リン栄養枯渇条件下での根圏糸状菌による植物生長 …secondary metabolites...

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リン栄養枯渇条件下での根圏糸状菌による植物生長促進 誌名 誌名 日本植物病理學會報 = Annals of the Phytopathological Society of Japan ISSN ISSN 00319473 巻/号 巻/号 842 掲載ページ 掲載ページ p. 78-84 発行年月 発行年月 2018年5月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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リン栄養枯渇条件下での根圏糸状菌による植物生長促進

誌名誌名 日本植物病理學會報 = Annals of the Phytopathological Society of Japan

ISSNISSN 00319473

巻/号巻/号 842

掲載ページ掲載ページ p. 78-84

発行年月発行年月 2018年5月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

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日植病報 84: 78-84 (2018) Jpn. J. Phytopathol. 84: 78—84 (2018) 総説

リ ン栄養枯渇条件下での根圏糸状菌による植物生長促進

畳問 敬 1,2*• 西條 雄介 1,2

ABSTRACT

HIRUMA, K.1・2* and SAIJO, Y.1・2 (2018). Plant growth promotion by beneficial fungi in phosphate-starved conditions. Jpn. J.

Phytopathol. 84: 78-84.

Phosphorus is one of three macronutrients limiting plant growth in natural soils. For efficient phosphate uptake from soil, plants get

help from root-associated fungi such as arbuscular mycorrhizal fungi and the root endophyte Colletotrichum tofieldiae. Plants have also

developed a phosphate starvation response (PSR) system that senses phosphate starvation and increases phosphate uptake. In this review, we discuss how these two root-associated beneficial fungi contribute to plant growth in phosphate-starvation conditions. We also discuss

how the plant PSR system regulates beneficial fungi via the regulation of tryptophan-derived secondary metabolites of the plant.

(Received January 21, 2018; Accepted January 24, 2018)

Key words: Arbuscular mycorrhizal fungi, Colletotrichum, Plant growth promotion, Phosphate starvation response, Tryptophan-derived

secondary metabolites

はじめに

野外環境下で植物は栄姜が枯渇した土壌での生育を余儀

なくされる. リンは窒素,カリウムに並ぶ植物の 3大必須

栄養素の一つであり, リンが生長の律速となるとアントシ

アニンの蓄積や生長不良を引き起こす.植物はリンの枯渇

を即座に認識し,各種の適応反応 (PhosphateStarvation

Response: PSR) を示す.植物は PSRの一環として,根を改

変し, リン酸トランスポーター等の各種遺伝子発現を活性

化することでリン吸収を高める. これまでモデル植物ジロ

イヌナズナを用いた遣伝学的解析によりこれら応答に必須

なリン酸トランスポーターや制御因子が同定されている

(Chiou and Lin, 2011).

一方で,植物根が獲得できるリンは物理的に限られてい

る.仮に, リン自体が十分量存在していてもリンはカルシ

ウム等の金属イオンと結びつき不溶性になっているため,

植物は直接利用できない (Lamberset al., 2008). アーバス

キュラー菌根菌はリン欠乏条件で植物の第 2の根として植

物に可溶性リン酸を供給して植物生長を促す (Bonfanteand

Genre, 2010). 菌根共生は,地上植物が現れ現在の植物根が

出来上がる前から始まったとされる.菌根共生に必要な遺伝

子もほとんどの陸上植物で高度に保存されており,実際

70-90%以上の地上植物と共生関係を樹立する (Bonfante

and Genre, 2010). しかしながら,アーバスキュラー菌根菌

は,シロイヌナズナを含むアブラナ科植物などの一部の植

物には感染しない (Bonfanteand Genre, 2010). 特殊な構造

根も持たないアブラナ科植物が菌根共生を樹立せずに,世

界中の低リン土壌地域に分布し適応できていることは長年

の謎であった.

野外で生育する植物は多種多様な微生物と相互作用して

いる.近年,次世代シークエンサーによる菌叢解析により,

植物根圏の微生物構成を培養非依存的に網羅的に調査でき

るようになった.細菌の 16SrRNA領域を用いた菌叢解析に

よって,植物根圏及び根の内部における門レベルでの細菌

の群集構造は,地域や植物種を問わず(単子葉,双子葉に

関わらず)広く保存されていることが報告されている

(Bulgarelli et al., 2013; Lundberg et al., 2012). 一方で,糸状

菌についても Internaltranscribed spacer (ITS)保存領域を

1奈良先端科学技術大学院大学(〒 630-0192奈良県生駒市高山町8916-5)

of Science and Technology, Ikoma 630-0192, Japan

勺STさきがけ(同上) JSTPRESTO

* Corresponding author (E-mail: [email protected])

Graduate School of Science and Technology, Nara Institute

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指標にした菌叢解析により調蒼されているものの,糸状菌

の群集構造は地域,植物種に応じて大きく変動し,保存さ

れた一定のバターンを示さない (Coleman-Derret al., 2016).

また,健康な植物根圏から分離される菌の中にはAlternaria

属や Colletotrichum属といった,病原菌として報告されてい

る属の菌がしばしば含まれている (Garciaet al., 2013). こ

れら植物根圏から検出された多様な糸状菌と植物との相互

作用に,なんらかの生態生理学的意義が秘められているか

については謎が多い

本稿では, リン欠乏下での糸状菌による植物生長促進に

ついて,アーバスキュラー菌根菌や,著者らが最近発見し

た野外のシロイヌナズナから分離された糸状菌Colletotrichum

tofieldiae (Ct) による例を中心に紹介するまた,宿主植物

のPSRによる共生菌の感染制御に関する知見も紹介する.

植物とアーバスキュラー菌根菌の共生関係

アーバスキュラー菌根菌と植物との共生関係は,陸上植

物が現れた 4.5億年前にはすでに始まっていたことが化石情

報から示唆されており,茜根共生は植物の貧栄養土壌への

適応拡大に寄与したと考えられている (Redeckeret al.,

2000). アーバスキュラー菌根菌と植物は,様々なシグナル

物質のやり取りを通じて互いを認識している.菌根菌は植

物ホルモンであるストリゴラクトンを目印に宿主根を認識

し,植物は茜から分泌される Myc-LCOs(AM fungi-derived

lipochitooligosaccharides) を受容することで共生シグナル系

が活性化し菌根茜が根に受け入れられる (Mailletet al.,

2011). 表皮細胞への侵入は,菌足と呼ばれる菌糸体構造か

ら行われる(第 1図右).皮層細胞層では,植物細胞膜に囲ま

れた菌糸構造体である菌根が形成される(第 1図右). これ

までの研究により,皮層細胞の菌根では,特定の種類の植

物のリン酸トランスポーターが特異的に顕著に誘導される

ことがMedicagotruncatula, イネ, ジャガイモ等の系におい

て報告されており, これらトランスポーターが菌根からの

宿主のリン受容に関与していると考えられている (Rausch

et al◆, 2001; Harrison et al., 2002; Paszkowski et al., 2002). アー

バスキュラー茜根菌がリン等の栄養素を宿主植物に提供す

る代わりに,宿主側は光合成によって得られた糖や脂質を

菌に供給しており,双方のパートナーが利益を得る

(Bonfante and Genre, 2010; MacLean et al., 2017). また, メ

カニズムは明らかではないものの,宿主はより多くのリン

を提供する菌根菌の菌株を認識し区別し,その菌に優先的

に糖を提供する (Kierset al., 2011). さらには, Medicago

truncatulaのMtPT4の遺伝子欠損植物体においては,菌根

が成熟する前に皮層細胞から除去されることから (Javotet

al., 2007), 宿主がリンを菌根から受け取れない場合,宿主

が菌根を積極的に排除する機構が存在することが示唆され

る.宿主の根に可溶性リン酸を投与すると,皮層細胞での

新たな菌根形成が阻害されることからも (Kobaeet al.,

2016), 栄養条件に応じて菌根菌の感染を制御する機構を植

物が有していることが示唆される.以上の例からも,植物

とアーバスキュラー菌根菌の相互作用において興味深い現

象は数多く報告されていることがわかる. しかしながら,

アーバスキュラー菌根菌は,人工培養困難な絶対共生菌で

あり遺伝子操作が困難であること, また,分子遺伝学的解

析に優れたシロイヌナズナには感染しないことなどから,

それらの現象の背景となる分子機構の解明は依然容易では

なし'・

シロイヌナズナと糸状菌 C.tofieldiaeの共生関係

アーバスキュラー菌根菌はジロイヌナズナに感染しない

ものの,多数の糸状菌がシロイヌナズナと相互作用してい

る.その中で, Ctは中央スペインで生育する健康なシロイ

ヌナズナの葉から分離された子嚢菌である (Garciaet al.,

2013). Ctが4つの異なる地域の健康なシロイヌナズナ集団

の葉と根から高頻度で検出されたことから,ジロイヌナズ

ナと密に相互作用する糸状菌であることが想定された

(Hiruma et al., 2016). シロイヌナズナにおける Ctの感染行

動を可視化するため,アグロバクテリウムを介した形質転

換により恒常的に GFPを発現する Ct株 (Ct-GFP) が作出

された.病原型の Colletotrichum属菌(炭疸病菌)は薬上に

感染器官であるメラニン化した付着器形成を行い,そこか

ら侵入菌糸を形成する (Kuboand Furusawa, 1991; Kubo and

Takano, 2013). Ct-GFPの胞子をシロイヌナズナの葉に接種

したところ, メラニン化した付着器は形成するものの,接

種後 8日後においても宿主内への侵入は認められなかった.

一方で,根では,胞子から発芽して伸長した菌糸から付着

器を介さず直接に根の細胞内へ侵入菌糸を形成することが

判明した(第 1図左, Hirumaet al., 2016). 宿主根への付着

器を介さない侵入様式は上述したアーバスキュラー菌根菌

のような共生菌だけではなく,病原菌のMagnaportheoryzae

や Colletotrichumgraminicolaの根への感染時にも観察されて

いる (Sesmaet al., 2004; Sukno et al., 2008). したがって,

付着器を介さない侵入様式は菌の感染様式に関わらず根に

おいて認められる一般的な様式であることが示唆される.

Ctが分離された土壌はリン酸の含有量が非常に限られて

いる (Hacquardet al., 2016). Ctを感染させた植物を低リン

条件下で生育させたところ, Ctが植物生長を促すことが明

らかになった.一方で, Ctによる生長促進はリンが豊富に

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80 日本植物病理学会報 第 84巻 第 2号 平成 30年 5月

C. tofie/diae アーバスキュラー菌根菌

胞子

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菌糸

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\ 細胞壁

菌根

第 1図 アーバスキュ ラー菌根菌と C.tofieldiae (Ct)の根における感染

右 :アーパスキュラ ー菌根菌は,胞子から発芽した後に菌糸を延ばし菌足から根の表皮細胞内へと侵入した後に,皮層細

胞で菌根を形成する.菌根は植物細胞膜に囲まれており,菌根で栄蓑の授与が行われていると考えられる様々な宿主に

感染するものの, シロイヌ ナズナなどのアプラナ科植物には感染しない.左 :Ctは,胞子から発芽した後に菌糸を延ばし

菌糸から直接ジロイ ヌナズナ根の表皮細胞へと侵入する 表皮細胞への侵入後,表皮細胞は死滅する 一方で,皮層細胞

に侵入した菌糸は,植物細胞膜に囲まれその状態が一定期間の間維持される.根の細胞間壁にも菌糸を伸ばす.

存在する条件下では認め られなかった.放射性同位体 33p を

用いた一連のリン輸送の追跡実験から, リ`ノ欠乏条件下に

おいて,Ct菌糸を介 して 33p が植物の地上部に高蓄積する

ことが判明した一方, 日本のダイコンから分離された Ct

の近縁種であ るColletotrichumincanum (Ci, Sato et al., 2005;

Hacquard et al., 2016; Gan et al., 2016)が根に感染 した場合

33p の地上部における蓄積は Ctと比較す ると 顕著に低く ,

植物生長も 阻害した (Hirumaet al., 2016). このことから,

Ctによる植物生長促進機構は近縁種の Ciとの間に存在する

遺伝的差異で決定されていることが示唆された.一方で,

リ`ノが植物生長の律速にならない場合は,Ctの菌糸が根に

感染しているにもかかわらず, 33p は宿主へは輸送されない

ことが判明 した (Hirumaet al., 2016).

るリン輸送及び植物生長促進効果は,

密に制御さ れてい ることが示唆された.さらに,Ciによる

リン欠乏時の リン供給量はCtと比べる と少なかったものの,

リンが十分の時の Ctによるリン供給量と 比較すると有意に

多かったこのことは,病原菌である Ciも一定のリ`ノ供給

力を有していることを示唆しており, Ciの進化的起源を考

したがって,Ctによ

リン濃度によって厳

える上で興味深い事実である.Ct以外にも,糸状菌である

Piriformospora indicaが宿主であるトウモロコジにリンを輸

送する ことが報告されている (Yadavet al., 2010). さらに,

近年になりリンが欠乏した土壌で生育するアプラナ科植物

である Arabisalpinaの植物根から単離された Helotialesの菌

株が宿主植物 にリンを輸送するこ とが報告されている

(Almario et al., 2017). しかしながら, アーバスキ ュラー菌

根菌や Ctとは異なり,それらの植物生長促進効果も しくは

リン輸送はリンが枯渇していない場合にも観察されること

から,その背景にある宿主植物との相互作用機構も異なる

ことが示唆される.

Ct感染時において植物のゲノム上で隣り合わせのリン酸

トラソスポーターである Pht1;2とPht1;3の発現が,菌が感

染していない ときと比較して顕著に誘導されることが判明

している (Hirumaet al., 2016). 同様の現象は,アーバスキュ

ラー菌根菌が他の植物種と共生関係を樹立 した際にも観察

されている (Javotet al., 2007). 植物のリン酸トランスポー

ターの発現誘導は,皮層細胞で菌糸が植物の細胞膜に囲ま

れた構造体である菌根が形成した際に認められ (第 1図右),

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Jpn. J. Phytopathol. 84 (2). May, 2018 81

そこで植物・菌糸間の物質交換が行われていると考えられ

ている.同様に,根の皮層細胞の内部に侵入した Ct菌糸も,

宿主の細胞膜に囲まれその状態が一定期問安定化する(第 1

図左). したがって, Ctと植物による栄養供給の場も皮層細

胞層であることが想定される.以上の観察から,皮層細胞

での特定のリン酸トランスポーターの活性化は,共生糸状

茜との相互作用において普遍的な現象であることが推察さ

れる.

シロイヌナズナを用いた研究から, PSRに関わる宿主因

子が報告されている (Chiouand Lin, 2011). 中でも,転写

因子である PHRlとPHLlは, リン枯渇時の遺伝子発現応

答の大半を制御していることが判明している (Bustoset al.,

2010). しかしながら,そのほとんどが無菌条件で行われた

結果であり,微生物が存在する条件下での PHRlとPHLl

の役割は不明であった.phr 1, phll, phr 1 phll変異体を利用

した解析から,主に PHRlが, Ct感染時の植物のリン酸卜

ランスポーターの発現誘導, Ct感染時の宿主植物へのリン

酸輸送,そして植物生長促進に必要であることが判明した.

さらに,興味深いことに, phrlphll二重変異体ではリン欠

乏条件において Ctの根における菌体塁がリン欠乏時に有意

に増加した (Hirumaet al., 2016). このことは, PHRlと

PHLlを介した PSRが Ctの根での感染を制御していること

を意味したちなみに, PHRlのホモログは, OsPHR2とし

てイネにも存在している (Zhouet al., 2008) . PHRlによる

共生糸状菌の感染制御が普遍的な現象であるかについて検

証するため,イネの OsPHR2がアーバスキュラー菌根茜感

染も制御しているか調査する必要性があろう.

植物のトリプトファン由来の二次代謝物による共生菌制御

植物は多様な二次代謝物を産生している. アブラナ科植

物が特異的に産生するトリプトファン由来の二次代謝物は,

炭疸病菌などの病原菌への侵入前および侵入後抵抗性を発

揮するために必要である (Bednareket al., 2009; Halkier et

al., 2006; Hiruma et al., 2013). 驚くべきことに,トリプトファ

ン由来の二次代謝物の合成能が欠損した cyp79B2cyp79B3変

異体においては, Ctの感染量が著しく上昇するとともに,

植物生長が著しく阻害され最終的に植物が枯死することが

明らかになった (Hirumaet al., 2016). さらには, P.indica

の感染も cyp79B2cyp79B3変異体において著しく激化する

(Lahrmann et al., 2015; Nongbri et al., 2012). 担子菌である P.

indicaは子嚢菌である Ctとは系統的に離れた菌であること

から,根圏の幅広い糸状菌の制御にトリプトファン由来の

二次代謝物が関与していることが示唆される.トリプトファ

ンの下流では,カマレキシン,含硫黄物質であるインドー

ルグルコシノレート, 4-ヒドロキシインドール-3-カルボニ

ルニトリル (40HICN) などといった抗菌活性も有する二次

代謝物が形成される(第 2図, Bednareket al., 2009; Rajniak

et al., 2015). 中でも,病原菌の侵入阻止に必要なインドー

~OH トリプトファンCYP7982 I~40HICN CYP79B3

CYP71A12

CYP71A13 / PAD3

IAOx • • • カマレキシンー

3

l

3

三」ー『If

ぐ三H

4MI3G PEN2 病原菌への

抗菌活性物質? ,防御応答共生の維持

インドールグルコシノレート

第2図 シロイヌナズナのトリプトファン由来の二次代謝物経路図

トリプトファンから CYP79B2/CYP79B3酵素によって IAOxが形成される.その後,抗菌活性を示すカマレキシン,

40HICN, PEN2酵素によってインドールグルコシノレート産物が作られる.図において,イタリックは合成酵素遣伝子を

示す.合成酵素遺伝子の発現はリン欠乏時に有意に変動する.

IAOx: インドールアセトアルドキシム, 40HICN:4-l:: ドロキシインドール-3-カルボニルニトリル, 13G:インドール-3—イ

ルメチルグルコシノレート, 4Ml3G:4—メトキシインドール-3—イルメチルグルコシノレート

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82 日本植物病理学会報第84巻第2号乎成30年5月

ルグルコシノレートが Ctによる生長促進効果やP.indicaの

菌感染量の制御に特に重要であることが判明している (Hiruma

et al., 2016; Lahrmann et al., 2015; Nongbri et al., 2012). これ

らの知見から,共生型糸状菌とシロイヌナズナとの有益な

相互作用は,植物側による抗菌活性を活用した菌体制御に

よって維持されていることが示唆される.さらに, これら

の二次代謝物合成などに必須な遣伝子の発現が, Ct感染時

のリン欠乏時にはリン十分条件と比較して有意に変動する

(主に低下する)ことがトランスクリプトーム解析から判明

している.一方で,病原菌である Ci感染時にはこれら遺伝

子の発現が顕著に誘導された (Hacquardet al., 2016). この

ことは, リン欠乏時には,感染する菌のタイプが共生型か

病原型であるかを植物は識別して,タイプに応じて抗菌活

性を制御する機構が存在していることを示唆する. PHRl

とPHLlがCt感染制御に関与する事実も踏まえると,本来

非生物的ストレスに対応する植物の PSRと植物免疫を介し

た微生物制御の間に機能的リンクが存在することを示して

いる. イネと茜根菌の共生時においても, リン酸を添加し

宿主のリン酸枯渇が緩和されると皮層細胞での新たな菌根

形成が阻害されることが報告されている (Kobaeet al.,

2016). さらに, リン十分条件においてはトウモロコシ根の

免疫関連応答がリン欠乏時と比較して強まり菌根菌感染率

も低下することが報告されている (Yuet al., 2017). これら

の事実は,植物によるリン栄養依存的な糸状菌制御は,植

物種や相互作用する菌の種類に依存することなく認められ

る普遍的な現象であり,植物はそれぞれ類似した糸状菌制

御機構を進化的に獲得してきたことを示唆する.今後さら

なる検証が必要であろう.

おわりに

アーバスキュラー菌根共生は陸上植物が現れた 4.5億年前

から形成された共生システムであると考えられている.一

方で Ctは,近縁の病原菌である Ciから 880万年前に分岐

したことが Colletotrichum属菌間での比較ゲノム解析から明

らかにされている (Hacquardet al., 2016). つまりは,菌根

共生と Ct共生はその仕組みに共通性が認められるものの,

それぞれ独自に生じたことを示唆するまた,シロイヌナ

ズナと同様に菌根共生を行わないArabisalpina集団と相互

作用する Helotialesの糸状菌もリンを宿主植物に輸送し植物

生長を促す (Almarioet al., 2017). したがって,貧栄養土壌

においては,宿主と密に相互作用する内生糸状菌が菌根菌

と類似の機能をアブラナ科植物に提供するようになったとも

考えられる. これまでに,藻類 (Chlamydomonasreinhardtii)

と出芽酵母との共生関係は,双方がそれぞれ炭素と窒素が

成長の律速になった場合に,酵母が二酸化炭素を,藻類が

窒素類を提供する形で成立することが示されている (Hom

and Murray, 2014). アブラナ科植物と内生糸状菌の共生関

係は植物根の内部で形成され,藻類と酵母の関係と比較し

て複雑であることが予想されるが,得られるリンや炭素が

限られていた環境下であったため同様のメカニズムが働き

両者の共生関係も成立した可能性もあるまた, トリプト

ファン由来の二次代謝物の多くはアブラナ科植物で起こっ

たゲノム重複の結果,発達してきた (Bekaertet al., 2012).

アブラナ科植物が菌根共生に必要な遺伝子群を失った事実

と,二次代謝物経路の発達,さらには内生糸状菌との共生

成立の間に何らかのリンクがあるか,検証する必要性があ

ろう.さらに,両者の共生の共通性と相違性を分子レベル

で明らかにしていく必要性がある.アーバスキュラー菌根

菌の遺伝子操作は困難であるものの,宿主として単子葉の

モデルであるイネを用いる実験系などが確立されているこ

とからも (Gutjahret al., 2015; Kobae et al., 2016), 菌根共生

に関する分子基盤の理解が加速化することが期待される.

また,本稿で紹介したシロイヌナズナと Ctの実験系は,植物・

菌双方の遺伝子操作が可能であるため,共通した共生機構

をいち早く明らかにするモデル実験系の一つになることが

期待される.

最後に,共生菌は病原菌とは両極端な存在として論じら

れてきたが,栄養条件等の環境要囚や宿主の遺伝子背景に

応じて,単一の菌が共生茜から病原菌まで幅広く感染様式

を変化させ,その境は少なくとも一部のケースでは連続的で

あることが明らかになってきた. これまでにも, Colletotrichum

magnaのゲノム上の単一の遺伝子領域が欠損した菌変異体

は,宿主であるメロンに病気を起こすことなく感染し,病

原菌の宿主植物への感染を抑止することが報告されている

(Freeman and Rodriguez, 1993). 今後病原菌と非常に近縁

なCtとアブラナ科植物の共生関係を制御する機構を明らか

にすることは,共生菌一般を暴発させることなく安全に活

用して行く方策のためにも有益だと考えられる.本稿で紹

介した貧栄養における共生菌のモデル実験系や紙面の都合

上紹介はできなかったものの他の優れた実験系から,糸状

菌の予想外な役割及びその背景にある分子基盤が明らかに

なっていくことが期待される.

謝辞

本稿で紹介した著者らの研究は,主にマックスプランク

植物育種学研究所(ドイツ・ケルン市)植物微生物相互作

用研究科および奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエ

ンス研究科において行いました.特に, ドイツ・マックス

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プランク研究所ディレクター ・PaulSchulze-Lefert博士, ケ

ルン大学の NinaGerlach博士,フランスの INRAのRichard

0℃ onnell博士,スペインの CBGPのSoledadSacristan博士

や,それぞれの研究機関の諸氏による様々なご支援に感謝

いたします.著者らの研究の一部は, 日本学術振興会, JST

さきがけ (JPMJPR16Q7), 住友財団基礎科学研究助成の補

助を受けて行いました.

引 用 文 献

Almario, J., Jeena, G., Wunder, J., Langen, G., Zuccaro, A., Coupland,

G. and Bucher, M. (2017). Root-associated fungal microbiota

of nonmycorrhizal Arabis alpina and its contribution to plant

phosphorus nutrition. Proc. Natl. Acad. Sci. US A 114: E9403— E9412.

Bednarek, P., Pislewska-Bednarek, M., Svatos, A., Schneider, B.,

Doubsky, J., Mansurova, M., Humphry, M., Consonni, C.,

Panstruga, R., Sanchez-Vallet, A., Molina, A. and Schulze-

Lefert, P. (2009). A glucosinolate metabolism pathway in living

plant cells mediates broad-spectrum antifungal defense.

Science 323: 101-106.

Bekaert, M., Edger, P.P., Hudson, C.M., Pires, J.C. and Conant, G.C.

(2012). Metabolic and evolutionary costs of herbivory defense:

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