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レーザーの基礎実験 東京電機大学 理工学部 物理実験室

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レーザーの基礎実験

東京電機大学 理工学部 物理実験室

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レーザーの基礎実験 1.実験の順序

〇 装置セット-1 (レーザー電源) ↓ 〇 実験(1) (レーザー発振管の構造スケッチ,各部名称を記入) ↓ 〇 装置セット-2(回折格子,スクリーン,ノギス,巻尺) ↓ 〇 実験(2) (干渉スポット間,回折格子-スクリーン間距離を測定) ↓ 〇 装置セット-3(検光子(偏光板),光検出器,デジタルマルチメーター) ↓ 〇 実験(3) (検光子を回転しながら(0~180度)透過光強度を測定) ↓ 〇 装置セット-4(バーニヤ付ガラス板,光検出器,デジタルマルチメーター) ↓ 〇 実験(4) (ガラス板を回転しながら(0~90度)反射光強度を測定) ↓ 〇 計算,グラフ化,まとめ

2.実験方法 (1)装置セット-1

(a)レーザー電源の電源コードをコンセントに接続する

(b)電源のスイッチを入れる(レーザー管が点灯する)

(2)実験(1)

(a)レーザー発振管の構造をスケッチし,各部の名称を記入する

*教科書およびこのファイルの「参考」(最終頁)参照

(3)装置セット-2

(a)架台に回折格子をセットし(格子面(字の読める面)をスクリーン側に),マグ

ネットで固定する(図1)

・レーザー光が回折格子の中心に来るように高さを調整する

・回折格子とスクリーン間の距離はなるべく大きく取る

(b)スクリーンの白色面に干渉スポットが現われる

(4)実験(2)

(a)干渉スポット間の距離x1(1次),x2(2次)をノギスで測定する(図1) (b)回折格子とスクリーン間の距離Dを巻尺で測定する

(c)x1,x2,Dを記録する(表1) (5)装置セット-3

(a)架台に検光子と光検出器をセットする(図2)

*検光子についてはp.7参照

・レーザー光が検光子の中心に来るように高さを調整する

・レーザー光が光検出器の中心に来るように高さを調整する

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バーニヤ(分度器) ガラス板 ↓

( a ) バーニヤ付きガラス板 ( b ) 反射光強度測定の配置図

図 4 実験 4 (ガラス板による反射光の強度測定)

(b)デジタルマルチメーターをセットする(図2,図3)

・電源コードをコンセントに接続し,POWERをON(押す)にする

・FUNCTIONをDCV(直流電圧),RANGEをAUTOにする

・RATE(サンプルレート設定)はSLOWを選択して測定する

・V・Ω端子のHIに光検出器の赤のリード線, LOに黒のリード線を接続する

(6)実験(3)

(a)検光子の角度を0度にセットし,透過光強度を光検出器の出力として,デジタル

マルチメーターで読み取る(単位も忘れずに!)

・光検出器に用いている半導体の特性上,数値が順次変化するので,光の照射後

の時間を一定にして(例えば5秒)測定する

(手で光を遮断し,照射後5秒の値をHOLD SWを用いて読む)

(b)同様に,検光子の角度を10度~180度と変えながら,それぞれの角度の透過

光強度を読み取る

・Eマークが何処にあるかを確認しておく

(c)検光子の回転角度と透過光強度のデータを記録する(表2)

(7)装置セット-4

(a)架台にバーニヤ付ガラス板をセットする(図4)

ガラス板とレーザー光との光軸合わせは以下のように行う

・ガラス板の光沢面を上にし,水平とする(図5)

・レーザー光がガラス板のすぐ上を通るように高さを調整する(図6, 図7,図8)

・ガラス板を90°回転させ,レーザー光を反射させ,レーザー光をレーザー管の

窓に返す位置にセットし, バーニヤで角度を読み, この角度を0度とする (図9)

(b)光検出器はスタンドから外し,回転アームに取り付ける(図4)

(デジタルマルチメーターへの接続は実験(3)と同様)

(8)実験(4)

(a)バーニヤの角度を10度にセットする

(0度の位置は(7)の(a)項の様にセットしてあることを確認すること) -3-

レーザー発振器 光検出器を 回転アームに 取り付ける

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レ ー ザ ー 光 の 光 軸 合 わ せ

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(b)光検出器を取り付けたアームを回転させ,レーザー光を光検出器の面に垂直に当て,

電圧の値をなるべく大きな値で安定するようにし,反射光強度を測定する

(HOLD SW は使用しない) (図 10)

(c)同様に,バーニヤの角度を20度~90度と変えながら,それぞれの角度の反

射光強度を読み取る

・反射光強度がほとんど0になる角度を確認する

(d)ガラス板の回転角度と反射光のデータを記録する(表3)

3.データの整理(計算,表,グラフ)

(1)実験(1)

・レーザー発振管の構造をスケッチし,各部の名称を記入する。

(教科書,当ファイルの図(p.7)を参照)

(2)実験(2)

・干渉スポット間距離x1(1次),x2(2次),回折格子-スクリーン間距離D,

格子間距離dのデータを表にまとめる。(表1) 表1 レーザー光の回折格子による干渉データ

項 目 記号(単位) 1次干渉:X1 2次干渉:X 2

スポット間距離 x( )

回折格子-スクリーン間距離 D( )

回折格子の格子間隔 d( ) 1/50mm=20μm

・x1(1次),x2(2次),D,dよりレーザー光の波長λを計算する

・計算式

回折角:θ θ = 𝑡𝑡𝑡𝑡𝑡𝑡−1 � 𝑋𝑋 2𝐷𝐷

波 長 :λ d 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑡𝑡𝑠𝑠 = mλ ( m = 1 (1次 ) , m = 2 ( 2次 ))

・計 算

回折角:θ 1次 : 𝑠𝑠1 = 𝑡𝑡𝑡𝑡𝑡𝑡−1 � 𝑋𝑋

2𝐷𝐷 �

2次 : 𝑠𝑠2 = 𝑡𝑡𝑡𝑡𝑡𝑡−1 � 𝑋𝑋

2𝐷𝐷 �

波 長:λ 1次 : d sin𝑠𝑠1 = 𝜆𝜆1 2次 : d 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑡𝑡𝑠𝑠2 = 2𝜆𝜆2

λ = 𝜆𝜆1 + 𝜆𝜆2

*最終的に一つのλを求める(単位に注意する)

(3)実験(3)

・表(検光子の回転角度と透過光強度)の作成(表2)

・グラフの作成(X軸:検光子の回転角度,Y軸:透過光強度)(図11)

・テキストで提示されている事項を確認する

(レーザー光が偏光であるか,レーザー光の電界の振動面の方向はどちらか,

ブリュースターの窓との位置関係はどうかを調べる)(当ファイルP.8参照)

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表2 検光子の回転角度と透過光強度の関係

検光子の回転 透過光強度 検光子の回転 透過光強度 検光子の回転 透過光強度

角度( ) ( ) 角度( ) ( ) 角度( ) ( )

0 60 120

10 70 130

20 80 140

30 90 150

40 100 160

50 110 170

180

透 反

過 射

光 光

強 強

度 度 ( ) ( )

検光子の回転角度( ) ガラス板の回転角度( )

図11 検光子の回転角度と透過光強度 図12 ガラス板の回転角度と反射光強度 (4)実験(4) ・表(ガラス板の回転角度と反射光強度)を作成する(表3) ・グラフの作成(X軸:ガラス板の回転角度,Y軸:反射光強度)(図12) ・テキストで提示されている事項を確認する (反射光がほとんど0になる角度(ブリュースター角)を求める)

表3 ガラス板の回転角度と反射光強度の関係

ガラス板の 反射光強度 ガラス板の 反射光強度 ガラス板の 反射光強度

回転角( ) ( ) 回転角( ) ( ) 回転角( ) ( )

10 50 58

20 52 60

30 54 70

40 56 80

90

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4.結果をまとめる

(何が目的で.どのような実験を行ったのか,得られたものは何か.何が分かったのか)

(1)実験(1)レーザー発振管のスケッチの図の番号を示す(図□□)

(2)実験(2)得られた波長λの値を示す

(3)実験(3)表(表2)とグラフ(図11)から何がわかったかを示す

(レーザー光が偏光か,電界の振動面の方向はどちらか,ブリュースタ

ーの窓との位置関係はどうかを述べる)

(4)実験(4)表(表3)とグラフ(図12)から何がわかったかを示す

(反射光がほとんど0になる角度(ブリュースター角)の値を示す) 5.検討事項 (1)波長λの測定値と標準値(理科年表参照)の誤差率を求め,誤差の原因と対策を 考える

表4 波長の誤差率

測定値λ( ) 標準値λ( ) 誤差率( )

(2)~(4)教科書の検討事項を調査検討する

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参考

検光子について

この検光子は,入射光の電界(E)の振動方向が

A方向を向いている光は通すが,B方向を向いて

いる光はほとんど通さない性質を持っている。

*Eマークに注意! 図A 検光子(偏光板)

ブリュースターの窓について

(教科書の参考(p.59)参照)

P偏光波

E ガラス板↓ 法線 P偏光波

S偏光波

E θB E

光軸 光軸

レーザー管↑

ブリュースターの窓

θB:ブリュースター角

1 1

法線 tanθB=n(屈折率)

θB

入射光

光軸

率 率 θB

←ガラス板

レーザー管↑

0

0

反射光

0 入射角(°) 90 0 入射角(°) 90 (上図を真横から見た図)

図B ブリュースターの窓について

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-7

E

A

B