6.7

25.0

15.4

10.7

23.4

5.3

13.8

4.1

2.9

14.0

9.9

28.9

23.2

23.6

34.4

36.9

23.5

36.2

33.4

32.2

25.6

29.0

32.9

42.5

18.0

52.9

49.0

28.3

35.9

16.2

30.7

24.9

19.0

29.6

29.8

36.5

38.1

36.9

24.1

25.7

35.4

20.7

23.2

20.5

37.9

31.2

23.9

21.9

38.0

17.5

29.4

39.9

28.3

46.3

36.0

44.2

48.9

36.9

40.3

25.3

28.7

29.0

13.5

12.2

24.8

9.8

9.9

9.6

20.1

16.6

11.3

9.1

34.6

4.1

5.6

20.4

12.1

31.3

18.9

26.4

28.6

19.0

19.4

学習指導の 方法論

学習の 方向付け

注)・教師の学習指導に関する下位領域の考え方は、「学力向上のための基本調査2004」における「教師の指導力(FANモデル)」を参照。

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「学級力」に関する設問と回答結果(「学習意識調査」より抜粋)8有効回答件数:小学5年生2,632名、中学2年生3,061名

設問のカテゴリー 設 問

小学5年生(%) 中学2年生(%) 1

とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

まったくあてはまらない

1 とてもあてはまる

まああてはまる

あまりあてはまらない

まったくあてはまらない

設問番号

目標達成力

創造的対話力

規律遵守力

協調維持力

学級で達成したい目標やスローガンを掲示している。

友だちのためになることをしようという気持ちがある。

学級に、みんなで挑戦しようという課題がある。 学級での取り組みの成果をよく新聞形式やレポートでまとめている。 話し合いするとき、人の意見をよく受け止めてそれにつながるように発言している。

友だちのアイデアや意見を生かそうとしている。

友だちの発言のよいところをよくほめ合っている。

クラスの話し合いの時には、新しいアイデアを出す人が多い。

何でも話せるオープンな雰囲気がある。

勉強や運動で、よく教え合っている。

いけないことは注意し合っている。

お互いにありがとうがすぐに言える。

決められた時間内にしっかり課題をやり終えようとしている。

人を傷つけたり、ばかにしたりしないクラスだ。

みんなで守る学級のルールを自分たちで決めている。 校外に出かけたときは社会のルールを守るように注意し合っている。

目標設定力

役割遂行力

改革志向力

学級評価力

つながり 発言力

他者意見の 尊重

内容評価力

新規提案力

明るい雰囲気

支え合う関係

関係修復力

認め合う心

学習規律の 遵守

生活規律の 遵守

学級ルールの遂行

社会規範の 遵守

問16-1

問16-2

問16-3

問16-4

問16-5

問16-6

問16-7

問16-8

問16-9

問16-10

問16-11

問16-12

問16-13

問16-14

問16-15

問16-16

39.4

32.2

26.3

12.2

18.9

25.4

21.4

31.9

20.1

31.4

31.7

38.8

24.2

14.1

27.8

28.5

30.2

48.7

34.1

29.8

38.8

46.5

41.2

39.5

37.6

40.6

39.3

39.6

44.4

31.5

35.6

39.2

21.3

14.9

28.0

39.5

33.3

22.5

29.3

23.1

31.8

22.0

23.1

16.9

24.8

36.2

28.2

22.8

8.5

3.3

10.3

17.0

7.9

4.9

6.5

4.4

9.4

5.1

5.1

3.8

5.5

16.6

6.2

6.3

50.4

21.9

14.5

5.5

7.7

14.6

12.8

14.6

20.5

21.9

12.2

36.1

10.7

10.9

12.8

12.1

28.9

51.0

34.7

17.8

34.5

47.9

38.1

35.2

32.9

43.0

36.4

43.8

41.8

31.8

34.0

35.0

13.9

21.8

37.5

40.1

41.4

29.6

35.9

37.8

32.4

27.0

38.9

15.6

37.4

37.4

37.8

37.2

6.4

4.8

12.6

35.6

15.8

7.4

12.7

11.7

13.7

7.7

12.1

4.1

9.2

19.1

14.5

15.0 資料編

資 料 編