ー シ ョ ン 医 療 機 器 魚井がいます。く競争力の強化につい …...イ ノ...

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今後の産業振興に向け力強い握手を交わした 大大学学 姿退えて する大 【企画特集】 2014年 平成26年 2月26日 水曜日

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イノベーションを加速仲谷氏医療機器開発の拠点に北野氏

今後の産業振興に向け力強い握手を交わした

アジアで戦う基盤を魚井氏新製品で世界と戦う仲谷氏

グローバル競争に勝ち抜く競争力の強化

北野 正剛氏大分大学学長

 ―大分県は産学官が連携し

て戦略産業を振興している姿

が分かりました。これを踏ま

え、グローバル競争に勝ち抜

く競争力の強化についてうか

がいます。

 魚井 ダイハツ工業グルー

プはいち早く調達改革に乗り

出し、国内外問わず良いもの

を安く提供してもらえる部品

メーカーから調達してきた。

生産拠点の近くで部品を納め

てもらうのが一番だが、近け

れば良いというわけではない

と思う。

 車づくりは戦後からグロー

バル競争で、ずっと戦ってき

た。世界のどこにも負けない

品質。そして品質が均一で1

00%良品をつくるオンリー

ワンの技術で「安く」「速

く」「安定的にデリバリーが

できる」3つの条件が最低限

そろわないと取引はできな

い。

 その一方で現地調達に向け

地場企業にお願いするばかり

ではだめ。大分県産業創造機

構に人材を派遣して部品づく

りのノウハウを地場企業にお

教えし、相互にレベルを上げ

る取り組みが重要だと思う。

 個人的には単に現地調達を

上げるだけ、当社との取引関

係だけではなく、グローバル

・ビジネスを見据えて相互に

どう勝ち残っていくかを考え

ることが大切だと思う。

 競争相手は国内だけじゃな

い。これからのマーケットで

あるアジアで展開できる競争

力をつけていくことが不可欠

だ。個々の企業は良いモノを

つくる技術はある。だが国内

のアセンブリーは大手メーカ

ーが行っており、地場企業で

は難しいところがある。

 部品のアセンブリー技術を

相互に高めることができれば

競争力がついていく。このよ

うなお手伝いをしていくのも

当社の役割だと思っている。

九州で車づくりが完結できれ

ば、グローバル展開の基盤と

なる。九州でビジネスモデル

を築くとは、そういう意味

だ。

 仲谷 当社は半導体の後工

程でスマートフォンや車載向

けなどのパッケージにまとめ

ている。売り上げの約

%、

来年は半分程度を車載向けで

見込んでいる。要求される品

質は他社が1ppm。それ以

下を達成していれば当社は0

・1ppm、さらにそれ以下

を達成するべく付加価値を高

めている。

 同時に新たなパッケージ技

術の開発で世界をリードする

取り組みも進行中だ。現在石

川県にあるソニーの半導体子

会社と連携して新パッケージ

を開発中で、今年中の量産を

目指していく。この2つの戦

略で世界と戦える後工程会社

を目指したいと考えている。

 大分県LSIクラスター形

成推進会議の企画委員として

は、とにかく情報を集める努

力をしている。半導体は世界

が相手。世界との連携を目指

して、台湾や韓国企業との連

携を深めている。県内企業も

複数社はすでに台湾、韓国に

進出しており、相互に情報を

出し合って切磋琢磨していく

せっさたくま

ことが大切だ。

 広瀬 国内の半導体後工程

を一手に引き受ける規模にま

で急成長しましたが、集約効

果はどうですか。

 仲谷 事業譲渡を受けた各

社で育てた技術が、社内で常

にオープンになっている。集

約した技術を足し合い、コス

ト、品質に応える当社オリジ

ナルのスタンダードプロセス

ができあがりつつあり、その

効果は大きいと感じていま

す。 

 広瀬 企業規模が拡大する

過程の経営管理の工夫を教え

てもらえますか。

 仲谷 企業文化の統合は真

っ正面から向き合うと難し

い。ただ全社的なミッション

とターゲットを明確にすれ

ば、半導体の用語すら違う異

文化が社内にあってもいいと

思う。目標に向かって同じ方

向性を持つことが大事です。

 仲谷 当社は1970年に

仲谷電気製作所として佐伯市

で創業した。

年に同市に進

出した仲谷特殊紡績がその母

体となっている。東芝が大分

市に半導体工場をつくるとい

うことで協力会社としてスタ

ートした。半導体を始めた当

初は従業員100人程度で、

手作業で金線を半導体に接続

するマニュアルボンディング

を行っていた。

 現在は全国に9工場、従業

員数で4000人強の半導体

後工程専業メーカーに成長。

今年の売り上げ規模は約90

0億円、来年は約1000億

円を見込んでいる。

 こうした中、国内半導体産

業はこの十数年、苦しい時代

を過ごしてきたと感じてい

る。スマートフォンに代表さ

れる急激な市場環境の変化は

従来のビジネスモデルを大き

く変え、変化の対応に遅れた

国内半導体産業は衰退傾向に

あった。 

 だが国内半導体業産業は新

たなビジネスモデルを再構築

し、息を吹き返し始めた。従

来の垂直型のビジネスモデル

から大手半導体メーカーなど

も生産規模で勝負する水平分

業型に変わりつつある。

 当社でいえば東芝、富士

通、ルネサスエレクトロニク

ス各社の後工程部門の譲渡を

受け、水平分業により規模を

拡大することができた。ルネ

サスエレクトロニクスの後工

程の譲渡を受けたのが

年6

月。大規模後工程専業メーカ

ーとして新たなスタートを切

り、格段に情報量が増えた。

 さまざま顧客情報を一つに

まとめ、新たなソリューショ

ンを提案し、イノベーション

を加速している。今後も本県

にしっかり根を張り、国内半

導体産業を支えていきたい。

 広瀬 半導体関連産業向け

に地場企業の取引拡大を目指

して、

年に「大分県LSI

クラスター形成推進会議」を

設立した。現在の会員数は1

45社。大手半導体メーカー

に対して、提案型の地場企業

をつくる目的で組織した。同

会議をけん引するリーダーの

一社が、ジェイデバイスだ。

日本の半導体企業の後工程を

一手に引き受ける企業に成長

されたことを大変、喜んでい

る。

 北野 本学は

月に旧

大分大学と旧大分医科大学が

統合して、

周年を迎えた。

4学部5研究科で構成し、学

生数は約5000人。県内唯

一の国立大学法人として地域

とのつながりを最優先に学生

教育は実学を中心とした教育

プログラムを強化するほか、

地域や国際社会に貢献できる

人材の育成を掲げている。

 今後少子高齢化が進む中

で、総合大学としての特性を

踏まえた人材育成、研究・医

療活動は欠かせない。人材育

成では質の高い小中学校の教

員、行政や経済界で活躍する

人材、研究開発やモノづくり

をリードするエンジニア、地

域医療、福祉に携わる人材を

それぞれ輩出していきたいと

考えている。

 研究・医療活動における地

域貢献では既存の研究分野に

加えて医工連携分野の教育研

究機能を強化。大分、宮崎両

県による「東九州メディカル

バレー構想」を推進する。ま

た低炭素社会の実現に向けて

モーターなどの小型、高出力

化を図り、省エネ、高効率型

産業を創出する電磁力応用機

器開発も強化し、地域産業の

育成と活性化を図っていきた

い。

 特に同構想を最重要課題と

位置付け、医工連携、産学官

連携により医学・医療デバイ

スの基礎研究を推進する。

年には県と川澄化学工業の協

力で寄付講座「臨床医工学講

座」を開設。革新的な新規医

療機器の開発、臨床応用を推

進して、わが国はもとよりア

ジアを中心とした医療機器開

発の拠点形成を進める。

 さらに医療機器開発の研究

者育成拠点を目指して、アジ

ア諸国で医療機器取り扱いの

指導的立場を担う人材育成に

も取り組んでいる。

年5、

6月は両県が推進する海外医

療技術者の医療機器取り扱い

技術トレーニングセンター計

画の一環で、アジア諸国から

政府高官と医療関連スタッフ

の視察を受け入れた。

1、2月はタイの医療技術者

に対して研修を実施した。

 中長期的には国内の医療機

器、医療システムがアジアを

中心とした世界へ積極的に打

って出る機会をつくりたい。

 広瀬 医療機器は自動車、

半導体産業と同様に県の戦略

産業に位置付けている。東九

州メディカルバレー構想の推

進は産学官の連携が重要で、

大学の先生方に力を貸しても

らっていることは大変心強

い。同構想の強みは両県に血

液、血管関連の医療機器生産

拠点が集積すること。この集

積を基盤に大分、宮崎の両大

学で研究開発や人材育成、医

療機器開発などを推進してい

る。

 大分大に中核を担ってもら

っているおかげで、宮崎大、

九州保健福祉大学などとの大

学間連携も活発だ。海外との

連携も行政間の壁を乗り越

え、幅広い連携に取り組んで

もらっている。

次代を見据えて躍動する大分県産業界( ) 【企画特集】 2014年 平成26年 2月26日 水曜日