先進救急医療センター - Yamaguchi...

4
先進救急医療センター Advanced Medical Emergency and Critical Care Center (AMEC 3 ) 【当科の概要・理念】 初療室と、集中治療室(ICU10 床、重症病床(HCU10 床の計 20 床からなる先進救急医療センター(AMEC 3 :エーメック・スリー) のスタッフとして、急性疾患患者の診断・初期診療と集中治療を一貫 して担っています。 3 次救急医療機関である当院の救急部門として山 口県西部地域の重症患者を直接受け入れ、さらに、特に高度な治療を 要する最重症患者の搬送・転院を山口県全域から 365 日、24 時間体 制で受け入れています。ドクターカー、ドクターヘリを運用して病院 前医療の充実にも努め、災害時派遣医療チーム(DMAT)を組織して災害医療にも携わっています。 各診療科の専門性を十分に発揮しながら、当科は重症患者管理のアドバイザーとしてサポートし ています。また、重症感染症、多発外傷、急性中毒、心停止後症候群(Post cardiac arrest syndrome: PCAS)等の重症疾患・特殊疾患については当科が主科となり、他診療科と連携しながら質の高い 集中治療・集学的治療を展開しています。センターには高度先進医療に必要な診断・治療機器が整 備され、多項目生体情報モニター下での人工呼吸、血液浄化療法、血管内カテーテル治療法、軽度 低体温療法などの特殊治療が常時可能です。また、全診療科・部の応援により、各種検査、診断、 治療、手術なども 24 時間体制で行われています。

Transcript of 先進救急医療センター - Yamaguchi...

  • 先進救急医療センター Advanced Medical Emergency and Critical Care Center (AMEC3)

    【当科の概要・理念】

    初療室と、集中治療室(ICU)10 床、重症病床(HCU)10 床の計20 床からなる先進救急医療センター(AMEC3:エーメック・スリー)のスタッフとして、急性疾患患者の診断・初期診療と集中治療を一貫

    して担っています。3 次救急医療機関である当院の救急部門として山口県西部地域の重症患者を直接受け入れ、さらに、特に高度な治療を

    要する最重症患者の搬送・転院を山口県全域から 365 日、24 時間体制で受け入れています。ドクターカー、ドクターヘリを運用して病院

    前医療の充実にも努め、災害時派遣医療チーム(DMAT)を組織して災害医療にも携わっています。 各診療科の専門性を十分に発揮しながら、当科は重症患者管理のアドバイザーとしてサポートし

    ています。また、重症感染症、多発外傷、急性中毒、心停止後症候群(Post cardiac arrest syndrome: PCAS)等の重症疾患・特殊疾患については当科が主科となり、他診療科と連携しながら質の高い集中治療・集学的治療を展開しています。センターには高度先進医療に必要な診断・治療機器が整

    備され、多項目生体情報モニター下での人工呼吸、血液浄化療法、血管内カテーテル治療法、軽度

    低体温療法などの特殊治療が常時可能です。また、全診療科・部の応援により、各種検査、診断、

    治療、手術なども 24 時間体制で行われています。

  • 【研修目標】

    3 次救急患者の初期対応と重症患者の集中治療を経験できます。多発外傷、重症感染症、急性中毒、PCAS、急性腎不全、ARDS などの症例を主治医として担当し、急性心筋梗塞、クモ膜下出血などの他科で入室する患者にも色々な形で関与しま

    す。 心エコー・腹部エコー、上部消化管内視鏡検査、気管支鏡検

    査などの検査や、腹腔穿刺、胸腔穿刺、気管切開術などの外科

    的手技、CHDF・PCPS などの体外循環、そのほか IABP・IABOなど、さまざまな検査や治療をAMEC3で行うことができます。 ドラマやドキュメンタリーに出てくるような高度救急医療

    を行うこともあれば、時に比較的軽症な患者も受け入れること

    もあります。「目の前にいる患者を亡くさない為にはどうすれ

    ばよいのか?」その答えが見つかります。

    【研修医の1週間】

    救急主科患者の主治医チームの一員として診療に参加しま

    す。救急搬送があれば優先的に初療室での初期診療に加わります。 平日毎朝、全ての入室患者の診療経過についてプレゼンテーションとディスカッションを行い、

    患者についての最新情報を共有します。水曜日には教授回診、退院カンファレンスがあります。こ

    れらのカンファレンスでの主役は、主治医である研修医です。 抄読会や、救急隊員を交えた救急事例検討会なども開催しています。 やる気と頑張りによっては、学会発表やドクターヘリ同乗のチャンスもあります。

    【当直】

    AMEC3の勤務体制は 2 交代制で、夜勤担当医は 2 名です。研修医は夜勤担当医の指導の下に夜間業務を行います。平均的な夜勤の回数は平日に週 1 回、土日に月 2 回程度です。夜間業務の仕事は主に夜間に救急車来院される急患に対して上級医と一緒に対応することです。また、AMEC3入院患者の経過観察や急変にも対応します。

    【先輩研修医からのコメント】西垣内 昂子 先生 (平成25年度1年目研修医)

    初期研修1年目の西垣内昂子です。救急科での3ヶ月間は毎日がとても充実し

    ていました。具体的な業務内容としては朝のポータブル撮影、初療での急患対

    応、病棟業務、当直、回診・カンファでの発表、3ヶ月目にはドクターヘリ研修も経

    験することができます。どの先生方も忙しい中、研修医のことを常に気にかけて

    下さり、手厚く指導して下さいます。ここでしか学べない、人工呼吸器の使い方か

    ら基礎的な抗菌薬の使い方まで何を聞いても丁寧に教えて下さいます。ここでは

    様々な症例の急性期患者を多く診ることができます。いかに緊迫した状況におい

    ても、焦らず落ち着いて的確に判断し、対応する能力を鍛えることができます。

  • 【指導医からのコメント】河村 宜克 先生

    私たち救急医の専門性は何か?それは、オーケストラに例えると指揮者。患者

    の為に力を注ぐ各科スペシャリストの能力が十分に発揮されるよう環境を整え、

    救命・社会復帰へ向かうためのトータル・コーディネートができる能力だと考えま

    す。無論、救急医が治療の先頭に立ちリードしていくべき重篤疾患や特殊な病態

    へ対応する力も必要であり、それも専門性の一つと言えるでしょう。初期研修を行

    う皆さんにも指導医とともにその一翼を担っていただくことになります。3 次救急が

    主な対応ですが、実際には様々な症例がバランスよく経験でき、救急現場の実情

    も理解できます。教育熱心な指導医の下、当科の研修で得られた考え方はどこ

    においても役に立つものとなるでしょう。

    AMEC3に所属して2年が過ぎました。急変には度々遭遇します。ビックリ仰天す

    るような重症患者さんの主治医になり、色々な先生の知恵を借りて診療し、学会

    発表をし、学生さんや研修医の先生と勉強し、飲み会を開き、寝ています。たまに

    遊びます。あぁ、辛くも楽しく、充実した毎日。それもこれも、AMEC3 のスタッフの

    面白さ・優しさに包まれているおかげです。

    AMEC3 は前向きに患者さんと向き合う心のある学生・研修医の先生が大好き

    です。言葉を換えれば、前向きな心さえあれば AMEC3 では他では得られない研

    修をすることができるのです。救急に興味がない先生でも大丈夫。私も興味あり

    ませんでした。若手代表(!) として、あなたが AMEC3 に来てくださる日を心待ち

    にしています。

    (1 年前、後期研修1年目を終えた時の水口先生のコメント)

    「AMEC3 は忙しく、範囲が広く、恐ろしいことも多いですが、

    この場所にこそ若い医師が経験すべきものが詰まっていると感じています。」

    その1 「緊急事態に遭遇する」

    県内全域から多くの重症患者が運ばれます。頭が真っ白になる自分を経験し、緊急事態に慣れた医師がどのように対応する

    かを見て、参加することができるのは初期研修医の特権です。

    その2 「医療の限界を知る」

    県内重症患者の最後の砦です。人工呼吸、透析、脳低温療法、PCPS・・・・など、レベルが高くとっつきにくい印象があるこれ

    らの治療で状態が好転する患者さんが多く存在します。今の医療でどこまで人間の命に介入できるのか、初期研修の間に経験

    すべきです。自分が重症患者に出会ったとき、次の一手が思い浮かぶようになります。

    その3 「複合疾患を診る」

    初期研修では、いかに「○○科」のみの範囲で収まらない疾患を持つ患者さんが多いかを思い知らされました。全身状態を見

    ながら何が問題なのかをアセスメントし、治療に結びつける集中治療は、ジェネラリストとしての能力を向上させてくれます。

    【後期研修医からのコメント】水口 市子 先生 (卒後5年目)

  • 【お問い合わせ先】 山口大学医学部附属病院 先進救急医療センター 医局

    小田 泰崇(准教授・医局長) TEL: 0836-22-2343, E-mail: [email protected] 【先進救急医療センターHP】 http://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~amec/index.html

    【AMEC3 の施設紹介】

    救急初療 年間 1300 例の受け入れ 集中治療 高いレベルを維持 人工呼吸療法 最新の人工呼吸器を配置 血液浄化療法 積極的に活用しています 経皮的心肺補助 心肺停止患者にも積極的に導入 脳低温療法 パイオニアです 高気圧酸素療法 県内数施設あるうちの 1 つ 外科手術 当院外科の協力の下行っています その他様々な症例・手技が経験できます。 ドクターカー 平日 9 時~17 時の運用 ドクターヘリ 365 日運用中 災害医療(DMAT) 現在 3 隊在籍