食品安全ネットワーク便り 第93号-1-FSSC ISO22000 PAS220( + )の最新動向...

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-1- )の最新動向 FSSC ISO22000 PAS220 の前提条件プ ISO22000 ログラムを補完する新た な規格 PAS220 2008 ISO に英国で発行され 各 FSSC 審査機関は ISO22000 PAS220 の登録審査制度の確立に 活発な動きを見せていま す。現在審査が始まっているのは、 、ロ SGS イド、 などの外資系審査機関で、それら PJ に続いて国内の審査機関 など JQA JMAQA でも審査準備が進められています。昨年から 私が所属する審査機関(JFA)も FSSC 審査基準を策定し、私自身も2回のトライア ル審査を経験しました。その体験を元に、現 段階での 動向をお知らせしたいと思い FSSC ます。国内で の認証取得を受けた工場 FSSC は9社( 現在)で、いずれもコカ 2011.06.29 コーラの系列工場です。 に世界 FSSC HP 各国の認証企業が掲載されています。 http://www.fssc22000.com/downloads/110627Regis ter.pdf と従来の食品安全規格との大きな違 FSSC いは、ハードの要件が入ってきたことにあり ます。例えば “天井と頭上の設備は、埃及 び結露の蓄積を最少にするように設計されな ければならない(横引き配管はできるだけ避 ける)”といった内容です。従来の「製造事 業者等が実施すべき管理運営基準」のハード の要件と同等レベルの基準に過ぎませんが、 築年数が経過した古い工場にとっては、敷居 が高い基準であることに間違いはありませ ん。ただ、有難いことに、ハードの要件を満 たさなくてもハザード分析で代替方法(ソフ ト対応)を示せば、これを認めると明言して いますので、横引き配管があるところでも、 定期清掃や埃や結露の落下位置に裸食材を放 置しないなどの対策をとっていれば、代替方 法として認められます。規格は、食品工場の 実状を十分加味し、古い工場でもシステムが 構築できるように策定されています。 しかし、ここで一つ大きな問題が生じてい ます。実際に審査を行う審査員がこの考え方 に対応できていません。食品工場の現場で管 理していると、どこまでをハードで補って、 どこまでをソフトで対応できるかが見えてく るのですが、これを判断できる審査員が実は 少ないのです。ハードの良し悪しはパッと見 て判断がしやすく、安易に指摘を出しがちで す。壁や空調や手洗い設備の有無が指摘され た、初期の総合衛生管理製造過程の承認制度 を彷彿とさせるものがあります(今は同制度 の監査もソフト重視になってきましたが 。 が食品業界で認知され幅広く普及する FSSC ためには、審査員の力量が鍵になることは間 第93号 食品安全ネットワーク便り 2011/7 《略称フーサン便り》 食品安全ネットワーク(Food Safety Network) http://www.fu-san.jp 米虫 節夫 ホームページ イカリ消毒株式会社 連絡先 〒541-0058 大阪市中央区南久宝寺町2-2-9船場フジイビル TEL06-6264-2741 FAX06-6264-2740 )の動向』 FSSC ISO22000 PAS220 (株)QA・テクノサポート 代表取締役社長 衣川いずみ

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( + )の最新動向FSSC ISO22000 PAS220の前提条件プISO22000

ログラムを補完する新た

な規格 が 年PAS220 2008ISOに英国で発行され 各、

F S S C審 査 機 関 は

( + )ISO22000 PAS220の登録審査制度の確立に

活発な動きを見せていま

す。現在審査が始まっているのは、 、ロSGSイド、 などの外資系審査機関で、それらPJに続いて国内の審査機関 、 などJQA JMAQAでも審査準備が進められています。昨年から

私が所属する審査機関(JFA)も のFSSC審査基準を策定し、私自身も2回のトライア

ル審査を経験しました。その体験を元に、現

段階での 動向をお知らせしたいと思いFSSCます。国内で の認証取得を受けた工場FSSCは9社( 現在)で、いずれもコカ2011.06.29コーラの系列工場です。 の に世界FSSC HP各国の認証企業が掲載されています。

http://www.fssc22000.com/downloads/110627Regis

ter.pdf

と従来の食品安全規格との大きな違FSSCいは、ハードの要件が入ってきたことにあり

ます。例えば “天井と頭上の設備は、埃及、

び結露の蓄積を最少にするように設計されな

ければならない(横引き配管はできるだけ避

ける)”といった内容です。従来の「製造事

業者等が実施すべき管理運営基準」のハード

の要件と同等レベルの基準に過ぎませんが、

築年数が経過した古い工場にとっては、敷居

が高い基準であることに間違いはありませ

ん。ただ、有難いことに、ハードの要件を満

たさなくてもハザード分析で代替方法(ソフ

ト対応)を示せば、これを認めると明言して

いますので、横引き配管があるところでも、

定期清掃や埃や結露の落下位置に裸食材を放

置しないなどの対策をとっていれば、代替方

法として認められます。規格は、食品工場の

実状を十分加味し、古い工場でもシステムが

構築できるように策定されています。

しかし、ここで一つ大きな問題が生じてい

ます。実際に審査を行う審査員がこの考え方

に対応できていません。食品工場の現場で管

理していると、どこまでをハードで補って、

どこまでをソフトで対応できるかが見えてく

るのですが、これを判断できる審査員が実は

少ないのです。ハードの良し悪しはパッと見

て判断がしやすく、安易に指摘を出しがちで

す。壁や空調や手洗い設備の有無が指摘され

た、初期の総合衛生管理製造過程の承認制度

を彷彿とさせるものがあります(今は同制度

の監査もソフト重視になってきましたが 。)

が食品業界で認知され幅広く普及するFSSCためには、審査員の力量が鍵になることは間

第93号食品安全ネットワーク便り2011/7《略 称 フ ー サ ン 便 り》

発 行 食品安全ネットワーク(Food Safety Network)

http://www.fu-san.jp会 長 米虫 節夫 ホームページ

イカリ消毒株式会社連絡先 〒541-0058 大阪市中央区南久宝寺町2-2-9船場フジイビルTEL06-6264-2741 FAX06-6264-2740

『 ( + )の動向』FSSC ISO22000 PAS220(株)QA・テクノサポート代表取締役社長 衣川いずみ

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違いありません。

の前提条件プログラムにはなかISO22000った要求事項が幾つか追加されました(下表

参照 “手直し”とは、包装不良品を再包装)。

したり、成型不良品を混合工程に戻して再成

型する“戻り工程”のことです。その際に、

包装資材の切れ端が混入しないよう手順を確

立すること、再加工のトレーサビリティがと

れるよう( が変わる場合は)記録するこLot.と、異なるアレルゲンの材料に混合しないよ

う管理すること、などが要求されています。

“倉庫管理”は、必要に応じて温湿度管理す

ること、薬剤管理、先入れ先出し、返品や廃

棄品の識別管理(何ものかが分かるよう表示

を付ける、置き場所を固定するなど 、輸送)

車両の衛生管理などが求められています “。

製品リコール手順”は製品回収プログラムの

確立 “製品情報及び消費者の認識”は、製、

品情報の開示方法の確立を意図しており、多

くの企業ではすでにある仕組みです。悩まし

いのが、最後の“食品防御、バイオビジラン

ス及びバイオテロリズム”で、国内の多くの

食品工場はバイオテロ対策ができていませ

ん。アクセス管理(部外者の侵入防止)はハ

ードルが高そうですが、業者の入退室管理な

どできることから始めたいものです。

審査制度もまだ始まったばかりですので、

認証取得の判断をするには、もう少し動向を

見据えた方がよさそうです(営業戦略的なメ

リットがあれば別ですが 。ただ、規格自体)

は、食品工場の管理の弱点をよく捉えていま

。 、す 自社の食品安全の仕組みを強化する上で

足りない要素がいくつも盛り込まれています

から、これを参考にしない手はありません。

私自身の工場管理経験から「よくぞ言ってく

れた」と思う規格要求事項をいくつか挙げま

す。

施設・設備の応急処置用に一時的に取り付

けたものは、期限を決めて、修繕しな

ければならない(破損箇所のビニール

テープやシート巻きなどの応急処置を

そのままにしておかない)

保守した設備を製造ラインに戻す際の洗浄

・殺菌手順を決めておくこと

設備要員にも保守に関わる食品安全ハザー

ド(外した部品の異物混入、素手作業

による黄色ブドウ球菌の付着など)を

理解させておくこと

食品を取り扱う従業員に対して、アレルゲ

ンの教育を行うこと

社員食堂がある場合、食中毒が発生しない

ように管理すること

( 。個人ロッカーを管理すること 7 の実施S害虫の誘因となるお菓子の保有の禁止

など)

や というと、とかく審査でハーISO FSSCドや文書・記録などの“形”が求められ、体

裁を整えることがシステム構築だと誤解され

がちです。しかし、本来規格が意図している

ことは “形”ではなく、今までの仕事のや、

。 、り方を見直すことにあります 上手く使えば

これほど会社の雰囲気を変え、現場力を挙げ

るよい仕組みはありません(逆に言えば、シ

ステムを導入しても何も変わらない会社は、

システムの活かし方に再考の余地がありま

す 。認証取得はさておき、多くの皆さんが)

これらの規格を参考にして、自社の管理体制

を見直す機会にして頂けたらと思います。

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第23回 講演会サロンの会場案内

芝崎勲先生追悼記念講演会==

。開催要項は12ページをご覧ください

--------------切り取り---------------

食品安全ネットワーク 担当 鴻上 高申込先 イカリ消毒(株)第23回 講演会サロン=芝崎先生追悼講演会=

8 30 13 00 17 00平成 年23 月 日(火) : ~ :

06-6264-2740TEL 06-6264-2741 FAX会 社 名

① ②参加者氏名

懇親会の出席 ・する ・しない ・ する ・しない

T E L F A X

〒住 所

注:懇親会は、追悼記念講演会終了後、17時30分より開催され費用は4,000円です。

場所:千里ライフサイエンスセンター・サイエンスホール

560-0082 1-4-2〒 大阪府豊中市新千里東町Tel.06-6873-2010

● 地下鉄(北大阪急行電鉄)御堂筋線 千里中央行 終点・千里中央下車(北出口すぐ)

千里ライフサイエンスセンター地図

サイエンスホール会場写真

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1.はじめに

新聞紙面で大き

、くにぎわうことは

、最近ありませんが

毎日のように食中

、毒は発生しており

年間約2万人を超

す患者数が報告さ

れています。患者数はここ 年ほど横ば20

いで明らかな減少傾向は見えていません。

その一方で、消化器系伝染病―例えば赤痢

―は、衛生環境の改善とともに劇的に減少

、 、 、し 年には 8万人だった患者数が1950

年には、 人を切り、 年以1975 2,000 1975

降は年間患者数も数百人と激減しています

(※1 。同じように衛生環境が改善され)

ているにも関わらず、なぜ、食中毒患者数

が減らないのか?減らすためにはどうした

らいいのかを考えていきたい。

2.どこにでもいる食中毒菌

そもそも食中毒菌は、我々が日常使用し

ている食材中にいるため、伝染病ウイルス

ー例えば天然痘―のように撲滅することは

容易ではありません。

表1 食材別にみた食中毒菌

牛肉 腸管出血性大腸菌、リステ

リア

豚肉 サルモネラ、エルシニア・

エンテロコリチカ

鶏肉及び卵 サルモネラ、カンピロバク

ター、ウエルシュ菌

野菜や穀類 セレウス菌

魚介類 腸炎ビブリオ

よってこれら食中毒菌による食中毒を防

ぐために、食中毒予防三原則「付けない、

増やさない、殺す(やっつける 」が言わ)

れております。しかしながら、食中毒菌の

中には、ごくわずかの菌数で発症するもの

(例えば、カンピロバクターや腸管出血性

大腸菌)もあり、これについての対策とし

て、増やさないは該当しなくなります。工

程内で食品安全を担保する場合、ひとつひ

とつの工程での微生物汚染を防止する事に

よって、積算で全体の食品安全を担保しま

す。ところが、どこかの工程で微生物に汚

染される機会があると、工程全体での食品

の安全リスクが高くなります。これを、先

程の、わずかの菌数で発症する食中毒菌に

置き換えて考えてみましょう。

先に述べたように、ひとつひとつの工程

での微生物汚染を防止する事によって、全

体の食品安全を担保しています。しかしな

がら、わずかな菌数で発症する食中毒菌の

場合、増やさないという手段は効果がない

ので 「つけない、殺す」という2つの方、

法で制御しなければなりません。つまり、

今まで、つけない、増やさない、殺すの3

つの手法で安全を担保していたものが、つ

けない、殺すの2つの手法で制御しないと

いけない。そこで、最終の安全性を同じに

するのであれば、この2つの手法の管理基

準や作業基準を従来より厳しくしなければ

なりません。なぜならば、同じ基準のまま

であれば、微生物が最終製品に持ち込まれ

る可能性が高くなり、安全性が下がる原因

となるからです。この時、制御する手法の

管理基準や作業基準を単に厳しくするだけ

【平井由美子のちょっと一言】

『食中毒患者数はなぜ減らないのか』大阪成蹊短期大学食環境プロデューサー平井 由美子

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なら簡単です。しかしながら、それによる

食品としての、味や風味を損なうことはで

きず、結局必要十分な管理基準にすること

、 。ができず 最終製品の安全を担保できない

まずこれが、食中毒が減らない第一の理由

です。

つまり、食中毒予防三原則は、そもそも

細菌性食中毒菌に、それも一定量菌数が増

えてから発症する菌に焦点をあてた対策で

あり、上記のようにわずかな菌数で発症す

る食中毒菌の場合、食中毒予防三原則だけ

を忠実に守っていても、最終製品の安全性

は十分に担保されない可能性を否めないの

です。よって、自社で汚染される可能性の

ある細菌にあわせた管理方法を考えなけれ

ばいけないのです。

3.統計上の問題点

食品衛生法第58条に、食品に起因して

中毒した患者あるいはその疑いのある者を

診断した医師は、食中毒患者として直ちに

最寄りの保健所長にその旨を届けなければ

( )。 、ならないとされています ※2 つまり

現在統計のとられている食中毒患者はその

原因が食品に起因しており、そのため、食

中毒予防三原則も食品等材料を対象として

考えられていると思われます。一方、ノロ

ウイルスをはじめとした感染性胃腸炎や腸

管出血性大腸菌のように、おおもとは、食

品から感染したとしても、実際に発症した

人の感染原因が人からによるものであった

場合、食中毒ではなく、感染症として報告

されます(※3 。つまり、発生原因菌が)

同じであっても、その感染経路が何かによ

り統計処理上区別されており、これはます

ます、食品を取り扱う現場でのオペレーシ

ョンミスによる感染の撲滅を難しくしてい

るのではないかと筆者は考えます。

4.食品衛生7Sの重要性

かつて、ISO22000研究会で、食

品衛生三原則・食中毒予防三原則・

と食品衛生7Sとの関係を討WHO5keys

議した事があります。その中で、食品衛生

7Sを実施すればこれら全てを網羅できる

と結論づけられました。食品衛生7Sは、

使用する食品等の材料のみならず、施設什

器まで含めて作業環境をどうオペレーショ

。 、ンするかの手段を提示しています よって

単に食品等の材料に焦点をあてて食中毒を

はじめとした食品衛生を担保するのではな

く、生産において必要な資源(材料・作業

としての場・作業者 ,これら全てを対象)

にしています。そのため、食中毒菌の種類

に関係なく対応できるのです。

5.まとめ

食中毒の発生原因としては、原因食材か

ら直接感染したもの、あるいは交差汚染な

どの二次汚染により感染したものとその経

路は分かれますが、いずれにしても発生し

た原因を究明し、特に二次汚染の場合、そ

の原因が何だったのか―手指か調理器具か

等―を調べるという再発防止のアプローチ

こそが、今後の食中毒予防に重要ではない

かと筆者は考えます。そして、それを行う

基礎として食品衛生7Sが必須事項である

ことは言うまでもありません。

※参考資料

※1細菌性赤痢

http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g1/k02_08

/k02_08.html

※2食品衛生法第58条

http://www.mmjp.or.jp/yokojyuu/low/low/low_04

3.html#id_58

※3感染症の予防及び感染症の患者に対する

医療に関する法律

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H10/H10HO114.

html

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今回 月6日 の14,15

第 回見3538学会と第

回企業サロ10ン ・ 第

回宿泊懇親会に参加させていただきました、㈱北川本家

製品部の松味です。拙い文章でございますが、お付き合い宜しくお願いします。

年 月 日に京都酒造工業研究会技2008 7 29術講演会にて「食品不祥事を自社の経営にどう利用するか」を熱弁される米虫先生と再会いたしました(私は,近畿大学農学部の卒業生です 。その後「食品衛生 SQ&A」を) 7読み,自社でも7Sを導入して「やれることから一歩ずつ」と思い立ち、社内の整理・整頓を進め 年夏に食品安全ネットワーク2010に入会、 年第 回食品衛生 S実践事2011 4 7例発表会・第 回記念定期総会と特別講演15会に参加させていただきました。毎回、企業の大小を問わず、参加者のレベルに応じたアドバイスをいただき大変感謝しております。

月 日午後,福山駅集合でマイクロバ6 14スにて和風キムチなどで有名な備後漬物(有)を見学しました。第 回食品衛生 S実践事例発表会後の懇4 7親会で聞いた「福山の小さな漬物屋です 」。との言葉を記憶していましたが、 坪の5000敷地に縦 m横 m程の二階建てという160 60立派な大きな工場で驚きました。 年か2008ら毎月食品衛生 S活動を始め, 回もの7 36委員会を実施し、すでに ヶ所以上の指2000摘項目を改善してこられたとの事でした。名刺に「一元化管理:畑から食卓まで」と印刷され、全社による意気込みが感じられます。

私は、今回初めて食品工場の現場の中にまで立ち入らせていただき、見学コースの窓越しではない大変貴重な体験をさせていただきました。鏡に向かっての毛取ローラー・手洗い・長靴洗浄・エアシャワーなど,すべて体験するのは初めてですが、工程のすべてどこ

にでもその現場における注意事項が書かれてあり、エアシャワーではそのままじっと立っていそうですが「 回まわってお辞儀」と、3初めての私でも判りやすい注意事項です。途中、前掛け・ゴム手袋置き場には誰が見てもわかるようにイエローカードがありました。何処が何が悪いのか判りやすい表示でした。

原料冷蔵庫では先入れ先出しだけでなく、原料野菜の状態に見合った払い出しにも気を配られています。当日は、キムチラインと茄子ラインが稼働。準清潔区において白菜の異物除去、汚れた葉の除去だけでなく味に影響があるので濃い色の葉は除去。そのため、色見本が掲示されてありました。白菜のカット後も異物除去、海外で選別されたエビも工場でもう一度選別作業。韮の束の葉も一本一本選別。漬け上がった茄子も色や傷の検査。漬物充填まで細かくとても手間がかかっていました。充填時の日付確認は現場だけでなく品質管理室でも確認でき、万が一にはラインをすぐに止められるようになっていることにも感心しました。

見学後の意見交換では、なるべく床を濡らさないために野菜の洗浄や、漬け込んだコンテナの洗浄に潤沢な水の使用法の改善案。野菜の異物除去改善は準清潔作業室でなく冷蔵庫内ではどうか。機械の構造を知って衛生管理をするなど、活発な意見が出されていました。私はパートさんを含めた全従業員の意識の高さと改善するスピードが、 Sをこれだけ7

見学先『備後漬物(有) (株)アサムラサキ、万田酵素(株)』、平成23年6月14日(火)~15日(水)

株式会社北川本家

生産本部 製品部長 松味利晃記

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短期間に推進出来たのだと感じました。

当日の宿である名勝・鞆の浦の鴎風亭に到着後ゆっくりと風呂に入り、美味しい夕食をいただきながら親睦を深めました。夕食後は

米虫塾(?)なるものに参加。疲れを忘れ、明日の活力ドリンク片手に深夜 : まで食1 30品衛生から学生運動・社会に於ける上下関係など幅広い勉強になりました。

翌日( 月 日)午前、かき醤油でおな6 15じみの(株)アサムラサキを見学しました。昭和 年から商品の付加価値を付けるた46め多くの商品を開発して現在 品目もある300との事。なるほど、商品棚には沢山の醤油やドレッシング・つゆ・たれ・味海苔・味付けご飯の素がありました。海外 カ国に輸出21されているそうです。

平成 年に新設された品質管理一点に絞14った工場とのことで、水を使わないドライ化された工場でした。窓越しによる見学で清潔区にあるボトリングマシンやその周辺があまり見えず少し残念でした。途中私は気が付かなかったけれども、参加者から Sの基本の7整理について指摘されていました。言われてみれば気が付きました。私も、もっと見る視点を多く持たなければいけないと反省しました。

美味しい昼食後、因島へ移動して健康食品で有名な万田酵素(株)を見学しました。GMP適合認定工場と看板が掲げてありましたが、私は特定保健用食品・JHFA・特別用途食品しか知りません。説明によると健康補助食品における錠剤やカプセルの品質及

び安全性を図るもののようです。工場の外には、酒造に使用する開放タンクが多くあり気

11になっていたところ,万田酵素は酒造家代目松浦新五郎氏が 年もかけて開発され23たとのお話を聞き納得。作られている製品は、 %黒砂糖ベース30に果実類・根菜類・穀類・海藻類など 種53の原料を,旬のものを随時投入して、丸ごと種や皮まで使用して 年 カ月以上複合発酵3 3させた粘性のあるどろりとした液状物でした。

見学途中、現在はJAS法に基づく加工食品基準により「黒糖」と表示できないものがある事などを参加者から教えていただきました。健康食品以外に液体肥料を使用した、びっ

くりファーム。ここで初めてキャベツの実物を見ました。 年生の木みたいなキャベツ、7実ってはいませんでしたが液体肥料を使用して大きくなった巨大な大根・かぼちゃ・ヒマワリのレプリカを見てびっくりしていました。大きく実るまでの期間が短縮されたら,もっとびっくりだと感じました。

すべての見学を終え福山駅で 時頃に解16散。参加されている諸先生・諸先輩方には本当にお世話になりました。視点を変える・常に考える・やれる事からやって行きます。有意義な企画をしていただいた事務局の皆さまの努力に感謝して報告を終了させていただきます。

追記。福山駅にて当初見学予定されていた「三吉正宗」の三吉直右衛門会長(米虫先生の先輩)と合流して駅前ホテルへ。その後、事務局長の冨島邦雄氏と安全運行していただいた猪早嘉雄氏も合流。ここでは清酒業界の今昔などについて日本酒「三吉正宗」を嗜みながらの楽しい会が行われました。

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第15回定期総会の議案で、第1号議案会員報告、第5号議案平成23年度事業計画、第

6号議案平成23年度予算案、第7号議案役員改選を今回掲載いたします。2号議案の平成

22年度事業報告、第3号議案平成22年度決算案、第4号議案監査報告については次号に

掲載予定です。

第1号議案 会員報告

平成23年3月31日現在 平成22年3月31日現在

団体会員 111社 団体会員 114社

個人会員 88名 個人会員 104名

合計 99社・名 合計 218社・名1(会費納入会員) (登録会員)

第5号議案平成23年度事業計画案

①見学会、企業・講演会サロン、総会、役員会

内 容年月日 事 業 名 開 催 場 所

(水) 大阪産業創造館 総会提案議案事前審議他23,4,20 第43回役員会

(水) 大阪産業創造館 総会、特別講演会、情報交換会23,4,20 第15回定期総会と特別講演会

サントリー株式会社 元品質保証講師

本部 副本部長 兼 安全性科学センター所

長但馬 良一氏

(火) 備後漬け物 見学会、サロン23,6,14 第35回見学会と第38回企業サロ 他

~ (水) (宿泊研修)15 ン

(宿泊懇親会を兼ねる)

千里ライフサイエンス 追悼講演会、主催:日本防菌防黴学会23,8,30(火) (第23回講演会サロン)

芝崎勲先生追悼記念講演会 小ホール 食品安全ネットワークは共催

山食 前半期報告、後半期事業計画23,10,19(水) (株)第44回役員会

山食 見学会、サロン23,10,19(水) (株)第36回見学会と第39回企業サロ

(日) 場所未定 次年度事業計画立案24,1,15 第17回三役会

場所未定 次年度事業計画、予算計画審議他24,2,15(水) 第45回役員会

、 、24,2,15(水) 第 回食品衛生7S実践事例発表会 場所未定 基調講演会 食品衛生7S実践発表会5表彰

食品安全ネットワーク

第15回定期総会議事内容報告

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第10回海外研修会②

平成23年9月4日(日)~9月7日(水) 中国

視察企業の候補

9月4日(日) 午前:関空/上海→蘇州へ

9月5日(月) 午前:企業視察(1) デンタルGC午後:企業視察(2) 参天製薬

9月6日(火) 午前:企業視察(3) ダイヤモンド電機

午後:企業視察(4) サントリービール

9月7日(水) 午前:蘇州→上海移動

午後:企業視察(5) 三晃紹介農場

午後:帰国

旅行業者はトラベルファイブジャパン :総会後、見学先が一部変更になっ注

ています。別添のパンフレットを

ご覧ください。

(ISO22000研究会)会場は、原則、本町の中央会館を予定③米虫塾

第 回 平成 年 月 日(土) 第 回 平成 年 月 日(土)50 23 5 28 53 23 11 26

第 回 平成 年 月 日(土) 第 回 平成 年 月 日(土)51 23 7 23 54 24 1 28

第 回 平成 年 月 日(土) 第 回 平成 年 月 日(土)52 23 10 1 55 24 3 1713:00-17:00時間は、原則として

④フーサン便りの発行

№ 発 行 年 月 内 容

第92号 平成23年 5月上旬発行予定 6月の第 回見学会と企業サロン 報告、平35 案内、米虫塾

井由美子のちょっと一言、巻頭:新年度挨拶米虫会長

講演会サロン案内、第 回定期総会報第93号 平成23年 7月上旬発行予定 8月の第 回23 15平井由美子のちょっと一言、米虫塾 巻頭:衣川告、 報告、

幹事

第94号 平成23年 9月上旬発行予定 10月の第 回見学会と企業サロン案内、第 回見学会報36 35告、米虫塾 平井由美子のちょっと一言、巻頭:フー報告、

ドテクノエンジニアリング佐藤氏

案内、 報第95号 平成23年11月上旬発行予定 2月の第 回食品衛生7S実践事例発表会 米虫塾5平井由美子のちょっと一言、巻頭:金山幹事告、

第96号 平成24年 1月上旬発行予定 第 回海外研修会報告、米虫塾 平井由美子のちょっ10 報告、

と一言、巻頭年頭挨拶米虫会長

報告、第 回見学第97号 平成24年 3月上旬発行予定 4月の第 回定期総会案内、米虫塾16 37平井由美子のちょっと一言、巻頭:猫西顧問会報告、

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第6号議案

平成23年度予算案自 平成23年4月 1日

至 平成24年3月31日

収 入 の 部 支 出 の 部

項目 予算額 計算根拠 項目 予算額 計算根拠

会 団体会員 @ × 社 事 企業サロン @ ×( + )1,150,000 10,000 115 210,000 3,500 20 40費 個人会員 @ × 人 講演会サロン 芝崎先生追悼講演会270,000 3,000 90 0

( )の 業 防菌防黴学会主催

1,420,000 360,000 4,000 90部 小 計 7S実践発表 @ ×会

事 企業サロン @ ×( + ) の 定期総会 会場費・講師料350,000 5,000 20 50 400,0000 240,000 @2,000 20 6講演会サロン 芝崎先生追悼講演会 × ×米虫塾 研究会( )ISO22000

業 防菌防黴学会主催 部 ホームページ更新料 シーテェイプラニン( ) 80,0007S実践発表 @ × 海外研修雑費 グ社会 370,000 5,000 50 30,000

の @ × 次年度会場予約金 手土産他3,000 40 30,000200,000 5,000 40 50,000定期総会 @ × 事業予備費

ISO22000 600,000 @5,000 20 6部 米虫塾 × ×(

1,400,000研究会 小 計)

事務委託料 @ × カ月600,000 50,000 12経 事務用品費 @ × カ月48,000 4,000 12

小 計 通信費 @ × カ月1,520,000 480,000 40,000 12手 利息 普通預金 費 会議費 @ × カ月250 72,000 6,000 12数 通信教育手数料 × フーサン便り編集費 @ × 回50,000 @50 1,000 180,000 30,000 6料 の 交通費 @ × カ月120,000 10,000 12の 渉外費 @ × カ月36,000 3,000 12部 部 事務局活動費 @ × カ月240,000 20,000 12小 計 ネット接続料 @ × ヶ月50,250 90,000 7,500 12

599,987 10,000そ 前期繰越金 雑費

1,876,000の 小 計

314,237他 そ 次期繰越金

599,987 314,237小 計 小 計

3,590,237 3,590,237合 計 合 計

前期繰越金の内、米虫会長からの寄付金 万円は記念総会に使途する。50

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第7号議案

平成23年度役員名簿

任期:平成23年4月~平成25年3月

役 職 氏 名 所 属 備考

顧 問 猫西 一也 元大阪市消費者センター所長 新任

会 長 米虫 節夫 大阪市立大学工学部客員教授

(元近畿大学農学部教授)

副会長 鈴木 進 フードクリエイツスズキ(有)

〃 〃 角野 久史 (株)角野品質管理研究所

〃 〃 山口 年宣 (株)山食

〃 〃 野田 憲司 フードテクノエンジニヤリング 株 新任( )

幹 事 奥田 貢司 (株)帝装化成

〃 〃 鎌谷 一也 鳥取県畜産農業協同組合

〃 〃 衣川いずみ (株)QA・テクノサポート

〃 〃 黒田 久一 (株)三晃

〃 〃 鴻上 高 イカリ消毒(株)

( )事務局兼務

〃 〃 平井 由美子 食環境プロデューサー

〃 〃 金山 民雄 東洋産業(株) 新任

会計監事 柳沢 義彰 元(株)川喜

〃 〃 田中 達男 (株)赤福 新任

事務局長 冨島 邦雄 NPO法人てくてく

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8 30 13 00 17 001,日時:平成 年23 月 日(火) : ~ :(日本防菌防黴学会大会初日)

1,場所: (ページ3を参照)千里ライフサイエンスセンター・サイエンスホール

1,協賛:環境管理技術研究会、 、公益財団法人体質研究会(放射食品安全ネットワーク線照射利用促進協議会 、社団法人日本生物工学会、日本清涼飲料研究会、フ)ードサニテーションパートナー会 (50音順)、

, ( 、 ) ( )1 コーディネーター:森田和矢 年次大会委員 サラヤ(株) 米虫節夫 大阪市立大学

1,参加料 (今回は学会の2日間参加可能、懇親会は追悼記念講演会終10,000円、 、 。)後 17時30分から開催 参加費は です4 000円,

【プログラム】総合司会 古田太郎(サラヤ(株))開会挨拶(芝崎先生を偲び先生の功績紹介 ( ~ )) 13:00 13:15

米虫節夫(大阪市立大学)

■記念講演( ~ 各 分)13:15 13:55 20「手洗いと公衆衛生―微生物制御の先達を偲ぶ」

更家悠介(サラヤ株式会社)「食品開発と市場の動向―遠い日の思い出とともに」

片山 務(不二製油株式会社)休 憩( ~ )13:55 14:00

■基礎講座( ~ 、各題 分)14:00 17:00 35(座長 中川善博 凸版印刷(株))

「微生物とは何ものか?―その生と死をめぐって」土戸哲明(関西大学)

「微生物とどう戦うか?―微生物制御の現状と将来」高麗寛紀(徳島大学)

(座長 塚正泰之 近畿大学)「食品衛生の基本とは?―トータルサニテーションの目指すもの」

上田 修(ならコープ)

「食品工場はどうあるべきか?-現場での微生物制御とソフト・ハードのバランスの重要性」佐藤徳重(フードテクノエンジニアリング株式会社)

(座長 角野久史 食品安全ネットワーク)「微生物制御はどこまでシステム化できるか?―HACCPからFSSC22000」

米虫節夫(大阪市立大学)

■閉会挨拶( ~ ) 高麗寛紀(徳島大学)16:55 17:00

会場の案内と申し込みは3ページにあります。~~

食品安全ネットワーク

第23回 講演会サロンのご案内

=芝崎勲先生追悼記念講演会=「平成23年度日本防菌防黴学会年次大会」

”微生物との戦いは永遠に続く!”『テーマ』